特許第6647951号(P6647951)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6647951
(24)【登録日】2020年1月17日
(45)【発行日】2020年2月14日
(54)【発明の名称】照明器具
(51)【国際特許分類】
   F21V 23/06 20060101AFI20200203BHJP
   F21S 8/04 20060101ALI20200203BHJP
   F21V 21/00 20060101ALI20200203BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20200203BHJP
【FI】
   F21V23/06
   F21S8/04
   F21V21/00 110
   F21Y115:10
【請求項の数】6
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-85594(P2016-85594)
(22)【出願日】2016年4月21日
(65)【公開番号】特開2017-195120(P2017-195120A)
(43)【公開日】2017年10月26日
【審査請求日】2018年10月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】505455945
【氏名又は名称】コイズミ照明株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002217
【氏名又は名称】特許業務法人矢野内外国特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大橋 俊也
(72)【発明者】
【氏名】木村 弘典
【審査官】 田中 友章
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−233271(JP,A)
【文献】 特開2014−149945(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/041810(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21V 23/06
F21S 8/04
F21V 21/00
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源部と、
前記光源部に給電する電源部と、
被取付部に取り付けられる器具本体と、
前記電源部に電線を介して電気的に接続されるとともに外部からの電線を電気的に接続するための接続部と、
前記器具本体の取付面側に取り付けられるとともに前記接続部が挿通される挿通孔を有する背面カバー部と、を備え、
前記器具本体は、前記被取付部に固定部材により取付けられ、
前記接続部は、前記器具本体における前記光源部の配置される面の裏面側に立設されるとともに前記背面カバー部の挿通孔に挿通され、
前記接続部の一部は、前記器具本体と前記背面カバー部との間に介装される、照明器具。
【請求項2】
前記器具本体には、前記光源部と前記電源部が配置され、前記光源部と前記電源部は平面視において重ならず、側面視において重なる位置に配置される、請求項1に記載の照明器具。
【請求項3】
前記器具本体における前記固定部材による固定位置が前記光源部の外周側であり、かつ前記電源部と重ならない、請求項1または請求項2に記載の照明器具。
【請求項4】
前記光源部の光源が発光素子である、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の照明器具。
【請求項5】
前記電源部は、前記器具本体における前記光源部の配置される面側とは異なる面側に配置されるとともに前記背面カバー部に取付面側が覆われている、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の照明器具。
【請求項6】
前記固定部材がネジ部材である、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の照明器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から特許文献1に記載された照明器具のようなダウンライトが広く用いられている。特許文献1では、天井(建造物)などの取付け面に穴を空けて埋め込んだ状態で使用する照明器具が開示されている。この照明器具は、取付け面に埋め込まれる部分である本体部と、取付け面から外側に露出する部分である枠部とを有している。特許文献1の照明器具は、天井面の取り付け穴に埋め込むダウンライトであるため、天井面からの突出が少なく、天井面をすっきりとした演出をすることができる。
