(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、各発明の実施の形態について説明する。なお、本件発明は、これら実施形態に何ら限定されるべきものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得る。なお、実施形態と請求項の関係は次の通りである。実施形態1
及び3は、主に請求項1
及び2などに関する。実施形態2は、請求項
3などに関する
。実施形態4は、主に請求項
4及び
5などに関する。実施形態5は、主に請求項
6などに関する。実施形態6は、請求項
7などに関する。実施形態7は、請求項
8などに関する。実施形態8は、請求項
9などに関する
。実施形態9は、請求項10などに関する。
【0025】
本実施形態の蓄光光源は、紫外線透過ロッドの側面の一部に紫外線透過ロッド全長にわたって直接
又は間接に配置される紫外線にて励起され可視光を発光する蓄光層を備えることを特徴とする。
<実施形態1:全体の構成>
【0026】
図1は、本実施形態の蓄光光源の一例を示す概念斜視図である。また、
図2A及び
図2Bは、本実施形態の蓄光光源の一例を示す概念図であり、(a)が紫外線透過ロッドの略軸線方向と垂直に交わる横断面図、(b)が紫外線透過ロッドの略軸線方向に沿う縦断面図を示している。
図2Aは、蓄光層が紫外線透過ロッド全長にわたって直接に配置された一例である。
図2Bは、紫外線透過ロッドの側面の全部に透明クラッド層を配置し、蓄光層が紫外線透過ロッド全長にわたって間接に配置された一例である。
【0027】
本実施形態の蓄光光源は、紫外線透過ロッド(0201)と、紫外線光源(0202)と、蓄光層(0203)と、透明クラッド層(0204)と、を備える。なお、紫外線透過ロッドの略軸線方向とは、両矢印(0205)で示された方向をいう。
<実施形態1:各部の構成>
(紫外線透過ロッド)
【0028】
「紫外線透過ロッド」(0201)は、コア層となる透明なロッドであり、紫外線の透過率が高く、紫外線の耐久性の高い材料でできている。例えば、ポリメタクリル酸メチル樹脂(屈折率1.49程度)などの透明性アクリル系樹脂、合成石英ガラス(屈折率1.47程度)、透明石英ガラス(屈折率1.47程度)、ホウ珪酸ガラス(屈折率1.48程度)等である。
(紫外線光源)
【0029】
「紫外線光源」(0202)は、紫外線透過ロッドの端部に配置され紫外線透過ロッドの略軸線方向を光軸中心(0206)として紫外線(0207)を照射する。この紫外線光源は、紫外線透過ロッドの端部から蓄光層に光を入射する機能を有する。紫外線光源の設置位置は、紫外線透過ロッドの端部であって、紫外線光源の発光正面を紫外線透過ロッドの略軸線方向と垂直に交わる面上に配置することが好ましい。このように設置することにより、紫外線は
、紫外線透過ロッドの略軸線方向を光軸中心として照射され得る。
【0030】
紫外線光源は紫外線ランプ、紫外線LED(UV−LED)、ブラックライトを使用することが好ましい。詳しくは後述するが、紫外線LEDを使用することが特に望ましい。紫外線光源を収納するケース(0215)内にゲルを充填してもよいが、その場合、紫外線耐候性を有するゲルを用いることが望ましい。例えば、耐紫外線性などの耐候性に優れた液状シリコーンゴムを充填し、ケース内で硬化(ゲル化)させることもできる。ゲルに使用する材料は、紫外線耐候性の面からシリコーン系の素材が望ましい。
(蓄光層)
【0031】
「蓄光層」(0203)は、紫外線透過ロッドの側面の一部に紫外線透過ロッド全長にわたって直接
又は間接に配置され紫外線にて励起され可視光(0208)を発光する。蓄光層で発光された可視光は、紫外線透過ロッドの側面の一部に配置された蓄光層以外の側面から出射されるので、蓄光光源の側面全体が明るく光ることになる。
【0032】
本発明では、蓄光層は紫外線にて励起され可視光を発光するが、紫外線は波長が短くエネルギーが高いことから、より少ない消費電力で十分な明るさの可視光を照射することが可能となる。また、紫外線には熱を出さないといった特徴もあることから、照射対象である蓄光層表面の高温化防止を図ることも可能となる。
【0033】
蓄光層は、光エネルギーを蓄え、蓄えた光エネルギーを徐々に光として放出する性質を有する材料である蓄光材を備える。蓄光材としては、アルミン酸ストロンチウム系の蓄光粉末を溶液に溶かして乾燥させたものなどが用いられる。アルミン酸ストロンチウムは、SrAl
