(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
(A)成分の水溶性有効成分が、トラネキサム酸、アラントイン及びその誘導体、ε−アミノカプロン酸、アズレンスルホン酸ナトリウム、グリチルリチン酸塩、アスコルビン酸塩、塩酸ピリドキシン並びにオウバクエキスから選ばれる少なくとも1種である請求項1記載の口腔用組成物。
(E)成分が、エチレンオキサイドの平均付加モル数が3〜8モル、アルキル基の炭素数が16〜18のポリオキシエチレンアルキルエーテルである請求項1〜5のいずれか1項記載の口腔用組成物。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明につき更に詳述する。本発明の口腔用組成物は、
(A)水溶性有効成分、
(B)炭素数8〜22の分岐鎖構造を有する脂肪酸及びエステルから選ばれる1種以上、
(C)トコフェロール及び/又はその誘導体、
(D)無機酸及び/又は有機酸のアルカリ金属塩から選ばれる1種以上、
及び
(E)ポリオキシエチレンアルキルエーテル
を含有する。
【0014】
(A)成分の水溶性有効成分は、歯周病の予防又は抑制作用を有する薬効成分である。具体的には、トラネキサム酸、アラントイン,アラントインクロルヒドロキシアルミニウム,アラントインジヒドロキシアルミニウム等のアラントイン又はその誘導体、ε−アミノカプロン酸、アズレンスルホン酸ナトリウム、グリチルリチン酸塩、アスコルビン酸塩、塩酸ピリドキシン、オウバクエキス等が挙げられ、これらは1種単独でも2種以上を組み合わせて用いてもよい。中でも、構造中にアミノ基を有しているものが、(B)成分との相互作用の観点から好ましく、より好ましくはトラネキサム酸、アラントイン又はその誘導体、ε−アミノカプロン酸であり、更に好ましくはトラネキサム酸である。
【0015】
(A)成分の水溶性有効成分の配合量は、組成物全体の0.001〜0.5%(質量%、以下同様。)が好ましい。配合量が多いほど薬効が高まり、0.001%以上であると十分な薬効を付与できるが、0.5%以下であることが、変色等の製剤安定性への悪影響を抑制するには好適である。
【0016】
(B)成分は、(A)成分の口腔内吸収促進剤であり、(B−1)炭素数8〜22の分岐鎖構造を有する脂肪酸及び/又は(B−2)炭素数8〜22の分岐鎖構造を有するエステルを使用できる。これらは1種単独でも2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、(B−1)成分又は(B−2)成分であっても、(B−1)成分及び(B−2)成分であってもよい。
【0017】
(B−1)成分の脂肪酸は、炭素数8〜22の分岐鎖状構造を有するものであり、皮膚親和性の観点から、好ましい炭素数は12〜20である。
具体的には、イソデカン酸、イソトリデカン酸、イソミリスチン酸、イソパルミチン酸、イソステアリン酸等が挙げられ、中でもイソステアリン酸が好ましい。
【0018】
(B−2)成分のエステルは、炭素数8〜22の分岐鎖構造を有するものであり、皮膚親和性の観点から、好ましい炭素数は12〜20である。特に、分岐鎖構造を有するものが好ましく、酸残基、アルコール残基のいずれかが分岐鎖状構造を有するアシルアミノ酸エステル及び/又は脂肪酸エステルが好ましく、より好ましくは脂肪酸エステルである。この場合、分岐鎖状構造が酸残基又はアルコール残基にあっても、両方にあってもよい。
エステルの種類としては、特に、ステロール骨格を有するステロールエステルが好ましく、中でもフィトステロールエステル、コレステロールエステルが好ましく、フィトステロールエステルが最も好ましい。
具体的には、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(コレステリル・オクチルドデシル)N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(コレステリル・ベヘニル・オクチルドデシル)等のN−アシルアミノ酸ステロールエステルや酪酸コレステリル、ステアリン酸コレステリル、イソステアリン酸コレステリル、イソステアリン酸フィトステリル、ヒドロキシステアリン酸コレステリル、オレイン酸コレステリル、マカデミアナッツ油脂肪酸コレステリル等の脂肪酸ステロールエステルが挙げられ、中でもイソステアリン酸フィトステリルが好ましい。
【0019】
