特許第6647944号(P6647944)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6647944
(24)【登録日】2020年1月17日
(45)【発行日】2020年2月14日
(54)【発明の名称】電動ダイカストマシン
(51)【国際特許分類】
   B22D 17/32 20060101AFI20200203BHJP
   B22D 17/20 20060101ALI20200203BHJP
   B29C 45/46 20060101ALI20200203BHJP
   B29C 45/76 20060101ALI20200203BHJP
【FI】
   B22D17/32 H
   B22D17/20 Z
   B22D17/32 A
   B29C45/46
   B29C45/76
【請求項の数】3
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-69333(P2016-69333)
(22)【出願日】2016年3月30日
(65)【公開番号】特開2017-177175(P2017-177175A)
(43)【公開日】2017年10月5日
【審査請求日】2019年1月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000222587
【氏名又は名称】東洋機械金属株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】特許業務法人 武和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中塚 吉久
(72)【発明者】
【氏名】池田 伸吾
(72)【発明者】
【氏名】井尻 崇
【審査官】 坂本 薫昭
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−199089(JP,A)
【文献】 特開2014−079763(JP,A)
【文献】 特開昭60−125620(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22D 17/20,17/22,17/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転可能に保持されたねじ軸と、前記ねじ軸に螺合され、前記ねじ軸の回転駆動に応じて前後進駆動されるナット体と、前記ねじ軸と同心に配置され、先端部に射出プランジャが連結された連結体と、前記ナット体と前記連結体との間に備えられた衝撃緩衝装置と、前記ねじ軸を回転駆動する電動サーボモータと、前記電動サーボモータの駆動を制御する制御装置とを備えた電動ダイカストマシンにおいて、
前記射出プランジャの位置を検出する位置検出器と、前記電動サーボモータの回転量を検出するロータリエンコーダとを備え、
前記衝撃緩衝装置は、前記ナット体に固定される第1部材と、前記連結体に固定される第2部材と、前記第1部材及び前記第2部材の間で前記ナット体の前後進方向に沿って伸縮する弾性部材とを備え、
前記制御装置は、
1ショット毎に低速射出工程、高速射出工程及び増圧工程をこの順に繰り返すように前記電動サーボモータの駆動制御を行い、
前記増圧工程においては、
前記位置検出器の出力信号から求められる前記射出プランジャの位置と、前記ロータリエンコーダの出力信号から求められる前記ナット体の前進位置との差分を、前記衝撃緩衝装置の圧縮量として繰り返し算出し、
繰り返し算出した前記衝撃緩衝装置の圧縮量が予め設定された値となる位置に前記ナット体を配置するように、前記電動サーボモータを位置フィードバック制御で駆動制御することを特徴とする電動ダイカストマシン。
【請求項2】
前記電動サーボモータとして、射出用電動サーボモータと、増圧用電動サーボモータとを備え、前記ねじ軸の一端部に前記増圧用電動サーボモータの駆動力を前記ねじ軸に伝達するタイミングベルトが巻き掛けられる第2プーリを取り付けると共に、前記第2プーリの取付位置よりも前記ねじ軸の先端側に、前記射出用電動サーボモータの駆動力を前記ねじ軸に伝達するタイミングベルトが巻き掛けられる第1プーリを取り付けたことを特徴とする請求項1に記載の電動ダイカストマシン。
【請求項3】
前記ねじ軸と前記第2プーリとの間に、前記増圧用電動サーボモータの駆動力の前記ねじ軸への伝達を断続するワンウェイクラッチを備えたことを特徴とする請求項に記載の電動ダイカストマシン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動ダイカストマシンに係り、特に、金型のキャビティ内に射出・充填された金属溶湯に増圧力を付与する際の電動サーボモータの制御方式に関する。
【背景技術】
【0002】
