(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1記載の防災監視設備に於いて、前記受信機に設けた音声認識制御部は、前記受信機に設けたマイクから入力された音声信号を認識して対応する制御を行わせることを特徴とする防災監視設備。
請求項1記載の防災監視設備に於いて、前記受信機の音声認識制御部は、前記音声信号を認識して制御した場合に、前記認識した音声信号または行った制御を履歴情報として保存することを特徴とする防災監視設備。
請求項10記載の防災監視設備に於いて、前記音声信号の履歴情報は、音声信号のAD変換データ、認識結果に対応したコード化情報、又は認識結果を示すテキスト情報の少なくとも何れかを含むことを特徴とする防災監視設備。
請求項1記載の防災監視設備に於いて、前記受信機に設けた音声認識制御部の音声認識を、ネットワークを介して接続した外部の音声認識装置により行うようにしたことを特徴する防災監視設備。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、受信機に音声認識機能を設けて音声入力により制御を行うようにした防災監視設備にあっても、受信機が火災警報を出力した場合、防災担当者が火災発生場所に出向いて火災かどうかを確認し、火災であれば受信機に戻るか、非常電話等により連絡し、受信機での音声入力により火災断定を行い、また、火災でなかった場合には、受信機での音声入力により地区音響停止を行い、感知器が作動した原因を現場で除去した後に受信機での音声入力により復旧することとなり、音声入力による制御ができても、火災断定や地区音響停止、更には復旧には手間と時間がかかり、特に、夜間のように防災担当者が一人しかいない場合には迅速且つ適切な対応が困難となることが想定される。
【0012】
また、火災感知器を設置した警戒区域にマイクを設置し、マイクからの音声信号を受信機に送って音声認識により制御することも考えられるが、火災が発生する場所を事前に特定できない警戒区域に多数のマイクを配置して受信機に信号線接続することは、膨大な数のマイクと配線を必要とするために実現性に欠ける問題がある。
【0013】
本発明は、受信機から警報が出力された場合の受信機の制御を、遠隔的な音声入力により、簡単且つ確実に行うことを可能とする防災監視設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
(防災監視設備)
本発明は、警戒区域に引き出された信号線に接続した検出器からの異常検出信号を受信機で受信して警報を出力する防災監視設備に於いて、
利用者により携帯され、音声入力によりマイクで変換した音声信号を送信する音声操作端末と、
受信機と警戒区域の間に設けられ、音声操作端末と受信機との間で信号を伝送する防災監視設備の伝送系と、
受信機に設けられ、伝送系を経由して受信した音声操作端末からの音声信号を認識して対応する制御を行わせる音声認識制御部と、
を設けたことを特徴とする。
【0015】
(近距離無線通信を利用した伝送系)
防災監視設備の伝送系を、
音声操作端末に設けられ、信号を無線により送受信する端末通信部と、
検出器に設けられ、端末通信部から受信した信号を、信号線を介して受信機に送信すると共に、受信機から信号線を介して受信した信号を端末通信部に送信する中継通信部と、
により構成する。
【0016】
(電話回線を利用した伝送系)
防災監視設備の伝送系を、
音声操作端末に設けられ、受信機からの電話回線に接続した発信機の電話機接続端子に着脱自在に接続され、電話回線を介して受信機との間で信号を送受信する端末通信部と、
受信機に設けられ、受信機制御部に設けた入出力ポートと電話回線の間に接続され、入出力ポートと電話回線との間で信号を送受信する電話回線アダプタと、
により構成する。
【0017】
(受信機マイクによる音声認識)
受信機に設けた音声認識制御部は、受信機に設けたマイクから入力された音声信号を認識して対応する制御を行わせる。
【0018】
(音声認識動作の開始と停止)
音声操作端末は、音声入力スイッチの操作による音声入力開始信号を受信機の音声認識制御部に送信し、受信機から確認応答信号を受信して音声入力の開始を音又は表示により報知し、
受信機の音声認識制御部は、音声操作端末から音声入力開始信号を受信した場合に、確認応答信号を音声操作端末に送信すると共に音声認識動作を開始し、音声操作端末から受信した音声信号を認識して対応する制御を行った後に音声認識動作を停止する。
【0019】
(音声認識動作の正常終了とリトライ)
受信機の音声認識制御部は、音声操作端末から受信した音声信号の認識に成功して対応する制御を行った場合に、正常終了信号を音声操作端末に送信して正常終了を報知させ、音声信号の認識に失敗した場合に、リトライ信号を音声操作端末に送信して音声の再入力を報知させる。
【0020】
(音声認識結果の確認応答による制御)
受信機の音声認識制御部は、音声操作端末から受信した音声信号の認識に成功した場合に、認識結果を示す音声信号又は文字列信号を音声操作端末に送信して出力させ、音声操作端末から確認応答信号を受信した場合に、認識結果に対応した制御を行わせる。
【0021】
(音声入力レベルの表示)
音声操作端末に、マイクから入力した音声の大きさを表示する音量表示器を設ける。
【0022】
(音声認識のチュートリアル機能)
受信機の音声認識制御部は、音声入力訓練モードを設定した場合に、音声操作端末又は受信機に設けたマイクからの音声信号を認識して認識結果を報知する。
【0023】
(音声操作の履歴)
受信機の音声認識制御部は、音声信号を認識して制御した場合に、認識した音声信号または行った制御を履歴情報として保存する。
【0024】
(履歴情報)
音声信号の履歴情報は、音声信号のAD変換データ、認識結果に対応したコード化情報、又は認識結果を示すテキスト情報の少なくとも何れかを含む。
【0025】
(外部装置による音声認識)
受信機の設けた音声認識制御部の音声認識を、ネットワークを介して接続した外部の音声認識装置により行う。
【発明の効果】
【0026】
(基本的な効果)
