(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6648165
(24)【登録日】2020年1月17日
(45)【発行日】2020年2月14日
(54)【発明の名称】金属−半導体−金属(MSM)ヘテロジャンクションダイオード
(51)【国際特許分類】
H01L 29/861 20060101AFI20200203BHJP
H01L 29/868 20060101ALI20200203BHJP
H01L 21/329 20060101ALI20200203BHJP
H01L 29/47 20060101ALI20200203BHJP
H01L 29/872 20060101ALI20200203BHJP
H01L 29/43 20060101ALI20200203BHJP
【FI】
H01L29/91 H
H01L29/91 A
H01L29/91 C
H01L29/91 F
H01L29/91 E
H01L29/48 Z
H01L29/46
【請求項の数】14
【外国語出願】
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2018-6176(P2018-6176)
(22)【出願日】2018年1月18日
(62)【分割の表示】特願2015-507218(P2015-507218)の分割
【原出願日】2013年4月19日
(65)【公開番号】特開2018-110237(P2018-110237A)
(43)【公開日】2018年7月12日
【審査請求日】2018年2月16日
(31)【優先権主張番号】61/687,163
(32)【優先日】2012年4月19日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591236068
【氏名又は名称】カーネギー−メロン ユニバーシティ
【氏名又は名称原語表記】CARNEGIE−MELLON UNIVERSITY
(74)【代理人】
【識別番号】100100158
【弁理士】
【氏名又は名称】鮫島 睦
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(72)【発明者】
【氏名】ロザナ・フッシン
(72)【発明者】
【氏名】チェン・イシュエン
(72)【発明者】
【氏名】イ・ルオ
【審査官】
杉山 芳弘
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−176246(JP,A)
【文献】
特表2015−517221(JP,A)
【文献】
特開2007−311772(JP,A)
【文献】
特開2000−243935(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2009/0139244(US,A1)
【文献】
特開昭57−013774(JP,A)
【文献】
特開平05−322646(JP,A)
【文献】
SZE S M ET AL:,Current transport in metal-semiconductor-metal (MSM) structures,SOLID STATE ELECTRONICS,英国,ELSEVIER SCIENCE PUBLISHERS,1971年12月 1日,vol. 14, no. 12,1209 - 1218,DOI: 10.1016/0038-1101(71)90109-2
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 29/872
H01L 21/329
H01L 29/861
H01L 29/868
H01L 31/00
H01L 31/08
H01Q 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の面と、前記第1の面に対して反対側の第2の面とを有する半導体層であって、当該半導体層は前記第1の面と前記第2の面との間に厚さを有し、前記半導体層の厚さは前記半導体層へ放出される電荷キャリアの平均自由行程と同じもしくはそれ未満であり、前記半導体層の表面は、オーミックコンタクトの形成のため縮退ドープされており、前記半導体層を通過する前記電荷キャリアの弾道伝導を可能にするように構成された半導体層と、
前記半導体層の前記第1の面に結合させた第1の金属層と、
前記半導体層の前記第2の面に結合させた第2の金属層と、を含み、
前記半導体層、前記第1の金属層および前記第2の金属層は、前記電荷キャリアが前記第1の金属層から前記半導体層を通って前記第2の金属層まで前記弾道伝導を行うように構成されている、ダイオード。
【請求項2】
100THzを超えるカットオフ周波数を有する請求項1に記載のダイオード。
【請求項3】
1000THzを超えるカットオフ周波数を有する請求項1に記載のダイオード。
【請求項4】
前記第1の金属層及び前記第2の金属層は同一の金属を含む、請求項1に記載のダイオード。
【請求項5】
前記第1の金属層は第1の金属を含み、前記第2の金属層は第2の金属を含み、前記第1の金属と前記第2の金属とは異なる金属である請求項1に記載のダイオード。
【請求項6】
前記半導体層は、結晶半導体及び多結晶半導体の1以上を含む請求項1に記載のダイオード。
【請求項7】
前記半導体層は、シリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)、シリコンゲルマニウム(SiGe)、アンチモン化アルミニウム(AlSb)、アンチモン化ガリウム(GaSb)、砒化ガリウム(GaAs)、アンチモン化インジウム(InSb)、砒化インジウム(InAs)、砒化インジウムガリウム(InGaAs)、窒化ガリウム(GaN)、リン化インジウム(InP)、セレン化カドミウム(CdSe)、テルル化カドミウム(CdTe)、硫化カドミウム(CdS)、セレン化亜鉛(ZnSe)、テルル化亜鉛(ZnTe)、硫化亜鉛(ZnS)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化チタン(TiO2)、硫化鉛(PbS)及びテルル化鉛(PbTe)の1以上を含む請求項6に記載のダイオード。
