(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
例えば、携帯電話や携帯情報端末機器等の電子機器には、時刻源や制御信号等のタイミング源、リファレンス信号源等に用いられるデバイスとして、水晶等を利用した圧電振動子が用いられる。
この種の圧電振動子として、特許文献1に示すように、パッケージと蓋体で形成されるキャビティ内に圧電振動片を気密封止したものが知られている。
【0003】
図7は、従来の一般的な圧電振動片600の構造についての、斜視図(a)とP−P断面からの斜視図(b)を表したものである。
図7(a)、(b)に示すように、圧電振動片600は、圧電材料により形成された所定長さの基部800と、基部800から並んで延びる一対の振動腕700a、bを備えている。
両振動腕700a、bには、その主面(表裏面)に振動腕の長手方向に延びる溝720a、bが形成されると共に、その主面と側面に駆動用の電圧が印加される2系統の電極910、920が形成されている。
電極910、920の形成は、溝720a、b内を含めた圧電振動片600の全体に対して電極材料を蒸着やスパッタリングによって成膜する。そして
図7の斜線が存在しない部分(白地の部分)をフォトリソグラフにより取り除くことで、電極910と電極920とを分割している。
このようにして形成した圧電振動片600は、電極910と電極920とに異なる系統の電圧を掛けることで、両振動腕700a、bが互いに振動する。
【0004】
図7の白地部分(斜線や塗りつぶしをしていない部分)で示すように、電極910と電極920との分割で取り除く部分は、振動腕700の主面(裏表面)上で、溝720a、bと振動腕700a、bの両側面との間(溝の両側)の他、引回し用の配線部分以外の部分、及び両振動腕700a、bの股部分(基部800の振動腕700側の端面)である。
ところで、圧電振動片6はウェットエッチング法によりその外形が形成されるため、
図8に示すように、振動腕700a、bの両内側側面から股部分にかけて傾斜した残渣部770p、770gが、水晶のエッチング異方性によるエッチング残渣として必ず形成されてしまう。
そして従来はこの残渣部770p、770gの外面も両振動腕700a、bの股部分のため、分割による取り除き対称(分割対称領域)となっている。
【0005】
しかし、残渣部770p、gの全領域を分割対称領域としているため、振動腕700a、bの内側側面に形成される電極910、920は、振動腕700a、bの内側の側面と残渣部770a、bとが重なる領域分だけ面積が少なくなっている。
図8では、振動腕700aの内側側面に形成される電極920の面積が、残渣部770pによる領域771の分だけ少なくなっている。また、
図8には現れていないが、振動腕700bの内側側面に形成される電極910の面積も、残渣部770gによる領域分だけ少なくなっている。
また、残渣部770p、gがテーパ形状となっているため、露光の際に残渣部770p、gに当てた光が反射し、振動腕700a、bの振動腕側面が感光されてしまい、更に電極面積が低下する場合があった。
このように、股部分の露光によって振動腕700a、bの内側側面に形成されるべき、振動に寄与する(圧電効果が良くなる)電極910、920の面積が小さくなっていた。その結果、圧電効果の電界効率が低下するため、CI値の上昇を引き起こすという問題がある。
特に、近年における圧電振動片の小型化に対し、電極910、920の面積の減少による影響は大きくなる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の圧電振動片、及び圧電振動子における好適な実施形態について、
図1から
図6を参照して詳細に説明する。
(1)実施形態の概要
本実施形態の圧電振動片6は、水晶を材料として形成される音叉形の圧電振動片であり、基部8から1対の振動腕部7が延設されると共に、基部8から振動腕部7の両外側に並列して延設された支持腕部9を備える。1対の振動腕部7の長手方向には、その主面(裏表面)に一定幅の溝部72が形成されている。
振動腕部7の外周面を構成する側面と主面、溝部72内には、第1励振電極、第2励振電極として機能する、異なる2系統の励振電極91、92が形成されている。
【0012】
圧電振動片6は、その全体に対して電極材料を蒸着やスパッタリングによって成膜し、所定の電極材料を露光により取り除くことで励振電極91、92を形成する。
振動腕部7a、7bの股部分(振動腕部7の付け根部分と基部8)に形成されてしまう残渣部77(77p、77g:
図5参照)も同様に露光対象とし、励振電極91と励振電極92間の電極材料を取り除く(分割する)。
本実施形態では、残渣部77に対する露光領域R1を電極の分割に必要十分な領域に限定することで、残渣部77の表面積の50%以上、好ましくは70%以上が励振電極91、92として形成される。
