特許第6648543号(P6648543)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6648543
(24)【登録日】2020年1月20日
(45)【発行日】2020年2月14日
(54)【発明の名称】プラント機器状態収集システム
(51)【国際特許分類】
   G05B 23/02 20060101AFI20200203BHJP
【FI】
   G05B23/02 V
【請求項の数】3
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2016-20244(P2016-20244)
(22)【出願日】2016年2月4日
(65)【公開番号】特開2016-157433(P2016-157433A)
(43)【公開日】2016年9月1日
【審査請求日】2018年12月14日
(31)【優先権主張番号】特願2015-30877(P2015-30877)
(32)【優先日】2015年2月19日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000231512
【氏名又は名称】日本精機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】太田 聡
(72)【発明者】
【氏名】増田 英樹
【審査官】 藤井 浩介
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−77128(JP,A)
【文献】 特開2009−32206(JP,A)
【文献】 特開2008−71157(JP,A)
【文献】 特開2006−209594(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/111329(WO,A1)
【文献】 特開2001−315920(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 23/00−23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出装置と、携帯端末と、ネットワーク構築装置と、データ記憶装置とを備え、
前記検出装置は、プラント内に配置されたプラント機器の状態を検出する検出部と、前記ネットワーク構築装置によって構築されるネットワークに接続可能なネットワーク接続部と、日時を計時する計時部と、前記検出装置を特定する特定情報と日時情報を記憶し、前記携帯端末に前記特定情報と前記日時情報とを非接触で送信可能なタグ部とを有し、少なくとも前記検出部が検出した前記プラント機器の前記状態及び前記特定情報を、前記ネットワークを介して前記ネットワーク構築装置に送信し、
前記データ記憶装置は、少なくとも前記ネットワーク構築装置から受信する前記プラント機器の前記状態及び前記検出装置の前記特定情報を記憶する記憶部を有し、
前記携帯端末は、前記タグ部に記憶される前記特定情報と前記日時情報とを非接触で自動的に取得可能なタグ制御部を有し、かつ前記データ記憶装置と通信可能に構成されており、予め任意の前記検出装置の前記特定情報を選択し、前記タグ部から取得した前記特定情報と選択した前記特定情報とが一致するか否かを判定し、これらが一致する場合に、前記タグ部から取得した前記日時情報と同期して日時を計時し、前記プラント機器に対する所定の作業内容を示す作業内容情報とともに選択した前記特定情報と計時した作業完了日時情報を前記データ記憶装置に送信可能とするプラント機器状態収集システム。
【請求項2】
前記計時部は、前記ネットワークを介して他の検出装置、前記ネットワーク構築装置及び/あるいは前記データ記憶装置と同期して日時を計時する、請求項1に記載のプラント機器状態収集システム。
【請求項3】
前記携帯端末は、前記タグ部から取得した前記特定情報と前記データ記憶装置から取得した前記特定情報とが一致したか否かを報知する報知部を備えてなる、請求項1に記載のプラント機器状態収集システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラント機器状態収集システムに関する。本発明は、特に、プラント機器の作業情報を正確に管理するプラント機器状態収集システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、スチームトラップの無線遠隔作動判定装置(プラント機器状態収集システム)が開示されている。特許文献1に記載されているプラント機器状態収集システムは、プラント機器の1つであるスチームトラップの作動に伴う温度及び振動等を検出し、スチームトラップの作動状態の良否を判定するものである。特許文献1に記載されているプラント機器状態収集システムは、スチームトラップと1対1に対応づけた発信帯域を有してスチームトラップに取り付けられる発信装置(検出装置)と、受信帯域可変型の受信部を有する作動判定装置とを含む。
【0003】
特許文献1に記載されているプラント機器状態収集システムの検出装置は、取り付けられたスチームトラップの特定情報及び測定条件等を記憶する記憶部が設けられており、検出したスチームトラップの温度及び振動のデータを特定情報及び測定条件等とともに送信する。特許文献1に記載されているプラント機器状態収集システムの作動判定装置は、検出装置が有する発信帯域に受信帯域が調整されることによって、検出装置から送信されるスチームトラップの温度、振動、特定情報及び測定条件等を受信することができる。特許文献1に記載されているプラント機器状態収集システムの作動判定装置は、受信したスチームトラップの温度、振動、特定情報及び測定条件等に基づいて、そのスチームトラップの作動状態を判定することができる。
【0004】
このように、特許文献1に記載されているプラント機器状態収集システムでは、作業担当者がスチームトラップの温度及び振動等を検出するために作動判定装置をスチームトラップに直接接触させる必要がない。また、スチームトラップの作動判定を行う度に、作業担当者が作動判定対象のスチームトラップの特定情報及び測定条件等を作動判定装置に入力する必要がない。したがって、特許文献1に記載されているプラント機器状態収集システムは、スチームトラップの作動判定に係る作業担当者の労力を軽減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特公平7−35880号公報