【請求項8】
前記第1の金属層及び前記第2の金属層は、それぞれ、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、金(Au)、コバルト(Co)、クロム(Cr)、銅(Cu)、ガドリニウム(Gd)、ハフニウム(Hf)、インジウム(In)、イリジウム(Ir)、マグネシウム(Mg)、マンガン(Mn)、モリブデン(Mo)、ニッケル(Ni)、鉛(Pb)、パラジウム(Pd)、プラチナ(Pt)、ロジウム(Rh)、タンタル(Ta)、チタン(Ti)、タングステン(W)及び亜鉛(Zn)からなる群から選択された少なくとも1種の金属を含む請求項1に記載のダイオード。
【請求項9】
前記ダイオードは、金属−半導体−金属ヘテロジャンクションダイオード(MSMダイオード)を含み、前記MSMダイオードは、前記半導体層と、前記第1の金属層及び前記第2の金属層のうち1以上と、の間に設けられたヘテロジャンクションをさらに備える請求項1に記載のダイオード。
【請求項10】
前記ヘテロジャンクションは第1のヘテロジャンクションであり、
前記ダイオードは、前記半導体層と、前記第1の金属層及び前記第2の金属層のうち1つと、の間に設けられた第2のヘテロジャンクションをさらに備え、前記第2のヘテロジャンクションは、前記半導体層の前記第1のヘテロジャンクションとは反対側にあり、前記第1のヘテロジャンクション及び前記第2のヘテロジャンクションは、少なくとも前記第1のヘテロジャンクションから前記第2のヘテロジャンクションへの前記弾道伝導を可能にするように構成されている、請求項9に記載のダイオード。
【請求項11】
前記半導体層は、100,000A/cm2以上の熱イオン放出電流密度を可能にするように構成されている、請求項1に記載のダイオード。
【請求項12】
前記半導体層は、1,000,000A/cm2以上の熱イオン放出電流密度を可能にするように構成されている、請求項1に記載のダイオード。
【請求項13】
少なくとも前記第1の金属層が1つの金属層を含む、少なくとも前記第2の金属層が1つの金属層を含む、又は前記第1の金属層及び前記第2の金属層の両方が各々1つの金属層を含む、請求項1に記載のダイオード。
【請求項14】
半導体へ放出される電荷キャリアの平均自由行程と同じ厚さを有する半導体層を形成する工程と、
前記半導体層の表面に縮退ドープする工程と、
前記半導体層の第1の面上に第1の金属層を形成する工程と、
前記半導体層の第2の面上に第2の金属層を形成する工程と、
前記半導体層と、前記第1の金属層及び前記第2の金属層のうち1つとの間に、ヘテロジャンクションを形成する工程と、
前記第1の金属層から前記第2の金属層への前記半導体層を通過する前記電荷キャリアの弾道輸送のために前記ヘテロジャンクションを構成する工程と、を備えるダイオードの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権主張
本願は、2012年4月19日に出願された米国仮出願第61/687,163に対する35U.S.C.§119(e)の優先権の利益を主張する。この全内容は、本明細書において引用することにより援用する。
【0002】
使用の分野
本開示は、概して、ダイオードに関し、より詳細には、ハイスピードダイオードデバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
典型的なダイオードは、ギガヘルツ(GHz)の高帯域もしくはテラヘルツ(THz)の低帯域においてカットオフ周波数(具体的には、10THz未満のカットオフ周波数)を有する。これは、作動周波数範囲に制限を課すこととなる。このようなダイオードの具体例には、ショットキーダイオード、バックワードトンネルダイオード、及び、金属−絶縁体−金属(MIM)トンネルダイオードが含まれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ハイスピードダイオード、具体的には、10THzより高いカットオフ周波数を有するダイオードは、広範囲のアプリケーションにとって極めて重要な要素である。例えば、光学アンテナと組み合わされたハイスピードダイオード(レクテナと称する)は、光周波数の操作が可能となる(例えば、赤外線から遠赤外線までの信号に対して同期発生・検出(coherent generation and detection)を行うことが可能となる)。これらのオペレーションにおいて、光学アンテナは、光の収集及び放出に貢献する。一方、ダイオードは、対応する光周波数に一致し、他の要求される電流−電圧(I−V)特性、すなわち優れた非線形性及び整流作用等を備えるに充分な程速く作動しなければならない。そのため、100THzより高いカットオフ周波数及び作動速度を有する非常に非線形性の高いダイオードを得ることは、技術的及び科学的に非常に重要なことである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、金属−半導体−金属(MSM)ヘテロジャンクションダイオードに関する装置及び方法について記載する。MSMダイオードの結晶半導体層の厚さは、MSMダイオードの半導体層に放出される電荷キャリアの平均自由行程未満もしくはそれと同じである。これにより、半導体層に亘って弾道キャリア輸送に近い状態となり、優れた非線形性及び整流作用を示すと共に、熱イオン放射電子密度が極めて高くなる。MSMダイオードの直列抵抗は極端に小さくなる可能性があり、MSMダイオードのカットオフ周波数は、100THzを超える可能性がある。
【0006】
本開示のある態様では、ダイオードは、第1の面と第1の面に対して反対側に設けられた第2の面とを有する半導体層であって、当該半導体層は前記第1の面と前記第2の面との間に所定の厚さを有し、当該半導体層の厚さは半導体層へ放出される電荷キャリアの平均自由行程に基づく半導体層と、前記半導体層の第1の面上に堆積(析出)させた第1の金属層と、前記半導体層の第2の面上に堆積(析出)させた第2の金属層と、を備える。
