(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のようなブロックを備えた伝動ベルトでは、ベルトの走行に伴い、センターベルト表面(帆布)の摩耗、ゴムのへたり、ブロックの摩耗等が進行すると、ブロックとセンターベルトとの嵌合部にがたつきが生じる。その結果、ブロックとセンターベルトとの間の発熱が増大し、走行寿命の低下に繋がる。
【0006】
そこで、本発明は、走行時に生じる熱を吸収して放出することで走行寿命の低下を抑制できる伝動ベルトを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の伝動ベルトは、エンドレスの張力帯と、前記張力帯の長手方向に沿って所定ピッチで配列され、前記張力帯が嵌合される嵌合溝を有する複数のブロックとを備える伝動ベルトであって、前記ブロックは、インサート材と、前記インサート材を被覆する被覆層とを有し、前記インサート材は、前記被覆層を形成する材料よりも熱伝導率が高い材料で形成され、前記嵌合溝において前記被覆層から露出した第1露出部と、前記ブロックにおける少なくともベルトの厚み方向の両端面の一方において前記被覆層から露出した第2露出部と、を有し、前記嵌合溝において前記第1露出部が前記張力帯と接触
し、前記ブロックと前記張力帯との接触面積における前記第1露出部と前記張力帯との接触面積の割合は、10%以上且つ70%以下である、または、20%以上且つ60%以下であることを特徴とする。
【0008】
この構成によると、第1露出部が、ベルト走行時にブロックと張力帯との接触部分で生じる熱を吸熱する吸熱部として機能し、第2露出部が、第1露出部で吸熱した熱を外部に放出する放熱部として機能する。したがって、被覆層に比べて熱伝導率が高いインサート材を介して、ベルト走行時に生じる熱を放出することができる。よって、伝動ベルトの走行寿命の低下を抑制できる。
ここで、本発明の伝動ベルトにおいて、前記ブロックと前記張力帯との接触面積における前記第1露出部と前記張力帯との接触面積の割合は、10%以上、且つ、70%以下である。または、本発明の伝動ベルトにおいて、前記ブロックと前記張力帯との接触面積における前記第1露出部と前記張力帯との接触面積の割合は、20%以上、且つ、60%以下である。この構成により、第1露出部の吸熱性能をさらに十分に確保し、且つ、走行初期にブロックが破損するのを避けることできる。
【0009】
ここで、本発明の伝動ベルトにおいて、前記第1露出部は、前記被覆層の表面から突出していることが好ましい。
【0010】
この構成によると、被覆層の表面から突出した第1露出部の先端部が張力帯に食い込んだ状態となる。したがって、第1露出部と張力帯とを確実に接触させることができるので、第1露出部の吸熱性能を十分に確保できる。また、第1露出部によってブロックと張力帯との嵌合部のがたつきを抑制できるので、ベルト走行時の発熱量を少なくすることができる。
【0011】
ここで、本発明の伝動ベルトにおいて、前記第1露出部の前記被覆層の表面からの突出量は、0.1mm以上、且つ、0.4mm以下であることが好ましい。
【0012】
この構成によると、第1露出部の被覆層の表面からの突出量を0.1mm以上とすることで、第1露出部の吸熱性能をより十分に確保すると共に、ブロックと張力帯との嵌合部のがたつきを確実に抑制し、がたつきに伴うベルト走行時の騒音の発生や動力伝達性能の低下を避けることができる。また、第1露出部の被覆層の表面からの突出量を0.4mm以下とすることで、第1露出部の突出量が大きすぎることによるブロックの撓みを抑制し、撓みに伴うブロックの破損を避けることができる。また、第1露出部の突出量が大きすぎて過剰な押圧により張力帯を破損させるのを避けることができる。
【0015】
ここで、本発明の伝動ベルトにおいて、前記第1露出部は、前記嵌合溝内に複数設けられていることが好ましい。
【0016】
この構成によると、第1露出部が嵌合溝内に1つだけ設けられている場合に比べて、第1露出部と張力帯との接触部分が増えるので、第1露出部の吸熱性能を一層十分に確保できる。
【0017】
ここで、本発明の伝動ベルトにおいて、前記第1露出部は、前記嵌合溝におけるベルトの厚み方向に対向する両側の壁面にそれぞれ設けられていることが好ましい。
【0018】
この構成によると、第1露出部が嵌合溝におけるベルトの厚み方向に対向する両側の側壁の一方のみに設けられている場合に比べて、第1露出部と張力帯との接触部分が増えるので、第1露出部の吸熱性能をより一層十分に確保できる。
【0019】
ここで、本発明の伝動ベルトにおいて、前記ブロックのベルトの厚み方向の両端面の面積における前記第2露出部の面積の割合は、10%以上、且つ、80%以下であることが好ましい。または、本発明の伝動ベルトにおいて、前記ブロックのベルトの厚み方向の両端面の面積における前記第2露出部の面積の割合は、20%以上、且つ、70%以下であることがより好ましい。
