(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態を詳細に説明する。なお、図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0021】
(第1実施形態)
図1及び
図2を参照して、本発明の第1実施形態に係る電子部品パッケージについて説明する。
図1は、第1実施形態に係る電子部品パッケージ1の断面図であり、
図2は、電子部品パッケージ1の斜視図である。
【0022】
電子部品パッケージ1は、例えば、電源装置や通信機器等の電子機器に適用される部品であり、内部に電子部品が収容されていることを特徴とする。電子部品パッケージ1は、概略、基材10、電子部品20、外殻体30、及び、弾性体ライン40を主として有する。本実施形態に係る電子部品パッケージ1では、外殻体30が電子部品20を収容する電子部品パッケージのパッケージ部として機能する。外殻体30は、内部が中空構造を有しているが、詳細は後述する。
【0023】
基材10は、例えばシリコンウエハにより形成される。基材10の一方の主面上に電子部品20が搭載される。基材10は、例えば、回路基板等であってもよく、少なくとも電子部品が搭載可能であると共にパッケージ部の周縁部を固定可能な面を有している板状部材であれば、その構成は特に限定されない。
【0024】
電子部品20の種類は特に限定されず、半導体、IC(Integrated Circuit)、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)、等を適用することができる。本実施形態の電子部品パッケージのように中空構造を有している場合、電子部品20として、MEMS、及び、圧電性又は磁歪性を有する受動部品等、物理的な変位により動作する部品が好適に用いられる。これは、外殻体30が電子部品20の物理的な変位に対して干渉しない構造を実現可能であるためである。
【0025】
電子部品20には、他の部品との接続のための内部電極25が設けられる。
図1及び
図2では、電子部品20の本体に対して内部電極25が直接接続されている構成を示しているが、電子部品20の本体と内部電極25との接続の方法は
図1等に示す方法に限定されず、例えば、積層工法やワイヤボンド工法により両者を接続してもよい。
【0026】
電子部品パッケージのパッケージ部として機能する外殻体30は、基材10上に設けられた電子部品20を内部に収容するように設けられる。
図1及び
図2に示すように、外殻体30は、中央部分が上部に突出している凹型状の部材である。なお、電子部品20の内部電極25は、外部の他の部品等との接続のため、外殻体30の側面を貫通して外方に突出する構造であってもよい。
【0027】
外殻体30は、無機膜等の無機材料又は樹脂等の有機材料を用いることができ、電子部品20を保護することが可能な材料であれば特に限定されない。外殻体30として、金属等を用いることもできる。また、外殻体30は、複数材料を組み合わせて構成されていてもよいし、複数の層が積層された構造であってもよい。材料の組合せや層構造を変更することで、機械的耐久性や気密性を向上させることもできる。本実施形態では、
図1に示すように、内層31と外層32との2層により形成されている例を示している。なお、外殻体30は、絶縁性材料により構成されている。外殻体30が絶縁性材料から構成されていることで、外殻体30が内部の電子部品20や外部の部品等との接触することによる短絡等を防ぐことができる。
【0028】
図1に示すように、外殻体30の内層31には、複数の開口31Aが設けられている。この開口31Aは、電子部品パッケージ1の製造時に用いられるが詳細は後述する。
【0029】
外殻体30の大きさは、外殻体30内に収容される電子部品20の大きさや配置等に応じて適宜設定される。また、外殻体30の厚さについても、外殻体30を構成する材料や要求される強度等に応じて適宜設定される。
【0030】