【0007】
本開示のいくつかの態様には、次の1以上の特徴が含まれうる。半導体層の厚さは、半導体層へ放出される電荷キャリアの平均自由行程と同じもしくはこれ未満であってもよい。いくつかの態様において、ダイオードは、100THzを超えるカットオフ周波数を有していてもよい。いくつかの態様において、第1の金属層及び第2の金属層は、同一の金属であってもよい。いくつかの態様において、第1の金属層は、第1の金属であってもよく、第2の金属層は、第2の金属であってもよく、第1の金属と第2の金属とは異なる金属であってもよい。半導体の界面は、オーミックコンタクトの形成のため、縮退的にドープ(degenerately doped)されていてもよい。半導体層は、1以上の単結晶半導体、多結晶半導体、もしくは、その組み合わせを含んでいてもよい。半導体層は、シリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)、シリコンゲルマニウム(SiGe)、アンチモン化アルミニウム(AlSb)、アンチモン化ガリウム(GaSb)、砒化ガリウム(GaAs)、アンチモン化インジウム(InSb)、砒化インジウム(InAs)、砒化インジウムガリウム(InGaAs)、窒化ガリウム(GaN)、リン化インジウム(InP)、セレン化カドミウム(CdSe)、テルル化カドミウム(CdTe)、硫化カドミウム(CdS)、セレン化亜鉛(ZnSe)、テルル化亜鉛(ZnTe)、硫化亜鉛(ZnS)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化チタン(TiO
2)、硫化鉛(PbS)及びテルル化鉛(PbTe)等の1以上の半導体が含まれていてもよい。第1の金属層及び第2の金属層は、それぞれ、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、金(Au)、コバルト(Co)、クロム(Cr)、銅(Cu)、ガドリニウム(Gd)、ハフニウム(Hf)、インジウム(In)、イリジウム(Ir)、マグネシウム(Mg)、マンガン(Mn)、モリブデン(Mo)、ニッケル(Ni)、鉛(Pb)、パラジウム(Pd)、プラチナ(Pt)、ロジウム(Rh)、タンタル(Ta)、チタン(Ti)、タングステン(W)及び亜鉛(Zn)からなる群から選択された少なくとも1種の金属を含んでいてもよい。ダイオードは、金属−半導体−金属ヘテロジャンクションダイオード(MSMダイオード)であってもよく、当該MSMダイオードは、さらに、半導体層と、第1の金属層及び第2の金属層の1もしくはそれ以上との間においてヘテロジャンクションを含む。
【0008】
本開示の他の態様において、ダイオードを作製するための方法は、第1の面と第1の面に対して反対側に設けられた第2の面とを有する半導体であって、当該半導体は前記第1の面と前記第2の面との間に所定の厚さを有し、当該厚さは半導体へ放出される電荷キャリアの平均自由行程に基づく半導体を準備する工程と、当該半導体の第1の面上に第1の金属を堆積(析出)させる工程と、当該半導体の第2の面上に第2の金属を堆積(析出)させる工程と、を備える。
【0009】
本開示のいくつかの態様には、次の1以上の特徴が含まれうる。半導体を得ることは、半導体を含む層と、当該半導体と異なる少なくとも1種の材料を含む1以上の他の層と、を含む多層材料の基板を得ること、半導体とキャリアウェハとの間に第1の金属を配置するため、半導体の第1の面をキャリアウェハに接合させること、および、半導体の第2の面を露出させるため、前記1以上の他の層を除去することを含んでいてもよい。いくつかの態様において、半導体の第1の面上に第1の金属を堆積させることは、半導体の第1の面をパターニングすることを含んでいてもよい。いくつかの態様において、半導体の第1の面上に第1の金属を堆積させることは、半導体の第1の面に第1の金属を均一な金属フィルムとして直接堆積させることを含んでいてもよい。半導体の第1の面をキャリアウェハに接合することは、接着剤を用いて、半導体の第1の面をキャリアウェハに接合することを含んでいてもよい。当該方法は、オーミックコンタクトの形成のため、半導体層の表面を縮退的にドープすることを含んでいてもよい。
【0010】
本開示のさらに別の態様において、p型金属−半導体−金属ヘテロジャンクションダイオード(MSMダイオード)は、第1の面と第1の面に対して反対側に設けられた第2の面とを有するシリコン層であって、前記第1の面の表面は、1×10
20cm
−3の表面濃度でホウ素によりドープされ、当該シリコン層は第1の面と第2の面との間に所定の厚さを有し、当該シリコン層の厚さは30nmであるシリコン層と;当該シリコン層の第1の面上に堆積させたプラチナ層と;前記シリコン層と前記プラチナ層との間に設けられた第1ヘテロジャンクション界面と;前記シリコン層の第2の面上に堆積させたコバルト層と;前記シリコン層と前記コバルト層との間に設けられた第2のヘテロジャンクション界面と、を含む。
【0011】
本開示のさらに別の態様において、n型金属−半導体−金属ヘテロジャンクションダイオード(MSMダイオード)は、第1の面と第1の面に対して反対側に設けられた第2の面とを有するシリコン層であって、前記第1の面の表面は、2×10
20cm
−3の表面濃度でリンによりドープされ、当該シリコン層は第1の面と第2の面との間に所定の厚さを有し、当該シリコン層の厚さは60nmであるシリコン層と;当該シリコン層の第1の面上に堆積させた第1のクロム層と;前記第1のクロム層と前記シリコン層との間に設けられた第1ヘテロジャンクション界面と;前記シリコン層の第2の面上に堆積させた第2のクロム層と;前記第2のクロム層と前記シリコン層との間に設けられた第2のヘテロジャンクション界面と、を含む。
【0012】
1以上の態様の詳細は、添付の図面及び以下の詳細な説明において説明されている。他の特徴、目的及び利点は、詳細な説明、図面及び特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、金属−半導体−金属(MSM)ヘテロジャンクションダイオードの一例を示す。