(B)成分の配合量は、組成物全体の0.05〜1%であり、好ましくは0.1〜0.8%、より好ましくは0.1〜0.5%である。配合量が多いほど吸収促進効果が高まり、0.05%に満たないと吸収促進効果が得られない。1%を超えると、マスキング困難なほどに油臭さが強くなり、使用感が劣る。
【0020】
(C)成分のトコフェロール及び/又はその誘導体は、血行促進作用を有し、歯周病の予防又は抑制に有効な成分である。具体的には、トコフェロール、酢酸トコフェロール、ニコチン酸トコフェロール、コハク酸トコフェロール等が挙げられ、これらは1種単独でも2種以上を組み合わせてもよい。特にトコフェロールの酢酸エステルである酢酸トコフェロールが好ましい。
(C)成分の配合量は、組成物全体の0.01〜2%が好ましく、より好ましくは0.05〜1%である。配合量が多いほど有効性は高まり、0.01%以上であると十分な有効性が得られる。2%以下であることが、油臭さの十分なマスキングにはより好適である。
【0021】
(D)成分は、無機酸及び/又は有機酸のアルカリ金属塩から選ばれる少なくとも1種以上である。本発明では、(D)成分を含有しないと、油臭さが抑制されず使用感が劣り、また(C)成分の保存安定性が不十分となる。
前記無機酸としては、塩酸、硫酸、リン酸、硝酸、炭酸、重炭酸等が挙げられ、有機酸としては乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸、フマル酸、酢酸等が挙げられる。アルカリ金属塩は、ナトリウム塩、カリウム塩である。具体的な化合物としては、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム等の塩化物塩、硫酸ナトリウム等の硫酸塩、リン酸一水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸三ナトリウム等のリン酸塩、リンゴ酸ナトリウム等のリンゴ酸塩、クエン酸ナトリウム等のクエン酸塩、コハク酸一ナトリウム、コハク酸二ナトリウム等のコハク酸塩、酢酸ナトリウム等の酢酸塩、酒石酸ナトリウム等の酒石酸塩、硝酸ナトリウム等の硝酸塩、炭酸水素ナトリウム等の炭酸塩、乳酸ナトリウム等の乳酸塩、フマル酸ナトリウム等のフマル酸塩等が挙げられ、1種又は2種以上を使用し得る。
前記中、好ましい(D)成分は、アルカリ金属の塩化物塩、硫酸塩、乳酸塩であり、より好ましくは塩化物塩、硫酸塩である。特に好ましくは、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウムであり、とりわけ塩化ナトリウム、硫酸ナトリウムが好適である。なお、塩化物塩、硫酸塩、乳酸塩から選ばれる1種を単独でも、又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0022】
(D)成分は、油臭さを抑制すると共に、(E)成分との併用により、(E)成分による(C)成分の安定化効果の更なる向上を目的に配合される。
(D)成分の配合量は、組成物全体の1〜10%が好ましく、1〜8%がより好ましく、更に好ましくは2〜6%である。1%以上であると、(A)成分の油臭さが十分に抑制されると共に、(E)成分による(C)成分の安定化効果の向上が可能となる。上限量は本発明効果に対して特に制限されないが、10%を超えると、保存時に液分離を生じる等の製剤安定性に劣るおそれがある。
【0023】
(E)ポリオキシエチレンアルキルエーテルは、エチレンオキサイドの平均付加モル数3〜8モル、アルキル基の炭素数16〜18のものが好ましい。
具体的には、ポリオキシエチレン(3)セチルエーテル、ポリオキシエチレン(5)セチルエーテル、ポリオキシエチレン(7)セチルエーテル、ポリオキシエチレン(3)ステアリルエーテル、ポリオキシエチレン(4)ステアリルエーテル、ポリオキシエチレン(5)ステアリルエーテル、ポリオキシエチレン(6)ステアリルエーテル、ポリオキシエチレン(7)ステアリルエーテル、ポリオキシエチレン(8)ステアリルエーテルなどが挙げられ、これらは1種単独でも2種以上を組み合わせてもよい。中でも、ポリオキシエチレン(5)ステアリルエーテル、ポリオキシエチレン(8)ステアリルエーテル、ポリオキシエチレン(3)セチルエーテル、特にポリオキシエチレン(5)ステアリルエーテル、ポリオキシエチレン(3)セチルエーテルが好ましい。なお、( )内の数値はエチレンオキサイドの平均付加モル数である(以下同様。)。
これらのポリオキシエチレンアルキルエーテルは、例えば日本エマルジョン株式会社や日光ケミカルズ株式会社から商品化されたものを使用できる。
