(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記判定部で前記検出面に近接する物体が掌であると判定された場合に、掌であると判定された物体の前記検出面への入力操作を無効とする制御部を有する請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の静電入力装置。
複数の電極を有し、検出面に物体が近接した際に前記複数の電極と前記物体との間に生じる静電容量に応じて入力操作を受付ける静電入力装置が実行する静電入力装置用プログラムであって、
前記静電容量に対応した変量を検出する工程と、
検出される変量に基づいて、前記検出面に近接する物体が指先であるか掌であるかを判定する工程とをコンピュータに実行させ、
前記判定する工程では、
前記検出面の周端部において前記検出面の端部に沿って並列する電極のうち、前記静電容量に対応した変量が閾値を越える電極が互いに隣り合って存在する長さが所定の幅を超えるという第1の条件と、
前記検出面の全面において、前記静電容量に対応した変量が閾値を越える電極の存在する領域の面積又は長さが所定の面積又は長さに対応する条件を超えるという第2の条件と
を用いて、前記検出面に近接する物体が指先であるか掌であるかを判定する
静電入力装置用プログラム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以上のように、従来から掌による誤操作を効果的に防止できるとともに、指先による正規の操作を円滑に行なうことができるタッチパッドが求められている。しかしながら、従来の技術では、操作体の位置が周辺領域であるか中央領域であるかを判断するのに、接触領域の重心を使用しているために、掌の様な大きな操作体が周辺部近傍を含めて接触した場合に、重心位置が周辺領域外となってしまう場合があり、正しく判定条件が適用されず、周辺領域での掌判定が正しく行われない場合がある。また、掌であると判定する領域を広くすると周辺領域での指先による正規の操作を掌であると誤判定する虞が高くなる。
【0006】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、掌による誤操作を効果的に防止できるとともに、指先による正規の操作を円滑に行なうことができる静電入力装置及び静電入力装置用プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る静電入力装置は、複数の電極を有し、検出面に物体が近接した際に前記複数の電極と前記物体との間に生じる静電容量に応じて入力操作を受付ける静電入力装置であって、前記静電容量に対応した変量を検出する変量検出部と、前記変量検出部で検出される変量に基づいて、前記検出面に近接する物体が指先であるか掌であるかを判定する判定部とを有し、前記判定部は、前記検出面の周端部において前記検出面の端部に沿って並列する電極のうち、前記静電容量に対応した変量が閾値を越える電極が互いに隣り合って存在する長さが所定の幅を超えるという第1の条件を満たした場合に、前記検出面に近接する物体が掌であると判定する。
【0008】
通常、指先でのタッチパッドの操作は、検出面の中央部で行われることが多く、検出面の端部を横切る際の幅は小さい傾向にある。意図しない操作、例えば、掌の場合、検出面の端部に配置されることが多く、検出面に近接若しくは接触している場合は、検出面の端部を横切る幅が大きくなる。
【0009】
このため、前記検出面の周端部において前記検出面の端部に沿って並列する電極のうち、前記静電容量に対応した変量が閾値を越える電極が互いに隣り合って存在する長さが所定の幅を超えるという第1の条件を満たした場合に、検出面に近接する物体が掌であると判定することで、精度よく掌か指先かを判定することができる。この結果、掌による誤操作を効果的に防止できるとともに、指先による正規の操作を円滑に行なうことができる。またセンサ端部領域の目に見えない仮想領域に指や掌があるか否かではなく、センサ端に指や掌があるかを判定基準にしているため、指・掌判定の誤検出をより効果的に防止できる。
【0010】
また、本発明の前記判定部は、前記第1の条件と、
前記検出面の全面において、前記静電容量に対応した変量が閾値を越える電極の存在する領域の面積又は長さが所定の面積又は長さに対応する条件を超えるという第2の条件との
