【実施例】
【0023】
以下、本発明を更に説明する。尚、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
ポリエチレン及びポリブタジエンの物性の測定・評価方法は以下の通りである。
【0024】
(ポリエチレンの評価)
数平均分子量(Mn)並びに重量平均分子量(Mw):ポリスチレンを標準物質としてo-ジクロロベンゼン(o-DCB)を溶媒として温度145℃で、GPC(Waters製)法により行い、得られた分子量分布曲線から求めた検量線を用いて計算し、数平均分子量並びに重量平均分子量を求めた。
【0025】
分子量分布:ポリスチレンを標準物質として用いたGPCから求めた重量平均分子量Mw及び数平均分子量Mnの比であるMw/Mnによって評価した。
【0026】
(ポリブタジエンの評価)
数平均分子量(Mn)並びに重量平均分子量(Mw):ポリスチレンを標準物質としてテトラヒドロフランを溶媒として温度40℃で、GPC(株式会社島津製作所製)法により行い、得られた分子量分布曲線から求めた検量線を用いて計算し、数平均分子量並びに重量平均分子量を求めた。
【0027】
分子量分布:ポリスチレンを標準物質として用いたGPCから求めた重量平均分子量Mw及び数平均分子量Mnの比であるMw/Mnによって評価した。
【0028】
ミクロ構造:赤外吸収スペクトル分析によって行った。シス734cm
−1、トランス967cm
−1、ビニル910cm
−1の吸収強度比からミクロ構造を算出した。
【0029】
ムーニー粘度(ML
1+4、100℃):JIS−K6300に従い、株式会社島津製作所製のムーニー粘度計を使用して100℃で1分間予熱したのち、4分間測定してゴムのムーニー粘度(ML
1+4、100℃)を求めた。
【0030】
トルエン溶液粘度(Tcp):得られたポリブタジエン2.28gをトルエン50mlに溶解した後、標準液として粘度計校正用標準液(JIS−Z8809)を用い、キャノンフェンスケ粘度計No.400を使用して、25℃で測定した。
【0031】
上記、ムーニー粘度とトルエン溶液粘度から、Tcp/MLを求めた。Tcp/MLが小さい値ほど、長鎖分岐構造を多く含むと言われている。
【0032】
粘弾性測定(Y
(100%)/Y
(30%)の測定):
高分子4.5gをトルエン又はキシレン200mlに溶解した。次いで、この溶液に流動パラフィン10.5gを添加し、均一になるまで攪拌した。得られた溶液を、PETフィルムを張ったステンレストレー上に注いだ後、真空乾燥機を用い、60〜100℃で8時間真空乾燥した。得られた高分子の流動パラフィン30質量%溶液は15gであった。
得られたポリブタジエンの100質量%溶液と30質量%溶液の貯蔵弾性率G′と損失弾性率G″の角周波数依存性をそれぞれ測定した。測定は、直径25mmあるいは7.9mmのパラレルプレートを装着したTA Instruments社製ARESを用いて、窒素気流中で行った。測定周波数範囲は100〜0.01rad/secであり、測定温度は0〜200℃である。J.D.Ferry著、“Viscoelastic Properties of Polymers,3rd ed.”(John Wiley & Sons,1990)に記載の温度−時間の重ねあわせにより、広い周波数範囲におけるG′及びG″の周波数依存性のマスターカーブを得る。
得られたG′及びG″の周波数依存性のマスターカーブを用いて、X=G″/C
2=20,000Pa(濃度換算G″)になる時のポリブタジエンの流動パラフィン溶液のY=G’/C
2(濃度換算G’)を求めた。そして、高分子100質量%溶液の測定値から求められるY(Y
(100%))と、高分子30質量%溶液の測定値から求められるY(Y
(30%))の比(Y
(100%)/Y
(30%))を算出した。
【0033】
(製造例1)
内容量1.5Lのオートクレーブの内部を窒素置換し、トルエン390ml及びブタジエン210mlからなる溶液を仕込んだ。次いで、水素ガス0.04MPa/cm
