(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
1つまたは複数のガイドワイヤを更に具備し、前記マイクロカテーテルの前記内腔は、前記1つまたは複数のガイドワイヤのうちの少なくとも1つの外側で移動可能であるように構成されている、請求項2に記載のカテーテル装置。
前記マイクロカテーテルは、前記外側シャフトの前記遠位端部が患者の前記血管系内の前記目標部位の付近に留まっているときに、前記内側シャフトの前記近位端部を通して取外し可能となるように構成されている、請求項2に記載のカテーテル装置。
前記外側シャフトの前記近位端部は、前記内側シャフトおよび前記スカフォードを摺動可能に受けるように適合された開口を有し、前記外側シャフトの前記遠位端部が前記血管系内の前記目標部位の付近に留まっているときに前記開口を通して前記内側シャフトおよび前記スカフォードを前記外側シャフトから取り外すことができる、請求項1に記載のカテーテル装置。
前記スカフォードは、遠位端部および近位端部を備え、前記スカフォードの前記遠位端部と前記近位端部とのうちの一方が、前記内側シャフトに対して相対的に摺動可能となるように構成されている、請求項1に記載のカテーテル装置。
前記自己拡張可能なスカフォードは、このスカフォードの円筒面から内向きに前記自己拡張可能なスカフォードの中心長手方向軸まで突出する少なくとも1つのループを備えている、請求項1に記載のカテーテル装置。
前記外側シャフトは、前記内側シャフトおよび前記スカフォードが前記外側シャフト内に配置されることなく前記外側シャフトの前記遠位端部が前記目標部位の付近に留まっている状態で、追加の医療デバイスまたは治療剤を前記外側シャフトの内腔を通じて目標位置に送達するために支持する支持カテーテルを構成している、請求項1に記載のカテーテル装置。
前記スカフォードの前記遠位端部は、前記スカフォードの反転部分によって前記内側シャフトの周りに摺動可能に配列され、前記反転部分が、前記スカフォード内で、前記内側シャフトに近接して前記内側シャフトの周りで内向きに延びている、請求項5に記載のカテーテル装置。
前記スカフォードは、前記スカフォードの円筒面から内向きに前記自己拡張可能なスカフォード構造体の中心長手方向軸まで突出するループを含み、ここにおいて、前記ループは前記スカフォードが拡張したときにスカフォード構造体の前記中心長手方向軸に沿って前記内側シャフトを位置決めする、請求項8に記載のカテーテル装置。
前記スカフォードは、拡張したときに、ほぼ円筒形の形状であり、前記スカフォードは、前記内側シャフトに向かって先細になる遠位端部を有する、請求項1に記載のカテーテル装置。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の夫々の実施形態は、血管系を治療する装置および方法を提供することによって、従来技術の問題の多くを解決し、および/または従来技術の欠点および不利の多くを克服している。
【0021】
本発明の実施形態は、血管系内の慢性完全閉塞を通して1つまたは複数のカテーテル、好ましくはマイクロカテーテルを前進させる装置および方法を有し得る。本明細書に記載それた好ましい実施形態は、ガイドワイヤがCTOを横断するのを容易にするための支持およびセンタリングを対象としているが、この支持およびセンタリング機能は、CTO以外にも適用される。
【0022】
特に、本発明の実施形態は、血管系内の慢性完全閉塞の中心にマイクロカテーテルを効率的および効果的に通す装置によって、これを実現することができる。特に、本発明の実施形態は、血管系内でマイクロカテーテルをセンタリングし、血管系内への複数のデバイスまたはマイクロカテーテルの挿入を簡略化する装置および方法を提供する。
【0023】
本発明の一実施形態は、内腔、遠位開口、および遠位端部を有するマイクロカテーテルと、マイクロカテーテルの内腔を通過する1つまたは複数のガイドワイヤと、内腔、遠位開口、およびマイクロカテーテルが内側シャフトを通過することを可能にする遠位端部を有する内側シャフトと、内腔、遠位開口、および内側シャフトの上に外側シャフトを通す遠位端部を有する外側シャフトと、内側シャフトの遠位端部側に配置された遠位端部および近位端部を有する実質的に円筒形の自己拡張可能なスカフォ−ド構造体とを含み、この構造の近位端部が内側シャフトに取り付けられ、遠位端部がこのシャフトに沿って摺動可能であり、スカフォ−ド構造体が、内側シャフトがスカフォ−ドの中心を通るように構成され、スカフォ−ド構造体が、非閉塞性に構成された、カテーテル装置である。マイクロカテーテルおよび内側シャフトは、独立して操作することができることもある。自己拡張可能なスカフォ−ドは、スカフォ−ドの円筒面から内向きに突出するループを含むことができる。一実施形態では、これらのループが、スカフォ−ドの円筒面のほぼ中心に内側シャフトを位置決めする。
【0024】
自己拡張可能なスカフォ−ド構造体は、ニチノールなど様々な材料で作製することができる。一実施形態では、自己拡張可能なスカフォ−ドは、スカフォ−ドの遠位端部にループネットワークを含む。
【0025】
この装置は、自己拡張可能なスカフォ−ドの遠位端部に配置されたスリーブを含むこともできる。このスリーブは、内側シャフトとスカフォ−ドとが隙間によって隔てられるように、スカフォ−ドを内側シャフトに取り付けることなく自己拡張可能なスカフォ−ドを適所に保持することができる。
【0026】
一実施形態では、外側シャフトおよび内側シャフトは、可撓性である。別の実施形態では、外側シャフトの遠位端部は、親水性である。この性質は、コーティングによって実現することができる。従って、一実施形態では、外側シャフトの遠位端部は、親水性コーティングを含む。
【0027】
内側シャフトおよび/または外側シャフトの内腔は、1つまたは複数のガイドワイヤを収容するように構成することができる。従って、一実施形態では、デバイスは、マイクロカテーテルを通る1つまたは複数のガイドワイヤを含む。マイクロカテーテルは、取外し可能、および/または非常に可撓性にすることができる。
【0028】
一実施形態では、外側シャフトの遠位端部は、斜めに、および先細になっている。外側シャフトの遠位端部のこの構造は、血管系内でのデバイスの適切な位置決めを助けることができる。
【0029】
内側シャフトおよび/または外側シャフトの内腔は、1つまたは複数のガイドワイヤを収容するように構成することができる。従って、一実施形態では、デバイスは、マイクロカテーテルを通る1つまたは複数のガイドワイヤに加えて、1つまたは複数のガイドワイヤを含む。一実施形態では、マイクロカテーテルの遠位端部は、先細になっている。マイクロカテーテルは、取外し可能、および/または非常に可撓性にすることができる。このカテーテル装置は、ハンドル本体を含むこともできる。
【0030】
本発明の別の実施形態は、内腔、遠位開口、および遠位端部を有するマイクロカテーテルと、内腔、遠位開口、および内側シャフトをマイクロカテーテルの上に通す遠位端部を有する内側シャフトと、内腔、遠位開口、および外側シャフトを内側シャフトの上に通す遠位端部を有する外側シャフトと、近位端部および遠位端部を有する、内側シャフトの遠位端部側に配置され、構造の近位端部が内側シャフトに取り付けられた、実質的に円筒形の自己拡張可能なスカフォ−ド構造体であり、遠位端部がシャフトに沿って摺動可能であり、スカフォ−ド構造体が内側シャフトがスカフォ−ドの中心を通るように構成され、スカフォ−ド構造体が非閉塞性に構成された自己拡張可能なスカフォ−ド構造体とを含む、カテーテル装置である。任意選択で、カテーテル装置は、マイクロカテーテルおよび/またはハンドル本体の内腔を通る1つまたは複数のガイドワイヤを含む。マイクロカテーテルは、独立して操作可能にすることができる。
【0031】
自己拡張スカフォ−ドは、スカフォ−ドの円筒面から内向きに突出する1つまたは複数のループを含むことができる。一実施形態では、これらのループは、スカフォ−ドの円筒面のほぼ中心に内側シャフトを位置決めする。自己拡張可能なスカフォ−ドは、ニチノールで作製することができる。任意選択で、自己拡張可能なスカフォ−ドは、スカフォ−ドの遠位端部にループネットワークを含む。自己拡張可能なスカフォ−ドの遠位端部に、スリーブを配置することもできる。このスリーブは、自己拡張可能なスカフォ−ドを、シャフトに取り付けることなく、適所に保持する。スカフォ−ドの遠位端部は、隙間によってシャフトから隔てることができる。
【0032】
一実施形態では、外側シャフトおよび内側シャフトは可撓性である。別の実施形態では、外側シャフトの遠位端部は、親水性である。更に別の実施形態では、外側シャフトの遠位端部は、親水性コーティングを含む。
【0033】
内側シャフトおよび/または外側シャフトの内腔は、1つまたは複数のガイドワイヤを収容するように構成することができる。一実施形態では、外側シャフトの遠位端部は、斜めに、および先細になっている。別の実施形態では、マイクロカテーテルの遠位端部は、先細になっている。マイクロカテーテルは、取外し可能、および/または非常に可撓性にすることができる。
【0034】
本発明の更に別の実施形態は、内腔、遠位開口、および遠位端部を有するマイクロカテーテルと、内腔、遠位開口、およびマイクロカテーテルがこの内側シャフトを通過することを可能にする遠位端部を有する内側シャフトと、内腔、遠位開口、および内側シャフトの上に外側シャフトを通す遠位端部を有する外側シャフトと、内側シャフトの遠位端部側に配置された1つまたは複数の自己拡張可能なスカフォ−ド構造体とを含み、1つまたは複数の自己拡張可能なスカフォ−ド構造体がそれぞれ、内側シャフトを取り囲む中心バンドと、中心バンドに取り付けられた1つまたは複数の拡張可能アームとを含む、カテーテル装置である。1つまたは複数の自己拡張可能なスカフォ−ド構造体のうちの1つは、内側シャフトの遠位端部にあることもある。このスカフォ−ドは、非閉塞性に構成することができる。スカフォ−ドの中心バンドおよび/またはアームは、1つまたは複数の開口を含むことができる。更に、これらのアームは、湾曲していてもよい。マイクロカテーテルは、独立して操作可能にすることができることが好ましい。この装置は、自己拡張可能なスカフォ−ドの遠位端部(例えば中心バンドの上など)に配置されたスリーブを含むように構成することができる。あるいは、リングをスカフォ−ドに接着することができる。外側シャフトおよび内側シャフトは、可撓性にすることができる。外側シャフトの遠位端部は、例えば親水性コーティングを使用することによって、親水性にすることができる。内側シャフトおよび/または外側シャフトの内腔は、1つまたは複数のガイドワイヤを収容するように構成することができる。外側シャフトの遠位端部は、斜めに、および先細にすることができる。マイクロカテーテルの遠位端部も、先細にすることができる。マイクロカテーテルは、取外し可能、および/または非常に可撓性にすることができる。このカテーテル装置は、マイクロカテーテルの内腔および/またはハンドル本体を通る1つまたは複数のガイドワイヤを含むこともできる。
【0035】
本発明の別の実施形態は、このようなカテーテルを操作する方法である。一実施形態では、この方法は、本発明のカテーテル装置を提供することと、慢性完全閉塞を有する血管系内にガイドカテーテルを挿入することと、カテーテル装置をガイドカテーテルに挿入することと、カテーテル装置を前進させて慢性完全閉塞と接触させることと、自己拡張可能なスカフォ−ドの上で外側シャフトを平行移動させることと、自己拡張可能なスカフォ−ドが拡張できるようにすることであり、内側シャフトを自己拡張可能なスカフォ−ドの内部でほぼセンタリングすることと、マイクロカテーテル装置を前進させて慢性完全閉塞と接触させることとを含む。一実施形態では、内側シャフトは、血管系に対してほぼセンタリングされる。
【0036】
本発明の別の実施形態は、内腔、遠位開口、および遠位端部を有するマイクロカテーテルと、内腔、遠位開口、およびマイクロカテーテルの上に内側シャフトを通す遠位端部を有する内側シャフトと、内腔、遠位開口、および内側シャフトの上に外側シャフトを通す遠位端部を有する外側シャフトと、近位端部および遠位端部を有する、内側シャフトの遠位端部側に配置された、実質的に円筒形の自己拡張可能なスカフォ−ド構造体とを含み、この構造の近位端部が内側シャフトに取り付けられ、遠位端部がこのシャフトに沿って摺動可能であり、スカフォ−ド構造体が、内側シャフトがスカフォ−ドの中心を通るように構成され、スカフォ−ド構造体が、非閉塞性に構成された、カテーテル装置である。このカテーテル装置は、マイクロカテーテルの内腔を通る1つまたは複数のガイドワイヤを更に含むことができる。内側シャフトおよびマイクロカテーテルは、独立して操作することができることもある。一実施形態では、自己拡張可能なスカフォ−ドは、スカフォ−ドの円筒面から内向きに突出するループを含む。これらのループは、スカフォ−ドの円筒面のほぼ中心に内側シャフトを位置決めすることができる。自己拡張可能なスカフォ−ドは、ニチノールで作製することができる。自己拡張可能なスカフォ−ドは、スカフォ−ドの遠位端部にループネットワークを含むこともできる。任意選択で、この装置は、自己拡張可能なスカフォ−ドの遠位端部に配置されたスリーブを更に含むこともできる。内側シャフトおよび外側シャフトは、可撓性にすることができる。一実施形態では、外側シャフトの遠位端部は、親水性である。別の実施形態では、外側シャフトの遠位端部は、親水性コーティングを含む。内側シャフトおよび/または外側シャフトの内腔は、1つまたは複数のガイドワイヤを収容するように構成される。外側シャフトの遠位端部は、斜めに、および先細にすることができる。例えば、マイクロカテーテルの遠位端部は、先細にすることができる。マイクロカテーテルは、非常に可撓性に、および/または取外し可能にすることができる。この装置は、ハンドル本体を含むこともできる。
【0037】
本発明の更に別の実施形態は、内腔を有するシャフトと、端部シャフトの遠位端部に配置された1つまたは複数の自己拡張可能なスカフォ−ド構造体とを含み、スカフォ−ドが、拡張したときに、シャフトの内腔をセンタリングする、カテーテル装置である。この装置は、1つまたは複数の自己拡張可能なスカフォ−ド構造体を含むことができる。特定の実施形態では、自己拡張可能なスカフォ−ド構造体は、実質的に円筒形であり、遠位端部および近位端部を有し、近位端部が、内側シャフトの遠位端部側に配置される。特定の実施形態では、自己拡張可能なスカフォ−ド構造体は、スカフォ−ドの円筒面から内向きに突出するループを含む。これらの内向きループは、スカフォ−ドに取り付けることができる。シャフトは、ループを通ることができる。一実施形態では、自己拡張可能なスカフォ−ド構造体は、実質的に円筒形であり、遠位端部および近位端部を有し、遠位端部は圧着され、近位端部は、内側シャフトの遠位端部側に配置される。別の実施形態では、自己拡張可能なスカフォ−ド構造体は、実質的に円筒形であり、遠位先端部および近位端部を有し、遠位先端部が、シャフトを通るように構成され、近位端部が、内側シャフトの遠位端部側に配置される。特定の実施形態では、自己拡張可能なスカフォ−ドは、スカフォ−ドの円筒面から内向きに突出するループを含まない。一実施形態では、1つまたは複数の自己拡張可能なスカフォ−ド構造体はそれぞれ、内側シャフトを取り囲む中心バンドと、中心バンドに取り付けられた1つまたは複数の拡張可能アームとを含む。
【0038】