【0020】
この構成によると、第2露出部の放熱性能を十分に確保しつつ、被覆層が欠けるのを避けることができる。
【0021】
ここで、本発明の伝動ベルトにおいて、前記第2露出部は、前記ブロックにおけるベルトの厚み方向の両端面にそれぞれ設けられていることが好ましい。
【0022】
この構成によると、第2露出部がブロックにおけるベルトの厚み方向の一方の端面のみに設けられている場合に比べて、第2露出部の面積が増える。そのため、第2露出部の放熱性能をより十分に確保できる。
【0023】
ここで、本発明の伝動ベルトにおいて、前記インサート材は、金属材料であることが好ましい。
【0024】
この構成によると、インサート材を弾性率の高い金属材料とすることで、ブロック全体が樹脂材料で形成されている場合に比べて剛性が高まる。そのため、伝動ベルトに大きな側圧がかかる高い負荷条件へ適用できる。また、金属材料の高い熱伝導性を利用して、吸熱、放熱を効率よく行うことができる。
【0025】
ここで、本発明の伝動ベルトにおいて、前記被覆層は、樹脂材料で形成されていることが好ましい。
【0026】
この構成によると、被覆層に適度な弾性率を有する樹脂材料を用いることで、大きな側圧に耐えながら、静粛性が高く、また張力帯やプーリの摩耗を抑えることができる。さらに、樹脂材料は、エラストマーと比べて弾性変形が小さいため、動力伝達のロスを減少できる。
【0027】
ここで、本発明の伝動ベルトは、無段変速装置に用いられてもよい。
【発明の効果】
【0028】
以上の説明に述べたように、本発明によれば、走行時に生じる熱を吸収して放出することで走行寿命の低下を抑制できる伝動ベルトを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0030】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0031】
[ベルト式無段変速装置]
まず、
図1を参照しつつ、本発明に係る伝動ベルト1を採用したベルト式無段変速装置30の構成について説明する。
図1に示すように、ベルト式無段変速装置30は、駆動プーリ31と従動プーリ32とにエンドレスの伝動ベルト1が巻き掛けられた構造を有している。そして、伝動ベルト1の側面がプーリ31、32のV溝と接触した状態で伝動ベルト1を二軸間で回転走行させ、さらに変速比を無段階で変化させるものである。
【0032】
各プーリ31、32は、軸方向に固定された固定プーリ片31a、32aと、軸方向に移動可能とされた可動プーリ片31b、32bとからなる。可動プーリ片31b、32bが軸方向に移動することで、固定プーリ片31a、32aと可動プーリ片31b、32bとで形成されるプーリ31、32のV溝の幅を連続的に変更できるようになっている。伝動ベルト1は、ベルト幅方向両端面が各プーリ31、32のV溝対向面と傾斜が合致するテーパ面で形成され、変更されたV溝の幅に応じて、V溝対向面の任意の位置に嵌まり込む。例えば、
図1(a)に示す状態から、
図1(b)に示すように、駆動プーリ31のV溝の幅を狭く、従動プーリ32のV溝の幅を広くした状態に変更すると、伝動ベルト1は、駆動プーリ31側ではV溝中を外径側に向かって移動し、従動プーリ32側ではV溝中を内径側に向かって移動する。その結果、各プーリ31、32への巻き掛け半径が連続的に変化して、変速比が無段階で変えられる。
【0033】
[伝動ベルト]
次に、
図2〜
図4をさらに参照しつつ、伝動ベルト1の構成について説明する。なお、以下の説明では、伝動ベルト1においてプーリ31、32に巻き掛けられた際に、ベルト厚み方向の外周側となる方向を「上方」、ベルト厚み方向の内周側となる方向と「下方」と称することがある。
【0034】
図2に示すように、伝動ベルト1は、平行な2本のエンドレスの張力帯2の長手方向(
図2に示すベルト長手方向)に沿って、複数の板状のブロック10を配列したものである。ブロック10は、上面10aがベルト厚み方向の外周側、下面10bがベルト厚み方向の内周側になるように配列される。また、ブロック10は、側面10cが隣接するブロック10の側面10cと対向するように配列される。各ブロック10は、互いに同一形状を有しており、ベルト厚み方向の上方及び下方に並ぶ2本のビーム部(上側ビーム部11及び下側ビーム部12)をベルト幅方向の中央部でセンターピラー部13によって連結して略「H」形に形成されている。上側ビーム部11、下側ビーム部12、及び、センターピラー部13は、一体成型される。ブロック10は、嵌合溝14を有する。嵌合溝14は、上下のビーム部11、12、とセンターピラー部13とによって囲まれて形成されている。嵌合溝14は、ベルト幅方向の中央部を挟んだ両側に一対で設けられている。各張力帯2は、各ブロック10の各嵌合溝14にベルト幅方向の両側から圧入嵌合され、各ブロック10が2本の張力帯2と一体化されている。