【特許文献2】特開2011−86012号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1に記載されているプラント機器状態収集システムでは、測定対象のスチームトラップの作動判定を行うときは、作業担当者が所望のスチームトラップに対応付けられている特定の発信帯域に作動判定装置の受信部の受信帯域を調整する必要がある。さらに、そのプラント機器状態収集システムでは、測定対象のスチームトラップに取り付けられている検出装置が送信するデータを受信できるエリア内に入るように、作業担当者が作動判定装置を携帯して移動する必要がある。そうすると、特許文献1に記載されているプラント機器状態収集システムでは、作動状態が異常状態であるスチームトラップの発見が迅速に実行できないことが想定される。この問題は、プラントが巨大化するに応じて、又、プラント機器が増加するに応じてより顕著になることが想定される。
【0007】
この問題を解決するために、例えば、複数の検出装置を無線ネットワークで接続することが考えられる。複数の検出装置を無線ネットワークで接続することによって、作動判定装置の受信部の受信帯域を測定対象のスチームトラップ毎に調整することなく、複数のスチームトラップの作動状態を同時に判定することができる。プラント機器を無線ネットワークで接続するという思想は、特許文献2に開示されている。
【0008】
また、プラント内では検出装置が検出したプラント機器の状態が異常である場合のメンテナンス作業(修理、交換)、点検作業あるいは日常運行作業などの作業者が手作業で行う作業が多く発生する。一般的には、作業を行ったプラント機器に設置された検出装置の機器ID、作業内容及び作業日時といった作業に関する情報は、プラント内の端末を利用して作業者が情報を手入力して作業日報情報としてサーバに送信したり、紙の台帳に記入したりして管理されている。
【0009】
しかしながら、このような管理方法では、情報の入力作業が煩雑であり、特に作業日時が作業者の記憶に頼った入力となるため、正確な作業情報の管理を行う点で改良の余地があった。
【0010】
本発明は、前述の課題を鑑みてなされたものであり、プラント機器に対する作業情報の管理をより正確に行うことを可能とするプラント機器状態収集システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のプラント機器状態収集システムは、検出装置と、携帯端末と、ネットワーク構築装置と、データ記憶装置とを備え、
前記検出装置は、プラント内に配置されたプラント機器の状態を検出する検出部と、前記ネットワーク構築装置によって構築されるネットワークに接続可能なネットワーク接続部と、日時を計時する計時部と、前記検出装置を特定する特定情報と日時情報を記憶し、前記携帯端末に前記特定情報と前記日時情報とを非接触で送信可能なタグ部とを有し、少なくとも前記検出部が検出した前記プラント機器の前記状態及び前記特定情報を、前記ネットワークを介して前記ネットワーク構築装置に送信し、
前記データ記憶装置は、少なくとも前記ネットワーク構築装置から受信する前記プラント機器の前記状態及び前記検出装置の前記特定情報を記憶する記憶部を有し、
前記携帯端末は、前記タグ部に記憶される前記特定情報と前記日時情報とを非接触で自動的に取得可能なタグ制御部を有し、かつ前記データ記憶装置と通信可能に構成されており、予め任意の前記検出装置の前記特定情報を選択し、前記タグ部から取得した前記特定情報と選択した前記特定情報とが一致するか否かを判定し、これらが一致する場合に、前記タグ部から取得した前記日時情報と同期して日時を計時し、前記プラント機器に対する所定の作業内容を示す作業内容情報とともに選択した前記特定情報と計時した作業完了日時情報を前記データ記憶装置に送信可能とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、プラント機器に対する作業情報の管理をより正確に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明のプラント機器状態収集システムの全体構成の例を示す図である。
図2A図1に示されるプラント機器状態収集システムの各構成要素の内部構造の例を示す図である。
図2B図1に示されるネットワーク構築装置が記憶するネットワーク構築情報及び図1に示されるデータ記憶装置が記憶するプラント情報のデータ構造の例を示す図である。
図2C図2Aに示される携帯端末のタグ制御部による、検出装置のタグ部への情報の記憶及びタグ部からの情報の取得の動作の一例を示す図である。
図3A図1に示されるプラント機器状態収集システムがプラント機器の状態を収集する動作の例を示すフローチャートである。
図3B図3Aに示される動作で使用されるデータ構造の例を示す図である。
図3C図3Aに示される動作で表示されるノートパソコンの表示例を示す図である。
図4A図3Aに示される動作で収集したプラント機器の状態に基づいて、メンテナンス作業を行うときの動作の例を示すフローチャートである。
図4B図4Aに示される動作で使用されるデータ構造の例を示す図である。
図4C図4Aに示される動作で表示されるノートパソコンの表示例を示す図である。
図4D図4Aに示される動作で表示される携帯端末の表示例を示す図である。
図4E図4Aに示される動作で表示される携帯端末の表示例を示す図である。
図4F図4Aに示される動作で表示される携帯端末の表示例及び音声出力される携帯端末の音声例を示す図である。
図4G図4Aに示される動作で表示される携帯端末の表示例及び音声出力される携帯端末の音声例を示す図である。
図4H図4Aに示される動作で表示される携帯端末の表示例を示す図である。
図4I図4Aに示される動作で表示される携帯端末の表示例を示す図である。
図4J図4Aに示される動作で表示される携帯端末の表示例を示す図である。
図4K図4Aに示される動作で表示されるノートパソコンの表示例を示す図である。
図4L図4Aに示される動作で表示されるノートパソコンの表示例を示す図である。
図5】検出装置の別例を示す図である。