【
図2】
図2a−dは、異なるMSMダイオードについてのエネルギバンドダイアグラムの一例を示す。
【
図3】
図3は、MSMダイオードを製造するためのプロセスのフローチャートである。
【
図4】
図4は、様々な製造ステージにおけるMSMダイオードの側面図を示す。
【
図5】
図5は、表面ドーピング有り場合と無し場合におけるMSMダイオードについての電流密度対電圧(J−V)特性の一例を示したグラフである。
【
図6】
図6は、様々なMSMダイオードとショットキーダイオードについてのJ−V特性の一例を示したグラフである。
【
図7a-c】
図7a−cは、
図6の様々なMSMダイオードに対応するエネルギバンドダイアグラムの一例を示す。
【
図7d】
図7dは、
図6のショットキーダイオードに対応するエネルギバンドダイアグラムの一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、金属−半導体−金属(MSM)ヘテロジャンクションダイオード100の一例を示している。
図1に示すように、MSMダイオード100は、2つの金属電極104と106との間に配置された半導体薄膜層102を有する。半導体層102は、結晶性半導体(例示すれば、単結晶の結晶性半導体)もしくは多結晶半導体であってもよい。半導体102の膜厚116は、電荷キャリアの平均自由行程に基づくものであり、具体的には、この平均自由行程に近いもしくはこの平均自由行程と同じである。これにより、半導体層102に亘って弾道キャリア輸送に近くなる。MSMダイオード100のヘテロジャンクション112及び114は、半導体層102の、互いに反対側に設けられた両方の面上に2つのコンタクト界面及び2つのエネルギ障壁を有していてもよい。金属104及び106について異なる材料を選択すること、もしくは、半導体層102の一方の面に選択的にドープすることのいずれかにより非対称のエネルギーバンド構造が形成される。
【0015】
MSMヘテロジャンクションダイオード100は、適切な半導体材料及び金属材料を用いることにより作製してもよい。半導体102は、以下に限定される訳ではないが、シリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)、シリコンゲルマニウム(SiGe)、アンチモン化アルミニウム(AlSb)、アンチモン化ガリウム(GaSb)、砒化ガリウム(GaAs)、アンチモン化インジウム(InSb)、砒化インジウム(InAs)、砒化インジウムガリウム(InGaAs)、窒化ガリウム(GaN)、リン化インジウム(InP)、セレン化カドミウム(CdSe)、テルル化カドミウム(CdTe)、硫化鉛(PbS)、テルル化鉛(PbTe)であってもよい。半導体102のいずれか一方の面に設けられた金属104及び106は、以下に限定される訳ではないが、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、金(Au)、コバルト(Co)、クロム(Cr)、銅(Cu)、ガドリニウム(Gd)、ハフニウム(Hf)、インジウム(In)、イリジウム(Ir)、マグネシウム(Mg)、マンガン(Mn)、モリブデン(Mo)、ニッケル(Ni)、鉛(Pb)、パラジウム(Pd)、プラチナ(Pt)、ロジウム(Rh)、タンタル(Ta)、チタン(Ti)、タングステン(W)及び亜鉛(Zn)であってもよい。上で列挙されたもの以外の他の適切な材料を用いてもよい。MSMダイオードのカットオフ周波数は、半導体材料及び金属材料の異なる組み合わせを選択することにより設定してもよい。
【0016】
図2a−dは、様々なMSMダイオードについてのエネルギバンドダイアグラム200、210、220及び230の一例を示す。エネルギバンドダイアグラム200、210、220及び230において、h
+及びe
−は、矢印202、212、222及び232により示された方向に沿って半導体層に放出された電荷キャリアを示す。
図2aおよび2bは、p型MSMダイオードについてのエネルギバンドダイアグラム200および210を示す。
図2cおよび2dは、n型MSMダイオードについてのエネルギバンドダイアグラム220および230を示す。
図2aは、金属M1およびM2として異なる材料を含むp型MSMダイオードを示している。
図2cは、金属M3およびM4として異なる材料を含むn型MSMダイオードを示している。
図2bは、一方の面に選択的にドープされている半導体を含むp型MSMダイオードを示している。
図2dは、一方の面に選択的にドープされている半導体を含むn型MSMダイオードを示している。半導体の一方の面が選択的にドープされた
図2bおよび2dのMSMダイオードについて、金属M5およびM6は同じ材料であってもよいし、金属M7およびM8は同じ材料であってもよい。
【0017】
図3は、MSMダイオードを製造するためのプロセス300のフローチャートである。端的に言えば、プロセス300は、積層された基板、具体的には、半導体−オン−インシュレータ(SOI)ウェハ(302)の半導体表面を選択的にドーピングすること、半導体(304)の第1の面に第1の金属を堆積させること、半導体とキャリアウェハ(306)との間に第1の金属を配置するため半導体の第1の面をキャリアウェハに接合すること、半導体(308)の第2の面を露出させるため積層された基板、具体的には、バルクの半導体基板層、および、電気的絶縁層の他の層を選択的に除去すること、半導体(310)の第2の面上に第2の金属を堆積させることを含む。
【0018】
図4は、製造の様々なステージ(a)−(f)におけるMSMダイオードの側面図である。MSMダイオードは、単結晶半導体の薄膜層、具体的には、所望の厚さ、ドーピングプロファイル、結晶配向を有するシリコン(Si)層401を含むMSMダイオードが与えられる(ステージ(a))。MSMダイオードは、ウェハスケールで製造してもよい。
【0019】