本願の出願人は、先に、電動ダイカストマシンとして、回転可能に保持されたねじ軸と、ねじ軸に螺合され、ねじ軸の回転駆動に応じて前後進駆動されるナット体と、ナット体の前後進に連動して前後進駆動される射出プランジャと、ナット体及び射出プランジャを前後進方向に案内するガイドバーと、ねじ軸を回転駆動する射出用電動サーボモータ及び増圧用電動サーボモータと、ナット体とガイドバーとの間に並列に配置され、射出プランジャに作用するサージ圧を受けて弾性変形する衝撃緩衝装置と、を含んで構成される電動射出装置を備えたものを提案した(例えば特許文献1の要約書参照。)。
【0003】
本構成の電動ダイカストマシンは、ナット体とガイドバーとの間に衝撃緩衝装置を備えたので、射出プランジャに作用するサージ圧を吸収できて、高品質なダイカスト成形品を製造できると共に、金型の破損を防止できる。また、ナット体とガイドバーとの間に衝撃緩衝装置を並列に備えたので、ナット体とガイドバーとの間に衝撃緩衝装置を直列に備える場合に比べて射出装置ひいてはダイカストマシンの全長を小さくできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014−079763号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、電動ダイカストマシンは、一般に、射出工程中は電動サーボモータを速度フィードバック制御により駆動制御し、高速射出工程から増圧工程への切換時にV−P切換を行って、増圧工程中は電動サーボモータを圧力フィードバック制御により駆動制御している。射出プランジャの前進速度は、電動サーボモータに備えられたロータリエンコーダの出力信号から求められる。また、射出プランジャに作用する圧力は、射出プランジャに連結されたロードセルの出力信号から求められる。このように、増圧工程中における電動サーボモータの駆動制御を圧力フィードバック制御によって行うと、金属溶湯に所定の増圧力を付与できるので、良品を鋳造しやすくなる。
【0006】
しかしながら、ロードセルの出力信号には遅れがあるので、鋳造品の材質や形状によっては、V−P切換後の増圧力の立上りが十分に急峻なものとならず、外観不良や重量不足を生じることがある。また、ロードセルを必須の構成部品として備える必要があるので、電動射出装置ひいては電動ダイカストマシンの構造が複雑化すると共に、製造コストが高価になる。
【0007】
更に、電動ダイカストマシンにおいては、鋳造品の材質や形状に応じて、より高い射出速度を実現するため、射出用電動サーボモータの増設が行われる場合がある。例えば、2台の射出用電動サーボモータを4台に増設することなどが行われる。しかしながら、射出用電動サーボモータの数が増加すると、増圧力の立上りを精緻かつ正確に規制するためのモータ制御が極めて複雑なものになる。
【0008】
本発明は、このような従来技術の問題を解決するためになされたものであり、その目的は、ロードセルを省略可能で、射出用電動サーボモータの増設に対応でき、しかも増圧工程中のモータ制御を簡略化できる電動ダイカストマシンを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、前記課題を解決するため、回転可能に保持されたねじ軸と、前記ねじ軸に螺合され、前記ねじ軸の回転駆動に応じて前後進駆動されるナット体と、前記ねじ軸と同心に配置され、先端部に射出プランジャが連結された連結体と、前記ナット体と前記連結体との間に備えられた衝撃緩衝装置と、前記ねじ軸を回転駆動する電動サーボモータと、前記電動サーボモータの駆動を制御する制御装置とを備えた電動ダイカストマシンにおいて、前記射出プランジャの位置を検出する位置検出器と、前記電動サーボモータの回転量を検出するロータリエンコーダとを備え、前記衝撃緩衝装置は、前記ナット体に固定される第1部材と、前記連結体に固定される第2部材と、前記第1部材及び前記第2部材の間で前記ナット体の前後進方向に沿って伸縮する弾性部材とを備え、前記制御装置は、1ショット毎に低速射出工程、高速射出工程及び増圧工程をこの順に繰り返すように前記電動サーボモータの駆動制御を行い、前記増圧工程においては、前記位置検出器の出力信号から求められる前記射出プランジャの位置と、前記ロータリエンコーダの出力信号から求められる前記ナット体の前進位置との差分を、前記衝撃緩衝装置の圧縮量として繰り返し算出し、繰り返し算出した前記衝撃緩衝装置の圧縮量が予め設定された値となる位置に前記ナット体を配置するように、前記電動サーボモータを位置フィードバック制御で駆動制御することを特徴とする。
【0010】