2を導入した後、トリエチルアルミニウム(TEAL)のシクロヘキサン溶液(2mol/L)1.25mlを添加した。次いで、イットリウム(III)トリス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオエート)のトルエン溶液(5mmol/L)1.5ml及びトリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートのトルエン溶液(0.004mol/L)3.75mlを添加し、80℃まで昇温した。80℃で15分間重合後、老化防止剤を含むエタノール溶液3mlを添加し、重合を停止した。オートクレーブの内部を放圧した後、重合液にエタノールを投入し、ポリブタジエンを回収した。次いで回収したポリブタジエンを80℃で3時間真空乾燥した。重合結果を表に示した
【0034】
(製造例2)
内容量2Lのオートクレーブの内部を窒素置換し、トルエン390ml及びブタジエン210mlからなる溶液を仕込み、25℃で水素ガスを分圧で0.7kgf/cm2まで導入した。次いで、ジエチルアルミニウムヒドリド(DEALH)のトルエン溶液(2mol/L)0.4mlを添加した後、トリス[N,N-ビス(トリメチルシリル)アミド]イットリウムのトルエン溶液(10mmol/L)6mlを添加して4分間攪拌した。次いで、0℃まで冷却してトリフェニルカルベニウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレートのトルエン溶液(0.43mol/L)0.28mlを添加して重合を開始した。0℃で90分重合後、老化防止剤を含むエタノール/ヘプタン(1/1)溶液5mlを添加し、重合を停止した。オートクレーブの内部を放圧した後、重合液をエタノールに投入し、ポリブタジエンを回収した。次いで回収したポリブタジエンを80℃で3時間真空乾燥した。重合結果を表に示した。
【0035】
(製造例3)
内容量2Lのオートクレーブの内部を窒素置換し、シクロヘキサン390ml及びブタジエン210mlからなる溶液を仕込み、水を7μl(0.65mM)添加して30℃で30分間毎分500回転で攪拌して溶解させた。次に水素ガスをマスフローメーターで135SCC計量しながら圧入し、トリエチルアルミニウム(TEAL)のトルエン溶液(1mol/L)0.75mlを添加した。次にシクロペンタジエニルバナジウムオキシジクロリドのトルエン溶液(5mmol/L)0.8mlを添加した後、40℃まで昇温してトリフェニルカルベニウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレートのトルエン溶液(2.5mmol/L)2.5mlを添加して重合を開始した。40℃で22分重合後、老化防止剤を含むエタノール/ヘプタン(1/1)溶液5mlを添加し、重合を停止した。オートクレーブの内部を放圧した後、重合液をエタノールに投入し、ポリブタジエンを回収した。次いで回収したポリブタジエンを80℃で3時間真空乾燥した。重合結果を表に示した。
【0036】
宇部興産株式会社製、UBEPOL BR150B(Co系触媒を用いて重合されたポリブタジエン)の物性の測定結果を表1に示した。
【0037】
プライムポリマー社製、高密度ポリエチレン 5202Bの物性の測定結果を表1に示した。
【0038】
(実施例1)
粘弾性測定(Y
(100%)/Y
(30%)の測定):
製造例1のポリブタジエン4.5gをトルエン200mlに溶解した。次いで、この溶液に流動パラフィン10.5gを添加し、均一になるまで攪拌した。得られた溶液を、PETフィルムを張ったステンレストレー上に注いだ後、真空乾燥機を用い、60℃で8時間真空乾燥した。得られたポリブタジエンの流動パラフィン30質量%溶液は15gであった。
製造例1のポリブタジエン(100重量%)と得られたポリブタジエンの流動パラフィン30質量%溶液の貯蔵弾性率G’と損失弾性率G’’の角周波数依存性をそれぞれ測定した。測定は、直径25mmあるいは7.9mmのパラレルプレートを装着したTA Instruments社製ARESを用いて、窒素気流中で行った。測定周波数範囲は100〜0.01rad/sであり、測定温度は0℃、20℃、40℃、60℃、80℃、100℃である。J.D.Ferry著、“Viscoelastic Properties of Polymers,3rd ed.”(John Wiley & Sons,1990)に記載の温度−時間の重ねあわせにより、広い周波数範囲におけるG’及びG’’の周波数依存性のマスターカーブを得る。