2O
4、Sr
4Al
14O
25などのようなストロンチウム(Sr)、アルミニウム(Al)及び酸素(O)を主要構成元素とする物質をいい、アルミン酸ストロンチウム系蓄光粉末は、アルミン酸ストロンチウム塩を母結晶として少量のユーロピウム(Eu)、ディスプロシウム(Dy)、ホウ素(B)などを添加したものである。
【0034】
蓄光層は、蓄光材と樹脂などを混ぜたコンパウンドを使用することもでき、蓄光材を1種又は2種以上含むこともできる。蓄光層の材料は、蓄光顔料、蓄光塗料、蓄光テープ、蓄光樹脂ペレット、蓄光樹脂板など様々な形態のものがあるが、本発明は、蓄光層の材料の形態に限定されることはない。
【0035】
また、蓄光層の母材として、シリコーン系の素材を用いてもよい。シリコーン系の素材は、その主骨格であるシロキサン結合の結合エネルギーが大きいために、樹脂系素材に比べて紫外線等に対する安定性に優れており、紫外線による変色、劣化が少ないという特徴を有している。このため、蓄光層の材料に用いることで、当該蓄光材の紫外線による変色や劣化を防ぐことができる。
【0036】
蓄光層は、例えば、蓄光塗料、蓄光顔料、蓄光材を紫外線透過ロッドまたは透明クラッド層の外側に印刷、塗布等することにより形成してもよい。この際、紫外線透過ロッドおよび透明クラッド層の一部を平面的に構成すれば、印刷、塗布が容易である。しかし、蓄光層は、必ずしも平面的に構成される必要はなく、円柱状導光体の側面形状に沿った形状の曲面等で構成されていてもよい。あるいは、実施形態4で示すように紫外線透過ロッドの略軸線方向と垂直に交わる横断面をかまぼこ断面状にし、紫外線透過ロッドの略軸線方向に沿う縦断面図を略長方形の断面とし、当該略長方形の断面に蓄光層を設けることもできる。
【0037】
蓄光材を紫外線透過ロッドまたは透明クラッド層、の外側に貼付するには、例えばシリコーン系接着剤転写テープを用いて行えばよい。接着剤料としてシリコーン系素材を用いるのは、蓄光材と同様に変色、劣化しにくい素材を用いることで、折角蓄光層に変色、劣化しにくい素材を用いたことの効果を減殺しないですむようにすることにある。このような性質を備えた好適なシリコーン系接着剤転写テープとして、住友スリーエム社製のシリコーン系接着剤転写テープ(製品番号91022)が挙げられる。
【0038】
なお、紫外線光源として発光ダイオードを使用する場合は、発光ダイオード付近は相対的に明るく、光源から離れるにつれて暗くなるので、光源付近では蓄光層の面積を小さくし、光源から離れるほど蓄光層の面積を大きくすることにより、蓄光電源の側面を紫外線透過ロッドの略軸線方向に均一に光らせることができる。蓄光層は、少なくとも1本配置されていれば良いが、複数本配置されていても良い。
(透明クラッド層)
【0039】
「透明クラッド層」(0204)は、紫外線透過ロッドの側面の他の一部に配置される。「紫外線透過ロッドの側面の他の一部」とは、蓄光層の配置されていない紫外線透過ロッドの側面を意味する。すなわち、透明クラッド層は、
図2Aに示したように紫外線透過ロッドの側面の一部に配置された蓄光層の以外の部分に配置することもできるし、
図2Bに示したように紫外線透過ロッドの側面の全部に配置することも含まれるものである。透明クラッド層を紫外線透過ロッドの側面の全部に配置する場合は、蓄光層は透明クラッド層を介して、紫外線透過ロッドの側面の一部に配置されることになる。
【0040】
透明クラッド層は、紫外線透過ロッドの材質よりも紫外線屈折率が低い。例えば、PTFEなどの透明フッ素樹脂、透明シリコーン樹脂等である。
(紫外線透過ロッドと透明クラッド層の屈折率の関係)
【0041】
本実施例においては、有害な紫外線を蓄光光源から放出させないために、紫外線透過ロッドと透明クラッド層の屈折率が所定の関係になるようにしており、具体的には、紫外線透過ロッドの屈折率を所定の屈折率とするとともに、透明クラッド層の屈折率が紫外線透過ロッドの屈折率よりも低い屈折率となるようにしている。
【0042】
図3Aは、紫外線透過ロッドと透明クラッド層の屈折率の関係について説明するための図である。まず紫外線光源から発せられた光の一部は、紫外線透過ロッド(0301)とクラッド層(0304)の界面(0316)で反射し、他の一部は紫外線透過ロッドを通過して透明クラッド層に入射される。このとき、透明クラッド層の屈折率n1の方が紫外線透過ロッドの屈折率n2よりも低いため、紫外線透過ロッドと透明クラッド層の境界面に対する紫外線透過ロッドからの入射角θ
