(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の一態様の培養バッグは、培養液を収容して培養を行う変形可能な培養バッグであって、培養バッグの内側表面によって画定された第1の培養空間と、培養バッグの内側表面によって画定された、第1の培養空間と異なる第2の培養空間と、第1の培養空間と第2の培養空間とを連通して培養液が往来可能な流路と、を有する。
【0012】
この態様によれば、培養対象へのダメージを抑制しつつ、培養液を十分に撹拌することができる。
【0013】
培養バッグは、培養バッグの内部空間を分割することによって第1の培養空間と第2の培養空間とを画定し、且つ、第1の培養空間と第2の培養空間とを連通する流路としての貫通穴を備える仕切り部を有してもよい。これにより、簡単な構成の培養バッグを用いて、培養対象へのダメージを抑制しつつ、培養液を十分に撹拌することができる。
【0014】
培養バッグを第1の方向に伸縮可能に構成し、第1および第2の培養空間が第1の方向に並ぶように仕切り部を培養バッグの内部空間に設けてもよい。これにより、培養バッグの第1の方向の伸縮によって培養液が第1の培養空間と第2の培養空間との間を往来する。
【0015】
培養バッグを第1の方向に伸縮可能な蛇腹状に構成してもよく、その場合、培養バッグ全体が大きく変形しても、他の部分に比べて変形が小さい蛇腹状の培養バッグのくびれ部に仕切り部を配置するのが好ましい。
【0016】
第1の方向に伸縮可能な培養バッグは、第1の方向にそれぞれ直交し且つ互いに直交し合う第2の方向および第3の方向の培養バッグのサイズが第1の方向のサイズに比べて大きい方が好ましい。これにより、小さいストローク量で、培養バッグを第1の方向に伸縮変形することにより、大量の培養液を十分に撹拌することができる。
【0017】
本発明の別態様の培養装置は、培養液を収容して培養を行う変形可能な培養バッグであって、培養バッグの内側表面によって画定された第1の培養空間、培養バッグの内側表面によって画定された、第1の培養空間と異なる第2の培養空間、および第1の培養空間と第2の培養空間とを連通して培養液が往来可能な流路を備えるものと、培養バッグを変形させることにより、流路を介して第1および第2の培養空間の間で培養液を往来させる培養バッグ変形部と、を有する。
【0018】
この態様によれば、培養対象へのダメージを抑制しつつ、培養液を十分に撹拌することができる。
【0019】
培養バッグは、培養バッグの内部空間を分割することによって第1の培養空間と第2の培養空間とを画定し、且つ、第1の培養空間と第2の培養空間とを連通する流路としての貫通穴を備える仕切り部を備えてもよい。その場合、培養バッグ変形部は、仕切り部を移動させて培養バッグを変形させることにより、仕切り部の貫通穴を介して第1および第2の培養空間の間で培養液を往来させてもよい。これにより、簡単な構成の培養バッグを用いて、培養対象へのダメージを抑制しつつ、培養液を十分に撹拌することができる。
【0020】
培養バッグを第1の方向に伸縮可能に構成し、第1および第2の培養空間が第1の方向に並ぶように仕切り部を培養バッグの内部空間に設けてもよい。これにより、培養バッグの第1の方向の伸縮によって培養液が第1の培養空間と第2の培養空間との間を往来する。
【0021】
培養バッグを第1の方向に伸縮可能な蛇腹状に構成してもよく、その場合、培養バッグ全体が大きく変形しても、他の部分に比べて変形が小さい蛇腹状の培養バッグのくびれ部に仕切り部を配置するのが好ましい。
【0022】
第1の方向に伸縮可能な培養バッグは、第1の方向にそれぞれ直交し且つ互いに直交し合う第2の方向および第3の方向の培養バッグのサイズが第1の方向のサイズに比べて大きい方が好ましい。この場合、培養バッグ変形部は、培養バッグを第1の方向に変形させる。これにより、小さいストローク量で、培養バッグを第1の方向に伸縮変形することにより、大量の培養液を十分に撹拌することができる。
【0023】
培養装置は、培養バッグの位置および姿勢の少なくとも一方を変更させて第1および第2の培養空間内に培養液の流れを発生させる培養バッグ位置姿勢変更部を有してもよい。これにより、培養バッグ内の培養液がさらに撹拌される。
【0024】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0025】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る培養バッグを概略的に示している。また、