何れか一方の条件、または双方の条件が満される場合に、前記検出面に近接する物体が掌であると判定する。
この構成によれば、上記第2の条件をさらに満たす場合に、前記検出面に近接する物体が掌であると判定することで、より高精度な判定を行うことができる。
【0011】
本発明に係る静電入力装置は、複数の電極を有し、検出面に物体が近接した際に前記複数の電極と前記物体との間に生じる静電容量に応じて入力操作を受付ける静電入力装置であって、前記静電容量に対応した変量を検出する変量検出部と、前記変量検出部で検出される変量に基づいて、前記検出面に近接する物体が指先であるか掌であるかを判定する判定部とを有し、前記判定部は、前記検出面の周端部において前記検出面の端部に沿って並列する電極のうち、前記静電容量に対応した変量が閾値を越える電極が互いに隣り合って存在する長さが所定の幅を超えるという第1の条件と、前記検出面の全面において、前記静電容量に対応した変量が閾値を越える電極の存在する領域の面積又は長さが所定の面積又は長さに対応する条件を超えるという第2の条件との何れか一方の条件、または双方の条件が満される場合に、前記検出面に近接する物体が掌であると判定し、前記検出面に近接する物体が掌であると判定した場合、次回からの判定において前記第2の条件を変更する。この構成によれば、掌による誤操作を効果的に防止できるとともに、指先による正規の操作を円滑に行なうことができる。
【0012】
本発明に係る静電入力装置は、複数の電極を有し、検出面に物体が近接した際に前記複数の電極と前記物体との間に生じる静電容量に応じて入力操作を受付ける静電入力装置であって、前記静電容量に対応した変量を検出する変量検出部と、前記変量検出部で検出される変量に基づいて、前記検出面に近接する物体が指先であるか掌であるかを判定する判定部とを有し、前記判定部は、前記検出面の周端部において前記検出面の端部に沿って並列する電極のうち、前記静電容量に対応した変量が閾値を越える電極が互いに隣り合って存在する長さが所定の幅を超えるという第1の条件と、前記検出面の全面において、前記静電容量に対応した変量が閾値を越える電極の存在する領域の面積又は長さが所定の面積又は長さに対応する条件を超えるという第2の条件との何れか一方の条件、または双方の条件が満される場合に、前記検出面に近接する物体が掌であると判定し、前記検出面に近接する物体が掌であると判定した場合、次回からの判定において前記所定の面積を変更する。この構成によれば、掌による誤操作を効果的に防止できるとともに、指先による正規の操作を円滑に行なうことができる。
【0013】
本発明に係る静電入力装置は、複数の電極を有し、検出面に物体が近接した際に前記複数の電極と前記物体との間に生じる静電容量に応じて入力操作を受付ける静電入力装置であって、前記静電容量に対応した変量を検出する変量検出部と、前記変量検出部で検出される変量に基づいて、前記検出面に近接する物体が指先であるか掌であるかを判定する判定部とを有し、前記判定部は、前記検出面の周端部において前記検出面の端部に沿って並列する電極のうち、前記静電容量に対応した変量が閾値を越える電極が互いに隣り合って存在する長さが所定の幅を超えるという第1の条件満たした場合に、前記検出面に近接する物体が掌であると判定し、前記検出面に近接する物体が掌であると判定した場合、次回からの判定において前記所定の幅を変更する。
【0014】
上述したように、安定のために掌をタッチパッド周辺に載置して動かさずに指先だけを
動かして入力操作をすることが通常である。つまり、一旦載置した掌は、通常移動させずに入力操作を行うことが多いが、掌の接触量が不十分、またはセンサ端で指を検出する電極数が不安定な場合、同掌を指と誤検出する事象が生じやすい。上記の構成では、検出面に近接する物体が掌であると判定した場合、次回からの判定において所定の幅を変更し、例えば低くすることで、掌であると判定されやすくする。このため、掌による誤操作を効果的に防止できるとともに、指先による正規の操作を円滑に行なうことができる。
【0015】
