(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
刈り取られた穀稈を脱穀し、脱穀した処理物を穀粒と藁屑とに選別する脱穀選別部と、前記脱穀選別部によって穀粒と藁屑とに選別できなかった処理物を前記脱穀選別部に還元する還元搬送部と、を備えるコンバインにおいて、
前記還元搬送部は、前記脱穀選別部から搬送された処理物を上方に搬送する上方搬送部と、
処理物を前方に搬送して前記脱穀選別部に還元する前方搬送部と、
前記上方搬送部と前記前方搬送部とに連通する連通部と、を備え、
前記連通部は、前記上方搬送部から搬送された処理物を前記前方搬送部に案内するスロープ面を有するガイド部と、前記ガイド部を覆いかつ開放自在なカバー部と、を有し、
前記カバー部を開放した状態での前記上方搬送部の清掃の際、前記ガイド部を介して前記上方搬送部から溢流した清掃水を前記前方搬送部に流出してなり、
前記カバー部は、前記ガイド部の側方の少なくとも一部を覆う側方カバー部を有し、
前記側方カバー部の前記ガイド部と対向する面に、前記還元搬送部における処理物の詰りを検出する検出手段を固定し、
前記カバー部は、外されることにより前記ガイド部を開放してなる、
ことを特徴とするコンバイン。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に記載の接続シュート及び2番揚穀コンベアケースには、処理物が通る内部に連通する開口部が設けられていない。このため、作業者は、接続シュート及び2番揚穀コンベアケースの内部において詰りが発生した際の詰りの除去や清掃を行いにくく、清掃後も穀粒が残る虞がある。異なる穀物の刈取作業を行う前に、作業者は、還元搬送部を清掃するが、清掃前に脱穀選別した穀物の穀粒が清掃後も残ってしまい、清掃後に脱穀選別した穀物の穀粒の中に異なる穀物の穀粒が含まれてしまう虞がある。
【0007】
そこで、本発明は、還元搬送部内の清掃の作業性を向上させて、上述した課題を解決するコンバインを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、刈り取られた穀稈を脱穀し、脱穀した処理物を穀粒と藁屑とに選別する脱穀選別部(9)と、前記脱穀選別部(9)によって穀粒と藁屑とに選別できなかった処理物を前記脱穀選別部(9)に還元する還元搬送部(36)と、を備えるコンバイン(1)において、
前記還元搬送部(36)は、前記脱穀選別部(9)から搬送された処理物を上方に搬送する上方搬送部(37)と、
処理物を前方に搬送して前記脱穀選別部(9)に還元する前方搬送部(40)と、
前記上方搬送部(37)と前記前方搬送部(40)とに連通する連通部(39)と、を有し、
前記連通部(39)は、前記上方搬送部(37)から搬送された処理物を前記前方搬送部(40)に案内するガイド部(57)と、
前記ガイド部(57)を覆いかつ開放自在なカバー部(60)と、を有し、
前記カバー部(60)を開放した状態での前記上方搬送部(37)の清掃の際、前記ガイド部(57)を介して前記上方搬送部(37)から溢流した清掃水を前記前方搬送部(40)に流出する、
ことを特徴とする。
【0009】
例えば、
図9及び
図11を参照して、前記カバー部(60)は、前記ガイド部(57)の上方の少なくとも一部を覆いかつ開放自在な第1の上方カバー部分(61A,61C)を有し、
前記上方搬送部(37)の上方の少なくとも一部を覆いかつ開放自在な第2の上方カバー部分(61B)を有する。
【0010】
例えば、
図9を参照して、前記前方搬送部(40)の上方の少なくとも一部を覆いかつ開放自在な第3の上方カバー部分(50)を有する。
【0011】
例えば、
図9を参照して、前記第1の上方カバー部分(61A)と前記第2の上方カバー部分(61B)とが一体に構成される。
【0012】
例えば
図9、
図11及び
図12を参照して、前記カバー部(60)は、前記ガイド部(57)の側方の少なくとも一部を覆う側方カバー部(62,62A,62B)を有する。
【0013】
例えば
図9を参照して、前記還元搬送部(36)は、前記還元搬送部(36)における処理物の詰りを検出する検出手段(69)を有し、
前記カバー部(60)は、外されることにより前記ガイド部(57)を開放し、
前記検出手段(69)は、前記カバー部(60)に固定される。
【0014】