【0024】
(E)成分の配合量は、組成物全体の0.05〜2%が好ましく、0.1〜1.5%がより好ましく、更に好ましくは0.1〜0.8%、とりわけ0.1〜0.4%が好ましい。0.05%未満であると、(C)成分の安定化効果が発現しない。また、配合量が多すぎる場合は、起泡性に劣るおそれがあり、2%以下であることが、起泡性を十分に維持するには好適である。
【0025】
本発明では、(D)成分と(E)成分との合計量が、(C)成分の保存安定性に重要となる。(D)成分及び(E)成分の合計量を示す(D)+(E)が、組成物全体に対し、2%以上であり、2.5%以上が好ましく、3%以上がより好ましい。2%以上であると(C)成分の保存安定性が十分に得られる。上限は、(D)、(E)成分の各々の配合量上限の合計としてよい。
【0026】
本発明では、(B)成分に対する(D)成分の配合比率を示す(D)/(B)が質量比として5以上であり、好ましくは6以上、より好ましくは10以上であり、更に好ましくは100以下、特に80以下、とりわけ50以下である。5以上において、油臭さが抑制され良好な使用感が得られる。5未満であると、油臭さがマスキングされず使用感が劣る。また、100を超えると、塩味が強すぎて使用感が劣る場合がある。
【0027】
本発明では、(B)成分に対する(E)成分の配合比率を示す(E)/(B)が質量比として5以下であり、好ましくは4以下、より好ましくは3以下であり、更に好ましくは0.4以上、特に0.5以上、とりわけ0.8以上である。5以下であることで、(A)成分の吸収性が十分に維持される。5を超えると、(B)成分による(A)成分の吸収促進効果が阻害され吸収率が低くなる。また、下限値は本発明効果に対して特に制限されないが、0.4未満であると、(A)成分の製剤中での分散性が悪くなり、製剤中での均一性を保てず、外観を損なうおそれがある。
【0028】
本発明の口腔用組成物の剤型、形状は特に限定されず、例えば、乳化液(乳液、懸濁液等)、半固体(ゲル、クリーム、ペースト等)、固体(錠剤、粒子状剤、カプセル剤、フィルム剤、混練物、溶融固体、ロウ状固体、弾性固体等)等の任意の剤型に調製することができる。また、剤型等に応じて、上記成分以外の公知成分を適宜、必要に応じて配合し、常法によって調製できる。例えば研磨剤、粘稠剤、粘結剤、(E)成分以外の界面活性剤、甘味剤、保存剤、香料、着色剤、pH調整剤、(A)、(C)成分以外の有効成分などが挙げられる。
【0029】
研磨剤としては、無水ケイ酸、結晶性シリカ、非晶性シリカ、シリカゲル、アルミノシリケート等のシリカ系研磨剤、ゼオライト、リン酸水素カルシウム無水和物、リン酸水素カルシウム2水和物、ピロリン酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化アルミニウム、アルミナ、炭酸マグネシウム、第3リン酸マグネシウム、ケイ酸ジルコニウム、第3リン酸カルシウム、ハイドロキシアパタイト、第4リン酸カルシウム、合成樹脂系研磨剤等が挙げられる。研磨剤は無配合(0%)でもよいが、研磨剤を配合する場合、その配合量は通常、組成物全体の1〜50%、特に10〜30%である。
【0030】
粘稠剤としては、ソルビット、グリセリン、キシリット、還元でんぷん糖化物等の糖アルコール、プロピレングリコール、平均分子量200〜6,000(医薬部外品原料規格2006記載の平均分子量。以下同様。)のポリエチレングリコール、エチレングリコール等の多価アルコールなどが挙げられる。これらの配合量は通常、組成物全体の1〜60%、特に10〜55%である。
【0031】
粘結剤としては、プルラン、ゼラチン、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カラギーナン、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、ポリアクリル酸ナトリウム、アラビアガム、グアーガム、ローカストビーンガム、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー等の有機系粘結剤、増粘性無水ケイ酸、ベントナイト等の無機系粘結剤等が挙げられる。これらの配合量は通常、組成物全体の0.1〜5%である。
【0032】
界面活性剤としては、口腔用製剤用として一般的なアニオン性界面活性剤、(E)成分以外のノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤を配合できる。