本発明に係る静電入力装置は、複数の電極を有し、検出面に物体が近接した際に前記複数の電極と前記物体との間に生じる静電容量に応じて入力操作を受付ける静電入力装置であって、前記静電容量に対応した変量を検出する変量検出部と、前記変量検出部で検出される変量に基づいて、前記検出面に近接する物体が指先であるか掌であるかを判定する判定部とを有し、前記判定部は、前記検出面の周端部において前記検出面の端部に沿って並列する電極のうち、前記静電容量に対応した変量が閾値を越える電極が互いに隣り合って存在する長さが所定の幅を超えるという第1の条件満たした場合に、前記検出面に近接する物体が掌であると判定し、前記検出面に近接する物体が所定量以上移動した場合、指先であると判定する。
【0016】
タッチパッドを操作する際は、安定のために掌をタッチパッド周辺に載置して動かさずに指先だけを動かして入力操作をすることが通常である。つまり、検出面の端部を横切る幅が大きい場合等でも、検出面に近接する物体が所定量以上移動した場合、指先である可能性が非常に高い。上記の構成では、判定部は、検出面に近接する物体が所定量以上移動した場合、指先であると判定するため、精度よく掌か指先かを判定することができる。この結果、掌による誤操作を効果的に防止できるとともに、指先による正規の操作を円滑に行なうことができる。
【0017】
好適には、本発明は、前記判定部で前記検出面に近接する物体が掌であると判定された場合に、掌であると判定された物体の前記検出面への入力操作を無効とする制御部を有する。
【0018】
上記構成によれば、検出面に近接する物体が掌であると判定された場合に、その物体の入力操作を無効とする制御部を有するので、検出面に近接する物体が掌であると判定された場合に掌による入力操作の受付けが無効とされ、掌による誤操作を効果的に防止できるとともに、指先による正規の操作を円滑に行なうことができる。
【0019】
好適には、本発明の前記判定部は、前記静電容量に対応した変量が閾値を越える電極が互いに隣り合って存在する領域が、角部を挟んで隣り合って複数存在する場合、前記角部を挟んで隣り合って存在する領域の静電容量に対応した変量の合計値を算出して、前記検出面に近接する物体が掌であるかを判定する。
【0020】
掌が検出面の上端及び左端や上端及び右端等にまたがって載置されている場合、上端及び左端でそれぞれ検出面の端部を横切る幅が小さいと、掌であることを検出できない虞がある。しかし、上記構成によれば、静電容量に対応した変量が閾値を越える電極が角部を挟んで隣り合って存在する場合、角部を挟んで隣り合って存在する領域の合計値を算出して、検出面に近接する物体が掌であるかを判定する。このため、掌が検出面の上端及び左端や上端及び右端等に角部を挟んでまたがって載置されている場合でも、掌であることを精度よく判定することができる。この結果、掌による誤操作を効果的に防止できるとともに、指先による正規の操作を円滑に行なうことができる。
【0021】
本発明に係る静電入力装置用プログラムは、複数の電極を有し、検出面に物体が近接した際に前記複数の電極と前記物体との間に生じる静電容量に応じて入力操作を受付ける静電入力装置が実行する静電入力装置用プログラムであって、前記静電容量に対応した変量を検出する工程と、検出される変量に基づいて、前記検出面に近接する物体が指先であるか掌であるかを判定する工程とをコンピュータに実行させ、
前記判定する工程では、前記検出面の周端部において前記検出面の端部に沿って並列する電極のうち、前記静電容量に対応した変量が閾値を越える電極が互いに隣り合って存在する長さが所定の幅を超えるという第1の条件
と、前記検出面の全面において、前記静電容量に対応した変量が閾値を越える電極の存在する領域の面積又は長さが所定の面積又は長さに対応する条件を超えるという第2の条件との何れか一方の条件、または双方の条件が満される場合に、前記検出面に近接する物体が掌であると判定する。
【0022】
上記の構成によれば、静電容量に対応した変量を検出する工程と、検出される変量に基づいて、検出面に近接する物体が指先であるか掌であるかを判定する工程とをコンピュータに実行させ、前記検出面の周端部において前記検出面の端部に沿って並列する電極のうち、前記静電容量に対応した変量が閾値を越える電極が互いに隣り合って存在する長さが所定の幅を超えるという第1の条件を満たした場合に、前記検出面に近接する物体が掌であると判定する。通常、指先でのタッチパッドの操作は、検出面の中央部で行われることが多い。また、検出面の端部を横切る幅は小さい傾向にある。
【0023】