【0003】
しかしながら、特許文献1の照明器具では、天井に照明器具の取り付け穴を設ける必要があり、一度施工してしまうと照明器具の変更が難しい場合もあった。そこで近年では、特許文献2に記載の照明器具のように薄型で小型の天井直付け型のシーリングライトが開発されている。
【0004】
特許文献2で開示される照明器具は、LED基板と、点灯回路基板を有するLEDランプ本体と、LEDランプ本体を着脱可能に装着する連結板と有し、LEDランプ本体には筒体の電力供給開口部が設けられ、電力供給開口部には速結端子を有する。筒体の電力供給開口部は、連結板の電力供給口を通して被取付部に形成された外部電源線の通孔に挿入される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−182432号公報
【特許文献2】特許第5538607号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献2の照明器具を天井等の被取付部に取り付ける場合、筒体の電力供給開口部を被取付部の通孔と連結板の開口部の両方に挿入させねばならない。電力供給開口部を連結板の開口部と被取付部の通孔の両方に沿って挿入しようとすると、それぞれの寸法誤差や連結板の取り付け時の傾きや位置ずれによって、筒体の電力供給開口部が部分的に被取付部の通孔の内壁と接触する可能性があり、筒体の電力供給開口部やその内部にある速結端子に負荷がかかる可能性が有る。
また、被取付部に適正に通孔を形成できればよいが、多少の傾きや位置ずれを有して通孔が形成される場合も有る。このような状態の通孔に連結板を取り付けた後に筒体の電力供給開口部を挿入させると、筒体の電力供給開口部は連結板の開口部によって位置を規制されながら、連結板よりも深く通孔に挿入されることになる。そのため、筒体の電力供給開口部の位置を微調整することもできずに、筒体の電力供給開口部は被取付部の通孔の内壁と部分的に接触しやすくなり、筒体の電力供給開口部や速結端子に負荷がかかる可能性が有る。
【0007】
また、LEDランプ本体が連結板に着脱可能に取り付けられるため、筒体の電力供給開口部を被取付部の通孔に挿入後にLEDランプ本体の回動等の取り付け動作をせねばならず、その際にも筒体の電源供給開口部や速結端子に負荷がかかる可能性があった。
【0008】
そこで、本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、照明器具を被取付部に取り付ける際に接続部に対する負荷がかかりにくく、かつ天井等の取付面に直付けできる照明器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0010】
すなわち、本願に開示する照明器具は、
光源部と、
前記光源部に給電する電源部と、
被取付部に取り付けられる器具本体と、
前記電源部に電線を介して電気的に接続されるとともに外部からの電線を電気的に接続するための接続部と、
前記器具本体の取付面側に取り付けられるとともに前記接続部が挿通される挿通孔を有する背面カバー部と、を備え、
前記器具本体は、前記被取付部に固定部材により取付けられ、
前記接続部は、前記器具本体における前記光源部の配置される面の裏面側に立設されるとともに前記背面カバー部の挿通孔に挿通され
前記接続部の一部は、前記器具本体と前記背面カバー部との間に介装されるものである。
【0011】
本願に開示する照明器具において、
前記器具本体には、前記光源部と前記電源部が配置され、前記光源部と前記電源部は平面視において重ならず、側面視において重なる位置に配置されることが好ましい。
【0012】
本願に開示する照明器具において、
前記器具本体における前記固定部材による固定位置が前記光源部の外周側であり、かつ前記電源部と重ならないことが好ましい。
【0013】
本願に開示する照明器具において、
前記光源部の光源が発光素子であることが好ましい。
【0014】
本願に開示する照明器具において、
前記電源部は、前記器具本体における前記光源部の配置される面側とは異なる面側に配置されるとともに前記背面カバー部に取付面側が覆われていることが好ましい。
【0015】
本願に開示する照明器具において、
前記固定部材がネジ部材であることが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、照明器具を被取付部に取り付ける際に接続部に対する負荷がかかりにくく、かつ天井等の取付面に直付けできる照明器具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態に係る照明器具を示す斜視図。
図2】同じく照明器具を示す側面図。
