(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記警報器を監視警報モードに切り替えるには、ユーザーは取扱い説明書を読むなどして点検スイッチの位置や操作方法を予め確認する必要があるため、使用する際のユーザーフレンドリーさという点で改善する余地が残されていた。
【0005】
本発明の目的は、より簡単な操作で低消費電力モードと監視警報モードを切り替えることのできる警報器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の警報器に係る第1特徴構成は、電源供給する電池と、光を受光すると電圧を生じる複数の受光素子と、監視警報モードと前記監視警報モード時より消費電力の少ない待機動作を行う低消費電力モードとを切り替える制御部と、を備え、前記受光素子が受光することによって、前記監視警報モードと前記低消費電力モードとを切り替え、複数の前記受光素子のうちの第一受光素子は、電源表示部の発光素子としても機能し、複数の前記受光素子のうちの第二受光素子は、警報表示部の発光素子としても機能し、前記第一受光素子及び前記第二受光素子のいずれか一方に光を照射するとモード切替が実行され、他方に光を照射すると点検動作が実行される点にある。
【0007】
〔作用及び効果〕
本構成によれば、受光素子に光(例えば、太陽光、懐中電灯、及び蛍光灯など)が当たることによって、低消費電力モードと監視警報モードを自動的に切り替えられる。そのため、例えば、ユーザーは、本構成を備える警報器の梱包を明るい室内等で解いてさえしまえば、取扱い説明書によらなくとも、警報器を低消費電力モードから監視警報モードに容易に切り替えることも可能となる。また、受光素子が発光素子としても機能するので、受光と発光のそれぞれのために素子を設ける必要がなく、設ける素子の数を減らすことができる。加えて、受光素子と発光素子を別体とすることで、例えば、発光素子による発光表示がなされているときに受光素子が受光した時と、発光素子による発光表示がなされていないときに受光素子が受光した時とで異なる制御が行われる等といったように、発光素子による発光表示と受光素子による受光との組み合わせによって、より詳細な指示を受付ける事ができる。さらに、電源表示部及び警報表示部の発光素子が、受光素子としても機能するため、ユーザーが警報表示部に光を照射することにより電圧を発生させることができる。
【0008】
第2特徴構成は、前記電源表示部に取り外し可能な遮光部材を施してある点にある。
【0009】
〔作用及び効果〕
本構成によれば、例えば、予め低消費電力モードに設定されている場合、ユーザーが遮光部材を取り外すことによって任意のタイミングで警報器を低消費電力モードから監視警報モードに容易に切り替えることができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の警報器の一つの実施形態として、本発明の特徴構成を備える火災警報器を図面に基づいて説明する。
【0012】
〔実施形態〕
図1に示すように、本実施形態の火災警報器1は、火災を検出するセンサー部2と、電源の通電状態を表示する電源表示部3と、種々の制御回路を有する制御部4と、火災発生の音声メッセージや警報音を出力するスピーカ9と、火災発生を光の点滅動作等によって表示する警報表示部10と、電源供給する図示しない電池とを備えて構成されている。
【0013】
センサー部2には、従来公知の煙検出機構、例えば、投光した光が煙によって散乱されることで生ずる散乱光を検出することで煙を感知する散乱光式煙検出機構等が備えられている。
【0014】
電源表示部3には、発光部材(例えば、発光ダイオードやフォトダイオード等)が備えられている。電源表示部3が点灯しているときは、火災警報器1が後述する監視警報モード7となっていることを示し、電源表示部3が点灯していないときは、火災警報器1が、後述する低消費電力モード8となっていることを示す。
【0015】
制御部4には、監視制御部5、及びモード設定部6が備えられている。
監視制御部5は、センサー部2からの信号を受けてその信号が所定の条件に合致するか否かを監視する監視動作を行いながら、信号が所定の条件を満たした時、即ち火災が発生したことを検出したときにスピーカ9と警報表示部10のそれぞれに火災発生の警報動作を実施させる監視警報機能を有する。さらに、監視制御部5は、通常の監視動作中に、点検動作の信号を受けた際に、スピーカ9と警報表示部10のそれぞれに警報動作を実施させる点検機能を有する。
【0016】
モード設定部6は、監視制御部5の監視警報機能を実施させる監視警報モード7と、監視制御部5の監視警報機能を停止させて、監視警報モード7時よりも消費電力の少ない待機動作を行う低消費電力モード8とを切り替えるモード切り替え機能を有する。
【0017】
警報表示部10には、発光部材(例えば、発光ダイオードやフォトダイオード等)が備えられており、通常時は非点灯状態であるが、火災発生時には、監視制御部5によって発光部材の点滅等の警報動作が実施される。
【0018】
本実施形態の火災警報器1では、図示しない電池から、図示しない電源回路を通じて、センサー部2、電源表示部3、制御部4、スピーカ9、警報表示部10等のそれぞれに適合した既定の電源電圧が出力されるように構成されている。
【0019】