1よりも透明クラッド層への出射角θ
2の方が大きくなる。
【0043】
ただし、紫外線透過ロッドと透明クラッド層の境界面への入射角が臨海角より大きな角度θ
3になると、当該光は当該境界面によって全反射され、紫外線透過ロッド側に戻っていくことになる。したがって、紫外線の入射角が一定角度以下の場合のみ、紫外線が透明クラッド層に入射されることになる。紫外線透過ロッドと透明クラッド層の屈折率の関係を本発明のように構成することで透明クラッド層に入光する紫外線量を低く抑えることが可能となるので、紫外線光源から発せられる紫外線をより有効に利用することができる。
【0044】
上述したように、紫外線光源が発する紫外線の入射角が臨海角より大きな角度になると、当該光は当該境界面によって全反射され、蓄光層側に戻っていくことになる。LEDは、それ自体が指向性を有するものであり、光源からの光が一定の方向を照射するようになっているが、本発明では、紫外線光源は紫外線透過ロッドの略軸線方向を光軸中心として紫外線を照射する構成なので、紫外線透過ロッドと透明クラッド層の境界面への入射角がおのずと大きくなり、全反射が起こりやすい。したがって実施形態8でも説明するが、紫外線光源として紫外線LEDを使用することが望ましい。
【0045】
一方で、
図3Bは、紫外線光源(0302)の発光正面を蓄光層(0303)に向けて傾けて配置した一例を示した概念図である。発光正面を蓄光層に向けて配置すると、大部分の紫外線は蓄光層に吸収されるが、一部は反射して透明紫外線ロッド(0301)に向けて放出される。このときの紫外線の紫外線透過ロッド(0304)への入射角は小さくなり、紫外線透過ロッドと透明クラッド層の境界面で全反射が起こりにくくなるので好ましくない。本発明では、紫外線光源は、光軸方向を紫外線透過ロッドの略軸線方向を光軸中心として紫外線を照射しているので、より全反射が起こりやすい構成となっている。
【0046】
紫外線透過ロッドと透明クラッド層を上述したような構成とすることで、蓄光光源から紫外線の透過をほぼ抑えることが可能である。しかし、有害な紫外線の放出を防止するために、透明クラッド層は、紫外線反射材で被覆することが望ましい。例えば、アルミニウムの薄膜を50〜300オングストローム程度被覆することが望ましい。アルミニウムの薄膜は、蒸着法やスパッタ法などにより被覆することができる。また、紫外線反射塗料を塗布することもできる。このように、たとえわずかな紫外線が外部にもれたとしても、人体に害が及ばない程度とするように設計するものである。また、紫外線反射材の被覆後も、透明クラッド層の表面は透明または半透明であり、可視光は遮られることなく、透明クラッド層から放出される。
【0047】
このような紫外線透過ロッドよりも透明クラッド層の方が屈折率の小さい材料の組合せとしては、例えば、紫外線透過ロッドがポリメタクリル酸メチル樹脂(屈折率1.49程度)であり、透明クラッド層がPTFEなどの透明フッ素樹脂(屈折率1.35〜1.42程度)や透明シリコーン系樹脂(屈折率1.41程度)であるものや、紫外線透過ロッドが合成石英ガラス(屈折率1.47程度)、透明石英ガラス(屈折率1.47程度)、ホウ珪酸ガラス(屈折率1.48)等であって透明クラッド層がPTFEなどの透明フッ素樹脂や透明シリコーン系樹脂であるものが挙げられる。ガラスとPTFE樹脂や透明シリコーン系樹脂の間にはプライマー処理などをしてガラスと樹脂の密着性を上げることが好ましい。
<実施形態1:効果>
【0048】
本実施形態の蓄光光源により、有害な紫外線の系外への放出することなく、少ない消費電力でより明るい蓄光光源を提供することができる。
<実施形態2:概略>
【0049】
本実施形態の蓄光光源は、実施形態1を基本としつつ、さらに、紫外線光源は紫外線透過ロッドの両端に配置されるとともに、両紫外線光源の光軸中心は、他の紫外線光源の光軸中心と重ならないように配置されることを特徴とする。
<実施形態2:全体の構成>
【0050】
蓄光光源は、紫外線光源は紫外線透過ロッドの両端に配置されるとともに、両紫外線光源の光軸中心は、他の紫外線光源の光軸中心と重ならないように配置される。
【0051】