意図しない操作の場合、例えば、掌が検出面に近接若しくは接触している場合は、近接または接触している部分が検出面の端部を横切る幅が大きくなる。このため、検出面の周端部において検出面の端部に沿って並列する電極のうち、静電容量に対応した変量が閾値を越える電極が互いに隣り合って存在する長さが所定の幅を超える場合に、検出面に近接する物体が掌であると判定することで、精度よく掌か指先かを判定することができる。この結果、掌による誤操作を効果的に防止できるとともに、指先による正規の操作を円滑に行なうことができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明の静電入力装置及び静電入力装置用プログラムによれば、掌による誤操作を効果的に防止できるとともに、指先による正規の操作を円滑に行なうことができる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
(実施形態)
図1は、本発明の実施形態に係る静電入力装置2をノートPC1に搭載した図である。
図2は、実施形態に係る静電入力装置2のシステム構成図である。
図3は、静電入力装置2に指や掌が接触又は近接した状態を示す図である。
図4及び
図5は、本発明の実施形態に係る静電入力装置の動作を説明するフローチャートである。
以下、
図1〜
図3を参照して、実施形態に係る静電入力装置2の構成について説明する。
【0027】
静電入力装置2は、例えばタッチパッドであり、
図1に示すようにノートPC1に搭載される。静電入力装置2の最上面には操作板が設けられ、操作板の表面がユーザによる操作を検出する検出面3となっている。
【0028】
図2に示すように、静電入力装置2は基板4に敷設された複数のX電極5および複数のY電極6を備えており、これらの電極は配線7を介して制御手段8に接続されている。制御手段8は、X電極5とY電極6のどちらか一方を駆動電極として電圧を印加し、他方を検出電極として電圧を検出し、基板4に指や掌等が接触又は近接(以下、接触等)した場合の静電容量に対応した変量を検出して掌の接触等を検出する。
なお本実施例のX電極5およびY電極6は、静電容量値に変換される電圧を出力する検出手段であるが、これに限らず、例えば指の圧力等の他の変量を検出し出力する方式であってもよい。
【0029】
図2に示すように、制御手段8は、変量検出部81、二値化部82、指認識部83、位置算出部84、面積算出部85、判定部86及び制御部87を有する。なお、
図2に示す制御手段8は、実施形態に係る静電入力装置1が備えるメモリ素子やCPU等により実現される機能構成図である。なお、
図2では、駆動電極に電圧を印加する駆動部の図示を省略している。
【0030】
制御手段8は、例えば、マイコン等であり、静電入力装置用プログラム101を実行することで、
図2に示す変量検出部81、二値化部82、指認識部83、位置算出部84、面積算出部85、判定部86及び制御部87の少なくとも一部の機能を実現する。
【0031】
なお、
図2に示す実施形態に係る静電入力装置2が有する機能は、ハードウェアにより実現されてもよいし、静電入力装置用プログラムをCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサで実行することにより実現されてもよい。静電入力装置用プログラムが、本発明の静電入力装置用プログラムに対応した実施形態である。
【0032】
変量検出部81は、X電極5及びY電極6の静電容量に対応した変量を検出し、マトリクスデータを作成する。具体的には、変量検出部81は、駆動電極の駆動状況および検出電極により検出された電圧に基づき区切られた領域ごとに静電容量値を算出して静電容量マトリクスデータを作成する。
【0033】
二値化部82は、領域ごとに算出された静電容量値を所定の閾値と比較して二値化する。二値化部82は、算出した静電容量値を所定の閾値と比較して所定の閾値を越えていれば「1」、超えていなければ「0」とする。
【0034】
指認識部83は、指認識処理を行なう。具体的には、指認識部83は、二値化データが1である部分が連続して存在している接触領域を認識する。
【0035】
位置算出部84は、指認識部83で認識した接触領域の位置算出を行なう。具体的には、位置算出部84は、指等の操作体の接触を示す接触領域の重心等を算出する。算出された位置は、画面上に表示されるポインタの移動制御等に用いられる。