【0035】
図4に示すように、ブロック10のベルト幅方向に関する長さは、ベルト厚み方向の上方の端部が最も長く下方の端部に行くほど短くなっている。伝動ベルト1が各プーリ31、32に巻き掛けられたときに、各ブロック10の上側ビーム部11は張力帯2よりもベルト厚み方向の外周側に位置し、下側ビーム部12は張力帯2よりもベルト厚み方向の内周側に位置する。
【0036】
図2に示すように、各張力帯2の外周面2aと内周面2bには、それぞれベルト幅方向に延びる凹溝21a、21bがベルト長手方向に所定のピッチで設けられる。尚、張力帯2の外周面2aは、張力帯2のベルト厚み方向の外周側の面である。また、張力帯2の内周面2bは、張力帯2のベルト厚み方向の内周側の面である。また、各ブロック10における嵌合溝14のベルト厚み方向の対向面には、それぞれベルト幅方向に延びる凸条15a、15bが設けられている。尚、凸条15a、15bは、本発明の「壁面」、つまり、本発明の「嵌合溝14におけるベルトの厚み方向に対向する両側の壁面」に相当する。これらの凹溝21a、21bに各凸条15a、15bを係合させることにより、各ブロック10がベルト長手方向に沿って所定ピッチで固定される。
図3に示すように、張力帯2の内周面2bの凹溝21bは、外周面2aの凹溝21aに比べて断面が緩やかな凹湾曲面となっている。凹溝21bと係合する嵌合溝14の凸条15bは、凹溝21aと係合する凸条15aと比べてベルト長手方向の断面が緩やかな凸湾曲面とされている。
【0037】
また、
図3に示すように、各ブロック10のベルト長手方向に関する長さは、ベルト厚み方向の上方に位置する上側ビーム部11においては、ベルト厚み方向に一定の肉厚で形成されおり、ベルト厚み方向の下方に位置する下側ビーム部12においては、ベルト厚み方向の下方に行くほど肉厚が漸減するように形成されている。
【0038】
[張力帯]
図2に示すように、張力帯2は、心線4がスパイラル状に埋設されたゴム層5と、ゴム層5の上下面を被覆する補強布6とからなる。心線4としては、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、アラミド繊維、ガラス繊維、炭素繊維等からなるロープや、スチールワイヤ等が用いられる。心線4の替わりに、上記の繊維からなる織布や編布、または金属薄板等を埋設してもよい。ゴム層5は、クロロプレンゴム、天然ゴム、ニトリルゴム、スチレン−ブタジエンゴム、水素化ニトリルゴム(水素化ニトリルゴムと不飽和カルボン酸金属塩との混合ポリマーを含む)、エチレン−α−オレフィンエラストマー(エチレン−プロピレン共重合体(EPM)、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体(EPDMなど)などのエチレン−α−オレフィン系ゴム)等の単一材もしくはこれらを適宜ブレンドしたゴム、またはポリウレタンゴムで形成される。
【0039】
補強布6は、ベルト走行時にゴム層5がブロック10との摩擦により摩耗するのを防止するためのものであり、平織り、綾織り又は朱子織り等の織布で形成される。その繊維材料としては、アラミド繊維、ナイロン繊維、ポリエステル繊維等が用いられる。なお、ブロック10と張力帯2の擦れによる摩耗を防止する観点では、耐摩耗性に優れるアラミド繊維が好ましいが、アラミド繊維に比べて耐摩耗性の劣るナイロン繊維を使用することもできる。また、ナイロン繊維はアラミド繊維に比べて伸縮性がよいので、ブロック10の嵌合溝14の形状に正確に沿わせることができる。
【0040】
[ブロック]
ここで、
図5〜8をさらに参照しつつ、ブロック10の構成についてより詳細に説明する。ブロック10は、インサート材40と被覆層50とを備えている。インサート材40は、後述する吸熱部61、62と放熱部63、64とを除いて被覆層50によって被覆されている。尚、吸熱部61、62は、本発明の第1露出部に相当する。また、放熱部63、64は、本発明の第2露出部に相当する。インサート材40と被覆層50とは、接着剤によって接着されている。接着剤としては、エポキシシランカップリング剤又はアミノシランカップリング剤などが用いられる。
【0041】
図2に示すように、吸熱部61は、嵌合溝14内の凸条15aに複数設けられる。吸熱部62は、嵌合溝14内の凸条15bに複数設けられる。つまり、吸熱部61は、ベルト厚み方向において、嵌合溝14内の外周側(上方)に配置される。吸熱部62は、ベルト厚み方向において、内周側(下方)に配置される。また、吸熱部61、62は、被覆層50の表面から突出して形成される。具体的には、
図7に示すように、吸熱部61は、インサート材40の後述する3つの突起44として形成される。吸熱部62は、インサート材40の後述する3つの突起45として形成される。