本発明は、警戒区域に引き出された信号線に接続した検出器からの異常検出信号を受信機で受信して警報を出力する防災監視設備に於いて、利用者により携帯され、音声入力によりマイクで変換した音声信号を送信する音声操作端末と、受信機と警戒区域の間に設けられ、音声操作端末と受信機との間で信号を伝送する防災監視設備の伝送系と、受信機に設けられ、伝送系を経由して受信した声操作端末からの音声信号を認識して対応する制御を行わせる音声認識制御部とを設けるようにしたため、受信機から火災警報が出力され、防災担当者が火災発生場所に出向いて現場確認する場合、音声操作端末を携帯し、例えば火災であった場合には、音声操作端末に向かって「火災断定」とする言葉の音声入力を行うことで、火災断定を指示する音声信号が受信機に送られて音声認識され、認識結果により火災断定指示に対応した制御が行われて、例えば停止中となっている警報停止や移報連動停止を自動的に解除し、火災発生に対応した制御や対処を可能とし、確認現場から受信機に戻って音声入力する手間と時間を省くことができ、受信機に戻る必要がないことから、火災現場で初期消火や避難誘導等の対処を直ぐに行うことを可能とする。
【0027】
(近距離無線通信を利用した伝送系の効果)
また、防災監視設備の伝送系を、音声操作端末に設けられ、信号を無線により送受信する端末通信部と、検出器に設けられ、端末通信部から受信した信号を、信号線を介して受信機に送信すると共に、受信機から信号線を介して受信した信号を端末通信部に送信する中継通信部とにより構成するようにしたため、警戒区域に設置した火災感知器に近距離無線ネットワークによる通信機能を設けると共に、例えば、火災感知器と受信機の間のR型の伝送通信を利用することで、火災現場に出向いた防災担当者が携帯している音声操作端末への音声入力により、受信機の遠隔的な制御を簡単に行うことを可能とする。
【0028】
(電話回線を利用した伝送系の効果)
また、防災監視設備の伝送系を、音声操作端末に設けられ、受信機からの電話回線に接続した発信機の電話機接続端子に着脱自在に接続され、電話回線を介して受信機との間で信号を送受信する端末通信部と、受信機に設けられ、受信機制御部に設けた入出力ポートと電話回線の間に接続され、入出力ポートと電話回線との間で信号を送受信する電話回線アダプタとにより構成するようにしたため、火災現場に出向いた防災担当者が携帯している音声操作端末を、発信機に設けた電話ジャックに接続することで、音声操作端末と受信機との間の伝送系が電話回線を利用して構築され、音声操作端末への音声入力により、受信機の遠隔的な制御を簡単に行うことを可能とする。
【0029】
(受信機マイクによる音声認識の効果)
また、受信機に設けた音声認識制御部は、受信機に設けたマイクから入力された音声信号を認識して対応する制御を行わせるようにしたため、受信機から火災警報が出力された場合、受信機に設けたマイクに向かって例えば「火災断定」とする言葉の音声入力を行うことで音声認識され、認識結果により火災断定指示に対応した制御が行われて、例えば警報停止や移報連動停止を自動的に解除して、火災発生に対応した制御や対処を可能とし、受信機でスイッチを捜して操作する手間と時間を省くことができ、また、操作するスイッチや操作手順を誤ることを防止可能とする。
【0030】
(音声認識動作の開始と停止による効果)
また、音声操作端末は、音声入力スイッチの操作による音声入力開始信号を受信機の音声認識制御部に送信し、受信機から確認応答信号を受信して音声入力の開始を音又は表示により報知し、受信機の音声認識制御部は、音声操作端末から音声入力開始信号を受信した場合に、確認応答信号を音声操作端末に送信すると共に音声認識動作を開始し、音声操作端末から受信した音声信号を認識して対応する制御を行った後に音声認識動作を停止するようにしたため、受信機はCPUによるプログラムの実行で液晶タッチパネルによる操作表示機能や音声認識機能を含む各種の制御機能を実現しているが、音声操作端末のスイッチ操作により受信機での音声認識動作を開始することで、音声認識が必要な時間にのみ音声認識動作を実行することができ、受信機の処理負担を低減し、音声認識機能を効率的に使用可能とする。
【0031】
また、音声操作端末を携帯している利用者は、音声操作端末からの開始音の出力により、受信機で音声認識動作が開始されて音声入力が可能になったことが分かり、これに応じて音声入力を適切なタイミングで行うことを可能とする。
【0032】
(音声認識動作の正常終了とリトライによる効果)
また、受信機の音声認識制御部は、音声操作端末から受信した音声信号の認識に成功して対応する制御を行った場合に、正常終了信号を音声操作端末に送信して正常終了を報知させ、音声信号の認識に失敗した場合に、リトライ信号を音声操作端末に送信して音声の再入力を報知させるようにしたため、音声操作端末を携帯している利用者は、火災現場等の受信機から離れた場所で、受信機で音声入力により指示した制御が行われたことが確認でき、また、受信機で音声認識に失敗した場合には、これを知って再入力等の対処を簡単且つ確実に行うことを可能とし、音声入力による受信機制御の信頼性を向上できる。
【0033】
(音声認識結果の確認応答による制御の効果)
また、受信機の音声認識制御部は、音声操作端末から受信した音声信号の認識に成功した場合に、認識結果を示す音声信号又は文字列信号を音声操作端末に送信して出力させ、音声操作端末から確認応答信号を受信した場合に、認識結果に対応した制御を行わせるようにしたため、受信機で音声入力の認識に成功した場合に、認識内容が音声操作端末から音声出力又は文字列表示により報知され、この報知内容から音声入力の認識結果が正しければ、確認スイッチを操作して確認応答信号を受信機に送信して、認識結果に対応した制御が行われ、認識結果に誤りがある場合は確認応答信号の受信がないことで、誤った制御を阻止可能とし、音声入力による遠隔的な制御の信頼性を向上可能とする。
【0034】
(音声入力レベルの表示による効果)
また、音声操作端末に、マイクから入力した音声の大きさを表示する音量表示器を設けるようにしたため、音声を自動認識するには、適量の音声信号を入力する必要があり、入力された音声の大きさに応じて例えばLEDバーメータ等により音量の変化を表示し、声が小さ過ぎるとマイクに近づくか大きな声で話すことを促すこととなり、音声マイクに入力する操作者は安心して適正な音量の言葉を入力できるため、音声認識の失敗に対し音声入力を何度も繰り返し入力する必要がなく、音声入力による受信機の制御を確実に行うことを可能とする。
【0035】
(音声認識のチュートリアル機能による効果)
