特許第6648320号(P6648320)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6648320
(24)【登録日】2020年1月17日
(45)【発行日】2020年2月14日
(54)【発明の名称】光ファイバ整列用工具
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/255 20060101AFI20200203BHJP
【FI】
   G02B6/255
【請求項の数】6
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2019-14608(P2019-14608)
(22)【出願日】2019年1月30日
【審査請求日】2019年7月24日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000005186
【氏名又は名称】株式会社フジクラ
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】一色国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】グエン タオ チ タン
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 順也
(72)【発明者】
【氏名】藤原 邦彦
【審査官】 山本 貴一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−316474(JP,A)
【文献】 特開2006−350210(JP,A)
【文献】 特開平04−139407(JP,A)
【文献】 特開2011−013635(JP,A)
【文献】 特開2008−225006(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0072265(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/24−6/255,6/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の光ファイバを仕分ける複数の分離部と、前記複数の分離部の間に設けられ前記光ファイバが1本ずつ挿入されることで前記複数の光ファイバを所定の順序で整列させるファイバ挿入部と、を有するファイバ整列部と、
前記複数の光ファイバが載置される載置面と、を有し、前記ファイバ整列部を前記複数の光ファイバが並ぶ方向に移動可能なファイバ保持部と、
を備え、
前記ファイバ保持部は、前記ファイバ整列部を前記複数の光ファイバが並ぶ方向に移動させるに伴い、前記載置面よりも前記ファイバ整列部を下方に移動させることで、前記分離部による前記複数の光ファイバの仕分けを解除させる光ファイバ整列用工具。
【請求項2】
前記ファイバ保持部は、さらに、腕部から突出する肩部を有し、
前記ファイバ保持部は、前記分離部による前記複数の光ファイバの仕分けが解除された後に、前記肩部と前記ファイバ保持部の筐体とで前記光ファイバ同士を所定のピッチで配置された状態で保持する
請求項1の光ファイバ整列用工具。
【請求項3】
前記光ファイバ同士を前記所定のピッチで配置された状態は、前記複数の光ファイバ同士が互いに接している状態である
請求項2の光ファイバ整列用工具。
【請求項4】
前記ファイバ保持部は、さらに、上側レール部分と傾斜部分と下側レール部分とを有するレール部を備え、
前記ファイバ保持部は、前記レール部に沿って前記ファイバ整列部を移動させる
請求項1乃至3のいずれかの光ファイバ整列用工具。
【請求項5】
前記ファイバ保持部は、ヒンジによって開閉可能な蓋部をさらに有し、
前記蓋部と前記光ファイバ保持部の筐体とによって、前記光ファイバの光軸方向と前記複数の光ファイバが並ぶ方向とに垂直な方向に前記複数の光ファイバを挟むことが可能である
請求項1乃至4のいずれかの光ファイバ整列用工具。
【請求項6】
複数の光ファイバを仕分ける複数の分離部と、前記複数の分離部の間に設けられ前記光ファイバが1本ずつ挿入されることで前記複数の光ファイバを所定の順序で整列させるファイバ挿入部と、を有するファイバ整列部と、
前記複数の光ファイバが載置される載置面と、を有し、前記ファイバ整列部を前記複数の光ファイバが並ぶ方向に移動可能なファイバ保持部と、
を備え、
前記ファイバ整列部を前記複数の光ファイバが並ぶ方向に移動させるに伴い、前記載置面よりも前記ファイバ整列部を下方に移動させることで、前記分離部による前記複数の光ファイバの仕分けを解除させる光ファイバ整列方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバ整列用工具に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、光ファイバ敷設現場において光ファイバコードの端末に容易に組み立てることができる現場組立型光コネクタが提案されている。このような現場組立型光コネクタの一例として、工場にてあらかじめ内蔵光ファイバがフェルールに内挿固定されると共に、内蔵光ファイバの端部と光ファイバコード内の光ファイバの端部とを融着接続することで組み立てられる融着接続型の現場組立型光コネクタがある。