本発明の別の実施形態は、血管内でマイクロカテーテルをセンタリングする方法であって、マイクロカテーテルの遠位端部側に1つまたは複数の自己拡張可能なスカフォ−ド構造体を有するマイクロカテーテルを血管に挿入することであり、自己拡張可能なスカフォ−ド構造体が外側シャフトによって覆われることと、外側シャフトを引き抜いて自己拡張可能なスカフォ−ド構造体を拡張させ、スカフォ−ドの拡張によってマイクロカテーテルをセンタリングすることとを含む、方法である。特定の実施形態では、マイクロカテーテルは、1つの自己拡張可能なスカフォ−ド構造体を含む。自己拡張可能なスカフォ−ド構造体は、実質的に円筒形にすることができ、遠位端部および近位端部を有し、近位端部は、マイクロカテーテルの遠位端部側に配置される。別の実施形態では、自己拡張可能なスカフォ−ド構造体は、スカフォ−ドの円筒面から内向きに突出するループを含む。これらの内向きループは、スカフォ−ドに取り付けることができる。シャフトは、ループを通ることができる。特定の実施形態では、スカフォ−ドの拡張によって、マイクロカテーテルをスカフォ−ド内部でセンタリングし、それによりマイクロカテーテルを血管内でおおよそセンタリングする。一実施形態では、自己拡張可能なスカフォ−ド構造体は、実質的に円筒形であり、遠位端部および近位端部を有し、遠位端部は圧着され、近位端部は、内側シャフトの遠位端部側に配置される。別の実施形態では、自己拡張可能なスカフォ−ド構造体は、実質的に円筒形であり、遠位先端部および近位端部を有し、遠位先端部が、シャフトを通るように構成され、近位端部が、内側シャフトの遠位端部側に配置される。特定の実施形態では、自己拡張可能なスカフォ−ドは、スカフォ−ドの円筒面から内向きに突出するループを含まない。特定の実施形態では、スカフォ−ドの拡張によってマイクロカテーテルをスカフォ−ド内部でセンタリングし、それによりマイクロカテーテルを血管内でおおよそセンタリングすることができる。別の実施形態では、1つまたは複数の自己拡張可能なスカフォ−ド構造体はそれぞれ、内側シャフトを取り囲む中心バンドと、中心バンドに取り付けられた1つまたは複数の拡張可能アームとを含む。
【0039】
本発明の別の実施形態は、遠位端部および近位端部を有する中空シャフトと、中心長手方向軸を有する非閉塞性の自己拡張スカフォ−ドとを含むカテーテル装置であって、自己拡張可能なスカフォ−ドがカテーテルの遠位端部に配置され、カテーテルの遠位端部の一部分が、少なくとも部分的には自己拡張可能なスカフォ−ドの内部に配置され、遠位端部がシャフトに沿って摺動可能であり、スカフォ−ドが、カテーテルの遠位端部に結合されるように構成され、カテーテルの遠位端部の少なくとも一部分が、自己拡張可能なスカフォ−ドの中心軸に実質的に沿って配置される、カテーテル装置である。このカテーテル装置は、中空シャフトの上を摺動するシースを更に含むことができる。このカテーテル装置は、内腔、遠位開口、および遠位端部を有するマイクロカテーテルを更に含むこともできる。一実施形態では、内側シャフトおよびマイクロカテーテルは、独立して操作可能にすることができる。別の実施形態では、マイクロカテーテルは、マイクロカテーテルの内腔を通る1つまたは複数のガイドワイヤを含む。マイクロカテーテルは、1つまたは複数のガイドワイヤより剛性は高く、可撓性は低くすることができる。自己拡張可能なスカフォ−ドは、スカフォ−ドの円筒面から自己拡張可能なスカフォ−ド構造体の中心長手方向軸に内向きに突出するループを含む。特定の実施形態では、これらのループは、自己拡張可能なスカフォ−ド構造体の中心長手方向軸にほぼ沿ってシャフトを位置決めする。自己拡張可能なスカフォ−ドは、ニチノールで作製することができる。自己拡張可能なスカフォ−ドは、スカフォ−ドの遠位端部にループネットワークを含むこともできる。シースおよびシャフトは、可撓性にすることができる。シャフトの遠位端部は、親水性にすることができる。あるいは、シースの遠位端部は、親水性コーティングを含む。一実施形態では、マイクロカテーテルの遠位端部は、先細になっている。別の実施形態では、マイクロカテーテルは、取外し可能、または非常に可撓性である。このカテーテル装置は、ハンドル本体を含むこともできる。
【0040】
本発明の更に別の実施形態は、血管内でマイクロカテーテルをセンタリングする方法であって、マイクロカテーテルを血管に挿入することであり、マイクロカテーテルが、遠位端部および近位端部を有する中空シャフトと、中心長手方向軸を有する非閉塞性の自己拡張スカフォ−ドであり、カテーテルの遠位端部に配置され、カテーテルの遠位端部の一部分が少なくとも部分的には自己拡張可能なスカフォ−ドの内部に配置される自己拡張可能なスカフォ−ドと、シースとを含み、遠位端部がシャフトに沿って摺動可能であり、スカフォ−ドが、カテーテルの遠位端部に結合されるように構成され、カテーテルの遠位端部の少なくとも一部分が、自己拡張可能なスカフォ−ド構造体の中心軸に実質的に沿って配置され、中空シャフトがシースによって覆われる、ことと、シースを引き抜いて自己拡張可能なスカフォ−ド構造体を拡張させ、スカフォ−ドの拡張によってマイクロカテーテルをスカフォ−ドの中心長手方向軸に沿ってセンタリングすることによって、マイクロカテーテルを血管内でセンタリングすることとを備える、方法である。特定の実施形態では、マイクロカテーテルは、上述のマイクロカテーテルとすることができる。一実施形態では、この方法は、ガイドワイヤをマイクロカテーテルに挿入することも含む。一実施形態では、血管は、慢性閉塞を有し、この方法は、マイクロカテーテルを前進させて慢性閉塞と接触させることを更に含む。特定の実施形態では、自己拡張可能なスカフォ−ドは、スカフォ−ドの円筒面から自己拡張可能なスカフォ−ド構造体の中心長手方向軸に内向きに突出するループを含む。これらのループは、自己拡張可能なスカフォ−ド構造体の中心長手方向軸にほぼ沿ってシャフトを位置決めすることができる。
【0041】
別の実施形態は、本発明のカテーテル装置で慢性完全閉塞を治療する方法である。一実施形態では、内側シャフトは、血管系に対してほぼセンタリングされる。
【0042】
本発明の実施形態は、マイクロカテーテルを慢性閉塞内でうまくセンタリングするために、いくつかの特徴を組み込むことができる。本発明の特徴は、内腔を有する外側シャフトと、内腔を有する内側シャフトと、内腔を有するマイクロカテーテルと、マイクロカテーテルの内腔を通る1つまたは複数のガイドワイヤと、スカフォ−ド構造体とを備えるカテーテル装置であって、スカフォ−ド構造体が内側シャフトに取り付けられ、内側シャフトおよびマイクロカテーテルが互いに独立して伸縮する、カテーテル装置を含むことができる。スカフォ−ドは、非閉塞性であり、血液がスカフォ−ドを通って流れることができるように構成される。本発明の特徴は、遠位先端部を拡張または活動化して、スカフォ−ド構造体を生じることも含む。
【0043】
本発明の装置は、慢性完全閉塞の治療中の血管内でのガイドワイヤの先端部の撓みを軽減することができる。特に、マイクロカテーテルの遠位端部は、1つまたは複数のガイドワイヤを保護し、それらに対して、安定した、または剛性の支持などの支持を提供する働きをする。特定の実施形態では、マイクロカテーテルは独立したガイドワイヤ支持として働くことができる。
【0044】
本発明のデバイスは、臨床医が自分の選んだガイドワイヤを用いてこれらの困難な慢性完全閉塞障害を効果的に治療することができるようにする単純で安定したプラットフォームを提供する。ニチノール性のスキャフォールディングおよびセンタリングコア内腔を使用することで、このカテーテルは、真腔への安定した入口点をインターベンション医に提供することができる。特定の実施形態では、自己拡張型スキャフォールディング(例えばニチノールで作製される)が、障害での固定を実現する。特に、この固定は、非外傷性および非閉塞性にすることができる。本発明のデバイスは、信頼性の高いガイドワイヤのセンタリングアクセスを実現する。更に、本発明のデバイスの構成は、デバイスの内腔が(従って、ガイドワイヤも)CTO被膜と中心で位置合わせされるような同軸位置合わせを可能にする。
【0045】
本発明の特定の実施形態では、本発明のデバイスは、(自己拡張型スカフォ−ドによって)非閉塞性固定を実現する。本発明のデバイスは、ガイドワイヤの完全な支持も提供する。この構成により、デバイスの操作は簡単になり、繰返し可能になる。従って、本発明のデバイスは、順行性手法で使用することができる。
【0046】
図1Aおよび
図1Bは、本発明の原理に従ったカテーテルシステムの近位端部の例示的な実施形態を示す図である。このシステムの遠位端部は、これらの図には示されておらず、本明細書において以下で示す図面および説明に記載および図示する様々な実施形態を具現化することができる。
【0047】
図1Aは、本発明の一実施形態に従ったカテーテル装置の近位端部を示す一部破断図である。近位端部は、ハンドル本体100Aを含む。このカテーテル装置のハンドル本体100Aは、外側シャフト110が通過することができる内腔を含む。外側シャフトは、ハンドルに取り付けられ得る。外側シャフトは、又、内側シャフト120が通過することができる内腔を含む。内側シャフト120は、1つまたは複数のマイクロカテーテル(図示せず)が通過することができる内腔を有し、そして、内側シャフト120は、スカフォ−ド(図示せず)と関連付けられるように遠位方向に延びている。マイクロカテーテルおよびスカフォ−ドは、両方とも、以下の説明および図で更に詳細に論じられる。ハンドル本体100Aの近位端部側に、止血弁140がある。ハンドル100の遠位端部側に、親指レバー115がある。親指レバー115は、調節可能とすることができる。一実施形態では、親指レバー115は、外側シャフト110を適所に保持するように調節可能であり得る。
【0048】
先端部105は、ハンドル本体100Aの遠位端部に位置することができる。一実施形態では、先端部105は、段階的に先細にすることもできる。代わって、先端部105は、徐々に先細になるようにすることもできる。一実施形態では、先細形状は、ハンドルに係る歪みを解放する働きをする。一実施形態では、先端部は、外側シャフトアセンブリ125と一体化されている。本発明の別の実施形態では、先端部は、ハンドル本体100Aと一体化され得る。
【0049】
前記外側シャフトアセンブリ125は、ハンドル本体100Aの遠位端部側に位置する。外側シャフトアセンブリ125は、ハンドル本体100Aの近位端部から内部に延びている。外側シャフトアセンブリ125は、ハンドル本体100Aと一体化することもできる。親指レバー115は、外側シャフトアセンブリ125に接続することができる。
【0050】
外側シャフト110および/または内側シャフト120は、内部補強シャフト135によって包囲され得る。内部補強シャフト135は、ハンドル本体100Aの近位端の近くから遠位端の近くまで延び得る。一実施形態では、補強シャフトは、ハンドル本体100Aの全長にわたって延びている。別の実施形態では、補強シャフト135は、外側シャフトアセンブリ125までしか延びていない。代替の実施形態では、補強シャフト135は、外側シャフトアセンブリ125内へまたはそれを通って延びる。補強シャフト135は、ハンドル本体100Aと一体化することができる。補強シャフト135は、外側シャフト110および/または内側シャフト120を包囲する剛性チューブとすることができる。一実施形態では、外側シャフトの近位端部は、外側シャフトアセンブリ125の近位端部に位置している。内部補強シャフト135は、外側シャフトアセンブリ125の近位端部に隣接している、または接続されている。内側シャフト120は、内部補強シャフト135を通過した後、外側シャフト110を通過する。内部補強シャフト135は、内側シャフト120の座屈を防止するように構成することができる。更に、内部補強シャフト135の長さおよび構成は、企図される用途に応じて変えられ得る。内部補強シャフト135は、ハンドル本体100Aの全長に及んでいてもよいし、その一部にしか及んでいなくてもよい。
【0051】
図1Bは、本発明の一実施形態によるカテーテル装置のハンドルを示す別の図である。このカテーテル装置のハンドル本体100Bは、外側シャフト110(図示せず)が通過することができる内腔を含む。外側シャフトは、ハンドルに取り付けられ得る。外側シャフト110も、内側シャフト120が通過することができる内腔を含む。内側シャフト120は、1つまたは複数のマイクロカテーテル(例えば、
図4のマイクロカテーテル130)が通過することができる内腔を有する。1つまたは複数のマイクロカテーテルはそれぞれ、1つまたは複数のガイドワイヤが通過することができる内腔を有する。ハンドルは、本体の近位端側に位置する止血弁140と、内側内腔フラッシュ122とを更に含む。マイクロカテーテル130は、ハンドル本体100Bの近位端から挿入され得る。止血弁140は、マイクロカテーテル130を適所に保持するように調節可能にすることができる。内側内腔フラッシュ122は、内側シャフト120の内腔に接続することができる。内側内腔フラッシュ122は、ハンドル本体100Bの近位端側に位置され得る。ハンドル本体100Bは、ハンドル本体100Bの遠位端側に位置され得る親指レバー115を含むことができる。
【0052】
図1Aおよび
図1Bを参照すると、ハンドル本体(100A/100B)は、外側シャフト110が通過する内腔を備えた構成になっている。外側シャフト110は、内側シャフト120が通過する内腔を備えた構成になっている。1つまたは複数のマイクロカテーテル130(例えば
図1Bに示す)は、内側シャフト120内を通過する。外側シャフト110と、内側シャフト120と、およびマイクロカテーテル130とは、互いに独立して摺動可能に動作することができる。従って、内側シャフト120は、外側シャフト110に入れ子式に出入りすることができ、そして、1つまたは複数のマイクロカテーテル130は、内側シャフト120に入れ子式に出入りすることができる。更に、1つまたは複数のガイドワイヤ132をマイクロカテーテル130と併用するときには、1つまたは複数のガイドワイヤ132は、外側シャフト110、内側シャフト120、およびマイクロカテーテル130から独立して摺動可能に動作することができる。1つまたは複数のガイドワイヤ132は、マイクロカテーテル130に入れ子式に出入りすることができる。
【0053】
前記外側シャフト110は、シースとして作用するように構成することができる。内側シャフト120および外側シャフト110は、可撓性であり得、また、ほぼ円筒形である、および/またはほぼ円形の横断面を有する。ハンドル本体は、剛性のプラスチック材料で作製することができる。
【0054】
一実施形態では、この装置は、内腔を有する外側シャフトと、内腔を有する内側シャフトと、内腔を有するマイクロカテーテルと、スカフォ−ド構造体と、1つまたは複数のガイドワイヤとを含む。外側シャフトは、その内腔に内側シャフトを通過させることができるように構成されている。マイクロカテーテルは、内側シャフトの内腔を通過し、1つまたは複数のガイドワイヤは、マイクロカテーテルシャフトの内腔を通過する。スカフォ−ド構造体は、内側シャフトの遠位端側、即ち、遠位端部で、内側シャフトに取り付けることができる。
【0055】
スカフォ−ド構造体は、固定支持(anchoring support)を実現し、また、非閉塞性にされて、血液が側副血管および血管枝に流れるようにすることができる。スカフォ−ド構造体は、自己拡張可能にすることができるが、本発明の装置での使用に適したスカフォ−ド構造体は、自己拡張可能なスカフォ−ド構造体に限定されない。スカフォ−ド構造体は、広い動作範囲を有する(即ち、1つのサイズで全てに適合する)ことが好ましい。スカフォ−ド構造体は、特定の意図した用途に合わせて調整することもできる。スカフォ−ド構造体は、単独で、および/あるいは他の構造体および/または形態と組み合わせて、カテーテル装置を動脈内で位置決めし、1つまたは複数のマイクロカテーテルをスカフォ−ド/動脈の中央に実質的にセンタリングされた状態で位置決めすることができる。
【0056】
スカフォ−ド構造体は、例えば内部内腔および/あるいはカテーテルまたはマイクロカテーテルを血管壁から離して支持する機構など、センタリング要素を有することができる。スカフォ−ド構造体は、血管壁に対して非外傷性にすることにより、位置を維持するのに最小のフープ強度(hoop strength)しか必要としないようにすることができる。スカフォ−ド構造体は、引き抜きを容易にするようにシースに戻す(re-sheath)ように構成され、複数回利用することができる。スカフォ−ドは、取外し可能にすることができ、信頼性の高い位置決めおよびセンタリングのために、好ましくはマイクロカテーテルの位置決めおよびセンタリングのために、一時的に使用することができる。スカフォ−ドは、血管系内に一時的に配備されるような、血管系内での固定を行うような、血管系から取外し可能になるような、および/または、血管系内に再配備されるような品質および構造を有することが好ましい。スカフォ−ドは、移植可能な品質および構造であるが、例えば障害を横断するために使用した後も血管系内に残るインプラントまたは移植可能デバイスとして使用されることは意図されていない。