【0042】
また、放熱部63、64は、ブロック10におけるベルトの厚み方向の両端面にそれぞれ設けられる。ブロック10におけるベルトの厚み方向の両端面は、ブロック10の上面10a及び下面10bを含む。尚、上面10a及び下面10bは、本発明の「両端面」、つまり、「ブロック10におけるベルトの厚み方向の両端面」に相当する。ブロック10の上面10aは、
図6(a)に示すブロック10の面であり、ブロック10を外周側から内周側に見た面を示す。ブロック10の下面10bは、
図6(c)に示すブロック10の面であり、ブロック10を内周側から外周側に見た面を示す。放熱部63は、ブロック10の上面10aに設けられる。放熱部64は、ブロック10の下面10bに設けられる。具体的には、
図7に示すように、放熱部63は、インサート材40における上側ビーム部41の外周側の端部の一部として形成される。放熱部64は、インサート材40における下側ビーム部42の内周側の端部の一部として形成される。
【0043】
ブロック10は、例えば、ベルト厚み方向の長さが10〜17mm、ベルト幅方向の長さが20〜30mm、及びベルト長手方向の長さが2〜5mmであり、ベルト幅方向の両側部のなす角度、すなわち、ベルト角度は例えば24〜30°である。
【0044】
インサート材40は、
図7、8に示すように、ブロック10と同様に、上側ビーム部41及び下側ビーム部42をベルト幅方向の中央部でセンターピラー部43によって連結して略「H」形に形成されている。上側ビーム部41、下側ビーム部42及びセンターピラー部43は、一体成型される。インサート材40のベルト幅方向に関する長さは、外周側の端部が最も長く内周側の端部に行くほど短くなっている。
【0045】
インサート材40における上側ビーム部41の内周側の面には、突起44が形成されている。より詳細には、突起44は、上側ビーム部41の内周側の面におけるセンターピラー部43を中心としたベルト幅方向の両側にそれぞれ延びる部分に、ベルト幅方向に並んで3つずつ設けられている。また、インサート材40における下側ビーム部42の外周側の面には、突起45が形成されている。より詳細には、突起45は、下側ビーム部42の外周側の面におけるセンターピラー部43を中心としたベルト幅方向の両側にそれぞれ延びる部分に、ベルト幅方向に並んで3つずつ設けられている。
【0046】
インサート材40は、耐熱性に優れ、高強度であるジュラルミン材(金属材料)からなり、JIS規格における合金番号2017、2014、2024、A7075等のアルミニウム合金からなる金属素材の時効処理材で構成されている。特に、耐熱性及び強度に一段と優れたJIS H A2024P T361のジュラルミン材が好適である。ここで、「A2024P」とはアルミニウム合金の圧延材であることを、「2024」とは金属組成を、「T361」とは「T3」の断面積減少率をほぼ6%にしたことをそれぞれ表す。「T3」とは溶体化処理後冷間加工を行い、さらに自然時効させたことである。この合金番号の圧延材は、高温に十分に耐え得て軟化し難いという性質を有している。なお、インサート材40は、被覆層50に比べて熱伝導率が高い材料が用いられる。
【0047】
インサート材40は、例えば、上側ビーム部41のベルト厚み方向の長さが3.5〜7.0mm、及び下側ビーム部42のベルト厚み方向の長さが3.5〜7.0mmである。
【0048】
被覆層50は、インサート材40における上側ビーム部41の外周側の端部の一部と突起44の先端部、及び、下側ビーム部42の内周側の端部の一部と突起45の先端部を除いて、インサート材40の外表面を層状に被覆している。すなわち、インサート材40の突起44、45の先端部は、被覆層50から露出して嵌合溝14内に突出している。これにより、
図4に示すように、インサート材40の突起44、45の先端部は、嵌合溝14に嵌め込まれた張力帯2に食い込んだ状態で張力帯2の表面と接触し、ベルト走行時にブロック10と張力帯2との接触部で生じる熱を吸熱する吸熱部61、62として機能する。
図8に示すように、ベルト厚み方向における、吸熱部61の被覆層50の表面からの突出量h1、及び、吸熱部62の被覆層50の表面からの突出量h2は、0.1mm〜0.4mmである。
【0049】
そして、インサート材40における上側ビーム部41の外周側の端部及び下側ビーム部42の内周側の端部の被覆層50から露出した部分は、吸熱部61、62で吸熱された熱を放熱する放熱部63、64として機能する。放熱部63は、インサート材40の上側ビーム部41における上面40a及び側面40bのベルト幅方向の中央部の一部として設けられる。ここで、インサート材40の上側ビーム部41における上面40aとは、上側ビーム部41をベルト厚み方向の上方から下方に見たときの面、つまり外周側の面である。インサート材40の上側ビーム部41における上面40aは、ブロック10の上面10aに含まれる(