【0036】
面積算出部85は、指認識部83で認識した接触領域の面積算出を行う。
【0037】
判定部86は、検出面3全体について接触等する物体が掌であるかを判定する(AP判定)ともに、検出面3の端部についても接触等する物体が掌であるかを判定する(EP判定)。
具体的には、判定部86は、変量検出部81で検出される変量に基づいて、検出面3に接触等する物体が指先であるか掌であるかを判定する。例えば、EP判定を行う場合、判定部86は、検出面3の周端部3A〜3Dにおいて検出面3の端部に沿って並列する電極のうち、静電容量に対応した変量が閾値を越える電極が互いに隣り合って存在する長さが所定の幅(閾値)を超える場合、検出面3に接触等する物体が掌であると判定する。
【0038】
また、判定部86は、面積算出部85で算出された面積に基づいて、検出面3に接触等する物体が掌であるかを判定する。具体的には、判定部86は、面積算出部85で算出された面積に対応する空間特性が所定の面積に対応する条件(例えば、2cm
2)を超える場合、検出面3に接触等する物体が掌であると判定する。
さらに、判定部86は、位置算出部84で算出した位置情報に基づき最初のタッチ位置から接触領域が移動したか否かを判定し、所定量以上の移動を検出した場合、検出面3に接触する物体が掌でないと判定する。なお、判定部86の詳細動作ついては、
図4及び
図5を参照して後述する。
【0039】
制御部87は、判定部86での判定結果(検出面3に接触等する物体が掌であるか指先であるか)に基づいて、判定部86における判定部86のAP判定(検出面3全体での面積等による掌判定)及びEP判定(検出面3端部での幅等による掌判定)の動作(フラグ)のOn、Offを制御する。なお、制御部87の詳細動作ついては、
図4及び
図5を参照して後述する。
【0040】
なお、上記説明では、判定部86は、面積算出部85で算出された面積に基づいて検出面3に接触等する物体が掌であるかを判定しているが、判定部86が指認識部83で認識した接触領域の長さに基づいて検出面3に接触等する物体が掌であるかを判定するように構成してもよい。
さらに、判定部86が、面積算出部85で算出された面積及び指認識部83で認識した接触領域の長さの両方に基づいて検出面3に接触等する物体が掌であるかを判定するように構成してもよい。
【0041】
図3は、第1実施形態において検出面3に掌が接触等した状態を示す図である。また、
図3中の円Pは、掌が接触等していることを示しており、円Fは、指が接触等していることを示している。
【0042】
通常、指先での静電入力装置2(タッチパッド)の操作は、検出面3の中央部で行われることが多い。また、検出面3の周端部3A〜3Dを横切る幅(円F内の破線部)は小さい傾向がある。意図しない操作の場合、例えば、掌が検出面3に接触等している場合は、検出面3の周端部3A〜3Dを横切る幅(円P内の破線部)は大きくなる。
このため、本実施形態では、検出面3の周端部3A〜3Dにおいて検出面3の端部に沿って並列する電極のうち、静電容量に対応した変量が閾値を越える電極が互いに隣り合って存在する長さが所定の幅を超え、かつ前記静電容量に対応した変量が閾値を越える電極の存在する領域の面積又は長さが所定の面積又は長さに対応する条件を超える検出面3に近接する物体は掌であると判定している。
【0043】
これにより、精度よく掌か指先かを判定することができる。この結果、掌による誤操作を効果的に防止できるとともに、指先による正規の操作を円滑に行なうことができるという作用効果を奏する。なお、並列する電極は1列でなくても良く、一番外側の列でなくても良い(例えば外から2列目であっても良い)。また、判定対象とする周端部は、3A〜3Dはすべてでも良く、また掌の接触が多い周端部を適宜選択しても良い。
【0044】
図4及び
図5は、実施形態に係る静電入力装置2の動作を説明するフローチャートである。以下、
図1〜
図5を参照して実施形態に係る静電入力装置2の動作を説明する。なお、
図4及び
図5に示すフローは、静電出力を読み込んで、マトリクスデータを作成するたびに行われる。なお
図4及び
図5に示すフローは、検出とは非同期に行う座標出力処理で行っても良い。
【0045】