(低消費電力モードと監視警報モードとの切り替え)
本実施形態の火災警報器1は、電源表示部3に光(例えば、太陽光、懐中電灯、及び蛍光灯など)が照射されることによって、低消費電力モード8と監視警報モード7とを切り替えられるように構成されている。
【0020】
電源表示部3の発光部材は、監視警報モード7において発光素子として機能して電源表示部3を点灯させる一方で、受光素子としても機能し、一定の光を受光することによって、一定の電圧(例えば、発光ダイオードの場合は約1.5V)を発生させることができる。
【0021】
例えば、本実施形態の火災警報器1を、工場出荷時において、電池を予め内部に組み付け固定し、その電池からの電源供給を受けた状態で低消費電力モード8に設定する場合がある。
【0022】
電源表示部3に光が照射されると、発光部材において電圧が発生する。火災警報器1のモード設定部6は、この電圧を検出することによって、それまで設定されていた低消費電力モード8を解除して、監視警報モード7へ切り替えるように構成されている。
【0023】
従って例えば、梱包されている火災警報器1を、明るい室内等でその梱包を解いてさえしまえば、電源表示部3に光があたって低消費電力モード8から監視警報モード7に自動的に切り替わるため、ユーザーは、取扱い説明書等を読む必要がなく、火災警報器1を低消費電力モード8から監視警報モード7に容易に切り替えることができる。
【0024】
また、電源表示部3に対して、取り外し可能な遮光部材(例えば、遮光テープ等)を施すようにしても良い。これによれば、ユーザーが梱包を解いても直ぐには使用しない場合に都合が良く、ユーザーは遮光部材を取り外すことによって任意のタイミングで警報器を低消費電力モードから監視警報モードに容易に切り替えることができる。尚、この遮光部材の上に、使用する際に取り外す旨の記載があれば確実だが、たとえそのような記載がなくとも、ユーザーは、そのような遮光部材は明らかに火災警報器1に後付けされたものであることを認識し得るため、使用する際にその遮光部材を取り外さなければならないことを感覚的に理解し得る。
【0025】
(点検動作)
本実施形態の火災警報器1は、正常に警報動作が実施されるか否かを確認するために、通常の監視動作中に、点検動作の信号として、ユーザーが警報表示部10に光を照射することによって、点検動作が実施されるように構成されている。
【0026】
警報表示部10の発光部材は、発光素子としてだけでなく、受光素子としても機能するため、ユーザーが、警報表示部10に光を照射することにより電圧を発生させることができる。
【0027】
本実施形態の火災警報器1における監視制御部5は、警報表示部10の発光部材から生じた電圧を検出することによって点検機能が発動し、点検動作として、スピーカ9と警報表示部10のそれぞれに警報動作を実施させるように設定されている。
【0028】
そのため、たとえ火災警報器1が、暗がりの中に設置されていたり、あるいはユーザーの手が届き難い狭い場所に取り付けられているような場合でも、ユーザーが、監視動作中で非点灯状態にある火災警報器1の警報表示部10に対して、懐中電灯等で光を照射しさえすれば、容易に点検作業を実施することができる。尚、本実施形態の火災警報器1では、押しボタン式の点検スイッチ等を別途設ける必要がなく、部品点数が少なくて済み構成が簡素化されるため、製造コストを抑えることができると共に、防水性能も向上する。
【0029】
また、警報表示部10に対しても、電源表示部3と同様に取り外し可能な遮光部材(例えば、遮光テープ等)を施すようにしても良い。
【0030】
(発光部材について)
上述の電源表示部3及び警報表示部10において使用される発光部材として、発光ダイオード又はフォトダイオードを使用することが望ましい。
【0031】
発光ダイオードは、一般的な部屋の明かり(例えば、数百ルクス)程度では、監視制御部5やモード設定部6が検出可能な電圧を生じさせることが難しく、太陽光や懐中電灯のようにより強い光(例えば、千ルクス以上の照度)が必要となる。そこで、発光ダイオードを使用する場合は、発電効率を高めるために、発光波長に近い波長の光を照射することが望ましい。例えば、赤色に近い光を発する発光ダイオードであれば、赤外光に近い波長の光を照射することが望ましい。
【0032】
一方、フォトダイオードは、弱い光(例えば、数ルクス程度)でも監視制御部5やモード設定部6が検出可能な電圧を生じさせることができる。ただし、フォトダイオードを使用する場合は、逆に光に対する反応性が良過ぎて使用勝手が悪くなる場合もあるため、必要に応じて火災警報器1に減衰フィルムを設けるようにしても良い。このとき、減衰フィルムを取り外し可能に構成することが望ましい。これにより、設置される部屋の明るさや、照射される光の照度に応じて、減衰率の異なる減衰フィルムを適宜交換して使用することが可能となる。尚、勿論、上述の発光ダイオードに対しても必要に応じて減衰フィルムを適用して良い。
【0033】
〔その他の実施形態〕
1.上述の実施形態において、モード設定部6によるモード切り替えの際の閾値、及び監視制御部5による点検機能を発動させるための閾値については、照射する光の照度や、照射時間を調整するなどして適宜設定して良い。
