特許第6648625号(P6648625)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6648625
(24)【登録日】2020年1月20日
(45)【発行日】2020年2月14日
(54)【発明の名称】ボイラ
(51)【国際特許分類】
   F23N 5/08 20060101AFI20200203BHJP
   F22B 37/38 20060101ALI20200203BHJP
【FI】
   F23N5/08 A
   F22B37/38 A
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-88190(P2016-88190)
(22)【出願日】2016年4月26日
(65)【公開番号】特開2017-198378(P2017-198378A)
(43)【公開日】2017年11月2日
【審査請求日】2019年1月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000175272
【氏名又は名称】三浦工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】山口 幸洋
(72)【発明者】
【氏名】張 凱越
【審査官】 藤原 弘
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−105906(JP,A)
【文献】 特開2007−148867(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0091418(US,A1)
【文献】 米国特許第05608515(US,A)
【文献】 特開2001−218323(JP,A)
【文献】 特開2002−235922(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0127297(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23N 5/08
F22B 37/38
F23M 11/00
F23M 11/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
予混合ガスが導入されるウインドボックスと、当該ウインドボックス内部に対して光透過部を隔てて配置され且つ前記ウインドボックスと連通する燃焼室の火炎を検出する検出センサと、当該検出センサを収容する防爆ケースと、当該防爆ケース内を加圧する加圧手段とを備え、
前記加圧手段は、前記防爆ケース内を外部雰囲気に対して陽圧にすることができるよう構成され
前記ウインドボックスと前記防爆ケースの間の位置に、これらウインドボックスと防爆ケースを隔てるアダプタを備え、前記アダプタは、前記検出センサによる光の検出を妨げず且つ前記ウインドボックスと前記防爆ケースを互いに離間させるように構成され、
前記アダプタは気密性を有し且つ通気孔を備え、当該通気孔は減圧手段と接続されており、当該減圧手段は、前記アダプタ内を前記防爆ケースに対して陰圧にすることができるよう構成される、ボイラ。
【請求項2】
前記アダプタの一端と前記ウインドボックスの間にシール構造が設けられている、請求項に記載のボイラ。
【請求項3】
前記アダプタの他端と前記防爆ケースの間にシール構造が設けられている、請求項に記載のボイラ。
【請求項4】
前記ボイラは送風機を備えており、前記アダプタと前記送風機の吸込口が配管接続される、請求項1〜請求項3のいずれかに記載のボイラ。
【請求項5】
予混合ガスが導入されるウインドボックスと、当該ウインドボックス内部に対して光透過部を隔てて配置され且つ前記ウインドボックスと連通する燃焼室の火炎を検出する検出センサと、当該検出センサを収容する防爆ケースと、当該防爆ケース内を加圧する加圧手段とを備え、
前記加圧手段は、前記防爆ケース内を外部雰囲気に対して陽圧にすることができるよう構成され、
前記ウインドボックスと前記防爆ケースの間の位置に、これらウインドボックスと防爆ケースを隔てるアダプタを備え、前記アダプタは、前記検出センサによる光の検出を妨げず且つ前記ウインドボックスと前記防爆ケースを互いに離間させるように構成され、
前記アダプタは通気孔を有しており、前記アダプタ内部は外部雰囲気と連通される、ボイラ。
【請求項6】