また、外殻体30は、電子部品20との間の少なくとも一部に空間が形成されている中空構造を呈している。なお、電子部品20との間に形成される空間、すなわち、外殻体30の内側の中空領域Rは、外部と完全に区画された所謂気密型の空間であってもよいし、一部において外部と連通している所謂開放型の空間であってもよい。中空領域Rが気密型である場合には、中空領域Rは真空であってもよいし、内圧がかかっている状態であってもよい。また、中空領域Rが特定の気体で満たされていてもよい。このように、外殻体30の内部の中空領域Rの構造及び構成は適宜変更することができる。
【0031】
弾性体ライン40は、外殻体30の外部(電子部品20とは逆側)表面に設けられる弾性を有する材料から構成される帯状の部材である。本実施形態に係る電子部品パッケージ1では、弾性体ライン40が、外殻体30すなわち電子部品パッケージのパッケージ部の表面に設けられることで、外殻体30が強化されている。すなわち、本実施形態の電子部品パッケージ1のパッケージ部は、外殻体30に対して外力が加わる等外殻体30の変形に係る力が加わった際に、外殻体30の復元力を利用して、外力による変形を抑制することを特徴とする。
【0032】
弾性体ライン40はそれぞれ帯状を呈している。弾性体ライン40が帯状である場合、外殻体30に表面の面積に対する弾性体ライン40の占める面積の割合を小さくしながら、外殻体30の強化に係る効果を高めやすいという特徴がある。したがって、帯状の弾性体ライン40を採用することで、電子部品パッケージの大型化を防ぎながら、パッケージ部の外殻体30を強化することができる。
【0033】
また、弾性体ライン40は、それぞれ、一方側の端部は基材10に対して固定されていることが好ましい。弾性体ライン40の一方側の端部が基材10に対して固定されている場合、外殻体30が外力を受けた場合に、この基材10に対して固定されている端部側を支点とした弾性体ライン40の復元力による外殻体30の形状維持が可能となる。弾性体ライン40の他方側の端部の配置は特に限定されないが、
図1に示すように他方側の端部も基材10に対して固定されている場合、外力に対する外殻体30の強度をさらに高めることができる。
【0034】
弾性体ライン40は、パッケージ部を構成する外殻体30が変形し得る外力を受けた際に、弾性体ライン40の引っ張り応力を利用して、外力による変形を抑制することを特徴としている。したがって、弾性体ライン40は弾性を有して且つ引っ張り応力を有する材料であることが好ましい。具体的には、弾性体ライン40は、外殻体30の材料と比較して熱膨張係数が大きいことが好ましい。また、弾性体ライン40の材料は、加工前(外殻体30への設置前)と比較して、加工後(外殻体30への設置後)のほうが材料に含まれる分子の分子間距離が小さくなっていることが好ましい。したがって、弾性体ライン40を構成する材料としては、例えば、TMA(トリメチルアルミニウム)を出発材料としたAl
2O
3等による無機膜や、Cuイオン又はNiイオン等の金属イオンを出発材料とした、Cu又はNi等によるめっき金属膜が挙げられる。
【0035】
なお、外殻体30が、エポキシ又はポリイミド等の高分子樹脂から形成されている場合、他の材料(例えば、金属やセラミクス等)と比較して、柔軟性が高いことから、弾性体ライン40による補強効果が高められる。すなわち、外殻体30が変形する方向に外力を受けた場合に弾性体ライン40がその弾性により形状変化を防ぐ方向へ移動するが、外殻体30が高分子樹脂から形成されている場合、弾性体ライン40の形状変化に追随した移動が容易となる。したがって、弾性体ライン40による補強効果が高められる。
【0036】
弾性体ライン40は、複数設けられることが好ましい。弾性体ライン40が少なくとも一つ設けられることで、外殻体30を補強する効果が奏される。しかし、弾性体ライン40が複数設けられている場合、外殻体30が外力を受けた場合に、複数の弾性体ライン40で分散して支持することができるため、外殻体30の補強効果が高められる。
【0037】
また、複数の弾性体ライン40の配置例は種々考えられるが、例えば、
図2に示すように、二以上の弾性体ライン40が交差するように配置されることができる。
図2に示す例では、平面視で矩形状の外殻体30の上面において、周縁同士の距離が最も長い対角線同士を結ぶように、弾性体ライン40が配置される。周縁同士の距離が長い領域は、外力に対する影響を受けやすいため、当該領域を弾性体ライン40により補強した例である。また、