【0057】
図2Aは、マイクロカテーテルのない、拡張状態の、本発明の一実施形態によるカテーテル装置の遠位部設計を示す部分断面図である。一実施形態では、
図2Aのカテーテル装置は、上記に例示したように構成することができるハンドル本体100を含む。別の実施形態では、
図2Aのカテーテル装置は、ハンドル本体100を含まなくても良い。カテーテル装置は、1つまたは複数のマイクロカテーテルを更に含むこともできる。
【0058】
図2Aを参照すると、カテーテル装置の遠位設計部は、内腔、遠位開口、および遠位端部を有する内側シャフト120と、内腔、遠位開口、および外側シャフト110を内側シャフト120の周りで通す遠位端部を有する外側シャフト110と、内側シャフト120の遠位端部側に配置された、または取り付けられた自己拡張可能なスカフォ−ド145とを含む。自己拡張可能なスカフォ−ド構造体145は、近位端部155と遠位端部157とを有することが好ましい。この装置は、遠位先端部150も有することができる。遠位先端部150は、構造および硬度を様々にすることができる。一実施形態では、遠位先端部150を軟らかくすることができる。遠位先端部150は、スカフォ−ド構造体145に取り付けられている。スカフォ−ド構造体145は、自己拡張可能であることが好ましい。
図2Aは、スカフォ−ド145を拡張位置で示している。自己拡張可能なスカフォ−ド145の近位端部155は、図示のように、内側シャフト120の遠位端部で、内側シャフト120に配置されている、または取り付けられる(例えば固定される)。スカフォ−ド145の遠位端部157または遠位先端部150は、内側シャフト120に取着されてはおらず、例えば、スカフォ−ド145は、内側シャフト120に摺動可能に装着されている。ただし、装置の用途及びスキャフォールディングに応じて、望ましい場合には、遠位先端部150は、外側シャフトに取り付けられ得る。スカフォ−ド145の遠位端部157には、ひだが形成され得る(crimped)。スカフォ−ド構造体145の遠位端部157は、内側シャフト120に固定されず、それにより長手方向に動いて前後に摺動することができる、例えば
図2Bに参照番号170で示し、
図2Bを参照して説明するタイプおよび種類のリングによって適所に保持することができる。リング170は、シャフト120に対して相対的に摺動することができる。代替の実施形態では、スカフォ−ドの遠位先端部は、
図6および
図11Bに示して本明細書で説明するように遠位先端部を近位端部155に向かって配向することができるように、折り返すことができる。リング170は、これらの図には示されていないが、この代替の実施形態の折り返された遠位先端部の上を摺動させることができる。
【0059】
外側シャフト110は、外側シャフトの遠位端側に位置検出マーカ160を含むことができる。検出マーカ160は、放射線不透過性マーカバンドとすることができる。マーカは、他の箇所に設けることもでき、例えば、内側シャフト120および/またはマイクロカテーテル130に設けることもできる。
【0060】
外側シャフトは、外側シャフト110の遠位端部に遠位先端部162も有することができる。外側シャフト110の遠位先端部162は、斜めにする、および/または丸めることができる。図示のように、外側シャフト110の端部は、161で示すように斜めになっており、163では湾曲している。これは、システムの送出および/または位置決めを助けることができる。例えば、この構成は、繊維性被膜から離れて外膜層に向かって撓むのを防止する助けになることができ、それによりデバイスが間違った内腔に入るのを防止するのを助けることができる。あるいは、外側シャフトの遠位先端部は、先細形状、斜め形状、丸形状、またはそれらの組合せにすることができる。
【0061】
外側シャフト110は、遠位端部に親水性コーティングを有することができる。外側シャフトは、約0.062インチ(0.062×2.54センチ)の直径を有することができる。外側シャフトの内腔は、約0.054インチ(0.054×2.54センチ)の直径を有することができる。使用時には、外側シャフトが平行移動して、自己拡張可能なスカフォ−ド構造体145を覆ったり露出させたりする。従って、スカフォ−ドは、外側シャフト110に出し入れすることができる。
【0062】
内側シャフト120は、ハンドル本体100に対して固定位置であり得る。内側シャフト120は、管形状にして、遠位部血管に効果的に連通できるようにすることができる。内側シャフト120の内腔の最小直径は、約3フレンチ(1mm)とすることができる。あるいは、内側シャフトの直径は、約0.045インチ(0.045×2.54センチ)から約0.05インチ(0.05×2.54センチ)とすることができる。内側シャフトは、1つまたは複数のマイクロカテーテルおよび/またはガイドワイヤに適合するように構成することができる。一実施形態では、内側シャフトは、直径が約0.038インチ(0.038×2.54センチ)のガイドワイヤに適合するように構成することができる。内側シャフトは、自己拡張可能なスカフォ−ド構造体145に対しておおよそセンタリングされることが好ましい。
【0063】
内側シャフト120は、可撓性で、滑らかで、抗屈曲性であるように構成されることが好ましい。一実施形態では、内側シャフト120は、約0.014インチ(0.014×2.54センチ)から約0.018インチ(0.018×2.54センチ)のガイドワイヤに適合するマイクロカテーテルに適合するように構成される。内側シャフトは、近位側ハンドル(例えばハンドル本体100など)に固定されることが好ましい。しかし、内側シャフト120は、独立して動かすことができるように、固定されなくてもよい。
【0064】
外側シャフト110および内側シャフト120は、互いに独立して摺動可能に動作することができる。従って、内側シャフトは、外側シャフトに入れ子式に出入りすることができる。更に、内側シャフトおよび外側シャフトの内腔は、1つまたは複数のガイドワイヤを収容するように構成することができる。この1つまたは複数のガイドワイヤも、外側シャフトおよび内側シャフトとは独立して入れ子式に出入りでき得る。
【0065】
図2Bは、マイクロカテーテル130が適所にある、拡張状態の、本発明の一実施形態によるカテーテル装置の遠位部設計を示す図である。一実施形態では、
図2Bのカテーテル装置は、上記に例示したハンドル本体100を含む。別の実施形態では、
図2Bのカテーテル装置は、以下で更に論じる他の近位側装置および/あるいは1つまたは複数のハンドルを含むことができる。
【0066】
このカテーテル装置は、内腔、遠位開口、および遠位端部を有するマイクロカテーテル130と、マイクロカテーテル130の内腔を通過する1つまたは複数のマイクロカテーテルガイドワイヤ132と、内腔、遠位開口、およびマイクロカテーテル130の上に内側シャフト120を通す遠位端部を有する内側シャフト120と、外側シャフト110と、内側シャフト120の遠位端部側に配置された、または取り付けられた自己拡張可能なスカフォ−ド構造体145とを含む。
【0067】
図2Bに示すように、外側シャフト110は、内側シャフト120が通過する内腔を有する。内側シャフト120は、マイクロカテーテル130が通過する内腔を有する。マイクロカテーテルも、1つまたは複数のガイドワイヤが通過する内腔を有する。好ましい実施形態では、1つのガイドワイヤ132のみが、マイクロカテーテルの内腔を通過する。外側シャフト110、内側シャフト120、およびマイクロカテーテル130は、互いに独立して摺動可能に動作することができる。従って、内側シャフト120は、外側シャフト110に入れ子式に出入りすることができ、マイクロカテーテル130は、内側シャフト120に入れ子式に出入りすることができる。更に、1つまたは複数のガイドワイヤも、内側シャフト120、外側シャフト110、および/またはマイクロカテーテル130から独立して伸縮することができる。マイクロカテーテル130とガイドワイヤ132とは、一緒になってて前進可能にすることができる。代わって、マイクロカテーテル130とガイドワイヤ132とは、個別に前進可能にすることもできる。
【0068】
スカフォ−ド構造体の近位端部は、好ましくは、内側シャフト120に取り付けられている。スカフォ−ドの近位端部は、内側シャフト120に物理的に取り付けることができる。スカフォ−ドの近位端部は、生体認容性接着剤または取付け具によって適所に保持することができる。取付け具は、スカフォ−ドの近位端部の上を摺動し、スカフォ−ドの近位端部を適所に保持する。取付け具は、図示のように、スカフォ−ド構造体145を内側シャフト120に取り付ける、またはしっかりと固定することなくスカフォ−ド構造体145の遠位端部の周りに位置決めされたリング170を含むことができる。従って、スカフォ−ドの遠位端部は摺動可能である。
【0069】
外側シャフト110は、外側シャフトの遠位端部側に位置検出マーカ160を含む。一実施形態では、位置検出マーカ160は、例えば放射線不透過性マーカなどのマーカバンドである。外側シャフト110の遠位端部は、斜めにし、丸めることができる。
【0070】
マイクロカテーテル130も、1つまたは複数の位置検出マーカ165を含むことができる。位置検出マーカ165は、例えば放射線不透過性マーカなどのマーカバンドとすることができる。図示していないが、内側シャフトもマーカを含むことができる。
【0071】
マイクロカテーテル130は、遠位端部に先細の先端部を含むことができる。この先端部は、軟らかくすることができる。あるいは、硬度は様々であってもよい。マイクロカテーテル130は、内側シャフト120とは独立して移動可能であり、取外し可能にすることもできる。マイクロカテーテル130は、内側シャフト120の内腔内で独立して平行移動することが好ましい。マイクロカテーテル130は、1つまたは複数のガイドワイヤが通過することができる内腔を有する。マイクロカテーテル130は、約0.017インチ(0.017×2.54センチ)から約0.021インチ(0.021×2.54センチ)の内径を有する内腔を有することができる。マイクロカテーテルは、先端部では約2.1フレンチ(約2.1×1/3mm)の外径を有し、先細部の近傍では約2.5フレンチ(約2.5×1/3mm)の外径を有することができる。更に、マイクロカテーテルは、非常に可撓性にすることができ、低プロフィル(<3フレンチ(1mm))ならびに軟らかい遠位先端部を有することができる。
【0072】
マイクロカテーテル130は、障害を通して前進させたガイドワイヤ132を支持するように、内側シャフト120の遠位端部を越えて前進し得る。従って、マイクロカテーテル130は、ガイドワイヤが不要に屈曲しないように保護することによって、ガイドワイヤに構造的な剛性および/または支持を与えることができる。好ましい実施形態では、マイクロカテーテルは、ガイドワイヤより硬くし、および/またはガイドワイヤより高い柱強度を有する。高い信頼性でセンタリングされたマイクロカテーテルおよびそのマイクロカテーテルを通過するガイドワイヤは、目標とする障害および/または閉塞の中心へのアクセスを可能にする。マイクロカテーテルおよび/またはガイドワイヤの両方を一緒におよび独立して平行移動させることができることにより、障害および/または閉塞との様々な係合を制御しながら行うことができるようになる。マイクロカテーテルとガイドワイヤの硬度/軟度が異なることにより、障害および/または閉塞と様々な係合を行うことも可能になる。
【0073】
マイクロカテーテル130は、スカフォ−ドの延長部として機能することもできる。マイクロカテーテルは、配備/固定されたスカフォ−ドの遠位端部を越えて遠位方向に延長することができるが、マイクロカテーテルは、スカフォ−ドにより高い信頼性でセンタリングされたままとなる。センタリングされた延長されたマイクロカテーテルは、システムのセンタリング能力をスカフォ−ドから遠位方向に延長して、ガイドワイヤを更に遠位方向でセンタリングする。
【0074】
本発明のカテーテル装置の構成要素は、様々な程度の剛性を有する。剛性および/または支持は、マイクロカテーテルガイドワイヤ132からマイクロカテーテル130に向かって増大することが好ましい。剛性および/または支持は、マイクロカテーテル130から内側シャフト120に向かっても増大する。剛性および/または支持は、更に、内側シャフト120から外側シャフト110に向かっても増大する。ハンドル本体100は、最大の剛性を有する。換言すれば、好ましい実施形態では、マイクロカテーテルはガイドワイヤより剛性であり、ガイドワイヤより高い柱強度を有する。内側シャフトは、マイクロカテーテルより剛性であり、マイクロカテーテルより、従って、ガイドワイヤよりも高い柱強度を有する。外側シャフトは、内側シャフトより剛性であり、内側シャフトより高い柱強度を有する。
【0075】
外側シャフト、内側シャフト、およびマイクロカテーテルは、可撓性プラスチック材料、あるいは例えば血管系の湾曲、屈曲、および捻れを吸収するのに適した任意のその他の物質または材料で作製することができる。
【0076】
位置検出マーカ160およびマーカ165は、単純な放射線不透過性マーカで良い。放射線不透過性マーキングにより、ユーザは、処置中にカテーテルおよびマイクロカテーテルの遠位端部の位置を特定する能力を向上させることができる。
【0077】
図2Cは、
図2Aに示すカテーテル装置の遠位端部にある自己拡張可能なスカフォ−ド145構造の一実施形態を示す部分図である。
図2Cを参照すると、内側シャフト120上の拡張可能スカフォ−ド構造体145の配置が示してある。上で論じたように、内側シャフト120は、マイクロカテーテルが通過することができる内腔を有する。自己拡張可能なスカフォ−ド145の近位端部155は、内側シャフト120に配置されている、または取り付けられている(例えば固定されている)。遠位先端部150は、スカフォ−ド145の遠位端部157に配置される、または取り付けられる(例えば固定される)。図示のように、遠位端部157および遠位先端部150は、内側シャフト120には取り付けられない。隙間161が、スカフォ−ド構造体145を内側シャフト120から分離している。一実施形態では、遠位端部157および/または遠位先端部150は、隙間161を維持しながら、リング170によって適所に保持されている。リング170は、遠位端部157に載置されている。代替の実施形態では、
図2Cには図示していないが、遠位先端部150が近位端部155に向かって配向されるように遠位先端部150を折り返すことができ、リング170は、折り返された遠位先端部の上を摺動することができる。
【0078】
スカフォ−ド構造体145は、自己拡張可能にすることができる。スカフォ−ド構造体145の近位端部155は、内側シャフト120に物理的に取り付けられることが好ましく、好ましくはしっかりと取り付けられ、更に好ましくは、シャフト120に対して実質的に全く動かないようにしっかりと取り付けられる。上で論じたように、スカフォ−ドの近位端部は、生体認容性接着剤または取付け具によって適所に保持することができる。スカフォ−ドは、内側シャフト120の遠位端部側にある。一実施形態では、近位端部155は、内側シャフト120に取り付けることができる。一実施形態では、スカフォ−ド構造体145は、外側シャフト110が自己拡張可能なスカフォ−ド構造体145の上を摺動することによってスカフォ−ドを折り畳むことができるように構成される。一実施形態では、自己拡張可能なスカフォ−ド構造体145は、外側シャフト110内に引き込み可能である。
【0079】