前記加圧手段は、前記ボイラを制御する制御機器が収容された制御ボックス内を加圧して、前記防爆ケース内及び前記制御ボックス内のそれぞれを外部雰囲気に対して陽圧にすることができるよう構成される、請求項1〜請求項5のいずれかに記載のボイラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、火炎を検出する火炎検出装置を備えたボイラに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、燃焼室内でバーナから噴射された燃料を燃焼させ、燃焼室内に配置された水管の水を発生した燃焼熱によって加熱して蒸気を発生させるボイラがある。このようなボイラには、バーナで火炎が形成されているかを検出する検出センサ(火炎検出装置)を備えているものがある。例えば、特許文献1に記載される火炎検出装置では、検出センサは燃焼室外側の空間に設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−105906号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ボイラが設置される環境によっては可燃性物質が雰囲気中に存在しており、燃焼室外側に配置された検出センサやこれと接続する他の電気機器等から生じる火花や静電気によって危険な状態となりえる。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、可燃性物質が雰囲気中に存在している環境下であっても安全に運用できるボイラを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、予混合ガスが導入されるウインドボックスと、当該ウインドボックス内部に対して光透過部を隔てて配置され且つ前記ウインドボックスと連通する燃焼室の火炎を検出する検出センサと、当該検出センサを収容する防爆ケースと、当該防爆ケース内を加圧する加圧手段とを備え、前記加圧手段は、前記防爆ケース内を外部雰囲気に対して陽圧にすることができるよう構成される、ボイラが提供される。
【0007】
本発明によれば、加圧手段が、防爆ケース内を外部雰囲気に対して陽圧にすることができるよう構成されることから、検出センサ及びこれと接続される電気機器等を外部雰囲気から隔離することが可能となる。その結果、可燃性物質が雰囲気中に存在している環境下であってもボイラを安全に運用することが可能となる。
【0008】
以下、本発明の種々の実施形態を例示する。以下に示す実施形態は互いに組み合わせ可能である。
【0009】
好ましくは、前記ウインドボックスと前記防爆ケースの間の位置に、これらウインドボックスと防爆ケースを隔てるアダプタを備え、前記アダプタは、前記検出センサによる光の検出を妨げず且つ前記ウインドボックスと前記防爆ケースを互いに離間させるように構成される。
【0010】
好ましくは、前記アダプタの一端と前記ウインドボックスの間にシール構造が設けられている。
【0011】
好ましくは、前記アダプタの他端と前記防爆ケースの間にシール構造が設けられている。
【0012】
好ましくは、前記アダプタは気密性を有し且つ通気孔を備え、当該通気孔は減圧手段と接続されており、当該減圧手段は、前記アダプタ内を前記防爆ケースに対して陰圧にすることができるよう構成される。
【0013】
好ましくは、前記ボイラは送風機を備えており、前記アダプタと前記送風機の吸込口が配管接続される。
【0014】
好ましくは、前記アダプタは通気孔を有しており、前記アダプタ内部は外部雰囲気と連通される。
【0015】
また、好ましくは、前記加圧手段は、前記ボイラを制御する制御機器が収容された制御ボックス内を加圧して、前記防爆ケース内及び前記制御ボックス内のそれぞれを外部雰囲気に対して陽圧にすることができるよう構成される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の第1実施形態に係るボイラの概略構成を示す説明図である。
図2図1のボイラの検出センサの防爆ケースを示す拡大図である。
図3】本発明の実施形態に係るボイラの送風機を示す斜視図である。
図4図3の送風機の断面図である。
図5】本発明の第2実施形態に係るボイラの概略構成を示す説明図である。
図6図5のボイラの検出センサの防爆ケースを示す拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。また、各特徴について独立して発明が成立する。
【0018】
(第1実施形態)
<ボイラ>