図2に示す例のように、複数の弾性体ライン40が交差するように配置をすると、外殻体30が外力を受けた場合に、互いに異なる方向に延びる弾性体ライン40により支持することが可能となる。したがって、外殻体30を効率よく支持することができる。
【0038】
弾性体ライン40の配置は
図2に示す例に限定されない。
図3に示す電子部品パッケージ2では、平面視で矩形状の外殻体30の上面において、長辺に沿って複数の弾性体ライン40が並列に配置されている例である。また、複数の弾性体ライン40は、それぞれ一方側の端部が基材10に固定されていると共に、他方側の端部は外殻体30の上面の中央付近に配置されている。このように、複数の弾性体ライン40を並列に配置する構成とすることもできる。
図3に示す例では、複数の弾性体ライン40の配置がほぼ均等となっているが、配置を不均等にする(隣接する弾性体ライン40同士の間隔を不均等にする、対向配置する弾性体ライン40の配置を不均等にする)構成としてもよい。
【0039】
帯状の弾性体ライン40の幅は、例えば、3μm〜300μmとすることができる。また、弾性体ライン40の長さは特に限定されず、弾性体ライン40の配置に応じて適宜変更することができる。弾性体ライン40の幅を大きくすると、コスト高、重量増加、又は、電子部品パッケージ1の大型化に影響する可能性も考えられる。
【0040】
なお、弾性体ライン40の一部は、電子部品20の内部電極25と電気的に接続されると共に他の部品と接続されて、動作時に実際に電気信号の授受に使われていてもよい。動作時には電流が流れる信号ラインについても、外殻体30を補強する弾性体ライン40としての効果が奏することができる。
【0041】
また、弾性体ライン40が導電性を有する金属等の材料から構成されている場合、弾性体ライン40は、電磁シールドとしても機能することができる。すなわち、電子部品パッケージ内外の電磁波の伝搬を抑制することができる。これにより、外部の部品等からの電磁ノイズが電子部品パッケージ内の電子部品に影響を与えること、及び、電子部品から発生する電磁ノイズが外部の部品等に影響を与えることを抑制することができる。
【0042】
なお、弾性体ライン40が導電性を有する材料から形成されている場合、弾性体ライン40はフロートであってもよいが、少なくとも一部が接地していることが好ましい。弾性体ライン40が全てフロートであっても、電子部品パッケージ内外の電磁波の伝搬を抑制することができるが、弾性体ライン40が接地している場合には、電子部品パッケージ内外の電磁波の伝搬を効果的に抑制することができる。
【0043】
次に、上記の電子部品パッケージ1の製造方法について、
図4及び
図5を参照しながら説明する。まず、
図4(A)に示すように、基材10の上に電子部品20及び内部電極25を取り付ける。電子部品20及び内部電極25の取り付けは、公知の手法により行うことができる。上述したように、電子部品20と内部電極25とワイヤボンドにより接続する工法等を用いてもよい。
【0044】
次に、
図4(B)に示すように、樹脂層等による犠牲層70を電子部品20及び内部電極25の上方に、塗布やフォトリソグラフィ等の公知の方法を用いて形成する。犠牲層70は、外殻体30の内側の中空領域Rが形成される部分に設けられる。
【0045】
その後、犠牲層70を覆うように外殻体30の内層31を形成する。内層31は、スパッタやエッチング等の公知の方法を用いて形成される。なお、内層31には、複数の開口31Aが形成される。開口31Aは、犠牲層70の除去のために設けられるが、内層31の上方に形成される外層32が開口31Aから内部に侵入することは防ぐ必要がある。したがって、外層32を形成する際に外層32となる材料が開口31Aから侵入しない程度に開口31Aの孔径は小さくされる。また、開口31Aの孔径が犠牲層70の除去に影響しない程度に、開口31Aの数は多くされる。
【0046】
次に、ドライエッチングにより、犠牲層70を除去する。この結果、
図5(A)に示すように、外殻体30の内層31の下部であって電子部品20の上方に中空領域Rが形成される。