図6(a)参照)。また、インサート材40の上側ビーム部41における側面40bとは、隣接するブロック10のインサート材40の上側ビーム部41との対向面である。放熱部64は、インサート材40の下側ビーム部42における下面40c及び側面40dのベルト幅方向の中央部の一部として設けられる。ここで、インサート材40の下側ビーム部42の下面40cとは、下側ビーム部42をベルト厚み方向の下方から上方に見たときの面、つまり内周側の面である。インサート材40の下側ビーム部42の下面40cは、ブロック10の下面10bに含まれる(
図6(c)参照)。また、インサート材40の下側ビーム部42における側面40dとは、隣接するブロック10のインサート材40の下側ビーム部42との対向面である。
【0050】
なお、
図7に示す通り、インサート材40の上側ビーム部41及び下側ビーム部42のベルト幅方向の両端面は、被覆層50で被覆されている。被覆層50で被覆されたブロック10のベルト幅方向の両端面10dは、プーリ31、32(
図1参照)との接触部となっている。
【0051】
被覆層50は、硬質樹脂(マトリクス樹脂にカーボン短繊維が添加されたカーボン短繊維補強樹脂)材料でもって形成されている。カーボン短繊維補強樹脂のマトリクス樹脂は、熱硬化性樹脂であってもよく、また、熱可塑性樹脂であってもよい。熱硬化性樹脂としては、特に限定されるものではなく、例えば、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、特に限定されるものではなく、例えば、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂等が挙げられる。マトリクス樹脂は、熱硬化性樹脂のみで構成されていてもよく、また、熱可塑性樹脂のみで構成されていてもよく、さらに、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂とがブレンドされたものであってもよい。マトリクス樹脂は、その他にゴム成分等を含んでいてもよい。
【0052】
被覆層50に含まれるカーボン短繊維は、平均繊維長が100μm以上であることが好ましく、150μm以上であることがより好ましい。なお、カーボン短繊維の平均繊維長は、被覆層50の表面観察写真の画像解析から任意の20本のカーボン短繊維の繊維長を測定して数平均し、それを2回繰り返した平均値として求められる。
【0053】
被覆層50を形成するカーボン短繊維補強樹脂は、マトリクス樹脂及びカーボン短繊維の他、パラアラミド短繊維、グラファイト粉末等を含んでいてもよい。パラアラミド短繊維は、例えば、繊維長が1mm〜3mmであり、マトリクス樹脂100質量部に対する添加量が2〜5質量部である。グラファイト粉末は、例えば、粒径が5μm〜10μmであり、マトリクス樹脂100質量部に対する添加量が15〜20質量部である。
【0054】
樹脂被覆層の層厚さは例えば0.8〜1.5mmである。
【0055】
以上のように、本実施形態伝動ベルト1では、張力帯2が嵌合されるブロック10は、インサート材40をインサート材40よりも熱伝導率の低い材料で形成された被覆層50で被覆してなる。インサート材40は、嵌合溝14において被覆層50から露出しており張力帯2と接触する吸熱部61、62と、ブロック10の上面10a、下面10bにおいて被覆層50から露出している放熱部63、64とを有している。したがって、吸熱部61、62が、ベルト走行時にブロック10と張力帯2との接触部分で生じる熱を吸熱し、吸熱部61、62で吸熱した熱を放熱部63、64が外部に放出する。すなわち、被覆層50に比べて熱伝導率が高いインサート材40を介して、ベルト走行時に生じる熱を放出することができる。よって、伝動ベルトの走行寿命の低下を抑制できる。
【0056】
また、吸熱部61、62は、被覆層50の表面から突出しており、被覆層50の表面から突出した吸熱部61、62の先端部が張力帯2に食い込んだ状態となる。したがって、吸熱部61、62と張力帯2とを確実に接触させることができるので、吸熱部61、62の吸熱性能を十分に確保できる。また、吸熱部61、62によってブロック10と張力帯2との嵌合部のがたつきを抑制できるので、ベルト走行時の発熱量を少なくすることができる。
【0057】
また、吸熱部61、62の被覆層50の表面からの突出量は、0.1mm以上、且つ、0.4mm以下である。したがって、吸熱部61、62の吸熱性能をより十分に確保すると共に、ブロック10と張力帯2との嵌合部のがたつきを確実に抑制しつつ、吸熱部61、62の突出量が大きすぎることによるブロック10の撓みや張力帯への過剰な押圧を抑制し、ベルト走行時の騒音の発生や動力伝達性能の低下や、ブロック10の破損、張力帯2の破損を避けることができる。