また、受信機の音声認識制御部は、音声入力訓練モードを設定した場合に、音声操作端末又は受信機に設けたマイクからの音声信号を認識して認識結果を報知するようにしたため、受信機に話しかけて音声認識により制御を行う最適な方法を学ぶことができ、マイクからの最適な距離や発生音量を理解し経験できるため、音声回路の自動利得制御(AGC)でコントロールできる範囲の適正な音量での入力を可能とし、適正音量による入力でエコーやハウリング等による不都合も防止できる。
【0036】
(音声操作の履歴による効果)
また、受信機の音声認識制御部は、音声信号を認識して制御した場合に、認識した音声信号または行った制御を履歴情報として保存し、この場合の音声信号の履歴情報は、音声信号をAD変換した音声データ、認識結果に対応したコード化情報、又は認識結果を示すテキスト情報の少なくとも何れかを含むようにしたため、マイクからの音声入力によって受信機を制御した場合に、その履歴情報を保存し、必要に応じて音声入力による履歴情報を読出して解析や確認等を可能とする。
【0037】
また、マイクから入力した音声信号を音声データとして保存するだけでなく、コード化したり、テキスト化したりして保存することで、音声入力の履歴情報を文字情報として表示したり、印字したりすることを可能とする。
【0038】
また、音声データによる履歴情報の保存に代えて、文字列を示すコード化情報やテキス.ト情報として保存することで、履歴情報の記憶容量を低減し、メモリ使用量を低減可能とする。
【0039】
(外部装置による音声認識の効果)
また、受信機の設けた音声認識制御部の音声認識を、ネットワークを介して接続した外部の音声認識装置により行うようにしたため、例えばインターネット上に存在するサーバの高度な音声認識機能を利用することで、精度の高い認識結果を得て受信機を制御することが可能となり、また、受信機による音声認識動作を不要とすることで、受信機の処理負担を低減可能とする。
【発明を実施するための形態】
【0041】
[防災監視設備の概要]
(防災監視設備)
図1はR型防災監視設備の概要を示したブロック図である。
図1に示すように、R型の受信機10には、受信機制御部16,伝送部18、表示部20、液晶表示部22、操作部24、マイク26、音響警報部28、移報部30及びプリンタ32を設けている。
【0042】
受信機10からは施設の警戒エリアに向けて伝送路12が引き出され、伝送路12にアナログ感知器14を接続している。また伝送路12には中継器を接続し、中継器から引き出された感知器回線にオンオフ感知器及び発信機を接続し、また別の中継器にはガス漏れ検出器を接続しているが、図示を省略している。
【0043】
アナログ感知器14は、受信機10との間で情報を双方向伝送する伝送機能を備えており、受信機10を含めて固有のアドレスが予め割り当てられている。1つの伝送路12に接続できるアナログ感知器14や中継器等の端末数は、例えば最大アドレス数が256アドレスの場合、受信機アドレスを除くことから、255台以下の端末を接続することができる。
【0044】
また、受信機10に設けた別の伝送部からは制御用の伝送路が引き出され、そこに地区音響装置や防排煙機器等の制御機器を伝送路に接続して制御するようにしているが、図示を省略している。
【0045】
受信機10の受信機制御部16は、CPU、メモリ、各種の入出力ポートを備えたコンピュータ回路で構成しており、プログラムの実行により所定の受信機制御を行う。
【0046】
受信機10からアナログ感知器14に対する下り信号は電圧モードで伝送している。この電圧モードの信号は、伝送路12の電圧を例えば18ボルトと30ボルトの間で変化させる電圧パルスとして伝送される。
【0047】
これに対しアナログ感知器14からの上り信号は電流モードで伝送される。この電流モードにあっては、伝送路12に伝送データのビット1のタイミングで信号電流を流し、いわゆる電流パルス列として上り信号が受信機に伝送される。
【0048】
受信機10の受信機制御部16による受信制御は次のようになる。受信機10は、通常の監視中にあっては、端末アドレスを順次指定した正常監視用のポーリングコマンドを送信しており、アナログ感知器14は自己の設定アドレスに一致するポーリングコマンドを受信すると正常監視応答を行う。このため受信機10にあっては、ポーリングコマンドに対し応答がなかったアナログ感知器14を障害として故障を検出することができる。
【0049】
また受信機10は、すべての端末アドレスに対するポーリングコマンドの送信周期ごとに一括AD変換コマンドを繰り返し送信している。アナログ感知器14は受信機10からの一括AD変換コマンドを受信すると、検出している煙濃度や温度などのアナログ検出データをサンプリングし、予め定めた火災レベルと比較している。
【0050】
アナログ感知器14でサンプリングしたアナログ検出データが火災レベルを超えた場合には、受信機10に対しポーリングコマンドに対する応答タイミングで割込信号を送信する。この割込信号は、応答ビット列をオール1とするような通常は使用されない信号を送る。
【0051】
受信機10は、アナログ感知器14からの割込信号を受信すると、グループ検索コマンドを発行し、火災を検出したアナログ感知器14を含むグループからの割込応答を受信してグループを判別する。
【0052】
続いて、判別したグループに含まれる個々のアナログ感知器14に対し、順次アドレスを指定したポーリングを行い、アナログデータ等の火災応答を受けることで、火災を検出したアナログ感知器14の感知器アドレスを認識し、火災警報動作を行うことになる。
【0053】
(音声認識制御)
受信機10の受信機制御部16には音声認識制御部34の機能が設けられている。音声認識制御部34は、受信機10に設けたマイク26からの音声入力による音声信号を取り込んで音声認識し、音声認識結果に対応した制御を行う。
【0054】
また、音声認識制御部34は、防災担当者38が携帯する音声操作端末36に設けたマイクからの音声入力による音声信号を、アナログ感知器14及び伝送路12からなる防災監視設備の伝送系を経由して受信し、受信した音声信号を取り込んで音声認識し、音声認識結果に対応した制御を行う。
【0055】