図6A】別例の検出装置を含むプラント機器状態収集システムがプラント機器の状態を収集する動作の例を示すフローチャートである。
図6B図6Aに示される動作で使用されるデータ構造の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の好ましい実施形態について説明する。なお、本発明は以下に説明される実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変更(構成要素の削除を含む)等が可能であることは勿論である。
【0015】
《1.全体の構成》
図1に示されるように、プラント機器状態収集システム1は、検出装置10とネットワーク構築装置20とデータ記憶装置30と携帯端末40とを備える。検出装置10は、複数個備えられ、各検出装置10は、図示されていないプラント内に配置される複数のプラント機器のうち対応するプラント機器に取り付けられる。複数の検出装置10は、ネットワーク構築装置20が構築する例えば無線LAN(Local Area Network)及びZigBee(登録商標)等の規格を用いた無線センサネットワーク(Wireless Sensor Network;WSN)に接続することができる。WSNは、いわゆるメッシュ型ネットワークであることが好ましい。すなわち、複数の検出装置10がネットワーク構築装置20と接続し、各検出装置10(例えば、検出装置10−b)は、それ自身が隣接する他の1または複数の検出装置10(例えば、検出装置10−a及び検出装置10−c)とも接続することが好ましい。また、ネットワーク構築装置20から距離が離れていること等によってWSNと直接接続できない検出装置10(例えば、検出装置10−a)が存在するときは、プラント機器状態収集システム1は中継器50を更に備えて、WSNの接続可能範囲を補間してもよい。
【0016】
ネットワーク構築装置20は、3G回線またはLTE(Long Term Evolution)回線等のモバイル通信を利用可能に構成されている。以下、「3G回線またはLTE回線等のモバイル通信」を「3G/LTE」とも呼ぶ。ネットワーク構築装置20は、3G/LTEを介してデータ記憶装置30と通信可能に構成されている。図1に示される例では、3個の検出装置10−a,10−b,10−cがネットワーク構築装置20によって構築されるWSNに接続されるように示されているが、WSNに接続される検出装置10は、4個以上であってもよく、1または2個であってもよい。また、実際のプラント機器状態収集システム1では、複数のネットワーク構築装置(図1のネットワーク構築装置20及び図示されていない他の1または複数のネットワーク構築装置)が備えられている。図示されていない他の1または複数のネットワーク構築装置には、図1と同様に、図示されていない複数の検出装置が接続されている。
【0017】
図2Aには、図1に示されるプラント機器状態収集システム1の各構成要素の内部構成の例が示される。図2Aに示される検出装置10は、制御部11、検出部12、ネットワーク接続部13、タグ部14及び報知部15を有する。検出装置10は、図示されていない電源ケーブル等で電力を供給することが困難な場所に取り付けられることが想定されるため、更にバッテリ16を有していることが好ましい。また、検出装置10は、例えば制御部11、検出部12、ネットワーク接続部13、タグ部14及び報知部15の少なくとも1つに対して、電源ケーブルまたはバッテリ16からの電力の供給を制御する電源制御部17を更に有してもよい。電源制御部17は、例えば、リレーシーケンスまたはトランジスタ等のスイッチング素子等を有する、自己保持回路を備える。以下、「検出装置10」を「センサモジュール10」とも呼ぶ。また、検出装置10は、所定のクロック回路を備え、日時を計時する計時部18を更に有する。計時部18はバッテリ16から電力が供給され、電源制御部17の状態に係わらず常に日時(日付を含む。以下同じ)を計時する。
【0018】
検出装置10の制御部11は、例えば、検出部12、ネットワーク接続部13、タグ部14及び報知部15の動作を制御する。また、制御部11は、例えば、さらにバッテリ16の残量を取得可能に構成されていてもよい。検出装置10の検出部12は、検出装置10が取り付けられたプラント機器の状態を検出する。ここで、プラント機器とは、例えばスチームトラップ、回転機等であり、プラント機器の状態とは、例えばプラント機器の温度、振動、湿度、圧力、ph(ペーハー)等である。
【0019】
検出装置10のネットワーク接続部13は、ネットワーク構築装置20によって構築されるWSNに接続可能に構成されている。検出装置10のタグ部14は、タグIC14−1及びタグアンテナ14−2を有する、例えば、NFC(Near Field Communication)に用いられるRF(Radio Frequency)タグである。タグ部14は、後述する携帯端末40のタグ制御部43が、非接触で情報をタグIC14−1に例えば書き込むことによって記憶させることができ、且つ、このタグIC14−1に非接触で記憶されている情報を例えば読み込むことによって取得することができるように構成されている。ここで、非接触とは、検出装置10のタグ部14と携帯端末40のタグ制御部43とを例えばケーブル等で有線接続されること等によって、検出装置10のタグ部14と携帯端末40のタグ制御部43とが直接的な状態または間接的な状態で機械的に接触しないことをいう。また、タグ部14、具体的にはタグIC14−1に、検出装置10を特定する特定情報である、例えばセンサIDが予め記憶されている。
【0020】
検出装置10の報知部15は、例えばLED、ブザー等であって、制御部11の制御によって起動または停止する。検出装置10のバッテリ16は、検出装置10が電源ON状態であるときに、少なくとも制御部11に対して電力を供給する。検出部12、ネットワーク接続部13、タグ部14及び報知部15に対する電力の供給は、例えば、制御部11を介して電力が供給されてもよく、制御部11を介さずに電力が供給されてもよい。
【0021】
図2Aに示されるネットワーク構築装置20は、制御部21、3G/LTE通信部22、ネットワーク構築部23、記憶部24及び計時部25を有する。以下、「ネットワーク構築装置20」を「センサゲートモジュール20」とも呼ぶ。
【0022】