なお、上述カッコ内の符号は、図面と対照するためのものであるが、これにより特許請求の範囲に記載の構成に何等影響を及ぼすものではない。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に係る本発明によると、異なる圃場で作業する際、作業者は、上方搬送部に水を供給して上方搬送部を清掃するが、上方搬送部に供給された水は、上方搬送部に詰まっていたり、溜まっている処理物と共に上方搬送部の上部から溢流し、ガイド部と、ガイド部を介して前方搬送部と、に流出する。これにより、作業者は、上方搬送部から前方搬送分まで連続して水を流して上方搬送部と共にガイド部及び前方搬送部をまとめて清掃することができ、清掃の作業性を向上し、清掃時間を短縮することができる。また、上方搬送部等に残留していた処理物は、確実に清掃水と共に排出され、新たなコンバイン作業をする際、還元搬送部の内部に前で処理した処理物等が残る虞が低減され、選別された穀粒の中に他の穀物の穀粒が含まれる虞が低減される。
【0016】
請求項2に係る本発明によると、第1の上方カバー部分は、外されることによって、ガイド部の上方の少なくとも一部が開口するように構成され、第2の上方カバー部分は、外されることによって、上方搬送部の上方の少なくとも一部が開口するように構成されている。作業者は、第1の上方カバー部分又は第2の上方カバー部分を外した箇所から水を注ぎ、水を上方搬送部の上部から流してまとめて清掃することができる。これによって、清掃の作業性が向上されると共に、清掃時間が短縮される。
【0017】
請求項3に係る本発明によると、第1の上方カバー部分、第2の上方カバー部分及び第3の上方カバー部分は、外されることによって、上方搬送部の上部、ガイド部の上部及び前方搬送部それぞれの少なくとも一部が開口するように構成されている。作業者は、第1の上方カバー部分、第2の上方カバー部分及び第3の上方カバー部分を外した箇所から水を注ぐことができ、上方搬送部、ガイド部及び前方搬送部を容易に清掃することができる。
【0018】
請求項4に係る本発明によると、第1の上方カバー部分と前記第2の上方カバー部分とが一体に構成されている。作業者は、清掃でガイド部及び上方搬送部の上方を開口する際に取り外す部品数が少ないため、清掃の準備に要する時間を短縮することができる。
【0019】
請求項
1に係る本発明によると、カバー部がガイド部
の側方の少なくとも
一部を覆う側方カバー部を有し、該側方カバー部が外されると、ガイド部の上部が外部に現れる。ガイド部の清掃の際、作業者は、ガイド部の上部から水を流すことができるので、水がガイド部の上部から下部に向かって流れ、ガイド部を効率良く清掃することができ、清掃の効率を向上させることができると共に、清掃時間を短縮できる。
【0020】
更に、検出手段が
側方カバー部に固定されるため、作業者は、清掃のためにカバー部をガイド部から取り外すと、同時に検出手段をガイド部から離すことができる。これによって、清掃時に、検出手段に水がかかることが防止され、水による検出手段の故障が防止される。
検出手段をガイド部のスロープ面に対向する面に配置したので、処理物の詰りを確実に検出できる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面に沿って、本発明の実施の形態について説明する。コンバインの一種である汎用型コンバイン1は、
図1及び
図2に示すように、左右一対のクローラ走行装置2に支持された走行機体3と、走行機体3の前方に昇降自在に支持された前処理部5と、を備える。
【0024】
走行機体3の左部には、前処理部5が刈り取った穀稈を脱穀する脱穀部6(
図3参照)と、脱穀部6の下方に配置され、脱穀部6において脱穀された処理物を穀粒と藁屑とに選別する選別部7(
図3参照)と、を有する脱穀選別部9が配置される。脱穀選別部9の前方には、作業者が脱穀選別部9の上にあがるためのはしご10が配置され、脱穀選別部9の後方には、選別部7において選別された藁屑を機外に排出する排藁処理部11が配置される。走行機体3の右部には、前方から順に操縦者が搭乗する運転操作部12と、選別部7において選別された穀粒を貯留するグレンタンク13と、が配置されており、グレンタンク13の後部には、グレンタンク13に貯留された穀粒を機外に排出する排出オーガ15が接続されている。
【0025】