初めに、変量検出部81は、静電容量マトリクスデータを作成する(S101)。変量検出部81は、駆動電極の駆動状況および検出電極により検出された電圧に基づき、区切られた領域ごとに静電容量値を算出してマトリクスデータを作成する。
【0046】
次に、二値化部82は、所定の閾値を判断基準として変量検出部で作成されたマトリックスデータを二値化し、指認識部83は、指認識処理を行なう(S102)。指認識部83は、二値化データが1である部分が連続して存在している接触領域を認識する処理であり、その接触領域を指等の操作体として認識する。
【0047】
次に、位置算出部84は、指認識部83で認識した接触領域毎の位置算出を行なう(S103)。具体的には、位置算出部84は、指等の操作体の接触を示す接触領域の重心等を算出する。算出された位置は、画面上に表示されるポインタの移動制御等に用いられる。
また、面積算出部805は、指認識部83で認識した接触領域毎の面積を算出する(S103)。なお、位置算出と面積算出は、どちらを先に行っても良い。
【0048】
以降のフローは、認識された接触領域毎に行われる判定処理である。
判定部86は、検出面3に指によるタッチ操作が行われたかを判定する(S104)。指によるタッチ操作が行われていない場合(S104のNo)、制御部87は、AP判定及びEP判定のフラグをOffにする(S105)。
次に、制御部87は、前回(前のサイクルで)タッチ操作が行われていた場合、指のリリースデータ(指が検出面3から離れた旨のデータ)を通知する(S106)。
【0049】
また、指によるタッチ操作が行われた場合(S104のYes)、判定部87は、EP判定のフラグがOnであるかを確認する(S107)。EP判定のフラグがOnでない場合(S107のNo)、判定部87は、初めてのタッチ操作(1stタッチ)であるかを判定する(S108)。
なお、1stタッチであるかの判定は、今回のタッチ位置から所定距離内に前回タッチ座標がない場合に1stタッチであると判定する。
【0050】
初めてのタッチ操作(1stタッチ)の場合(S108のYes)、判定部86は、検出面3の上端をX方向(横方向)に所定量C1(C1は、任意の値)以上触れているか、検出面3の左右端をY方向(縦方向)に所定量C1(C1は、任意の値)以上触れているかを判定する(S109)。
なお、このとき所定量C1の値をX方向とY方向で変えても良い。また領域をセンサ上下左右端にて記載しているが、センサ端領域をさらに分解して定義し、個別に所定量Cを定義しても良い。
【0051】
検出面3の上端をX方向(横方向)に所定量C1以上触れているか、または検出面3の左右端をY方向(縦方向)に所定量C1以上触れている場合(S109のYes)、判定部86は、センサ端の判定条件(例:面積>2cm
2)を満たすかを判定する(S110)。判定条件を満たす場合(S110のYes)、制御部87は、接触領域が掌であると判定し、EP判定のフラグをOnとする(S111)。ここで面積を判定基準としたが、面積だけでなくタッチ面積の幅、または他の掌判定条件を変更しても良い。また接触領域それぞれに対し異なる掌判定条件を適用しても良い。
【0052】
次に、判定部87は、検出面3全面での掌判定を行い、制御部87は、掌判定の条件を満たせば、AP判定のフラグをOnとし、満たさない場合は、AP判定のフラグをOffとする(S117)。
【0053】
次に、判定部86は、AP判定のフラグ又はEP判定のフラグの何れか、または双方がOnであれば、S104の操作指Aは掌であると判定する。また、判定部87は、AP判定のフラグ及びEP判定のフラグの双方がOffであれば指であると判定する(S118)。
次に、制御部87は、タッチ位置の座標データを、判定部876の判定結果(指であるか掌であるか)とともに次の処理工程、例えばPC(不図示)へと通知する(S119)。なお、掌判定である場合、PC側ドライバの処理工程において、入力を一定時間(例えば、0.5sec)無効とする処理等を行うようにしてもよい。
【0054】
また、S109において、検出面3の上端をX方向(横方向)に所定量C1以上触れておらず、かつ検出面3の左右端をY方向(縦方向)に所定量C1以上触れていない場合(S109のNo)はEP判定のフラグをOnせず、S117の動作へと移行する。この場合、S105でAP判定フラグ、EP判定フラグは共にOffであるため、操作指は指であると判定される。