【0003】
例えば、特許文献1には、複数の内蔵光ファイバを有するフェルールに関して、複数の内蔵光ファイバの端部と光ファイバコード内の複数の光ファイバの端部とを融着接続することで組み立てられる融着接続型の現場組立型光コネクタが開示されている(特許文献1の図41及び図42を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2015−508188号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
光ファイバコードの端末に融着接続型の現場組立型光コネクタを組み立てる際、光ファイバコードから口出しされた複数の光ファイバを所定の順序で整列させ、保持する必要がある。しかし、光ファイバ敷設現場において複数の光ファイバを所定の順序で整列させ、保持することを手作業で行うことは困難であり、作業性が低下してしまうことが問題であった。
【0006】
本発明は、複数の光ファイバを所定の順序で整列させ、保持する作業の作業性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の幾つかの実施形態は、複数の光ファイバを仕分ける複数の分離部と、前記複数の分離部の間に設けられ前記光ファイバが1本ずつ挿入されることで前記複数の光ファイバを所定の順序で整列させるファイバ挿入部と、を有するファイバ整列部と、前記複数の光ファイバが載置される載置面と、を有し、前記ファイバ整列部を前記複数の光ファイバが並ぶ方向に移動可能なファイバ保持部と、を備え、前記ファイバ保持部は、前記ファイバ整列部を前記複数の光ファイバが並ぶ方向に移動させるに伴い、前記載置面よりも前記ファイバ整列部を下方に移動させることで、前記分離部による前記複数の光ファイバの仕分けを解除させる光ファイバ整列用工具である。
【0008】
本発明の他の特徴については、後述する明細書及び図面の記載により明らかにする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の幾つかの実施形態によれば、複数の光ファイバを所定の順序で整列させ、保持する作業の作業性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1A及び図1Bは、本実施形態の光ファイバ整列用工具10の初期状態における斜視図である。
図2図2は、本実施形態の光ファイバ整列用工具10の集合状態における斜視図である。
図3図3は、本体部12の初期状態における分解斜視図である。
図4図4A図4Dは、本実施形態の光ファイバ整列用工具10で複数の光ファイバ1を集合させる前後の様子を示す説明図である。
図5図5は、本実施形態の光ファイバ整列用工具10による複数の光ファイバ1のファイバホルダ6へのセット方法(セット手順)のフロー図である。
図6図6Aは、光ファイバ1をファイバ挿入部22に挿入した様子を示す斜視図である。図6Bは、複数の光ファイバ1を集合させた様子を示す斜視図である。
図7図7A図7Cは、比較例の光ファイバ整列用工具10におけるファイバ挿入部22に複数の光ファイバ1を挿入する様子を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
後述する明細書及び図面の記載から、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
【0012】
複数の光ファイバを整列させる光ファイバ整列用工具であって、前記複数の光ファイバを所定の順序で整列させるファイバ整列部と、前記所定の順序を維持したまま、前記複数の光ファイバが並ぶ方向に前記複数の光ファイバを挟んで保持するファイバ保持部とを有することを特徴とする光ファイバ整列用工具が明らかとなる。このような光ファイバ整列用工具によれば、複数の光ファイバを所定の順序で整列させ、保持する作業の作業性を向上させることができる。
【0013】
前記ファイバ整列部は、前記複数の光ファイバが並ぶ方向に設けられた複数の分離部を備えることが望ましい。これにより、複数の光ファイバを所定の順序で整列させることができる。
【0014】
前記ファイバ整列部は、2つの前記分離部の間に設けられたファイバ挿入部を複数備え、前記複数のファイバ挿入部に、前記光ファイバが1本ずつ挿入されることが望ましい。これにより、複数の光ファイバを所定の順序で整列させることができる。
【0015】
前記ファイバ挿入部の前記光ファイバが挿入される側にテーパ部が形成されていることが望ましい。これにより、光ファイバをファイバ挿入部に容易に挿入することができる。
【0016】
前記ファイバ保持部が前記複数の光ファイバが並ぶ方向に前記複数の光ファイバを挟んで保持する際に、前記複数の光ファイバが載置される載置部を備えることが望ましい。これにより、複数の光ファイバの所定の順序を維持したまま、複数の光ファイバが並ぶ方向に複数の光ファイバを挟んで保持することができる。
【0017】