音声操作端末36から受信機10に音声信号を伝送するため、音声操作端末36及びアナログ感知器14に、ZigBee(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、又はSTD−30(小電力セキュリティシステム無線局の無線設備標準規格)等による近距離無線通信機能を設けている。
【0056】
(受信機パネル)
図2は
図1の防災監視設備に設けた受信機の外観を示した説明図である。
図2に示す受信機10は、建物の防災センターや管理人室等に設置されており、箱形の筐体前面に扉構造の受信機パネル40を配置している。受信機パネル40には、表示部20、液晶表示部22、操作部24、プリンタ32及び音響孔42を設けている。
【0057】
表示部20には火災代表灯、ガス漏れ代表灯、障害代表灯等を設けている。液晶表示部22は、液晶ディスプレイにタッチパネルを設けている。操作部16には、火災警報が出力された場合に操作する各種の操作スイッチを設け、操作部16の下には、下向きに開閉自在な小扉44を設けており、小扉44の中には、各種の操作スイッチに加え、受信機の状態表示灯や電話ジャック等を設けている。音響孔42の背後には
図1の音響警報部28として機能するスピーカを配置している。
【0058】
(操作部)
図3は受信機の操作部を取り出して示した説明図である。
図3に示すように、想像線で示す小扉44の上側の露出した操作部24の部分には、火災又はガス漏れの断定スイッチ46、音響停止スイッチ48、地区音響一時停止スイッチ50及び電話用のマイク26を設けている。
【0059】
また、小扉44で覆われる操作部24の部分には、復旧スイッチ52、地区音響一斉鳴動スイッチ54、一括連動移報停止スイッチ56、電話ジャック58及び状態表示部60を設けている。
【0060】
本実施形態では、操作部24に設けた電話用のマイク26を、音声認識制御を行うための音声入力に使用するマイクと兼用している。勿論、音声認識制御を行う音声入力専用のマイクを設けても良い。
【0061】
また、操作部24の露出した部分の左端には、音声入力スイッチ45を設けており、マイク26からの音声入力により受信機10を制御する場合には、音声入力スイッチ45を操作し、スピーカから例えば「ピッ」といった音声入力の開始音が出たら、マイク26に向かって操作に必要な言葉を話すことで、音声入力に基づく受信機10の制御が行われる。
【0062】
[アナログ感知器の構成]
図4はアナログ感知器の機能構成を示したブロック図である。
図4に示すように、アナログ感知器14には、電源部62、感知器制御部64、伝送部66、センサ部68、及びアンテナ72を接続した中継通信部70を設けている。
【0063】
アナログ感知器14に対する受信機10からの伝送路12は、電源線Vと電源コモン線VC、シリアル伝送線Sとシリアル伝送コモン線SCを備えている。電源部62は電源線Vと電源コモン線VCにより受信機10から供給された所定の直流電源電圧を、所定の感知器電源電圧に変換して各部に電源を供給する。伝送部66はシリアル伝送線Sとシリアル伝送コモン線SCにより、
図1に示した受信機10の伝送部18との間で信号の送受信を行う。
【0064】
センサ部68は火災に伴う温度又は煙濃度を検出して感知器制御部64に出力する。感知器制御部64は、受信機10から一括A/D変換コマンドを受信した場合に、センサ部68からの温度検出信号又は煙濃度検出信号をA/D変換してメモリに記憶し、所定の火災レベルを超えると、伝送部66に指示して割込み信号を送信する。
【0065】
中継通信部70は
図1に示した防災担当者38が携帯している音声操作端末36との間で近距離無線通信により信号の送受信を行い、また伝送部66による受信機10との間で信号を中継による送受信を行う。
【0066】
中継通信部70による近距離無線通信の通信プロトコルとしては、例えばRFID(Radio Frequency IDentification「電波による個体識別」の略)に割当てられた例えば900MHzの周波数、例えば950〜957MHzを使用したZigBee(登録商標)として知られたセンサネットワーク用の近距離無線通信プロトコルを使用する。
【0067】
ZigBee(登録商標)による900MHz帯の短距離無線通信は、送信電力を特定小電力無線局と同様に1mW以下としており、1mWとした場合の見通し通信距離は数十メートル程度であり、本実施形態の音声操作端末36との通信に好適である。
【0068】
また、中継通信部70の通信プロトコルとしては、Bluetooth(登録商標)としても良い。Bluetooth(登録商標)は、2.4GHz帯を79の周波数チャネルに分け、利用する周波数をランダムに変える周波数ホッピングを行いながら、半径10 〜100m程度のBluetooth(登録商標)を搭載した音声操作端末36と無線通信を行う。
【0069】
さらに、中継通信部70の通信プロトコルとしては、日本国内の場合には、例えば400MHz帯の特定小電力無線局の標準規格として知られたSTD−30(小電力セキュリティシステム無線局の無線設備標準規格)に準拠した通信プロトコルを使用しても良い。
【0070】
特定小電力無線局に準拠した携帯端末10の送信電力は、STD−30の場合は10mW以下であり、見通し通信距離は概ね100メートル程度となり、本実施形態の防災機器に設けた機器管理端末36との通信に好適である。
【0071】
また、中継通信部70で送受信する信号は、送信元ID、宛先ID、コマンド又はデータ等を含むパケット形式の信号とする。
【0072】
[音声操作端末]
図5は音声操作端末の機能構成を示したブロック図である。
図5に示すように、音声操作端末36には、端末制御部76、アンテナ80を接続した端末通信部78、表示部82、操作部84、マイク86及びスピーカ88を設けており、電池電源により動作する。
【0073】
端末制御部76は、CPU、メモリ、各種の入出力ポートを備えたコンピュータ回路で構成しており、プログラムの実行により所定の端末制御を行う機能を備える。
【0074】
端末通信部78はアナログ感知器14との間で近距離無線通信により信号を送受信し、端末通信部78の通信プロトコルは、
図5のアナログ感知器14の中継通信部70と同様に、ZigBee(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、又はSTD−30(小電力セキュリティシステム無線局の無線設備標準規格)とする。
【0075】