図4は、本実施形態の蓄光光源の一例を示す概念斜視図である。本実施形態の蓄光光源は、紫外線透過ロッド(0401)と、複数の紫外線光源(0402)と透明クラッド層(0403)と、蓄光層(0404)と、を備える。紫外線透過ロッドと、透明クラッド層と、蓄光層については、実施形態1で述べたところと同様であるので、説明を省略する。
(紫外線光源の配置)
【0052】
紫外線光源は紫外線透過ロッドの両端に配置される。端部での位置は特に限定されないが、
図4で一例を示したように両端に配置された各々の紫外線光源の光軸中心は、他の紫外線光源の光軸中心とそれぞれ重ならないように配置される。
図4では、両端に配置される紫外線光源は、各端部に1ずつであるが、各端部に複数配置することもできる。光源である紫外線光源付近の方が明るいので、両端部から紫外線光源の光を入射させれば、両端部の明るさの違いがなくなり、蓄光光源をより均一に光らせることができる。
【0053】
また、光軸中心を重ならないように配置することで、
図4に示したように両端に配置された紫外線光源から放出される紫外線は、紫外線透過ロッドの一部分に偏ることなく全体に広がることができ、蓄光層への入光量を増やすことができる。一方で、両端に配置された紫外線光源の光軸中心が重なると、互いに強い紫外線を照射しあうことになり、紫外線光源の劣化を早めるため好ましくない。本発明では、そのような事態を防ぐためにも両端に配置された各々の紫外線光源の光軸中心は、他の紫外線光源の光軸中心とそれぞれ重ならないように配置される。
<実施形態2:効果>
【0054】
本実施形態の蓄光光源により、両端部の明るさの違いがなくなり、蓄光光源をより均一に光らせることができ、少ない消費電力でより明るい蓄光光源を提供することができる。
<実施形態3:概略>
【0055】
本実施形態の蓄光光源は、実施形態1および実施形態2を基本としつつ、さらに、蓄光層の下層に反射層を設けることを特徴とする。
【0056】
さらに、反射層は、紫外線反射層と可視光反射層の二層であることを特徴とする。
【0057】
さらに、反射層は上層が紫外線反射層、下層が可視光反射層であることを特徴とする。
<実施形態3:全体の構成>
【0058】
図5は、本実施形態の蓄光光源の紫外線透過ロッドの略軸線方向の縦断面を示す概念図の一例である。蓄光光源は、蓄光層の下層に反射層を備える。本実施形態の蓄光光源は、紫外線透過ロッド(0501)と、紫外線光源(0502)と透明クラッド層(0503)と、蓄光層(0504)と、反射層(0509)と、を備える。反射層は紫外線反射層(0510)と可視光反射層(0511)の二層の構成とすることができる。さらに、反射層は上層が紫外線反射層、下層が可視光反射層であることが望ましい。紫外線透過ロッドと、紫外線光源と、透明クラッド層と、蓄光層については、実施形態1及び2で述べたところと同様であるので、説明を省略する。
【0059】
図5(a)は、紫外線透過ロッドの側面の一部に蓄光層を直接配置し、透明クラッド層は、蓄光層の設けられていない紫外線透過ロッドの側面に配置した例である。
図5(
c)は
図5(a)の反射層を二層の構成とし、さらに上層が紫外線反射層、下層が可視光反射層とした例である。
図5(
b)は、紫外線透過ロッドの側面の全部に透明クラッド層を配置し、蓄光層は紫外線透過ロッドの側面の一部に間接配置した例である。
(反射層)
【0060】
「反射層」(0509)は、蓄光層の下層に備えられる。反射層は、光を反射する帯状の層である。蓄光層に入射した紫外線は、蓄光層に全て吸収される訳ではなく、その一部は蓄光層表面で反射したり、蓄光層を透過して蓄光層の下層に放出される。反射層は、蓄光層の下層に放出された紫外線を反射して、蓄光層に再入射させるために蓄光層の下層に設けられた部材である。また、蓄光層で励起された可視光も、すべてが蓄光層から紫外線透過ロッドへ放射される訳ではなく、一部は蓄光層の下層から放出される。反射層は、蓄光層の下層に放出された可視光を反射して、蓄光層に再入射させるための機能も有する部材である。反射層は、蓄光光源から、光が漏れるのを防ぎ、蓄光層から出射される光量を増大させることにより、蓄光光源の明るさを向上させることができる。
【0061】
反射層は、例えば、白色顔料や散乱材を円柱状導光体の外側又は内側に印刷、塗布等することにより形成してもよい。白色顔料や散乱材は、光散乱性の強い材料、例えば、Al
2O
3、TiO
2、SiO
2等の金属酸化物粒子、BaSO
4等の硫酸塩粒子、CaCO