【0058】
さらに、吸熱部61、62は、1つの嵌合溝14内のベルト厚み方向に対向する凸条15a及び凸条15bにそれぞれ3つずつ設けられているので、吸熱部61、62の吸熱性能を一層十分に確保でき、且つ、ブロック10と張力帯2との嵌合部のがたつきを確実に抑制できる。また、放熱部63、64は、ブロック10の上面10a及び下面10bにそれぞれ設けられているので、放熱部63、64の放熱性能をより十分に確保できる。
【0059】
また、インサート材40を弾性率の高い金属材料とすることで、ブロック全体10が樹脂材料で形成されている場合に比べて剛性が高まる。そのため、伝動ベルト1に大きな側圧がかかる高い負荷条件へ適用できる。また、金属材料の高い熱伝導性を利用して、吸熱、放熱を効率よく行うことができる。
【0060】
また、被覆層50に適度な弾性率を有する硬質樹脂材料を用いることで、大きな側圧に耐えながら、静粛性が高く、また張力帯やプーリの摩耗を抑えることができる。さらに、樹脂材料は、エラストマーと比べて弾性変形が小さいため、動力伝達のロスを減少できる。
【実施例】
【0061】
[耐久走行試験]
上述のように本実施形態の吸熱部61、62及び放熱部63、64が設けられた本実施例1〜13に係る伝動ベルト1、及び比較例1〜3に係る伝動ベルトについて、耐久走行試験を行った。
【0062】
実施例1〜13の伝動ベルト1は、吸熱部61、62及び放熱部63、64におけるインサート材40の被覆層からの露出面積割合及び吸熱部61、62の突出量と、伝動ベルト1の耐久性との関係を確認するために、吸熱部61、62の表面積比率と、放熱部63、64の表面積比率と、吸熱部61、62の突出量を変量している。表1の「吸熱部の表面積比率」及び「放熱部の表面積比率」に、実施例1〜13の各伝動ベルト1の吸熱部61、62及び放熱部63、64の比率を示す。表1の「吸熱部の突出量」に、実施例1〜13の各伝動ベルト1の吸熱部61、62の突出量を示す。吸熱部61、62の表面積比率とは、ブロック10と張力帯2との総接触面積に対する、吸熱部61、62と張力帯2との総接触面積の割合である。放熱部63、64の表面積比率とは、ブロック10の上面10a及び下面10bの総面積に対する、インサート材40の上面40a及び下面40bに設けられる放熱部63、64の総面積の割合である。なお、上述のように放熱部63、64は、インサート材40の上面40a、下面40c及び側面40b、40d(隣接するブロック10のインサート材40との対向面)に設けられているが、隣接するブロック10のインサート材40との対向面は、隣接するブロック10との間で熱がこもりやすいため、この部分の放熱性能は高くなく、放熱部63、64の放熱性能はインサート材40の上面40a及び下面40cに設けられている部分の面積に大きく依存する。また、吸熱部61、62の突出量は、ベルト厚み方向における吸熱部61、62の被覆層50の表面からの突出量h1、h2である。
【0063】
比較例1〜3の伝動ベルトは、以下の点を除いて本実施形態の伝動ベルト1の構成と同じである。比較例1は、インサート材40の全面が被覆層50で覆われており、本実施形態の吸熱部61、62及び放熱部63、64に対応する部分を有さない伝動ベルトである。比較例2は、本実施形態の吸熱部61、62に対応する部分を有さず、放熱部63、64のみを有する伝動ベルトである。比較例3は、本実施形態の放熱部63、64に対応する部分を有さず、吸熱部61、62のみを有する伝動ベルトである。なお、比較例1、2の伝動ベルトにおいては、本実施形態の突起44、45に対応する部分として、被覆層で全体が覆われた突起が設けられている。表1の「吸熱部の表面積比率」及び「放熱部の表面積比率」に、比較例1〜3の各伝動ベルトの吸熱部及び放熱部の比率を示す。比較例1は、吸熱部及び放熱部を有さないため、「吸熱部の表面積比率」及び「放熱部の表面積比率」は、0である。比較例2は、吸熱部を有さないため、「吸熱部の表面積比率」は、0である。比較例3は、放熱部を有さないため、「放熱部の表面積比率」は、0である。表1の「吸熱部の突出量」に、比較例1、2の各伝動ベルトの被覆層で全体が覆われた突起の突出量と、比較例3の伝動ベルトの吸熱部61、62の突出量を示す。尚、比較例1〜3の吸熱部の突出量は、変量していない。
【0064】
実施例1〜13及び比較例1〜3における、張力帯2のゴム層5は、「水素化ニトリルゴム」と、「ジメタクリル酸亜鉛を配合した水素化ニトリルゴム」との混合物からなるゴムの組成物で形成した。心線4には、アラミド繊維で形成された直径0.72mmの撚りコードを用いた。補強布6には、ナイロン繊維の織布で厚み0.8mmの帆布を使用した。また、ブロック10は、インサート材40としてA2024 T3のジュラルミンを用い、被覆層50として、フェノール樹脂成分を炭素繊維で補強した樹脂組成物を用いた。ブロック厚(ブロック10のベルト長手方向の最大長さ)は2.95mmとし、心線ピッチライン上のベルト周長は612mmとし、心線ピッチライン上のベルト幅は25mm、ブロックピッチは3mmとした。