得られたG’及びG’’の周波数依存性のマスターカーブを用いて、X=G’’/C
2=20,000Pa(濃度換算G’’)になる時のポリブタジエンの流動パラフィン溶液のY=G’/C
2(濃度換算G’)を求めた。そして、ポリブタジエンの100質量%溶液の測定値から求められるY(Y
(100%))と、ポリブタジエンの流動パラフィン30質量%溶液の測定値から求められるY(Y
(30%))の比(Y
(100%)/Y
(30%))を算出した。
【0039】
(実施例2)
粘弾性測定(Y
(100%)/Y
(30%)の測定):
製造例2のポリブタジエン4.5gをトルエン200mlに溶解した。次いで、この溶液に流動パラフィン10.5gを添加し、均一になるまで攪拌した。得られた溶液を、PETフィルムを張ったステンレストレー上に注いだ後、真空乾燥機を用い、60℃で8時間真空乾燥した。得られたポリブタジエンの流動パラフィン30質量%溶液は15gであった。
製造例2のポリブタジエン(100重量%)と得られたポリブタジエンの流動パラフィン30質量%溶液の貯蔵弾性率G’と損失弾性率G’’の角周波数依存性をそれぞれ測定した。測定は、直径25mmあるいは7.9mmのパラレルプレートを装着したTA Instruments社製ARESを用いて、窒素気流中で行った。測定周波数範囲は100〜0.01rad/sであり、測定温度は0℃、20℃、40℃、60℃、80℃、100℃である。J.D.Ferry著、“Viscoelastic Properties of Polymers,3rd ed.”(John Wiley & Sons,1990)に記載の温度−時間の重ねあわせにより、広い周波数範囲におけるG’及びG’’の周波数依存性のマスターカーブを得る。
得られたG’及びG’’の周波数依存性のマスターカーブを用いて、X=G’’/C
2=20,000Pa(濃度換算G’’)になる時のポリブタジエンの流動パラフィン溶液のY=G’/C
2(濃度換算G’)を求めた。そして、ポリブタジエンの100質量%溶液の測定値から求められるY(Y
(100%))と、ポリブタジエンの流動パラフィン30質量%溶液の測定値から求められるY(Y
(30%))の比(Y
(100%)/Y
(30%))を算出した。
【0040】
(実施例3)
粘弾性測定(Y
(100%)/Y
(30%)の測定):
製造例3のポリブタジエン4.5gをトルエン200mlに溶解した。次いで、この溶液に流動パラフィン10.5gを添加し、均一になるまで攪拌した。得られた溶液を、PETフィルムを張ったステンレストレー上に注いだ後、真空乾燥機を用い、60℃で8時間真空乾燥した。得られたポリブタジエンの流動パラフィン30質量%溶液は15gであった。
製造例3のポリブタジエン(100重量%)と得られたポリブタジエンの流動パラフィン30質量%溶液の貯蔵弾性率G’と損失弾性率G’’の角周波数依存性をそれぞれ測定した。測定は、直径25mmあるいは7.9mmのパラレルプレートを装着したTA Instruments社製ARESを用いて、窒素気流中で行った。測定周波数範囲は100〜0.01rad/sであり、測定温度は0℃、20℃、40℃、60℃、80℃、100℃である。J.D.Ferry著、“Viscoelastic Properties of Polymers,3rd ed.”(John Wiley & Sons,1990)に記載の温度−時間の重ねあわせにより、広い周波数範囲におけるG’及びG’’の周波数依存性のマスターカーブを得る。
得られたG’及びG’’の周波数依存性のマスターカーブを用いて、X=G’’/C
2=20,000Pa(濃度換算G’’)になる時のポリブタジエンの流動パラフィン溶液のY=G’/C
2(濃度換算G’)を求めた。そして、ポリブタジエンの100質量%溶液の測定値から求められるY(Y
(100%))と、ポリブタジエンの流動パラフィン30質量%溶液の測定値から求められるY(Y
