特許第6647979号(P6647979)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6647979膨張抑制剤を含有する路盤材、及び路盤材の膨張抑制方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6647979
(24)【登録日】2020年1月17日
(45)【発行日】2020年2月14日
(54)【発明の名称】膨張抑制剤を含有する路盤材、及び路盤材の膨張抑制方法
(51)【国際特許分類】
   E01C 3/00 20060101AFI20200203BHJP
   C04B 5/00 20060101ALI20200203BHJP
   C04B 24/26 20060101ALI20200203BHJP
   C08F 220/06 20060101ALI20200203BHJP
   C08F 8/00 20060101ALI20200203BHJP
【FI】
   E01C3/00
   C04B5/00 C
   C04B24/26 E
   C04B24/26 F
   C08F220/06
   C08F8/00
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-134783(P2016-134783)
(22)【出願日】2016年7月7日
(65)【公開番号】特開2018-3529(P2018-3529A)
(43)【公開日】2018年1月11日
【審査請求日】2018年9月13日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000200301
【氏名又は名称】JFEミネラル株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000210654
【氏名又は名称】竹本油脂株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】光藤 浩之
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 哲哉
(72)【発明者】
【氏名】須藤 達也
(72)【発明者】
【氏名】岡田 和寿
【審査官】 富士 春奈
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭58−176181(JP,A)
【文献】 特開2005−029970(JP,A)
【文献】 特開2012−057349(JP,A)
【文献】 特開2010−071067(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0154884(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01C 3/00
C04B 5/00、5/06
C04B 24/26、35/66
C08F 6/06、8/00、20/06、220/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
膨張性鉱物を含有する路盤材において、
水不溶性の高吸水性樹脂から成る膨張抑制剤が路盤材中に1質量%以下含有されていることを特徴とする路盤材。
【請求項2】
膨張性鉱物を含有する路盤材の膨張抑制方法であって、
水不溶性の高吸水性樹脂から成る膨張抑制剤が路盤材中に1質量%以下配合されることを特徴とする路盤材の膨張抑制方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、膨張抑制剤を含有する路盤材、及び路盤材の膨張抑制方法に関する。道路や駐車場等に用いられる路盤材には、天然砕石のほかに、鉄鋼スラグや再生材料等がある。これらの路盤材にCaOやMgO等の膨張性鉱物が含まれると、それらが水分と反応してCaO水和物やMgO水和物を形成する。これらの水和物は元の鉱物に比べて単位物質量あたりの体積が大きいため、体積膨張し、路盤等の隆起や破壊を引き起こし、更には舗装に隣接した構造物等を破壊することがある。本発明は、CaOやMgO等の膨張性鉱物を含有する例えば鉄鋼スラグのような路盤材の膨張を実用上充分に抑えることができる膨張抑制剤を含有する路盤材、及び路盤材の膨張抑制方法に関する。尚、本発明において、路盤材には、未舗装道路や未舗装の駐車場、広場、資材置き場などの整地等に使用される土工用材も含まれる。
【背景技術】
【0002】
従来、鉄鋼スラグを路盤材として用いる場合、鉄鋼スラグに含まれる膨張性鉱物の水和反応を進行させる通常エージング処理や、温水又は蒸気による促進エージング処理が行なわれている。しかし、かかる通常エージング処理や促進エージング処理では実際のところ、かかる処理を行なった鉄鋼スラグを路盤材として用いたときに、路盤材の膨張を充分に抑えることができない場合が生じるという問題がある。
【0003】