図2は、
図1に示す培養バッグの断面図である。なお、図面においてX−Y−Z直交座標系が示されているが、これは発明の実施の形態の理解を容易にするためのものであって発明を限定するものではない。また、X軸方向およびY軸方向は水平方向であって、Z軸方向は鉛直方向である。
【0026】
図1及び
図2に示すように、培養バッグ10は、その内部に細胞などの培養対象を含む培養液Lを収容するように構成されている。培養バッグ10はまた、変形可能であって、本実施の形態1の場合、Z軸方向(第1の方向)に伸縮可能な蛇腹状である。
【0027】
具体的には、培養バッグ10は、樹脂材料などの変形可能な材料から作製されて培養液Lを収容する円形断面を備える有底筒状の培養液収容部12と、培養液収容部12のZ軸方向の両端に取り付けられた円盤状のトッププレート14およびボトムプレート16とを有する。
【0028】
培養液収容部12は、Z軸方向に伸縮可能な蛇腹状であり、その内部が視認できるように透明な樹脂材料から作製されている。具体的には、蛇腹状の培養液収容部12は、Z軸方向に延在する中心軸Cを中心とする円形断面が相対的に大きい複数の拡径部12aと、複数の拡径部12aの間に配置されて円形断面が相対的に小さい縮径部12bとを備える。
【0029】
図2に示すように、培養液収容部12の内部空間12cには、例えば細胞などの培養対象を含む培養液Lが収容されている。この内部空間12cに培養液Lを導入するまたは内部空間12cで培養中の培養対象のサンプルを採取するためのサンプリングポート18が、トッププレート14に設けられている。サンプリングポート18は、開閉可能であって、開くことによって培養液収容部12の内部空間12cと外部とを連絡する。
【0030】
なお、サンプリングポート18以外に、培養液収容部12の内部空間12cに酸素などのガスを供給するための吸気ポート20と、内部空間12c内のガスを外部に排出するための排気ポート22とが、トッププレート14に設けられている。吸気ポート20は、外部のガス供給源(図示せず)に接続される。培養中、吸気ポート20を介してガス供給源から培養に必要な酸素や二酸化炭素などのガスが培養液収容部12の内部空間12cに供給される。
【0031】
図2に示すように、培養液収容部12の内部空間12cは、複数の培養空間12d、12eに分割されている。本第1の実施の形態の場合、内部空間12cは、第1の培養空間12dと、第2の培養空間12eとに分割されている。具体的には、培養液収容部12の中心軸Cの延在方向(Z軸方向)に、すなわち培養液収容部12の伸縮方向に、第1および第2の培養空間12d、12eが並んでいる。また、第1の培養空間12dがトッププレート14側に配置され、第2の培養空間12eがボトムプレート16側に配置されている。
【0032】
図2に示すように、培養液収容部12の内部空間12cを第1および第2の培養空間12d、12eに分割するために、その内部空間12cには仕切り部24が設けられている。
【0033】
仕切り部24は、変形が相対的に小さい培養液収容部12の縮径部12bに設けられ、
図1に示すように円盤状であって、樹脂材料などの変形可能な材料から作製された部分である。なお、培養液収容部12と仕切り部24とを同一の材料から作製し、それによりこれらを一体化してもよい。
【0034】
仕切り部24により、培養液収容部12に、異なる第1の培養空間12dと第2の培養空間12eが画定される。すなわち、培養液収容部12の内側表面の一部(縮径部12bに対してトッププレート14側の内側表面)と仕切り部24(そのトッププレート14側の表面)とにより、第1の培養空間12dが画定されている。また、培養液収容部12の内側表面の残り(縮径部12bに対してボトムプレート16側の内側表面)と仕切り部24(そのボトムプレート16側の表面)とにより、第2の培養空間12eが画定されている。
【0035】
図1および
図2に示すように、第1の培養空間12dと第2の培養空間12eとの間で培養液Lが往来するための流路として、仕切り部24には少なくとも1つの貫通穴24aが設けられている。本実施の形態1の場合、複数の貫通穴24aが仕切り部24に設けられている。また、本実施の形態1の場合、複数の貫通穴24aは、培養液収容部12の伸縮方向(Z軸方向)に延在している。
【0036】
図3は、培養バッグ10を用いて培養を行う、一例の培養装置を概略的に示している。
【0037】