前処理部5は、圃場の穀稈を分草するデバイダ16を前方に有しており、デバイダ16の上方には、複数のタインが取り付けられた掻込リール17が設けられている。掻込リール17の後方には、不図示の刈刃によって刈り取られた穀稈を左方に搬送するプラットホームオーガ19が進行方向と直行する横向きの状態で配設されており、プラットホームオーガ19の後方には、プラットホームオーガ19によって搬送された穀稈を脱穀部6まで搬送する搬送フィーダ20が設けられている。
【0026】
脱穀部6は、
図3に示すように、搬送フィーダ20から搬送されてきた穀稈が投入される扱室21を有し、その扱室21の内部には、前後方向に延びる円筒形状の扱胴22が回転可能に支持される。前後方向に延びる扱胴22の外周面には、前後方向に延びるラセン形状の扱歯23が形成され、扱胴22の前端部には、搬送フィーダ20から搬送されてきた穀稈を扱室21の奥に掻き込むためにラセン形状のラセン羽根25が形成されている。扱胴22の下方には、扱胴22下部の外周面に沿って、正面視にて円弧形状に形成された受網26が取り外し可能に配置される。扱胴22が回転することによって、扱歯23が穀稈から穀粒を扱ぎ落として脱穀する。脱穀された穀粒及び藁屑が混在する処理物は、受網26によって篩にかけられ、荒く選別される。
【0027】
選別部7には、受網26から落ちてきた処理物を更に細かく選別する揺動選別装置27が取り外し可能に配置されている。揺動選別装置27の下方には、前方から順に、揺動選別装置27による選別に用いる選別風を発生させる唐箕ファン29と、左右方向に延びるラセン形状に形成された1番ラセン30と、1番ラセン30と並行に延びる2番ラセン31と、が配置される。揺動選別装置27によって選別された穀粒は、1番ラセン30が底に配置される谷形状の溝に落ち、回転する1番ラセン30によって右方向に搬送される。また、揺動選別装置27によって選別された藁屑は、上述したように、排藁処理部11に搬送される。そして、揺動選別装置27によって選別できなかった処理物は、2番ラセン31が底に配置される谷形状の溝に落ち、回転する2番ラセン31によって右方向に搬送される。また、1番ラセン30及び2番ラセン31の下方には、機外に連通する不図示の開口部と、開口部を覆う着脱自在な蓋部とが設けられている。
【0028】
脱穀選別部9とグレンタンク13との間には、
図4及び
図5に示すように、1番ラセン30から搬送された穀粒を上方に搬送する1番揚穀コンベア32と、1番揚穀コンベア32を覆う1番揚穀コンベアケース33と、が配置される。1番ラセン30によって1番揚穀コンベアケース33の下部に搬送された穀粒は、1番揚穀コンベア32によって1番揚穀コンベアケース33の上部に搬送される。1番揚穀コンベアケース33の上部には、右方に延びるラセン形状の搬送ラセン35が配置されており、1番揚穀コンベアケース33の上部に搬送された穀粒は、回転する搬送ラセン35によって右方のグレンタンク13に投入される。
【0029】
また、脱穀選別部9とグレンタンク13との間には、2番ラセン31から搬送された処理物を扱室21又は選別部7に戻すための還元搬送部36が配置されている。還元搬送部36は、
図4、
図6及び
図7に示すように、1番揚穀コンベアケース33の後方に配置された上方搬送部37と、1番揚穀コンベアケース33と上方搬送部37との間に配置され、上方搬送部37の上部前方に連結される連通部39と、連通部39の下部に連結され、連通部39に連結された箇所から1番揚穀コンベアケース33の左を通って前方に延びる前方搬送部40と、を有する。
【0030】
上方搬送部37は、2番ラセン31から搬送された処理物を上方に搬送する2番揚穀コンベア41と、2番揚穀コンベア41の側方及び下方を覆う2番揚穀コンベアケース42と、を有する。2番揚穀コンベアケース42の下面は、着脱可能に固定されており、2番揚穀コンベアケース42内部の下端は、2番揚穀コンベアケース42の下面が取り外されることによって機外に連通する。2番揚穀コンベアケース42には、2番揚穀コンベア41を上方から目視可能な開口部43が上部に形成されていると共に、2番揚穀コンベアケース42の前面において、上端から下方に向かって切り欠かれて形成された開口部45(
図9(B)参照)が設けられている。2番ラセン31によって2番揚穀コンベアケース42の下部に搬送された穀粒は、2番揚穀コンベア41によって2番揚穀コンベアケース42の上部に搬送され、開口部45から上方搬送部37に連結される連通部39に送り出される。