表示部82には液晶表示部を設け、受信機10から受信した音声認識結果の文字表示機能、マイク86から音声を入力した場合にバーメータ等による音量表示器としての機能、更には、アナログ感知器14からの受信電波の強さを示す受信強度表示機能等を備える。
【0076】
操作部84には、音声入力の開始を受信機10に通知するための音声入力スイッチ、受信機10から受信した音声認識結果を示す表示に対し確認応答するための確認スイッチ等の各種のスイッチを設けている。
【0077】
マイク86は利用者の音声を入力して音声信号に変換し、AGC制御によりレベル調整して端末制御部76に出力している。マイク86は音声操作端末36の筐体に設けて良いし、利用者が頭部にセットして使用するヘッドセットにスピーカ88と共に設けるようにしても良い。
【0078】
スピーカ88は、操作部84に設けた音声入力スイッチの操作に伴う受信機10から確認応答信号を受信した場合の例えば「ピッ」といった確認音や、受信機10からの音声認識結果の確認問合せの音声出力等を行う。
【0079】
端末制御部76はマイク86から音声信号を入力してAD変換により音声データに変換し、音声データを含むパケットを生成し、端末通信部78に指示してアナログ感知器14及び伝送路12を経由して受信機10に送信する制御を行う。
【0080】
また、端末制御部76は、操作部84に設けた音声入力スイッチの操作による音声入力開始信号、確認スイッチの操作による確認信号等を含むパケットを生成し、端末通信部78に指示してアナログ感知器14及び伝送路12を経由して受信機10に送信する制御を行う。
【0081】
また、端末制御部76は、端末通信部78で受信した受信機10からの各種信号を含むパケットの受信に基づき、表示部82による表示やスピーカ88からの音声出力により音声入力開始や音声認識結果等を報知する制御を行う。
【0082】
このような音声操作端末36を防災担当者が携帯して火災発生現場に出向いて火災を確認した場合に、携帯している音声操作端末36を使用して音声入力を行うと、この音声入力による音声信号がアナログ感知器14及び伝送路12を介して受信機10に送られ、受信機10で音声操作端末36からの音声信号を認識し、音声認識結果に対応した制御を遠隔的に行わせることができる。
【0083】
[音声認識制御部]
図6は受信機に設けた音声認識制御部の機能構成を示したブロック図、
図7は受信機に設けたスイッチ制御情報、音声認識結果の出力に使用する音声認識情報、及び文字情報バッファの格納情報を示した説明図である。
【0084】
図6に示すように、音声認識制御部34は、音声入力部90、音声認識部92、雛形記憶部94、制御出力部96、単語変換部98、単語辞書部100、文字情報バッファ102及び文字情報出力部104を備える。
【0085】
(音声認識と制御)
音声入力部90は、受信機10に設けたマイク26から音声信号を入力してAD変換により音声データに変換すると共に、アナログ感知器14及び伝送路12を経由して音声操作端末36から受信した音声データは、そのまま音声認識部92に出力する。
【0086】
音声認識部92は、入力音声波形データを、雛形記憶部94に予め記憶しているひらがな56文字を含む各文字の雛形波形データと比較し、音声データをひらがな文字列に変換する。この音声認識による波形比較は、音声波形データにつき所定の多次元数学値への変換を行い、多次元ベクトルの比較照合などの所定の音声認識方法により、音声データをひらがな文字列に変換する。
【0087】
制御出力部96は、音声認識部92で得られた音声認識結果に基づく受信機10の制御信号を出力する。制御出力部96は例えば
図7(A)に示すスイッチ制御情報106と
図7(B)に示す音声制御情報108に基づき受信機制御を行う。
【0088】
図7(A)のスイッチ制御情報106は、受信機制御部34のメモリに記憶されており、アドレス、スイッチ名、制御ビット及び定位等から構成している。この例では、アドレス001〜006に、
図3の操作部24に設けた断定スイッチ46、音響停止スイッチ48、地区音響一時停止スイッチ50、復旧スイッチ52、地区音響一斉鳴動スイッチ54、一括連動移報停止スイッチ56を登録しており、何れのスイッチも操作していない場合、制御ビットは全てビット0となっている。また、定位の情報は、断定スイッチ、音響停止スイッチ、地区音響一時停止スイッチ、復旧スイッチ及び一括連動移報停止スイッチは停止解除であり、地区音響一斉鳴動スイッチは停止となっている。
【0089】
図7(B)の音声認識情報108は、受信機制御部34のメモリに記憶されており、アドレス、基準認識音声及び制御アドレスで構成している。基準認識音声には、
図3の操作部24に設けた断定スイッチ46、音響停止スイッチ48、地区音響一時停止スイッチ50、復旧スイッチ52、地区音響一斉鳴動スイッチ54、一括連動移報停止スイッチ56に対応したひらがな文字列を記憶している。
【0090】
例えば、音響停止スイッチ48に対応した音声入力としては、「おんきょう ていし」や「けいほう ていし」が想定されることから、これを基準認識音声としてアドレス100,101に記憶しており、制御アドレスは両方とも
図7(A)の音響停止スイッチのアドレス001を記憶している。
【0091】
図6の制御出力部96は、音声認識部92から例えば認識音声「おんきょう ていし」を入力すると、
図7(B)の基準音声情報108の基準認識音声と比較照合し、照合一致したアドレス100の制御アドレス001を取得し、
図7(A)のスイッチ制御情報106のアドレス001の制御ビットをそれまでのビット0からビット1に書き替える。
【0092】
図1の受信機制御部16は周期的に
図7(A)のスイッチ制御情報106を参照しており、音響停止スイッチの制御ビットがビット1に変化したことで、音響停止スイッチの操作が行われたと判断し、受信機10から出力している例えば火災音響警報(主音響警報)を停止する制御を行う。
【0093】
この点は、
図7(B)に示す他の基準認識音声についても同様であり、例えば、断定スイッチ46の音声入力については、[かさい だんてい]、「がす もれ だんてい」及び「だんてい」の3パターンを基準認識音声として記憶しており、何れかの音声入力を認識すると、制御アドレス002を取得し、
図7(A)のスイッチ制御情報106のアドレス002の制御ビットをそれまでのビット0からビット1に書き替えることになる。