前記のような問題は、CaOの水和反応は速いが、MgOの水和反応は遅いことに起因することが指摘され(例えば、非特許文献1参照)、またCaOは水中20℃において3日で水和率が100%に到達するが、MgOは水中20℃において180日で水和率が57%に留まり、MgOの水和速度はCaOの1/100程度と非常に遅いことに起因することが指摘されている(例えば、非特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Jurgen Geiseler,Ruth Schlosser,Rudiger Scheel,Klaus Koch and Dieter Janke:Steel Research 58(1987),p.210
【非特許文献2】GAO Peiwei, LU Xiaolin, GENG Fei, LI Xiaoyan, HOU Jie,LIN Hui,SHI Nannan.Production of MgO−type expansive agentin dam concrete by use of industrial by−products,Build Environ,Vol.43 No.4 Page.453〜457 (2008.04)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、通常エージング処理や促進エージング処理を行なわなくても、CaOやMgO等の膨張性鉱物を含有する鉄鋼スラグのような路盤材の膨張を長時間に亘って実用上充分に抑えることができる膨張抑制剤を含有する路盤材、及び路盤材の膨張抑制方法を提供する処にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、前記の課題を解決するべく研究した結果、CaOやMgO等の膨張性鉱物を含有する鉄鋼スラグのような路盤材に用いる膨張抑制剤として、水不溶性の高吸水性樹脂が正しく好適であることを見出した。
【0007】
すなわち本発明は、膨張性鉱物を含有する路盤材において、水不溶性の高吸水性樹脂から成る膨張抑制剤が路盤材中に1質量%以下含有されていることを特徴とする路盤材に係る。
また、本発明は、膨張性鉱物を含有する路盤材の膨張抑制方法であって、水不溶性の高吸水性樹脂から成る膨張抑制剤が路盤材中に1質量%以下配合されることを特徴とする路盤材の膨張抑制方法に係る。
【0008】
本発明において、膨張抑制剤として用いる水不溶性の高吸水性樹脂は、一般的に紙おむつや生理用品等の衛生材料に使用され、また土壌保水剤や保冷剤等の非衛生材料にも使用されているもので、水にはほとんど不溶であり、水を高度に吸水して膨潤し、一度吸水すると僅かな圧力をかけても離水しにくい特性を持っている架橋構造の樹脂である。かかる水不溶性の高吸水性樹脂を路盤材の膨張抑制剤として用いた場合、路盤材中の膨張性鉱物であるCaOやMgOが水和物となって膨張すると、周辺の高吸水性樹脂が圧搾されて離水し、収縮するので、路盤材全体としては体積膨張せず、また高吸水性樹脂の吸水によってCaOやMgOの水和反応水が少なくなるので、水和膨張それ自体が減少する。
【0009】
膨張抑制剤として使用できる水不溶性の高吸水性樹脂としては、ポリアクリル酸(塩)系、ポリスルホン酸(塩)系、無水マレイン酸(塩)系、ポリアクリルアミド系、ポリビニルアルコール系、ポリエチレンオキシド系、ポリアスパラギン酸(塩)系、ポリグルタミン酸(塩)系、ポリアルギン酸(塩)系、デンプン系、セルロース系等のものが挙げられる。尚、ここでいうところの系とは、それらを主成分としていることを表しでおり、単一の構成単位や2種類以上の構成単位から構成されていてもよく、製造上の理由から、重合開始剤、内部架橋剤、連鎖移動剤、キレート剤、架橋抑制剤、界面活性剤等が含まれていてもよい。また製造方法は、水溶液重合、逆相乳化重合、逆相懸濁重合等のいずれの方法でもよい。
【0010】
以上、膨張抑制剤として使用できる水不溶性の高吸水性樹脂を例示したが、なかでも水不溶性の高吸水性樹脂としては、全構成単位中に下記の化1で示される構成単位Aと下記の化2で示される構成単位Bとを合計で50モル%以上有する水不溶性で高吸水性のアクリル酸系架橋重合体が好ましい。
【0011】
【化1】
【0012】
【化2】
【0013】
化2において、
M:アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム又は有機アミン
【0014】
構成単位Aを形成することとなる単量体はアクリル酸である。構成単位Bを形成することとなる単量体としては、1)アクリル酸ナトリウム、アクリル酸カリウム、アクリル酸リチウム等のアクリル酸アルカリ金属塩、2)アクリル酸カルシウム、アクリル酸マグネシウム等のアクリル酸アルカリ土類金属塩、3)アクリル酸のアンモニウム塩、4)アクリル酸トリエタノールアミン、アクリル酸ジエタノールアミン等のアクリル酸有機アミン塩が挙げられる。構成単位Bには、単量体としてアクリル酸を用いて重合した後、アルカリ金属、アルカリ土類金属又は有機アミンで中和して得られるアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、有機アミン塩が含まれる。なかでも構成単位Bの塩としては、アルカリ金属塩が好ましく、ナトリウム塩がより好ましい。
【0015】