【0031】
前方搬送部40は、
図4、
図6及び
図7に示すように、連通部39の下方から前方に延びるラセン形状の2番還元ラセン46と、2番還元ラセン46の側方及び下方を覆う2番還元ラセンケース47と、を有する。2番還元ラセンケース47の上部には、
図6及び
図7に示すように、前端から後端にかけて開口した開口部49が形成されている。開口部49の前方一部は、
図5に示すように、長方形形状の上方カバー部(第3の上方カバー部分)50によって覆われており、上方カバー部50は、ノブボルトによって着脱自在に固定されている。
【0032】
2番還元ラセンケース47の底面において、連通部39の下方に位置する箇所には、
図6及び
図7に示すように、機外に連通する開口である排出口(開口部)51が形成されていると共に、排出口51を覆う着脱自在な蓋部52が固定されている。2番還元ラセンケース47の前部には、
図8(A)に示すように、底面及び左側面が切り欠かれて形成された開口部53が設けられており、開口部53は、扱室21の前部に連通する。また、2番還元ラセンケース47において、開口部53よりも後方の位置には、底面及び右側面が切り欠かれて形成された開口部55が設けられており、開口部55は、選別部7に連通する。そして、2番還元ラセンケース47は、正面視において、略L字形状に形成された切替蓋56を有し、切替蓋56は、着脱自在に開口部55の下部を覆って固定される。上方搬送部37の上部から送り出された処理物は、連通部39を通って、2番還元ラセンケース47の後部に投入され、回転する2番還元ラセン46によって前方に搬送される。2番還元ラセンケース47の前部に搬送される処理物は、切替蓋56の上を通過し、開口部53に搬送され、開口部53から扱室21に投入される。また、本実施の形態の汎用型コンバイン1は、還元搬送部36の処理物を再度脱穀せずに選別を行う場合、
図8(B)に示すように、切替蓋56が取り外されることによって、処理物が開口部53に到達する前に開口部55から選別部7に投入されるように構成されている。
【0033】
連通部39は、
図9(A)及び
図9(B)に示すように、2番揚穀コンベアケース42の右側面に面一に当接する平面形状の面部58と、面部58の下端から左下方に延びて2番還元ラセンケース47の右側面に接続されるスロープ面59と、から形成されるガイド部57を有する。面部58の上端は、2番揚穀コンベアケース42の上端と同じ高さに配置され、面部58の下端は、開口部45よりも低い位置に配置され、スロープ面59は、開口部45より下方に配置される。ガイド部57は、1番揚穀コンベアケース33と2番揚穀コンベアケース42との間に配置されており、後端が2番揚穀コンベアケース42の前面に当接し、2番揚穀コンベアケース42及び2番還元ラセンケース47に着脱可能に固定される。ガイド部57は、上部に送られた処理物や液体をスロープ面59によって下方に流す樋の構造になっており、2番揚穀コンベアケース42から送られてきた処理物は、スロープ面59の斜面による樋の作用によって2番還元ラセンケース47に案内される。
【0034】
また、連通部39は、ガイド部57の上方及び側方を覆うカバー部60及びカバー部63を有する。カバー部60は、ガイド部57の上方の一部と開口部43とを覆う上方カバー部(第1の上方カバー部分、第2の上方カバー部分)61と、ガイド部57の前方及び左方と開口部49の一部の上方とを覆う左面65、前面66及び上面67から構成される側方カバー部62と、を有し、カバー部63は、側方カバー部62の後方に配置される。側方カバー部62の左面65は、ガイド部57に対向する位置に配置される面であり、2番還元ラセンケース47の後部左面の上部にノブボルトによって着脱自在に固定され、2番還元ラセンケース47の後部左面の上部から上方に向かって延びる面形状に形成されている。前面66は、左面65の前端から右方に延びる面であり、前面66の右辺がガイド部57の前部に着脱自在に固定される。上面67は、左面65及び前面66の上端に固定され、平面視において、開口部49のうち上方カバー部50によって覆われない残りの部分とガイド部57の上方の一部とを覆う位置に配置されており、開口部49は、平面視において、上面67及び上方カバー部50によって覆われる。左面65が2番還元ラセンケース47に着脱自在に固定され、前面66がガイド部57に着脱自在に固定されているため、側方カバー部62は、ガイド部57に対して開放自在に設けられている。