前記ファイバ保持部が前記複数の光ファイバが並ぶ方向に前記複数の光ファイバを挟んで保持する際に、前記光ファイバの光軸方向と前記複数の光ファイバが並ぶ方向とに垂直な方向に前記複数の光ファイバを挟むことが望ましい。これにより、複数の光ファイバの所定の順序を維持したまま、複数の光ファイバが並ぶ方向に複数の光ファイバを挟んで保持することができる。
【0018】
前記ファイバ保持部が前記複数の光ファイバが並ぶ方向に前記複数の光ファイバを挟んで保持する際に、前記複数の光ファイバは、前記複数の光ファイバが並ぶ方向に移動可能となることが望ましい。これにより、複数の光ファイバの所定の順序を維持したまま、複数の光ファイバが並ぶ方向に複数の光ファイバを挟んで保持することができる。
【0019】
前記分離部が、前記載置部における前記複数の光ファイバの載置面に対して突出しないことで、前記複数の光ファイバは、前記複数の光ファイバが並ぶ方向に移動可能となることが望ましい。これにより、複数の光ファイバの所定の順序を維持したまま、複数の光ファイバが並ぶ方向に複数の光ファイバを挟んで保持することができる。
【0020】
ホルダ保持部をさらに有し、前記ホルダ保持部には、前記複数の光ファイバを前記所定の順序で保持するファイバホルダが設置されることが望ましい。これにより、複数の光ファイバを所定の順序で整列させ、保持する作業の作業性を向上させることができる。
【0021】
前記複数の光ファイバを保持する前側保持部をさらに有し、
前記ホルダ保持部は、前記ファイバ整列部と前記前側保持部との間に挟まれるように設けられることが望ましい。これにより、複数の光ファイバを所定の順序で整列させ、保持する作業の作業性を向上させることができる。
【0022】
===本実施形態===
<光ファイバ整列用工具10の全体構成>
図1A及び図1Bは、本実施形態の光ファイバ整列用工具10の初期状態における斜視図である。図2は、本実施形態の光ファイバ整列用工具10の集合状態における斜視図である。なお、図1B及び図2では、光ファイバ整列用工具10の筐体11の一部の図示を省略している。
【0023】
以下では、図1A図2に示す方向に従って説明を行うことがある。すなわち、光ファイバ整列用工具10により保持される光ファイバ1の光軸方向を前後方向とする。後述するように、本実施形態の光ファイバ整列用工具10では、本体部12と、ホルダ保持部13と、前側保持部14とが前後方向にこの順で設けられており、ホルダ保持部13に対する前側保持部14の側を「前」とし、ホルダ保持部13に対する本体部12の側を「後」とする。また、ホルダ保持部13の収容部43の底面に垂直な方向を「上下方向」とし、収容部43の底面から見てファイバホルダ6(図1A図2では不図示、後述する図6A及び図6Bを参照)が収容される側を「上」とし、逆側を「下」とする。また、前後方向及び上下方向に垂直な方向を「左右方向」とする。後述するように、本実施形態の光ファイバ整列用工具10では、スライド部18が筐体11に対して左右方向にスライド可能に設けられている。このため、左右方向のことを「スライド方向」と呼ぶことがある。また、後述するように、本実施形態の光ファイバ整列用工具10では、複数の光ファイバ1が左右方向に並ぶことになる。このため、左右方向のことを「ファイバ整列方向」、又は単に「整列方向」と呼ぶこともある。さらに、後側から前側を見たときの右側を「右」とし、左側を「左」とする。なお、本体側蓋部19のヒンジ側(又は前側蓋部40のヒンジ側)が「左」であり、開閉側が「右」である。
【0024】
光ファイバ整列用工具10は、複数の光ファイバ1を所定の順序で整列させると共に、複数の光ファイバ1を集合させる工具である。また、光ファイバ整列用工具10は、複数の光ファイバ1を集合させた状態で保持する工具でもある。光ファイバ整列用工具10で複数の光ファイバ1を所定の順序で整列させると共に、複数の光ファイバ1を集合させ、複数の光ファイバ1を集合させた状態で保持することにより、複数の光ファイバ1をファイバホルダ6に容易にセットすることができる。
【0025】
本実施形態で使用されるファイバホルダ6(図1A図2では不図示、後述する図6A及び図6Bを参照)は、複数の光ファイバ1を所定の順序で整列した状態で保持する部材である。ファイバホルダ6によって光ファイバコード内の複数の光ファイバ1を所定の順序で整列した状態で保持することにより、被覆除去、切断(カット)などの加工を複数の光ファイバ1で一括して行うことができる。さらに、ファイバホルダ6によって光ファイバコード内の複数の光ファイバ1を所定の順序で整列した状態で保持することにより、複数の光ファイバ1と、フェルールに内挿固定された複数の内蔵光ファイバとの融着接続も一括して行うことができる。
【0026】