スカフォ−ド構造体145は、実質的にチューブ状および/または円筒形状の構造をなしている。スカフォ−ド構造体145は、内側シャフト120が(従って、マイクロカテーテル130およびガイドワイヤも)ほぼスカフォ−ドの中心を通過するように構成されている。自己拡張可能なスカフォ−ド構造体は、実質的に円筒形であることが好ましい。一実施形態では、内側シャフト120は(従って、マイクロカテーテル130およびガイドワイヤも)、スカフォ−ドの中心を通過する。別の実施形態では、動作時に、内側シャフト120は(従って、マイクロカテーテル130も)、スカフォ−ドの中心および血管系の中心を通過する。この構成により、CTOの中心にアクセスするための血管系内における信頼性の高い位置決めが可能になる。特に、内側シャフトの遠位端部開口およびマイクロカテーテルの遠位端部開口が、固定されたスカフォ−ドの長手方向中心軸上に位置決めされ、配置され、および/またはセンタリングされるので、障害および/またはCTOの中心への信頼性の高いアクセスが実現する。様々な組合せのスカフォ−ド、内側シャフト、およびマイクロカテーテルが、高い信頼性でシステムをセンタリングして、ガイドワイヤをセンタリングして位置決めし、障害および/またはCTOの中心を横断するようにシャフト、マイクロカテーテルおよびガイドワイヤを平行移動させるようにする。
【0080】
自己拡張可能なスカフォ−ド構造体145は、セルラ構成(cellular configuration)にすることができる。別の実施形態では、スカフォ−ド構造体は、格子として構成することもできる。本発明の原理に従えば、様々なパターンを使用することができる。自己拡張可能なスカフォ−ド構造体145は、非閉塞性にすることにより、血液が手続き中にスカフォ−ド構造体145を通って流れることができるように構成することができることが好ましい。血管系が、本明細書で説明するシステムによって閉塞することはない。別の構成では、スカフォ−ド構造体は、編組みワイヤで構成することができる。ニチノールおよび/またはステンレス鋼を、自己拡張可能なスカフォ−ド構造体145に組み込むこともできる。ニチノールは、形状記憶合金の例示である。他の形状記憶合金またはその他の同様の物質を使用することもできる。一般に、形状記憶合金は、そのサンプルを元の結晶構成から変形させた後、元の幾何学的形状をそれ自体で回復する。形状記憶合金のこの性質により、自己拡張可能なスカフォ−ド構造体145は、外側シャフト110から入れ子式に出た後で拡張することができる。ニチノールおよび/またはステンレス鋼の自己拡張可能なスカフォ−ド構造体145は、ステント状のメッシュを生じることができる。
【0081】
自己拡張型高分子が、自己拡張可能なスカフォ−ド構造体145の内部分を充填することができる。最初の構成では、自己拡張型高分子は、圧縮状態とすることができる。内側シャフトの動きによってスカフォ−ド構造体が摺動可能に拡張するにつれて、自己拡張型高分子も拡張することができる。自己拡張型高分子は、血管系内の水分または血液を吸収することによって、あるいはその他の拡張機構によって、拡張することができる。
【0082】
一実施形態では、スカフォ−ドは、圧縮されているときには長さが約20mmである。完全に拡張したときに、スカフォ−ドの長さは減少することができる。一実施形態では、スカフォ−ドは、約2.0mmから約5.0mm刻みで漸増的に拡張可能にすることができる。スカフォ−ドは、内側シャフト120およびマイクロカテーテル130を、それらが慢性完全閉塞に対してほぼセンタリングされるように位置決めすることができる。
【0083】
カテーテル装置は、1つまたは複数のガイドワイヤを更に含むことができる。内側シャフトまたは外側シャフト、あるいはその両方の内腔は、ガイドワイヤを収容するように構成することができる。1つまたは複数のガイドワイヤは、本明細書で説明するシステムを使用して慢性完全閉塞に通され得る。
【0084】
カテーテル装置は、1つまたは複数のガイドワイヤ(マイクロカテーテルの内腔を通過する1つまたは複数のガイドワイヤを含む)を適所に残して、血管系から引き出すことができる。スカフォ−ド構造体は、ガイドワイヤおよび/またはマイクロカテーテルを慢性完全閉塞に通すための適当な位置が見つかるまで、繰り返し位置決めし直すことができる。以下で更に論じるいくつかの実施形態によれば、外側シャフトを適所に残して、1つまたは複数のガイドワイヤ、マイクロカテーテル、およびスカフォ−ドを含む内側シャフトのうちの1つまたは複数を血管系から引き出すこともできる。従って、ガイドワイヤ、内側シャフトおよびスカフォ−ド、マイクロカテーテル、あるいはその他の器具またはカテーテルは、適所に残された外側シャフトを通して血管系に挿入することができる。このように、外側シャフトは、ガイドカテーテルとして使用することができる。
【0085】
標準的な市販のガイドワイヤも、またはカスタムのガイドワイヤも、使用することができる。例えば、従来のガイドワイヤに加えて、本発明の実施形態を、操縦可能な、親水性の、テフロン(登録商標)でコーティングされた、ヘパリンコーティングされた、ボール付け加工された、J字型先端部の、螺旋状先端部の、または角張ったワイヤなど(ただしこれらに限定されない)を含むガイドワイヤとともに使用することができる。
【0086】
本発明の実施形態は、無線周波数および/またはレーザによってマイクロカテーテルを介してエネルギーを送達することができる。更に、直接伝導熱エネルギー、赤外線、または特定の適用分野で有用であり得るその他のタイプのエネルギーなど、その他のタイプのエネルギーを送達することもできる。様々なタイプのマイクロカテーテル、および/またはマイクロカテーテルを介したエネルギーの送達により、様々なタイプの治療が可能になり得る。
【0087】
本発明のカテーテル装置の外径は、標準的なガイドカテーテルに通すことができるものとすることができる。本発明のカテーテル装置の外側表面は、親水性材料でコーティングして、ガイドカテーテルにより容易に通すことができるようにすることができる。代替の寸法にすれば、本発明のカテーテル装置は、末梢血管で使用することもできる。この状況では、デバイスを血管系に挿入するのに、ガイドカテーテルが不要であることもある。
【0088】
スカフォ−ド145を非拡張状態から拡張状態に変換することにより、内側シャフト、マイクロカテーテル、および1つまたは複数のオンガイドワイヤを閉塞の中心を通して前進させるためのかなり安定したプラットフォームが生じる。拡張状態のスカフォ−ドは、実質的に円筒形、または中空チューブとすることができる。特定の実施形態では、活動化したスカフォ−ド145は、その他の形態をとることもできる。
【0089】
図2Aおよび
図2Bに示す拡張状態を実現するためには、折り畳んだ状態のカテーテル装置を拡張させる。この折り畳まれた構成では、内側シャフト120の遠位端部側または遠位端部に取り付けられた自己拡張可能なスカフォ−ド構造体145は、外側シャフト110の内部で、外側シャフト110と内側シャフト120の間に位置決めされる。マイクロカテーテル130は、望ましい場合には内側シャフト120の内部に位置決めされ、予め組み込むことができる。ガイドワイヤは、望ましい場合にはマイクロカテーテルの内部に位置決めされ、予め組み込むことができる。折り畳まれたカテーテル装置は、外側シャフトを自己拡張型であるが未拡張状態の自己拡張可能なスカフォ−ド構造体145を制約する位置に置いた状態で、1つまたは複数のガイドワイヤの上を前進させることができる。外側シャフト110は、自己拡張可能なスカフォ−ド構造体145を覆うことができる。未拡張状態のスカフォ−ド構造体が適切に位置決めされると、外側シャフトを後退させることができる。外側シャフト110が後退するにつれて、未拡張状態の自己拡張可能なスカフォ−ド構造体145が、実質的に円筒形または中空チューブの形状に拡張し、膨らむことができる。この拡張プロセス中に、未拡張状態のスカフォ−ド構造体は、自己拡張して、血管系の直径にほぼ近い大きな直径になることができる。マイクロカテーテル130は、内側シャフト120とともに、または別個に、出し入れされ得る。
【0090】
外側シャフト110は、停止点まで後退させることができる。停止点は、外側シャフト110の過度の後退を防止することができる。外側シャフト110の位置を停止点に維持することにより、自己拡張可能なスカフォ−ド構造体145を再度シースの中に引込めるする(即ち、折り畳む)ことを容易にすることができる。
【0091】
本発明の原理に従ったカテーテル装置およびシステムは、スカフォ−ドの固定、1つまたは複数のシャフトおよび/もしくはマイクロカテーテルのスカフォ−ド位置決め、外側シャフト、内側シャフト、およびマイクロカテーテルの個々に独立した出し入れ、ならびにスカフォ−ド、1つまたは複数のシャフト、およびマイクロカテーテルの間の様々な剛性/軟度の関係により、動脈壁までの穏やかな拡張/血管系との穏やかな係合を可能にする。特に、自己拡張可能なスカフォ−ドが拡張するにつれて、自己拡張可能なスカフォ−ドは、血管の壁面を押圧して、内側シャフトを閉塞に対してほぼセンタリングする。内側シャフトの遠位開口は、血管系内のCTOの中心に位置決めされることが好ましい。マイクロカテーテルの遠位開口は、血管系内のCTOの中心に位置決めされることが好ましい。スカフォ−ドはデバイスを適所に保持するが、1つまたは複数のカテーテル、好ましくはマイクロカテーテル、および/またはガイドワイヤは平行移動することができる。スカフォ−ドは、マイクロカテーテルおよびガイドワイヤがCTOの中心でCTOと接触するように、CTOに非常に近接して固定されることが好ましい。更に、本発明のデバイスは、自己拡張可能なスカフォ−ド構造体が好ましくは非閉塞性で、血液がスカフォ−ドを通って流れることができるようにしている点でも独特である。
【0092】
従って、本発明の別の実施形態は、本発明のカテーテル装置を折り畳んだ状態で提供し、折り畳んだ状態のカテーテル装置を閉塞位置に近接して位置決めし、折り畳んだ状態のカテーテル装置を拡張させてデバイスが閉塞内で拡張するようにし、内側シャフトおよび/またはマイクロカテーテルを伸縮させ、ガイドワイヤを閉塞を通して前進させることによって、例えば血管系の慢性完全閉塞など、血管系を治療する方法である。特に、本発明のデバイスは、スカフォ−ド構造体を折り畳むことによって使用に備えて準備される。自己拡張可能なスカフォ−ド構造体は、親指レバーを作動させてスカフォ−ドを後退させることによって外側シャフトをその上で摺動させることによって、折り畳むことができる。いくつかの実施形態では、スカフォ−ド構造体は、外側シャフトの近位端部を内側シャフトの近位端部に対して移動させることによって外側シャフトをその上で摺動させることにより、折り畳むことができる。デバイスの先端部は、目標位置まで送達される。その後、外側シャフトを後退させて、自己拡張可能なスカフォ−ド構造体が血管の直径まで自然に拡張できるようにする。自己拡張可能なスカフォ−ドが拡張したら、内側シャフトを自己拡張可能なスカフォ−ド内部でセンタリングし、従って、内側シャフトを血管内でセンタリングする。これにより、CTO、障害、および/または繊維性被膜に対する信頼性の高い中心位置決めを行うことが可能になり、これにより、障害を横断および/または通過するマイクロカテーテルおよびガイドワイヤの最適なアクセス、制御、位置合わせ、および信頼性がもたらされる。
【0093】
一般に、ガイドワイヤが慢性完全閉塞を横断した後で、カテーテル装置は、シース中に戻されて、血管系から取り外すことができる。ガイドワイヤおよび/またはマイクロカテーテルは、適所に残すこともできる。いくつかの実施形態では、ガイドワイヤ、マイクロカテーテル、および内側シャフトのうちの1つまたは複数を取り外した後で、外側シャフトを適所に残すことができる。
【0094】
ガイドワイヤを中心に高い信頼性で位置決めすることにより、慢性完全閉塞の繊維性被膜と係合したときのガイドワイヤの力を最適化することができる。カテーテル装置、1つもしくは複数のシャフト、および/またはマイクロカテーテル、ならびに/あるいはそれらの組合せの質量、剛性、硬度、軟度、強度、および/または構造は、マイクロカテーテルおよび/またはガイドワイヤに対する追加の支持をもたらすことができ、血管内でのマイクロカテーテルおよび/またはガイドワイヤの軸外れ変位即ち、側方変位を防止する。マイクロカテーテルおよび/またはガイドワイヤを同心に配置することにより、解剖学的構造および/または解剖学的構造の捻れにもかかわらず、高い信頼性で繊維性被膜の中心にアクセスすることが可能になる可能性がある。
図3は、拡張状態にある、本発明の別の実施形態によるカテーテル装置の遠位部構成を示す図である。このデバイスの遠位部構成は、外側シャフト180、内側シャフト184、自己拡張可能なスカフォ−ド186、スリーブ188、マイクロカテーテル190、およびガイドワイヤ192を含む。外側シャフトは、内腔、遠位開口、および遠位端部上の先端部182を有する。内側シャフト184も、内腔、遠位開口、および遠位端部を有する。マイクロカテーテル190も、遠位開口および内腔を有する。
図3に示すように、このデバイスは可撓性であり、デバイスを動脈の屈曲部を通って移動することができる。
【0095】
外側シャフト180は、内側シャフト184が外側シャフトの内腔を通過することができるように構成されている。内側シャフト184は、マイクロカテーテル190が内側シャフトの内腔を通過することができるように構成されている。マイクロカテーテル190は、ガイドワイヤ192が内側シャフトの内腔を通過することができるように構成されている。一実施形態では、このデバイスは1つのガイドワイヤを含むが、複数のガイドワイヤを、連続的に、または同時に使用することもできる。
【0096】
外側シャフト180の遠位端部は、遠位先端部182を有する。遠位先端部182は、斜め端部および/または屈曲部を有する構成にすることができる。例えば、外側シャフト180は、外側シャフト180の内腔の両側から延びる2本の平行な長手方向軸を有することができる。一方の長手方向軸は、遠位先端部182を通過し、他方の長手方向軸は、外側シャフト180の反対側の端部を通過する。外側シャフト180の遠位端部は、上記の一方の長手方向軸に向かって先細にすることができる。
【0097】
自己拡張可能なスカフォ−ド186は、内側シャフトの近位端部194に取り付けられている。この取付け部は、固定され、実質的に移動不能または摺動不能であることが好ましい。
【0098】
内側シャフト184は、内側シャフト184の遠位端部側に取り付けられたスリーブ188を有することができる。スリーブ188は、スカフォ−ド構造体186をシャフト184にしっかりと取り付けることなく、スカフォ−ド構造体186の遠位端部を覆うように配置される。スリーブ188は、内側シャフト184に対して相対的に摺動可能であることが好ましい。自己拡張可能なスカフォ−ド構造体186が拡張して、スリーブ188を押圧して、スリーブ188を適所に保持するようになっていることが好ましい。
【0099】
様々なマイクロカテーテルを、本発明のデバイスとともに使用することができる。
図4は、本発明のデバイスとともに使用することができるマイクロカテーテル130の遠位端部を示す図である。具体的には、マイクロカテーテル130は、任意選択の位置検出マーカ165を備えているものとして示してある。特定の実施形態では、マイクロカテーテルは、単一の内腔を有することができる。例えば、