【0035】
上方カバー部61は、平面視において、ガイド部57の一部を覆う上方カバー前部(第1の上方カバー部分)61Aと開口部43を覆う上方カバー後部(第2の上方カバー部分)61Bとが一体に構成された長方形形状のプレートであり、ガイド部57及び上面67にノブボルトによって着脱自在に固定される。また、カバー部63は、前面66に対向し、左面65及び2番揚穀コンベアケース42の左面に挟まれた位置に配置された面であり、2番揚穀コンベアケース42、2番還元ラセンケース47及び側方カバー部62に対して着脱自在に固定される。したがって、
図7及び
図10に示すように、カバー部63が2番揚穀コンベアケース42及び2番還元ラセンケース47から取り外され、側方カバー部62が2番還元ラセンケース47から取り外され、ガイド部57が2番揚穀コンベアケース42及び2番還元ラセンケース47から取り外されることによって、連通部39は、上方搬送部37及び前方搬送部40から取り外されることが可能である。連通部39が配置されていた空間の下方には、機体の部品が配置されておらず、地面となっている。
【0036】
また、
図6及び
図9(B)に示すように、ガイド部57が2番揚穀コンベアケース42及び2番還元ラセンケース47に固定されたまま、側方カバー部62が2番還元ラセンケース47及びガイド部57から取り外された場合には、ガイド部57の上方の一部及び側方が外部に開放され、上方カバー部61がガイド部57及び側方カバー部62から取り外された場合には、ガイド部57の上方の一部が外部に開放される。
【0037】
側方カバー部62の左面65には、左面65の内側から一定以上の圧力が加わった場合に、その圧力を検出する検出手段であり、その圧力によって還元搬送部36内部が処理物等によって詰まったことを検出する詰りセンサ69が固定されている。
【0038】
本実施の形態は、以上のような構成からなるので、作業者は、はしごをつたって脱穀選別部9の上にのぼり、還元搬送部36の清掃を行うことができる。
【0039】
作業者は、上方搬送部37及び連通部39を清掃する場合、上方カバー部50、上方カバー部61及び側方カバー部62のうち、側方カバー部62を取り外すことで、ガイド部57が外部に現れ、ガイド部57の上部から水を流すことができる。これによって、水がガイド部57の上部から下部に向かって流れ、作業者は、ガイド部57を効率良く清掃することができ、清掃の効率を向上させることができる。また、側方カバー部62が外された箇所から開口部45に向かって水を注ぐことによって、第2揚穀コンベアケース42の内部に水を送り込むことができ、第2揚穀コンベアケース42の内部を清掃することができる。そして、第2揚穀コンベアケース42の内部に供給された水は、第2揚穀コンベアケース42に詰まっていたり、溜まっている処理物と共に開口部45から溢流し、ガイド部57と、ガイド部57を介して2番還元ラセンケース47の内部と、に流出する。これにより、作業者は、上方搬送部37から前方搬送部40まで連続して水を流して上方搬送部37と共にガイド部57及び前方搬送部40をまとめて清掃することができ、清掃の作業性を向上し、清掃時間を短縮することができる。
【0040】
上方搬送部37から前方搬送部40に流れてきた処理物は、開口部53から扱室21に送られる。受網26及び揺動選別装置27は、取り外し可能に配置されており、作業者は、清掃前に受網26及び揺動選別装置27を取り外すことによって、処理物が受網26及び揺動選別装置27にひっかかることなく、処理物を1番ラセン30及び2番ラセン31に流すことができる。1番ラセン30及び2番ラセン31に流された処理物は、1番ラセン30及び2番ラセン31の下方に設けられた開口部から機外に排出される。第2揚穀コンベアケース42の内部、第2還元ラセンケース47の内部及びガイド部57の処理物等が多い場合、作業者は、切替蓋56を取り外して清掃することによって、処理物を開口部55から選別部7に排出し、処理物が開口部55より前方に流される虞を低減することができる。これによって、前方搬送部40において、上方搬送部37及びガイド部57から流されてきた処理物が付着する範囲が縮小され、清掃する範囲が広がる虞が低減される。
【0041】