【0013】
このように、本実施形態では、圧電振動片6の股部分の露光範囲R1(
図6(b)参照)を所定値よも狭くすることで、励振電極91、92を分割すると共に、振動に寄与する励振電極91、92の面積を大きくすることができる。そして、圧電振動片6の振動に寄与する電極部分の面積を大きく確保することで、圧電効果の電界効率が低下してCI値が上昇することを回避できる。
また、股部分に形成された残渣部77p、gへの露光領域を限定することで、当該残渣部77p、77gの傾斜面で反射され、その結果、振動腕部7a、7bの内側側面の感光(電極形成不良)を防ぐことができる。
【0014】
なお、本実施形態では、圧電振動片6を収容するパッケージの実装部に支持腕部9を接合させるが、支持腕部を形成せずに基部8を実装部に接合する圧電振動子や、両振動腕部7の間に基部8から延設する1本の支持単腕部を形成しこの支持単腕部を実装部に契合させる形状の圧電振動片にも適用可能である。
また、本実施形態では、振動腕部7の主面(裏表面)に溝部72が形成されるが、振動腕部に溝部が形成されない従来の音叉型の圧電振動片に適用することもできる。
【0015】
(2)実施形態の詳細
図1は、第1実施形態に係る、圧電振動片を備えた圧電振動子の外観斜視図である。
図2は、第1実施形態に係る圧電振動子の分解斜視図である。
図1、2に示すように、本実施形態の圧電振動子1は、内部に気密封止されたキャビティCを有するパッケージ2と、キャビティC内に収容された圧電振動片6と、を備えたセラミックパッケージタイプの表面実装型振動子とされている。
なお、本実施形態の圧電振動子1は左右対称な構造となっているため、振動腕部7aと振動腕部7bというように、対称配置された両部分を同一の数字で表すと共に、両部分を区別するため、一方に区別符合a、A、他方に区別符合b、Bを付して説明する。ただし、区別符号を適宜省略して説明するが、この場合にはおのおのの部分を指しているものとする。
また、圧電振動片6の振動腕部7a、7b間に形成される残渣部77p、77gについて、その詳細は後述するものとし、
図1、2では図面の複雑化を避けるために表示を省略している。
【0016】
圧電振動片6は、水晶やタンタル酸リチウム、ニオブ酸リチウム等の圧電材料から形成された、いわゆる音叉形の振動片であり、所定の電圧が印加されたときに振動するものである。本実施形態では、圧電材料として水晶を使用して形成した圧電振動片を例に説明する。
圧電振動片6は、基部8から平行に延びる振動腕部7a、7bと、この振動腕部7a、7bの外側に同方向に基部8から延びる支持腕部9a、9bを備え、この支持腕部9a、9bによりキャビティC内に保持される。圧電振動片6の詳細については後述する。
【0017】
パッケージ2は、概略直方体状に形成されている。パッケージ2は、パッケージ本体3と、パッケージ本体3に対して接合されるとともに、パッケージ本体3との間にキャビティCを形成する封口板4と、を備えている。
パッケージ本体3は、互いに重ね合わされた状態で接合された第1ベース基板10および第2ベース基板11と、第2ベース基板11上に接合されたシールリング12と、を備えている。
【0018】
第1ベース基板10および第2ベース基板11の四隅には、平面視1/4円弧状の切欠部15が、両ベース基板10、11の厚み方向の全体に亘って形成されている。これら第1ベース基板10および第2ベース基板11は、例えばウエハ状のセラミック基板を2枚重ねて接合した後、両セラミック基板を貫通する複数のスルーホールを行列状に形成し、その後、各スルーホールを基準としながら両セラミック基板を格子状に切断することで作製される。その際、スルーホールが4分割されることで、切欠部15となる。
【0019】
なお、第1ベース基板10および第2ベース基板11はセラミックス製としたが、その具体的なセラミック材料としては、例えばアルミナ製のHTCC(High Temperature Co−Fired Ceramic)や、ガラスセラミック製のLTCC(Low Temperature Co−Fired Ceramic)等が挙げられる。
【0020】
第1ベース基板10の上面は、キャビティCの底面に相当する。
第2ベース基板11は、第1ベース基板10に重ねられており、第1ベース基板10に対して焼結などにより結合されている。すなわち、第2ベース基板11は、第1ベース基板10と一体化されている。
なお、後述するように第1ベース基板10と第2ベース基板11の間には、両ベース基板10、11に挟まれた状態で接続電極24A、24B(図示せず)が形成されている。
【0021】