本構成によると、衝撃緩衝装置を射出プランジャに作用する圧力を検出するための圧力センサとして利用できるので、ロードセルの設置を省略できる。そして、衝撃緩衝装置を圧力センサとして利用すると、ロードセルを用いた場合のように出力信号の遅れがないので、溶融金属に作用する増圧力を精緻かつ正確に制御できて、外観不良や重量不足が無い鋳造品を安定して製造できる。一方、衝撃緩衝装置の弾性係数は既知であるので、衝撃緩衝装置の圧縮量を設定することにより、溶融金属に作用する増圧力を設定することができる。また、増圧工程における衝撃緩衝装置の圧縮量は、位置検出器の出力信号から求められる射出プランジャの位置と電動サーボモータの回転量から求められるナット体の前進量との差分として求めることができる。よって、電動サーボモータを位置フィードバック制御で駆動制御することが可能であり、電動サーボモータを圧力フィードバック制御で駆動制御する場合に比べて、増圧工程中のモータ制御を簡略化できる。また、増圧工程中のモータ制御を簡略化できることから、射出用電動サーボモータの増設にも容易に対応できる。
【0012】
増圧工程においては、溶融金属の凝固収縮に伴って、射出プランジャが高速射出工程の終了時よりも微量だけ微速前進する。本構成の制御方式によると、衝撃緩衝装置の圧縮量が予め設定された設定値となるように電動サーボモータの駆動を制御するので、電動サーボモータの駆動を溶融金属の凝固収縮に伴う射出プランジャの微速前進に追従させることができ、所要の増圧力を正確に金属溶湯に付与できて、良品を安定に鋳造できる。
【0013】
また本発明は、前記構成の電動ダイカストマシンにおいて、前記電動サーボモータとして、射出用電動サーボモータと、増圧用電動サーボモータとを備え、前記ねじ軸の一端部に前記増圧用電動サーボモータの駆動力を前記ねじ軸に伝達するタイミングベルトが巻き掛けられる第2プーリを取り付けると共に、前記第2プーリの取付位置よりも前記ねじ軸の先端側に、前記射出用電動サーボモータの駆動力を前記ねじ軸に伝達するタイミングベルトが巻き掛けられる第1プーリを取り付けたことを特徴とする。
【0014】
本構成によると、ねじ軸の一端部に増圧用電動サーボモータの駆動力をねじ軸に伝達するタイミングベルトが巻き掛けられる第2プーリを取り付けるので、ねじ軸からの第2プーリの取り外し及び第2プーリが取り付けられていた部分への第1プーリの取り付けが容易で、射出用電動サーボモータの増設を容易に行うことができる。
【0015】
また本発明は、前記構成の電動ダイカストマシンにおいて、前記ねじ軸と前記第2プーリとの間に、前記増圧用電動サーボモータの駆動力の前記ねじ軸への伝達を断続するワンウェイクラッチを備えたことを特徴とする。
【0016】
ねじ軸と第2プーリとの間にワンウェイクラッチを備えると、所定のタイミングで増圧用電動サーボモータの回転力をねじ軸に伝達できるので、キャビティ内の溶融金属に所要の増圧力を付与することができ、ひけ巣などの成形不良のない良品を鋳造することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の電動ダイカストマシンは、増圧工程において、衝撃緩衝装置の圧縮量が予め設定された設定値となるように、電動サーボモータを位置フィードバック制御で駆動制御するので、ロードセルの設置を省略できる。また、電動サーボモータを位置フィードバック制御で駆動制御するので、溶融金属に作用する増圧力を精緻かつ正確に制御でき、外観不良や重量不足が無い鋳造品を安定して製造できる。さらに、電動サーボモータを位置フィードバック制御で駆動制御することから、増圧工程中のモータ制御を簡略化できて、射出用電動サーボモータの増設にも容易に対応できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】実施例1に係る電動射出装置の正面側から見た要部断面図である。
図2】実施例1に係る電動射出装置の要部側面図である。
図3】実施例1に係る衝撃緩衝装置の断面図である。
図4】実施例1に係る衝撃緩衝装置の第1部材側から見た正面図である。
図5】実施例1に係るワンウェイクラッチの全体斜視図である。
図6】実施例1に係るワンウェイクラッチの要部断面図である。
図7】実施例1に係るばね式のロータリダンパの構成図である。
図8】実施例1に係る電動射出装置の動作説明図である。
図9】実施例2に係る電動射出装置の構成を示す要部側面図である。
図10】実施例3に係る電動射出装置の構成を示す要部側面図である。
図11】実施例4に係る電動射出装置の構成を示す要部側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る電動ダイカストマシンの実施形態を、実施例毎に図を用いて説明する。なお、本発明の要旨は、以下に記載する実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に反しない範囲で、他の構成の電動ダイカストマシンに対しても適用することができる。
【0020】
〈実施例1〉
実施例1に係る電動ダイカストマシン100Aは、図1及び図2に示すように、電動射出装置1に、2台の射出用電動サーボモータ2a、2bと、1台の増圧用電動サーボモータ3を備えている。
【0021】