2番揚穀コンベアケース42の下面が着脱可能に固定されているため、作業者は、第2揚穀コンベアケース42の下面を取り外すことによって、清掃の際に、第2揚穀コンベアケース42の処理物を第2揚穀コンベアケース42の下端から機外に排出することができる。これによって、第2揚穀コンベアケース42の処理物等が選別部7に流れ込むことを防ぐことができる。また、2番還元ラセンケース47の後部の底面には、機外に連通する開口である排出口51が設けられているため、作業者は、排出口51を覆う蓋部52を取り外して清掃を行うことによって、第2揚穀コンベアケース42の内部及びガイド部57の処理物が第2還元ラセンケース47を通って扱室21又は選別部7に流れ込むことを防ぐことができる。そして、作業者は、扱室21及び選別部7もまとめて清掃したいか否かに応じて、清掃水が流れ込む先を切り替えることができるので、清掃の作業性を向上させることができる。
【0042】
作業者は、上方カバー部50、上方カバー部61及び側方カバー部62のうち、上方カバー部61を取り外すことで、開口部43及びガイド部57の上方の一部が外部に現れ、上方カバー部61が取り外された箇所から第2揚穀コンベアケース42の内部及びガイド部57に水を送り込み、清掃することができる。また、側方カバー部62を2番還元ラセンケース47に固定したまま清掃することができるので、側方カバー部62によって水が2番還元ラセンケース47よりも左方に流れて、水が還元搬送部36からあふれる虞を低減する。さらに、水があふれる虞が低減されるため、作業者は、多くの水を還元搬送部36の内部に流すことができ、水による清掃の効率を向上させることができる。
【0043】
作業者は、上方カバー部50、上方カバー部61及び側方カバー部62を取り外すことで、
図9(B)に示すように、開口部43、開口部49及びガイド部57が現れ、第2揚穀コンベアケース42の内部、第2還元ラセンケース47の内部及びガイド部57の処理物等による詰りを目視確認することができる。また、容易に第2揚穀コンベアケース42の内部、第2還元ラセンケース47の内部及びガイド部57の清掃を容易に行うことができ、清掃の作業性を向上させることができる。
【0044】
上述のように、清掃の作業性が向上されるため、清掃前と異なる穀物の脱穀選別が清掃後に行われる際、還元搬送部36の内部に清掃前の穀物の処理物等が残る虞が低減され、選別された穀粒の中に他の穀物の穀粒が含まれる虞が低減される。
【0045】
また、詰りセンサ69が側方カバー部62を有するカバー部60に固定されているので、作業者は、清掃のためにカバー部60をガイド部57から取り外すと、同時に詰りセンサ69をガイド部57から離すことができる。これによって、清掃時に、詰りセンサ69に水がかかることを防ぎ、水による詰りセンサ69の故障を防ぐことができる。
【0046】
さらに、作業者は、上方搬送部37を清掃する場合、
図10に示すように、連通部39を取り外すことで、開口部45が外部に現れ、開口部45から水を注ぐことによって、第2揚穀コンベアケース42の内部を清掃することができる。
【0047】
清掃の際に第2揚穀コンベアケース42の処理物は、第2揚穀コンベアケース42の上部から清掃水と共に溢流し、第2揚穀コンベアケース42と第2還元ラセンケース47と1番揚穀コンベアケース33とに囲まれた空間に送り出され、地面に排出される。例えば、第2還元ラセンケース47が汚れておらず、第2揚穀コンベアケース42のみ清掃したい場合、作業者は、連通部39が第2揚穀コンベアケース42及び第2還元ラセンケース47に接続された状態で清掃を行ってしまうと、第2揚穀コンベアケース42の処理物を第2還元ラセンケース47に流してしまい、第2還元ラセンケース47も清掃する必要を生じさせてしまう虞がある。しかし、連通部39が取り外されることによって、第2揚穀コンベアケース42の内部の清掃時に、第2揚穀コンベアケース42の処理物が第2還元ラセンケース47に流れ込みの防止が図られ、第2還元ラセンケース47が第2揚穀コンベアケース42の清掃によって汚れる虞が低減されるため、清掃の作業性が向上される。これによって、清掃前と異なる穀物の脱穀選別が清掃後に行われる際、還元搬送部36の内部に清掃前の穀物の処理物等が清掃後に残る虞が低減され、選別された穀粒の中に他の穀物の穀粒が含まれる虞が低減される。
【0048】