【0047】
次に、
図5(B)に示すように、外殻体30の内層31の上方に外層32を形成する。外層32の形成方法としては、塗布、ラミネート、フォトリソグラフィ等の公知の方法を用いることができる。これで、内層31及び外層32による外殻体30が形成される。これにより、
図1に示すような電子部品パッケージ1が形成される。
【0048】
このように、本実施形態に係る電子部品パッケージ1は、中空構造を有するパッケージ部として機能する外殻体30の表面に弾性体ライン40が形成されていることで、電子部品パッケージの外殻体30の強度が向上される。
【0049】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係る電子部品パッケージについて説明する。第1実施形態では、電子部品パッケージ1の外殻体30は基本的に気密となっている構成について説明したが、外殻体30に、内部の電子部品と接続するための配線を施すための開口が設けられる場合がある。第2実施形態では、外殻体30の上面に開口が設けられている場合について説明する。また、電子部品パッケージに含まれる各部の構造のバリエーション等についても、第2実施形態に係る電子部品パッケージと併せて説明する。
【0050】
図6は、第2実施形態に係る電子部品パッケージ3A,3Bの概略斜視図である。
図6(A)では、電子部品パッケージ3Aを示し、
図6(B)では電子部品パッケージ3Bを示している。電子部品パッケージ3A,3Bは、いずれも外殻体30の上面に開口が設けられているが、弾性体ライン40の配置が互いに異なる。
【0051】
図6(A)に示す電子部品パッケージ3Aでは、外殻体30の上面に開口30Aが設けられている。開口30Aは、第1実施形態で説明した内層31の開口31Aとは異なり、外殻体30を貫通している開口である。したがって、開口30Aにより、電子部品パッケージ3Aの中空領域Rは外部と連通している状態となっている。開口30Aの位置は外殻体30の上面の中央とは異なる位置である。そして、電子部品パッケージ3Aでは、弾性体ライン40は、開口30Aの周囲に設けられると共に、この周囲と、外殻体30の下方に設けられる基材10とを接続するように、設けられている。外殻体30に開口30Aが設けられている場合、開口30Aの周囲は他の領域と比べて強度が低下し、外力の影響を受けやすくなると考えられる。したがって、開口30Aの周囲に弾性体ライン40を設けることで、開口30Aの周囲の強度が高められている。
【0052】
図6(B)に示す電子部品パッケージ3Bでは、外殻体30の上面に開口30Bが設けられている。開口30Bについても開口30Aと同様に、外殻体30を貫通している開口である。したがって、開口30Bにより、電子部品パッケージ3Aの中空領域Rは外部と連通している状態となっている。電子部品パッケージ3Bでは、開口30Bの周囲に弾性体ライン40を設けることに代えて、外殻体30の周縁から開口30Bへ向けて複数の弾性体ライン40が延びるような配置となっている。換言すると、複数の弾性体ライン40は、開口30Bから放射状に外殻体30の周縁の基材10に対して延びている構造であるといえる。従来、外殻体30の開口30Bの周囲は他の領域と比べて強度が低下するが、上記のような弾性体ライン40の配置にすると、開口30Bの周囲では複数の弾性体ライン40が近接配置される構成となる。したがって、開口30Bの周囲では、弾性体ライン40の引っ張り応力による効果が高められ、外力に対する耐久性も向上している。
【0053】
このように、電子部品パッケージの外殻体30に内外を連通する開口が設けられている場合であっても、開口の周囲での弾性体ラインの配置を工夫することで、他の領域を比べて開口周辺の強度が低下することを防ぐことができる。上記の電子部品パッケージ3A,3Bにおける弾性体ライン40の配置は一例であり、開口の大きさ、数、配置等に応じて弾性体ラインの配置も適宜変更することができる。
【0054】
図7及び
図8は、第2実施形態に係る電子部品パッケージ3Bの製造方法を説明する図である。また、
図7及び
図8では、弾性体ライン40が信号ラインを兼ねている場合の構成についても説明する。また、