(30%))の比(Y
(100%)/Y
(30%))を算出した。
【0041】
(実施例4)
粘弾性測定(Y
(100%)/Y
(30%)の測定):
UBEPOL BR150B 4.5gをトルエン200mlに溶解した。次いで、この溶液に流動パラフィン10.5gを添加し、均一になるまで攪拌した。得られた溶液を、PETフィルムを張ったステンレストレー上に注いだ後、真空乾燥機を用い、60℃で8時間真空乾燥した。得られたポリブタジエンの流動パラフィン30質量%溶液は15gであった。
UBEPOL BR150B(100重量%)と得られたポリブタジエンの流動パラフィン30質量%溶液の貯蔵弾性率G’と損失弾性率G’’の角周波数依存性をそれぞれ測定した。測定は、直径25mmあるいは7.9mmのパラレルプレートを装着したTA Instruments社製ARESを用いて、窒素気流中で行った。測定周波数範囲は100〜0.01rad/sであり、測定温度は0℃、20℃、40℃、60℃、80℃、100℃である。J.D.Ferry著、“Viscoelastic Properties of Polymers,3rd ed.”(John Wiley & Sons,1990)に記載の温度−時間の重ねあわせにより、広い周波数範囲におけるG’及びG’’の周波数依存性のマスターカーブを得る。
得られたG’及びG’’の周波数依存性のマスターカーブを用いて、X=G’’/C
2=20,000Pa(濃度換算G’’)になる時のポリブタジエンの流動パラフィン溶液のY=G’/C
2(濃度換算G’)を求めた。そして、ポリブタジエンの100質量%溶液の測定値から求められるY(Y
(100%))と、ポリブタジエンの流動パラフィン30質量%溶液の測定値から求められるY(Y
(30%))の比(Y
(100%)/Y
(30%))を算出した。
【0042】
(実施例5)
粘弾性測定(Y
(100%)/Y
(30%)の測定):
高密度ポリエチレン 5202B 4.5gをキシレン200mlに溶解した。次いで、この溶液に流動パラフィン10.5gを添加し、均一になるまで攪拌した。得られた溶液を、PETフィルムを張ったステンレストレー上に注いだ後、真空乾燥機を用い、100℃で8時間真空乾燥した。得られた5202Bの流動パラフィン30質量%溶液は15gであった。
5202B(100重量%)と得られた5202Bの流動パラフィン30質量%溶液の貯蔵弾性率G’と損失弾性率G’’の角周波数依存性をそれぞれ測定した。測定は、直径25mmあるいは7.9mmのパラレルプレートを装着したTA Instruments社製ARESを用いて、窒素気流中で行った。測定周波数範囲は100〜0.01rad/sであり、測定温度は160℃、180℃、200℃である。J.D.Ferry著、“Viscoelastic Properties of Polymers,3rd ed.”(John Wiley & Sons,1990)に記載の温度−時間の重ねあわせにより、広い周波数範囲におけるG’及びG’’の周波数依存性のマスターカーブを得る。
得られたG’及びG’’の周波数依存性のマスターカーブを用いて、X=G’’/C
2=20,000Pa(濃度換算G’’)になる時の5202Bの流動パラフィン溶液のY=G’/C
2(濃度換算G’)を求めた。そして、5202Bの100質量%溶液の測定値から求められるY(Y
(100%))と、5202Bの流動パラフィン30質量%溶液の測定値から求められるY(Y
(30%))の比(Y
(100%)/Y
(30%))を算出した。
【0043】
【表1】
【0044】
表に示すとおり、製造例2、3で得られたポリブタジエン及びポリエチレン5202BのY
(100%)/Y
(30%)は1.0〜1.1であり、製造例1およびUBEPOL 150BのY
(100%)/Y
(30%)はそれぞれ3.1及び2.4である。従来の製造例2、3のポリブタジエン及びポリエチレン5202Bには長鎖分岐構造がほとんど存在せず、製造例1およびUBEPOL 150Bには長鎖分岐構造が存在する。また、製造例1の方が、UBEPOL 150Bよりも長鎖分岐構造を多く有する。従来のTcp/MLとの結果とも一致する。