(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
天井面固定部と、照明器具本体と、天井面固定部と照明器具本体とを導電状態に接続するコードを備え、前記照明器具本体が高さ調整可能に前記天井面固定部から吊り下げ状態に支持されるとともに、
前記天井面固定部の下端部および照明器具本体の上端部の少なくともいずれかに、コードの、余剰長さ部分を収納可能なコード収納部を有し、
このコード収納部のコード出入口にコードを任意の位置で把持固定および把持解除自在なアジャスト機能付きコード把持手段を備えている吊り下げ式照明器具であって、
前記コード収納部は、円筒形をしているコード収容部本体と、
前記コード出入口に対面する位置に前記コードのガイド孔を有し、このガイド孔より前記コード収納部内部側の余剰長さ部分が、前記コード把持手段の把持動作を阻害する位置まで入り込むことを防止する障壁部を備え、
前記ガイド孔が前記コード収納部本体の円筒の中心位置に配置され、前記コードの始端が、前記コード収納部本体の、円筒の内周壁に沿う位置に設けられ、
かつ、前記ガイド孔とコード出入口の距離が前記コードの径の2倍以下であることを特徴とする吊り下げ式照明器具。
【背景技術】
【0002】
天井照明に、
図9に示すような吊り下げ式照明器具(ペンダントライド)Xが使用されている(特許文献1,2参照)。
上記吊り下げ式照明器具Xは、天井固定部100と、照明器具本体200と、照明器具本体200を天井固定部100から吊り下げ状態に支持するコード300を備えている。
【0003】
天井固定部100は、
図11および
図12に示すように、コード300の余剰部分を収納できるコード収納部110を備えている。
コード収納部110は、コード出入口111を備え、このコード出入口111にアジャスト機能付きコード把持手段(以下、「アジャスター」と記す)400が装着されている。
【0004】
アジャスター400は、コード300が挿通されているとともに、下端側からフランジ部410と、コードガイド筒部420と、把持部となる4片(
図10、
図11では2片しかあらわれていない)の把持片430を順に備えている。
フランジ部410は、外径がコード出入口111の内径より大きく、内径がコード300の外径より少し大きくなっている。
【0005】
コードガイド筒部420は、外径がコード出入口111の内径より小さく、内径がフランジ部410の内径と同じになっている。
把持片430は、コード300を囲むように設けられた放射状に設けられている。
【0006】
そして、各把持片430は、基端側がコードガイド筒部420に連設されていて、先端に鍔部440を備えている。
そして、各把持片430は、鍔部440がコード出入口111の周縁に係止されるまで、アジャスター400がコード収納部110から引き出された状態で、コード300の周囲に圧接状態となり、コード300のスライドを抑止するようになっている。
【0007】
すなわち、この照明器具Xは、アジャスター400をコード収納部110側に押し込めば、把持片410が花びら形に広がって把持が解除され、コード収納部110にコード300を所望の長さ押し込んだのち、把持手段を鍔部440がコード出入口111に係止されるように引き出せば、コード300がコード収納部110から所望の長さ分だけでた状態で固定できる。したがって、アジャスター400を操作して、天井固定部100から照明器具本体200までのコード300の長さを容易に変更できる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、上記従来の照明器具Xの場合、つぎのような問題がある。
(1)コード収納部110にコード300を挿入する際の課題
コード300がコード収納部110内で無秩序に曲がって折りたたまれるため、コード300がコード収納部110内でつっぱりスムースに挿入しにくい。
また、コード収納部110内で無秩序に畳まれるため、コード300に無理な荷重がかかり、場合によっては変形(折れ曲がる)することがある。
(2) コード収納部110からコード300を引き出す際の課題
コード収納部110内でコード300が極端な変形をして収納されていると、アジャスター400を通してコード300が引き出しにくくなる。
また、場合によってはアジャスター400の把持片430と把持片430の間にコード300が絡まり動かなく時がある。
そこで、従来の照明器具Xの場合、特にコード300が動かなくなることも想定して、コード収納部110を取り外し可能にビス等で固定し、必要に応じてコード収納部110を分解することができるようにしているが、分解、組み立て作業が面倒である。
【0010】