ネットワーク構築装置20の制御部21は、例えば、3G/LTE通信部22、ネットワーク構築部23及び記憶部24の動作を制御する。ネットワーク構築装置20が3G/LTE通信部22を有することによって、ネットワーク構築装置20は3G/LTEに接続可能である。また、ネットワーク構築装置20は、ネットワーク構築部23を有することによって、WSNを構築可能である。ネットワーク構築装置20が構築するWSNは、特定のネットワーク構築装置20によって構築されたWSNであることを特定するネットワーク特定情報である、例えばネットワークIDが与えられている。
【0023】
ネットワーク構築装置20の記憶部24は、例えば、図2Bに示されているネットワーク構築装置20が構築するWSNのネットワーク構築情報(データ001)を記憶する。ネットワーク構築情報(データ001)は、例えば、ネットワークID、このネットワークIDで特定されるWSNに接続されている検出装置10のセンサID及びこれらの検出装置10のWSNへの接続状態のリストを含む。ネットワークIDで特定されるWSNに中継器50が接続されているときは、ネットワーク構築情報(データ001)は、中継器ID及び中継器のWSNへの接続状態を更に含んでもよい。ネットワーク構築装置20の計時部25は、所定のクロック回路を備え、常に日時(日付及び時刻)を計時する。
【0024】
図2Aに示されるデータ記憶装置30は、制御部31、3G/LTE通信部32、記憶部33及び計時部34を有する。以下、「データ記憶装置30」を「クラウドサーバ30」とも呼ぶ。
【0025】
データ記憶装置30の記憶部33は、例えば、図2Bに示されているプラント情報(データ002)を記憶する。プラント情報(データ002)は、例えば、複数のネットワークID、各ネットワークIDで特定されるWSNに接続されている検出装置10のセンサID、検出装置10の接続状態、検出装置10の取付情報(SM(センサモジュール)取付情報)、検出装置10の動作条件(SM動作条件)、プラント機器の状態及び検出装置10が検出する検出値を含む。検出装置10の取付情報は、例えば、プラント内の番地等の取付エリア及び検出装置10が取り付けられたパイプ番号等の取付機器を含む。検出装置10の動作条件は、例えば、検出装置10の検出部12が検出する検出項目を含む。また、中継器50が接続されているWSNが存在するときは、中継器ID、これらのWSNへの接続状態及び中継器の取付情報を更に含んでもよい。なお、プラント情報(データ002)には、ネットワーク構築情報(データ001)の全ての項目が含まれている。データ記憶装置30の計時部34は、精度の高い日時を計時可能な例えば電波時計回路を備え、常に日時を計時する。本実施形態においては、計時部34は、WSNにおいて基準となる日時(以下、「WSN時刻」とも呼ぶ)を計時する。データ記憶装置30は、計時部34で計時するWSN時刻情報を、WSNを介して検出装置10、ネットワーク構築装置20、中継器50に送信する。WSN時刻情報を受信した各装置10、20、50の各計時部18、25、34、57は受信したWSN時刻情報に日時を同期する(時刻同期)。これにより、WSNに接続される検出装置10、ネットワーク構築装置20、データ記憶装置30、中継器50間では常時内部で計時する日時が同期された状態が保たれている。なお、WSNにおける時刻同期の方法は前述のものに限られず、他の公知の方法を用いることができる。
【0026】
図2Aに示される携帯端末40は、制御部41、3G/LTE通信部42、タグ制御部43、スピーカ44、入力部45、表示部46、計時部47及び記憶部48を有する。以下、「携帯端末40」を「タブレット端末40」とも呼ぶ。
【0027】
携帯端末40のタグ制御部43は、タグリーダ/ライタ43−1及びタグ制御アンテナ43−2を有する。タグ制御部43による、検出装置10のタグ部14への情報の記憶及びタグ部14からの情報の取得は、携帯端末40を検出装置10にかざすこと、すなわち、例えば携帯端末40を検出装置10から所定の距離(例えば10cm)まで近づけることによって自動的に実行される。タグ制御部43による、検出装置10のタグ部14への情報の記憶及びタグ部14からの情報の取得の具体的な動作は、図2Cを参照して後述する。携帯端末40のスピーカ44は、制御部41による制御の元で所定の音声を出力するものである。携帯端末40の入力部45及び表示部46は、例えばタッチパネル式のディスプレイパネルモジュール45,46で構成されてもよい。以下、「タッチパネル式のディスプレイパネルモジュール45,46」を「タッチパネル45,46」とも呼ぶ。携帯端末40の計時部47は、所定のクロック回路を備え、常に日時を計時する。携帯端末40の記憶部48は、各種情報を記憶する。
【0028】
また、携帯端末40には、例えば、プラント機器状態収集システム1に関連付けられたアプリケーションがインストールされている。例えば、このアプリケーションを実行することによって、プラント内で働く作業担当者が、携帯端末40を用いて、記憶装置30に記憶されているプラント情報(データ002)の閲覧及び編集、検出装置10のネットワーク接続等の作業をすることが可能になる。以下、「プラント機器状態収集システム1に関連付けられたアプリケーション」を「プラントアプリ」とも呼ぶ。しかしながら、作業担当者は、プラントアプリを実行することなく、例えばWEBブラウザを用いて記憶装置30に記憶されているプラント情報(データ002)の閲覧及び編集、検出装置10のネットワーク接続等の作業をしてもよい。
【0029】
さらに、プラントの管理担当者は、3G/LTEに接続可能な図示されていないノートパソコン等の通信端末を用いることで、3G/LTEを介してプラント情報(データ002)を閲覧及び編集することができる。その結果、管理担当者はプラント機器を直接監視しにいくことなく、プラント機器の状態を遠隔で監視することが可能になり、異常状態を発見したときに、携帯端末40を携帯する作業担当者に修繕作業の指示等をすることが可能になる。
【0030】
図2Aに示される中継器50は、制御部51、ネットワーク接続部52、タグ部53、報知部54、バッテリ55、電源制御部56及び計時部57を有する。中継器50は、検出装置10と概ね同様の内部構造であるが、検出部を有さない点で検出装置10と異なる。
