【実施例】
【0010】
<1>全体構成
図1に、本発明に係る足場用梁枠Aの設置イメージを示す。
本発明に係る足場用梁枠A(以下、単に「梁枠A」ともいう。)は、仮設足場の構築において開口部Bを設ける際に、該開口部Bを挟んだ両側の足場Cの間に架け渡すように設置する部材である。
そして、本発明に係る足場用梁枠Aは、足場用梁枠Aを構成する支柱10の内部に、該支柱10の上端側に露出可能な連結ピン20を収納した構成とし、前記支柱10の上端から露出した連結ピン20を介して、足場用梁枠Aの上方に設ける足場(上方足場D)の支柱材D1を接続可能としたことを特徴とする。
以下、
図2,3を参照しながら、連結ピン20の露出・収納可能な構造の一例について説明する。
【0011】
<2>支柱
支柱10は、梁枠Aの構成部材として機能しつつ、連結ピン20の鞘体としても機能する中空状の部材である。
図2(a)は、本発明に係る足場用梁枠Aにおいて、連結ピン20が支柱10から露出状態を表した部分正面図であり、
図2(b)は、
図2(a)におけるI−I視した概略図、
図2(c)は、
図2(a)におけるII−II断面図である。
【0012】
<2.1>第1の貫通孔
図2(b)に示すように、支柱10は、支柱10の軸方向と直交する方向に、該支柱10の周壁を貫通してなる第1の貫通孔11を二箇所設けてある。
【0013】
<2.2>ボルト孔
図2(b)に示すように、支柱10は、さらに、平面視して第1の貫通孔11の貫通方向と直交する方向に、支柱10の周壁を貫通してなるボルト孔12を二箇所有している。
支柱10の軸方向における、第1の貫通孔11とボルト孔12の位置関係は特段限定しない。
【0014】
<2.3>支柱の上端処理
図2(b)に示すように、本発明では、支柱10の上端を上弦材A1から突出させて、梁枠Aの上方に足場板などを敷設する際に支障が無いよう構成している。
【0015】
<3>連結ピン
連結ピン20は、梁枠Aの上方に設置する足場(上方足場D)の支柱10と連結することで、梁枠Aに上方足場Dを固定するための中空状の部材である。
連結ピン20は、支柱10の内径とほぼ同じもしくはより小さな外径を有する部材で構成する。
【0016】
<3.1>第2の貫通孔
連結ピン20には、さらに、連結ピン20の周壁を貫通してなる第2の貫通孔21を二箇所設けてある。
図2(b)に示すように、連結ピン20に形成した第2の貫通孔21は、それぞれ支柱10に形成した第1の貫通孔11と重なって、各貫通孔が連通した状態を呈している。
【0017】
<3.2>長穴
図2(c)に示すように、連結ピン20は、さらに長穴22を二箇所設けてある。
長穴22は、平面視して第1の貫通孔11の貫通方向と直交する方向に連結ピン20の周壁を貫通してなり、連結ピン20の軸方向に所定長さを呈している。
支柱10の軸方向における、第2の貫通孔21と長穴22の位置関係は特段限定しない。
【0018】
<3.3>上方足場との連結態様
連結ピン20の先端部分には、上方足場Dの支柱材D1に差し込む際に両者をロックする公知のロック機構を設けておくことができる。なお、該ロック機構が後述する連結ピン20の支柱10内部への収納動作を妨げてはならないことは言うまでも無い。
【0019】
<4>ロックピン
ロックピン30は、支柱10に対して連結ピン20の露出状態を維持するように両者を位置決めするための部材である。
ロックピン30は、連結ピン20の内部に収納可能な大きさを有する板バネ31と、該板バネ31の両端から外側に突出する二つの突起32と、から構成する。
【0020】
<4.1>板バネ
板バネ31は略U字状に折曲した板材からなり、前記U字状の開放部を狭める方向に押圧する際に、該開放部が拡張する方向へと復元しようとする弾性力を発揮する部材である。
【0021】
<4.2>突起
突起32は、板バネ31の両端から外側に突出するように形成してある部材である。
突起32は、前記板バネ31の弾性力でもって、前記連結ピン20に設けた第2の貫通孔21に挿通した状態を維持するように、外側へと付勢されている。