本発明は、上記事情に鑑みて、コード把持手段の操作のみで、コード収納部からのコードの出し入れを容易に行うことができる吊り下げ式照明器具を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明にかかる吊り下げ式照明器具(以下、「本発明の照明器具」と記す)は、天井面固定部と、照明器具本体と、天井面固定部と照明器具本体とを導電状態に接続するコードを備え、前記照明器具本体が高さ調整可能に前記天井面固定部から吊り下げ状態に支持されるとともに、前記天井面固定部の下端部および照明器具本体の上端部の少なくともいずれかに、コードの、余剰長さ部分を収納可能なコード収納部を有し、このコード収納部のコード出入口にコードを任意の位置で把持固定および把持解除自在なアジャスト機能付きコード把持手段を備えている
吊り下げ式照明器具であって、前記コード収納部は、円筒形をしているコード収容部本体と、前記コード出入口に対面する位置に前記コードのガイド孔を有し、このガイド孔より前記コード収納部内部側の余剰長さ部分が、前記コード把持手段の把持動作を阻害する位置まで入り込むことを防止する障壁部を備え、前記ガイド孔が前記コード収納部本体の円筒の中心位置に配置され、前記コードの始端が、前記コード収納部本体の、円筒の内周壁に沿う位置に設けられ、かつ、前記ガイド孔とコード出入口の距離が前記コードの径の2倍以下であることを特徴としている。
【0012】
本発明において、照明器具本体は、天井固定部にコードのみで吊り下げ状態に支持しても構わないし、コードに加えて、チェーン等の補助吊り具を併用しても構わない。
本発明において、余剰長さ部分とは、照明器具本体の高さ調整を行ったときに、天井面固定部と照明器具本体の間に生じるコードのたるみを意味する。
【0013】
本発明の照明器具
のコードの始端を偏芯位置に固定する方法としては、特に限定されないが、樹脂製結束バンド(例えば、ヘマタイト社の商品名インシュロック)を用いて固定する方法が挙げられる。
【0015】
本発明の照明器具において、コード出入口と、ガイド孔の距離は、特に限定されないが、上記アジャスターをガイド孔方向にスライドさせて、コードへの把持を解消した状態で、ガイド孔とアジャスター先端との距離がコード径より短いことが好ましく、ア
ジャスターの先端がガイド孔の周囲にほぼ接するようにすることが好ましい。
すなわち、コード出入口とガイド孔との間でコードが折れ曲がろうとしても、アジャスターによってガイドされるため、折れ曲がることがない。したがって、折れ曲がりにより、コードの挿入が阻害されることがない。
【0016】
本発明の照明器具は、アジャスターが、コード収納部側(ガイド孔側)に押し込むと、コードを囲むように放射状に設けられた把持片の把持部(例えば、係止爪や先端部内壁)が、把持部の弾性復元力等によって外側に開いて把持を解消し、コードをコード収容部方向に進退可能にするとともに、コード出入口から引き出す方向に移動すると、コード出入口の内壁面によって周方向から押圧されて把持部が縮径し、把持部によってコードの周壁を把持してコードがコード収納部方向に進退できない構造をしていることが好ましい。
すなわち、ワンタッチで、コードの把持および把持解除を行うことができ、コードの長さ調整作業が容易である。
【発明の効果】
【0017】
本発明の照明器具は、以上のように、天井面固定部と、照明器具本体と、天井面固定部と照明器具本体とを導電状態に接続するコードを備え、前記照明器具本体が高さ調整可能に前記天井面固定部から吊り下げ状態に支持されるとともに、前記天井面固定部の下端部および照明器具本体の上端部の少なくともいずれかに、コードの、余剰長さ部分を収納可能なコード収納部を有し、このコード収納部のコード出入口にコードを任意の位置で把持固定および把持解除自在なアジャスト機能付きコード把持手段を備えている
吊り下げ式照明器具であって、前記コード収納部は、円筒形をしているコード収容部本体と、前記コード出入口に対面する位置に前記コードのガイド孔を有し、このガイド孔より前記コード収納部内部側の余剰長さ部分が、前記コード把持手段の把持動作を阻害する位置まで入り込むことを防止する障壁部を備え、前記ガイド孔が前記コード収納部本体の円筒の中心位置に配置され、前記コードの始端が、前記コード収納部本体の、円筒の内周壁に沿う位置に設けられ、かつ、前記ガイド孔とコード出入口の距離が前記コードの径の2倍以下であるので、以下のような効果を有する。
(1)コードの余剰部分が、ガイド孔とコード出入口との間に折れ曲がって入りにくいため、コード出入口に支持されたアジャスターの把持部と把持部との間にコードが挟まれたり、コードが把持部にひっかかり挿入を阻害され
たりすることがない。
(2)コード引き出し時に、コードがガイド孔を介してアジャスターの把持部の間を垂直に通過するため、把持部と把持部の間にコードが挟まることなく、スムースに引き出せる。