【0031】
図2Cを参照して、携帯端末40のタグ制御部43による、検出装置10のタグ部14への情報の記憶及びタグ部14からの情報の取得の動作の一例を説明する。図2Cにおいて、図中の細い矢印は命令等の信号を表し、図中の太い矢印は電力の供給を表す。また、携帯端末40のタグ制御部43による、中継器50のタグ部53への情報の記憶及びタグ部53からの情報の取得の動作も同様であるので説明を省略する。
【0032】
携帯端末40が検出装置10にかざされたとき、携帯端末40のタグ制御部43は、タグリーダ/ライタ43−1が生成する例えば読み取り信号または書き込み信号を、タグ制御アンテナ43−2が生成する例えば電波または磁界に乗せて、検出装置10に送信する。検出装置10のタグ部14は、タグアンテナ14−2で受信する電波を整流することによってまたは受信する磁界による電磁誘導によって、タグアンテナ14−2に電力が発生する。タグアンテナ14−2は、発生した電力をタグIC14−1に供給し、タグIC14−1が起動する。タグアンテナ14−2が受信する電波または磁界に含まれる信号が読み取り信号であったとき、起動したタグIC14−1は、読み取り信号に応じたタグIC14−1に記憶されている情報を、タグアンテナ14−2が生成する電波または磁界に乗せて返信する。その一方で、タグアンテナ14−2が受信する電波または磁界に含まれる信号が書き込み信号であったとき、起動したタグIC14−1は、書き込み信号に含まれる情報を記憶する。
【0033】
このように、携帯端末40のタグ制御部43が、タグ部14へ情報を記憶するとき及びタグ部14から情報を取得するときは、検出装置10の内部からタグ部14に電力が供給される必要がない。すなわち、検出装置10が電源OFF状態またはスリープ状態であるときも、携帯端末40のタグ制御部43は、検出装置10のタグ部14への情報の記憶及びタグ部14からの情報の取得をすることができる。
【0034】
また、タグアンテナ14−2が受信した電波または磁界によって起動したタグIC14−1は、例えば、電源制御部17に対して起動信号を出力する。起動信号を入力した電源制御部17は、電源制御部17がバッテリ16から供給される電力を、例えば少なくとも制御部11に対して供給する。例えば、電力が供給された制御部11が起動することによって、検出装置10が電源ON状態となる。すなわち、検出装置10は、携帯端末40のタグ制御部43によってタグ部14に情報が記憶されたときに、電源ON状態となるように構成されている。検出装置10の電源がON状態であるときは、制御部11がタグ部14のタグIC14−1に対して電力を供給することによって、タグICへの情報の記憶またはタグICに記憶されている情報の取得をすることができる。
【0035】
さらに、電源ON状態である検出装置10が電源OFF状態またはスリープ状態となるときは、制御部11は、電源制御部17に対して停止信号またはスリープ信号を出力する。停止信号またはスリープ信号を入力した電源制御部17は、例えば、少なくとも制御部11に対して電力の供給を停止または電力供給の量を低下させる。例えば、制御部11への電力の供給が停止されたときに検出装置10は電源OFF状態となり、制御部11への電力供給の量が低下されたときに検出装置はスリープ状態となる。
【0036】
《2.プラント機器状態収集システムの動作》
《2−1.プラント機器の状態の収集》
図3A図3B及び図3Cを参照して、プラント機器状態収集システム1が、プラント機器の状態を収集する動作の例について説明する。ここでは、センサモジュール10は、センサゲートモジュール20が構築するWSNへ正しく接続されていることを前提に説明する。
【0037】
ステップST101では、センサモジュール10は、設定された検出間隔毎にタイマーによってスリープ状態から復帰して電源ON状態となり、設定された検出項目についてセンサモジュール10が取り付けられたプラント機器の状態を検出し、その検出値をセンサゲートモジュール20に自身のセンサIDとともに送信する。すなわち、ステップST101で送信されるデータは、図3Bに示されるデータ101である。センサモジュール10は、データ101の送信後はタイマーをセットして再びスリープ状態となる。
【0038】
ステップST102では、センサゲートモジュール20は、受信したセンサID及び検出値を、3G/LTEを介してクラウドサーバ30に自身が構築するWSNのネットワークIDとともに送信する。すなわち、ステップST102で送信されるデータは、図3Bに示されるデータ102である。
【0039】
ここで、ステップST102では、センサゲートモジュール20は、自身が構築するWSNに接続されているいずれかのセンサモジュール10から検出値を受信する度に、そのセンサID及び検出値をネットワークIDとともに送信してもよい。代替的に、ステップST102では、センサゲートモジュール20は、受信するセンサID及び検出値を一時的に記憶しておき、設定された送信間隔毎に一時的に記憶された複数のセンサID及び検出値をネットワークIDとともに送信してもよい。
【0040】
ステップST103では、クラウドサーバ30は、受信したデータ102をクラウドサーバ30の記憶部33が記憶するプラント情報(データ002)に反映させて、プラント情報(データ002)を更新する。ステップST101、ステップST102及びステップST103は、随時繰り返される。
【0041】
プラント機器状態収集システム1では、センサモジュール10が検出したプラント機器の状態が、自動的にクラウドサーバ30が記憶するプラント情報(データ002)に反映される。その結果、作業担当者はプラント機器の状態を検出または確認する度に、対象のプラント機器が配置されている位置に移動する必要がない。また、管理担当者は、図3Cに示すように、例えばノートパソコン60を用いてクラウドサーバ30に接続し、クラウドサーバ30が記憶しているプラント情報(データ002)を閲覧することで遠隔でプラント機器の状態を監視することができる。なお、管理担当者が利用する端末は、ノートパソコン60に限られず、クラウドサーバ30と接続可能なデスクトップパソコンなどの任意の端末を用いることができる。
【0042】
《2−2.メンテナンス作業》