【0055】
また、初めてのタッチ操作(1stタッチ)でない場合(S108のNo)、判定部88は、1stタッチの位置から所定量(任意の値)以上動いたかを判定する(S112)。なお、移動の有無の判定は、検出されるタッチ位置から判別することができる。所定量以上動いている場合(S112のYes)、制御部87は、EP判定のフラグをOffとし(S113)、S117の動作へ移行する。
また、所定量以上動いていない場合(S112のNo)、S109の動作へと移行する。即ち、1stタッチから所定距離以上動いていない操作指についてのみEP判定を行う。
【0056】
S107において、EP判定のフラグがOnである場合(S107のYes)、判定部86は、検出面3の上端をX方向(横方向)に所定量C2以上触れているか、検出面3の左右端をY方向(縦方向)に所定量C2以上触れているかを判定する(S114)。このとき、所定量C2はX方向とY方向で変えても良い。
【0057】
検出面3の上端をX方向(横方向)に所定量C2以上触れているか、または検出面3の左右端をY方向(縦方向)に所定量C2以上触れている場合(S114のYes)、判定部86は、センサ端の判定条件(距離又は面積が所定値以上)を満たすかを判定する(S115)。
【0058】
センサ端の判定条件を満たす場合(S115のYes)、制御部87は、EP判定のフラグをOnとする(S116)。その後は、S117の動作に移行する。また、S114、S115でNoの場合は、S113への動作へ移行し、EP判定のフラグはOffとする。即ち、センサ端から指が離れたとき、またはセンサ端にある指がセンサ端での掌判定解除条件を満たすとき、指と判定する。
【0059】
なお、図示はしていないが、S107においてEP判定のフラグがOnとなっている場合(S107のYes)に、判定部86がボタンスイッチ操作の有無を確認し、ボタンスイッチ操作が有りの時はEP判定のフラグをOffと判定する(S113へ移行する)ように構成しても良い。
ここで、ボタンスイッチとは静電入力装置2に付随して使用されるボタンスイッチであり、静電入力装置2に隣接して配置されるか、あるいは静電入力装置2の下部に配設されて使用者が指で検出面3を押し下げることにより操作されるボタンスイッチある。ボタンスイッチ操作の出力は、制御手段8でも取得できるように構成される。
ボタンスイッチは、例えば静電入力装置でPC画面上のポインタを所定の位置まで移動させ、その位置でボタンスイッチを押し下げることにより操作決定やメニューを表示させる等のように、静電入力装置と連動しながら使用される。このようなボタンスイッチ操作が行われた場合、指で検出面3を押し下げるために、通常の指での入力操作に比べ、接触面積が大きくなったりする場合がある。このような時に掌と誤判別されることを防ぐために、上記の様な構成にしても良い。
【0060】
以上のように、本実施形態に係る静電入力装置2は、複数の電極を有し、検出面に物体が近接した際に複数の電極と物体との間に生じる静電容量に応じて入力操作を受付ける静電入力装置2であって、静電容量に対応した変量を検出する変量検出部81と、変量検出部で検出される変量に基づいて、検出面3に近接する物体が指先であるか掌であるかを判定する判定部86とを有し、判定部86は、検出面3の周端部3A〜3Dにおいて検出面3の端部に沿って並列する電極のうち、静電容量に対応した変量が閾値を越える電極が互いに隣り合って存在する長さが所定の幅(閾値)を超え、かつ前記静電容量に対応した変量が閾値を越える電極の存在する領域の面積又は長さが所定の面積又は長さに対応する条件を超える場合、検出面3に近接する物体は掌であると判定する。
【0061】
通常、指先でのタッチパッドの操作は、検出面の中央部で行われることが多い。また、検出面の端部を横切る際の幅は小さい傾向にある。意図しない操作の場合、例えば、掌が検出面に近接若しくは接触している場合は、検出面の端部を横切る際の幅が大きくなる。このため、検出面の周端部において検出面の端部に沿って並列する電極のうち、静電容量に対応した変量が閾値を越える電極が互いに隣り合って存在する長さが所定の幅を超え、かつ前記静電容量に対応した変量が閾値を越える電極の存在する領域の面積又は長さが所定の面積又は長さに対応する条件を超える場合、検出面に近接する物体が掌であると判定することで、精度よく掌か指先かを判定することができる。この結果、掌による誤操作を効果的に防止できるとともに、指先による正規の操作を円滑に行なうことができる。またセンサ端部領域の目に見えない仮想領域に指や掌があるか否かではなく、センサ端に指や掌があるかを判定基準にしているため、指・掌判定の誤検出をより効果的に防止できる。