第2ベース基板11には、貫通部11aが形成されている。貫通部11aは、四隅が丸みを帯びた平面視長方形状に形成されている。貫通部11aの内側面は、キャビティCの側壁の一部を構成している。貫通部11aの短手方向で対向する両側の内側面には、内方に突出する実装部14A、14Bが設けられている。実装部14A、14Bは、貫通部11aの長手方向略中央に形成されている。実装部14A、14Bは、貫通部11aの長手方向の長さの1/3以上の長さに形成されている。
【0022】
シールリング12は、第1ベース基板10および第2ベース基板11の外形よりも一回り小さい導電性の枠状部材であり、第2ベース基板11の上面に接合されている。具体的には、シールリング12は、銀ロウ等のロウ材や半田材等による焼付けによって第2ベース基板11上に接合、あるいは、第2ベース基板11上に形成(例えば、電解メッキや無電解メッキの他、蒸着やスパッタ等により)された金属接合層に対する溶着等によって接合されている。
【0023】
シールリング12の材料としては、例えばニッケル基合金等が挙げられ、具体的にはコバール、エリンバー、インバー、42−アロイ等から選択すれば良い。特に、シールリング12の材料としては、セラミック製とされている第1ベース基板10および第2ベース基板11に対して熱膨張係数が近いものを選択することが好ましい。例えば、第1ベース基板10および第2ベース基板11として、熱膨張係数6.8×10−6/℃のアルミナを用いる場合には、シールリング12としては、熱膨張係数5.2×10−6/℃のコバールや、熱膨張係数4.5〜6.5×10−6/℃の42−アロイを用いることが好ましい。
【0024】
封口板4は、シールリング12上に重ねられた導電性基板であり、シールリング12に対する接合によってパッケージ本体3に対して気密に接合されている。そして、封口板4、シールリング12、第2ベース基板11の貫通部11a、および第1ベース基板10の上面により画成された空間が、気密に封止されたキャビティCとして機能する。
【0025】
封口板4の溶接方法としては、例えばローラ電極を接触させることによるシーム溶接や、レーザ溶接、超音波溶接等が挙げられる。また、封口板4とシールリング12との溶接をより確実なものとするため、互いになじみの良いニッケルや金等の接合層を、少なくとも封口板4の下面と、シールリング12の上面とにそれぞれ形成することが好ましい。
【0026】
ところで、第2ベース基板11の実装部14A、14Bの上面には、圧電振動片6との接続電極である一対の電極パッド20A、20Bが形成されている。また、第1ベース基板10の下面には、一対の外部電極21A、21Bがパッケージ2の長手方向に間隔をあけて形成されている。電極パッド20A、20Bおよび外部電極21A、21Bは、例えば蒸着やスパッタ等で形成された単一金属による単層膜、または異なる金属が積層された積層膜である。
電極パッド20A、20Bと外部電極21A、21Bとは、第2ベース基板11の実装部14A、14Bに形成された第2貫通電極22A、22B、第1ベース基板10と第2ベース基板11の間に形成された接続電極24A、24B(図示せず)、及び、第1ベース基板10に形成された第1貫通電極23A、23B(図示せず)を介して互いにそれぞれ導通している。
一方、詳細は後述するが、電極パッド20A、20B上には、第1方向D1に互いに隔離して第1接合材51a、51bと、第2接合材52a、52bが配設され、支持腕部9a、9bのそれぞれを長さ方向の隔離した2点で接合している。
【0027】
図3は、第1実施形態に係る圧電振動片6の構成と圧電振動子の断面を表した図である。
以下、
図3に示すように、第1ベース基板10と平行な面上で圧電振動子1の長手方向を第1方向D1、同面上で第1方向D1に直交する方向(圧電振動子1の短手方向)を第2方向D2、第1方向D1と第2方向D2に直交する方向(圧電振動子1の厚さ方向)を第3方向D3として説明する(
図1も参照)。
図3(a)に示すように、圧電振動片6は、一対の振動腕部7a、7bと、基部8と、一対の支持腕部9a、9bを備えている。
基部8は、一対の振動腕部7a、7bのうち第1方向D1における一方の端部同士を連結している。
基部8には、第2方向D2を向く両端面から第2方向D2に沿って外側に延びる連結部81a、81bが連結され、この連結部81a、81bには、第1方向D1に沿ってそれぞれ延びる支持腕部9a、9bが連結されている。一対の支持腕部9a、9bは、第2方向D2において、振動腕部7a、7bの両外側に配置されている。
支持腕部9a、9bにおいて、基部8側の端部から先端部までの長さが、圧電振動片6の全長a0(後述)の2/3以上に形成されている。この長さは、後述するように、第1接合材51a、51bと第2接合材52a、52bとの間隔を確保するためである。
【0028】