図4に示すように、ガイドワイヤ132は、マイクロカテーテル130の単一の内腔を通過することができる。特定の実施形態では、内腔は、直径を約0.017インチ(0.017×2.54センチ)とすることができる。マイクロカテーテル130は、ステンレス鋼の編組み構造を有することができる。マイクロカテーテル130は、親水性コーティングを有することもできる。特定の実施形態では、マイクロカテーテル130は、超低プロフィルを有することができる。マイクロカテーテル130は、非常に可撓性および/または(例えば放射線不透過性マーカバンドを使用することによって)追跡可能であることが好ましい。マイクロカテーテル130は非常に可撓性にすることができるが、特定の実施形態では、マイクロカテーテルは、ガイドワイヤよりは剛性である。従って、マイクロカテーテル130は、ガイドワイヤに追加の支持をもたらすことができる。マイクロカテーテル130の先端部は、先細にすることができる。一実施形態では、マイクロカテーテル130は、軟らかい先細の先端部を有することができる。軟らかい先細の先端部を有するマイクロカテーテルは、環状血管系に使用することができる。別の実施形態では、マイクロカテーテル130は、より硬い先細の先端部を有することができる。より硬い先細の先端部を有するマイクロカテーテルは、抹消血管系(例えば膝下)での用途に使用することができる。一実施形態では、マイクロカテーテル130は、2.7F(約2.7×1/3mm)の本体および1.7F(約1.7×1/3mm)の先端部を有することができる。マイクロカテーテル130の長さは、約150cmとすることができ、あるいは約160cmとすることができる。
【0100】
図5は、本発明の原理に従った拡張状態のスカフォ−ドの一具体例を示す展開図である。具体的には、
図5は、複数のセルおよび複数のコネクタを含むスカフォ−ド構造体を示している。コネクタは、内向きに突出している。
図5は2つのループ(例えば1対のループ)を含むデュアルループの実施形態を示しているが、ループの数は様々であってよい。
【0101】
図5は、自己拡張可能なスカフォ−ド構造体145と同様に利用される自己拡張可能なスカフォ−ド構造体341の構成の一具体例を示している(例えば
図8Aから
図9D、および関連する説明も参照されたい)。拡張可能スカフォ−ド構造体は、長手中心軸を有し、非閉塞性にすることができる。自己拡張可能なスカフォ−ド構造体341は、(巻いた構成であるときには)実質的に円筒形であるが、図では平坦な状態で示してあり、近位端部365および遠位端部367を有している。図示の1対のコネクタなど、コネクタ360は、ループの形態にすることができる。これらコネクタ360は、一方が近位端部365に、他方が遠位に近いセル内に、対になって位置している。コネクタ360は、ループ342およびループ支持体344を含む。ループ342は、ストラット交差部347に位置することができる。ループ支持体344は、ループ342をストラット交差部347に結合することができる。ループ支持体344は、先細にして、装置にかかる応力を低減させることができる。ループ支持体344は、可撓性にすることもできる。スカフォ−ドは、ストラット346、連結ストラット交差部347およびコネクタ348を更に含む。ストラット346は、ループが存在する場合には、連結ストラット交差部347またはストラット交差部345の所で、コネクタ348に接続することができる。2つのストラット交差部、即ち、山部および谷部347、345、あるいは1つのストラット交差部345および1つのストラット交差部345のいずれかを介して2つのストラット346と2つのコネクタ348とが接続されて、閉じたセル352または閉じたセル350を形成する。閉じたセル350は、ループを含むが、閉じたセル352はループを含まない。閉じたセル350および352が、スカフォ−ドを形成している。セルの数は、様々にすることができる。一実施形態では、スカフォ−ドは、閉じたセル350を2つ含み、残りの閉じたセルは閉じたセル352である。
【0102】
円筒形状で内側シャフトに取り付けられているときには、ループ342は、スカフォ−ドの円筒面から内向きに突出して、内側シャフトが自己拡張可能なスカフォ−ド構造体341のほぼ中心に位置決めされるようにすることができる。一実施形態では、ループ342は、スカフォ−ドの円筒面から内向きに突出し、内側シャフトは、内側シャフトを自己拡張可能なスカフォ−ド構造体341の中心に位置決めすることができるように、これらのループを通過する。ループ342は、内側シャフトを、デバイスの長手方向軸に沿ってセンタリングする。内側シャフトは、使用時には、慢性完全閉塞の中心にも位置決めされる。ループは、内側シャフトを自己拡張可能なスカフォ−ド構造体の中心に位置決めするために、円形、楕円形、長円形、または閉じた形状などを含む(ただしこれらに限定されない)任意のその他の形状にすることができる。代替の数および構成も可能である。
【0103】
図5に示す自己拡張可能なスカフォ−ド構造体341は、ニチノールまたは別の形状記憶材料で作製することができる。ループコネクタ348も、ニチノールまたは別の形状記憶材料で作製することができる。
【0104】
図5に示す自己拡張可能なスカフォ−ド構造体の実施形態を参照すると、外側シャフトを自己拡張可能なスカフォ−ド構造体の周りから引き出したときに、自己拡張可能なスカフォ−ド構造体が拡張状態に拡張することができる。外側シャフトは、拡張可能支持構造から部分的に引き出すこともできるし、あるいは完全に引き出すこともできる。内側シャフトは、ループ342を通過するので、自己拡張可能なスカフォ−ド構造体の拡張中に、スキャフォールディングが拡張するにつれて、ループ支持体がスカフォ−ドを内側シャフトの周りに配置されたループ(ループ342)に接続して、コネクタ360を自己拡張可能なスカフォ−ド構造体の円筒面から内向きに突出/移動/延長させて、内側シャフトを自己拡張可能なスカフォ−ド構造体内でほぼセンタリングされた位置に保持させる。従って、内側シャフトは、自己拡張可能なスカフォ−ド構造体の拡張および圧縮中に、スカフォ−ド内でほぼセンタリングされた状態で配置し、および/または留めることができる。手続きが完了すると、自己拡張可能なスカフォ−ド構造体を圧縮して、血管系から引き出すことができる。外側シャフトは、自己拡張可能なスカフォ−ド構造体の上で遠位方向に摺動させることができる。カテーテル装置は、カテーテル装置の引き出しを容易にするために、いかなる部分も圧縮状態の圧縮された自己拡張可能なスカフォ−ド構造体の円筒面の外部に延びていないことが好ましい。
【0105】
図6は、自己拡張可能なスカフォ−ド構造体145と同様に使用される自己拡張可能なスカフォ−ド構造体349の別の実施形態を示す図である。構造349は、近位端部390および遠位端部392を備えて示してある。自己拡張可能なスカフォ−ド構造体349は、実質的に円筒形である。このスカフォ−ドは、構造の遠位端部にループ構造を有するセルで構成される。特に、このスカフォ−ドはストラット交差部355でストラットコネクタ353に接続することができるストラット351を含む。ストラット351は、ストラットコネクタ353に接続されると、閉じたセル361および363を形成する。これらのセルは、一実施形態では、ほぼハニカム構造にすることができる。閉じたセル361および363が、スカフォ−ドを形成する。スカフォ−ド内のセルの数は、様々にすることができる。ストラットコネクタ353の寸法も、様々にすることができる。一実施形態では、ストラットコネクタの寸法は、自己拡張可能なスカフォ−ド構造体が拡張された状態であるか、折り畳まれた状態であるかに応じて変動する。自己拡張可能なスカフォ−ド構造体349の遠位端部392において、取付け部分398は、ストラット交差部355でストラット351に接続することができる遠位コネクタ357を含む。遠位コネクタ357は、交差部394を介して遠位ループ359に接続することができる。遠位コネクタ357は、分枝遠位端部399を有することができる。遠位コネクタ357、遠位ループ359、および交差部394は、内側シャフト上に圧着されたときに括約筋効果を生じることができる構造を形成することができる。この括約筋効果により、内側シャフトに沿った摺動を依然として可能にしながら、自己拡張可能なスカフォ−ドを、内側シャフト上の取付け点(例えばスリーブなど)に適所に保持することができる。これは、部分398を反転させることによっても実現することができる(例えば
図11B参照)。一実施形態では、スカフォ−ド構造体は、近位端部にも、このような構造および/またはループネットワークを含むことができる。
【0106】
遠位コネクタ357は、遠位端部に2つの分枝を有することができる。従って、各遠位コネクタは、2つの交差部394で遠位ループ359に接続することができる。遠位端部は、遠位コネクタ357が内向きに内側シャフトの方を指すように構成されることが好ましい。従って、遠位ループも、内側を向き、それにより括約筋効果を生じる。この括約筋効果は、内側シャフトに対して自己拡張可能なスカフォ−ド構造体を位置決めするのを助ける。代替の数および構成も可能である。例えば括約筋効果など、スカフォ−ドの固有の性質により、内側シャフトは、自己拡張可能なスカフォ−ド構造体の中心にほぼ位置決めされた状態で留まる。更に、内側シャフトは、慢性完全閉塞にほぼセンタリングされた状態で留まる。
【0107】
図6に示す自己拡張可能なスカフォ−ド構造体の実施形態を参照すると、外側シャフトを自己拡張可能なスカフォ−ド構造体の周りで引き出したときに、自己拡張可能なスカフォ−ド構造体は、拡張状態に拡張することができる。外側シャフトは、拡張可能支持構造から部分的に引き出すこともできるし、あるいは完全に引き出すこともできる。自己拡張可能なスカフォ−ド構造体の拡張中に、スカフォ−ドの遠位端部392の取付け部分および/またはループネットワークは、括約筋効果を生じることができる。内側シャフトは、自己拡張可能なスカフォ−ド構造体の拡張および圧縮中に、ほぼセンタリングされた状態で留まることができる。また、拡張中に、セル361および/または363に対するコネクタ353の角度が変化することができる。同様に、拡張中には、遠位ループ359に対する遠位コネクタ357の角度も変化することができる。手続きが完了すると、自己拡張可能なスカフォ−ド構造体を圧縮して、血管系から引き出すことができる。外側シャフトは、自己拡張可能なスカフォ−ド構造体の上で遠位方向に摺動させることができる。カテーテル装置は、カテーテル装置の引き出しを容易にするために、いかなる部分も圧縮状態の圧縮された自己拡張可能なスカフォ−ド構造体の円筒面の外部に延びていないことが好ましい。
【0108】
図6に示す自己拡張可能なスカフォ−ド構造体349は、ニチノールまたは別の形状記憶材料で作製することができる。ストラットコネクタ353および遠位コネクタ357も、ニチノールまたは別の形状記憶材料で作製することができる。
【0109】
図7は、本発明の自己拡張可能なスカフォ−ド構造体の別の実施形態を示す図である。
図7は、内側シャフト400上に位置決めされた自己拡張可能なスカフォ−ド構造体405を示す拡大図である。スカフォ−ド構造体405および内側シャフト400は、上述のカテーテル装置(例えば外側シャフト、内側シャフト、自己拡張スカフォ−ド、およびマイクロカテーテルを含むカテーテル装置)の一部である。このスカフォ−ド構造体は、近位端部410および遠位端部415を含む。スカフォ−ド構造体405は、好ましくはしっかりと取り付けられた近位端部410を介して内側シャフト400に取り付けることができる。スカフォ−ド構造体405は、スカフォ−ド構造体がシャフトに沿って摺動可能となるように、遠位端部415において、単独で、またはスリーブ(図示せず)とともに適所に保持することができる。自己拡張可能なスカフォ−ド構造体405は、セルラ形状である(例えばハニカムなど)。スカフォ−ドの近位端部410および遠位端部415は、スカフォ−ドの本体が拡張する間、シャフト上に圧着されたままである。
【0110】
図8Aは、本発明の一実施形態によるカテーテル装置の内側シャフト上に位置決めされた拡張状態の自己拡張型スカフォ−ドを示す斜視図である。
図8Aを参照すると、スカフォ−ド450は、拡張したほぼ円筒形の形状で示してある。スカフォ−ド450は、内部空間を画定する壁面を含む。拡張状態の自己拡張可能なスカフォ−ド450は、ほぼ円筒形のスカフォ−ド450の中心を通過する内側シャフト455を備えて示してある。コネクタ460は、ループ460Aおよびループコネクタ460Bを含む。ループコネクタ460Bは、ループ460Aをスカフォ−ド450に接続する。内側シャフト455は、ループ460Aを通る。コネクタ460は、スカフォ−ド450の円筒面から内向きに突出する。具体的には、ループコネクタ460Bは、ループコネクタ460Bが内向きに突出する角度が変化する(例えば、スカフォ−ドが非拡張/圧着状態から拡張するときに増加する)ように、可撓性である。拡張状態の自己拡張可能なスカフォ−ド450は、1つのコネクタ460がスカフォ−ドの遠位端部側にあり、1つのコネクタ460がスカフォ−ドの近位端部側にあるものとして示してある。コネクタ460は、スカフォ−ド450の遠位端部および/または近位端部に配置する、または取り付けることができる。この拡張可能スカフォ−ドは、好ましくはループの形態の2つ以上のコネクタを有することができる。一実施形態では、この拡張可能スカフォ−ドは、好ましくはループの形態の2つのコネクタを有する。各コネクタ460は、内側シャフト450が通過することができるループ460Aと、スカフォ−ド450に取り付けられたコネクタ460Bとを有する。コネクタ460は、内向きのループが内側シャフト455をスカフォ−ド450の中心をおおよそ通過する長手方向軸(
図8Aに示す)に沿って位置決めするように構成される。コネクタ460のループは、スカフォ−ド450が拡張状態であるときには、スカフォ−ドの中心を概ね通る長手方向軸Lに沿って整列する。スカフォ−ド450、内側シャフト455、およびループ460Aは、全てが共通の長手方向軸を共有し、および/または同心軸を有する。内側シャフト455がこれらのループを通過するにつれて、内側シャフト455は、この軸に沿って位置決めされ、それによりスカフォ−ド内でほぼセンタリングされる。コネクタ460の長さが、スカフォ−ドによって得られる最大拡張を規定することもある。具体的には、円形またはループを有するコネクタに関して、少なくとも2つのコネクタを有するスカフォ−ドによって得られる最大拡張は2つのコネクタの長さおよびループの直径である。コネクタが内向きに突出する角度は、様々にすることができる。一実施形態では、各コネクタは、同じ角度で内向きに突出することができる。図示のように、ループ460Aは、長手方向軸Lに対して実質的に直交する平面を画定する。
【0111】
図8Bは、本発明の原理に従ったスカフォ−ドのループを示す斜視図である。具体的には、
図8Bは、ループ460Aおよびループコネクタ460Bを有する1つのコネクタ460(
図8Aを参照して上述したスカフォ−ドで使用することができる)を示している。ループ460Aは、カテーテルの上を通るように構成される。ループ460Aのサイズおよび構成は、用途に応じて様々にすることができる。一実施形態では、ループ460Aは、ほぼ円形にすることができる。ループコネクタ460Bは、ループ460Aをスカフォ−ドに接続する。ループコネクタ460Bは、先細にして、スカフォ−ドにかかる応力を低減することができる。ループコネクタ460Bは、一端がスカフォ−ドに取り付けられ、他端がループによってシャフトに取り付けられるので、スカフォ−ドが拡張するにつれて移動し、復元し、撓み、および/または屈曲するように構成される。これは、例えば、ループコネクタ460Bをニチノールなどの形状記憶合金で構築することによって実現することができる。具体的には、ループコネクタ460Bは、スカフォ−ドが完全に拡張したときにスカフォ−ドの内側表面から内向きに突出するように構成することができる。
【0112】
図9Aは、本発明の一実施形態によるカテーテル装置465の遠位端部を示す図である。
図9Aは、外側シャフト(シース)467が部分的に後退した位置にあるカテーテル装置の遠位端部を示している。カテーテル装置465は、本明細書に開示するカテーテル装置の任意の特徴を有することができる。特に、カテーテル装置465は、近位端部および遠位端部を有する拡張可能スカフォ−ド471を含む。スカフォ−ド471は、内側シャフト469の遠位端部に配置される。スカフォ−ド471の近位端部は、469に固定される。