3等の炭酸塩粒子、ガラス微粉末やガラスバルーンなどの無機化合物粒子、微小なエアーセルを形成したマイクロ発泡体等の1種又は2種以上からなることとすればよい。また、紫外線反射性に優れたものとして、例えば酸化チタン、酸化亜鉛、アルミニウムなどを混合することとすればよい。
【0062】
なお、この際、蓄光層の一部を平面的に構成すれば、印刷、塗布が容易である。しかし、反射層は、必ずしも平面的に構成される必要はなく、紫外線透過ロッドの側面形状に沿った形状の曲面等で構成されていてもよい。あるいは、実施形態4で示すように紫外線透過ロッドの略軸線方向と垂直に交わる横断面をかまぼこ断面状にし、紫外線透過ロッドの略軸線方向に沿う縦断面図を略長方形の断面とし、当該略長方形の断面に蓄光層を設けた場合は、当該蓄光層の下層に反射層を設けることもできる。
【0063】
あるいは、反射層は、金属を磨き上げたり、樹脂や金属、ガラスなどに金属を蒸着やメッキした鏡面であったり、プリズムやガラスビーズを埋め込んだ反射材であっても良い。
【0064】
反射層は、紫外線反射層(008)と可視光反射層(009)の二層の構成とすることができる。また、二層の構成とする場合は、反射層は上層が紫外線反射層、下層が可視光反射層とすることが望ましい。このような構成にすることで、紫外線の大部分は上層の紫外線反射層で反射され、可視光の大部分は下層の可視光反射層で反射される。
(紫外線反射層)
【0065】
「紫外線反射層」は、紫外線を反射する帯状の層である。紫外線反射層は、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、アルミニウムなどの反射材を用いることができる。反射材は、円柱状導光体の外側又は内側に印刷、塗布等することにより形成してもよいが、スパッタや蒸着などの方法により紫外線反射層を形成させることもできる。
(可視光反射層)
【0066】
「可視光反射層」は、可視光を反射する帯状の層である。構成については、上記した反射層と同様である。紫外線反射材は比較的高価であるが、可視光反射層ではそのような紫外線反射材を使用する必要はなく、可視光を反射できればよい。
【0067】
可視光光源を用いて可視光を蓄光層に照射し、蓄光された光を放射する方法もあるが、紫外線光源を用いると、紫外線は可視光にくらべ波長が短くエネルギーが高いので、蓄光層により多く光エネルギー蓄えることができ、十分な明るさの発光を得ることが可能となる。したがって、反射層ではエネルギーの高い紫外線をより効率的に反射することが望ましい。
【0068】
反射層は下層が紫外線反射層、上層が可視光反射層とする構成では、上層の可視光反射層を透過する紫外線のうち一部が吸収され減衰した後、下層の紫外線反射層で反射され、さらに上層の可視光反射層を透過する際に同様に減衰してしまうため、効率的に紫外線を反射することができない。しかし、上層に紫外線反射層を設けることで、可視光よりもエネルギーの高い紫外線を減衰させることなく効率的に反射するができる。一方、可視光は紫外線反射層でも一部反射されるが、大部分は下層の可視光反射層で反射され、蓄光層に再入射される。
【0069】
反射層を蓄光層の下層に貼付するには、例えばシリコーン系接着剤転写テープを用いて行えばよい。反射層を紫外線反射層と可視光反射層の2層構成とする場合は、反射層同志の貼付に、例えばシリコーン系接着剤転写テープを用いることができる。接着剤料としてシリコーン系素材を用いるのは、蓄光材で述べた理由と同様である。
<実施形態3:効果>
【0070】
本実施形態の反射層を備えた蓄光光源により、蓄光層を透過した光が漏れるのを防ぎ、蓄光光源の側面から出射される光量を増大させることにより、少ない消費電力でより明るい蓄光光源を提供することができる。その効果は、反射層を紫外線反射層と可視光反射層の二層とすること、さらには上層が紫外線反射層、下層が可視光反射層とすることにより増大する。
<実施形態4:概略>
【0071】
本実施形態の蓄光光源は、実施形態1〜3を基本としつつ、さらに、紫外線透過ロッドは、円筒状であることを特徴とする。
【0072】
さらに、紫外線透過ロッドは、断面がかまぼこ断面状であることを特徴とする。
<実施形態4:全体の構成>
【0073】
図6は、本実施形態の蓄光光源の紫外線透過ロッドの略軸線方向と垂直に交わる横断面図を示す概念図の一例である。蓄光光源が、
図6(a)では略円筒状、
図6(b)では略楕円筒状、