本発明の第1実施形態に係るボイラ1は、図1の縦断面の説明図に示すように、燃焼室3と、水管2を加熱するバーナ4と、バーナ4に燃焼用空気を供給する送風機5と、バーナ4に燃料ガスを供給するガス供給路6と、水管2に給水を行う給水路7と、燃焼室3から排ガスを導出する排ガス路8と、ボイラ1を制御する制御装置9と、火炎を検出する火炎検出装置20とを備える。
【0019】
燃焼室3は、下部管寄せ11と上部管寄せ12との間を多数の水管2で接続して構成される缶体を備える。水管2内には、給水路7を介して下部管寄せ11から適宜給水されており、水管2内の水位が維持される。また、燃焼室3は、一端部(図1の左側)にバーナ4が設けられ、他端部(図1の右側)に排ガス路8が接続される。
【0020】
各水管2内の水は、バーナ4からの燃焼ガスによって加熱され、蒸気として上部管寄せ12から気水分離器(図示せず)を介して蒸気路13へ導出される。蒸気は、蒸気ヘッダなどを介して各種の蒸気使用設備へ送られる。一方、バーナ4による燃焼ガスは、各水管2内の水と熱交換した後、排ガスとして排ガス路8から排出される。なお、排ガス路8には、余熱によって給水を予加熱するエコノマイザ(図示せず)を設けても良い。
【0021】
バーナ4は、予混合バーナとされ、このバーナ4には燃焼量に応じた量の燃焼用空気と燃料ガスとが、燃焼用空気路14を通って供給される。燃焼用空気路14のバーナ4近傍は、箱形状のウインドボックス(風箱)15によって覆われている。このウインドボックス15のバーナ4とは反対側の位置には、火炎検出装置20を取り付けるための取付孔15a(図2参照)が形成される。燃焼用空気は、送風機5により、燃焼用空気路14を介してバーナ4へ送り込まれる。燃焼用空気の流量は、燃焼用空気路14に設けられたダンパ(傾斜角度を変更可能な板材)16によって調整される。なお、これに代えて又はこれに加えて、インバータを用いて送風機5のモータの回転速度を変えてもよい。一方、燃料ガスは、燃焼用空気路14のダンパ16よりも下流においてガス供給路6から供給され、ガス供給路6からのガスは、燃焼用空気路14内において噴出され、送風機5からの空気に混合されて、バーナ4へ送られる。ガス供給路6には、燃焼ガスの供給と供給の停止を切り替える遮蔽弁17が設けられる。遮蔽弁17より下流には、流量調整弁(図示省略)を設けてもよい。燃焼量に応じて、流量調整弁の開度を変更することで、燃焼量に応じた空気比に調整することができる。
【0022】
送風機5は、図3及び図4に示すように、複数の羽根板51aを有するインペラ51と、ファンケーシング52と、カバー53と、モータ54とを備える。モータ54によりインペラ51が回転すると、周囲の空気が吸込口55からインペラ51の軸方向に吸い込まれ、この吸い込まれた空気はファンケーシング52内部を通り昇圧されつつ吹出口56に向かい、吹出口56からインペラ51の外周部の接線方向に吹き出される。そして、吹出口56から吹き出された空気は、燃焼用空気路14及びウインドボックス15を介してバーナ4に供給される。
【0023】
制御装置9は、図1に示す制御ボックス18内に配置されるコントロールユニットとして構成され、送風機5及びダンパ16による燃焼用空気の供給量の制御、遮蔽弁17による燃焼ガスの供給量の制御、後述する火炎検出装置20の検出センサ21(図2参照)の制御等、ボイラ1の各部の制御を行う。この際、例えば、燃焼用空気と燃料ガスの比を設定した比とする制御が行われる。そして、制御装置9の制御により、ボイラ1が発生させる蒸気量や蒸気圧力が調整される。なお、制御ボックス18は気密性を有し、制御ボックス18内は、加圧手段19による加圧によって周囲雰囲気に対して陽圧となっている。この圧力は、例えば20mmAq〜60mmAqとされ、圧力が20mmAq以下になるとアラームを発するとともにボイラを停止し、60mmAq以上になるとパージを行うよう制御される。
<火炎検出装置>
【0024】
火炎検出装置20は、本実施形態においては、図1に示すように、ウインドボックス15のバーナ4とは反対側の位置に設置され、図2に示すように、検出センサ21と、検出センサ21を囲う防爆ケース22と、検出センサ21及び防爆ケース22をウインドボックス15に取り付ける取付部材23を備える。検出センサ21は、バーナ4で混合スが燃焼することで形成される火炎の光が届く範囲に、光透過部としての透明ガラス30を隔てて配置され、例えば、この火炎のUV光を検出し、火炎が形成されているかを検出する。なお、火炎検出装置20は、検出センサ21の検出結果のみを制御装置9に送り、制御装置9で検出結果を解析し、火炎が形成されているかを判定するようにしても良い。