図9Aの拡張構成に示すように遠位端部は469に取り付けられない。拡張可能スカフォ−ド471は、セル470のセルラ構成を含むことができる。各セル470は、おおよそ六角形であり、六角形の2つの対抗する辺に拡張可能なS字型(ジグザグ)コネクタ472を有する。一実施形態では、これらのS字型(ジグザグ)コネクタは、遠位端部から近位端部にスカフォ−ドの中心を通って延びる軸にほぼ平行である。スカフォ−ドは、内向きに突出するループなど、本明細書に記載するタイプを含むコネクタ474も含む。ループは、内側シャフト469がそれらを通ることができるように構成される。コネクタを含めて、ループおよびセルの数および構成は、様々にすることができる。コネクタ474は、スカフォ−ド471内でシャフト469をセンタリングする。本発明の他の実施形態と同様に、外側シャフト467は、内側シャフトに対して相対的に移動可能である。任意選択の外側シャフト先端部477は、拡張可能スカフォ−ド471の上を通るように構成される。カテーテル装置は、内側シャフト469の内腔を通過するマイクロカテーテル473を更に含む。マイクロカテーテル473は、ガイドワイヤ475が通過することができる内腔を有する。本発明の他の実施形態と同様に、内側シャフト469、マイクロカテーテル473、およびガイドワイヤ475は、互いに独立して両方向に伸縮することができる。図示のように、マイクロカテーテルを高い信頼性でセンタリングするために、スカフォ−ド471と内側シャフト469とは、共通の長手方向軸Lを共有し、同心である。
【0113】
図9Bは、カテーテル装置465がCTOの近傍に位置決めされているがCTOを横断することはできないガイドワイヤ475をたどってCTOに接近する、
図9Aに示すカテーテル装置465を使用する方法の工程の実施形態を示す図である。
図9Bでは、カテーテル装置465は、閉塞481を有する血管系479に6工程で挿入されるものとして示してある。
図9Bは、血管系479および慢性完全閉塞481をカテーテル装置465とともに示す破断図である。
図9Bの工程1および工程2は、外側シャフトまたはシース467が拡張可能スカフォ−ド471を覆って、拡張可能スカフォ−ド471を非拡張位置に保持している様子を示している。内側シャフト469は、ループ460Aを縫うように通されている。カテーテル装置465の動作の第1の工程は、カテーテル装置465を閉塞481の付近で血管系479に挿入することである。工程1に示すように、カテーテル装置465を、スカフォ−ド471を後退または圧縮位置にした状態で前進させる。後退位置では、スカフォ−ド471は、外側シャフト467および外側シャフト先端部477によって覆われている。ガイドワイヤ475は、システムがたどれるように、工程1に示すように、既に前進させて、閉塞481と接触させてある。カテーテル装置465は、工程1に示すように、ガイドワイヤ475の上をCTO481に向かって前進させられ、カテーテル装置は、CTOに接近していく。カテーテル装置がCTOと係合または接触する、あるいはCTOに非常に近接すると、工程2に示すように、外側シャフト先端部477は、閉塞481に非常に近接しており、特に、CTOの前端部に接触する。拡張可能スカフォ−ド471は、依然として圧縮または非拡張位置にある。次いで、外側シャフト467を後退させる、または引き抜いて、拡張可能スカフォ−ド471が拡張状態になるようにする(工程3に示すように)。拡張可能スカフォ−ド471は、内側シャフト469がその中に位置決めされるループを有し、マイクロカテーテル473は、内側シャフトの中に位置決めされている。拡張すると、スカフォ−ド内で全てがセンタリングされる(工程3に示すように)。従って、マイクロカテーテル473は、血管系479内で実質的にセンタリングされている。工程1は、ガイドワイヤ475が延びているがCTO/障害を横断するのに十分な支持はない状態で、血管系479内に前進させた状態のカテーテル装置465を示している。工程2は、外側シャフト先端部がCTOの(前)端部に押圧されるようにガイドワイヤ475をたどって前進させた状態のカテーテル装置465を示している。
図9Bの工程4および工程5は、ガイドワイヤ475を閉塞481と接触させ、閉塞481の中に更に前進させる様子を示している。あるいは、マイクロカテーテル473も、閉塞481と接触させて、閉塞481の中に前進させることができる。工程6は、マイクロカテーテル473およびガイドワイヤ475を閉塞481の中に前進させた状態のカテーテル装置465を示している。マイクロカテーテル473は、CTOの中を通過するときに、ガイドワイヤ475を付加的に支持する。ガイドワイヤおよびマイクロカテーテルは、交互に前後に動かすことができる。
【0114】
図9Cは、外側シャフト(シース)467が部分的に後退した位置にある、
図9Aに示すカテーテル装置465の遠位端部を示す拡大図である。
図9Aを参照して上で論じたように、カテーテル装置465は、外側シャフト467上に配置された近位端部を有する拡張可能スカフォ−ド471を含み、内側シャフト469は、スカフォ−ド471を通っている。拡張可能スカフォ−ド471は、内側シャフト455が通過する中心長手方向軸Lを有するように構成することができる。拡張可能スカフォ−ド471は、セル470を含む。各セルは、おおよそ六角形であり、六角形の2つの対抗する辺に拡張可能なS字型(ジグザグ)コネクタ472を有する。このスカフォ−ドは、その中に内側シャフト455を通すように構成された、内向きに突出するループ460Aも含む。ループ460Aは、拡張可能スカフォ−ド471の中心長手方向軸Lに沿って位置決めされるように、内向きに突出することができる。先細にすることができる任意選択の外側シャフト先端部477も示してある。特定の実施形態では、外側シャフト先端部477を使用して、拡張可能スカフォ−ド471の位置を維持することができる。外側シャフト先端部477の先細形状は、外側シャフト467がスカフォ−ド471の上を通ることができるようにするのを助けることができ、カテーテルを血管系の更に内部の分枝へナビゲートするのに有利であり得ることもある。
【0115】
図9Dは、
図9Aおよび
図9Bに示すカテーテル装置465の遠位端部を示す遠位端部図である。具体的には、
図9Bに示すように、内側シャフト469は、内向き突出ループ474を介して拡張可能スカフォ−ド471の中心長手方向軸に沿って位置決めされた状態で示してある。この構成により、デバイスを血管系内でセンタリングすることが可能になり、動作時には、より特にマイクロカテーテルをセンタリングすることができる。従って、
図9Bに示すガイドワイヤは、CTOの中心を通ることができる。マイクロカテーテル473は、内側シャフト469を通るものとして示してある。ガイドワイヤ475(図示せず)は、マイクロカテーテル473を通ることができる。
【0116】
図10Aから
図10Cは、本発明のカテーテル装置で有用なスカフォ−ドの代替の実施形態を示す図である。例示のみを目的として、スカフォ−ドは、内側シャフト上に示してある。本発明のカテーテル装置で使用するときには、この装置は、内側シャフト、外側シャフト、スカフォ−ド、および本明細書に記載するその他の特徴を含むことができる。本実施形態では、スカフォ−ドは、自由端部を有する外向きに延びる延長部分を備えない構成である。図示のように、これらの延長部分は、スカフォ−ドが拡張したときに内側シャフトから放射状に延びる花の中心および花びら(即ち、スカフォ−ドのアーム)を内側シャフトが通るような花の形状を形成するものとして説明することもできる。更に具体的には、この「花」型スカフォ−ドは、中心バンドと、一端が中心バンドに取り付けられ、他端が可撓性であるアームとを含む。中心バンドは、内側シャフトに配置される。アームは、中心バンドから所定の直径まで径方向外向きに延びる。この所定の直径は、アームを製造するために使用される材料の可撓性に基づくことがある。本実施形態のアームは、内側シャフト、マイクロカテーテル、および/またはガイドワイヤのセンタリングの助けになることもある。
【0117】
図10Aは、内側シャフト485Aの遠位端部側に配置された1つまたは複数の拡張可能スカフォ−ド487Aを有する内側シャフト485Aを示している。内側シャフト485Aは、マイクロカテーテルを通す内腔を有する。スカフォ−ド487Aは、拡張位置で示してある。この1つまたは複数のスカフォ−ド487Aのうちの1つは、内側シャフト485Aの遠位端部に取り付けることができる。本発明の特定の実施形態では、1つまたは2つのスカフォ−ド487Aを使用することができるが、スカフォ−ドの数および構成は、用途によって様々である。従って、特定の実施形態では、1つまたは複数、2つ以上、あるいは3つ以上のスカフォ−ド487Aを使用することができる。この1つまたは複数のスカフォ−ド487Aはそれぞれ、中心バンド489Aおよびアーム491Aを含む。アーム491Aは、遠位端部側に向かって丸めることもできる薄い材料ストリップとすることができる。各スカフォ−ドのアームの数は、用途に応じて様々にすることができる。例えば、スカフォ−ドは、3つ、4つ、6つ、または8つのアーム、あるいはその他の組合せを含むことができる。アームを増やせば、カバーする範囲が大きくなり、場合によってはより良好にセンタリングを行うことができる。スカフォ−ドのサイズおよび可撓性は、アームの数が増えるにつれて低下する可能性がある。アーム491Aは、中心バンド489A上に配置する、中心バンド489Aに取り付ける、または中心バンド489Aと一体化することができる。中心バンド489Aは、内側シャフト485A上に配置される。
【0118】
図10Bは、自己拡張可能なスカフォ−ド487Bを有する内側シャフト485Bを示す斜視図である。
図10と同様に、これらのスカフォ−ドは、拡張位置で示してある。スカフォ−ド487Bの各アーム491Bは、遠位端部側に開口493Bを有することができる。開口493Bは、おおよそ円形、長方形、または楕円形にすることができる。開口493Bの構成は、用途に応じて様々にすることができる。血管系内にあるときに、スカフォ−ド487Bが拡張すると、アーム491Bは血管系の表面に接触することができる。拡張時には、アームは、それらの遠位端部側で血管系と接触するように湾曲することができる。アーム491Bは、湾曲して、アームの遠位端部と血管系の表面との間の接触面積を最大にすることができる。例えば、アーム491Bの遠位端部は、スカフォ−ドが完全に拡張したときにアーム491Bの遠位端部が内側シャフト485Bとほぼ平行になるように湾曲することができる。アームの開口は、より大きな表面積を覆いながら可撓性を高めるのに役立つ。この表面積は、血管壁にかかるアームの力を拡散させるのに役立つので、重要である。各中心バンド489Bは、その周囲に開口495Bを有することができる。開口495Bは、おおよそ長方形にすることができるが、開口495Bの構成および数は、用途に応じて様々にすることができる。スカフォ−ドの中心バンドの開口は、スカフォ−ドと内側シャフトの接着の追加的な補強をもたらすことができる。中心バンドは、生体適合性接着剤によって内側シャフトに取り付けることができる。この接着剤は、中心バンドと内側シャフトの間の隙間を充填するように意図されている。この接着剤は、また、中心バンド上の開口も部分的に充填して、この接着のための追加的な機械的ロックを生じるようにも意図されている。
【0119】
図10Cは、「花」型スカフォ−ドの別の実施形態であるスカフォ−ド487Cを示す展開図である。
図10Cに示すように、中心バンド489Cの開口495Cは、楕円形にすることができる。開口の形状および数は、用途に応じて様々にすることができる。
図10Cを参照すると、スカフォ−ド487Cの各アーム491Cは、その端部に遠位開口493Cを有する。更に、各アームは、さらなる開口497Cを有することもできる。アームの開口は、より大きな表面積を覆いながら、アームの可撓性を高めるのに役立つことがある。この表面積は、血管壁にかかるアームの力を拡散させるのに役立つ。
図10Cに示すように、アーム491Cは、中心バンド489Cと一体形成することもできる。従って、スカフォ−ドは、箔など、単一の自己拡張可能材料のシートで作製することができる。代替の実施形態では、スカフォ−ドは、アーム491Cを中心バンド489Cに取り付けることによって組み立てることもできる。
【0120】
ニチノールおよび/またはステンレス鋼を、スカフォ−ド487A、487B、および487Cに組み込むことができる。ニチノールは、形状記憶合金の例示である。その他の形状記憶合金、またはその他の同様の物質を使用することもできる。
【0121】
図10A〜
図10Cに示すように構成されたスカフォ−ドは、特定の利点を有する。第1に、スカフォ−ドは、1つの連続的な部片ではなく2つ以上の部片であるので、より可撓性にすることができる。第2に、アームは、追加したり取り外したりすることができ、最適なセンタリングを実現する助けになるように最適に離間させることができる。更に、このスカフォ−ドの構成により、内側シャフトは、ほぼ自己拡張可能なスカフォ−ド構造体の中心に位置決めされた状態に留まる。更に、内側シャフトも、血管内の慢性完全閉塞でほぼセンタリングされた状態で留まる。更に、1つまたは2つのスカフォ−ドを使用する場合には、このカテーテル装置のスカフォ−ドは、小型にして、低プロフィルにすることができる。これにより、送達および使用を容易にすることができる。
【0122】
本発明の他のスカフォ−ドと同様に、「花」型スカフォ−ドは、自己拡張型の固定支持を提供し、非閉塞性にして、血液が側副血管および血管枝に流れることができるようにすることができる。スカフォ−ドは、広い動作レンジを有する(即ち、1つのサイズで全てに適合する)と最適である。スカフォ−ド構造体は、特に意図した用途に合わせて調整することもできる。この構造は、単独で、ならびに/あるいは他の構造および/または特徴と組み合わせて使用され、カテーテル装置を動脈内で位置決めし、1つまたは複数のマイクロカテーテルをスカフォ−ド/動脈の中央に実質的にセンタリングされた状態で位置決めすることができる。スカフォ−ドは、血管壁に対して非外傷性にすることにより、位置を維持するのに最小のフープ強度しか必要としないようにすることができる。スカフォ−ドは、引き抜きを容易にするように再度シースの中に戻されるように構成され、複数回利用することができる。
【0123】
図11Aから
図11Cは、異なる例示的な適当な自己拡張可能なスカフォ−ド構成を有する本発明の実施形態によるカテーテルシステムの遠位端部を示す図である。
図11Aは、本発明の一実施形態による開放端スカフォ−ドを有するカテーテル装置の遠位端部を示す図である。このスカフォ−ド構成は、
図9Aに示す構成と同様であり、内側シャフトが通過する内向きのループを有するスカフォ−ドを特徴とする。このスカフォ−ドの遠位端部は、内側シャフトに取り付けられる。
図11Bは、
図2A、
図2B、および
図7に示して上述したスカフォ−ドを有するカテーテル装置の遠位端部を示す図である。この「フットボール」型スカフォ−ドは、ほぼ円筒形の形状であり、端部が内側シャフトに向かって湾曲していることを特徴とする。このスカフォ−ドの遠位端部は、内側シャフトの遠位端部側に配置されるが、取り付けられてはいない。このスカフォ−ドの近位端部は、内側シャフトの遠位端部に取り付けられる。
図11Cは、本発明の原理に従った
図10Aから
図10Cに示すものと同様のスカフォ−ドを有するカテーテル装置の遠位端部を示す図である。
【0124】
特に、