また、本例の電動射出装置1は、保持プレート4に軸受5を介して回転可能に保持されたねじ軸6と、ねじ軸6に螺合され、ねじ軸6の回転駆動に伴って前後進駆動されるナット体7と、ねじ軸6と同心に配置され、先端部に射出プランジャ8aが取り付けられた連結体8と、ナット体7と連結体8との間に配置され、連結体8に作用するサージ圧を吸収する衝撃緩衝装置9とを備えている。さらに、連結体8には、射出プランジャ8aの位置を検出する位置検出器10が備えられている。なお、射出プランジャ8aの先端部は、図示しない固定ダイプレートに形成された射出スリーブ内に配置されている。
【0022】
更に、ねじ軸6の一端部(連結体8の取付側とは反対側の端部)には、外側から順に、ワンウェイクラッチ11及びロータリダンパ12と、増圧用電動サーボモータ3の駆動力をねじ軸6に伝達するタイミングベルト13が巻き掛けられる第2プーリ14と、射出用電動サーボモータ2a、2bの駆動力をねじ軸6に伝達するタイミングベルト15a、15bが巻き掛けられる第1プーリ16とが、この順に取り付けられている。
【0023】
射出用電動サーボモータ2a、2b及び増圧用電動サーボモータ3は、制御装置20から出力される制御信号により駆動が制御される。なお、制御装置20としては、電動ダイカストマシンの駆動全体を制御するマシンコントローラを用いることもできる。
【0024】
図2に示すように、実施例1に係る電動射出装置1は、保持プレート4の上方に射出用電動サーボモータ2a、2bが配置され、保持プレート4の側方に増圧用電動サーボモータ3が配置されている。また、増圧用電動サーボモータ3の取付側には、中間プーリ17が配置されている。
【0025】
なお、図1から明らかなように、実施例1に係る電動射出装置1には、電動ダイカストマシンの電動射出装置に一般的に備えられるロードセルが備えられていない。従って、実施例1に係る電動射出装置1は、ロードセルを備えた従来の電動射出装置に比べて、その長さ寸法を小型化することができる。
【0026】
以下、各部の構成をより詳細に説明する。
【0027】
衝撃緩衝装置9は、図1図3及び図4に示すように、ナット体7に固定される第1部材33と、連結体8に固定される第2部材35と、第1部材33と第2部材35との間に設置されたコイルばねなどの弾性部材36とから構成される。
【0028】
図4に示すように、第1部材33及び第2部材35は、正面形状が略六角形に形成されており、その中央部にはナット体7を貫通するためのナット体貫通孔38が開設されている。また、ナット体貫通孔38の周囲の所定位置には、連結ボルト37を貫通するための連結ボルト貫通孔39が開設されている。さらに、ナット体貫通孔38の周囲の連結ボルト貫通孔39と干渉しない部分には、複数個(図4の例では、10個)の弾性部材収容穴40がほぼ等分に形成されている。
【0029】
加えて、本例の衝撃緩衝装置9は、図4に示すように、第1部材33及び第2部材35の長径方向の端部に、ガイドバー43を貫通するためのガイドバー貫通孔41が開設され、該ガイドバー貫通孔41内には、ガイドバー43を摺動自在に保持するすべり軸受(メタル)42が備えられている。ガイドバー43は、衝撃緩衝装置9の動揺を抑制して、衝撃緩衝装置9をねじ軸6の長さ方向に沿って伸縮させるもので、ねじ軸6と平行に向けて保持プレート4に取り付けられる。なお、ナット体7と連結体8との間に衝撃緩衝装置9を安定に保持できる場合には、ガイドバー貫通孔41、すべり軸受42及びガイドバー43を省略することもできる。
【0030】
弾性部材36は、図3に示すように、その両端部が第1部材33に形成された弾性部材収容穴40及び第2部材35に形成された弾性部材収容穴40にそれぞれ収容される。第1部材33及び第2部材35は、弾性部材収容穴40内に弾性部材36を収容した状態において、連結ボルト貫通孔39内に連結ボルト37を貫通し、連結ボルト37に螺合されたナットを締め付けることにより、一体に組み立てられる。
【0031】
なお、衝撃緩衝装置9の組立時における連結ボルト37の締付力は、射出工程から増圧工程への切換時における金属溶湯の圧力と同等かこれよりも若干(例えば、1.05倍〜1.1倍)大きい圧縮力が弾性部材36に付与されるように調整される。これにより、射出工程中に弾性部材36が縮むことはなく、金属溶湯に所要の射出圧力を付与することができる。また、第1部材33と第2部材35は、サージ圧を受けたときにも密着しない所定の間隔を隔てて組み合わされる。
【0032】
ワンウェイクラッチ11は、図5及び図6に示すように、内輪51と、外輪52と、これら内輪51及び外輪52の間に揺動可能に配置された複数のカム53と、カム53を保持するリテーナ54と、カム53を一方向に付勢するばね部材55とから主に構成されている。カム53は、内輪51及び外輪52を特定の一方向に回転する場合において、内輪51の回転速度が外輪52の回転速度よりも高速であるときには、これら内輪51及び外輪52との係合が解除されて、外輪52に対して内輪51が空転する。また、このカム53は、内輪51の回転速度が外輪52の回転速度よりも低速になったときには、内輪51及び外輪52に係合し、内輪51と外輪52とを前記特定の一方向に一体に回転させる。内輪51は、ねじ軸6の外周に固定され、外輪52は、第2プーリ14の内周に固定される。