【0025】
防爆ケース22は、検出センサ21全体を覆う大きさに形成された箱型のケースであり、ウインドボックス15の取付孔15aと対向する位置に形成される取付孔22aと、チューブ40が接続される接続部24を備える。チューブ40は、制御装置9から検出センサ21へ繋がる信号線21aを内部に備える。また、チューブ40の接続部24は、フィッティング41によって信号線を導通させつつ防爆ケース22内の密閉を保っている。。取付孔22a、接続部24を除いて防爆ケース22内は閉止されており、防爆ケース22をウインドボックス15に取り付け、チューブ40を接続した後は、防爆ケース22内はケース外部の雰囲気から隔離される。そして、この防爆ケース22内は、図1に示すエアコンプレッサ26(特許請求の範囲における加圧手段)によって加圧ダクト27(図2参照)を介して加圧されることにより、周囲雰囲気に対して陽圧となっている。このような構成により、周囲雰囲気中に可燃性物質が存在していたとしても、可燃性物質は防爆ケース22内に入り込むことができず、安全にボイラを運用することができる。
【0026】
取付部材23は、図2に示すように、透明ガラス30と、ウインドボックス15に固定されるボックス側取付部材31と、防爆ケース22と固定されるケース側取付部材32と、透明ガラス30を保持する保持板33とを備える。ボックス側取付部材31、ケース側取付部材32及び保持板33は、それぞれ同一軸上に貫通孔31h、32h、33hを有しており、バーナ4による火炎は、透明ガラス30を通過して検出センサ21に到達する。透明ガラス30とボックス側取付部材31の間は、Oリング34によってシールされる。そして、ボックス側取付部材31、ケース側取付部材32及び保持板33をボルト35によって固定することで、ウインドボックス15に検出センサ21及び防爆ケース22が固定される。このような構成により、ウインドボックス15内の予混合ガスと防爆ケース22内空気は透明ガラス30によって分離され、予混合ガスが検出センサ21等から生じた火花や静電気とが交わることがない。
【0027】
<ボイラの動作>
次に、本実施形態に係るボイラ1の動作を説明する。ボイラ1は、制御装置9が各部の動作を制御することで、各動作を実現する。制御装置9は、送風機5及びダンパ16と、ガス供給路6の遮蔽弁17を駆動しバーナ4での燃焼を開始する。制御装置9は、火炎検出装置20の検出結果に基づいてバーナ4に火炎が形成されているかを判定し、バーナ4の燃焼を制御する。ボイラ1は、バーナ4で燃料を燃焼して火炎を形成し、燃料の燃焼で生成される燃焼ガスで水管を加熱し、蒸気を生成する。
【0028】
ボイラ1の動作の間、制御ボックス18内は、加圧手段19により加圧されて周囲雰囲気に対して陽圧となっており、制御ボックス18と連通する防爆ケース22内も周囲雰囲気に対して陽圧となる。これにより、検出センサ21及び制御装置9の電気機器を外部雰囲気から隔離することが可能となる。したがって、万が一可燃性物質が外部雰囲気に含まれていた場合にも、可燃性物質は防爆ケース22内の検出センサ21及び制御装置9の電気機器等まで入り込むことがなく、火花や静電気によって引火や爆発が生じることを防止することができる。
【0029】
(第2実施形態)
図5は、本発明の第2実施形態に係るボイラ1の概略構成を示す説明図であり、図6は、ボイラ1の検出センサ21及び防爆ケース22と、これらの取付部材23を示す拡大図である。本実施形態において、第1実施形態と同一の構成要素に対しては同一の符号を付し、その説明を省略する。本実施形態のボイラ1は、図6示すように、ウインドボックス15と防爆ケース22の間にアダプタ60を設けた点が第1実施形態との主な相違点である。以下、この相違点及び相違点による効果について説明する。
【0030】
本実施形態において、アダプタ60は、図6に示すように、ウインドボックス15に取り付けられる筒状のボックス側筒体61と、防爆ケース22と一体的に形成される筒状のケース側筒体62とから構成され、ボックス側筒体61のフランジ61aとケース側筒体62のフランジ62aとを当接させて固定することで、アダプタ60が形成される。ボックス側筒体61は、ボックス側取付部材31を介してウインドボックス15に取り付けられており、ボックス側取付部材31とボックス側筒体61の間には、透明ガラス30aが配置される。透明ガラス30aとボックス側取付部材31は、Oリング34aによってシールされる。
【0031】