図11Aは、内側シャフト503、マイクロカテーテル505、および拡張可能スカフォ−ド509を有するカテーテル装置501を示している。このカテーテル装置は、内側シャフト503および拡張可能スカフォ−ド509の上を摺動することができる後退可能なシースを更に有することができる。内側シャフト503は、1つまたは複数の内腔を有する。マイクロカテーテル505は、内側シャフトの1つまたは複数の内腔のうちの1つを通る。マイクロカテーテル505は、ガイドワイヤ507を通すように構成された内腔を有する。拡張可能スカフォ−ド509は、セルラ構成を有する。このスカフォ−ドは、内側シャフト503が通る1つまたは複数の内向きのコネクタ515を更に含む。内向きループは、スカフォ−ドの円筒面から内向きに突出する。一実施形態では、このスカフォ−ドは、2つの内向きループ515を有する。この実施形態では、内向きループ515のうちの1つは、スカフォ−ドの近位端部側に位置決めすることができ、もう1つは遠位端側に位置決めすることができる。スカフォ−ドは、スカフォ−ドが拡張したときに、内側シャフト503と、従って、マイクロカテーテル505およびガイドワイヤ507とが、内向きループによってスカフォ−ド内でセンタリングされるように構成される。具体的には、この構成は、内向きループが(スカフォ−ドが拡張したときに)整列してスカフォ−ドの中心、内側シャフト、およびマイクロカテーテルを通る共通の長手方向軸を生じ、および/または維持するので、実現可能である。内側シャフト503は、スカフォ−ドが拡張状態にあるときには、内向きループを通り、従って、このデバイスの長手方向軸に沿っている。これにより、内側シャフトは、スカフォ−ド内でセンタリングされる。使用時には、スカフォ−ドが慢性閉塞内でセンタリングされるので、拡張後は、その位置で、内側シャフト503が、従って、マイクロカテーテル505およびガイドワイヤ507も、慢性閉塞内でセンタリングされる。これらは、共通の長手方向軸を共有する。内向きコネクタ515は、本明細書に記載するループ支持体およびループ構成を介してスカフォ−ドに接続される。一実施形態では、コネクタは、スカフォ−ドが拡張状態にあるときには、おおよそ線形である。
【0125】
図11Bは、スカフォ−ド525が遠位端部側に配置された、内側シャフト519を有するカテーテル装置517を示す図である。マイクロカテーテル521は、内側シャフト519の内腔を通る。マイクロカテーテル521も、ガイドワイヤ523を通すように構成される。スカフォ−ド525は、遠位端部および近位端部を有する。スカフォ−ド525の近位端部は、内側シャフト519の遠位端部に配置される、または内側シャフト519の遠位端部側に取り付けられる。スカフォ−ド525の遠位端部は、内側シャフト519の遠位端部に配置される、または取り付けられ、好ましくは摺動可能に配置される、または取り付けられる。スカフォ−ド525の遠位端部は、例えばスカフォ−ド525の反転部分520によって、内側シャフト519に摺動可能に配置する、または取り付けることができる。拡張可能スカフォ−ド525は、セルラ構成を含む。マイクロカテーテルは、遠位端部側にマーカバンド533を有することができる。任意選択で、カテーテル装置517は、内側シャフト519および拡張可能スカフォ−ド525の上を摺動することができる後退可能シース531も有する。スカフォ−ドは、スカフォ−ドの拡張時に、内側シャフト519が、従って、マイクロカテーテル521およびガイドワイヤ523も、スカフォ−ド内でセンタリングされるように構成される。スカフォ−ドが使用時に慢性閉塞内でセンタリングされるので、内側シャフト519は、従って、マイクロカテーテル521およびガイドワイヤ523も、慢性閉塞内でセンタリングされる。
【0126】
図11Cは、内側シャフト539、1つまたは複数の拡張可能スカフォ−ド547、およびマイクロカテーテル541を有するカテーテル装置537を示す図である。内側シャフト539は、1つまたは複数の内腔を有する。マイクロカテーテル541は、内側シャフト539の内腔を通る。マイクロカテーテル541は、ガイドワイヤ543を通すように構成される。任意選択で、マイクロカテーテル541は、マーカバンド545を含む。1つまたは複数の拡張可能スカフォ−ドは、
図10Aから
図10Cに示す突出部、フィンガ、タブ、または部材を有するタイプのものである。一実施形態では、これらは、「花型スカフォ−ド」とすることができる。1つまたは複数の拡張可能スカフォ−ド547はそれぞれ、内側シャフト539上に配置された、または内側シャフト539に取り付けられた中心バンド549を有する。各中心バンド549には、スカフォ−ドが拡張したときに径方向外向きに延びるアーム551が取り付けられている。アーム551は、1つまたは複数の開口を有するワイヤループとすることができる。別の実施液体では、中心バンド549およびアーム551は、ニチノールなどの自己拡張型材料のシートで作製される。1つまたは複数のスカフォ−ドが閉塞内で拡張すると、内側シャフト539は(従って、マイクロカテーテル541およびガイドワイヤ543も)閉塞内でセンタリングされる。
【0127】
図12Aは、本発明の別の実施形態によるカテーテルシステムの近位端部を示す図である。内側シャフト469は、外側シャフトハブ567の開口を通して外側シャフト467内に配置することができる。マイクロカテーテル473は、内側シャフトハブ569を通して内側シャフト469内に配置することができる。マイクロカテーテルハブ571は、ガイドワイヤ(図示せず)を挿入することができる開口を含むことができる。外側シャフト467、内側シャフト469、およびマイクロカテーテル473はいずれも、それらのうちの他の要素とは独立して移動可能にすることができる。例えば、カテーテルの使用中に、カテーテルの操作者は、ハブ567、569、および571のうちの1つまたは複数を把持して、それらのハブのうちの1つまたは複数を別のハブに対して移動させることができる。これにより、外側シャフト467、内側シャフト469、またはマイクロカテーテル473が、それらのうちの他の要素に対して相対的な摺動をもたらす。外側シャフト467は、外側シャフトハブ567の付近の、または外側シャフトハブ567と一体化した、ポート568も含むことができる。ポート568の内腔は、外側カテーテルの長手方向内腔と流体連通することができる。
【0128】
図12Bは、実施形態によるカテーテルシステムの遠位端部を示す図である。具体的には、
図12Bは、カテーテル装置の近位端部が
図12Aに示す位置にあるときの、外側シャフト467と内側シャフト469の相対位置を示している。例えば、外側シャフトハブ567と内側シャフトハブ569とが
図12Aに示すように離間しているときには、内側シャフト469の遠位端部は、外側シャフト467の遠位端部内に配置される。このようにして、スカフォ−ド473(
図12Bには図示していない)は、外側シャフト467内に非拡張状態で収容することができる。
【0129】
図12Cは、外側シャフトハブ567と内側シャフトハブ569とが互いに対して相対的に移動した後のカテーテルの近位端部を示す図である。例えば、外側シャフトハブ567は、
図12Cに矢印Aで示すように、近位方向に(即ち、カテーテルの遠位端部から離れるように)移動させることができる。ただし、内側カテーテルハブ569は、外側シャフトハブ567を適所に保持しながら、遠位方向に(即ち、矢印Aと反対方向に)移動させることも可能である。図示していないが、マイクロカテーテルハブ571は、同様にして外側シャフトハブ567および内側シャフトハブ569に対して相対的に移動させることができる。
【0130】
図12Dは、近位端部が
図12Cに示すように配列されているときのカテーテルの遠位端部を示す図である。
図12Dに示すように、外側シャフトハブ567と内側シャフトハブ569との間の距離を短縮することにより(
図12C参照)、内側シャフト469の遠位端部およびスカフォ−ド473が、外側シャフト467の遠位端部から露出しており、従って、スカフォ−ド473は拡張状態に拡張している。
【0131】
図13A〜
図13Bを参照して、例えば
図12Aに示すカテーテル装置を使用する方法について説明する。図示のカテーテル装置の実施形態では図示されているが、本明細書に記載し、本明細書に組み込むその他のカテーテルの実施形態およびそれらの様々な組合せも、本明細書に記載する方法で使用することができる。
【0132】
図13A〜
図13Bは、
図13Aに示すカテーテル装置465を使用する方法の工程の実施形態を示す図である。カテーテル装置465は、CTOの近傍に位置決めされているがCTOを横断することはできないガイドワイヤ475をたどってCTOに接近する。
図13Aでは、カテーテル装置465は、閉塞481を有する血管系479に6工程で挿入されるものとして示してある。
図13Aは、血管系479および慢性完全閉塞481をカテーテル装置465とともに示す破断図である。
図13Aの工程1および工程2は、外側シャフトまたはシース467が拡張可能スカフォ−ド471を覆って、拡張可能スカフォ−ド471を非拡張位置に保持している様子を示している。内側シャフト469は、ループ460Aを縫うように通されている。カテーテル装置465の動作の第1の工程は、カテーテル装置465を閉塞481の付近で血管系479に挿入することである。工程1に示すように、カテーテル装置465は、スカフォ−ド471を後退または圧縮位置にした状態で前進させることができる。後退位置では、スカフォ−ド471は、外側シャフト467および外側シャフト先端部477によって覆われている。ガイドワイヤ475は、システムがたどれるように、工程1に示すように、既に前進させて、閉塞481と接触させてある。カテーテル装置465は、工程1に示すように、ガイドワイヤ475の上をCTO481に向かって前進させ、カテーテル装置は、CTOに接近していく。カテーテル装置がCTOと係合または接触する、あるいはCTOに非常に近接すると、工程2に示すように、外側シャフト先端部477は、閉塞481に非常に近接することができ、特に、CTOの前端部に接触する。拡張可能スカフォ−ド471は、依然として圧縮または非拡張位置にある。次いで、例えば
図12Cに示すように外側シャフトハブ567と内側シャフトハブ569の間の距離を短縮することによって、外側シャフト467を後退させる、または引き抜くことができる。拡張可能スカフォ−ド471が、拡張状態になる(工程3に示すように)。拡張可能スカフォ−ド471は、内側シャフト469をその中に位置決めすることができるループを有し、マイクロカテーテル473は、内側シャフトの中に位置決めされる。拡張すると、スカフォ−ド内で全てがセンタリングされる(工程3に示すように)。従って、マイクロカテーテル473は、血管系479内で実質的にセンタリングされている。工程1は、ガイドワイヤ475が延びているがCTO/障害を横断するのに十分な支持はない状態で、血管系479内に前進させた状態のカテーテル装置465を示している。工程2は、外側シャフト先端部をCTOの(前)端部に押圧することができるようにガイドワイヤ475をたどって前進させた状態のカテーテル装置465を示している。
図13Aの工程4および工程5は、ガイドワイヤ475を閉塞481と接触させ、閉塞481の中に更に前進させる様子を示している。あるいは、マイクロカテーテル473も、閉塞481と接触させて、閉塞481の中に前進させることができる。工程6は、マイクロカテーテル473およびガイドワイヤ475を閉塞481の中に前進させた状態のカテーテル装置465を示している。マイクロカテーテル473は、CTOの中を通過するときに、ガイドワイヤ475を付加的に支持することができる。ガイドワイヤおよびマイクロカテーテルは、交互に前後に動かして、CTOに貫入させることができる。
図13Bの工程7〜工程10Bは、閉塞(CTO)481の一部分に貫入するガイドワイヤ475を示しているが、あるいは、ガイドワイヤは、閉塞481の全体を通して前進させることもできることを理解されたい。
【0133】
図13Bには、内側シャフト469およびスカフォ−ド471を取り外す工程が示してある。マイクロカテーテル473は、内側シャフトおよび外側シャフトから独立しているので、引き抜くことができる。マイクロカテーテルを引き抜いた結果を、
図13Bの工程8に示す。この図では、ガイドワイヤだけが、CTO内に配置されている。次に、スカフォ−ドが外側シャフト467内に収容されるまで、または少なくともスカフォ−ド471が拡張していない状態になるまで、外側シャフト467を遠位方向に前進させることによって、スカフォ−ド471を非拡張状態に戻すことができる。あるいは、工程8に示すように、内側シャフト469を近位方向に移動させて、スカフォ−ド471を外側シャフト467内に受けるようにすることもできる。上の議論から、内側シャフト469と外側シャフト467の相対的な移動は、これらのシャフトの近位端部を相対的に移動させることによって実現することができることを理解されたい。例えば、
図12Cのハブ567、569を互いに対して相対的に移動させて、例えば工程8を実現することができる。
図13Bの工程9に示すように、内側シャフト469およびスカフォ−ド471は、血管系から完全に取り外すことができる。外側シャフト467の近位開口を介して外側シャフト467から完全に取り外した場合も、外側シャフト467は、血管系内の目標位置の付近に位置決めされた状態で留まることができる。従って、その後に、血管形成バルーン、ステント、カテーテル、スコープ、撮像または治療デバイス/材料、あるいは追加の介入性器具または医療デバイス(様々な実施形態において、
図13Bの工程10Aおよび工程10Bに476として示す)を、外側シャフト467をガイドおよび患者の組織の保護材として使用して、工程10に示すように血管系内に配置することができる。
図13Bの工程8から工程10に示すように、内側カテーテル469を取り外した後も、ガイドワイヤ475は閉塞481に貫入したまま残すことができるので、ガイドワイヤ475も追加の器具476を案内する助けになることがある。
【0134】
図14は、カテーテルの近位端部の別の実施形態を示す図である。
【0135】
図15A〜
図15Eは、本発明の実施形態によるカテーテルが、
図13A〜
図13Bに示す方法の実施形態で使用される一例を示す図である。この例は、患者の血管系を表す、チャネル575を有するモデル572で実行される。
図15Aに示すように、外側シャフト467は血管系内に挿入され、内側シャフトは、まだ配備されていない。ガイドワイヤ475を使用して、外側シャフト467を図示の位置まで挿入することができる。
図15Bでは、内側シャフト469およびスカフォ−ド473が、外側シャフト467から配備されている。更に、ガイドワイヤ475は、内側シャフト469の遠位端部から外部に延びている。
図15Cでは、マイクロカテーテル473およびガイドワイヤ475が両方とも、血管系内に更に深く入っており、例えばCTO(図示せず)の中まで前進している。
【0136】
図15Cのマイクロカテーテル473をその所期の目的のために使用した後、任意選択で、マイクロカテーテル473および内側シャフトを外側シャフト467を通して血管系から引き出すこともできる。
図15Dは、内側シャフト469およびスカフォ−ド473を外側シャフト467を通して後退させた例を示している。いくつかの実施形態では、マイクロカテーテル473および内側シャフト469は、上で論じたように、外側シャフト467の近位開口を通して外側シャフト467から完全に取り外される。ガイドワイヤ475は、血管系内に挿入されたまま残すこともできるし、あるいはマイクロカテーテル473および内側シャフト469を取り外した後で挿入し直すこともできる。その後、
図15Eに示すように、少なくとも1つの追加器具573を、外側シャフト467を通して血管系内に挿入することができる。ガイドワイヤ475は、追加器具573を位置決めするために使用することもできる。追加器具573は、例えば、経皮経管動脈形成術のバルーンまたはステント、あるいはその他の何らかの介入性または外科手術デバイスとすることができる。内側シャフト469を取り外した後でも外側シャフト467は適所に留まるので、追加器具573は、外側シャフト467を通してより容易および安全に目標まで案内することができる。このようにして、追加器具573を血管系内で移動させたときに患者の組織に外傷を与える危険性が低下し、追加器具573を目標位置まで逸らすことなく前進させることが容易になる。
【0137】