アニオン性界面活性剤としては、例えば、N−アシルアミノ酸塩、N−アシルタウリン塩、α−オレフィンスルホン酸塩、N−アシルスルホン酸塩、アルキル硫酸塩、グリセリン脂肪酸エステルの硫酸塩などが挙げられる。これらのうち、汎用性の点で、N−アシルアミノ酸塩、N−アシルタウリン塩、α−オレフィンスルホン酸塩、アルキル硫酸塩などが好ましく、発泡性・耐硬水性の点で、ラウロイルサルコシンナトリウム、ラウロイルメチルタウリンナトリウム、アルキル鎖の炭素鎖長として炭素数が10〜16のα−オレフィンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウムが、より好ましい。
ノニオン性界面活性剤としては、ショ糖脂肪酸エステル等の糖脂肪酸エステル、マルチトール脂肪酸エステル等の糖アルコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等が挙げられる。なお、上記エステルは、(B)成分のエステルとは相違する。
カチオン性界面活性剤としては、アルキルアンモニウム、アルキルベンジルアンモニウム塩等が挙げられ、両性界面活性剤としては、アルキルベタイン、脂肪酸アミドプロピルベタイン等の酢酸ベタイン型、アルキルイミダゾリニウムベタイン等のベタイン型、イミダゾリン型が挙げられる。
界面活性剤の配合量は通常、組成物全体の0.001〜10%、特に0.01〜5%であり、(E)成分の配合量を含めた総量が上記範囲内がよい。
【0033】
甘味剤としてはサッカリンナトリウム、ステビオサイド、ネオヘスペリジンジヒドロカルコン、グリチルリチン、ペリラルチン、p−メトキシシンナミックアルデヒド、ソーマチン、パラチノース、マルチトール、キシリトール、アラビトール等が挙げられる。甘味剤は、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。甘味剤を用いる場合、配合量は本発明の効果を損なわない範囲で適宜定めることができる。
【0034】
保存剤としては安息香酸ナトリウム、メチルパラベン、エチルパラベン、ブチルパラベン等のパラオキシ安息香酸エステル、エチレンジアミン四酢酸塩、塩化ベンザルコニウム等が挙げられる。保存剤は、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。保存剤を用いる場合、配合量は本発明の効果を損なわない範囲で適宜定めることができる。
【0035】
香料としては、口腔用製剤に使用可能な香料成分を単独で、又は複数組み合わせた香料組成物として使用することができる。
例えば、ペパーミント油、スペアミント油、アニス油、ユーカリ油、ウィンターグリーン油、カシア油、クローブ油、タイム油、セージ油、レモン油、オレンジ油、ハッカ油、カルダモン油、コリアンダー油、マンダリン油、ライム油、ラベンダー油、ローズマリー油、ローレル油、カモミル油、キャラウェイ油、マジョラム油、ベイ油、レモングラス油、オリガナム油、パインニードル油、ネロリ油、ローズ油、ジャスミン油、グレープフルーツ油、スウィーティー油、柚油、イリスコンクリート、アブソリュートペパーミント、アブソリュートローズ、オレンジフラワー等の天然香料や、これら天然香料の加工処理(前溜部カット、後溜部カット、分留、液液抽出、エッセンス化、粉末香料化等)した香料、及び、メントール、カルボン、アネトール、シネオール、サリチル酸メチル、シンナミックアルデヒド、オイゲノール、3−l−メントキシプロパン−1,2−ジオール、チモール、リナロール、リナリールアセテート、リモネン、メントン、メンチルアセテート、N−置換−パラメンタン−3−カルボキサミド、ピネン、オクチルアルデヒド、シトラール、プレゴン、カルビールアセテート、アニスアルデヒド、エチルアセテート、エチルブチレート、アリルシクロヘキサンプロピオネート、メチルアンスラニレート、エチルメチルフェニルグリシデート、バニリン、ウンデカラクトン、ヘキサナール、ブタノール、イソアミルアルコール、ヘキセノール、ジメチルサルファイド、シクロテン、フルフラール、トリメチルピラジン、エチルラクテート、エチルチオアセテート等の単品香料、更に、ストロベリーフレーバー、アップルフレーバー、バナナフレーバー、パイナップルフレーバー、グレープフレーバー、マンゴーフレーバー、バターフレーバー、ミルクフレーバー、フルーツミックスフレーバー、トロピカルフルーツフレーバー等の調合香料等、口腔用組成物に用いられる公知の香料素材を組み合わせて使用することができるが、実施例記載の香料に限定されるものではない。配合量も特に限定されないが、上記の香料素材は、組成物中に好ましくは0.000001〜1%使用し、また、上記香料素材を用いた賦香用香料は、組成物中に0.1〜2%使用するのが好ましい。