前記の水不溶性で高吸水性のアクリル酸系架橋重合体は、構成単位A及び構成単位B以外に、他の構成単位を有することができる。かかる他の構成単位を形成することとなる単量体としては、1)メタクリル酸、メタクリル酸の塩、クロトン酸、クロトン酸の塩、イタコン酸、イタコン酸の塩、マレイン酸、マレイン酸の塩、無水マレイン酸、フマル酸、フマル酸の塩等のα,β−不飽和カルボン酸又はその塩、2)アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、酢酸ビニル等のビニル単量体等が挙げられるが、なかでもアクリルアミドが好ましい。
【0016】
また前記の水不溶性で高吸水性のアクリル酸系架橋重合体において、架橋構造部分の構成単位を形成することとなる単量体としては、1)N,N−メチレンビスアクリルアミド等のアミド系架橋性単量体、2)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ) アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等のエステル系架橋性単量体、3)グリセリンジアリルエーテル、グリセリントリアリルエーテル、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、トリメチロールプロパントリアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、ペンタエリスリトールテトラアリルエーテル等のエーテル系架橋性単量体、4)エチレングリコールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル等の多価グリシジル化合物系架橋性単量体等が挙げられる。
【0017】
前記の水不溶性で高吸水性のアクリル酸系架橋重合体は、全構成単位中に構成単位Aと構成単位Bとを合計で50モル%以上有するものであるが、なかでも構成単位Aと構成単位Bとを合計で60モル%以上有し、構成単位A/構成単位B=85/15〜5/95(モル比)の割合で有するものが好ましく、構成単位Aと構成単位Bとを合計で90モル%以上有し、且つ構成単位A/構成単位B=70/30〜10/90(モル比)の割合で有するものがより好ましい。またかかるアクリル酸系架橋重合体としては、全構成単位中に、前記のような架橋性単量体から形成された架橋構造部分の構成単位を0.001〜1モル%有するものが好ましく、0.01〜0.5モル%有するものがより好ましい。
【0018】
前記の水不溶性で高吸水性のアクリル酸系架橋重合体それ自体は、公知の方法で合成できる。これには例えば、特開平3−56513号公報に記載の方法が挙げられる。より具体的には、ステンレス製圧力反応容器に、まずアクリル酸水溶液と水酸化ナトリウム水溶液とを加えてアクリル酸を部分中和し、次に架橋性単量体を加え、更に窒素雰囲気下に過硫酸塩及び促進剤を加えた後、加圧下に60〜110℃の温度で重合反応を行うことにより合成できる。
【0019】
本発明において、路盤材の膨張抑制剤として用いる水不溶性の高吸水性樹脂は、粒子径が10〜2000μmであるものが好ましく、粒子径が10〜1000μmであるものがより好ましい。またかかる水不溶性の高吸水性樹脂は、その吸水量が20g/g以上のものが好ましく、30〜70g/gのものがより好ましい。ここでの吸水量は、JIS K7223−1996に定義された方法にて、0.9質量%の食塩水を用いた場合の測定量である。
【0020】
路盤材の膨張抑制剤として用いる水不溶性の高吸水性樹脂は、膨張性鉱物を含有する路盤材、例えば鉄鋼スラグの質量に対して1質量%以下となるように用いる。水不溶性の高吸水性樹脂は、単独で使用しても、あるいは必要に応じ2種類以上を併用しても構わない。また水不溶性の高吸水性樹脂の本来的機能を損なわない限り、水溶性アクリル酸(塩)系ポリマーやその塩、オキシカルボン酸やその塩、単糖類、多糖類、消泡剤、起泡剤、ポゾラン物質、水硬性物質等と併用しても構わない。水不溶性の高吸水性樹脂は、膨張性鉱物を含有する路盤材にそのまま添加しても、又は吸水させてから添加してもよく、双方を併用してもよい。膨張性鉱物を含有する路盤材は、予めこれに水不溶性の高吸水性樹脂を加えておいたものを路盤材として用いてもよいし、既に施工されている膨張性鉱物を含有する路盤材を取出し、これに高吸水性樹脂を加えた後に、再度路盤材として用いてもよい。以上説明したような水不溶性の高吸水性樹脂の市販品としては、三洋化成工業社製の共に商品名でサンフレッシュGTやアクアパールDS、日本触媒社製の商品名でアクアリックCA、住友精化社製の商品名でアクアキープSA等が挙げられる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の膨張抑制剤を含有する路盤材、及び路盤材の膨張抑制方法は、時間のかかる通常エージング処理や、コストのかかる促進エージング処理をわざわざ行なわなくても、膨張性鉱物を含有する鉄鋼スラグのような路盤材の膨張を長期間に亘って実用上充分に抑えることができるという効果がある。
【実施例】
【0022】
以下、本発明の構成及び効果をより具体的にするため、実施例等を挙げるが、本発明がこれら実施例に限定されるものではない。尚、以下の実施例及び比較例において、部は質量部を、また%は質量%を意味する。
【0023】
試験区分1(アクリル酸系架橋重合体等の合成)
・アクリル酸系架橋重合体(A−1)の合成