図3】同じく照明器具(カバー部及び拡散板を取り外した状態)を示す平面図。
図4】同じく照明器具の取付面側を示す上面図。
図5】同じく照明器具(背面カバー部及びカバー部を取り外した状態)を示す上面図。
図6図4のA−A線における断面図。
図7図4のB−B線における断面図。
図8】照明器具の構成を示す分解斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の一実施形態に係る照明器具11について、図1から図8を用いて説明する。本実施形態に係る照明器具11は、LED素子42を光源とする照明器具である。照明器具11は、例えば天井等の取付面に直接取り付けられる直付け型のシーリングライトとして使用することが可能である。なお、照明器具11は、天井面に限らず、壁面(傾斜面も含む)に取り付けてブラケットライトとして使用することも可能である。以下の説明では、照明器具11の光を照射する側を照明器具11の照射面側とし、照明器具11における天井等の取付面に対向する側を照明器具11の取付面側(照射面側の反対側)として説明する。また、照明器具11の取付面側とは、器具本体11の背面側(裏面側)である。また、図6図7等に示す照明器具11が被取付部Cに取付けられた状態において、被取付部Cに直交する方向を照明器具11の上下方向として、照明器具11の取付面側を上方とし、照明器具11の照射面側の直下方向を下方として説明する。照明器具11の上下方向に対して直交する方向を照明器具11の側方として説明する。また、以下の説明において、下方から照明器具11等を視た状態を平面視とする。上下方向に対して直交方向から照明器具11等を視た状態を側面視とする。照明器具11等の断面形状を視た状態を断面視とする。
【0019】
図1から図8に示すように、照明器具11は、器具本体21、電源部31、光源部(LEDモジュール基板)41、拡散板51、カバー部61、背面カバー部71、及び接続部81を主に備える。照明器具11の外形は、平面視において略円形状であって、照明器具11の高さ方向(図6の照明器具11の上下方向)の寸法が、照明器具11の径方向(図6の照明器具11の上下方向に対して直交方向)の寸法よりも小さく薄型で扁平な略円柱形状である。
なお、照明器具11の外形形状は、本実施形態に限定されるものではない。平面視において略円形状以外に、例えば、楕円形状、正方形状、長方形状、多角形状や扇形、またはそれらを組み合わせた形状にすることもできる。
また、照明器具11が取り付けられる被取付部Cには、平面視円形状の通孔Hが設けられている。通孔Hは、外部商用電源と接続する電源電線や送り配線用電線等の電線を挿通するための孔である。
【0020】
器具本体21は、平面視において略円形状であり、扁平な皿形状の部材である。器具本体21は、電源部31、光源部41、拡散板51、カバー部61、背面カバー部71、及び接続部81等を保持するものである。具体的には、器具本体21は、電源部31を取付面側の後述する電源収容部29に収容し、かつ取付面側に接続部81及び背面カバー部71が取り付けられるとともに、照射面側に光源部41、拡散板51、及びカバー部61が取り付けられる部材である。器具本体21を構成する材料としては、例えば熱伝導率の高いアルミニウムやアルミニウム合金等の金属材料が挙げられる。器具本体21は、光源部41で発生した熱を伝えて外部に放出する放熱機能も有する。器具本体21は、電源部31、光源部41、拡散板51、カバー部61、背面カバー部71、及び接続部81等を保持可能な機械的性質と、光源部41が発する熱を放熱させるための熱伝導性とを考慮し、アルミニウム等の金属材料を用いて形成されている。器具本体21は、平面視における外形形状が、カバー部61の内側の形状と略一致するかやや小さくなるように形成されている。
なお、器具本体21は、必要な機械的性質や熱伝導率が確保できる材料であれば、アルミニウムなどの金属に限らず、樹脂などの他の材料、もしくはそれらの組み合わせで形成することができる。
【0021】
器具本体21は、中央凹部22(凸部22a、光源取付部23、反射部24、係止段部25、端子取付部30)、外周縁部26、側壁部27、固定部材配置部28、及び電源収容部29を主に有している。器具本体21は、ネジ等の固定部材91により被取付部Cに直接取り付けられる部材である。
【0022】
中央凹部22は、平面視が略円形状で外形が取付面側に向かって凹状に形成された皿状の部分である。中央凹部22は、その径方向の中央部において照射面側に突出する平面視円形状の凸部22aと、該凸部22aの周囲に平面視略円環板状の光源取付部23と、該光源取付部23の周囲に形成される反射部24と、該反射部24の周囲に形成される係止段部25を有している。光源取付部23の取付面側には、中央部に接続部81を取り付けるための端子取付部30が形成されている。