【0036】
着色剤としては、例えば、ベニバナ赤色素、クチナシ黄色素、クチナシ青色素、シソ色素、紅麹色素、赤キャベツ色素、ニンジン色素、ハイビスカス色素、カカオ色素、スピルリナ青色素、クマリンド色素等の天然色素や、赤色3号、赤色104号、赤色105号、赤色106号、黄色4号、黄色5号、緑色3号、青色1号等の法定色素、リボフラビン、銅クロロフィンナトリウム、二酸化チタン等が挙げられる。着色剤を配合する場合、その配合量は、組成物全体の0.00001〜3%であることが好ましい。
【0037】
本発明の口腔用組成物のpH(20℃)は、通常、6〜10であり、好ましくは6〜8である。pH調整剤としては、例えば、酢酸、塩酸、硫酸、硝酸、クエン酸、リン酸、リンゴ酸、グルコン酸、マレイン酸、コハク酸、グルタミン酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の酸やアルカリが挙げられる。pH調整剤を配合する場合、その配合量は、本発明の効果を損なわない範囲で適宜定めることができる。
【0038】
前記(A)、(C)成分以外の有効成分としては、抗炎症剤、組織賦活剤、ビタミン、殺菌剤、収斂剤、フッ素等が挙げられる。具体的にはイソプロピルメチルフェノール、塩化セチルピリジニウム等の殺菌剤、フッ化ナトリウム、モノフルオロリン酸ナトリウム等のフッ化物などが挙げられる。これらは、本発明の効果を妨げない範囲で有効量配合できる。
なお、液体媒体は通常、水であり、エタノール等の炭素数1〜3の一価低級アルコールを添加してもよい。
【実施例】
【0039】
以下、実施例及び比較例、処方例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、下記の例において%は特に断らない限りいずれも質量%を示す。
【0040】
[実施例、比較例]
表1〜3に示す組成の歯磨剤組成物を常法によって調製し、下記方法で評価した。結果を表1〜3に併記した。
【0041】
(1)水溶性有効成分の吸収性の試験方法
<実験方法>
ハムスターチークポーチ(日本SLC、6週齢♂)を人工唾液(50mM KCl,1mM KH
2PO
4,1mM CaCl
2,0.1mM MgCl
2、pH7.0)にて24時間浸漬後フランツセルに設置し、レセプター側を生理食塩水で満たした後、ドナー側に試験サンプル(歯磨剤の人口唾液3倍希釈液)500μLを添加した。24時間後のレセプター液中の水溶性有効成分(トラネキサム酸)量をHPLCにて測定した。
下記試験条件に従いHPLCを用いてトラネキサム酸を定量した。(B)成分のイソステアリン酸及びイソステアリン酸フィトステリルを含まないブランク製剤のトラネキサム酸の吸収率を100%とした際の吸収率を算出し、次の基準に従い、トラネキサム酸の吸収性を判定した。
【0042】
測定条件;
トラネキサム酸を定量するためのHPLC条件は以下の通りである。
・カラム:CAPCELL PAK C18 MG−II S−3
・カラム温度:40℃
・移動相:0.2%リン酸溶液 5%メタノール
・検出器:紫外吸光光度計(測定波長:210nm)
使用機器;
・ポンプ:日本分光(株) PU−980
・試料導入部:協和精密(株) KSP−100X
・検出器:日本分光(株) UV−970
・カラム恒温槽:(株)センシュー科学 SCC−2100
・流量:1mL/min
【0043】
判定基準;
◎:200%以上
○:150%以上200%未満
△:110%以上150%未満
×:110%未満
【0044】
(2)トコフェロール又はその誘導体の保存安定性の評価方法
歯磨剤組成物をチューブに50g充填し、60℃で1箇月間保存後の歯磨剤組成物について、下記試験条件に従いHPLCを用いてトコフェロール酢酸エステル濃度を測定した。各サンプルの製造直後のトコフェロール酢酸エステル濃度を100%とした際の残存率を算出し、次の基準に従いトコフェロール酢酸エステルの分解抑制効果を判定した。
測定条件;
・カラム:TSK−GEL ODS−80Ts 4.6×150mm
・カラム温度:25℃
・移動相:メタノール
・検出器:紫外吸光光度計(測定波長:284nm)
使用機器;
・ポンプ:日本分光(株) PU−980