フリップ接合技術を用いて、異なる複数の金属層を、積層された基板、具体的には、シリコン層401、絶縁体(具体的には、SiO
2)層402、および、バルクシリコン基板403を含む標準的なシリコン−オン−インシュレータ(SOI)ウェハ400の半導体薄膜層401の両側面上にパターン化し堆積させてもよい。MSMヘテロジャンクションを、所望の材料の各層、具体的には、シリコン層401が、選択された金属間において得られ配置されるように、選択的化学エッチングもしくはプラズマエッチングを用いて、SOIウェハ400から製造してもよい。MSMヘテロジャンクションダイオードを製造するための技術について以下に詳細に記載する。
【0021】
MSMダイオードのアプリケーションに応じて、シリコン層401の一方の面もしくは両方の面の表面が、シリコン層401へキャリアを注入するためのオーミックコンタクトを形成するためにドープされてもよい。シリコン層401は、例えば70nmもしくはそれ未満の適切な厚さを有する。SOIウェハ400のシリコン層401の表面はまず最初に洗浄され、その後適当な方法(具体的には、インプランテーション、スピン−オン、もしくは、ガス相拡散)を用いて、適切なドーピングタイプ(ホウ素等のp型ドーパントによりドープされたp型ダイオード、及び、リン等のn型ドーパントによりドープされたn型ダイオード)、及び、濃度(具体的には、表面抵抗率を最小化するように縮退的にドープすること(縮退ドーピング:degenerate doping))、及び、深さでドープされる。
【0022】
図5は、半導体層のキャリア注入サイドにおいて表面ドーピングされたMSMダイオード506、及び、半導体層のキャリア注入サイドにおいて表面ドーピングされていないMSMダイオード508についての電流密度対電圧(J−V)特性の一例を示しているグラフ500である。グラフ500は、軸502、軸504及び曲線512を含む。軸502は、電流密度(アンペア/cm
2)である。軸504は、バイアス電圧(ボルト)である。曲線510は、MSMダイオード506についての電流密度対電圧(J−V)特性を示している。曲線512は、MSMダイオード508についての電流密度対電圧(J−V)特性を示している。
【0023】
図5のMSMダイオード506及び508のそれぞれは、コバルト(Co)層M1、シリコン層及びプラチナ(Pt)層M2を有するp型MSMダイオードであってもよい。MSMダイオードにおける直列抵抗は非常に低く、主電流制限要素もしくは速度制限要素ではないが、ダイオードが高いフォワードバイアス下にある場合(フラットバンドバイアスより高い)、コンタクトインピーダンスRcは速度制限要因となり得る。
図5に示されているように、表面ドーピングを有しないMSMダイオード508の電流は、およそ0.2Vのフラットバンドバイアス520において指数関数的曲線510から逸れ、一方、表面ドーピングを有するMSMダイオード506の電流は、フラットバンドバイアスを超えて指数関数的に上昇する。特定のアプリケーションおよびオペレーション条件に応じて、MSMダイオードは、ドープされた表面もしくはドープされていない表面を有する半導体層を含んでいてもよい。
【0025】
図4に戻る。表面ドープされたSOIウェハ400が標準的なフォトリソグラフィによりパターニングされる。パターニングされたフォトレジストは、その抵抗を上昇させるために架橋されてもよい。SOIウェハ400は、その後、(具体的には、O
2プラズマ中において)エッチングされ、パターニングされた領域において任意のフォトレジスト残留物が除去される。例えば、バッファ酸化エッチャント(BOE)においてSOIウェハ400を短期間で浸漬することにより、パターニングされた領域における任意の新たに形成された二酸化シリコンを除去する。
【0026】
SOIウェハ400を金属堆積(具体的には電子ビーム蒸着もしくはスパッタ)チャンバ内に導入する。チャンバのベース圧力が十分低いとき(具体的には、2×10
−6トール未満)、プラチナ(Pt)等の第1の金属404が堆積される(ステージ(b))。Pt層404は、Si層401により優れたコンタクトを形成するに十分大きな膜厚(具体的には、15nm)を有する。外部コネクションもしくは測定コンタクトのために十分な厚さ(具体的には、100nm)を有するアルミニウム(Al)層(不図示)を適切な速度(およそ0.1nm/秒)でPt層404上に堆積させ、確実に、優れた金属フィルム品質を得る。Pt及びAlと異なる他の金属材料を用いてもよい。
【0027】
金属層404の堆積に続いて、接着剤406を用いて、SOIウェハ400を反転させこれをキャリアウェハ405に接合する(ステージ(c))。金属層404をSi層401とキャリアウェハ405との間に配置する。接着剤406は、絶縁性接着剤であってもよいし、もしくは導電性接着剤であってもよい。表面ドープされたSOIウェハ400がパターン化されていないとき、具体的には、Pt及びAlがパターニングされていない均一な金属フィルムとして表面ドープされたSOIウェハ400上に直接ドープされるとき、SOIウェハ400をキャリアウェハ405に接合するために、例えば、導電性接着剤を使用してもよい。
【0028】
ステージ(d)において、SOIウェハ400のバルクシリコン基板403を、(具体的には、サンドペーパーを使用して切削もしくは研磨することにより)薄膜化し、(具体的には二フッ化キセノン(XeF
2)を用いて)選択的Siエッチングすることにより完全に除去し、SiO
2層402を露出させる。ステージ(e)において、SiO
2層402は、(具体的には、BOEに浸漬することにより)選択的にエッチング除去される。残った構造407は、ドープされた側面と事前に堆積された金属コンタクトとを有する薄いデバイスシリコン層401、及び、接着剤406によりキャリアウェハ405に接合された電極404を含んだものである。
【0029】