なお、本実施形態の器具本体21は、その中央部が取付面側に向かって凹状に形成されるが、このように、器具本体21を形成することで、器具本体21の機械的強度や剛性を上げることができる。
また、本実施形態においては、器具本体21の形状として器具本体21の中央部が取付面側(図6図7における上方)に向かって凹状に形成されているが、この形状に特に限定するものではない。
【0023】
光源取付部23は、光源部(LEDモジュール基板)41が所定位置に位置決めされて取り付けられる凹状の部分である。光源取付部23は、凸部22aの外周縁から径方向外側に延出される平面視略円環状の平板部分である取付面23aと、該取付面23aの外周縁に沿って形成される段差部23bを有している。取付面23aは、器具本体21の上下方向の略中間に位置する。光源取付部23は、器具本体21の凸部22aが光源部41の基板43の開口部43aに係合するとともに、基板43の外周縁部が段差部23bに係止されることより基板43が光源取付部23に対して位置決めされる。そして、光源部41の基板43が光源取付部23の取付面23aに当接した状態で取り付けられる。器具本体21は、光源部41で発生した熱を伝えて外部に放出しやすくするため、光源部41が当接される光源取付部23の取付面23aは、光源部41との接触面積が広くなるよう平坦に形成されている。
なお、本実施形態では、光源取付部23の取付面23aの平面視形状を略円環状としているが、特に限定するものではなく、少なくとも基板43の一部が取付可能であればよく、円環状以外のその他の形状であってもよい。
【0024】
反射部24は、LED素子42から出射された光、及び拡散板51の内壁面で反射された光を反射して照射面側に出射する部分である。反射部24は、光源取付部23の段差部23bから延出される、平面視円環状で下方に行くに従って拡径する傾斜部分である。反射部24の周囲には、拡散板51を係止して位置決めするための係止段部25が設けられている。
【0025】
係止段部25は、図6に示すように、拡散板51の外周縁部が係止される円環状の部分である。係止段部25には、該係止段部25から径方向外側に延出され、ネジ等の取付部材により拡散板51を取り付けるための一対のネジ取付部25aを有する。ネジ取付部25aは、係止段部25の外周縁部から径方向外側に突出する凹状の領域であり、拡散板51の取付部51aが係止されて位置決めされる部分である。ネジ取付部25aは、反射部24の径方向外側に対向して配置されている。
なお、本実施形態では、拡散板51をネジ等の取付部材を用いて取り付けるためにネジ取付部25aを設けたが、接着や嵌合等の取り付け方法を採用する場合には必ずしもネジ取付部25aを設けなくても良い。
【0026】
図5に示すように、端子取付部30は、光源取付部23の取付面側に、平面視において器具本体21の径方向中心に対して対向して配置される半円状の一対の取付面部30a、及び該取付面部30aの外周縁部に半円弧凸状に形成される一対の係止部30bを有している。取付面部30aは、ネジ部材により接続部81の固定部84が取り付けられる部分である。係止部30bは、接続部81の固定部84が係止されて位置決めされる部分である。
【0027】
外周縁部26は、係止段部25の外周縁部から径方向外側に延出された、平面視において所定幅を有する略円環状の部分である。外周縁部26は、光源取付部23よりも径方向外側に配置され、上下方向において光源取付部23よりも下方に位置する。
【0028】
側壁部27は、外周縁部26の外周縁から上方に延出される略円筒状の部分である。側壁部27は、複数のカバー取付部27aと、一対の固定部材配置部28とを有している。カバー取付部27aは、側壁部27の外周面に設けられ、カバー部61の係止端部を係止して取り付けるための部分である。固定部材配置部28は、外周縁部26及び側壁部27を径方向内側に穿った部分であり、平面視略V字状の壁部28a、該壁部28aの上端から径方向外側に延出される平面視略三角形状で平板状の器具取付部28bから構成されている。器具取付部28bは、器具本体21をネジ等の固定部材91により被取付部Cに取り付けるために開口して形成された貫通孔を有する。このように、器具本体21では、固定部材91による固定位置となる固定部材配置部28が光源部41の外周側であり、かつ電源部31とも重ならないように構成されている。
【0029】
電源収容部29は、電源部31等を収容して、所定位置に配置するために器具本体21の取付面側に形成された空間であり、電源部31等を収容するための高さ及び幅が確保されている。具体的には、電源収容部29は、平面視において反射部24の外周縁と側壁部27の内周面との間に形成される、所定幅を有する略半円弧状の空間である。詳細は後述するが、電源収容部29は、電源部31を収容して、所定位置に位置決めすることが可能である。