一対の振動腕部7a、7bは、互いに平行となるように配置されており、基部8側の端部を固定端として、先端が自由端として振動する。
一対の振動腕部7a、7bは、その全長のほぼ中央部分の幅を基準幅とした場合、この基準幅よりも両側に広くなるように形成された幅広部71a、71bを備えている。この幅広部71a、71bは、振動腕部7a、7bの重量及び振動時の慣性モーメントを増大する機能を有している。これにより、振動腕部7a、7bは振動し易くなり、振動腕部7a、7bの長さを短くすることができ、小型化が図られている。
なお、本実施形態の圧電振動片6は、振動腕部7a、7bに拡幅部71a、71bが形成されているが、拡幅部のない圧電振動片を使用してもよい。
また、本実施形態の圧電振動子1では、図示しないが、振動腕部7a、7bの先端部(拡幅部71a、71b)に、振動状態を所定の周波数の範囲内で振動するように調整(周波数調整)を行うための重り金属膜(粗調膜及び微調膜からなる)が形成されている。この重り金属膜を、例えばレーザ光を照射して適量だけ取り除くことで、周波数調整を行い、一対の振動腕部7a、7bの周波数をデバイスの公称周波数の範囲内に収めることができるようになっている。この重り金属膜についても、拡幅部と同様に形成しないことも可能である。
【0029】
振動腕部7a、7bの基部8側には、拡幅部74a、74bが形成されている。
この拡幅部74a、74bにおける、振動腕部7a、7bの内側(対向する側)は、拡幅始点73a、73bから基部8の先端側の端部83にかけて、漸次広がるように形成されている。
一方、拡幅部74a、74bにおける、振動腕部7a、7bの外側は、拡幅始点73a、73bから、端部83よりも拡幅始点73a、73bよりに位置する途中点75a、75bにかけて、内側と同様に(対称となるように)、漸次広がるように形成されている。
拡幅部74a、74bの外側の側面は、途中点75a、75bから基部8まで第1方向D1と平行に形成され、基部8の端面と連続する平面を形成している。
【0030】
ここで、振動腕部3a、3bの基部8の端部83から拡幅始点73a、73bまでの長さを、端部83から先端までの長さ(振動腕7a、7bの全長)の、0.25倍以上かつ0.5倍以下の長さに設定されている。
このように設定することで、CI値80kΩ以下を実現し、発振周波数40kΩ以下が実現される。
【0031】
このように本実施形態では、振動腕部7a、7bの基部8側に拡幅部74a、74bが形成されることで、振動腕部7a、7bの強度を向上させることが可能である。
また、振動腕部7a、7bの外側の拡幅を途中点75a、75bまでとすることで、基部8の幅を狭くすることが可能になり、強度を向上させると共に、圧電振動片6の小型化を実現している。
更に、後述する溝部72bの内壁面から、振動腕部7a、7bの外側側面までの幅が、途中点75a、75b以降も拡幅する場合に比べて狭くなるので、途中点75a、75b近傍における電界効率が向上する。
【0032】
図3(b)は、
図3(a)に示すV1−V1線に沿った断面を矢印の方向に見た断面図である。
図3(a)、(b)に示すように、一対の振動腕部7a、7bには、全長に渡って一定幅の溝部72a、72bが形成されている。溝部72a、72bは、一対の振動腕部7a、7bの両主面(表裏面)上において、第3方向D3に凹むとともに、基部8側から第1方向D1に沿って延在している。溝部72a、72bは、振動腕部7a、7bの基端(基部8の先端側の端部83)から、幅広部71a、71bの手前までに形成されている。
溝部72a、72bにより、一対の振動腕部7a、7bは、それぞれ
図3(b)に示すように断面H型となっている。
【0033】
図3(b)に示すように、一対の振動腕部7a、7bの外表面上(外周面)には、一対の(2系統の)励振電極91、92(第1励振電極、第2励振電極)が形成されている。このうち、励振電極91、92は、電圧が印加されたときに一対の振動腕部7a、7bを互いに接近又は離間する方向に所定の共振周波数で振動させる電極であり、電気的に切り離された状態で振動腕部7a、7b上にパターニングされて形成されている。
具体的には、一方の励振電極91が、主に一方の振動腕部7aの溝部72a内と、他方の振動腕部7bの側面上とに互いに電気的に接続された状態で形成されている。
また、他方の励振電極92が、主に他方の振動腕部7bの溝部72b内と、一方の振動腕部7aの側面上とに互いに電気的に接続された状態で形成されている。
すなわち、基部8と振動腕部7a、7bの励振電極91、92については、後述する残渣部77p、77gを除いて、
図7(a)と同様に形成される。
【0034】
圧電振動片6の第1ベース基板10と対向する側の面には、図示しないが、圧電振動片6をパッケージ2に実装する際のマウント部として支持腕部9a、9bに2系統のマウント電極が形成され、この両マウント電極と電気的に接続した2系統の引回し電極が連結部81a、81bと基部8に形成されている。