図3に示すように、一例の培養装置50は、培養バッグ10が載置されるステージ52と、培養バッグ10のトッププレート14を保持して該トッププレート14をステージ52から所定の高さ位置で固定するトップチャック54と、ボトムプレート16をステージ52に固定するボトムチャック56とを有する。
【0038】
培養装置50はまた、トップチャック54およびボトムチャック56を介してステージ52に固定された培養バッグ10(その培養液収容部12)を変形させるための昇降アーム58を有する。
【0039】
具体的には、昇降アーム58は、培養バッグ10の仕切り部24(本実施の形態1の場合には、培養液収容部12の縮径部12b)を保持した状態で、Z軸方向(すなわち培養液収容部12の伸縮方向)に往復動することによって培養バッグ10を変形させるように構成されている。例えば、昇降アーム58は、昇降アーム58と係合するボールねじ60と、ボールねじ60を回転させるモータ62とを介して昇降される。このような昇降アーム58により、仕切り部24がトッププレート14に接近するように、また仕切り部24がボトムプレート16に接近するように、培養バッグ10が変形される。
【0040】
図4Aに示すように、昇降アーム58によって仕切り部24が下方向(矢印D1方向)にボトムプレート16に接近するように培養バッグ10が変形すると、仕切り部24とボトムプレート16との間に位置する培養バッグ10の第2の培養空間12eが縮小変形される。それに対して、第1の培養空間12dは拡大変形する。
【0041】
このような培養バッグ10の変形により、第2の培養空間12e内の培養液Lが、仕切り部24の複数の貫通穴24aを介して、第1の培養空間12dに移動する。すなわち、第2の培養空間12eから貫通穴24aを介して第1の培養空間12dに向かう培養液Lの流れF1(上昇流)が発生する。この流れF1により、第1の培養空間12d内の培養液Lが全体にわたって撹拌される。また、流れF1により、培養液Lの液面Lsで多くのガスが培養液L内に取り込まれる。
【0042】
一方、
図4Bに示すように、昇降アーム58によって仕切り部24が上方向(矢印D2方向)にトッププレート14に接近するように培養バッグ10が変形すると、仕切り部24とトッププレート14との間に位置する培養バッグ10の第1の培養空間12dが縮小変形される。それに対して、第2の培養空間12eは拡大変形する。
【0043】
このような培養バッグ10の変形により、第1の培養空間12d内の培養液Lが、仕切り部24の複数の貫通穴24aを介して、第2の培養空間12eに移動する。すなわち、第1の培養空間12dから貫通穴24aを介して第2の培養空間12eに向かう培養液Lの流れF2(下降流)が発生する。この流れF2により、第2の培養空間12e内の培養液Lが全体にわたって撹拌される。
【0044】
したがって、昇降アーム58によって仕切り部24がトッププレート14とボトムプレート16との間でこれらのプレートの対向方向(Z軸方向)に往復動するように培養バッグ10が繰り返し変形することにより、第1および第2の培養空間12d、12eそれぞれの培養液が交互に撹拌される。また、それとともに、培養液Lが第1の培養空間12dと第2の培養空間12eとの間を往来する。その結果、培養バッグ10の培養液収容部12の内部空間12c内の培養液Lが全体にわたって撹拌される。
【0045】
このような本実施の形態1によれば、培養液L内の培養対象へのダメージを抑制しつつ、培養液Lを十分に撹拌することができる。
【0046】
具体的には、撹拌翼を使用することなく、培養バッグ10の変形によって培養バッグ10内の培養液Lを撹拌することができる。そのため、撹拌翼の撹拌によって培養液内に発生したせん断力による培養対象へのダメージが抑制される。
【0047】
撹拌翼がなくても、培養液は、第1の培養空間12dと第2の培養空間12eとを連通する仕切り部24の貫通穴24aを往来することによって十分に撹拌される。すなわち、
図4Aに示すように第2の培養空間12e内の培養液Lが貫通穴24aを介して第1の培養空間12dに移動することにより、また、
図4Bに示すように第1の培養空間12d内の培養液Lが貫通穴24aを介して第2の培養空間12e内に移動することにより、培養液Lは、撹拌翼がなくても十分に撹拌される。
【0048】
したがって、本実施の形態1によれば、培養バッグ10の変形により、撹拌翼を用いて培養液を撹拌する場合に比べて培養液へのダメージを抑制しつつ、撹拌翼がなくても培養液を十分に撹拌することができる。