【0033】
ワンウェイクラッチ11に対向するねじ軸6の端部には、図1に示すように、ワンウェイクラッチ11を潤滑するための潤滑装置(潤滑油供給ノズル)44が備えられる。潤滑装置44は、潤滑油供給ノズル、潤滑油タンク、これら潤滑油供給ノズルと潤滑油タンクとを繋ぐ給油ホース及び排油ホース、並びに潤滑油タンク内の潤滑油を潤滑油供給ノズルに圧送する給油ポンプとから構成され、潤滑油供給ノズルが潤滑装置取付板45を介してワンウェイクラッチ11の外輪52に取り付けられる。実施例1に係る電動射出装置1は、ワンウェイクラッチ11に対向させて潤滑装置44を配置したので、ワンウェイクラッチ11の潤滑効率を高めることができて、ワンウェイクラッチ11の寿命を延長できる。
【0034】
ロータリダンパ12は、ワンウェイクラッチ11に作用する衝撃力を緩和するためのものであって、ワンウェイクラッチ11の外輪52と第2プーリ14との間に設置される。ロータリダンパ12には、ばねの弾性でワンウェイクラッチ11に作用する衝撃力及び振動を吸収するばね式のロータリダンパと、ゴム板の弾性でワンウェイクラッチ11に作用する衝撃力及び振動を吸収するゴム板式のロータリダンパとがある。
【0035】
ばね式のロータリダンパ12は、図7に示すように、外歯61を有する内輪62と、内歯63を有する外輪64と、外歯61と内歯63との間に配置されたばね65とから構成されている。内輪62は、ワンウェイクラッチ11の外輪52に固定され、外輪64は、第2プーリ14に固定される。よって、内輪62と外輪64とが相対的に周方向に回転すると、ばね65が弾性変形して、ワンウェイクラッチ11に作用する回転方向の衝撃力及び振動を吸収する。ばね式のロータリダンパ12は、各種のものが市販されているので、実施例1に係る電動ダイカストマシン100Aを容易に実施できる。
【0036】
ゴム板式のロータリダンパ12は、所要の弾性力を有する原料ゴムを、ワンウェイクラッチ11の外輪52と第2プーリ14との間に設置可能な形状、例えばドーナツ形状に形成してなる。ゴム板式のロータリダンパ12の内周部は、ワンウェイクラッチ11の外輪52に固定され、ゴム板式のロータリダンパ12の外周部は、第2プーリ14に固定される。よって、ワンウェイクラッチ11の外輪52と、第2プーリ14とが相対的に周方向に回転すると、ゴム板式のロータリダンパ12が弾性変形して、ワンウェイクラッチ11に作用する回転方向の衝撃力及び振動を吸収する。ゴム板式のロータリダンパ12は、比較的安価に製造できるので、実施例1に係る電動ダイカストマシン100Aを安価に実施できる。
【0037】
実施例1に係る電動射出装置1は、クラッチ機構として、増圧用電動サーボモータ3によって回転駆動されるねじ軸6の回転速度よりも、射出用電動サーボモータ2a、2bによって回転駆動されるねじ軸6の回転速度の方が低速になった段階で、自動的に接続状態に切り替わるワンウェイクラッチ11を用いたので、制御装置20によるクラッチ装置の切換制御が不要になり、制御装置20の負担を軽減できる。
【0038】
また、実施例1に係る電動射出装置1は、ワンウェイクラッチ11の外輪52と第2プーリ14との間にロータリダンパ12を設置するので、ワンウェイクラッチ11に作用する衝撃力を緩和でき、ワンウェイクラッチ11の故障を減少できる。また、実施例1に係る電動射出装置1は、ワンウェイクラッチ11に作用する衝撃力を緩和できることから、ワンウェイクラッチ11の片当たりを防止でき、この点からもワンウェイクラッチ11の故障を減少できる。更に、実施例1に係る電動射出装置1は、故障を防止するためにワンウェイクラッチ11を大型化する必要がないので、増圧用電動サーボモータ3に作用するイナーシャが増加せず、高圧射出工程から増圧工程への移行を円滑に行うことができる。
【0039】
第2プーリ14は、ベアリング71を介してねじ軸6に取り付けられる。また、第1プーリ16は、ねじ軸6に固着される。
【0040】
中間プーリ17は、増圧用電動サーボモータ3の回転出力の減速比を高めるものであって、大プーリ17aと小プーリ17bとが同心に形成されている。増圧用電動サーボモータ3の出力軸に備えられた原動プーリ3aと大プーリ17aには、増圧用電動サーボモータ3の駆動力を中間プーリ17に伝達する中間タイミングベルト72が巻き掛けられ、小プーリ17bと第2プーリ14には、中間プーリ17の駆動力をねじ軸6に伝達する増圧用のタイミングベルト13が巻き掛けられる。よって、実施例1に係る電動射出装置1は、増圧用電動サーボモータ3の駆動力が2段階に減速され、ねじ軸6に付与される。よって、実施例1に係る電動射出装置1は、金型のキャビティ内に射出・充填された金属溶湯に十分な大きさの増圧力を付与することができる。
【0041】