【0030】
電源部31は、光源部41が有するLED素子42に給電を行って、LED素子42を点灯させるための電源装置である。電源部31は、器具本体21における光源部41の配置される面側(照射面側)とは異なる面側(裏面側)に配置されている。電源部31は、電源回路部32と、該電源回路部32を収容する電源ケース33を有している。電源回路部32は、所定幅を有する半円弧形状に加工されたプリント配線基板上に複数の電子部品が実装されたものである。電源ケース33は、平面視おいて所定幅を有する略半円弧状で断面視略四角状あり、有底半円弧状で上方が開放されたケース部33aと、該ケース部33aの上端を覆う天板部33bを有している。電源ケース33には、周方向に沿って電源回路部32が収容される。電源ケース33は、電源回路部32の周囲を覆って保護するものである。図6に示すように、電源部31は、電源ケース33が電源収容部29に収容されることで電源ケース33の径方向内側の下端が係止段部25により位置決めされ、かつ電源ケース33の径方向外側の下端が側壁部27により位置決めされる。そして、電源部31(電源ケース33)は、背面カバー部71が照明器具11の取付面側に取り付けられることで、該背面カバー部71の下側面が電源ケース33の上端部に当接した状態で、器具本体21内に配置される。このように電源部31は、ネジ等の取付部材を用いずに器具本体21の電源収容部29に配置することができる。電源部31は、外部商用電源から供給される交流電流を所定の直流電流に変換し、変換後の電流を基板43に実装された複数のLED素子42に供給するためのものである。
【0031】
このように、器具本体21には、光源部41と電源部31が配置され、光源部41と電源部31は平面視において重ならず、側面視において重なる位置(図6参照)に配置されている。
【0032】
電源部31は、配線(図示せず)を介して小型で縦長の端子台である接続部81に電気的に接続されている。例えば、照明器具11を被取付部Cに取り付ける際、天井裏側の外部商用電源の電源電線(図示せず)を接続部81に接続することで、電源部31は外部商用電源と電気的に接続される。電源部31と光源部41は配線37によって電気的に接続されている(図3参照)。
なお、本実施形態では、接続部81として端子台を使用しているが、特に限定するものではない。例えば、端子台を使用する代わりに、コネクタ等の接続部品を使用する構成とすることもできる。
【0033】
光源部41は、照明器具11の照射面側に向けて光を出射する部分である。光源部41は、光源である発光素子を有するモジュール基板である。本実施形態においては、発光素子として、基板43上に複数の光源であるLED(Light emitting diode)素子42が表面実装されたLED光源モジュールを使用している。具体的には、LED光源モジュールは、所定幅を有する略円環状に加工された基板43表面に、複数のLED素子42が周方向に配列された発光モジュールである。光源部41は、複数(本実施形態では、3つ)のネジ部材49で光源取付部23に取り付けられている。基板43は、配線37によって電源部31と電気的に接続されている。LED光源モジュールは、基板43の実装面の裏面が光源取付部23の取付面23aに当接して固定されるため、LED光源モジュールが発熱した際には、LED光源モジュールの熱が器具本体21に伝わる。器具本体21に伝わった熱は、器具本体21の温度よりも周辺温度が低い場合、器具本体21周辺の空気へ伝わる。これにより、器具本体21に伝わった熱は、取付面23aを介して器具本体21の周囲に放熱される。
なお、本実施形態では、光源として表面実装型のLED素子42を用いたが、光源の種類はLED素子に限定されず、例えばCOB型発光モジュールや有機EL素子(OLED)などを用いても実現可能である。
また、基板43は、熱伝導性シート(図示せず)や放熱グリスを介して光源取付部23に取り付けてもよく、これにより、より高い放熱性を得ることもできる。
【0034】
拡散板51は、少なくとも光源部41の照射面側を覆うように器具本体21に取り付けられ、光源部41(LED素子42)からの光を反射及び拡散させつつ、外部へ配光制御する透光性部材である。拡散板51は、円板状の部材である。拡散板51は、透光性を有する樹脂素材で形成されている。拡散板51は、例えば、微細な凹凸を表面に形成したシボ加工(フロスト加工)を施したもの、あるいは、内部に拡散剤を混入させたもので構成することができる。拡散板51は、その外径寸法が器具本体21の係止段部25の外径寸法よりも小さく(図6参照)、該係止段部25に係止可能である。拡散板51は、器具本体21の下方の開口を閉塞して、LED素子42に埃などが付着することを防止するものである。拡散板51は、その側面に径方向外側に向けて突出して形成される、一対のネジ取付部51aを有している。ネジ取付部51aは、ネジ等の取付部材により器具本体21が有するネジ取付部25aに取り付けられる。