そして、支持腕部9aに形成された第1系統のマウント電極が引回し電極を介して励振電極92(
図3(b)参照)と接続され、支持腕部9bに形成された第2系統のマウント電極が引回し電極を介して励振電極91と接続されている。
2系統の励振電極91、92は、一対のマウント電極を介して電圧が印加されるようになっている。
【0035】
なお、励振電極91、92、マウント電極、及び引回し電極は、例えば、クロム(Cr)と金(Au)との積層膜であり、水晶と密着性の良いクロム膜を下地として成膜した後に、表面に金の薄膜を施したものである。但し、この場合に限られず、例えば、クロムとニクロム(NiCr)の積層膜の表面にさらに金の薄膜を積層しても構わないし、クロム、ニッケル、アルミニウム(Al)やチタン(Ti)等の単層膜でも構わない。
【0036】
これら励振電極91、92、マウント電極、及び、引回し電極の形成は従来と同様にして行われる。すなわち、各電極を形成する前の圧電振動片6の、溝部720a、720b内を含めた全体に電極材料を成膜する。この成膜は、電極材料の蒸着やスパッタリングによる。
そして、励振電極91、92、マウント電極、引回し電極を形成する部分を残し、それ以外の部分をフォトリソグラフにより取り除くことで、2系統の電極ラインが形成される。
【0037】
本実施形態の振動腕部7a、7bの主面における、励振電極91と励振電極92との間隔(電極分割幅W1)は、従来に比べて狭く形成されている。
いま、振動腕部7の側面と溝部72の側面とで形成される一方の土手部の幅(両側面に形成された励振電極91、92の厚さを含む)をW0とする。
本実施形態では、土手部上(振動腕部7の主面上)に形成される励振電極91と励振電極92との電極分割幅W1を、1μm<W1<3μmの範囲、W0<W1に形成されている。
土手部79の幅W0を共に10μmとした場合、従来の電極分割幅は6〜7μmであるのに対し、本実施形態の電極分割幅W1は3μmである。そのため本実施形態では、土手部(主面上)に形成される励振電極91、92の幅を従来よりも大きくすることができる。
その結果、残渣部77p、77gに形成した励振電極91、92の面積を大きく確保することによる電界密度の向上に加え、更に、土手部上における励振電極91、92の面積も大きく確保することで、一方から他方に向かう電界の密度を高くすることができる。
【0038】
図4は、
図1に示すパッケージ2に圧電振動片6を実装した圧電振動子1の、第1方向D1に沿った断面図で、
図3(a)のV2−V2線に沿った断面を矢印の方向に見た断面図である。但し、第2貫通電極23Bを表すため、当該部分での断面位置をずらしている。
第2ベース基板11の実装部14A、14Bの実装面(封口板4に対向する側の面)には、ほぼ全面にわたって電極パッド20A、20Bが形成されている。
一方、第1ベース基板10の外側底面には、長手方向(第1方向D1)の両端側に、短手方向(第2方向D2)に延びる外部電極21A、21Bが形成されている。
これら電極パッド20A、20B、及び外部電極21A、21Bは、例えば蒸着やスパッタ等で形成された単一金属による単層膜、または異なる金属が積層された積層膜であり、電極パッド20Aと外部電極21Aが互いに導通し、電極パッド20Bと外部電極21Bが互いに導通している。
【0039】
すなわち、
図4に示すように、第1ベース基板10には、外部電極21Bに導通し、第1ベース基板10を厚さ方向に貫通する第1貫通電極23Bが形成されている。さらに、第2ベース基板11の実装部14Bの略中央(
図2参照)には、電極パッド20Bに導通し、実装部14Bを厚さ方向に貫通する第2貫通電極22Bが形成されている。そして、第1ベース基板10と第2ベース基板11(実装部14B)との間には、第1貫通電極23Bと第2貫通電極22Bとを接続する接続電極24Bが形成されている。
このように、電極パッド20Bと外部電極21Bとは、第2貫通電極22B、接続電極24B、及び第1貫通電極23Bを介して互いに導通している。
【0040】
一方、
図4に点線で示すように、第1ベース基板10には外部電極21Aに導通し、第1ベース基板10を厚さ方向に貫通する第1貫通電極23Aが形成され、第2ベース基板11の実装部14Aの略中央(
図2参照)には、電極パッド20Aに導通し、実装部14Aを厚さ方向に貫通する第2貫通電極22Aが形成されている。そして、第1ベース基板10と第2ベース基板11(実装部14A)との間には、第1貫通電極23Aと第2貫通電極22Aとを接続する接続電極24Aが形成されている。
このように、電極パッド20Aと外部電極21Aとは、第2貫通電極22A、接続電極24A、及び第1貫通電極23Aを介して互いに導通している。