作業者は、清掃のために連通部39を第2揚穀コンベアケース42及び第2還元ラセンケース47から取り外すと、同時に詰りセンサ69を第2揚穀コンベアケース42及び第2還元ラセンケース47から離すことができる。これによって、第2揚穀コンベアケース42及び第2還元ラセンケース47の清掃時に、詰りセンサ69に水がかかることを防ぎ、水による詰りセンサ69の故障を防ぐことができる。
【0049】
上述のように、作業者は、ガイド部57を残した状態で、カバー部60を取り外すことによって上方搬送部37、ガイド部57及び前方搬送部40をまとめて清掃することが可能であり、ガイド部57を含めた連通部39を取り外すことによって上方搬送部37の処理物が前方搬送部40に送られることを防ぎ、上方搬送部37のみを清掃することができる。したがって、作業者は、還元搬送部36のうち取り外す箇所を変えることによって、上方搬送部37及びガイド部57をまとめて清掃することができると共に、上方搬送部37のみを清掃することができ、清掃したい箇所に応じた清掃を行うことができ、清掃の作業性を向上させることができる。
【0050】
また、作業者は、上方カバー部50、上方カバー部61、側方カバー部62を取り外すことによって、第2揚穀コンベアケース42の内部、第2還元ラセンケース47の内部及びガイド部57の風圧による清掃も行いやすくなり、清掃の作業性を向上させることができる。
【0051】
なお、本実施の形態において、上方カバー部61及び側方カバー部62は、取り外し可能に構成されているが、これに限らず、ヒンジによってガイド部57を開閉自在に覆うように構成されていてもよい。
【0052】
また、本実施の形態において、連通部39は、左面65、前面66及び上面67から構成される側方カバー部62が開放自在にガイド部57の側方の一部を覆うように構成されているが、これに限らず、
図11(A)に示すように、上面67がカバー部63に固定され、左面65及び前面66から構成される側方カバー部62Aが開放自在にガイド部57の一部を覆うように構成されていてもよい。作業者は、側方カバー部62Aを取り外すことによって、ガイド部57の左前方から水をガイド部57に水をかけることができる。これによって、作業者は、清掃作業を行うための位置に移動する距離が短くなり、清掃を行いやすくなる。
【0053】
また、
図11(B)に示すように、連通部39は、左面65及び前面66が2番還元ラセンケース47に固定され、上方カバー部61とは別に上面67から構成される上方カバー部61Cが開放自在にガイド部57の上方の一部を覆うように構成されていてもよい。作業者は、上方カバー部61Cを取り外すことによって、清掃の際、水がガイド部57の側方からあふれる虞を低減する。
【0054】
また、
図12に示すように、連通部39は、前面66が2番還元ラセンケース47に固定され、左面65及び上面67から構成される側方カバー部62Bが開放自在にガイド部57の側方の一部を覆うように構成されていてもよい。作業者は、側方カバー部62Bを取り外すことによって、ガイド部57に対して垂直に水を当てることができる。これによって、ガイド部57にあてる水が分散されにくく、ガイド部57に付着した処理物が水によってガイド部57からはがれて流れやすくなり、清掃の作業性が向上される。上述のように、側方カバー部62,62A,62Bは、ガイド部57の側方の少なくとも一部を覆うように構成され、上方カバー部61,61Cは、ガイド部57の上方の少なくとも一部を覆うように構成されている。加えて、連通部39が2番揚穀コンベアケース42の後方に配置される場合に、連通部39は、ガイド部57の後方を開放自在に覆うカバー部を有するように構成されていてもよい。
【0055】
また、還元搬送部36は、ガイド部57と、上方カバー部61と、が取り外し可能に構成されていてもよい。作業者は、上方搬送部37を清掃する際にガイド部57及び上方カバー部61を取り外すことによって、上方搬送部37の上方から水を注ぐことができると共に、上方搬送部37の上部から清掃水と共に溢流する処理物を地面に排出することができる。これによって、作業者は、連通部39自体を外すことなく、上方搬送部37のみを清掃することできる。
【0056】
また、カバー部60は、上方カバー前部61Aと上方カバー後部61Bとが一体に構成された上方カバー部61を有するように構成されているが、これに限らず、上方カバー前部61Aと上方カバー後部61Bとがそれぞれ別々に構成されてもよい。
【0057】
また、本実施の形態は、汎用型コンバインについて説明したが、自脱型コンバインにも適用可能である。