【0049】
なお、培養バッグ10の変形は、その内部での培養液Lの撹拌のみならず、保管や廃棄においても役立つ。すなわち、
図5に示すように、培養液収容部12の伸縮方向(Z軸方向))に縮小することにより、培養バッグ10全体を、元の状態に比べて小さくすることができる(折り畳むことができる)。培養バッグ10を折り畳むことにより、保管や廃棄がしやすくなる。
【0050】
また、本実施の形態1の場合、培養バッグ10(すなわち培養液収容部12の内部空間12c)は、水平方向(X軸方向、Y軸方向)サイズが鉛直方向(Z軸方向)サイズに比べて大きいため、多くの培養液Lを培養に使用することができる。
【0051】
具体的に説明すると、多くの培養液Lを使用して培養対象を培養する場合、その培養液Lの撹拌が重要になる。培養液Lを収容する培養液収容部12の内部空間12cの水平方向サイズが鉛直方向サイズに比べて小さい場合、その内部の培養液L全体を十分に撹拌するためには、仕切り部24を鉛直方向に大きいストロークで往復動させる必要がある。そのため、仕切り部24を1ストローク移動させるのに時間がかかる。その結果、大量の培養液の撹拌が不十分になる可能性がある。
【0052】
一方、本実施の形態1のように、培養液収容部12の内部空間12cの水平方向サイズが鉛直方向サイズに比べて大きい場合、培養液L全体を十分に撹拌するために必要な仕切り部24の鉛直方向のストローク量は小さい(水平方向サイズが鉛直方向サイズに比べて小さい場合と比較して)。したがって、仕切り部24を1ストローク移動させるために必要な時間が短く、その結果として大量の培養液Lを十分に撹拌することができる。
【0053】
さらに、
図4Aおよび
図4Bに示すように仕切り部24を第1の培養空間12dと第2の培養空間12eの並列方向(Z軸方向)に移動させることなく、培養バッグ10を変形させることが可能である。
【0054】
例えば、
図6Aおよび
図6Bに示すように、仕切り部24を、第1の培養空間12dと第2の培養空間12eの並列方向(Z軸方向)に直交する水平方向、例えばX軸方向に移動させて培養バッグ10を変形させてもよい。
【0055】
この場合、水平方向(X軸方向)に移動する仕切り部24の貫通穴24a内を培養液Lが通過するように、貫通穴24aの縁から傾斜した状態で延在して培養液Lを該貫通穴24aにガイドする傾斜ガイド部24bが設けられる。これにより、
図6Aに示すように、仕切り部24が矢印D3方向(図中左方向)に水平移動すると、第2の培養空間12e内の培養液Lが傾斜ガイド部24bによって第1の培養空間12d内に移動する。このとき、培養液Lが、傾斜ガイド部24bに沿って仕切り部24に対して斜めに第1の培養空間12dに流入する。それにより、第1の培養空間12d内に、水平方向の流れF3(X軸方向の流れ成分やY軸方向の流れ成分を含む流れ)が発生する。これにより、第1の培養空間12d内の培養液Lが撹拌される。
【0056】
一方、
図6Bに示すように、仕切り部24が矢印D4方向(図中右側)に水平移動すると、第1の培養空間12d内の培養液Lが傾斜ガイド部24bによって第2の培養空間12e内に移動する。このとき、培養液Lが、傾斜ガイド部24bに沿って仕切り部24に対して斜めに第2の培養空間12eに流入する。それにより、第1の培養空間12d内に、水平方向の流れF4(X軸方向の流れ成分やY軸方向の流れ成分を含む流れ)が発生する。これにより、第2の培養空間12e内の培養液Lが撹拌される。
【0057】
さらにまた、培養バッグ10を変形させるための仕切り部24の移動方向は、鉛直方向(Z軸方向)や水平方向(X軸方向、Y軸方向)に限らず、X軸方向、Y軸方向、およびZ軸方向の少なくとも2つの成分を含む斜め方向であってもよい。
【0058】
加えて、仕切り部24を平行移動させるのではなく、平行移動に代わってまたは平行移動に加えて、仕切り部24の姿勢を変更することによって培養バッグ10を変形させてもよい。例えば、
図7に示すように、水平方向(Y軸方向)と平行な回転中心線を中心として矢印D5方向に仕切り部24を回転させてもよい。
【0059】
さらに加えて、
図3に示すように、トップチャック54とボトムチャック56によって固定状態のトッププレート14やボトムプレート16に対して仕切り部24を相対的に変位させるのではなく、仕切り部24を固定してトッププレート14やボトムプレート16を変位させてもよい。この場合でも、培養バッグ10を変形させてその内部の培養液Lを撹拌することができる。