【0035】
カバー部61は、拡散板51の外周縁部、外周縁部26、及び側壁部27の外側部分を主に覆うように器具本体21に取り付けられる部材である。カバー部61は、拡散板51を露出するための開口を下側に有するとともに上端が開放された略円筒状部材である。カバー部61は、樹脂素材(例えば、ABS樹脂(Acrylonitrile−Butadiene−Styrene))で形成されている。カバー部61は、その最大内径寸法が器具本体21の外径寸法よりも大きく、器具本体21の外側に取り付け可能である。カバー部61は、その内壁面に図示しない係止突部を有している。係止突部は、カバー部61の開口端近傍の内周面において周方向に沿って所定の間隔で複数形成された突状部分である。カバー部61は、係止突部をカバー取付部27aに係止することで、器具本体21に対してカバー部61が位置決めされる。カバー部61は、内部の清掃や器具本体21の部品交換等のために、器具本体21に対して着脱できる構造となっている。
また、カバー部61の材質としては、ABS樹脂以外の樹脂や、木材、金属など必要に応じて適宜素材を選択することもできる。
【0036】
器具本体21には、カバー部61の係止突部を係止するために前述したカバー取付部27aが設けられている。詳細は省略するが、カバー部61を器具本体21に取り付ける場合、カバー部61は、係止突部を器具本体21のカバー取付部27aに挿入し、カバー部61の周方向の一方に回動し、係止することで、器具本体21に取り付けられる。また、カバー部61が器具本体21に取り付けられた状態でカバー部61を周方向の他方に回動させると、カバー部61の係止突部が器具本体21のカバー取付部27aから外れて、カバー部61を器具本体21から取り外すことができる。
カバー部61は、回動させて器具本体21に取り付けられる。カバー部61を取り付けるとき、器具本体21は被取付部Cに固定部材91によって固定されている。そのため、カバー部61を回動させても器具本体21は回動せず、接続部81にも負荷がかかりにくい。
【0037】
背面カバー部71は、器具本体21の取付面側を覆う略円形状の平板部材である。背面カバー部71は、金属材料により形成されている。背面カバー部71は、中央部に接続部81を挿通するための挿通孔71aを有する。背面カバー部71は、挿通孔71aを挟んで対向して形成される、背面カバー部71へのネジ部材86の頭部による干渉を防止するための一対の貫通孔71bを有している。一対のネジ部材86の頭部の一部は、貫通孔71bを介して露出されている(図4参照)。貫通孔71bを設けてネジ部材86の頭部の一部を露出させることで、器具本体21の高さ寸法の増大化を防ぐ。背面カバー部71は、挿通孔71aに接続部81が挿通され、かつ貫通孔71bにネジ部材86の頭部の一部が露出した状態で、器具本体21の取付面側を覆う。背面カバー部71は、器具本体21の取付面側に設けられた複数の取付部(本実施形態では、3箇所)にネジ部材72により取り付けられる。これにより、接続部81の固定部84が背面カバー部71と光源取付部23の取付面23aとの間に介装され、接続部81の固定部84が光源取付部23の取付面23aから離脱しないように確実に保持することができる。
【0038】
接続部81は、小型で縦長の端子台であり、電源部31に電線(配線)を介して電気的に接続されるとともに、電源電線や送り配線用電線等の電線(配線)を電気的に接続するためのものである。接続部81は、器具本体21における光源取付部23の取付面23aの光源部41が配置される面の裏面側(取付面側)に立設される。本実施形態では、器具本体21における被取付部Cに対向する面に接続部81を立設している。接続部81は、速結端子部材(図示せず)と、端子筐体83と、固定部84、カバー85を有している。固定部84は、端子取付部30の係止部30bにより位置決めされ、ネジ部材86により取付面部30aに取り付けられる。
【0039】
速結端子部材は、金属板を屈曲加工して形成したものであり、一端側(上端側)において器具本体21の上下方向に沿って電源電線や送り配線用電線の芯線が差し込まれる。差し込まれた電線の芯線は、金属板に挟まれ電気的に接続され、該金属板の他端側は電源部31と配線により電気的に接続されている。
【0040】
端子筐体83は、縦長で中空な略筒状で、電気絶縁性の樹脂で形成されたものである。端子筐体83は、内部に複数の速結端子部材が収容されている。端子筐体83は、電源電線や送り配線用電線等の芯線が挿入される電線接続口82を備えている。