複数の光ファイバ1と、複数の内蔵光ファイバとの融着接続を一括して行うためには、複数の光ファイバ1が所定の順序で整列した状態で保持されるだけでなく、ファイバホルダ6によって、光ファイバ1同士が所定のピッチで配置された状態で保持されることが必要である。本実施形態の光ファイバ整列用工具10では、光ファイバ1同士が所定のピッチで配置された状態で複数の光ファイバ1を保持し、ファイバホルダ6にセットすることができる。以下の説明では、光ファイバ1同士が所定のピッチで配置された状態の複数の光ファイバ1を「集合状態(の光ファイバ1)」と呼ぶことがある。本実施形態において、後述する図4C及び図6Bに示すように、集合状態の複数の光ファイバ1は、隣り合う光ファイバ1同士が互いに接しつつ、一方向(ここでは左右方向)に並んでいる状態である。但し、集合状態の光ファイバ1同士のピッチが、融着接続の対象となる内蔵光ファイバ同士のピッチ(すなわち、後述するファイバホルダ6に形成された複数の溝のピッチ)と同じであれば、隣り合う光ファイバ1同士が互いに接している状態でなくても良い。例えば、集合状態の複数の光ファイバ1は、隣り合う光ファイバ1同士が互いに接していなくても、一方向(ここでは左右方向)に集まって並んだ状態であれば良い。
【0027】
なお、「集合状態」とは、光ファイバ1同士が所定のピッチで配置された状態で複数の光ファイバ1を保持している光ファイバ整列用工具10の状態を呼ぶこともある。また、集合状態の際の光ファイバ整列用工具10の各構成(例えば、後述するファイバ整列部16やスライド部18)の位置を「集合位置」と呼ぶことがある。図2は、本実施形態の光ファイバ整列用工具10の集合状態を示しており、ファイバ整列部16及びスライド部18は集合位置に位置している。
【0028】
また、複数の光ファイバ1をファイバホルダ6へセットする作業における光ファイバ整列用工具10の初めの状態を「初期状態」と呼ぶことがある。また、初期状態の際の光ファイバ整列用工具10の各構成(例えば、後述するファイバ整列部16やスライド部18)の位置を「初期位置」と呼ぶことがある。図1A及び図1Bは、本実施形態の光ファイバ整列用工具10の初期状態を示しており、ファイバ整列部16及びスライド部18は初期位置に位置している。
【0029】
光ファイバ整列用工具10は、本体部12と、ホルダ保持部13と、前側保持部14とを有する。本体部12と、ホルダ保持部13と、前側保持部14とは、それぞれ光ファイバ整列用工具10の筐体11に設けられている部位であり、本体部12と、ホルダ保持部13と、前側保持部14とが前後方向にこの順で設けられている。すなわち、本体部12と、ホルダ保持部13と、前側保持部14とは、光ファイバ整列用工具10により保持される光ファイバ1の光軸方向に沿って設けられている。
【0030】
本体部12は、複数の光ファイバ1を所定の順序で整列させると共に、複数の光ファイバ1を集合させる部位である。また、本体部12は、複数の光ファイバ1を集合させた状態で保持する部位でもある。本体部12は、ホルダ保持部13の後側に設けられている。
【0031】
本体部12は、ファイバ整列部16と、ファイバ保持部17とを有する。
【0032】
ファイバ整列部16は、複数の光ファイバ1を所定の順序で整列させる部位である。ファイバ整列部16は筐体11の内部に収容されている。なお、ファイバ整列部16は、筐体11に対して上下方向に移動可能に設けられている。また、ファイバ整列部16は、ファイバ保持部17のスライド部18(腕部31A及び腕部31B)に挟まれるように設けられている。ファイバ整列部16の詳細な構成と動作については、後述する。
【0033】
ファイバ保持部17は、複数の光ファイバ1を集合させる部位である。また、ファイバ保持部17は、複数の光ファイバ1を集合させた状態で保持する部位でもある。ファイバ保持部17の詳細な構成と動作については、後述する。
【0034】
ホルダ保持部13は、ファイバホルダ6(図1A図2では不図示、後述する図6A及び図6Bを参照)を保持する部位である。ホルダ保持部13は、本体部12の前側に設けられ、前側保持部14の後側に設けられている。図1A図2に示すように、ホルダ保持部13には、ファイバホルダ6が収容される収容部43が設けられている。収容部43にファイバホルダ6が収容されることにより、ファイバホルダ6の光ファイバ整列用工具10に対する位置決めがなされる。本実施形態では、光ファイバ整列用工具10により保持される複数の光ファイバ1が、ファイバホルダ6に形成された複数の溝にそれぞれ収容される。このため、ファイバホルダ6の光ファイバ整列用工具10に対する位置決めがなされることで、複数の光ファイバ1をファイバホルダ6に形成された複数の溝にそれぞれ容易に収容することができる。
【0035】
前側保持部14は、複数の光ファイバ1を保持する部位である。前側保持部14は、ホルダ保持部13の前側に設けられている。前側保持部14には、前側蓋部40と、前側溝部41とが設けられている。前側蓋部40は、複数の光ファイバ1を上側から挟む部位である。前側溝部41は、複数の光ファイバ1が載置される部位である。前側溝部41に載置された複数の光ファイバ1を前側蓋部40が挟むことにより、複数の光ファイバ1を保持することができる。
【0036】
なお、本実施形態では、前側蓋部40は、光信号を透過させる透明樹脂によって成形されている。さらに、前側蓋部40にはレンズ42が形成されている。前側蓋部40が光信号を透過させる透明樹脂によって成形されていることにより、作業者は前側蓋部40を介して複数の光ファイバ1の整列状態(順序)を目視することができる。また、レンズ42が形成されていることにより、複数の光ファイバ1の整列状態の目視が拡大され、複数の光ファイバ1の整列状態(順序)を容易に確認することができる。
【0037】