・試料導入部:協和精密(株) KSP−100X
・検出器:日本分光(株) UV−970
・カラム恒温槽:(株)センシュー科学 SCC−2100
・流量:1mL/min
【0045】
判定基準;
◎:95%以上100%以下
○:90%以上95%未満
△;85%以上90%未満
×:85%未満
【0046】
(3)使用感の評価方法
10名の専門パネラーが、歯磨剤組成物を歯ブラシに乗せ、口腔内を洗浄した際に感じた使用感として、におい(油臭さのなさ)を下記評価基準により評価した。10人の評価点の平均を下記判定基準に分類した。
においの評価基準;
4点:口腔内で油臭さを全く感じない
3点:口腔内で油臭さをほとんど感じない
2点:口腔内で油臭さをやや不快に感じる
1点:口腔内で油臭さを非常に不快に感じる
においの判定基準;
◎:平均点3.5点以上
○:平均点3.0点以上3.5点未満
△:平均点2.0点以上3.0点未満
×:平均点2.0点未満
【0047】
【表1】
【0048】
【表2】
【0049】
なお、実施例1〜17の歯磨剤組成物の味、外観は良好であった。
【0050】
【表3】
【0051】
以下に処方例を示す。処方例の口腔用組成物は、水溶性有効成分の吸収性、トコフェロール又はその誘導体の保存安定性が優れ、油臭さが抑えられ良好な使用感であった。
【0052】
[処方例1]練歯磨剤
(A)トラネキサム酸 0.1%
(A)オウバクエキス 0.1
(B)イソステアリン酸 0.3
(C)トコフェロール酢酸エステル 0.1
(D)塩化ナトリウム 5
(E)ポリオキシエチレン(5)ステアリルエーテル 0.4
オウバクエキス 0.1
イソプロピルメチルフェノール 0.1
ラウロイルサルコシンナトリウム 0.2
モノフルオロリン酸ナトリウム 0.73
ソルビット液(70%) 45
ポリオキシエチレン(20)硬化ヒマシ油 0.4
プロピレングリコール 4
無水ケイ酸(研磨性) 10
無水ケイ酸(増粘性) 2
キサンタンガム 0.3
アルギン酸ナトリウム 0.7
カラギーナン 0.7
ラウリル硫酸ナトリウム 1.0
ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン 0.1
パラオキシ安息香酸メチル 0.2
サッカリンナトリウム 0.07
酸化チタン 0.4
硫酸アルミニウムカリウム 2
クエン酸ナトリウム 0.2
水酸化ナトリウム 0.3
香料 1.2
精製水 残
合計 100.0%
(D)/(B)=16.67、(E)/(B)=1.33、(D)+(E)=5.4
【0053】
[処方例2]練歯磨剤
(A)トラネキサム酸 0.1%
(B)イソステアリン酸フィトステリル 0.2
(C)トコフェロール酢酸エステル 0.1
(D)硫酸ナトリウム 2
(E)ポリオキシエチレン(5)ステアリルエーテル 0.75
イソプロピルメチルフェノール 0.1
ラウロイルサルコシンナトリウム 0.2
フッ化ナトリウム 0.21
ソルビット液(70%) 55
ポリオキシエチレン(20)硬化ヒマシ油 0.75
プロピレングリコール 3.5
無水ケイ酸(増粘性) 6
キサンタンガム 1.2
アルギン酸ナトリウム 0.3
ラウリル硫酸ナトリウム 1
パラオキシ安息香酸メチル 0.2
サッカリンナトリウム 0.09
香料 1.2
精製水 残
合計 100.0%
(D)/(B)=10、(E)/(B)=3.75、(D)+(E)=2.75
【0054】
[処方例3]練歯磨剤
(A)グリチルリチン酸ジカリウム 0.1%
(A)ε−アミノカプロン酸 0.1
(B)イソステアリン酸 0.1
(C)トコフェロール酢酸エステル 0.1
(D)塩化ナトリウム 4
(D)硫酸ナトリウム(2Na) 1
(E)ポリオキシエチレン(3)セチルエーテル 0.5
塩化セチルピリジニウム 0.1
フッ化ナトリウム 0.21
ソルビット液(70%) 45
プロピレングリコール 3
無水ケイ酸(研磨性) 15
無水ケイ酸(増粘性) 4
キサンタンガム 0.4
カルボキシメチルセルロースナトリウム 1
ラウロイルメチルタウリンナトリウム 1.2
ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン 1
パラオキシ安息香酸メチル 0.2
サッカリンナトリウム 0.18
酸化チタン 0.1
クエン酸ナトリウム 0.5
クエン酸 0.4
香料 1
精製水 残
合計 100.0%
(D)/(B)=50、(E)/(B)=5、(D)+(E)=5.5