図6(c)ではかまぼこ状である例を示している。
【0074】
本実施形態の蓄光光源は、紫外線透過ロッド(0601)と、紫外線光源(0602)と透明クラッド層(0603)と、蓄光層(0604)と、反射層(0609)と、を備える。紫外線透過ロッドと、紫外線光源と、透明クラッド層と、蓄光層と、反射層については、実施形態1から3で述べたところと同様であるので、説明を省略する。
【0075】
蓄光光源は、角のない円筒状、略円筒状や略楕円筒状であることが好ましい。さらには、断面がかまぼこ断面状であることが好ましい。角のない形の方が、境界面で均一に蓄光層から可視光が放射されるので蓄光光源全体が均一に明るく光るからである。ただし、蓄光層、反射層の部分など、一部が平面的に構成されていても良い。
<実施形態4:効果>
【0076】
本実施形態の蓄光光源により、蓄光光源全体が均一に明るく光り、少ない消費電力でより明るい蓄光光源を提供することができる。
<実施形態5:概略>
【0077】
本実施形態の蓄光光源は、実施形態4を基本としつつ、さらに、円筒側面に沿って円筒軸芯から所定角の扇状範囲に配置され、蓄光層の下層の反射層は、前記所定角よりも大きい角の扇範囲に配置され、結果として、上に蓄光層を配しない反射層部分が紫外線透過ロッド内方に向けて配置されることを特徴とする。
<実施形態5:全体の構成>
【0078】
図7A〜
図7Cは、本実施形態の蓄光光源の紫外線透過ロッドの略軸線方向と垂直に交わる横断面図を示す概念図の一例である。本実施形態の全体の構成について、
図7Aを用いて説明する。蓄光層(0704)は、円筒側面に沿って円筒軸芯から所定角の扇状範囲に配置され、蓄光層の下層の反射層(0709)は、前記所定角よりも大きい角の扇範囲に配置され、結果として、上に蓄光層を配しない反射層部分が紫外線透過ロッド内方に向けて配置される。
図7Aのように略円筒状とすることもできるし、
図7Bのようにかまぼこ状とすることもできるが、本実施形態は蓄光光源の形状を限定するものではない。
【0079】
また、
図7A及び
図7Bは反射層を一層とする例を示しているが、
図7Cに示したように二層の構成とすることもできる。また、反射層を二層の構成とする場合は、上層が紫外線反射層(0710)、下層が可視光反射層(0711)とすることが望ましい。
図7C(a)に示したように上層の紫外線反射層は下層が可視光反射層に対し、より大きな領域をカバーすることが望ましい。なお、実施形態1で、透明クラッド層は、紫外線反射材料で被覆することが望ましいことを述べたが、例えば、製造工程で紫外線透過ロッド、透明クラッド層、蓄光層を形成させた後に、透明クラッド層、蓄光層から構成される側面に紫外線反射材料で被覆することで、当該被覆の一部を紫外線反射層として機能させることもできる。このような構成の例を
図7C(b)に、示した。
【0080】
蓄光光源は、蓄光層は、円筒側面に沿って円筒軸芯から所定角の扇状範囲に配置され、
蓄光層の下層の反射層は、前記所定角よりも大きい角の扇範囲に配置され、結果として、上に蓄光層を配しない反射層部分が紫外線透過ロッド内方に向けて配置される。このような構成にすることにより、蓄光層の下層部全体が反射層と接することとなるので、蓄光層の下層から光がもれることなく反射され得る。また、主に光が拡散する方向を制御することができる。
<実施形態5:効果>
【0081】
本実施形態の蓄光光源により本発明の構成をより蓄光層の下層から光がもれることなく反射され、有害な紫外線を外部に放出することなく、少ない消費電力でより明るい蓄光光源を提供することができる。
<実施形態6:構成>
【0082】
本実施形態の蓄光光源は、実施形態1〜5を基本としつつ、さらに、紫外線透過ロッドの端部の紫外線光源の配置領域以外は、紫外線反射材が配置されていることを特徴とする。
<実施形態6:概略>
(光反射板)
【0083】
図8は、本実施形態の蓄光光源の一例を示す概念図であり、紫外線透過ロッドの略軸線方向に沿う縦断面図である。「紫外線反射材」(0809)は、紫外線透過ロッドおよび蓄光層から反射される紫外線を反射するために、紫外線透過ロッドの端部の紫外線光源の配置領域以外に配置されている。