<本体部12>
図3は、本体部12の初期状態における分解斜視図である。図4A図4Dは、本実施形態の光ファイバ整列用工具10で複数の光ファイバ1を集合させる前後の様子を示す説明図である。
【0038】
前述したように、本実施形態の光ファイバ整列用工具10では、本体部12は、ファイバ整列部16と、ファイバ保持部17とを有する。また、前述したように、ファイバ整列部16は、複数の光ファイバ1を所定の順序で整列させる部位である。また、前述したように、ファイバ保持部17は、複数の光ファイバ1を集合させ、複数の光ファイバ1を集合させた状態で保持する部位でもある。
【0039】
・ファイバ整列部16
ファイバ整列部16には、識別部20と、分離部21と、ピン23(ピン23A及びピン23B)とが設けられている。
【0040】
識別部20は、複数の光ファイバ1をファイバ整列部16に挿入する際に、複数の光ファイバ1をそれぞれ識別するため部位である。識別部20は、左右方向に複数設けられており、複数の光ファイバ1の識別色に対応してそれぞれ着色が施されている。後述するように、複数の識別部20に対応するように、左右方向に複数のファイバ挿入部22が設けられている。作業者は、光ファイバ1の識別色と同じ色の識別部20の近傍に設けられたファイバ挿入部22に光ファイバ1を挿入することで、容易に複数の光ファイバ1を所定の順序で各ファイバ挿入部22に挿入することができる。なお、図3に示すように、本実施形態の本体部12では、複数の識別部20は、複数のファイバ挿入部22の後側に設けられている。これにより、光ファイバ1を後側から前側の方向に光ファイバ1を挿入する際に、光ファイバ1の識別色と識別部20の色とを容易に対応させることができる。但し、光ファイバ1の識別色と識別部20の色とを対応させることができる程度に識別部20がファイバ挿入部22の近傍に設けられていれば、複数の識別部20は、複数のファイバ挿入部22の後側に設けられていなくても良い。
【0041】
分離部21は、複数の光ファイバ1を1本ずつに仕分ける部位である。分離部21は、前後方向に延在する壁として設けられている。本実施形態では、光ファイバコードから口出しされた複数(ここでは、12本)の光ファイバ1を1本ずつに仕分けるために、複数(ここでは、11個)の分離部21が設けられている。複数の分離部21は、左右方向に並んでおり、分離部21同士の間がファイバ挿入部22となる。但し、ファイバ整列部16の左右方向の端部では、分離部21と筐体11との間がファイバ挿入部22となる。このように形成された複数(ここでは、12個)のファイバ挿入部22に対して、複数の光ファイバ1をそれぞれ1本ずつ挿入することで、複数の光ファイバ1を1本ずつに仕分けることができる。なお、ファイバ挿入部22(分離部21)の個数は光ファイバコードから口出しされた光ファイバ1の本数に応じて変更して設けることができる。なお、図3に示すように、本実施形態では、後述する本体側蓋部19を閉じる際に、分離部21には左右方向に延在する溝24が形成されている。壁24は後述する本体側蓋部19の凸部33が収容される部位である。
【0042】
前述したように、識別部20により、複数の光ファイバ1を所定の順序で各ファイバ挿入部22に挿入することができる。ファイバ挿入部22同士の間は、分離部21によって隔てられている。つまり、複数の光ファイバ1がファイバ挿入部22に挿入された状態では、光ファイバ1同士の間は分離部21によって隔てられている。これにより、複数の光ファイバ1を所定の順序で整列させることができる。
【0043】
なお、図3に示すように、本実施形態では、分離部21の後側にテーパ部が形成されている。具体的には、テーパ部は前側から後側に向かって左右方向の幅が小さくなるように形成されている。そうすると、ファイバ挿入部22は、光ファイバ1を挿入する側(後側)に行くほど広がって形成されていることになる。これにより、ファイバ挿入部22に光ファイバ1を容易に挿入させることができる。
【0044】
ピン23は、ファイバ整列部16から突出する部位である。本実施形態では、2つのピン23(ピン23A及びピン23B)が設けられている。ピン23Aがファイバ整列部16の後側に設けられ、ピン23Bがファイバ整列部16の前側に設けられている。但し、図3では、ピン23Bは図示していない。ピン23(ピン23A及びピン23B)は、後述するスライド部18に設けられたレール部30(30A及び30B)に挿入されている。なお、ピン23は、レール部30に対して移動可能に設けられている。ピン23がレール部30を移動することで、ファイバ整列部16全体が移動することになる。
【0045】
・ファイバ保持部17
ファイバ保持部17は、スライド部18と、本体側蓋部19とを有する。
【0046】
スライド部18は、初期状態と集合状態とを切り替える部位である。スライド部18は、筐体11に対して左右方向に移動可能に設けられている。
【0047】
スライド部18には、レール部30(レール部30A及びレール部30B)と、腕部31(腕部31A及び腕部31B)と、肩部32(肩部32A及び肩部32B)とが設けられている。
【0048】