ステンレス製圧力反応容器に、アクリル酸110.5部、水232部及び30%濃度の水酸化ナトリウム水溶液143.2部をかき混ぜながら加えてアクリル酸を部分中和した。室温まで冷却した後、N,N−メチレンビスアクリルアミド0.4部を加え、窒素でバブリングして混合した。更に10%濃度の過硫酸ナトリウム水溶液0.3部及び10%濃度のエリソルビン酸ナトリウム0.015部を加え、圧力300kPa及び最高温度90℃で60分間、重合反応を行なった。反応系から生成物を分離し、細断して、120℃の熱風乾燥器中で乾燥した後、粉砕し、篩で分級して、水不溶性で粉末状のアクリル酸系架橋重合体(A−1)を得た。
【0024】
・アクリル酸系架橋重合体等(A−2)〜(A−5)の合成
アクリル酸系架橋重合体(A−1)と同様にして、アクリル酸系架橋重合体等(A−2)〜(A−5)を得た。以上で合成した各アクリル酸系架橋重合体等の内容を表1にまとめて示した。
【0025】
【表1】
【0026】
表1において、
(1)+(2):全構成単位中に占める化1で示される構成単位Aと化2で示される構成単位Bとの合計割合(モル%)
(1)/(2):化1で示される構成単位A/化2で示される構成単位Bの比率(モル比)
吸水量(g/g):JIS K 7223−1996に定義された方法にて、0.9質量%の食塩水を用いた場合の測定量
M−1:メタクリル酸から形成された構成単位
M−2:アクリルアミドから形成された構成単位
L−1:N,N−メチレンビスアクリルアミドから形成された構成単位
L−2:ジエチレングリコールジグリシジルエーテルから形成された構成単位
【0027】
試験区分2(評価その1:10日における水浸膨張比)
試験に供した路盤材としての鉄鋼スラグの組成はCaOが36〜39%、MgOが3.5〜5.7%で、クラッシャラン鉄鋼スラグのCS−40に粒度調整したもの。これをJIS A 5015に従って80℃で10日間(80℃での保持時間は1日6時間)における水浸膨張比を測定した。結果を表2にまとめて示した。各比較例及び実施例に供した鉄鋼スラグは下記の通りである。
比較例1:エージングを行なっていない鉄鋼スラグ。
比較例2:通常(大気)エージングを8ヶ月行なった鉄鋼スラグ。
比較例3:促進エージングである蒸気エージングを48時間行なった鉄鋼スラグ。
実施例1:エージングを行なっていない鉄鋼スラグに、膨張抑制剤として試験区分1で合成したアクリル酸系架橋重合体等(A−1)を0.05%添加した。
実施例2〜8:膨張抑制剤の種類や添加量を表2記載のように変えて実施例1と同様に行なった。
【0028】
【表2】
【0029】
表2において、
A−1〜A−5:試験区分1で合成したアクリル酸系架橋重合体等
C−1:セルロース系吸水性樹脂(日本製紙社製の商品名サンローズSLD−F1、カタログ値 平均粒子径50〜60μm、水不溶性、吸水量17g/g)
【0030】
表2の結果からも明らかなように、MgOの含有量が少ない鉄鋼スラグの場合でも、エージングを行なわなければ、水浸膨張比は2.5%に達するが、通常エージングや促進エージングを行なうことにより、JISの基準を満足する水浸膨張比となることがわかる。また膨張抑制剤として水不溶性の高吸水性樹脂を用いる本発明によれば、わざわざエージングを行なわなくても、JISの基準を満足する水浸膨張比となることがわかる。
【0031】
試験区分3(評価その2:10日と90日における水浸膨張比)
試験に供した路盤材としての鉄鋼スラグの組成はCaOが40〜43%、MgOが12〜18%で、クラッシャラン鉄鋼スラグのCS−40に粒度調整したもの。これをJISA5015に従って80℃で1日6時間保持の10日間における水浸膨張比に加え、80℃で90日間連続保持したときの水浸膨張比を測定した。結果を表3にまとめて示した。各比較例及び実施例に供した鉄鋼スラグは次の通りである。
比較例4:通常(大気)エージングを8ヶ月行なった鉄鋼スラグ。
実施例9〜16:エージングを行なっていない鉄鋼スラグに、膨張抑制剤として試験区分1で合成したアクリル酸系架橋重合体等を表2記載のように添加した。
【0032】
【表3】
【0033】
表3において、
A−1〜A−5:試験区分1で合成したアクリル酸系架橋重合体等
C−1:セルロース系吸水性樹脂(日本製紙社製の商品名サンローズSLD−F1、平均粒子径50μm、水不溶性、吸水量17g/g)
【0034】
表3の結果からも明らかなように、MgOの含有量が多い鉄鋼スラグの場合でも、通常エージングを行なうことにより、80℃で10日間の水浸膨張比(80℃±3℃で6時間保持した後に養生装置内で放冷するという操作を1日1回行ない、これを10日間繰り返した場合の水浸膨張比)が基準の1.5%以下を達成できている。しかし、80℃で90日間連続保持したときの水浸膨張比を測定すると、10%を超える値となっていて、MgOの含有量の多い鉄鋼スラグの場合、通常エージングでは長期間に亘る充分な膨張抑制効果は期待できない。これに対して各実施例では、MgOの含有量が多い鉄鋼スラグの場合に、わざわざ通常エージングを行なわなくても、80℃で10日間の水浸膨張比はすべて0.1〜0.2%となっていて、また膨張抑制剤の種類や添加量によっては80℃で90日間連続保持したときの水浸膨張比を1%未満に抑制できている。