【0094】
なお、認識音声によりスイッチ制御テーブル106の制御ビットを書き替えることにより、音声入力に対応した制御を行う手法は、一例であり、単語の並べ替えに対応するなど必要に応じて認識音声から対応する制御を行う適宜の手法をとることができる。
【0095】
(認識音声の文字列変換)
図6の単語変換部98は、音声認識部92から入力したひらがな文字列を、単語辞書部100に登録したひらがな単語と漢字単語との対応関係を参照して、
図7(C)に示すように、漢字入り文字列に変換する。
【0096】
文字情報バッファ102は、単語変換部98で変換した漢字入り文字列による文字情報を一時記憶し、文字情報出力部104により読出して出力する。文字情報出力部104より出力された文字情報は、受信機10のマイク26から音声入力に対しては受信機10の液晶表示部22に表示され、音声操作端末36からの音声入力に対しては、文字情報を含むパケットを伝送路12及びアナログ感知器14を介して音声操作端末36に送って液晶表示部に表示させる。
【0097】
[火災警報を出力した場合の制御]
図8は受信機が火災警報を出力した場合の液晶表示部の表示画面を示した説明図である。まず、受信機10が火災警報を出力した場合の制御及び処置の概要は次にようになる。
(1)火災代表灯の点灯、火災発生場所の表示、主音響の出力、地区音響警報の出力。
(2)火災発生場所の確認。
(3)火災の場合の火災断定操作。
(4)119番通報。
(5)火災でない場合の地区音響停止操作と復旧操作。
【0098】
(液晶表示部又は操作部による制御)
受信機10で例えば感知器からの火災信号を受信して火災警報を出力したとすると、受信機10の表示部20に設けた火災代表灯が点灯し、音響警報部28のスピーカから所定の主音響警報が出力され、更に、
図8(A)に示すように、液晶表示部22に火災報知画面116が表示される。
【0099】
火災報知画面116には、所定の火災マーク118に続いて火災文字120が表示され、その下に火災発生場所122が表示され、併せて、火災の現場確認を促すメッセージ124、音響警報を停止するための操作ボタン126、及び、次の画面に切り替えるための切替ボタン128が表示される。
【0100】
受信機10の火災警報を受けて、防災担当者は、まず火災報知画面116の操作ボタン126にタッチするか、
図3に示した操作部24の音響停止スイッチ48を操作すると、主音響が停止し、液晶表示部22は
図8(B)の火災報知画面130に切り替わる。火災報画面130には、画面下側に、火災の現場確認に応じて操作する「はい」と「いいえ」の操作ボタン132,134と火災発生場所の全体図を示す操作ボタン136が表示される。
【0101】
続いて、防災担当者は火災発生場所に出向いて現場確認する。現場確認により火災であった場合には、受信機10に戻るか、非常電話により受信機側に残っている担当者に連絡し、液晶表示部22の操作ボタン132をタッチするか、
図3に示した操作部24の断定スイッチ46を操作すると、そのとき受信機10で設定している連動停止や移報停止が自動的に解除されることになる。
【0102】
一方、現場確認により火災でなかった場合には、
図8(B)の液晶表示部22の操作ボタン134をタッチするか、
図3に示した操作部24の地区音響一時停止スイッチ50を操作すると、地区音響装置からの音響出力を一時停止する制御が行われると共に、受信機10の液晶表示部22は、復旧ボタンを設けた復旧画面に切り替わる。
【0103】
そこで、感知器が作動した原因を取り除いて復旧画面の復旧ボタンにタッチするか、
図3に示した操作部24の復旧スイッチ52を操作すると、受信機10を通常監視状態に復旧させる制御が行われる。
【0104】
このような液晶表示部22又は操作部24による操作は、従来の受信機10と同じ操作となる。
【0105】
(音声操作端末による遠隔制御)
図9は音声操作端末と受信機の間でアナログ感知器を介して行う音声入力による制御動作を示したタイムチャートである。
【0106】
受信機10で火災警報が出力された場合の主音響の停止までは、従来と同じになるが、本実施形態にあっては、火災発生場所に出向いて現場確認する防災担当者は音声操作端末36を携帯する。
【0107】
現場確認により火災であった場合には、防災担当者は、音声入力に先立ち、
図9のステップS1に示すように、音声操作端末36の操作部84に設けた音声入力スイッチを操作する。これを受けて音声操作端末36はステップS2で音声入力開始信号を、アナログ感知器14を経由して受信機10に送信する。
【0108】
音声操作端末36からの音声入力開始信号を受信した受信機10の音声認識制御部34は、ステップS3で音声認識動作を起動し、続いてステップS4で確認応答信号を、アナログ感知器14を経由して音声操作端末36に送信する。
【0109】
受信機10からの確認応答信号を受信した音声操作端末36は、ステップS5でスピーカ88から例えば「ピッ」といった音声入力開始音を出力し、これを聞いて担当者はマイク86に向けて例えば「かさい だんてい」の言葉を発して音声入力すると、ステップS6で音声信号はAD変換により音声データに変換され、アナログ感知器14を経由して受信機10に送信される。このとき音声操作端末36の表示部82にはバーグラフ等により音量が表示され、バーグラフの目盛に示された適正音量の表示位置を見ることで、音声認識に必要な適正音量による音声入力が可能となる。
【0110】
受信機10はステップS7で音声操作端末36が送信した音声データをメモリに記憶し、続いてステップS8で音声認識を実行し、ステップS9で音声認識成功を判別するとステップS10で音声認識結果を示す音声データをアナログ感知器14を経由して音声操作端末36に送信する。
【0111】
音声操作端末36は、受信機10からの音声データを受信すると、ステップS11で音声認識結果と確認応答のガイダンスを音声出力する。このガイダンスの音声出力は、例えば「火災断定ですね よろしければ 確認スイッチを押してください」とする。なお、音声ガイダンスではなく、表示部82にガイダンス表示をしても良い。また、確認スイッチの操作ではなく、音声入力による確認応答としても良い。
【0112】
音声ガイダンスを受けた担当者は、ステップS12で音声操作端末36の確認スイッチを操作すると、ステップS13で確認応答信号がアナログ感知器14を経由して受信機に送信される。