図8は、本実施形態の蓄光光源の一例を示す概念図であり、紫外線透過ロッドの略軸線方向と垂直に交わる横断面図であるが、紫外線反射材を網目模様で示している。本実施形態の蓄光光源は、紫外線透過ロッド(0801)と、紫外線光源(0802)とクラッド層(0803)と、蓄光層(0804)と、反射層(0809)と、を備える。外線透過ロッドと、紫外線光源と、クラッド層と、蓄光層と、反射層については、実施形態1で述べたところと同様であるので、説明を省略する。また、紫外線透過ロッド端面と紫外線光源のすきまにゲルを充填してもよいが、その場合は紫外線耐候性を有するゲルを用いることが望ましい。
図8に紫外線透過ロッド端面と紫外線光源のすきまをゲル(0817)で埋めた場合の一例を示した。
【0084】
図8に紫外線(0807)を破線で示したが、紫外線反射材は、紫外線透過ロッドの端部から有害な紫外線の漏れを防ぐとともに反射された紫外線は、蓄光層に入射して可視光を発光させるため蓄光光源からから出射される光量を増大させ、明るさを向上させる機能を有する。
【0085】
紫外線反射材として、例えばシート状の樹脂の表面に酸化チタンもしくは酸化亜鉛を塗布したものが考えられる。特に、酸化チタンは反射材として好適な材料である。紫外線反射材として、例えばアルミニウムも好適な材料であり、シート状の樹脂の表面にスパッタリングや蒸着処理によりコーティングしたものや金属アルミニウムの板を配置することが好ましい。
<実施形態6:効果>
【0086】
本実施形態の蓄光光源により、紫外線透過ロッドの端部から有害な紫外線が漏れを防ぐことができ、さらに紫外線を効率的に蓄光層に導入できるので、より明るい蓄光光源を提供することができる。
<実施形態7:概略>
【0087】
本実施形態の蓄光システムは、実施形態1〜6の蓄光光源を基本としつつ、さらに、この蓄光光源の紫外線光源に電気を供給する電源と、電源からの供給が間欠的な供給となるように制御する制御部と、を有することを特徴とする。
<実施形態7:構成>
【0088】
図9は、本実施形態の蓄光システムの機能ブロックの一例を示す図である。本実形態の蓄光光源は、実施例1〜6の蓄光光源と基本的に共通する。ただし、本実施例の蓄光システムは、この蓄光光源の紫外線光源に電気を供給する電源と、電源からの供給が間欠的な供給となるように制御する制御部とを有するものである。
(電源)
【0089】
「電源」(0921)は、蓄光光源の紫外線光源に対して電気を供給する。電源の供給する電圧には、商用電源の電圧である100Vの電源などが該当する。また、電源の電圧は、100Vの電源から交流−直流変換された約6〜15Vの直流電圧などであってもよい。発光部が発光ダイオードである場合には直流を供給するように構成される。さらに供給すべき電圧が所定の値となるように電圧安定化回路を備えていてもよいし、電源の供給をできるだけ低ノイズで行うためのノイズリダクション回路を備えていてもよい。電源から供給される電源は、インバータ、トランスなどによって直流−交流変換、電圧変換されて蓄光光源の紫外線光源に供給される。なお、
図9の蓄光システムの機能ブロック図には、インバータ、トランスなどは図示していない。また、インバータ、トランスなどは電源の内部に存在する構成としてもよい。
(制御部)
【0090】
「制御部」(0922)は、電源からの供給が間欠的な供給となるように制御する。電源からの供給が間欠的な供給するための機構を設ける目的は、短時間の紫外線の出射により長時間蓄光層を発光させるという処理を繰り返すことで、光源の発光ための消費電力を節約することにある。
【0091】
電源からの供給が間欠的な供給となるように制御の具体的構成としては、例えばマイクロコンピュータを備え、その計時機能及び制御機能を用いて所定時間光を出射した後、所定時間光の出射を止め、その後同様の処理を繰り返すというように紫外線光源の発光パターンを制御することが考えられる。
【0092】
紫外線光源及び蓄光層の経年劣化に鑑みて、使用した年数の経過とともに紫外線光源の照射時間が長くなるように制御してもよい。例えば、一年に5〜15%照射時間が長くなるような制御があげられる。
【0093】
発光パターンとしては例えば、15秒間光を出射した後、15分間光の出射を止め、その後同様のパターンを繰り返すというような一定時間ごとに点滅を繰り返すように制御するものが考えられる。また、一日あたりの発光時間を8時間とか10時間といった任意の一定時間に設定することや、長時間発光を続けさせるために、例えば最初の3時間を100%の輝度で発光させ次の3時間を50%の輝度で発光させるといったように、時間に応じて発光輝度の制御を行うことなどが考えられる。LED構体に照度センサーを設け、照度に応じた点灯消灯時間のコントロールや、発光輝度のコントロール、点灯点滅のコントロール、などを行っても良い。