図4A図4B図4C図4D図4E図4F図4G図4H図4I図4J図4K及び図4Lを参照して、プラント機器のメンテナンス作業を行うときの動作の例について説明する。メンテナンス作業を行うときの動作は、例えば、《2−1.プラント機器の状態の収集》で収集したプラント機器の状態に「要確認」の状態(計測値が規格値の範囲外となった状態)が発生したときに開始される。プラント機器の状態に「要確認」の状態が発生したことは、例えば、図3Cに示すように、ノートパソコン60を用いてクラウドサーバ30が記憶しているプラント情報(データ002)を閲覧しているプラントの管理担当者によって発見される。ステップST501では、プラント機器の状態に「要確認」の状態が発生したことを発見した管理担当者は、計測値と規格値との差分や状態の継続期間などからプラント機器の状態が異常状態であると判断するとプラント機器の状態を更新する(「要確認」→「異常」)。図4Cには、ノートパソコン60を用いてプラント機器の状態を更新したときのノートパソコン60の表示例が示されている。図4Cで示されている例では、ネットワークID:1577に接続されているセンサID:01234567で特定されるセンサモジュール10のプラント機器の状態が「要確認」から「異常」に更新されている。ステップST502では、管理担当者は、例えばタブレット端末40を携帯している作業担当者に対してメールや書面などにより修繕作業等の指示をする。なお、クラウドサーバ30におけるプラント情報(データ002)で特定のセンサモジュール10のプラント機器の状態が「異常」となった場合、クラウドサーバ30あるいはセンサゲートモジュール20からWSNを介してセンサモジュール10に報知開始信号を送信し、プラント機器の状態が「異常」となったセンサモジュール10の報知部15を報知動作(点滅や音声出力)させてもよい。
【0043】
ステップST503では、作業担当者はタブレット端末40を用いてプラント情報(データ002)を取得する。図4Dには、プラントアプリを用いてプラント情報(データ002)を取得したときの、タブレット端末40のタッチパネル45,46の例が示されている。
【0044】
ステップST504では、作業担当者は、異常状態となったセンサモジュール10(作業対象SM)を選択する。図4Dに示されている例において、作業担当者は、センサID:01234567で特定されるセンサモジュール10を選択する。
【0045】
ステップST505では、作業担当者は、プラント内を移動し、タブレット端末40をセンサモジュール10にかざすことでRFIDによる作業対象SMの探索を行う。タブレット端末40をセンサモジュール10にかざすと、タグ制御部43によって電波または磁界に乗せて読み取り信号がセンサモジュール10に自動的に送信される。図4Eには、図4Dに示される例において、センサID:01234567で特定されるセンサモジュール10を選択したときの、タブレット端末40のタッチパネル45,46の例が示されている。図4Eに示される例においては、「センサ1の検出値が異常です。」と表示され、検出項目の1つである高温側の温度の検出値が異常であることが示されている。
【0046】
図4Eに示される例では、異常状態を検出したセンサモジュール10の取付情報が表示されている。図4Eに示される例に示されている取付情報の取付エリアは、例えば、センサモジュール10の取り付け時に設定される。したがって、作業担当者は、異常状態を検出したセンサモジュール10が取り付けられている場所を容易に認識することができる。
【0047】
図4Eに示される例では、「タブレットを対象SMにかざして下さい。」と表示されている。この状態で、作業担当者がタブレット端末40をセンサモジュール10にかざすことによって、タブレット端末40のタグ制御部43が、読み取り信号を電波または磁界に乗せて自動的に送信することができる。
【0048】
ステップST506では、読み取り信号が含まれた電波または磁界を受信したセンサモジュール10がポート割り込みによりスリープ状態から電源ON状態に復帰する。具体的には、まずタグ部14(具体的にはタグIC14−1)が起動し、タグ部14が電源制御部17に対して例えば起動信号を出力する。起動信号を入力した電源制御部17は、少なくとも制御部11に対して電力を供給する。そうすると制御部11が起動し、センサモジュールが電源ON状態となる。
【0049】
ステップST507では、センサモジュール10の制御部11は、計時部18から現在の日時情報を取得して、タグIC14−1に記憶させる。これにより、タブレット端末40がセンサモジュール10にかざされたWSN時刻がタグIC14−1に記憶される。なお、前述のようにセンサモジュール10の計時部18で計時される日時はWSN時刻と同期しており、ステップST506、507の処理時間は無視できる長さであるものとする。
【0050】
ステップST508では、タグIC14−1は、読み取り信号に応じてタグIC14−1に記憶されているセンサID及び日時情報(WSN時刻)を含む機器情報(データ508)をタグアンテナ14−2が生成する電波または磁界に乗せてタブレット端末40に返信する。これにより、タブレット端末40は自動的にセンサID及び日時情報を取得できる。
【0051】
ステップST509では、センサモジュール10の制御部11は、機器情報の送信後、電源制御部11への電源供給量を低下させ、スリープ状態に戻る。
【0052】
ステップST510では、タブレット端末40の制御部41は、ステップST502で選択されたセンサモジュール10のセンサIDと、ステップST508で取得されたセンサIDとが一致するか否かを判定する(センサID照合)。
【0053】
ステップST502で選択されたセンサモジュール10のセンサIDと、ステップST503で取得されたセンサIDとが一致しなかったときは、ステップST511では、例えば、図4Fに示される例がタブレット端末40のタッチパネル45,46に表示され、また、スピーカ44から音声出力される(照合結果報知)。図4Fに示される例では、ステップST502で選択されたセンサモジュール10のセンサIDと、ステップST508で取得されたセンサIDとが一致しないことが表示される。また、同様にステップST502で選択されたセンサモジュール10のセンサIDと、ステップST508で取得されたセンサIDとが一致しないことが音声出力される(照合結果報知)。これによって、作業担当者は、ステップST503でタブレット端末40をかざしたセンサモジュール10が取り付けられているプラント機器に対して修繕等の作業を行うことはない。図4Fに示される例がタブレット端末40のタッチパネル45,46に表示されると、作業担当者がタブレット端末40を他のセンサモジュール10にかざすことによって、他のセンサモジュール10のセンサIDを取得することができ、再度ステップST510の判定がなされる。