【0065】
<試験条件>
耐久走行試験では、実施例1〜13及び比較例1〜3の各伝動ベルトを駆動プーリ31と従動プーリ32とに巻き掛けて、60℃の雰囲気下で駆動プーリ31を回転させた。ここで、駆動プーリ31のピッチ径は120mm、従動プーリ32のピッチ径は70mmとし、プーリのV溝の角度はそれぞれ26°とした。無負荷の場合の駆動プーリ31の回転数が5000rpmとなるように設定し、耐久走行試験中の従動プーリ32の負荷は45kWとした。駆動プーリ31と従動プーリ32の軸荷重は、負荷に対して伝動ベルトがスリップしない程度とし、具体的には2000Nとした。尚、耐久走行試験中の軸荷重が一定となるように、両プーリの軸間距離は固定しなかった。以上の試験条件の下で、伝動ベルトが破損するまで走行させ、耐久走行試験を行った。耐久走行試験を開始してから伝動ベルトが破損して耐久走行試験終了となるまでの時間(耐久走行時間)及び破損の形態、走行時のベルト側面温度を測定した耐久走行試験の試験結果を以下の表1に示す。
【0066】
<試験結果>
【表1】
【0067】
なお、表1中の「ベルト側面温度」とは、耐久走行時間の間、24時間毎に測定したベルト側面温度のうち、最も低い値を表す。また、表1中の「破損の形態」の「A」は、ブロック10と張力帯2との間でのがたつきが大きくなり、インサート材40と被覆層50との界面剥離により、プーリ31、32との接触面でブロック10が破損(樹脂欠け)した状態であり、「B」は、張力帯2のゴム層5に亀裂が入ることで伝動ベルトが切断した状態である。
【0068】
表1に示す耐久走行試験の試験結果に基づいて、吸熱部61、62及び放熱部63、64におけるインサート材40の被覆層からの露出面積割合と、伝動ベルト1の耐久性との関係について検討すると、以下のことが分かった。
【0069】
実施例1〜13の伝動ベルト1は、吸熱部61、62、放熱部63、64の両方を設けていたため排熱効果が高く、走行中のベルト側面温度が低くなっており、耐久走行時間は300時間以上であった。尚、300時間は、伝動ベルトについて実用的に問題ないと判断できる耐久走行時間の目安である。
【0070】
一方、吸熱部61、62、放熱部63、64のいずれも設けていない比較例1、並びに、吸熱部61、62、放熱部63、64の一方しか設けていない比較例2及び比較例3では排熱効果が低く、走行中のベルト側面温度の上昇を抑制できず、張力帯2のゴム層5が熱劣化してゴム層5に亀裂が入ることで伝動ベルトが切断し、耐久走行時間は200時間に至らなかった。
【0071】
吸熱部61、62及び放熱部63、64におけるインサート材40の被覆層からの露出面積割合と、伝動ベルト1の耐久性との関係についてより詳細に検討すると、吸熱部61、62の表面積比率が20〜60%で、且つ放熱部63、64の表面積比率が20〜70%の実施例2、3、5、6、8では、吸熱部61、62と放熱部63、64の表面積比率がともに大きいことから、排熱効果が特に高く、ベルト側面温度が低くなり、耐久走行時間は430時間以上であった。
【0072】
一方、吸熱部61、62の表面積比率が10%の実施例1、及び、放熱部63、64の表面積比率が10%の実施例4では、上記の実施例2、3、5、6、8と比較してベルト側面温度が高く、耐久走行時間は300時間を少し越える程度であり、破損の形態もゴム層5の亀裂からの伝動ベルト1の切断であった。これは、吸熱部61、62の表面積比率や放熱部63、64の表面積比率が小さいために排熱効果があまり高くなく、蓄積した熱によりゴム層5が熱劣化したためと考えられる。
【0073】
また、吸熱部61、62の表面積比率が70%の実施例9、及び、放熱部63、64の表面積比率が80%の実施例7ではベルト側面温度は低く保たれていたものの、耐久走行時間は300時間を少し越える程度であった。これは、吸熱部61、62の表面積比率や放熱部63、64の表面積比率が大きいために排熱効果は高いが、被覆層50の樹脂量が少なくなることで耐側圧性が低下し、樹脂欠けに至ったと考えられる。
【0074】
以上から、300時間以上の耐久走行時間を確保するためには、吸熱部61、62の表面積比率は、10%以上、且つ、70%以下、より好ましくは、20%以上、且つ、60%以下であればよいことがわかった。つまり、吸熱部61、62の表面積比率が、10%以上、且つ、70%以下、より好ましくは、20%以上、且つ、60%以下であれば、300時間以上の耐久走行時間を確保できていることから、吸熱部61、62の吸熱性能を十分に確保し、且つ、走行初期にブロック10が破損するのを避けることができていることがわかる。また、300時間以上の耐久走行時間を確保するためには、放熱部63、64の表面積比率は、10%以上、且つ、80%以下、より好ましくは、20%以上、且つ、70%以下であればよいことがわかった。つまり、放熱部63、64の表面積比率が、10%以上、且つ、80%以下、より好ましくは、20%以上、且つ、70%以下であれば、300時間以上の耐久走行時間を確保できていることから、放熱部63、64の放熱性能を十分に確保しつつ、被覆層50が欠けるのを避けることができていることがわかる。