また、射出用電動サーボモータ2a、2bの各出力軸に備えられた原動プーリ18a、18bと第1プーリ16には、射出用電動サーボモータ2a、2bの駆動力をねじ軸6に伝達する射出用のタイミングベルト15a、15bが巻き掛けられる。
【0042】
実施例1に係る電動射出装置1は、ねじ軸6の一端部にワンウェイクラッチ11とロータリダンパ12とを取り付け、それよりも内側に、第2プーリ14と第1プーリ16とをこの順に取り付けるので、ワンウェイクラッチ11の修理及び交換時に、射出用電動サーボモータ2a、2b、タイミングベルト15a、15b及び第1プーリ16をねじ軸6から取り外す必要がなく、ワンウェイクラッチ11の修理及び交換を容易なものにできる。
【0043】
また、実施例1に係る電動射出装置1は、射出用電動サーボモータ2a、2b、タイミングベルト15a、15b及び第1プーリ16をねじ軸6から取り外すことなく、ワンウェイクラッチ11、第2プーリ14、増圧用電動サーボモータ3及び中間プーリ17を取り外すことができるので、ワンウェイクラッチ11、第2プーリ14、増圧用電動サーボモータ3及び中間プーリ17を取り外した後に、その空きスペースを利用して新たな射出用電動サーボモータ2a、2b、タイミングベルト15a、15b及び第1プーリ16を追加するだけで、射出用電動サーボモータ2a、2bの増設を行うことができる。よって、増圧用電動サーボモータ3から射出用電動サーボモータ2a、2bへの付け替えを容易に行うことができる。
【0044】
制御装置20は、射出用電動サーボモータ2a、2b及び増圧用電動サーボモータ3を駆動制御する。なお、制御装置20としては、ダイカストマシン全体の駆動制御を司るマシンコントローラを用いることもできる。
【0045】
即ち、制御装置20は、射出用電動サーボモータ2a、2b及び増圧用電動サーボモータ3の起動タイミング、停止タイミング、加速条件、減速条件、回転速度及び回転トルクなど、射出用電動サーボモータ2a、2b及び増圧用電動サーボモータ3の駆動制御全般を司る。これにより、実施例1に係る制御装置20は、予め設定された鋳造品の鋳造条件に基づいて、低速射出工程、高速射出工程、増圧工程、鋳造品の突出し工程及び射出プランジャ8aの後退工程をこの順に繰り返し、所要の鋳造品を連続的に鋳造する。
【0046】
特に、実施例1に係る制御装置20は、増圧工程において、増圧用電動サーボモータ3に備えられたロータリエンコーダ(図示省略)の出力信号及び位置検出器10の出力信号から衝撃緩衝装置9の圧縮量(衝撃緩衝装置9に備えられた弾性部材36の圧縮量)を求め、この求められた衝撃緩衝装置9の圧縮量に基づいて、増圧工程における増圧力の制御を行うことを特徴とする。即ち、衝撃緩衝装置9の圧縮量は、金型のキャビティ内に射出・充填された溶融金属に付与される増圧力に換算できるため、ロードセルを用いることなく、衝撃緩衝装置9の圧縮量に基づいて、キャビティ内の溶融金属に付与される増圧力を制御できる。
【0047】
実施例1に係る電動射出装置1は、このような知見に基づいて発明がなされたものであり、増圧力の設定が、衝撃緩衝装置9の圧縮量を設定することにより行われる。
【0048】
衝撃緩衝装置9の圧縮量は、射出プランジャ8aの位置とナット体7の前進位置との差分として求められる。そこで、実施例1に係る制御装置20は、位置検出器10の出力信号から射出プランジャ8aの位置を求めると共に、増圧用電動サーボモータ3に備えられたロータリエンコーダの出力信号からナット体7の前進位置を求め、両位置の差分が設定された衝撃緩衝装置9の圧縮量になるように、増圧用電動サーボモータ3を位置フィードバック制御で駆動制御する。
【0049】
なお、上述したように、増圧工程においては溶融金属の凝固収縮に伴って射出プランジャ8aが微速前進するので、制御装置20は、この射出プランジャ8aの微速前進に応じて、増圧用電動サーボモータ3の位置フィードバック制御による駆動制御を、多段階にわたって繰り返す。これにより、増圧力の制御を精緻かつ正確に制御できる。
【0050】
実施例1に係る電動射出装置1は、衝撃緩衝装置9を射出プランジャ8aに作用する増圧力を検出するための圧力センサとして利用するので、ロードセルの設置を省略でき、電動射出装置1の低コスト化が図れると共に、溶融金属に作用する増圧力を精緻かつ正確に制御できて、外観不良や重量不足が無い鋳造品を安定して製造できる。また、増圧用電動サーボモータ3を位置フィードバック制御で駆動制御するので、増圧用電動サーボモータ3を圧力フィードバック制御で駆動制御する場合に比べて、増圧工程中のモータ制御を簡略化できる。
【0051】
以下、実施例1に係る電動射出装置1の動作及び効果を、図8に基づいて説明する。以下の動作は、制御装置20から出力される制御信号に基づいて行われる。
【0052】
図8(b)に示すように、ダイカストマシンが連続自動運転を実行している状態において、低速射出の開始タイミングに至ると、射出用電動サーボモータ2a、2bが所定の回転方向に起動され、その回転速度が予め定められた低速射出用の回転速度に制御される。次いで、高速射出の開始タイミングに至ると、射出用電動サーボモータ2a、2bが増速され、その回転速度が予め定められた高速射出用の回転速度に制御される。