図7及び
図8の例では、外殻体30が一層である場合について説明する。
【0055】
まず、
図7(A)に示すように、基材10の上に電子部品20及び内部電極25を取り付ける。電子部品20及び内部電極25の取り付けは、公知の手法により行うことができる。上述したように、電子部品20と内部電極25とワイヤボンドにより接続する工法等を用いてもよい。
【0056】
次に、
図7(B)に示すように、樹脂層等による犠牲層70を電子部品20及び内部電極25の上方に、塗布やフォトリソグラフィ等の公知の方法を用いて形成する。犠牲層70は、外殻体30の内側の中空領域Rが形成される部分に設けられる。さらに、犠牲層70を覆うように外殻体30を形成する。第2実施形態では、外殻体30が単層で設けられている場合を示している。外殻体30は、スパッタやエッチング等の公知の方法を用いて形成される。
【0057】
なお、外殻体30には、
図7(B)に示すように開口30Bが形成される。開口30Bは、犠牲層70の除去のために設けられると共に、電子部品パッケージの製造後は配線等に利用することができる。外殻体30に開口を設けるか否かについては、電子部品20の特性や、電子部品パッケージに求められる機能等に基づいて決めることが好ましい。
【0058】
図7(B)では、一方側の内部電極25は犠牲層70に覆われた状態を示している。また、他方側の内部電極25は、犠牲層70及び外殻体30から一部が突出した構成となっている。このように、内部電極25が外殻体30の側面を貫通して外方に突出する構成であってもよい。
【0059】
次に、
図8(A)に示すように、外殻体30の上方に弾性体ライン40を形成する。弾性体ライン40は、例えば、スパッタによるシード層の形成の後に、パターンめっきを行うことで形成することができる。
図8(A)に示す例では、外殻体30の外方から突出された内部電極25と接続された信号ライン41も弾性体ライン40として設けられている。このように、弾性体ライン40として、信号ライン41を利用することもできる。信号ライン41を弾性体ライン40として利用することで、信号ラインを弾性体ラインとは別に配置する場合と比較して、省スペース化が可能となる。弾性体ライン40が信号ライン41である場合、当然ながら導電性を有する材料が信号ライン41の材料として選択される。
【0060】
次に、ドライエッチングにより、犠牲層70を除去する。犠牲層70の除去の際には、外殻体30の開口30Bが利用される。この結果、
図8(B)に示すように、外殻体30の内層31の下部であって電子部品20の上方に中空領域Rが形成される。これにより、第2実施形態に係る電子部品パッケージ3Bが形成される。
【0061】
電子部品パッケージ3Bでは、外殻体30に開口30Bが形成されているので、外殻体30内の中空領域Rは外部と連続している状態である。このように、中空領域Rが外部と連続している構成であってもよい。
【0062】
なお、
図9は、第2実施形態の変形例であり、
図8(B)に対応するものである。
図9に示す電子部品パッケージ4では、外殻体30が内層33及び外層34の2層から構成されている。また、内層33の開口33Aと、外層34の開口34Aとが連通するように犠牲層70上に設けられる。このような構成とする場合には、弾性体ライン40は、外層34の上方に形成される。また、犠牲層70の除去には、開口33A,34Aが用いられる。このように、中空領域Rとなる領域(犠牲層70が形成されている領域)が外部と連続した状態であって且つ、外殻体30を2重構造とすることもできる。
【0063】
(変形例)
図10は、変形例に係る電子部品パッケージを含む積層体5の例である。
図10に示す積層体5は、第1実施形態に係る電子部品パッケージ1に設けられる弾性体ライン40と比較して、いずれも電子部品20の内部電極25と接続されている信号ライン41となっている。また、積層体5では、電子部品パッケージとして機能する外殻体30が保護層50内に埋め込まれた状態であり、信号ライン41、ビア60及び端子電極65を介して電子部品20が他の部品等と電気的に接続される構造となっている。
【0064】