【0041】
なお、両接続電極24A、24Bは、第1貫通電極23A、23Bと、第2貫通電極22A、22Bを直線的に接続させる形状ではなく、キャビティC内での露出を避けるため、第2ベース基板11と第1ベース基板10とが当接する領域に沿って形成されている。
【0042】
圧電振動片6は、一対の支持腕部9a、9bにより実装部14A、14B上に実装された状態で、気密封止されたパッケージ2のキャビティC内に収容されている。
すなわち、
図3(a)、
図4に示すように、圧電振動片6は、支持腕部9a、9bに設けられた各マウント電極が、実装部14A、14B上の電極パッド20A、20B(上面にメタライズ層が形成されている場合は該メタライズ層)にそれぞれ第1接合材51a、51b、第2接合材52a、52bを介して電気的および機械的に接合されている。
このように、本実施形態の圧電振動片6は、支持腕部9a、9bのそれぞれが、その長さ方向(第1方向D1)の2箇所で実装部14A、14B上に接合保持(2点支持)される。
【0043】
第1接合材51a、51b、第2接合材52a、52bは、導電性を有し、かつ接合初期の段階において流動性を持ち、接合後期の段階において固化して接合強度を発現する性質を有するものが使用され、例えば、銀ペースト等の導電性接着剤や、金属バンプ等の使用が好適である。
第1接合材51a、51b、第2接合材52a、52bが導電性接着剤により構成されている場合、塗布装置の移動ヘッドに支持されたディスペンサノズルにより塗布される。
本実施形態では、各接合材のサイズは圧電振動子1のサイズによるが、例えば、1.2mm×1.0mmサイズの圧電振動子1の場合、半径0.1mm程度に塗布される。
【0044】
次に、圧電振動片6の振動腕部7a、7b間に形成される残渣部における励振電極の形成について説明する。
図5は、圧電振動片6における残渣部の状態を表した圧電振動片6の斜視図である。
図5に示すように、圧電振動片6は、その外形を異方性エッチングにより形成する際に、振動腕部7aと振動腕部7bの対向する両側面から股部にかけて傾斜した凸状の残渣部77が常に形成されてしまう。また、振動腕部7aと支持腕部9aの対向する両側面から股部にかけて、及び、振動腕部7bと支持腕部9bの対向する両側面から股部にかけてもそれぞれ傾斜した残渣部78、79が形成されてしまう。
なお、
図5では、残渣部77、78、79を他の部分と区別するために灰色で塗りつぶしている。
【0045】
各残渣部77は、一方の振動腕部7aの側面から股部(基部8の側面)に向かって傾斜した残渣部77pと、他方の振動腕部7bの側面から股部に向かって傾斜した残渣部77gが形成され、主面側から平面視した場合にV字上に凹んで形成される。残渣部77pは残渣部77gよりも大きく形成されることで、最も凹んだ点は、両振動腕部7a、7bの中間よりも振動腕部7b側となる。
両残渣部77p、77gは、振動腕部7a、7bと基部8との交差部分が最も厚く、振動腕部7a、7bの先端側になるほど薄くなり、また、振動腕部7a、7bの側面からV字上の底部(最も凹んだ部分)になるほど薄くなるように形成される。
残渣部78、79も、残渣部77と同様に、大きな残渣部78p、79pと、小さな残渣部78g、79gが形成される。
【0046】
図6は、残渣部77に対する露光範囲を表したものである。なお、残渣部78、79については省略している。
図6(a)は、
図1〜
図5で説明した圧電振動片6に対して、従来と同様に残渣部77の露光を行った場合の露光範囲Rxを示している。
従来の方法では、残渣部77のほぼ全面を露光範囲Rxとしている。このため、
図8で説明したように、振動腕部7a、7bにおける、互いに対向する内側側面の励振電極92、91の形成領域が小さくなってしまう。
また、残渣部77の傾斜面で露光が反射され(図中の矢印方向)、振動腕部7a、7bの内側側面が感光される(電極形成不良)可能性がある。
【0047】
図6(b)は、本実施形態による残渣部77の露光範囲を表したものである。
本実施形態では、
図6(b)に示すように、残渣部77に対する露光領域をR1とし、励振電極91と励振電極92の分割に必要十分な領域に限定することで、残渣部77上の励振電極91、92の面積を大きくしている。
図6(b)に示した露光領域Rのうち、露光領域R1は、本実施形態における、残渣部77の励振電極91と92を分割するための領域である。
一方、露光領域R2は、基部8の主面と残渣部77が形成される側面とが交差する領域を露光するための領域である。本実施形態では、露光領域R2も露光対象としているが、励振電極91、92の分割は露光領域R1でなされているため露光対象外とすることも可能である。
なお、