<実施形態7:効果>
【0094】
本実施形態により、短時間の光の出射で長時間蓄光層を発光させるという処理を繰り返すことで、蓄光光源の発光ための消費電力を節約することが可能となる。
<実施形態8:概略>
【0095】
本実施形態の蓄光システムは実施形態7を基本としつつ、さらに、紫外線光源は紫外線LEDであることを特徴とする。
<実施形態8:全体の構成>
【0096】
本実施形態の蓄光システムは、実施形態7と基本的に共通する。ただし、実施形態7を基本としつつ、さらに、紫外線光源は紫外線LEDとする発明である。
(紫外線LED)
【0097】
「紫外線LED」は、紫外線を発光するLEDである。紫外線は、10nmから400nmの波長の電磁波を指すことが一般的だが、紫外線LEDとして、実現されているのは250nmから400nmの波長をもつLEDである。紫外線LEDはさらに3つの波長に区分けされている。400nmから350nmの波長範囲のUVA−LED、350nmから280nmの波長範囲のUVB−LED、そして、280nmから250nmの波長範囲のUVC−LEDの3区分である。本実施形態の紫外線LEDは、波長範囲に限定されるものではなく、新たに短波長の紫外線LEDが実現された場合には、そのような紫外線LEDを使用することもできる。
【0098】
「LED」は、電気を利用して発光する半導体素子である。本明細書中において、「発光ダイオード」という場合も同じ意味である。LEDを利用することにより、省電力かつ長寿命効果が期待できる。特に、定期的な交換の頻度を激減させることができるため、取り替え作業が発生する場所での利用に特に適する。照明として用いる場合、発光ダイオードは、白色であることが好ましいが、どのような色を発色するものであってもよい。この紫外線LEDは、紫外線透過ロッドの端部に配置され紫外線透過ロッドの略軸線方向を光軸中心として紫外線を照射するに光を入射する機能を有する。
<実施形態8:効果>
【0099】
本実施形態の蓄光システムにより省電力かつ長寿命効果が期待できる。
<実施形態9:概略>
【0100】
本実施形態の蓄光光源は、実施形態7及び8を基本としつつ、さらに、太陽光パネルを備えていることを特徴とする。
<実施形態9:構成>
【0101】
本実施形態の蓄光システムは、実施形態7及び8と基本的に共通する。ただし、実施形態7及び8の蓄光システムを基本としつつ、さらに、太陽光パネルを備える発明である。
(太陽光パネル)
【0102】
「太陽光パネル」(1023)は、太陽電池の単体の素子であるセルを直列接続し、樹脂や強化ガラスや金属枠で保護したものである。太陽電池は、素子中の電子に光エネルギーを吸収させ、光起電力効果によって直接的に電気エネルギーに変換する。太陽電池にはアモルファスシリコンが用いられ、太陽光パネルによって発電された電力は、蓄光光源の紫外線光源に対して供給するように構成されている。
【0103】
なお、電力は太陽光パネル以外からも受け取れるように構成されていてもよい。例えば充電式のバッテリーを備えており、太陽光パネルからの電力を受け取れなくなった場合には臨時にこのバッテリーに蓄えられている電力を利用するように構成されていてもよい。発光部が発光ダイオードである場合には直流を供給するように構成される。さらに供給すべき電圧が所定の値となるように電圧安定化回路を備えていてもよいし、電源の供給をできるだけ低ノイズで行うためのノイズリダクション回路を備えていてもよい。
【0104】
また、制御部のマイコンによる制御によって、悪天候が続いた場合であっても、点灯や点滅時間を制御することで、充電不足による発光障害を防止することが可能となる。
【0105】
例えば、これらの制御に際しては、例えばGPS衛星の時計機能を利用して所定の時刻に点灯・消灯スイッチのON/OFFを行うようにしてもよい。さらに、蓄光光源に照度センサーを設け、照度に応じた点灯消灯時間、発光輝度、点灯点滅などの制御を行ってもよい。このような制御によって、例えば悪天候が続いた場合であっても充電不足による発光障害を防止することが可能となる。
<実施形態9:効果>
【0106】
本実施形態の蓄光システムにより蓄光光源の紫外線光源電力は太陽光パネル電気の供給を受けることができ、さらなる省電力が期待できる。