【0041】
カバー85は、シリコーン樹脂等の弾性のある電気絶縁性の樹脂で形成されたものである。端子筐体83の一端側(上端側)に電線接続口82を覆うように取り付けられている。電源電線や送り配線用電線等の芯線は、カバー85を貫通させるように突き刺し、電線接続口82に挿入して速結端子部材と電気的に接続される。このように接続させることで、電線接続口82内に埃や水滴等の異物が侵入することを防止することができる。
【0042】
(本実施形態の照明器具の取付手順)
本実施形態の照明器具11の取付手順の一例について説明する。まず、被取付部Cに設けた通孔Hから電源電線や送り配線用電線等の電線(以下、単に電線として説明する。)の一端側を照射面側に引き出す。次に、カバー部61を回動させて器具本体21からカバー部61を取り外す。次に、通孔Hから引き出された電線の芯線を貫通させるようにカバー85に突き刺し、電線接続口82に挿入して速結端子部材と電気的に接続させる。次に、通孔Hに電線と接続部81の端子筐体83を挿入するように、器具本体21を被取付部Cの所望の位置に配置させる。次に、2つの固定部材91・91の先端を、器具本体21のそれぞれの器具取付部28bの貫通孔に通して被取付部Cにねじ込み、器具本体21を被取付部Cに固定する。最後に、カバー部61を取り外したときとは反対方向に回動させて、器具本体21に取り付ける。
なお、上記に説明した取付手順は一例であり、カバー部61を取り外す工程は、電線を速結端子部材と接続させる工程と前後しても良い。
【0043】
以上説明した本実施形態に係る照明器具11によれば、器具本体21は、被取付部Cにネジ等の固定部材91により取付けられ、接続部81は、器具本体21における光源部41の配置される面の裏面側に立設されている。器具本体21は、被取付部Cの通孔Hに接続部81を挿入した状態で、固定部材91を用いて被取付部Cに取り付ける。そのため、接続部81に負荷をかけないように器具本体21の側方方向の位置を調整しながら、器具本体21を被取付部Cに取り付けることができる。また、器具本体21を被取付部Cに取り付ける際に、回動などの動作をすることがない。これらにより、照明器具11を被取付部Cに取り付けるときに接続部81に対する負荷がかかりにくい。
【0044】
また、本実施形態では、器具本体21には、光源部41と電源部31が配置され、光源部41と電源部31は平面視において重ならず、側面視において重なる位置に配置されている。このように構成することで、照明器具11を上下方向に大型化させることなく照明器具11の小型化が図れる。すなわち、薄型の照明器具を実現することができる。
【0045】
また、本実施形態では、器具本体21における固定部材91による固定位置が光源部41の外周側であり、かつ電源部31と重ならないように構成されている。これにより、固定部材91が光源部41と所定間隔を有するため、固定部材91による影が生じにくい。加えて、器具本体21は、電源部31が接続部81を介して商用外部電源と電気的に接続された状態で、被取付部Cに取り付けられる。電源部31と固定部材91が重ならない位置にあるので、固定部材91が電源部31や配線、電源電線等に接触しにくく、安全に取付作業ができる。
また、本実施形態では、器具本体21における固定部材91による固定位置は器具本体21の外周側であり、器具本体21の中央部に立設する接続部81と離れた位置にある。これにより、固定部材91が傾斜して被取付部Cにねじ込まれた場合にも、接続部81や電源電線や送り配線用電線等の電線と接触せず、安全に取付作業ができる。
【0046】
また、本実施形態では、光源部41の光源が発光素子である。これにより、小型の照明器具が実現できる。
【0047】
また、本実施形態では、電源部31は、器具本体21における光源部41の配置される表面とは異なる表面に配置されている。これにより、器具本体21のそれぞれ別の表面に光源部41と電源部31を配置するため、光源部41と電源部31を隔てるための別途絶縁カバー等を設ける必要がなく部品点数を削減できる。
【0048】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、様々な変更が可能である。例えば、照明器具の形状が平面視において略円形状以外の形状であってもよく、例えば長方形状、多角形状やその他の形状としてもよい。
【符号の説明】
【0049】
11 照明器具
21 器具本体
28 固定部材配置部
31 電源部
41 光源部
51 拡散板
61 カバー部
81 接続部
91 固定部材
C 被取付部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8