【0054】
その一方で、ステップST502で選択されたセンサモジュール10のセンサIDと、ステップST508で取得されたセンサIDとが一致したときは、ステップST511では、例えば、図4Gに示される例がタブレット端末40のタッチパネル45,46に一致した旨が表示され、また、同様にスピーカ44から一致した旨が音声出力される(照合結果報知)。図4Fに示される例が表示及び音声出力されると、作業担当者がタブレット端末40をかざしたセンサモジュール10が異常状態を検出したセンサモジュール10であることが確認できる。すなわち、スピーカ44とタッチパネル45,46とは、ステップST502で選択されたセンサモジュール10のセンサIDと、ステップST508で取得されたセンサIDとが一致したか否かを報知する報知部として機能する。これによって、作業担当者は、作業対象となるプラント機器を簡単に特定して修繕等のメンテナンス作業をすることができ、作業時間を短縮できる。
【0055】
また、ステップST502で選択されたセンサモジュール10のセンサIDと、ステップST508で取得されたセンサIDとが一致したときには、ステップST512が実行される。ステップST512では、タブレット端末40の制御部41は、ステップST508で取得した日時情報をタブレット端末40の計時部45に送信し、計時部45は、日時情報(WSN時刻)と同期して日時を計時する。これにより、タブレット端末40内で計時される日時がWSN時刻と同期する。なお、ステップST510、511の処理時間は無視できる長さであるものとするが、処理時間を考慮して日時を補正してもよい。
【0056】
ステップST513では、作業担当者は、プラント機器の修繕等のメンテナンス作業を行い、メンテナンスが終了したときに、図4Gに示される例における「作業完了」をタッチすると、ステップST514に進む。このとき、タブレット端末40は、「作業完了」をタッチしたときの計時部45の日時(WSN時刻と同期)、すなわち作業完了日時をタブレット端末40の記憶部48に記憶する。
【0057】
ステップST514では、作業担当者は、タブレット端末40を操作して作業内容を入力する(作業履歴入力)。図4Gに示される例において、「作業完了」がタッチされると、図4Hに示される例がタブレット端末40のタッチパネル45,46に表示される。図4Hに示される例では、センサIDと、取付エリアと、取付設備と、作業担当者と、作業完了日時が表示されている。なお、作業担当者の情報は予めタブレット端末40の記憶部48に記憶された情報が自動的に表示されており、作業完了日時はタブレット端末40の記憶部48に記憶された情報が自動的に表示される。また、図4Hに示される例では、作業担当者が行ったプラント機器の修繕等のメンテナンス作業の内容をテキスト入力する欄と、プラント機器の修繕等のメンテナンス作業を行った後のプラント機器の状態をリストから選択して入力する欄が表示されている。作業担当者は、これらの入力を完了させた後に、図4Hに示される例の「登録」をタッチすると、ステップST515に進む。
【0058】
ステップST515では、タブレット端末40は、ステップST514で入力された作業内容及びプラント機器の状態をセンサID、作業完了日時、作業担当者の情報とともにクラウドサーバ30に送信する(作業履歴登録、プラント機器状態更新)。すなわち、ステップST506で送信されるデータは、図4Bに示されるデータ515である。データ515に含まれる作業完了日時情報は、図4Gに示される例の「作業完了」がタッチされたときの日時(WSN時刻と同期)となる。
【0059】
ステップST516では、クラウドサーバ30は、受信したデータ515をクラウドサーバ30の記憶部33が記憶するプラント情報(データ002)に反映させる(プラント情報更新)。受信したデータ515に含まれる作業完了日時、作業担当者及び作業内容の情報は、センサIDに対応する作業履歴として記憶部33に記憶される。ステップST516でデータ515のプラント情報(データ002)への反映が終了した後に、作業担当者がプラント情報(データ002)を確認すると、図4Iに示される例がタブレット端末40のタッチパネル45,46に表示される。図4Iに示される例では、作業担当者が修繕等の作業を行ったプラント機器に取り付けられているセンサモジュール10である、センサID:01234567で特定されるセンサモジュール10の欄に「修繕完了」の表示がされている。また、「修繕完了」の表示の近傍に作業履歴のタグが表示されている。なお、図4Iに示される例では、プラントアプリを終了させる「作業終了」が表示される。「作業終了」がタッチされるまでは、作業履歴のタグをタッチすることで図4Jに示される例のように作業履歴のデータを表示させてタブレット端末40から作業履歴の内容を修正可能としてもよい。「作業終了」がタッチされると、タブレット端末40からクラウドサーバ30に登録確定情報を送信する。クラウドサーバ30は、登録確定情報を受信すると作業履歴を修正可能な状態から修正不可の状態に変更する。
【0060】
ステップST517では、作業担当者は、例えば、図4Iに示される例で「修繕完了」を確認した後に、管理担当者にメールや書面により作業の完了報告をする。ステップST581では、作業の完了報告を受けた管理担当者が、ノートパソコン60を用いてクラウドサーバ30が記憶しているプラント情報(データ002)を閲覧すると、図4Kに示される例がノートパソコン60の画面に表示される。図4Kに示される例では、作業担当者が修繕等の作業を行ったプラント機器に取り付けられているセンサモジュール10である、センサID:01234567で特定されるセンサモジュール10の欄に「修繕完了」の表示がされており、発生していた異常状態が解消したことを確認することができる。また、修繕等のメンテナンス作業の完了が確認できない場合は、作業担当者への指導を行うための証拠とすることができ、作業監視の強化に貢献できる。さらに、図4Kに示される例では、作業履歴のタグが表示されており、作業履歴のタグをマウス操作でクリック(選択)すると、図4Lに示される例が表示される。図4Lに示される例では、作業履歴として、クラウドサーバ30が記憶している作業完了日時、作業担当者及び作業内容が表示される。なお、作業履歴が複数ある場合は、作業履歴を順次切り換えて表示してもよいし、作業履歴の一覧表示をしてもよい。