レール部30は、ファイバ整列部16のピン23が挿入される部位である。本実施形態では、2つのレール部30(レール部30A及びレール部30B)が設けられている。レール部30Aがスライド部18の後側に設けられ、レール部30Bがスライド部18の後側に設けられている。そして、レール部30Aにピン23Aが挿入され、レール部30Bにピン23Bが挿入されている。前述したように、ピン23Aとピン23Bとは、レール部30Aとレール部30Bとに対してそれぞれ移動可能に設けられている。
【0049】
図4A及び図4Cに示すように、レール部30は、上側レール部分44と、傾斜部分45と、下側レール部分46とからなる。但し、図4A及び図4Cでは、レール部30Aにおける上側レール部分44Aと、傾斜部分45Aと、下側レール部分46Aとを図示し、レール部30Bにおける上側レール部分44Bと、傾斜部分45Bと、下側レール部分46Bとを図示していない。上側レール部分44と、傾斜部分45と、下側レール部分46とは、一体的に形成された開口部となっており、上側レール部分44と、傾斜部分45と、下側レール部分46との間をピン23が自在に移動できるようになっている。
【0050】
上側レール部分44は、ファイバ整列部16が初期位置となる際にピン23が位置するレール部30の部分である。上側レール部分44は、下側レール部分46よりも上側に位置している。上側レール部分44にピン23が位置している際のファイバ整列部16は、初期位置となっており、複数のファイバ挿入部22に対して複数の光ファイバ1をそれぞれ挿入することが可能な状態である。複数のファイバ挿入部22に複数の光ファイバ1が挿入されると、分離部21によって光ファイバ1同士が隔てられ、複数の光ファイバ1の所定の順序が維持された状態となっている。
【0051】
傾斜部分45は、ファイバ整列部16が初期位置と集合位置との間を移動する際にピン23が位置するレール部30の部分である。傾斜部分45は、上側レール部分44と下側レール部分46とを接続する部分である。前述したように、上側レール部分44は、下側レール部分46よりも上側に位置している。このため、傾斜部分45は、上側レール部分44から下側レール部分46にかけて傾斜した部分となっている。
【0052】
下側レール部分46は、ファイバ整列部16が集合位置となる際にピン23が位置するレール部30の部分である。下側レール部分46は、上側レール部分44よりも下側に位置している。下側レール部分46にピン23が位置している際のファイバ整列部16は、集合位置となっており、分離部21が下方へ移動し光ファイバ1同士が隔てられていない状態である。しかし、複数の光ファイバ1は、後述する橋部15と本体側蓋部19の凸部33との間に挟まれた状態になっており、複数の光ファイバ1の所定の順序が維持された状態である。
【0053】
腕部31は、複数の光ファイバ1が載置される場所である。本実施形態では、初期位置と集合位置との両方で複数の光ファイバ1が腕部31に載置される。なお、腕部31のことを載置部31と呼ぶことがある。つまり、後述するように、集合状態において分離部21が下方へ移動した後でも、複数の光ファイバ1は腕部31に載置されたままである。図3に示すように、本実施形態では、2つの腕部31(腕部31A及び腕部31B)が設けられている。それぞれの腕部31は、スライド部18の上側端部において左側に延び出るように形成されている。腕部31A及び腕部31Bのそれぞれの上面(以下、「載置面」と呼ぶことがある)に光ファイバ1が載置されることになる。
【0054】
肩部32は、筐体11と共に複数の光ファイバ1を挟んで保持する部位である。肩部32は、腕部31の右側端部において上側に突出する部位である。本実施形態では、2つの肩部32(肩部32A及び肩部32B)が設けられている。肩部32Aが腕部31Aから突出し、肩部32Bが腕部31Bから突出している。図4Cに示すように、本実施形態では、肩部32は、集合状態において筐体11と共に複数の光ファイバ1を挟んで保持する。
【0055】
本体側蓋部19は、筐体11の橋部15と共に、複数の光ファイバ1を上下方向から挟む部位である。図4B及び図4Dに示すように、初期位置と集合位置との両方で本体側蓋部19に設けられた凸部33と、筐体11に設けられた橋部15との間で複数の光ファイバ1が挟んで保持されている。これにより、初期状態から集合状態にかけて複数の光ファイバ1は挟んで保持されているので、複数の光ファイバ1の所定の順序が維持された状態となっている。但し、後述するように、分離部21が下方へ移動してから集合状態にかけて、複数の光ファイバ1が所定の順序を保ったまま左右方向の移動をすることは可能である。
【0056】
<本体部12の動作>
図4A及び図4Bは、初期状態において複数の光ファイバ1をファイバ挿入部22(ファイバ整列部16)に挿入したときの光ファイバ整列用工具10を示している。図4Aは、光ファイバ整列用工具10を後側から前側を見たときの光ファイバ整列用工具10の側面図を示している。また、図4Bは、左右方向に垂直な面で切ったときの光ファイバ整列用工具10の断面図を示している。
【0057】