【0053】
射出用電動サーボモータ2a、2bの回転は、射出用電動サーボモータ2a、2bの各出力軸に備えられた原動プーリ18a、18b、タイミングベルト15a、15b及び第1プーリ16を介してねじ軸6に伝達され、ねじ軸6を低速射出時の回転速度及び高速射出時の回転速度で回転駆動する。ねじ軸6が回転駆動されると、ねじ軸6に螺合されたナット体7が前進駆動され、図8(b)に示すように、ナット体7に衝撃緩衝装置9及び連結体8を介して連結された射出プランジャ8aが、所定の低速射出時の前進速度及び高速射出時の前進速度で前進駆動される。これにより、射出スリーブ内に供給された一定量の溶融金属が、図示しない金型のキャビティ内に所定の射出速度で低速射出された後、所定の射出速度で高速射出される。
【0054】
射出プランジャ8aの前進により、射出スリーブ内の溶融金属が金型のキャビティ内に射出されたとき、キャビティ内の溶融金属には、衝撃的なサージ圧が作用する。サージ圧が過大であると、製品にバリなどの成形不良が発生しやすくなるし、金型が破損する原因ともなる。本実施形態に係る電動射出装置1は、衝撃緩衝装置9に備えられた弾性部材36でサージ圧を吸収する。即ち、高速射出工程において発生したサージ圧は、射出プランジャ8a及び連結体8を介して衝撃緩衝装置9の第2部材35に伝達されるので、図8(a)のA部に示すように、第1部材33と第2部材35との間で弾性部材36が圧縮され、その弾性変形によってサージ圧が吸収される。よって、キャビティ内の溶融金属に過大なサージ圧が作用せず、良品の製造が可能になる。
【0055】
高速射出工程の終期に至ると、制御装置20は、図8(b)に示すように、射出用電動サーボモータ2a、2bを減速制御し、最終的には射出用電動サーボモータ2a、2bの回転を停止する。また、制御装置20は、射出用電動サーボモータ2a、2bの減速制御を開始する以前に、増圧用電動サーボモータ3の起動を開始し、その回転速度を予め定められて所定の回転速度に保持する。射出用電動サーボモータ2a、2bの回転速度は減速制御によって漸減し、増圧用電動サーボモータ3の回転速度は起動制御によって漸増するので、射出用電動サーボモータ2a、2bの減速制御中に、射出用電動サーボモータ2a、2bの回転速度と増圧用電動サーボモータ3の回転速度は逆転する。
【0056】
したがって、増圧用電動サーボモータ3を起動した後においても、射出用電動サーボモータ2a、2bによって回転駆動されるねじ軸6の回転速度の方が、増圧用電動サーボモータ3によって回転駆動されるねじ軸6の回転速度よりも高速である場合には、ワンウェイクラッチ11が空転し、増圧用電動サーボモータ3の回転力はねじ軸6に伝達されない。よって、射出用電動サーボモータ2a、2bを駆動制御することにより、射出工程中の低速射出工程及び高速射出工程が実行される。
【0057】
この状態からさらに射出用電動サーボモータ2a、2bによって回転駆動されるねじ軸6の回転速度が低下し、増圧用電動サーボモータ3によって回転駆動されるねじ軸6の回転速度よりも、射出用電動サーボモータ2a、2bによって回転駆動されるねじ軸6の回転速度の方が低速になると、その段階で、ワンウェイクラッチ11が自動的に接続状態に切り替わり、増圧用電動サーボモータ3の回転力が、増圧用電動サーボモータ3の出力軸に備えられた原動プーリ3a、中間タイミングベルト72、中間プーリ17の大プーリ17a、中間プーリ17の小プーリ17b、タイミングベルト13、第2プーリ14を介してねじ軸6に伝達される。
【0058】
この回転力は、ナット体7によって直進力に変換され、衝撃緩衝装置9及び連結体8を介して射出プランジャ8aに伝達される。この増圧用電動サーボモータ3による動力補給により、図8(c)に示すように、金型キャビティ内の溶融金属に所要の増圧圧力が付与され、射出工程に引き続く増圧工程が実行される。これにより、鋳物巣などの成形不良を防止することができる。
【0059】
この増圧工程において、増圧用電動サーボモータ3は、射出プランジャ8aの位置とナット体7の前進位置との差分として求められる衝撃緩衝装置9の圧縮量が、増圧力を設定するために予め設定された衝撃緩衝装置9の圧縮量となるように、位置フィードバック制御で駆動制御される。図8(a)のB部は、このときの弾性部材36の挙動を示している。
【0060】
なお、上述の増圧用電動サーボモータ3の駆動制御においては、射出用電動サーボモータ2a、2bの減速制御を開始する以前に増圧用電動サーボモータ3を起動したが、本発明の要旨はこれに限定されるものではなく、射出用電動サーボモータ2a、2bの減速制御を開始すると同時、又はそれ以降に増圧用電動サーボモータ3の起動を開始することもできる。
【0061】