【0113】
音声操作端末36からの確認応答信号を受信した受信機10は、ステップS14で音声認識結果に基づく制御として、そのとき受信機10で設定している連動停止や移報停止が自動的に解除される火災断定に音声入力に対応した制御を行う。続いて、受信機10はステップS15で制御終了信号をアナログ感知器14を経由して音声操作端末36に送信し、之を受信した音声操作端末36はステップS16で音声入力による制御の正常終了を表示または音声出力により報知する。
【0114】
一方、受信機10はステップS9で音声認識の失敗を判別した場合は、リトライ信号を音声操作端末36に送信して操作音声の再入力を報知させる。
【0115】
このような音声操作端末36を使用した音声入力により、火災発生場所の確認現場に向かった防災担当者は、受信機側に連絡したり、受信機に戻って必要な操作をする手間と時間を省くことができ、受信機に戻る必要がないことから、火災現場で初期消火や避難誘導等の対処を直ぐに行うことが可能となる。
【0116】
(受信機の音声入力による制御)
受信機10に設けた音声認識制御部34は、受信機10に設けたマイク26と音声入力スイッチ45を使用することで、音声操作端末36による音声入力の場合と同様にして、受信機10で火災警報が出力された場合の音声入力により必要な制御を指示することができる。
【0117】
また、受信機10側での音声入力による制御は、受信機10に音声操作端末36と通信接続可能なアナログ感知器14に設けた中継送信部70と同じ通信部を設けることで、音声操作端末36を使用して、音声入力よる受信機制御をできるようにしても良い。
【0118】
(音声認識のチュートリアル機能)
また、受信機10の音声認識制御部34は、音声入力訓練モードを設定した場合に、音声操作端末36又は受信機10に設けたマイク26からの音声信号を認識して認識結果を示す文字列を表示する所謂チュートリアル機能を備える。
【0119】
なお、マイク26からの音声信号を認識した認識結果の表示は、文字列の表示に限定されない。例えば、「OK」や「NG」といった記号による表示や、LEDによる表示色や点滅等のパターンによる表示、ブザー音やスピーカ音による出力、制御内容のピクトグラムや図による画面表示等の適宜の報知が含まれる。
【0120】
このような音声認識のチュートリアル機能により、受信機10に話しかけて音声認識により制御を行う最適な方法を学ぶことができ、マイクからの最適な距離や発生音量を理解し経験できるため、音声回路の自動利得制御(AGC)でコントロールできる範囲の適正な音量での入力を可能とし、適正音量による入力でエコーやハウリング等による不都合も防止できる。
【0121】
(音声操作の履歴による効果)
また、受信機10の音声認識制御部34は、音声入力による音声信号を認識して制御した場合に、認識した音声信号または行った制御を履歴情報としてメモリに保存する履歴保存機能を備える。受信機10で保存する音声入力した音声信号の履歴情報は、音声信号をAD変換した音声データ、認識結果に対応したコード化情報、又は認識結果を示すテキスト情報の少なくとも何れかとする。この場合、マイクから入力した音声信号をコード化したり、テキスト化したりして保存することで、音声データを保存する場合に比べ、歴情報の記憶容量を低減し、メモリ使用量を低減可能とする。
【0122】
(外部装置による音声認識機能)
また、受信機10の設けた音声認識制御部34の音声認識を、インターネット等のネットワークを介して接続した外部のサーバ等に設けた音声認識エンジンにより行うようにしても良い。このようにインターネット上に存在するサーバの高度な音声認識エンジンを利用することで、精度の高い認識結果を得て受信機10を音声入力により制御することが可能となり、また、受信機10による音声認識動作を不要とすることで、受信機10の処理負担を低減できる。
【0123】
[電話回線を利用した音声入力により受信機制御]
図10は電話回線を利用して音声入力により受信機を遠隔的に制御するP型防災監視設備の概要を示したブロック図、
図11は
図10に設けた音声操作端末の機能構成を示したブロック図である。
【0124】
図10に示すように、建物の管理人室などに設置した受信機200からは建物内の警戒区域に向けて信号回線が引き出されており、信号回線は例えば火報線L、コモン線C及び電話線Tの3本であり、火報線Lとコモン線Cで火報回線212を構成し、電話線Tとコモン線Cで電話回線213を構成している。
【0125】
受信機200から引き出された火報回線212には警戒区域内の所定の感知区域ごとに設置したオンオフ感知器214を接続している。オンオフ感知器214は煙濃度又は温度の検出信号から火災を検出して動作した場合(これを「発報」又は「発報動作」という)、発報電流を火報回線212に流すことで火災信号を受信機200に送信して火災警報を出力させる。
【0126】
また受信機200から引き出された火報回線212には発信機215を接続している。発信機215は複数のオンオフ感知器214が設置された警戒区域ごと、例えば各部屋にオンオフ感知器214を設置した場合は廊下壁面等の共用部に設置される。発信機215は保護板でカバーされた発信機釦を備え、この押し込み操作によるスイッチ215aのオンにより火報回線212に発報電流を流すことで火災発信信号を受信機200に送信して火災警報を出力させる。
【0127】
発信機215に設けた開閉自在なカバー扉の中には電話機接続端子として機能する電話ジャック217を設けており、電話ジャック217は受信機200からの電話回線213に接続している。発信機215に設けた電話ジャック217に、防災担当者等が携帯した非常電話機のプラグを差し込むことで、受信機200側の電話ジャックに差し込んでいる非常電話機との間の通話接続が可能となる。
【0128】
ここで、発信機215は受信機200から警戒区域毎に引き出された火報回線212に接続されているが、受信機200から引き出された電話回線213は全ての警戒区域に共通回線として引き回されており、このため複数の発信機215に設けた電話ジャック217は同じ電話回線213に共通に接続されている。
【0129】