(3)コード収納部が円筒形をしていて、ガイド孔が円筒の中心位置に配置され、コードの始端が、円筒の内周壁に沿う位置に設けられ、コードの挿入時の初期段階でコードが内壁に沿うように配置されるので、コードは、コード収納部の内周壁に沿いながら螺旋状にコード収納部内に収納されていき、コード収納部内でコードが絡まったり、つかえて挿入できなかったりすることを防止できる上、極端な変形をすることもなく収納できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の照明器具の第1の実施の形態をあらわし、その天井固定部側の断面図である。
【
図2】
図1の照明器具のコードの長さ調節機構を説明する図であって、そのコード余剰コードを。
【
図3】
図1の照明器具のコードの長さ調節機構を説明する図である。
【
図4】本発明の照明器具の第2の実施の形態をあらわす断面図である。
【
図5】本発明の照明器具の第3の実施の形態をあらわす断面図である。
【
図6】本発明の照明器具の第4の実施の形態をあらわす断面図である。
【
図7】本発明の照明器具の第5の実施の形態をあらわす断面図である。
【
図8】本発明の照明器具の第6の実施の形態をあらわし、その照明器具本体部分の断面図である。
【
図10】
図9の照明器具の断面図であって、同図(b)は同図(a)のX−X線要部断面図である。
【
図11】
図9の照明器具のコードの長さ調節機構を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明を、その実施の形態をあらわす図面を参照しつつ詳しく説明する。
図1〜
図3は、本発明の照明器具の第1の実施の形態をあらわしている。
【0020】
図1〜
図3に示すように、この照明器具Aは、天井固定部1aと、照明器具本体2aと、コード3を備えている。
天井固定部1aは、コード収納部10と、充電部14を備えている。
【0021】
コード収納部10は、円筒状の収納部本体10aと、収納部本体10aの底を塞ぐように設けられた底キャップ12と、障壁部を構成する障壁部材5aを備えている。
底キャップ12は、中央にコード出入口11が穿設されている。
【0022】
障壁部材5aは、中央にガイド孔51が穿設されるとともに、底キャップ12とともに、ビス13を介して収納部本体10aの下端にねじ固定されている
。
【0023】
また、コード出入口11には、アジャスター4が装着されている。
アジャスター4は、コードガイド筒部42と、フランジ部41と、4片(
図1〜
図3では2片しかあらわれていない)の把持片43を備えている。
【0024】
コードガイド筒部42は、外径がコード出入口11の内径より少し小径で、内径がコード3の外径より大径になっている。
フランジ部41は、コードガイド筒部42の上端部で外側に広がるように設けられていて、外径がコード出入口11より大径になっている。
【0025】
4片の把持片43は、基端がコードガイド筒部42の上端に沿って繋がるように放射状に設けられていて、無負荷状態では、先端側が少し外側に開く、あるいは、内径がコード外径と同じか少し大径で、コード3がスライド自在となるとともに、コード出入口11から引き出される方向にアジャスター4を動かすと、コード出入口11の内壁面によって内径がコード3の外径より小径化するように縮径し、コード3を把持できるようになっている。
【0026】
また、各把持片43は、先端に係止部44を備えている。
係止部44は、把持片43の先端で内外に張り出すように設けられていて、
図1および
図3に示すように、コード3を把持した状態では、係止部44の内側張り出し部がコード3の壁面に圧接され、係止部44の外側張り出し部がコード出入口の周縁に係止されるようになっている。
そして、
図2に示すように、フランジ部41が底キャップ12に当接するまでアジャスター4をコード収納部10側に押し込んだ状態で、各把持片43の先端がコード外周面への押圧が解除されるように少し外側に開き、コード3への係止が解除されるようになっている。
【0027】
コード3は、充電部14のコード収納部10の内周壁近傍を臨む位置からコード収納部10内に入り込んでいる。
すなわち、コード収納部10のコード3の始端31は、コード収納部10の上端部のコード収納部10の内壁面に沿う位置に設けられている。
【0028】
そして、コード3は、コード3の始端31と偏芯した位置に設けられたガイド孔51およびアジャスター4を介してコード出入口11を通り、照明器具本体2aに接続されている。
すなわち、ガイド孔51は、コード3の始端に対し偏芯した位置に設けられている。
【0029】
なお、
図1〜
図3中、6はシーリングコンセントである。
【0030】
この照明器具Aは、上記のように構成されているので、以下のような優れた性能を有する。
(1)コード出入口11を臨むように、コード収納部10内にガイド孔51を備えた障壁部材5aによって障壁部が形成されているので、コード収納部10内にコード3を収納する際に、コード3がコード収納部10内で曲がりが生じても、アジャスター部分に曲がった部分が入り込むことを抑止できる。