【0022】
<5>締結具
締結具40は、前記支柱10に対し、前記連結ピン20を摺動自在かつ分離しない態様で連結するための部材である。
【0023】
<5.1>ボルト/ナット
本実施例では、締結具40を、支柱10の直径よりも長いネジ部を有するボルト41と、前記ボルト41に螺合可能なナット42で構成している。
ボルト41は、支柱10の一方のボルト孔12から、連結ピン20の二箇所の長穴22、支柱10の他方のボルト孔12を順に経由するように挿通し、他方のボルト孔12から露出した先端部分をナット42で螺合することで、前記支柱10に対し前記連結ピン20が分離されないように連結している。
上記構成によって、前記連結ピン20の長穴22の長さの分だけ、連結ピン20を支柱10に対して軸方向に相対移動させることができる。
【0024】
<6>動作イメージ
図3を参照しながら、本発明に係る足場用梁枠Aでの連結ピン20の動作イメージについて説明する。
【0025】
<6.1>連結ピンの露出状態(
図3(a))
図3(a)に、連結ピン20が露出した状態で支柱10にロックされている状態を示す。
連結ピン20の内部に収納されたロックピン30の突起32は、板バネ31によって外側に付勢されており、支柱10に設けた第1の貫通孔11と、連結ピン20に設けた第2の貫通孔21が重なる位置で、突起32が両貫通孔に挿通された状態を維持しており、前記支柱10に前記連結ピン20が位置決めされた状態を呈している。
【0026】
この連結ピン20が支柱10にロックされた状態で、上方足場Dの支柱材D1を連結ピン20に差し込むことにより、上方足場Dを梁枠Aの上方に設置することができる。
このとき、ボルト41は、連結ピン20の長穴22の下縁側に位置した状態である。
【0027】
<6.2>ロックピンの解除/連結ピンの移動(
図3(b))
梁枠Aの設置時や解体時など、連結ピン20が支柱10から露出した状態を避けたい場合には、連結ピン20を支柱10の内部に収納する作業を行う。
まず、ロックピン30の突起32を内側に押し込み、突起32と、支柱10の第1の貫通孔11との係止状態を解除する。
この係止状態の解除により、連結ピン20は支柱10との間を移動自在となり、連結ピン20の先端を押圧することで、連結ピン20を支柱10の内部へと徐々に収納させていくことができる。
この連結ピン20の移動長は、前記連結ピン20の長穴22内を摺動するボルト41の摺動長に相当する。
ロックピン30の突起32は、支柱10の内壁と接するだけであり、摺動を阻害することはない。
また、ボルト41が長穴22内の摺動に限られていることから、支柱10内を連結ピン20が回転してしまうことも無い。
【0028】
<6.3>連結ピンの収納完了(
図3(c))
連結ピン20の移動を進めて行くにつれて、ボルト41が連結ピン20の長穴22の上縁側に達し、連結ピン20の移動が遮られることになる。
この状態で、連結ピン20の支柱10への収納作業が完了することとなる。
【0029】
<6.4>連結ピンの引き出し(
図3(c)〜
図3(a))
上方足場Dの連結作業を開始する際など、連結ピン20を支柱10から露出したい場合には、連結ピン20の先端を引っ張って連結ピン20の引き出し作業を行う。
このとき、ボルト41は、連結ピン20の長穴22の下縁側に位置した状態まで引き出された段階で、ロックピン30の突起32は、再度第1の貫通孔11と、第2の貫通孔21が重なる位置で両貫通孔に挿通した状態を維持し、前記支柱10に対し前記連結ピン20を位置決めした状態となる。
【0030】
<7>まとめ
このように、本発明に係る足場用梁枠によれば、必要に応じて連結ピンを引き出すことができ、足場の設置時や解体時に連結ピンの紛失や落下の恐れがない。
また、連結ピンの移動が軸方向に限られていることから、ロックピンの突起による支柱と連結ピンの位置決めが、連結ピンの回転によって阻害される事も無い。