デバイスシリコン層401の他方の面上にあるPt層404に対する指定されたレジストリにより(with designated registry)、第2金属コンタクト領域を規定するため、第2のリソグラフィを実行する。エッチングに対する耐性を向上させるため、パターニングされたフォトレジストを架橋させてもよい。その後、構造407を(具体的にはO
2プラズマにおいて)エッチングし、パターンされた領域において、任意のフォトレジスト残留物を除去する。パターニングされた領域における任意の新たに形成された二酸化シリコンを、例えば、バッファ酸化物エッチャント(BOE)に短期間浸漬することにより除去する。
【0030】
構造407を金属堆積(具体的には、電子ビーム蒸着もしくはスパッタ)チャンバ内へ導入する。チャンバのベース圧力が十分に低いときに(具体的には、2×10
−6トール未満)、第2の金属(具体的にはコバルト(Co)等)の層408を堆積させる(ステージ(f))。Co層408は、Si層401との優れたコンタクトを形成するのに十分大きな厚さ(具体的には、15nm)を有する。外部接続もしくは測定コンタクトのために十分な厚さ(具体的には、100nm)を有するアルミニウム(Al)層(不図示)を適当な速度(およそ0.1nm/秒)でCo層408上に堆積させ、確実に、優れた金属フィルム品質を得る。Co及びAlと異なる他の金属材料を使用してもよい。第2の金属層408の堆積後、p型Co−Si−Ptダイオード410及び412は、いずれかの電気的測定もしくは電気付加を行うことができる状態にある。
【0031】
上述のフォトリソグラフィを、金属堆積の間浅いマスクを用いることにより置き換えてもよい。概して、フォトリソグラフィ、電子ビームリソグラフィ、及びインプリントリソグラフィを含む任意の適切なリソグラフィ技術を適用してもよい。例えば、より小さなデバイスサイズについてのフォトリソグラフィの代替として、電子ビームリソグラフィを実行してもよい。
【0032】
図6は、様々なMSMダイオード及びショットキーダイオードについての電流密度対電圧(J−V)特性の一例を示しているグラフ600及び650である。グラフ600は、軸602、軸604及び曲線610、612、614及び616を含む。軸602は、電流密度(アンペア/cm
2)である。軸604は、バイアス電圧(ボルト)である。曲線610は、p型イリジウム−シリコン−イリジウム(Ir−Si−Ir)ダイオードの予測されたセミログJ−V曲線を示す。曲線612は、p型Co−Si−Ptダイオードの実験されたセミログJ−V曲線を示す。曲線614は、n型クロム−シリコン−クロム(Cr−Si−Cr)ダイオードの実験されたセミログJ−V曲線を示す。曲線616は、Cr−Siショットキーダイオードの理論セミログJ−V曲線を示す。比較のため、
図6は、標準的なCr−Siショットキーダイオードについての計算されたJ−V曲線616と、p型Ir−Si−Ir MSMダイオードについての予測されたJ−V曲線610とを含む。実験結果は、障壁高さが低いMSMダイオード、例えば、Ni−InGaAs−Niダイオードもしくはp型Ir−Si−Irダイオードを潜在的に使用することが可能であり、ソーラー電気エネルギ変換のため、バイアスゼロにおいて、光周波数放射が効率的に整流されることを示している。さらに、
図6は、軸652、軸654、及び、曲線656を含む差し込みグラフ650を含む。軸652は、電流密度(アンペア/cm
2)である。軸654は、バイアス電圧(ボルト)である。曲線656は、p型Co−Si−Ptダイオードの線形J−V曲線を示す。
【0033】
図7a−cは、
図6の様々なMSMダイオードのJ−V曲線610、612、及び614に対応するエネルギバンドダイアグラム700、710、及び、720の一例を示す。
図7dは、
図6のショットキーダイオードの理論セミログJ−V曲線616に対応するエネルギバンドダイアグラム730の一例を示す。エネルギバンドダイアグラム700、710、720、及び、730において、h
+及びe
−は、矢印702、712、722、及び、732により示された方向に沿って半導体層に放出された電荷キャリアを表している。
【0034】
p型Co−Si−PtダイオードについてのSi層714及びn型Cr−Si−CrダイオードについてのSi層724が、5×10
15cm
−3もしくはそれ未満の濃度のドーパントでドープされていてもよい。p型Co−Si−Ptダイオードについて、Si層714の厚さはおよそ30nmであってもよく、Pt層716と接触する表面はおよそ1×10
20cm
−3の概算表面濃度でホウ素により縮退的にドープ(縮退するようにドープ、または縮退ドープ:degenerately doped)されていてもよい。n型Cr−Si−Crデバイスについて、Si層724の厚さはおよそ60nmであってもよく、Si層724の一方の面はおよそ2×10
20cm
−3の概算表面濃度でリンにより縮退的にドープされていてもよい。コンタクト抵抗Rc、すなわち、金属からSiへのキャリアトンネルインピーダンスは、Pt−Si界面、及び、Cr−Si界面のそれぞれについて、およそ5×10
−9Ωcm
2、もしくは、2×10
−8Ωcm
2と算出された。
【0035】
MSMダイオードの大きさは、当該ダイオードの上部金属コンタクトと下部金属コンタクトとの間の半導体層の断面における重畳部分により定義される。p型及びn型MSMダイオードについてのJ−V曲線によれば、以下の等式により与えられるフォワードバイアスの関数として指数関数的に上昇することが示されている:
【数1】
ここで、J
0は、飽和電流密度、Tは温度、qは電子電荷、Vはダイオードにおけるバイアス、k
Bはボルツマン定数、ηは理想係数(ideality factor)である。これは、p型及びn型デバイスの両方について1.25である。概して、これらのデバイスのシリコン層の厚さにより、熱イオン放出メカニズムに従う電流−電圧(I−V)特性となる。トンネリング寄与(tunneling contribution)は、特に低いバイアスにおいて小さくなると予測される。Co−Si−Pt及びCr−Si−Crダイオードについての対応するJ
0は、それぞれ、8.5×10
1A/cm
2もしくは1.3×10
−1A/cm