図4Aに示すように、初期状態のスライド部18は、右側に位置している。このとき、ピン23は上側レール部分44の左端に位置している。これにより、ファイバ整列部16の底面が腕部31の光ファイバ1の載置面よりも上側に位置することになり、分離部21が複数の光ファイバ1を1本ずつに仕分けることが可能な状態となっている。つまり、作業者が複数の光ファイバ1を1本ずつファイバ挿入部22に挿入可能となる。言い換えれば、作業者は、複数の光ファイバ1を各ファイバ挿入部22に対してランダムに挿入していくことができる。
【0058】
図4A及び図4Bに示す初期状態から、作業者がスライド部18を左側にスライドさせると、ピン23は上側レール部分44から傾斜部分45に移動する。前述したように、傾斜部分45は、上側レール部分44と下側レール部分46とを接続し、上側レール部分44から下側レール部分46にかけて傾斜した部分である。このため、スライド部18のスライドに沿ってピン23は傾斜部分45を進むことになる。したがって、ピン23が傾斜部分45を進むことにより、ピン23(ファイバ整列部16)がスライド部18に対して下方へ移動することになる。すなわち、ピン23が傾斜部分45を進むことにより、分離部21が下方へ移動することになる。
【0059】
図4C及び図4Dは、集合状態の光ファイバ整列用工具10を示している。図4Cは、光ファイバ整列用工具10を後側から前側を見たときの光ファイバ整列用工具10の側面図を示している。また、図4Dは、左右方向に垂直な面で切ったときの光ファイバ整列用工具10の断面図を示している。
【0060】
前述した状態からさらに作業者がスライド部18を左側にスライドさせると、ピン23は傾斜部分45から下側レール部分46に移動する。これにより、ファイバ整列部16の底面が腕部31の光ファイバ1の載置面よりも下側に位置することになり、分離部21による複数の光ファイバ1の仕分けが解除された状態となっている。つまり、複数の光ファイバ1が左右方向の移動をすることが可能になる。但し、前述したように、複数の光ファイバ1は、凸部33と、橋部15との間で上下方向から挟まれて保持されている状態なので、複数の光ファイバ1の所定の順序は保たれたままである。
【0061】
図4Dに示すように、集合状態のスライド部18は、左側に位置している。このとき、ピン23は下側レール部分46の右端に位置している。これにより、肩部32と筐体11とが複数の光ファイバ1を挟んで保持する状態となっている。つまり、複数の光ファイバ1の所定の順序を維持したまま、複数の光ファイバ1が並ぶ方向(左右方向)に複数の光ファイバ1を挟んで保持する状態となっている。
【0062】
<複数の光ファイバ1のファイバホルダ6へのセット方法(セット手順)>
図5は、本実施形態の光ファイバ整列用工具10による複数の光ファイバ1のファイバホルダ6へのセット方法(セット手順)のフロー図である。
【0063】
まず、作業者は、複数の光ファイバ1を各ファイバ挿入部22にそれぞれ収容する(S101)。作業者は、複数の光ファイバ1を各ファイバ挿入部22にそれぞれ収容する前に、光ファイバ整列用工具10が初期状態であることを確認する。すなわち、前述の図4Aに示すように、スライド部18が右側に位置していることを確認する。初期状態では、ファイバ整列部16の底面が腕部31の光ファイバ1の載置面よりも上側に位置することになり、分離部21が複数の光ファイバ1を1本ずつに仕分けることが可能な状態となっており、作業者が複数の光ファイバ1を各ファイバ挿入部22に対してランダムに挿入可能な状態となっている。
【0064】
図6Aは、光ファイバ1をファイバ挿入部22に挿入した様子を示す斜視図である。前述したように、本実施形態では、複数(ここでは、12個)のファイバ挿入部22が設けられている。ファイバ挿入部22同士の間は、分離部21によって隔てられている。このため、作業者は、複数の光ファイバ1を各ファイバ挿入部22に対してランダムに挿入していくことができる。すなわち、複数のファイバ挿入部22の内、右側から順番に光ファイバ1を挿入していく必要がない。図6Aに示すように、任意のファイバ挿入部22に対して光ファイバ1を挿入することができる。このとき、前述したように、光ファイバ1の識別色と識別部20の色とを対応させて、所定のファイバ挿入部22に光ファイバ1を挿入する。これにより、複数の光ファイバ1を所定の順序で容易に整列させることができる。
【0065】
次に、作業者は、スライド部18をスライドする(S102)。作業者は初期状態において右側に位置していたスライド部18を左側にスライドすることになる。これにより、ピン23は上側レール部分44から傾斜部分45に移動する。そうすると、ピン23が傾斜部分45を進むことにより、ピン23(ファイバ整列部16)がスライド部18に対して下方へ移動することになる。すなわち、ピン23が傾斜部分45を進むことにより、分離部21が下方へ移動することになる。作業者がさらにスライド部18を左側にスライドすると、ピン23は傾斜部分45から下側レール部分46に移動する。これにより、ファイバ整列部16の底面が腕部31の光ファイバ1の載置面よりも下側に位置することになる。すなわち、複数の光ファイバ1の所定の順序を保ったまま左右方向の移動をすることが可能となっている。集合位置までスライド部18をスライドさせることにより、複数の光ファイバ1の所定の順序を維持したまま、複数の光ファイバ1が並ぶ方向に複数の光ファイバ1を挟んで保持することができる。