積層体5の保護層50は、基材10の上部に設けられると共に外殻体30等の上方にも形成される。保護層50は、基材10上に設けられた外殻体30及び他の電子部品等を保護する機能を有し、例えば、樹脂等により形成することができる。また、ビア60は、外殻体30の上方に設けられた保護層50に設けられた厚さ方向(上下方向)に延びる貫通孔に対して導体が導入されたものである。ビア60は、保護層50上に設けられる端子電極65と、保護層50内部に設けられた信号ライン41を始めとする部品等の接続に用いられる。
【0065】
上記の積層体5の製造方法は以下の通りである。第1実施形態の電子部品パッケージ1と同様に、基材10、外殻体30及び弾性体ライン40を形成する。ただし、内部電極25は、外殻体30を貫通して外方に突出していて、弾性体ライン40が信号ライン41として形成される。その後、基材10、外殻体30及び弾性体ライン40の表面を覆うように保護層50を形成する。保護層50の形成方法としては、塗布、ラミネート、フォトリソグラフィ等の公知の方法を用いることができる。
【0066】
そして、保護層50に対して貫通孔を設けると共に、導体を導入することでビア60を形成すると共に、ビア60と接続されるように端子電極65を設ける。これにより、
図10に示すような電子部品パッケージを含む積層体5が形成される。
【0067】
このように、本実施形態に係る電子部品パッケージは、保護層のような他の部材により覆われる構成であってもよい。その場合、積層体5のように、ビア60等を用いて、内部の電子部品20と外部の部品等を電気的に接続することができる。なお、電子部品20と外部の部品等を接続する構成は、ビア60に限定されず、例えばはんだボールを介する構成や、ワイヤボンドによるワイヤを介する構成など、種々の変更を加えることができる。
【0068】
以上のように、本実施形態に係る電子部品パッケージによれば、パッケージ部として機能する外殻体30の表面に設けられた帯状の弾性体ライン40が、パッケージ部の形状変化を抑制するようにパッケージ部を補強する。したがって、外力に対する強度が向上される。
【0069】
従来から、電子部品を中空構造により収容する電子部品パッケージ自体は知られていた。しかしながら、中空構造にすることにより、パッケージ部の強度は低下することが考えられる。特に、近年、電子部品パッケージが用いられる装置の小型化等の要求から、電子部品パッケージの小型化も検討されているが、電子部品パッケージの薄型化によっても強度が低下すると考えられる。これに対して、上記実施形態のように、弾性体ラインにより補強をする構成とすることで、パッケージ部を肉厚にすることによる装置の大型化やコスト増を防ぎながら、強度を向上させることが可能となる。
【0070】
また、弾性体ライン40が引っ張り応力を有している場合、弾性体ライン40によるパッケージ部の補強効果が高められ、外力に対する強度がさらに向上する。
【0071】
さらに、弾性体ライン40が複数設けられ、その一部がパッケージ部の表面において交差するように配置されていると、パッケージ部が外力を受けた場合に、複数の方向から支持ができるため、外力に対する強度が向上される。
【0072】
また、弾性体ライン40が複数設けられ、その一部がパッケージ部の表面において並行するように配置されていると、パッケージ部が外力を受けた場合に、並行配置される弾性体ラインによる補強効果が高められ、外力に対する強度が向上される。
【0073】
また、パッケージ部が高分子樹脂である場合、他の材料と比較して柔軟性が高いことから、弾性体ラインによる補強効果が高められる。
【0074】
上記のように、弾性体ラインの一部が信号ラインである場合、信号ラインを弾性体ラインとは別に配置する場合と比較して、電子部品パッケージの小型化を実現しつつパッケージ部の強度を高めることが可能となる。
【0075】
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0076】
例えば、上記実施形態で説明した電子部品パッケージにおけるパッケージ部(外殻体30)の形状は、適宜変更することができる。また、電子部品20と他の部品等との接続方法によっても、上記実施形態で説明した構成に限定されず、適宜変更することができる。