2である。これらの値は、Co−Si及びCr−SiショットキーダイオードについてJ
0の値より実質的に高い。
【0036】
本開示において記載されたMSMダイオードは、典型的なショットキーダイオードと同様のいくつかの特徴を有してもよいが、MSMダイオードは、典型的なショットキーダイオードと異なる特徴を含む。例えば、MSMダイオードにおいて、キャリアは金属エミッタから直接放出される。金属エミッタにおいて、電子密度は非常に高く、キャリアが半導体内を弾道的に移動する。さらに、金属エミッタ及び集電体の両方により、MSMダイオードにおける直列抵抗Rsは、10
−11Ωcm
2未満であってもよく、これは実質的に無視できる程であり、100THzより高いカットオフ周波数となる。
【0037】
高い電流密度のため、MSMダイオードの真正カットオフ周波数リミットは、ダイオードジャンクションからの電子コンタクトが“燃え尽きる”前においては完全には明らかにされなかった。
図6に示されたJ−V曲線に基づけば、直列抵抗の上部リミットは、当該測定のノイズレベルによれば、Co−Si−Ptダイオード及びCr−Si−Crダイオードのそれぞれについて、5×10
−9Ωcm
2もしくは3×10
−8Ωcm
2と概算されうる。
図6は、MSMダイオードの電流は、指数関数的上昇曲線からの相当のずれは示されていない。
【0038】
シリコン層が完全に使い果たされるため、MSMダイオードのキャパシタンスは、以下の式により評価されうる:
【数2】
ここで、εは誘電率、Aは装置の大きさ、及び、dはシリコン層の厚さである。1cm
2に標準化されたときのCo−Si−Ptダイオード及びCr−Si−Crダイオードのそれぞれについての対応するキャパシタンスは、それぞれ、3.5×10
−7Fもしくは1.8×10
−7Fである。カットオフ周波数は、以下の式により評価されうる:
【数3】
そして、Co−Si−Ptダイオード及びCr−Si−Crダイオードのそれぞれについて、1×10
14Hz及び3.7×10
13Hzと概算される。
【0039】
以下の表1は、様々なダイオードデバイスについての飽和電流密度J
0をまとめたものである。観測されたMSMダイオードの飽和電流密度は、実質的に、p型及びn型MSMデバイスの両方について、理想電流制限金属−半導体ジャンクションを有する従来のショットキーダイオードのものより高い。p型及びn型ダイオードについて観測されるJ
0は、典型的な熱イオン放出メカニズムを用いて算出された値より100〜1000倍高い。当該メカニズムは、あるキャリアのみが電流に寄与しうることを想定している。これらのキャリアは、障壁を超えるため、十分な運動エネルギを付与しうるそれらの速度の(ジャンクション界面に対して)垂直成分ν
⊥を有する。
【0041】
数多くの態様が記載されている。それでもなお、本明細書において記載されたプロセス及び技術の精神及び範囲から逸脱しない範囲で種々の変更を行うことができる。さらに、図面に示されたプロセスは、所望の結果を達成するため、示された特定の順序もしくは順番(sequential order)を要求しない。さらに、記載されたプロセスに他のステップを付与してもよいし、もしくは、記載されたプロセスから複数のステップを省略してもよい。他の構成要素を、記載された装置及びシステムに加えてもよいし、もしくは、省略してもよい。したがって、他の実施の形態も、以下のクレームの範囲内にある。
本明細書の開示内容は、以下の態様を含み得る。
(態様1)
第1の面と、前記第1の面に対して反対側の第2の面とを有する半導体層であって、当該半導体層は前記第1の面と前記第2の面との間に厚さを有し、前記半導体層の厚さは前記半導体層へ放出される電荷キャリアの平均自由行程に基づいている、半導体層と、
前記半導体層の前記第1の面に堆積させた第1の金属層と、
前記半導体層の前記第2の面に堆積させた第2の金属層と、を含むダイオード。
(態様2)
前記半導体層の厚さは、前記半導体層へ放出される前記電荷キャリアの平均自由行程と同じ又はそれ未満である態様1に記載のダイオード。
(態様3)
100THzを超えるカットオフ周波数を有する態様1に記載のダイオード。
(態様4)
1000THzを超えるカットオフ周波数を有する態様1に記載のダイオード。
(態様5)
前記第1の金属層及び前記第2の金属層は同一の金属を含み、前記半導体層の界面は、オーミックコンタクトの形成のため縮退ドープされている態様1に記載のダイオード。
(態様6)
前記第1の金属層は第1の金属を含み、前記第2の金属層は第2の金属を含み、前記第1の金属と前記第2の金属とは異なる金属である態様1に記載のダイオード。
(態様7)
前記半導体層の界面は、オーミックコンタクトの形成のため縮退ドープされている態様6に記載のダイオード。
(態様8)
前記半導体層は、結晶半導体及び多結晶半導体の1以上を含む態様1に記載のダイオード。
(態様9)
前記半導体層は、シリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)、シリコンゲルマニウム(SiGe)、アンチモン化アルミニウム(AlSb)、アンチモン化ガリウム(GaSb)、砒化ガリウム(GaAs)、アンチモン化インジウム(InSb)、砒化インジウム(InAs)、砒化インジウムガリウム(InGaAs)、窒化ガリウム(GaN)、リン化インジウム(InP)、セレン化カドミウム(CdSe)、テルル化カドミウム(CdTe)、硫化カドミウム(CdS)、セレン化亜鉛(ZnSe)、テルル化亜鉛(ZnTe)、硫化亜鉛(ZnS)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化チタン(TiO2)、硫化鉛(PbS)及びテルル化鉛(PbTe)の1以上を含む態様8に記載のダイオード。
(態様10)