したがって、把持片43と把持片43の間にコード3がかみ込んで、照明器具本体2aの高さ調整をスムースに行うことができないという問題を解決できる。
(2)コード3の始端31がコード収納部10の内周壁に沿う位置に設けられ、ガイド孔51がコード収納部10の中央に設けられているので、コード3の挿入時の初期段階でコード3が内壁に沿うように配置されているため、コード3が内壁に沿うようスムースに収納される。
よって、コード収納部10内でコード3が絡まることなく、また、極端な変形をすることもなく収納できる。
【0031】
図4は、本発明の照明器具の第2の実施の形態をあらわしている。
図4に示すように、この照明器具Bは、以下の構成以外は、上記の照明器具Aと同様になっている。したがって、上記照明器具Aと同様の構成部分は、同じ符号を付している。
【0032】
すなわち、この照明器具Bは、コード収納部10がコード出入口11を備え、収納部本体10aと底10bが一体成形されて、障壁部を構成する障壁部材5bが中央にガイド孔51を備えた周囲に鍔部52を断面略ハット形をしている。
そして、障壁部材5bが、コード収納部10の底10bに鍔部52が溶接固定されている
【0033】
図5は、本発明の照明器具の第3の実施の形態をあらわしている。
図5に示すように、この照明器具Cは、以下の構成以外は、上記の照明器具Aと同様になっている。したがって、上記照明器具Aと同様の構成部分は、同じ符号を付している。
【0034】
すなわち、この照明器具Cは、コード収納部本体10aの底10bにガイド孔51が設けられていて、鍔付きの有底箱形をして底中央にコード出入口11を有するコード出入口形成部材15が箱の底を上に向けてコード収納部本体10aの底10bの下面に溶接固定されている。
そして、この照明器具Cは、底10bが障壁部を構成している。
【0035】
図6は、本発明の照明器具の第4の実施の形態をあらわしている。
図6に示すように、この照明器具Dは、以下の構成以外は、上記の照明器具Aと同様になっている。したがって、上記照明器具Aと同様の構成部分は、同じ符号を付している。
【0036】
すなわち、この照明器具Dは、コード収納部本体10aの底10bの中央部10cが円錐台形状にコード収納部本体10aの内側に入り込んでいて、障壁部としての中央部10cの中央にガイド孔51が形成されている。
そして、中央にコード出入口11を備えた円盤状のコード出入口部材6が底10bの下面に溶接固定されている。
【0037】
図7は、本発明の照明器具の第5の実施の形態をあらわしている。
図7に示すように、この照明器具Eは、以下の構成以外は、上記の照明器具Aと同様になっている。したがって、上記照明器具Aと同様の構成部分は、同じ符号を付している。
【0038】
すなわち、この照明器具Eは、コード収納部本体10aの底10bの中央部10dがコード収納部本体10aの下方に向かって突出した円錐台形状に突設していて、この中央部10dに中央にコード出入口11が形成されている。
また、ガイド孔51を備える円盤状をしたガイド孔形成部材5eがコード収納部本体10aの底10bに溶接固定されている。
【0039】
図8は、本発明の照明器具の第6の実施の形態をあらわしている。
図8に示すように、この照明器具Fは、照明器具本体2bの上端部にコード収納部20を備えていて、以下の構成となっているとともに、図示していないが、天井固定部側にコード収納部が設けられていない以外は、照明器具Aと同様になっている。したがって、上記照明器具Aと同様の構成部分は、同じ符号を付している。
【0040】
すなわち、この照明器具Fは、コード収納部20の天井面中央にコード出入口21が設けられている。
また。コード収納部10内には、底中央にガイド孔51を備えた有底円筒形をした障壁部材5fが収納され、ビス23によって固定されている。
【0041】
本発明は、上記の実施の形態に限定されない。例えば、上記の実施の形態では、天井固定部側あるいは照明器具本体側のいずれかにコード収納部が設けられていたが、天井固定部および照明器具本体の両方に同様のコード収納部を設け、コードの上下方向のいずれ側でも長さ調節できるようにしても構わない。
上記の実施の形態では、天井固定部あるいは照明器具本体のいずれかにコード収納部が設けられていたが、天井固定部および照明器具本体の両側にコード収納部を設けるようにしても構わない。
【0042】
上記の実施の形態では、コードの把持固定を把持片のみで行っていたが、把持片の把持状態が安定するようにビス等で把持片の動きを止める安全装置を設けるようにしても構わない。
上記の実施の形態では、障壁部材にはガイド孔以外の孔が設けられていなかったが、コードが入り込まない程度の大きさの孔が設けられていても構わないし、メッシュ状になっていても構わない。
【0043】
上記の第2〜第5の実施の形態では、ガイド孔形成部材がコード収納部本体の底に、コード出入口部材がコード収納部本体の底に溶接固定されていたが、ビス固定でもよいし、融着や接着でも構わない。