【0060】
(実施の形態2)
本実施の形態2は、培養バッグ内の培養空間の数について、上述の実施の形態1と異なる。したがって、異なる点を中心にして、本実施の形態2を説明する。また、上述の実施の形態1の構成要素と実質的に同一の構成要素には、同一の符号が付されている。
【0061】
図8は、本実施の形態2に係る培養バッグの断面図である。
【0062】
図8に示すように、培養バッグ110において、蛇腹状の培養液収容部112の内部空間112cは、3つの空間(第1〜第3の培養空間)112d、112e、112fに分割されている。具体的には、内部空間112cは、2つの縮径部112bそれぞれに設けられた仕切り部124によって、三分割されている。
【0063】
第1の培養空間112d、第2の培養空間112e、および第3の培養空間112fは、培養バッグ110(蛇腹状の培養液収容部112)の伸縮方向(Z軸方向)に並んでいる。第1の培養空間112dがトッププレート14側に配置され、第3の培養空間112fがボトムプレート16側に配置され、第2の培養空間112eが、第1の培養空間112dと第3の培養空間112fとの間に配置されている。したがって、第2の培養空間112eは仕切り部124の貫通穴124aを介して第1および第3の培養空間112d,112fに直接的に連通するが、第1の培養空間112dと第3の培養空間112fとは直接的に連通していない。
【0064】
このような培養バッグ110によれば、例えば2つの仕切り部124それぞれを独立して移動させることにより、上述の実施の形態1に比べて、培養バッグ110をより様々な形状に変形させることができる。これにより、培養バッグ110内に培養液Lの複雑な流れを発生させることが可能である。その結果、培養対象によっては、さらにより好ましく適切に撹拌され、培養効率が向上しうる。
【0065】
なお、本実施の形態2のように、3つ以上の培養空間が存在する場合、すなわちそれらの間に2つ以上の仕切り部が存在する場合、仕切り部それぞれに形成される貫通穴は、仕切り部毎にその位置や数が異なってもよい。これにより、培養バッグが変形すると、培養バッグ内により複雑な培養液の流れが形成される。その結果、培養対象によっては、より好ましく適切に撹拌され、培養効率が向上しうる。
【0066】
(実施の形態3)
本実施の形態3は、仕切り部の位置について、上述の実施の形態1と異なる。したがって、異なる点を中心にして、本実施の形態3を説明する。また、上述の実施の形態1の構成要素と実質的に同一の構成要素には、同一の符号が付されている。
【0067】
図9は、本実施の形態3に係る培養バッグの断面図である。
【0068】
図9に示すように、本実施の形態3に係る培養バッグ210は、上述の実施の形態1と同様に、2つの培養空間として、第1の培養空間212dと、第2の培養空間212eとを有する。すなわち、培養バッグ210の培養液収容部212の内部空間212cが仕切り部224によって分割されている。
【0069】
しかしながら、上述の実施の形態1の場合、
図2に示すように、その仕切り部24は、蛇腹状の培養液収容部12において縮径部12bに設けられている。すなわち、培養バッグ10全体が大きく変形しても、他の部分に比べて変化が小さい、具体的には断面積がほとんど変化しない縮径部12bに仕切り部24が設けられている。
【0070】
一方、本実施の形態3の場合、
図9に示すように、仕切り部224は、蛇腹状の培養液収容部212の縮径部212bではなく、拡径部212aに設けられている。培養バッグ210の変形によって断面積が大きく変化する拡径部212aに設けられるため、仕切り部224は、弾性変形可能な材料から作製されている。
【0071】
このような仕切り部224によれば、培養バッグ210(その培養液収容部212)の変形中、仕切り部224の弾性変形にともなってその貫通穴224aの断面積が変化する。これにより、培養バッグ210の変形中に貫通穴224aを介して第1の培養空間212dと第2の培養空間212eとの間を往来する培養液Lの流速が変化する。これにより、培養バッグ210内に培養液Lの複雑な流れを発生させることが可能である。その結果、培養対象によっては、より好ましく適切に撹拌され、培養効率が向上しうる。
【0072】
(実施の形態4)
本実施の形態4は、培養液収容部について、上述の実施の形態1〜3と異なる。したがって、異なる点を中心にして、本実施の形態3を説明する。また、上述の実施の形態1の構成要素と実質的に同一の構成要素には、同一の符号が付されている。