一方、ケース側筒体62と防爆ケース22の接続部分は、厚肉部25となっており、この厚肉部25には、保持板33bによって透明ガラス30bが保持され、透明ガラス30bと厚肉部25は、Oリング34bによってシールされる。また、保持板33bには、ケース側取付部材32を介して検出センサ21が取り付けられる。
【0032】
ここで、本実施形態においては、防爆ケース22内と制御ボックス18内とがダクト27によって連通している。そのため、防爆ケース22内も加圧ダクト27を介して加圧手段19によって加圧され(図5参照)、周囲雰囲気に対して陽圧状態とされる。したがって、万が一可燃性物質が外部雰囲気に含まれていた場合にも、検出センサ21及び制御装置9の電気機器等から生じた火花や静電気によって引火や爆発が生じることを防止することができる。なお、このような構成であっても、ボックス側取付部材31、ケース側取付部材32、保持板33bの貫通孔(符号省略)及びアダプタ60が同一軸上に位置するよう組み付けることで、バーナ4による火炎が透明ガラス30a,30bを通過して検出センサ21に到達するようになっている。
【0033】
また、アダプタ60のケース側筒体62には、筒の外側に貫通する通気孔64が形成され、この通気孔64にはダクト65が取り付けられており、ダクト65は、図3及び図4に示すように、送風機5のカバー53と接続される。これにより、ダクト65は送風機5側が陰圧となり、アダプタ60内の空気を吸引する。したがって、アダプタ60内は周囲雰囲気に対して陰圧となっている。なお、本実施形態においては、上述した送風機5及びダクト65が特許請求の範囲の陰圧手段に相当する。
【0034】
ここで、第1実施形態のボイラ1を考えると、ウインドボックス15の予混合ガスと防爆ケース22内の空気は、透明ガラス30のみによって分離される構成となっていた。加えて、検出センサ21及び制御装置9内の他の電気機器の強度上、加圧手段19により制御ボックス18及び防爆ケース22内を予混合ガスの圧力よりも高圧とすることはできないため、ウインドボックス15の予混合ガスと防爆ケース22内の空気では、予混合ガスのほうが高圧状態となっていた。したがって、第1実施形態のボイラ1でも周囲雰囲気中の可燃性物質が防爆ケース22内に侵入することを効果的に防止することができるものの、ウインドボックス15の予混合ガスに対する対策としては更なる工夫の余地が残っていた。
【0035】
しかしながら、本実施形態においては、上述したように、ウインドボックス15と防爆ケース22の間にアダプタ60を設け、アダプタ60内をウインドボックス15内及び防爆ケース22内に対してそれぞれ陰圧としていることから、ウインドボックス15側から予混合ガスがアダプタ60に流出したとしても、防爆ケース22に予混合ガスが流入せず、検出センサ21等の電気機器から生じる火花や静電気による引火や爆発を確実に阻止することが可能となっている。また、本実施形態では、アダプタ60の通気孔64からセンサ(図示せず)を用いて可燃ガスの漏れを容易に検出することも可能である。
【0036】
なお、本発明は、以下の態様でも実施可能である。
・上記実施形態では、アダプタ60の通気孔64と送風機5を接続することで、アダプタ60内を周囲雰囲気に対して陰圧としていたが、ウインドボックス15内及び防爆ケース22内は共に周囲雰囲気に対して陽圧となっていることから、単にアダプタ60に通気孔64をあけて大気開放し、アダプタ60内を周囲雰囲気と同圧とすることによっても、上記陰圧にする場合に準じた効果を得ることができる。
・さらに、アダプタ60に通気孔64を設けず気密状態とすることや、通気孔64に加圧手段を接続し、アダプタ内を防爆ケース22内に対して陽圧にすることも考えられる。この場合も、ウインドボックス15と防爆ケース22が隣接していないため、ウインドボックス15側の透明ガラス30a及び防爆ケース22側の透明ガラス30b双方に漏れが生じない限りは防爆ケース22に予混合ガスが流入することはなく、引火や爆発の可能性を抑制することが可能である。
【0037】
なお、この発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨の範囲内において種々の変形や変更が可能である。
【符号の説明】
【0038】
1:ボイラ、3:燃焼室、5:送風機、15:ウインドボックス、18:制御ボックス、19:加圧手段、21:検出センサ、22:防爆ケース、60:アダプタ、64:通気孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6