スカフォ−ドによって血管系内でセンタリングされた1つの内側シャフトについて図示および説明したが、本発明の実施形態は、複数の内側シャフトおよびマイクロカテーテルを有するカテーテルとともに使用することもでき、内側シャフトまたはマイクロカテーテルを血管系内でセンタリングする必要はない。あるいは、内側シャフトが複数ある構成では、1つの内側シャフトを血管系内でセンタリングして、1つまたは複数のその他の内側シャフトは血管系の中心からずれていてもよい。スカフォ−ドCTOを使用して障害を位置決めして横断し、外側シャフトまたはシースを障害の付近に有利に位置決めすることは、本明細書、および参照により組み込む、それらに対する優先権を主張する出願に記載する、様々なスカフォ−ドの実施形態で達成することができる。
【0138】
本発明のデバイスの構成は、様々にすることができる。特定の実施形態では、デバイスは、約2.5mmから約4.0mmの直径を有する血管内で使用されるように構成される。これらのデバイスは、OTW(オーバザワイヤ)0.014インチ(0.14×2.54センチ)ガイドワイヤ内腔用に構成することもできる。特定の実施形態では、マイクロカテーテルは、最大で150cmの長さにすることができる3F(1mm)マイクロカテーテルである。これらのデバイスは、6FR(2mm)のガイドカテーテルに適合するように構成することができ、5F(約5×1/3mm)のシースを有する。内側シャフト、外側シャフト、および/またはマイクロカテーテルの先端部など、デバイスの様々な部分で、顕著な放射線不透過性マーカを使用して、体内のデバイスの位置を決定するのを助けることができる。特定の実施形態では、デバイスは、約130cmの作業長を有することができる。デバイスの一部で、親水性コーティングを使用することもできる。外側シャフト467は、内側カテーテルおよびスカフォ−ドが取り外されたときに実質的に円形の断面を維持する材料で形成することができるが、外側シャフトは、内部血管系の蛇行性の分枝内をナビゲートできる十分な軟度および可撓性を有することもできる。
【0139】
本発明の実施形態によれば、2重の目的に供するカテーテルを提供することができる。例えば、このカテーテルは、ガイドワイヤおよび内側またはマイクロカテーテルを、血管系内の目標領域まで前進させ、ここで、いくつかの実施形態においては、スカフォ−ドを拡張させてCTOの中にガイドワイヤおよび/またはマイクロカテーテルを前進させるのを助けるという、第1の目的のために使用することができる。更に、第2の目的として、カテーテルは、血管系内に留まる支持カテーテルとして作用して、例えばスカフォ−ドおよびマイクロカテーテルが支持カテーテルから取り外される間および/または後で、その支持カテーテルの遠位端部が目標位置の付近に留まるようにすることができる。従って、このカテーテルは、追加の医療デバイスまたは治療剤のための支持カテーテルとして機能することができる。これらの医療デバイスとしては、例えば、追加のカテーテル、スコープ、撮像または治療材料/デバイス、血管形成バルーン、ロトブレード、および/あるいはアテレクトミーデバイスが含まれ得る。ただし、他の医療デバイスも、このガイドカテーテルとともに、その2重の目的のために使用することもできる。更に、薬用、撮像用、または洗浄用の材料などの治療剤も、この支持カテーテルを通して目標部位に送ることができる。
【0140】
血管系内で器具をナビゲートすることは、特に手続きの目標部位が血管系の主幹部から外れた血管系の分枝内に位置するときには、困難である可能性がある。例えば、小さな分枝は蛇行性であり、主幹部から角度をなして延びるが、器具は、真っ直ぐな状態のまま留まろうとする傾向があるので、器具を分枝の中へ操縦することが困難である可能性がある。更に、目標部位は、更に遠位方向に位置する分枝内にある可能性があり、解剖学的構造の蛇行性により、目標に到達することが更に困難になる可能性がある。この困難は、低プロフィルではあるが主幹部を通って真っ直ぐに進み、側枝へ操縦されるのに抵抗する傾向がある、収縮した血管形成バルーンなど、比較的低いプロフィルを有するデバイスでも明らかである。
【0141】
ただし、2重目的カテーテルは、カテーテルを目標部位の付近に最初に配置した後で目標部位に高い信頼性で到達する支持カテーテルとなる。換言すれば、支持カテーテルは、新たなデバイスを血管系内に挿入するたびに困難な解剖学的構造内をナビゲートし直さなくても、目標位置まで蛇行性の解剖学的構造を通して追加の医療デバイスを送ることができる。従って、いくつかの実施形態では、2重目的カテーテルは、内部血管系内のナビゲートを可能にするために支持カテーテルの方が可撓性が高いという点でいわゆるガイドカテーテルとは構造が異なる支持カテーテルとすることができる。
【0142】
例えば障害または閉塞の位置は、主幹部から1回または複数回分岐した血管系の分枝内である可能性があるので、閉塞に到達する困難さは様々である可能性がある。従って、本発明の実施形態では、目標部位は、閉塞の直近部、閉塞が位置している分枝、または閉塞を含む分枝の起点となる分枝(閉塞を含む分枝が目標部位の分枝から複数回分岐したところにある場合でも)とすることができる。閉塞を含む特定の分枝にカテーテルが到達することができない場合でも、カテーテルの遠位端部を可能な限り閉塞の近くまで前進させることで、その「可能な限り近い」位置より遠い位置に優る有意な利点を提供することができる。従って、本発明のいくつかの実施形態では、カテーテルの遠位端部は、患者によっては閉塞の直近部まで前進させることができないことも企図されている。それでも、2重用途カテーテルは、目標部位に到達し、追加の医療デバイスをその目標部位まで前進させるという同じ利点を提供することができる。
【0143】
本明細書では、様々な具体的な材料、手続き、および例に関連して、本発明について説明および図示したが、本発明は、その目的のために選択された特定の材料および手続きの組合せに限定されないことを理解されたい。これらの詳細の多数の変形を包含することができることは、当業者なら理解するであろう。本明細書は、単なる例示として考慮されるものとして意図されており、本発明の真の範囲および趣旨は、以下の特許請求の範囲によって示される。
【0144】
上記の説明は、本発明の好ましい実施形態を対象としているが、他の変形および修正は、当業者には明らかであり、本発明の趣旨または範囲を逸脱することなく加えることができることに留意されたい。更に、本発明の1つの実施形態に関連して説明した特徴は、上記で明示的に述べられていなくても、他の実施形態と関連付けて使用することができる。
以下に、出願当初の特許請求の範囲に記載の事項を、そのまま、付記しておく。
[1] 患者の血管系内に、前記血管系内の目標部位まで挿入するためのカテーテル装置であって、
遠位端部および近位端部を有する中空内側シャフトと、
前記内側シャフトの前記遠位端部に結合され、前記内側シャフトの前記遠位端部に配置された取外し可能な非閉塞性の自己拡張可能なスカフォ−ドであって、前記内側シャフトの前記遠位端部の一部分が、少なくとも部分的には前記自己拡張可能なスカフォ−ドの内部に配置されている、スカフォ−ドと、
遠位端部および近位端部を有する中空外側シャフトとを具備し、前記外側シャフトは、外側シャフトが前記スカフォ−ドの周りに配置されているときに前記スカフォ−ドが非拡張状態になるように、前記内側シャフトおよび前記スカフォ−ドの上を摺動可能であり、前記外側シャフトが、前記内側シャフトおよび前記スカフォ−ドが前記外側シャフト内に配置されることなく前記外側シャフトの前記遠位端部が前記目標部位の付近に留まる状態を有し、そして、
前記内側シャフトおよび前記スカフォ−ドは、前記外側シャフトの前記遠位端部が前記目標部位の付近に留まっているときに、前記外側シャフトの前記近位端部を通して取外し可能となるように構成されている、カテーテル装置。
[2] 内腔、遠位開口、および遠位端部を有するマイクロカテーテルを更に具備する、[1]に記載のカテーテル装置。
[3] 前記外側シャフト、前記内側シャフト、および、前記マイクロカテーテルは、独立して操作可能である、[2]に記載のカテーテル装置。
[4] 1つまたは複数のガイドワイヤを更に具備し、前記マイクロカテーテルの前記内腔は、前記1つまたは複数のガイドワイヤのうちの少なくとも1つの外側で移動可能であるように構成されている、[2]に記載のカテーテル装置。
[5] 前記マイクロカテーテルは、前記外側シャフトの前記遠位端部が患者の前記血管系内の前記目標部位の付近に留まっているときに、前記内側シャフトの前記近位端部を通して取外し可能となるように構成されている、[2]に記載のカテーテル装置。
[6] 前記外側シャフトの前記近位端部は、前記内側シャフトおよび前記スカフォ−ドを摺動可能に受けるように適合された開口を有し、前記外側シャフトの前記遠位端部が前記血管系内の前記目標部位の付近に留まっているときに前記開口を通して前記内側シャフトおよび前記スカフォ−ドを前記外側シャフトから取り外すことができる、[1]に記載のカテーテル装置。
[7] 前記内側シャフトの前記近位端部は、前記マイクロカテーテルを摺動可能に受けるように適合された開口を有し、前記外側シャフトの前記遠位端部が前記血管系内の前記目標部位の付近に留まっているときに前記開口を通して前記マイクロカテーテルを前記内側シャフトから取り外すことができる、[2]に記載のカテーテル装置。
[8] 前記内側シャフトの前記遠位端部の少なくとも一部分は、前記スカフォ−ドの長手中心軸に実質的に沿って配置されている、[1]に記載のカテーテル装置。
[9] 前記スカフォ−ドは、遠位端部および近位端部を備え、前記スカフォ−ドの前記遠位端部と前記近位端部とのうちの一方が、前記内側シャフトに対して相対的に摺動可能となるように構成されている、[1]に記載のカテーテル装置。
[10] 前記自己拡張可能なスカフォ−ドは、このスカフォ−ドの円筒面から内向きに前記自己拡張可能なスカフォ−ドの長手中心軸まで突出する少なくとも1つのループを備えている、[1]に記載のカテーテル装置。
[11] 前記外側シャフトは、前記内側シャフトおよび前記スカフォ−ドが前記外側シャフト内に配置されることなく前記外側シャフトの前記遠位端部が前記目標部位の付近に留まっている状態で、支持カテーテルを構成している、[1]に記載のカテーテル装置。
[12] 前記支持カテーテルは、少なくとも1つの追加の医療デバイスを受けるように配列されている、[11]に記載のカテーテル装置。
[13] 前記少なくとも1つの追加の医療デバイスは、マイクロカテーテルとバルーンカテーテルとのうちの少なくとも一方を備えている、[12]に記載のカテーテル装置。
[14] 前記スカフォ−ドの前記遠位端部は、前記スカフォ−ドの反転部分によって前記内側シャフトの周りに摺動可能に配列され、前記反転部分が、前記スカフォ−ド内で、前記内側シャフトに近接して前記内側シャフトの周りで内向きに延びている、[9]に記載のカテーテル装置。
[15] 前記スカフォ−ドは、このスカフォ−ドが拡張したときにスカフォ−ドの前記長手中心軸に沿って前記内側シャフトの前記遠位端部をセンタリングするように構成されている、[8]に記載のカテーテル装置。
[16] 前記スカフォ−ドは、前記内側シャフトに沿って摺動可能になるように構成された遠位端部を有する、[1]に記載のカテーテル装置。
[17] 前記スカフォ−ドは、前記内側シャフトに沿って摺動可能になるように遠位ループを備えた構成の遠位端部を有する、[1]に記載のカテーテル装置。
[18] 前記スカフォ−ドの前記遠位ループは、少なくとも1つの山部および少なくとも1つの谷部を備えていえる、[17]に記載のカテーテル装置。
[19] 前記遠位ループは、ジグザグ構造を有している、[17]に記載のカテーテル装置。
[20] 前記スカフォ−ドの前記遠位ループ上に配置されたリングを更に具備する、[17]に記載のカテーテル装置。
[21] 前記スカフォ−ドの前記遠位ループは、前記近位端部に向かって配向されている、[17]に記載のカテーテル装置。
[22] 前記スカフォ−ドの前記遠位ループは、コネクタによって前記スカフォ−ドの前記遠位端部に接続されている、[17]に記載のカテーテル装置。
[23] 前記スカフォ−ドの前記遠位ループは、前記中空シャフトにひだで留められている、[17]に記載のカテーテル装置。
[24] 前記スカフォ−ドはが、ハニカム構造を有している、[1]に記載のカテーテル装置。
[25] 前記スカフォ−ドは、拡張したときに、ほぼ円筒形の形状であり、前記スカフォ−ドは、前記内側シャフトに向かって先細になる遠位端部を有する、[1]に記載のカテーテル装置。
[26] 前記スカフォ−ドは、前記内側シャフトの前記遠位端部に結合されるように構成された近位端部を有する、[1]に記載のカテーテル装置。
[27] 前記外側シャフトは、少なくとも1つの医療デバイスを前記血管系内の前記目標部位まで通すように構成されている、[1]に記載のカテーテル装置。
[28] 目標部位を横断し、医療デバイスの支持をするために、患者の血管内でカテーテルを使用する方法であって、
カテーテルの遠位端部が血管内の目標部位に接近するように前記カテーテルを前記血管中に挿入することを具備し、前記カテーテルは、
遠位端部および近位端部を有する中空シャフトと、
前記カテーテルの前記遠位端部に配置された非閉塞性の自己拡張可能なスカフォ−ドであって、前記カテーテルの前記遠位端部の一部分が少なくとも部分的には前記スカフォ−ドの内部に配置されるスカフォ−ドと、
中心内腔、遠位開口を有する遠位端部、および近位開口を備えた近位端部を有するシースとを備え、前記シースが、前記シャフトに沿って摺動可能であり、
前記スカフォ−ドは、前記カテーテルの前記遠位端部に結合されるように構成されており、
前記スカフォ−ドが、前記シースで覆われているときには非拡張状態であり、
この方法は、更に、
前記シースを引き抜いて前記拡張可能スカフォ−ドを拡張させること、
前記シースおよび前記スカフォ−ドを互いに対して相対的に移動させて、前記シースを少なくとも部分的には前記スカフォ−ドの上に位置決めして、前記スカフォ−ドが前記非拡張状態に戻るようにすること、
前記中空シャフトおよび前記スカフォ−ドを前記シースの前記近位開口を通して引き抜くことを備える、前記シースが、支持カテーテルとして前記血管内に留まって、前記シースの前記近位開口を通して医療デバイスを通し、前記シースを通して前記シースの前記遠位端部の付近の前記目標部位まで前進させることができるように適合されることとを、具備する方法。
[29] 前記シースを前記スカフォ−ド構造体の上で前進させて前記スカフォ−ドを前記非拡張状態に戻す前に、前記カテーテルを通してマイクロカテーテルを挿入することを更に具備する、[28]に記載の方法。
[30] ガイドワイヤを、前記ガイドワイヤの遠位端部が前記目標部位に配置されるまで前記カテーテルを通して挿入することを更に具備する、[28]に記載の方法。
[31] 前記ガイドワイヤを挿入することが、前記ガイドワイヤを前記目標部位を通して前進させることを更に有する、[30]に記載の方法。
[32] 前記ガイドワイヤの前記遠位端部は、前記中空シャフトおよび前記スカフォ−ドを引き抜いた後で、前記目標部位に配置されたまま留まる、[30]に記載の方法。
[33] この方法は、前記シースを引き抜いて前記自己拡張スカフォ−ドを拡張させた後で前記マイクロカテーテルを前進させることを更に具備し、前記マイクロカテーテルは、慢性完全閉塞と接触するように適合される、[29]に記載の方法。
[34] 前記カテーテルの前記遠位端部の少なくとも一部分は、前記自己拡張可能なスカフォ−ドの中心軸に実質的に沿って配置される、[28]に記載の方法。
[35] 前記シースの前記近位開口を通して医療デバイスを挿入し、前記医療デバイスを前記シースを通して前記シースの前記遠位端部の付近の前記目標部位まで前進させることを更に具備する、[28]に記載の方法。
[36] 前記医療デバイスを前記シースを通して前記目標部位まで前進させることが、前記方法が前記医療デバイスを主幹部から外れた動脈分枝まで前進させるように適合されることを含む、[28]に記載の方法。
[37] 前記カテーテルが、主幹部から外れた動脈分枝に挿入されるように適合される、[28]に記載の方法。
[38] 前記目標部位が、慢性完全閉塞の近傍、および冠状動脈の動脈分枝のうちの1つまたは複数になるように適合される、[28]に記載の方法。