【0061】
プラント機器のメンテナンス作業を行うときの動作では、プラント機器状態収集システム1は、作業担当者が選択したセンサモジュール10のセンサIDと、作業担当者がタブレット端末40をかざしたセンサモジュール10のセンサIDとが一致するか否かを判定し、これらが一致する場合に、タブレット端末40(の計時部45)が計時する日時をセンサモジュール10から取得した日時情報に同期する。そして、タブレット端末40から作業内容を示す作業内容情報とともに作業担当者が選択したセンサモジュール10のセンサIDとタブレット端末40(の計時部45)が計時した作業完了日時情報をクラウドサーバ30に送信する。したがって、作業担当者が作業内容を登録する際にセンサIDと作業完了日時を手入力する必要がなく、情報の入力作業を簡素化して正確な作業情報の管理を行うことができる。特に、作業完了日時としてセンサモジュール10内の日時情報と同期した日時がクラウドサーバ30に記憶されるため、より正確な作業完了日時を蓄積することができ、プラント機器の動作傾向などを正確把握することができ、プラント操業の安定化に貢献できる。
さらに、センサモジュール10の計時部18がWSNを介して他のセンサモジュール10、センサゲートモジュール20、クラウドサーバ30及び/あるいは中継器50と同期して日時を計時することで、タブレット端末40もWSN時刻と同期でき、WSN時刻に対してズレのないより正確な時間管理が可能となる。
【0062】
なお、前述の実施形態ではメンテナンス作業を行うときの動作を例に挙げて説明したが、メンテナンス作業の他に、作業担当者がプラント機器の状態を定期的に目視で確認する点検作業やプラント機器の動作調整などを行う日常運行作業などでもステップST501〜ST518を実行してもよい。これらの作業においてもメンテナンス作業の場合と同様に、作業担当者が作業内容を登録する際にセンサIDと作業完了日時を手入力する必要がなく、情報の入力作業を簡素化して正確な作業情報の管理を行うことができる。
【0063】
また、検出装置10は、図5に示すように、プラント機器の状態としてプラント機器の画像を撮像するカメラ12−1を検出部12が備え、プラント機器の画像をプラント機器の状態を表すデータとしてデータ記憶装置30に送信するものであってもよい。以下、カメラ12−1を備える検出装置10を「カメラモジュール10」とも呼ぶ。また、プラント機器状態収集システム1は、カメラ12−1を備えないセンサモジュール10とカメラモジュール10が双方備えられてもよい。
【0064】
カメラ12−1は、例えばCMOSからなる撮像素子と外部からの光を受光するレンズからなる。撮像素子で撮影された画像は制御部11へ送られ、制御部11は、受信した画像をネットワーク接続による送信に適切となるように画像圧縮処理(例えばJPEG)や画像分割処理を行う。
【0065】
図6A図6Bを参照して、プラント機器状態収集システム1が、カメラモジュール10によってプラント機器の状態を収集する動作の例について説明する。
【0066】
ステップST111では、図3AのステップST101と同様に、カメラモジュール10は、設定された検出間隔毎にタイマーによってスリープ状態から復帰して電源ON状態となり、設置された所定範囲(プラント機器の少なくとも一部を含む)を撮像し、その画像をセンサゲートモジュール20に自身のセンサIDと計時部18により計測した日時(撮像日時)ともに送信する。すなわち、ステップST111で送信されるデータは、図6Bに示されるデータ111である。カメラモジュール10は、データ111の送信後はタイマーをセットして再びスリープ状態となる。
【0067】
ステップST112では、図3AのステップST102と同様に、センサゲートモジュール20は、受信したセンサID、画像及び日時を、3G/LTEを介してクラウドサーバ30に自身が構築するWSNのネットワークIDとともに送信する。すなわち、ステップST112で送信されるデータは、図6Bに示されるデータ112である。
【0068】
ステップST113では、図3AのステップST103と同様に、クラウドサーバ30は、受信したデータ112をクラウドサーバ30の記憶部33が記憶するプラント情報(データ002)に反映させて、プラント情報(データ002)を更新する。ステップST111、ステップST112及びステップST113は、随時繰り返される。
【0069】
このように、プラント機器状態収集システム1は、カメラモジュール10によってプラント情報にプラント機器の画像及び撮像日時を含むことができる。管理担当者は、例えばノートパソコン60を用いてクラウドサーバ30に接続し、クラウドサーバ30が記憶している画像及び撮像日時を閲覧することで遠隔でプラント機器の状態を画像でも監視することができ、より詳細にプラントの管理を行うことが可能となる。なお、カメラモジュール10は、設定された検出間隔毎のほか、クラウドサーバ30からの撮影開始信号を受信した場合などに撮像を行ってもよく、撮像タイミングは任意である。
【符号の説明】
【0070】
1・・・プラント機器状態収集システム、10・・・検出装置、11・・・検出装置の制御部、12・・・検出装置の検出部、13・・・検出装置のネットワーク接続部、14・・・検出装置のタグ部、17・・・検出装置の計時部、20・・・ネットワーク構築装置、30・・・データ記憶装置、33・・・データ記憶装置の記憶部、40・・・携帯端末、43・・・タグ制御部、44・・・スピーカ、46・・・表示部、47・・・携帯端末の計時部、50・・・中継器、60・・・ノートパソコン。
図1
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
図4G
図4H
図4I
図4J
図4K
図4L
図5
図6A
図6B