図6に示した主面に対して、反対側の主面に対しても、同一の露光領域R1、R2が露光対象となる。
【0048】
具体的には、残渣部77p、77gの全表面積をNとし、露光後に残る残渣部77の励振電極91と励振電極92の合計面積をnとした場合、0.5≦(n/N)≦0.8となるように、股部分の露光を行う。好ましくは、0.7≦(n/N)≦0.8である。
【0049】
本実施形態の露光範囲R1は、残渣部77pと残渣部77gとの接合箇所(主面側から平面視した場合にV字上に最も凹んだ箇所)を含む範囲である。好ましくは、残渣部77pと残渣部77gとの接合箇所が、露光範囲R1の短手方向(振動腕部7a、7bが並んでいる方向)の中央となる範囲である。
具体的には、露光範囲R1の短手方向の幅をhとし、振動腕部7a、7b間の幅をHとした場合、0.2≦(h/H)≦0.5とする。好ましくは、0.2≦(h/H)≦0.3とする。なお、振動腕部7a、7b間の幅Hは、
図3で説明した拡幅部74a、74bよりも先端側の幅(間隔の最大値)である。
露光範囲R1の長手方向は、一方が基部8にかかり、他方が残渣部77を超える領域となる長さである。
【0050】
図6(c)は、本実施形態による限定的範囲の露光により形成される、残渣部77p、77gにおける励振電極92、91を表した斜視図である。なお、支持腕部9a、9bについては省略することで、
図8に対応させて表示している。
図6(c)に示すように、本実施形態の露光範囲R1により、残渣部77pの励振電極92、及び、残渣部77gの励振電極91を広く形成することができる。
【0051】
このように、本実施形態では、圧電振動片6の股部分の露光範囲R1をできるだけ狭くすることで、励振電極91、92を分割すると共に、振動に寄与する励振電極91、92の面積を大きくすることができる。そして、圧電振動片6の振動に寄与する電極部分の面積を大きく確保することで、圧電効果の電界効率が低下してCI値が上昇することを回避することができる。
また、股部分へ残渣部77p、gへの露光領域R1を狭く限定(特に露光幅hを限定)している。これにより、当該残渣部77p、77gの傾斜面で露光が反射されて振動腕部7a、7bの内側側面が感光し、その結果、電極形成不良になることを防ぐことができる。
【0052】
なお、残渣部78、79の露光については、分割対象ではないので残す様にしてもよい。
特に、形状が大きい残渣部78pを露光する際に、その反射光によって振動腕部7aの外側(支持腕部9a側)の側面が露光されることを防止するためには、残すことが好ましい。
【0053】
以上説明したように、CI値の上昇を回避するため、残渣部77における励振電極91、92の面積を大きく確保することについて説明したが、本実施形態では更に次のように構成している。
すなわち、本実施形態の振動腕部7a、7bの主面における、励振電極91と励振電極92との間隔(電極分割幅W1:
図3(b)参照)は、従来よりも狭く形成されている。
いま、振動腕部7の側面と溝部72の側面とで形成される一方の土手部の幅(両側面に形成された励振電極91、92の厚さを含む)をW0とする。
本実施形態では、土手部上(振動腕部7の主面上)に形成される励振電極91と励振電極92との電極分割幅W1を、1μm<W1<3μmの範囲、W0<W1に形成している。
土手部79の幅W0を共に10μmとした場合、従来の電極分割幅は6〜7μmであるのに対し、本実施形態の電極分割幅W1は3μmである。そのため本実施形態では、土手部(主面上)に形成される励振電極91、92の幅を従来よりも大きくすることができる。
その結果、土手部上に形成した励振電極91、92の面積も大きく確保することで、一方から他方に向かう電界の密度を高くすることができ、残渣部77p、77gに形成した励振電極91、92の面積を大きく確保することに加えて、更にCI値の上昇を回避することができる。
【0054】
このように形成された圧電振動片6の固定について説明する。すなわち、支持腕部9を実装部14上に固定保持する、第1接合材51と第2接合材52の配設関係について説明する。
なお、以下の説明では、支持腕部9を接合している、第1接合材51と第2接合材52の中心をそれぞれ接合箇所51、52として説明する。
両支持腕部9は、上述したように圧電振動片6の全長の2/3以上に形成され、その長手方向の2箇所以上、好ましくは2箇所、すなわち、基部8側の接合箇所51と、先端側の接合箇所52で接続されている。
そして、支持腕部9に対し、その長手方向の先端部に第2接合材52が配設される。一方、第1接合材51は、その接合箇所51が圧電振動片6の重心Gよりも基部8側となるように配設される。これにより、重心Gが両接合箇所51、52の間に存在することになる。