前記第1の金属層及び前記第2の金属層は、それぞれ、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、金(Au)、コバルト(Co)、クロム(Cr)、銅(Cu)、ガドリニウム(Gd)、ハフニウム(Hf)、インジウム(In)、イリジウム(Ir)、マグネシウム(Mg)、マンガン(Mn)、モリブデン(Mo)、ニッケル(Ni)、鉛(Pb)、パラジウム(Pd)、プラチナ(Pt)、ロジウム(Rh)、タンタル(Ta)、チタン(Ti)、タングステン(W)及び亜鉛(Zn)からなる群から選択された少なくとも1種の金属を含む態様1に記載のダイオード。
(態様11)
前記ダイオードは、金属−半導体−金属ヘテロジャンクションダイオード(MSMダイオード)を含み、前記MSMダイオードは、前記半導体層と、前記第1の金属層及び前記第2の金属層のうち1以上と、の間に設けられたヘテロジャンクションをさらに備える態様1に記載のダイオード。
(態様12)
第1の面と、前記第1の面に対して反対側の第2の面とを有する半導体を提供する行程であって、当該半導体は前記第1の面と前記第2の面との間に厚さを有し、前記半導体の厚さは半導体へ放出される電荷キャリアの平均自由行程に基づいている、半導体を提供する工程と、
前記半導体の第1の面に第1の金属を堆積させる工程と、
前記半導体の第2の面に第2の金属を堆積させる工程と、を含む、ダイオード製造方法。
(態様13)
前記半導体の厚さは、前記半導体に放出される電荷キャリアの前記平均自由行程と同じ又はそれ未満である態様12に記載の方法。
(態様14)
半導体を得る工程が、
半導体を含む層と、当該半導体と異なる少なくとも1種の材料を含む1以上の他の層と、を含む多層材料の基板を得ることと、
前記半導体とキャリアウェハとの間に前記第1の金属を配置するため、前記半導体の前記第1の面を前記キャリアウェハに接合することと、
前記半導体の前記第2の面を露出させるため、前記1以上の他の層を除去することと、を含んでいる態様12に記載の方法。
(態様15)
前記半導体の前記第1の面に前記第1の金属を堆積させる工程は、前記半導体の第1の面をパターニングすることを含み、
前記半導体の前記第1の面を前記キャリアウェハに接合することは、絶縁性接着剤を使用して、前記半導体の前記第1の面を前記キャリアウェハに接合することを含む態様14に記載の方法。
(態様16)
前記半導体の前記第1の面に前記第1の金属を堆積させる工程は、前記第1の金属を、均一な金属フィルムとして、前記半導体の前記第1の面上に直接堆積させることを含み、
前記半導体の第1の面を前記キャリアウェハに接合することは、接着剤を使用して、前記半導体の前記第1の面を前記キャリアウェハに接合することを含む態様14に記載の方法。
(態様17)
前記第1の金属と前記第2の金属とは同一の金属であり、
当該方法は、オーミックコンタクトの形成のため、半導体層の表面を縮退ドープする工程をさらに含む態様12に記載の方法。
(態様18)
前記第1の金属および前記第2の金属は異なる金属である態様12に記載の方法。
(態様19)
オーミックコンタクトの形成のため、半導体層の表面を縮退ドープする工程をさらに含む態様18に記載の方法。
(態様20)
前記半導体が、結晶性半導体及び多結晶半導体の1以上を含む態様12に記載の方法。
(態様21)
前記半導体が、シリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)、シリコンゲルマニウム(SiGe)、アンチモン化アルミニウム(AlSb)、アンチモン化ガリウム(GaSb)、砒化ガリウム(GaAs)、アンチモン化インジウム(InSb)、砒化インジウム(InAs)、砒化インジウムガリウム(InGaAs)、窒化ガリウム(GaN)、リン化インジウム(InP)、セレン化カドミウム(CdSe)、テルル化カドミウム(CdTe)、硫化カドミウム(CdS)、セレン化亜鉛(ZnSe)、テルル化亜鉛(ZnTe)、硫化亜鉛(ZnS)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化チタン(TiO2)、硫化鉛(PbS)及びテルル化鉛(PbTe)の1以上を含む態様20に記載の方法。
(態様22)
前記第1の金属及び前記第2の金属は、それぞれ、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、金(Au)、コバルト(Co)、クロム(Cr)、銅(Cu)、ガドリニウム(Gd)、ハフニウム(Hf)、インジウム(In)、イリジウム(Ir)、マグネシウム(Mg)、マンガン(Mn)、モリブデン(Mo)、ニッケル(Ni)、鉛(Pb)、パラジウム(Pd)、プラチナ(Pt)、ロジウム(Rh)、タンタル(Ta)、チタン(Ti)、タングステン(W)及び亜鉛(Zn)からなる群から選択された少なくとも1種の金属を含む態様12に記載の方法。
(態様23)
第1の面と、前記第1の面に対して反対側の第2の面とを有するシリコン層であって、前記第1の面の表面は、1×1020cm−3の表面濃度でホウ素によりドープされ、当該シリコン層は前記第1の面と前記第2の面との間に厚さを有し、当該シリコン層の厚さは30nmであるシリコン層と、
当該シリコン層の前記第1の面に堆積させたプラチナ層と、
前記シリコン層と前記プラチナ層との間の第1ヘテロジャンクション界面と、
前記シリコン層の前記第2の面に堆積させたコバルト層と、
前記シリコン層と前記コバルト層との間の第2のヘテロジャンクション界面と、を含むp型金属−半導体−金属ヘテロジャンクションダイオード(MSMダイオード)。
(態様24)
第1の面と、前記第1の面に対して反対側の第2の面とを有するシリコン層であって、前記第1の面の表面は、2×1020cm−3の表面濃度でリンによりドープされ、当該シリコン層は前記第1の面と前記第2の面との間に厚さを有し、当該シリコン層の厚さは60nmであるシリコン層と、
当該シリコン層の前記第1の面に堆積させた第1のクロム層と、
前記第1のクロム層と前記シリコン層との間の第1ヘテロジャンクション界面と、
前記シリコン層の前記第2の面に堆積させた第2のクロム層と、
前記第2のクロム層と前記シリコン層との間の第2ヘテロジャンクション界面と、を含むn型金属−半導体−金属ヘテロジャンクションダイオード(MSMダイオード)。