増圧工程の完了後、冷却工程が終了し、図示しない型開閉電動サーボモータを駆動して型開き工程が実行されると、増圧工程時に圧縮されていた弾性部材36の復元力により、型開き工程の開始時から射出プランジャ8aによってビスケットに対して押出方向の圧力がかかり、型開き動作にビスケット押出動作を追従させることができる。その後、射出用電動サーボモータ2a、2bを逆転駆動してナット体7を原位置に復帰する。これに伴って連結体8及び射出プランジャ8aも原位置に復帰する。
【0062】
〈実施例2〉
実施例2に係る電動ダイカストマシン100Bは、図9に示すように、増圧用電動サーボモータ3を取り外し、電動射出装置1に4台の射出用電動サーボモータ2a、2b、2c、2dを備えたことを特徴とする。本例においては、2台の射出用電動サーボモータ2a、2bが保持プレート4の上方に配置され、他の2台の射出用電動サーボモータ2c、2dが保持プレート4の側方に配置されている。その他については、実施例1に係る電動射出装置1と同じであるので、説明を省略する。
【0063】
上述したように、実施例1に係る電動射出装置1は、射出用電動サーボモータ2a、2b、タイミングベルト15a、15b及び第1プーリ16をねじ軸6から取り外すことなく、ワンウェイクラッチ11、第2プーリ14、増圧用電動サーボモータ3及び中間プーリ17を取り外すことができる。よって、これらの各部材を取り外した後に、ワンウェイクラッチ11及び第2プーリ14の取付スペースに新たな第1プーリ16を取り付け、増圧用電動サーボモータ3及び中間プーリ17の取付スペースに新たな射出用電動サーボモータ2c、2d及びタイミングベルト15c、15dを取り付けるだけで、射出用電動サーボモータ2c、2dを増設して、実施例2に係る電動ダイカストマシン100Bとすることができる。よって、増圧用電動サーボモータ3から射出用電動サーボモータへ2c、2dの付け替えを容易に行うことができる。
【0064】
実施例2に係る電動射出装置1は、増圧工程において、4台の射出用電動サーボモータ2a、2b、2c、2dを位置フィードバック制御により駆動制御して、キャビティ内に射出・充填された溶融樹脂に所定の増圧力を付与する。
【0065】
〈実施例3〉
実施例3に係る電動ダイカストマシン100Cは、図10に示すように、2台の射出用電動サーボモータ2a、2bを保持プレート4の上方に配置し、他の2台の射出用電動サーボモータ2c、2dを保持プレート4の下方に配置したことを特徴とする。その他については、実施例2に係る電動射出装置1と同じであるので、説明を省略する。なお、図10に二点鎖線で示すように、2台の射出用電動サーボモータ2a、2bを保持プレート4の左方に配置し、他の2台の射出用電動サーボモータ2c、2dを保持プレート4の右方に配置することもできる。
【0066】
〈実施例4〉
実施例4に係る電動ダイカストマシン100Dは、図11に示すように、2台の射出用電動サーボモータ2a、2bを保持プレート4の上方に配置し、1台の増圧用電動サーボモータ3を保持プレート4の下方に配置し、増圧用電動サーボモータ3の出力軸に取り付けられた原動プーリ3aと第2プーリ14とにタイミングベルト13を巻き掛けたことを特徴とする。その他については、実施例1に係る電動射出装置1と同じであるので、説明を省略する。なお、図11に二点鎖線で示すように、2台の射出用電動サーボモータ2a、2bを保持プレート4の左方と右方とに配置することもできる。
【0067】
その他、電動射出装置に備えられる射出用電動サーボモータ及び増圧用電動サーボモータの数、並びに、保持プレート4に対する各電動サーボモータの配置については、必要に応じて種々変更することができる。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明は、電動ダイカストマシンに備えられる電動射出装置に利用できる。
【符号の説明】
【0069】
1…電動射出装置、2a、2b…射出用電動サーボモータ、3…増圧用電動サーボモータ、3a…原動プーリ、4…保持プレート、5…軸受、6…ねじ軸、7…ナット体、8…連結体、8a…射出プランジャ、9…衝撃緩衝装置、10…位置検出器、11…ワンウェイクラッチ、12…ロータリダンパ、13…タイミングベルト(増圧用)、14…第2プーリ、15a、15b…タイミングベルト(射出用)、16…第1プーリ、17…中間プーリ、18a、18b…原動プーリ、20…制御装置、33…第1部材、35…第2部材、36…弾性部材、38…ナット体貫通孔、39…連結ボルト貫通孔、40…弾性部材収容穴、41…ガイドバー貫通孔、42…すべり軸受、43…ガイドバー、44…潤滑装置、45…潤滑装置取付板、51…内輪、52…外輪、53…カム、54…リテーナ、55…ばね部材、61…外歯、62…内輪、63…内歯、64…外輪、65…ばね、71…ベアリング、72…中間タイミングベルト、100A、100B、100C、100D…電動ダイカストマシン
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