このように、基部8側の接合箇所51を重心Gよりも基部8側とすることで、当該接合箇所51から基部8を通り振動腕部7の先端に至るまでの全長を短くすることができ、その結果、外部からの衝撃に対して振動腕部7先端での変位量を少なくすることができる。
その一方で振動腕部7からの振動漏れを抑制するために、その長手方向において、基部8側の接合箇所51を、基部8と支持腕部9の連結部81よりも重心G側にしている。
【0055】
また、接合箇所を2箇所以上とすることで、1箇所の場合に比べ、圧電振動片6の接合強度(接着強度)が増すと共に、固化前の導電性接着剤上に圧電振動片6を載置した際の傾きを大幅に軽減することができる。また、導電性接着材を支持腕部9全体に使用する場合にくらべて、接着剤の使用量が減り、キャビティ内でのガス発生をより抑えることが可能になる。
なお、圧電振動片6を載置した際のバランスを向上させると共に、ガスの発生をより少なくするため、接合箇所は2箇所であることが好ましい。
また、接合箇所は必ずしも2箇所である必要はなく、1箇所であっても、3箇所以上であってもよい。例えば、少なくとも一方の支持腕部9は、短手方向の重心Gを通る線上の接合箇所で接続されてもよい。また、支持腕部9が重心Gに対して基部側より先端側が長い場合、例えば、支持腕部9は重心Gよりも先端側に2箇所以上の接合箇所で接合されてもよい。
【0056】
さらに、本実施形態では、支持腕部9の両接合箇所51、52の間隔を広くしている。例えば、圧電振動片6の全長に対して、接合箇所51、52を基部8側から1/3付近と、2/3付近とし、両接合箇所51、52の間隔を全長の約1/3としている。そして、両接合箇所51、52の間隔を、圧電振動片6の全長に対して45%〜35%の範囲とし、全長の1/3よりもわずかに大きくすることが好ましい。
すなわち、圧電振動片6の基部8側の端部から接合箇所51までの距離をa1、接合箇所51と接合箇所52間の距離をa2、接合箇所52から振動腕部7の先端までの距離をa3とし、圧電振動片6の全長をa0(=a1+a2+a3)とした場合、a2がa0の45%〜35%の範囲とすることが好ましい。更に、a1<a3<a2とすることが好ましい。
このように、両接合箇所51、52の間隔a2を全長a0の1/3よりも広く(45%〜35%)することにより、外部からの衝撃や、振動腕部7の振動に対して、両接合箇所間の支持腕部9が僅かに撓むことで吸収、分散することで、外部からの影響や、外部への影響を抑えることが可能になる。またa1<a2とすることで、接合箇所51から基部8を通り振動腕部7の先端に至るまでの全長をより短くし、外力に対する先端の変位量を小さくすることができる。
ここで、用語「付近」「約」は、第1接合材51、第2接合剤52の接合対象である、支持腕部9の幅zにより規定される範囲をいうものとする。
すなわち、「1/3付近」は、(1/3)−(z/2)≦1/3付近≦(1/3)−(z/2)の範囲をいう。また、「2/3付近」は、(2/3)−(z/2)≦2/3付近≦(2/3)−(z/2)の範囲をいう。
例えば、接合箇所51(第1接合材51の中心)が、(1/3)−(z/2)〜(1/3)−(z/2)の範囲にあればよい。
従って、「両接合箇所51、52の間隔」である、全長の約1/3は、(1/3)−z≦約1/3≦(1/3)+zの範囲である。
【0057】
このように構成された圧電振動子1を作動させる場合には、外部電極21A、21Bに所定の電圧を印加する。外部電極21A、21Bに所定の電圧が印加されると、2系統の励振電極91、92に電流が流れ、2系統の励振電極91、92間に発生する電界による逆圧電効果によって、一対の振動腕部7a、7bは、例えば互いに接近、離間する方向(第2方向D2)に所定の共振周波数で振動する。一対の振動腕部7a、7bの振動は、時刻源、制御信号のタイミング源やリファレンス信号源などとして用いられる。
【0058】
以上説明した圧電振動子1は、電波時計、携帯電話や携帯情報端末機器には、時刻源や制御信号等のタイミング源、リファレンス信号源等として、また、ジャイロセンサなどの計測機器等として使用される。
【0059】
本発明は、図面を参照して説明した上述の実施形態に限定されるものではなく、その技術的範囲において様々な変形例が考えられる。
例えば、上記実施形態においては、圧電振動片を用いた圧電振動子として、セラミックパッケージタイプの表面実装型振動子について説明したが、圧電振動片を、ガラス材によって形成されるベース基板およびリッド基板が陽極接合によって接合されるガラスパッケージタイプの圧電振動子に適用することも可能である。
また、説明した実施形態の電極パッド20は、実装部14のほぼ全面に形成されているが、第1接合材51、第2接合材52の少なくとも一方に対応する領域に形成されていればよい。この場合、第2貫通電極23(
図4参照)は、実装部14の、電極パッド20に対応した個所に形成される。