【0075】
次に、表1に示す耐久走行試験に基づいて、吸熱部61、62の突出量と、伝動ベルト1の耐久性との関係について検討すると、以下のことがわかった。
【0076】
突出量が0.1mm〜0.4mmの実施例3、11、12の伝動ベルト1は、ともにベルト側面温度が低く、耐久走行時間は500時間以上と長かった。
【0077】
一方、突出量が0mm(吸熱部61、62は張力帯に食い込まず、接触している状態)の実施例10の伝動ベルト1では、突出量が0.1〜0.4mmの実施例3、11、12の伝動ベルト1と比べて、ベルト側面温度が高く、破損までの耐久走行時間が短かった。これは、吸熱部61、62が張力帯に食い込まないために吸熱が十分ではなかったことが原因と考えられる。
【0078】
また、突出量が0.6mmと大きい実施例13の伝動ベルト1でも、突出量が0.1〜0.4mmの実施例3、11、12の伝動ベルト1と比べて、ベルト側面温度が高く、耐久走行時間が短かった。これは、吸熱部61、62の突出量が大きくなることで張力帯2との干渉が大きくなり過ぎた結果、樹脂ブロックの撓みが大きくなり、発熱やブロックの破損につながったものと考えられる。
【0079】
以上から、300時間以上の耐久走行時間を確保するためには、吸熱部61、62の突出量は、0.1mm以上、且つ、0.4mm以下であればよいことがわかった。つまり、吸熱部61、62の突出量は、0.1mm以上であれば、吸熱部61、62の吸熱性能をより十分に確保すると共に、ブロック10と張力帯2との嵌合部のがたつきを確実に抑制し、がたつきに伴うベルト走行時の騒音の発生や動力伝達性能の低下を避けることができていることがわかる。また、吸熱部61、62の突出量は、0.4mm以下であれば、吸熱部61、62の突出量が大きすぎることによるブロック10の撓みを抑制し、撓みに伴うブロック10の破損を避けることができていることがわかった。また、吸熱部61、62の突出量が大きすぎて過剰な押圧により張力帯2を破損させるのを避けることができていることがわかる。
【0080】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて、様々な設計変更を行うことが可能なものである。
【0081】
例えば、上述の実施形態では、吸熱部61、62が被覆層50の表面から突出しており、その突出量が0.1mm以上、且つ、0.4mm以下である場合について説明したが、吸熱部61、62の突出量はこれに限定されるものではない。また、吸熱部61、62は被覆層50の表面から突出していなくても、嵌合溝14において張力帯2と接触していればよい。
【0082】
また、上述の実施形態では、吸熱部61、62が1つの嵌合溝14内のベルト厚み方向に対向する凸条15a、15bに3つずつ設けられている場合について説明したが、これには限定されない。すなわち、吸熱部61、62は、嵌合溝14内のベルト厚み方向に対向する凸条15a、15bのいずれか一方のみに設けられていてもよい。さらに、吸熱部61、62の個数も任意に決定できる。
【0083】
加えて、上述の実施形態では、放熱部63、64は、ブロック10の上面10a及び下面10bに設けられている場合について説明したが、放熱部63、64は、ブロック10の上面10a及び下面10bの少なくともいずれか一方に設けられていればよい。また、放熱部63は、ブロック10の上面10a及び側面10c(隣接するブロック10との対向面)に露出しており、放熱部64は、ブロック10の下面10b及び側面10c(隣接するブロック10との対向面)に露出している場合について説明したが、これには限定されない。すなわち、放熱部63は少なくともブロック10の上面10aに露出しており、放熱部64は少なくともブロック10の下面10bに露出していればよい。
【0084】
また、上述の実施形態では、被覆層50が硬質樹脂材料で形成されているが、これに限定されるものではない。被覆層50は、樹脂材料で形成されていればよい。
【0085】
さらに、上述の実施形態では、金属材料で形成されたインサート材40を樹脂製の被覆層50で被覆する場合について説明したが、インサート材40及び被覆層50の材料はこれに限定されるものではない。インサート材40は、被覆層50の材料よりも高強度であり、且つ、熱伝導率が高い材料であればよく、例えば樹脂材料とすることもできる。