【0073】
図10は、本実施の形態4に係る培養バッグの断面図である。
【0074】
図10に示すように、本実施の形態4に係る培養バッグ310の培養液収容部312は、円筒部312aと蛇腹部312bとを備える。円筒部312aがトッププレート14側に配置され、蛇腹部312bがボトムプレート16側に配置されている。
【0075】
また、培養液収容部312の内部空間312cは、3つの培養空間312d、312e、312fに分割されている。第1の培養空間312dは円筒部312a内に設けられ、第2および第3の培養空間312e、312fは蛇腹部312bに設けられている。
【0076】
培養液収容部312が、円筒部312aと蛇腹部312bとから構成されているために、培養液収容部312は部分的に変形する。すなわち、円筒部312aはほとんど変形せず、蛇腹部312bが変形する。それにより、培養バッグ310の変形中、円筒部312a内の第1の培養空間312dでの培養液Lの流速は、蛇腹部312b内の第2および第3の培養空間312e、312fでの培養液Lの流速に比べて低い。このように、培養液収容部312の内部空間312c内において培養液Lの流速差が生じることにより、すなわち圧力差が生じることにより、培養液収容部312全体が蛇腹状であって流速差がほとんど生じない場合に比べて、培養液がより撹拌される。
【0077】
なお、培養液収容部312における円筒部312aの位置はどこでもよい。例えば、蛇腹部312bとボトムプレート16との間に円筒部312aがあってもよい。また例えば、2つの蛇腹部312bの間に円筒部312aがあってもよい。
【0078】
また、
図10に示すように円筒部312aが培養液収容部312における最上の位置に設けられ、且つ、培養バッグ310の変形中に培養液Lの液面Lsが円筒部312a内の培養空間312dにほとんど存在する場合には、撹拌性の向上に加えて、別の効果が生じる。円筒部312a内では培養液Lの流速が蛇腹部312bに比べて低いため、円筒部312a内での液面Lsが波立ちにくい。その結果、培養液Lとガスとの界面(液面Ls)に、培養対象にダメージを与えうる泡が発生しにくい。
【0079】
(実施の形態5)
本実施の形態5は、培養液収容部について、上述の実施の形態1〜4と異なる。したがって、異なる点を中心にして、本実施の形態5を説明する。また、上述の実施の形態1の構成要素と実質的に同一の構成要素には、同一の符号が付されている。
【0080】
図11は、本実施の形態5に係る培養バッグの断面図である。
【0081】
上述の実施の形態1の場合、
図2に示すように、培養バッグ10の培養液収容部12は蛇腹状である。それに対して、本実施の形態5に係る培養バッグ410の培養液収容部412は、折り畳み式の提灯構造である。
【0082】
具体的には、培養バッグ410の培養液収容部412は、変形可能な材料から作製されて円形断面を備える有底筒状の本体部412aと、金属材料または樹脂材料から作製されて本体部412a内に設けられた複数の円環状のフレーム412bとから構成されている。例えば、本体部412aは、変形が容易な薄い樹脂シートから作製されている。複数のフレーム412bにより、培養液収容部412の断面が円形状に維持されている。
【0083】
また、培養液収容部412の内部空間412cは、仕切り部424によって第1の培養空間412dと第2の培養空間412eとに分割されている。
【0084】
図12に示すように、ボトムプレート16が上方向(矢印D6方向)に仕切り部424に向かうと、培養液収容部412が変形し、第2の培養空間412eが縮小変形する。それにより、第2の培養空間412e内の培養液Lが、仕切り部424の複数の貫通穴424aを介して第1の培養空間412dに移動する。一方、トッププレート14が仕切り部424に向かうと第1の培養空間412dが縮小変形する。それにより、第1の培養空間412d内の培養液Lが、貫通穴424aを介して第2の培養空間412eに移動する。これにより、培養液収容部412の内部空間412c内の培養液Lが撹拌される。
【0085】
(実施の形態6)
本実施の形態6は、フレームについて、実施の形態5と異なる。したがって、異なる点を中心にして、本実施の形態6を説明する。また、上述の実施の形態1の構成要素と実質的に同一の構成要素には、同一の符号が付されている。
【0086】
図13は、本実施の形態6に係る培養バッグの断面図である。