例えば、モード設定部6が、電源表示部3の発光部材に照射される光の照度に応じて生じる所定電圧(例えば、約1.5V)を所定時間(例えば、5秒以上)検出することによって、それまで設定していた低消費電力モード8を解除して、監視警報モード7へ切り替えるように構成しても良く、また監視制御部5についても同様に、警報表示部10の発光部材に照射される光の照度に応じて生じる所定電圧を所定時間検出することによって、点検機能を発動させる構成としても良い。このときのモード切り替えや、点検機能発動については、照射時間が所定時間を経過したときに実施されるように設定するか、あるいは所定時間以上照射されて、且つ照射を止めたときに実施されるよう設定しても良い。
このように構成すれば、例えば、ユーザーに使用や点検の意思がなくて電源表示部3や警報表示部10に光が偶発的に当たってしまったような場合でも、ユーザーの意思とは無関係に、低消費電力モード8から監視警報モード7へのモード切り替えや、点検動作が行われるようなことが防止される。
尚、上述の実施形態においては、モード設定部6によるモード切り替えの際の閾値と、監視制御部5による点検機能を発動させるための閾値とはそれぞれ別の値に設定されている。例えば、高照度の光を照射したときに、モード設定部6によるモード切り替えが行われ、低照度の光を照射したときに、監視制御部5による点検機能を発動するようにしたり、あるいは光を長時間照射したときに、モード設定部6によるモード切り替えが行われ、光を短時間照射したときに、監視制御部5による点検機能を発動するようにしたり、またあるいは、電源表示部3及び警報表示部10のそれぞれの発光部材を互いに別の種類とするなど、である。これにより、例えば、火災警報器1に光を照射して低消費電力モード8から監視警報モード7に切り替えるときに、誤って点検動作も一緒に実施されてしまうような状態を回避することができる。
【0034】
2.上述の実施形態においては、光照射によってモード設定部6が、低消費電力モード8から監視警報モード7へ切り替える構成のみを記載したが、これに限定されるものではなく、逆に、別条件の光照射によってモード設定部6が、監視警報モード7から低消費電力モード8へ切り替えるように構成しても良い。つまり、照射される光の照度や照射時間によって、異なるモードを選択するようにしても良い。例えば、長時間照射したときに低消費電力モード8から監視警報モード7へ切り替わり、短時間照射したときに監視警報モード7から低消費電力モード8へ切り替わるなど、である。勿論、監視制御部5についても同様であり、照射される光の照度や照射時間によって、点検動作の実施と停止とを選択するようにしても良い。例えば、長時間照射したときに点検動作が実施されて、短時間照射したときに点検動作が停止するなど、である。
【0035】
3.上述の実施形態においては、電源表示部3の発光部材は、発光素子として電源表示部3を点灯させる機能と、受光素子として電圧を発生させる機能とを兼ねているが、この構成に限定されるものではなく、専用の受光素子を別途設ける構成としても良い。また警報表示部10の発光部材は、火災発生時に発光素子として警報表示部10を点滅させる機能と、受光素子として電圧を発生させる機能とを兼ねているが、この構成に限定されるものではなく、専用の受光素子を別途設ける構成としても良い。尚、発光部材が、発光素子の機能と受光素子の機能とを兼ねる場合には、発光部材として発光ダイオードを使用することが望ましく、専用の受光素子を別途設ける場合には、当該受光素子としてフォトダイオードを使用することが望ましい。
【0036】
4.上述の実施形態の火災警報器1では、モード設定部6によるモード切り替えを行うために1つの受光素子を設ける構成を記載しているが、この構成に限定されるものはなく、さらにより多くのモードを設定し、且つそれぞれのモードに対応する複数の受光素子を設けてモードの選択や切り替えを行うような構成としても良い。
【0037】
5.上述の実施形態の火災警報器1では、点検動作として、スピーカ9と警報表示部10のそれぞれに警報動作を実施させるように構成されているが、この構成に限定されるものではなく、この他にも複数の点検動作を設定し、それら複数の点検動作のそれぞれに対応する条件を、光の照射時間、照度、及び光の種類のうちの少なくともいずれか一つを変更することによって予め設定しておき、いずれかの条件の光を選択して警報表示部10に照射することによって、前記複数の点検動作のいずれかを選択することができるように構成しても良い。また、1つの受光素子を設ける構成だけでなく、種々の点検動作を設定し、且つそれぞれの点検動作に対応する複数の受光素子を設けて点検動作の選択や切り替えを行うような構成としても良い。
【0038】
6.上述の実施形態の火災警報器1では、電源表示部3に光が照射されると、モードが切り替わり、警報表示部10に光が照射されると、点検動作が行われるが、警報表示部10に光が照射されると、モードが切り替わり、電源表示部3に光が照射されると、点検動作が行われる態様でもよい。
また、電源表示部3または警報表示部10の一方に、光が照射されると、モードの切り替え及び点検動作が行われるようにしてもよい。この場合には、照度や時間によって、モードの切り替えなのか点検動作なのかを判断するようにすればよい。
【0039】
7.本発明の警報器に係る構成は、火災警報器やガス漏れ警報器等の各種警報器だけでなく、ガス検知器などの各種検知器にも適用して良い。