このような防災監視設備に対し本実施形態にあっては、受信機10に電話回線アダプタ246を設けて受信機2000の受信機制御部216と電話回線213との間を接続し、また発信機215の電話ジャック217に、防災担当者38が携帯した音声操作端末236をプラグ252の差し込みにより接続することで、音声操作端末236からの音声入力による受信機200の制御を可能とする。
【0130】
受信機200は受信機制御部216を備え、受信機制御部216は、CPU、メモリ、各種の入出力ポートを備えたコンピュータ回路で構成している。また、受信制御部216には音声認識制御部234の機能を設けている。
【0131】
受信機制御部216に対しては、回線受信部218、表示部220、液晶表示部222、操作部224、マイク226、音響警報部228、移報部230、プリンタ232及び通話回路部240を設けている。
【0132】
また受信機制御部216に設けたCPUからはUSBとして知られた汎用シリアルバス(Universal Serial Bus)が引き出され、この汎用シリアルバスに入出力ポートして機能するUSBコネクタによるUSBポート242を1又は複数設けており、その内の1つに電話回線アダプタ246の一方の入出力端子を接続している。
【0133】
回線受信部218はオンオフ感知器214の火災検知による発報動作又は発信機215の押し釦操作で流れる発報電流を検出して火災信号を受信機制御部216に出力する。
【0134】
表示部220、液晶表示部222、操作部224、マイク226、音響警報部228、移報部230、プリンタ232は、
図1に示した表示部20、液晶表示部22、操作部24、マイク26、音響警報部28、移報部30、プリンタ32と基本的に同じになる。
【0135】
通話回路部240は電話回線213の電話線TにコンデンサC1,C2を直列接続し、コンデンサC1,C2の接続点を受信機200に設けた電話ジャック244に接続している。また電話線Tには抵抗R3を介して電源電圧Vcを印加しており、更に抵抗R1,R2を直列接続した分圧回路の分圧電圧を通話接続検出信号として受信機制御部216に出力している。
【0136】
発信機215の電話ジャック217に非常電話機のプラグを差し込み接続すると、抵抗R3から電話線T、電話ジャック217の非常電話機及びコモン線Cとなる経路で電流が流れ、抵抗R1,R2で分圧した通話接続検出信号(電圧信号)が所定値以下に低下し、これを受信機制御部216で検出して電話灯を点灯すると共に呼出音を出力し、受信機200の電話ジャック244に別の非常電話機のフラグを差し込み接続することで、発信機215側の非常電話機との間で通話ができる。
【0137】
受信機制御部216のUSBポート242にUSBコネクタを用いた一方の入出力端子を接続した電話回線アダプタ246は、他方の入出力端子を通話回路部240に設けたコンデンサC1,C2の間に接続し、コンデンサC1,C2を介して電話回線213に接続している。
【0138】
電話回線アダプタ246は、受信機制御部216のUSBポート242と電話回線213との間でパケット信号を送受信する。即ち、電話回線アダプタ246は、USBポート242から受信したパケット信号を電話回線213の可聴帯域の音声周波数帯域300〜3400Hzを搬送波とするパケット信号に変換し、例えば1200bpsの速度で通信する。また、電話回線アダプタ246は、電話回線213から受信した音声周波数帯域300〜3400Hzを搬送波とするパケット信号をUSBプロトコルに従ったパケット信号に変換して受信機制御部216に出力する。
【0139】
電話回線アダプタ246の電話回線213に対する通信は、半二重通信又は全二重通信のFSK方式(周波数シフトキーイング方式)やPSK方式(位相シフトキーイング方式)等とし、市販の電話回線用のモデムが使用できる。
【0140】
発信機215の電話ジャック217にプラグ252を介して接続して使用する音声操作端末236は、
図11に示すように、端末制御部248、プラグ252を接続した端末通信部250、表示部254、操作部256、マイク258及びスピーカ260を備えており、電池電源により動作する。
【0141】
音声操作端末236の端末制御部248、表示部254、操作部256、マイク258及びスピーカ260は、
図5に示した音声操作端末36の端末制御部76、表示部82、操作部84、マイク86及びスピーカ88と基本的に同じになる。
【0142】
端末通信部250は、マイク256から入力した音声のAD変換による音声データや各種信号を含むパケットを端末制御部248から受け、可聴帯域の音声周波数帯域300〜3400Hzを搬送波により電話回線213を介して受信機200に送信すると共に、電話回線213を介して受信機200の電話回線アダプタ246から可聴帯域の音声周波数帯域300〜3400Hzを搬送波とするパケットから受信復調した信号を端末制御部248に出力する。
【0143】
このような防災監視設備に設けた電話回線213を受信機200と音声操作端末236との間で信号を送受信する伝送系に利用することで、防災担当者の携帯する音声操作端末236からの音声入力により受信機200を遠隔的に操作することできる。この場合の音声操作端末236による受信機200の制御は、電話回線213、電話回線アダプタ246及び受信機制御部216のUSBポート242を用いて信号を送受信する以外は、
図1のR型防災監視設備の場合の制御と基本的に同じになる。
【0144】
[本発明の変形例]
上記の実施形態による音声入力による受信機制御では、受信機での音声認識の結果を音声操作端末に送って利用者による確認応答を受けて制御するようにしているが、利用者に確認応答を求めることなく、音声認識結果に基づき直接対応した制御を行うようにしても良い。
【0145】
また、
図10の電話回線を利用して音声操作端末からの音声入力により受信機を遠隔的に制御する実施形態は、
図1に示したR型防災監視設備の電話回線を利用して、同様に、音声操作端末からの入力した音声の音声データを受信機に送信し、音声認識により対応する制御を行うようにしても良い。
【0146】
また、音声操作端末としてフィーチャーフォンやスマートフォン、タブレット、トランシーバーなどの音声入力可能な既知の端末を用いても良いし、基地の端末に付属品を取り付けて信号の入出力を行うものであっても良いし、独自の端末を用いても良い。
【0147】
また本発明は、その目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。