【0062】
また、本実施形態に係る静電入力装置2の判定部86は、検出面3に近接する物体が所定量以上移動した場合、指先であると判定する。
【0063】
タッチパッドを操作する際は、安定のために掌をタッチパッド周辺に載置して動かさずに指先だけを動かして入力操作をすることが通常である。つまり、検出面の端部を横切る幅が大きい場合等でも、検出面3に近接する物体が所定量以上移動した場合、指先である可能性が非常に高い。上記の構成では、判定部86は、検出面3に近接する物体が所定量以上移動した場合、指先であると判定するため、精度よく掌か指先かを判定することができる。この結果、掌による誤操作を効果的に防止できるとともに、指先による正規の操作を円滑に行なうことができる。
【0064】
また、本実施形態に係る静電入力装置2の判定部86は、検出面3に近接する物体が掌であると判定した場合、次回からの判定において所定の幅及び閾値の少なくとも一方を変更してもよい。
【0065】
上述したように、安定のために掌をタッチパッド周辺に載置して動かさずに指先だけを動かして入力操作をすることが通常である。つまり、一旦載置した掌は、通常移動させずに入力操作を行うことが多く誤検出が生じやすい。上記の構成では、検出面3に近接する物体が掌であると判定した場合、次回からの判定において所定の幅及び閾値の少なくとも一方を変更し、例えば低くすることで、掌であると判定されやすくなる。このため、掌による誤操作を効果的に防止できるとともに、指先による正規の操作を円滑に行なうことができる。
【0066】
また、本実施形態に係る静電入力装置2の制御部87は、判定部86で検出面3に近接する物体が掌であると判定された場合に、掌であると判定された物体の検出面3への入力操作を無効とする。
【0067】
つまり、本実施形態では、検出面3に近接する物体が掌であると判定された場合に、同操作体の検出面3への入力操作の受付けを一定時間禁止するため、検出面3に近接する物体が掌であると判定された場合に掌による入力操作の受付けが無効とされ、掌による誤操作を効果的に防止できるとともに、指先による正規の操作を円滑に行なうことができる。なお、入力操作の無効領域は、検出面3全体だけでなく、例えば、掌と判定された検出面3の端部領域の近傍等、特定領域に限定してもよい。
【0068】
(その他の実施形態)
なお、本発明は上述した実施形態には限定されない。すなわち、当業者は、本発明の技術的範囲またはその均等の範囲内において、上述した実施形態の構成要素に関し、様々な変更、コンビネーション、サブコンビネーション、並びに代替を行ってもよい。
【0069】
判定部86また、判定部86で検出面3に近接する物体が掌であると判定された場合に、掌であると判定された物体の検出面への入力操作を一定時間(例えば、0.5sec)無効とするように構成してもよい。
【0070】
さらに、上記実施形態において、判定部86は、静電容量に対応した変量が閾値を越える電極の存在する領域が、角部を挟んで隣り合って存在する場合、角部を挟んで隣り合って存在する領域の静電容量に対応した変量の合計値を算出して、検出面に近接する物体が掌であるかを判定するように構成してもよい。
【0071】
掌が検出面の上端及び左端や上端及び右端等にまたがって載置されている場合、上端及び左端でそれぞれ検出面の端部を横切る幅が小さいと、掌であることを検出できない虞がある。しかし、上記構成によれば、静電容量に対応した変量が閾値を越える電極が互いに隣り合って存在する領域が、角部を挟んで隣り合って存在する場合、角部を挟んで隣り合って存在する領域の静電容量に対応した変量の合計値を算出して、検出面に近接する物体が掌であるかを判定する。このため、掌が検出面の上端及び左端や上端及び右端等の角部にまたがって載置されている場合でも、掌であることを精度よく判定することができる。この結果、掌による誤操作を効果的に防止できるとともに、指先による正規の操作を円滑に行なうことができる。