【0087】
図13に示すように、培養バッグ510の培養液収容部512は、変形可能な材料から作製されて円形断面を備える有底筒状の本体部512aと、金属材料または樹脂材料から作製されて本体部412a内に設けられたフレーム512bとから構成されている。例えば、本体部512aは、変形が容易な薄い樹脂シートから作製されている。
【0088】
本実施の形態6の場合、フレーム512bは、1つであって、ヘリカルコイル状である。このヘリカルコイル状のフレーム512bにより、培養液収容部412の形状が円筒状に維持されている(その断面が円形状に維持されている)。すなわち、培養バッグ510は、このフレーム512bにより、円筒形状を維持しつつ自立することができる。
【0089】
(実施の形態7)
本実施の形態7は、培養液収容部について、上述の実施の形態1〜6と異なる。したがって、異なる点を中心にして、本実施の形態7を説明する。また、上述の実施の形態1の構成要素と実質的に同一の構成要素には、同一の符号が付されている。
【0090】
図14は、本実施の形態7に係る培養バッグの斜視図である。
【0091】
上述の実施の形態1〜6の場合、例えば
図1に示すように、実施の形態1に係る培養バッグ10の培養液収容部12は、円形断面を備える有底筒状であって、拡径部12aと縮径部12bとを備える蛇腹状である。
【0092】
それに対して、本実施の形態7の場合、
図14に示すように、培養バッグ610の培養液収容部612は、長方形断面または正方形断面を備える有底筒状であって、拡径部612aと縮径部612bとを備える蛇腹状である。
【0093】
本実施の形態7の培養バッグ610は、培養液収容部612の断面が長方形または正方形であるために、フットプリントが同一である場合、培養液収容部12の断面が円形である実施の形態1の培養バッグ10に比べて、多くの培養液Lを収容することができる。
【0094】
なお、培養バッグの培養液収容部の断面形状は、正方形や長方形に限らず、また円形に限らず、他の形状であってもよい。また、鉛直方向の位置によって培養液収容部の断面形状が異なっていてもよい。
【0095】
以上、上述の複数の実施の形態1〜7を挙げて本発明を説明したが、本発明の実施の形態はこれらに限らない。
【0096】
例えば、上述の実施の形態の培養バッグの場合、培養バッグが変形されることによってその内部の培養液が撹拌される。それに加えて、培養バッグの位置および姿勢の少なくとも一方を変更させて培養バッグの第1および第2の培養空間内に培養液の流れを発生させてもよい。この場合、培養装置は、例えば、培養バッグを変形させる培養バッグ変形部(例えば、
図3に示す昇降アーム58)とともに、培養バッグの位置姿勢を変更する培養バッグ位置姿勢変更部(例えば、
図3に示すステージ52を揺動させるステージ揺動部)とを有する。
【0097】
これにより、培養バッグの変形のみで該培養バッグ内の培養液を撹拌する場合に比べて、培養液がより撹拌される。
【0098】
また、上述の実施の形態の場合、第1の培養空間と第2の培養空間とを連通する流路は、常時開いた状態の貫通穴であるがこれに限らない。例えば、第1の培養空間と第2の培養空間とを連通する流路は、培養バッグの変形によって第1の培養空間または第2の培養空間内の圧力が所定値を越えると開く弁であってもよい。
【0099】
さらに、上述の実施の形態の場合、培養バッグ(その培養液収容部)は、鉛直方向(Z方向)に伸縮するが、培養バッグの伸縮方向はこれに限らない。例えば、培養バッグは水平方向に伸縮してもよい。
【0100】
さらにまた、上述の実施の形態の場合、培養バッグ内の内部空間を仕切り部が分割することにより、第1の培養空間と第2の培養空間が設けられている。また、培養バッグは、特に培養液収容部は蛇腹状または折り畳み式提灯状である。しかしながら、本発明の実施の形態は、これに限らない。例えば、培養バッグがくびれ部を備え、その内部空間がくびれ部によって第1の培養空間と第2の培養空間とに分割され、さらに第1の培養空間と第2の培養空間とがくびれ部内の空間(流路)によって連通されている培養バッグであってもよい。すなわち、本発明の培養バッグは、広義には、培養液を収容して培養を行う変形可能な培養バッグであって、培養バッグの内側表面によって画定された第1の培養空間と、培養バッグの内側表面によって画定された、第1の培養空間と異なる第2の培養空間と、第1の培養空間と第2の培養空間とを連通して培養液が往来可能な流路と、を有する。