【0066】
次に、作業者は、複数の光ファイバ1をファイバホルダ6の各溝にそれぞれ収容する(S103)。
【0067】
図6Bは、複数の光ファイバ1を集合させた様子を示す斜視図である。前述したように、集合状態では、光ファイバ1同士が所定のピッチで配置された状態で複数の光ファイバ1が保持されている。このため、作業者は、ファイバホルダ6の上から複数の光ファイバ1を前後方向に撫でるように抑えることで、容易に複数の光ファイバ1をファイバホルダ6の各溝に収容することができる。
【0068】
次に、作業者は、ファイバホルダ6のカバーを閉じて複数の光ファイバ1を保持する(S104)。これにより、複数の光ファイバ1がファイバホルダ6によって保持されることになる。
【0069】
次に、作業者は、前側保持部14で複数の光ファイバ1を保持し(S105)、複数の光ファイバ1の順序を確認する(S106)。前述したように、前側保持部14は、光信号を透過させる透明樹脂によって成形されており、レンズ42が形成されていることにより、作業者は、複数の光ファイバ1の整列状態(順序)の目視が拡大され、複数の光ファイバ1の整列状態(順序)を容易に確認することができる。
【0070】
最後に、作業者は、複数の光ファイバ1を保持するファイバホルダ6をホルダ保持部13から取り出す(S107)。
【0071】
<比較例>
図7A図7Cは、比較例の光ファイバ整列用工具10におけるファイバ挿入部22に複数の光ファイバ1を挿入する様子を示す説明図である。なお、図7A図7Cでは、説明を容易にするために、ファイバ整列部16のみ図示している。
【0072】
図7Aに示すように、比較例の光ファイバ整列用工具10では、ファイバ整列部16に分離部21が設けられていない。このため、図7Bに示すように、比較例の光ファイバ整列用工具10では、ファイバ整列部16に設けられた一つのファイバ挿入部22に全ての複数の光ファイバ1が挿入されることになる。
【0073】
ところで、比較例の光ファイバ整列用工具10においても、複数の光ファイバ1を所定の順序で整列させることができる。すなわち、ファイバ挿入部22の上下方向の幅は、光ファイバ1の外径とほぼ同じ大きさで形成されている。したがって、図7Bに示すように、右側から詰めて光ファイバ1を挿入していくことで、全ての複数の光ファイバ1を挿入したときに、所定の順序で整列させることができる。
【0074】
ところが、右側に詰められた挿入済の光ファイバ1は、それぞれ左右方向に移動可能である。このため、図7Cに示すように、右側に詰められるべき光ファイバ1が左側に移動してしまい、光ファイバ1同士の間に空間が空いてしまうことがある。この空いた空間に挿入対象の光ファイバ1を誤って挿入してしまい、誤った順序で整列してしまうことがある。この問題は、複数の光ファイバを所定の順序で整列させることを手作業で行う現場組立型光コネクタでは特に顕著であった。
【0075】
しかし、本実施形態の光ファイバ整列用工具10では、ファイバ挿入部22同士の間は、分離部21によって隔てられている。つまり、複数の光ファイバ1がファイバ挿入部22に挿入された状態では、光ファイバ1同士の間は分離部21によって隔てられている。このため、光ファイバ1同士の間に空間が空いてしまい、この空いた空間に挿入対象の光ファイバ1を誤って挿入してしまい、誤った順序で整列してしまうことを抑制することができる。これにより、複数の光ファイバ1を所定の順序で整列させ、保持する作業の作業性を向上させることができる。
【0076】
===その他===
前述の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更・改良され得ると共に、本発明には、その等価物が含まれることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0077】
1 光ファイバ、6 ファイバホルダ、10 光ファイバ整列用工具、
11 筐体、12 本体部、13 ホルダ保持部、
14 前側保持部、15 橋部、16 ファイバ整列部、
17 ファイバ保持部、18 スライド部、19 本体側蓋部、
20 識別部、21 分離部、22 ファイバ挿入部、
23A・23B ピン、24 溝、30A・30B レール部、
31A・31B 腕部、32A・32B 肩部、33 凸部、
40 前側蓋部、41 前側溝部、42 レンズ、
43 収容部、44A・44B 上側レール部分、
45A・45B 傾斜部分、46A・46B 下側レール部分
【要約】      (修正有)
【課題】複数の光ファイバを所定の順序で整列させ、保持する作業の作業性を向上させる。
【解決手段】光ファイバ敷設現場において、複数の光ファイバ1を整列させる光ファイバ整列用工具10であって、複数の光ファイバ1を所定の順序で整列させるファイバ整列部16と、所定の順序を維持したまま、複数の光ファイバ1が並ぶ方向に複数の光ファイバ1を挟んで保持するファイバ保持部17とを有することを特徴とする光ファイバ整列用工具10である。
【選択図】図4
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7