(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る誘導灯100の分解図を示す。誘導灯100は、外形全体が長方体形状をなしており、その前面に文字・記号・図案などにより「緑色と白色の二色を用いた人が避難するマーク」が表示されている表示板4bを備えた表示ユニット4と、その後方に配置され、表示ユニット4を背面から面発光する面発光型の光源を備えた光源ユニット3と、その光源ユニット3の後方に配置され、光源ユニット3の光源の点灯状態を制御する点灯ユニット2が内部に設置され、略箱形状のケースで覆われた器具本体1とから構成されている。
【0013】
ここで、誘導灯100を構成する表示ユニット4と、光源ユニット3と、器具本体1の個々の構成部品ついて、それぞれ説明する。
表示ユニット4は、外形が正面視略長方形形状をなしており、プラスチック素材などからなる表示板4bと、その外周部を取り囲むように設けられた枠部4aとから構成されている。なお、表示ユニット4は、その外形が後述する光源ユニット3とほぼ同一の形状であってほぼ同一の大きさである。
また、枠部4aは表示板4bの正面から表示板4bに垂直な裏面方向に向かって延在し、ある程度の厚みを有している。表示板4bの裏面には、この延在した枠部4aと表示板4bとで囲まれた直方体の空間が形成されている。
また、この枠部4aの裏面には、表示ユニット4の背面から光源ユニット3の方向に向かってその先端部が垂直に伸びて突起した形状をした器具本体取付用爪部4d(取付部)が、枠部4aの右辺上に上下2個、またその対辺である枠部4aの左辺上に上下2個(図示なし)形成されている。
【0014】
光源ユニット3は、外形が正面視略長方形形状をなしており、表示ユニット4と略同形状でその外形がやや小さめの大きさである。光源ユニット3は、上記で説明した表示板4bの裏面に形成された直方体の空間部分に裏面から嵌め込むことができるようになっている。光源ユニット3は、その中央部に配置された有機EL(Organic Electro-Luminescence)パネルによる面発光型の光源部3bと、その外周部を取り囲むように設けられた枠部3aとから構成されている。
【0015】
光源部3bを構成する有機ELパネルは、表示面側である透明ガラス(図示なし)と、ITO(Indium Tin Oxide:酸化インジウムスズ)等で形成された透明電極である面状陽極電極(図示なし)と、緑色の発光層(図示なし)と白色の発光層(図示なし)とが同一層に形成された発光層(図示なし)と、面状陰極電極(図示なし)とから構成されている。一般的に有機化合物を含む面状の発光層が表示面側の面状陽極電極と面状陰極電極の間に挟持された構造となっており、定電流源からの直流電圧を陽極取出し部(図示なし)及び陰極取出し部(図示なし)に印加することにより、発光層に含まれる有機化合物の励起子を発生させ、この励起子が基底状態に戻る際に放射される光を外部に取り出す仕組みとなっている。さらに、この白色の発光層の前面に配置された緑色と白色印刷された表示板4bを背面から白色光を照射することにより、表示板4bが緑色と白色に光る。
【0016】
なお、光源部3bは有機ELパネルを用いたものに限定するものではなく、点発光型のLEDチップを格子状に複数並べて使用して面発光型の光源部3bを実現してもよい。この場合、細長い長方形状のLED基板上の長手方向に所定間隔で配置された複数のLEDチップと、それらの両端のLEDチップを電気的に接続する電気回路配線とからなる光源ユニット3が、表示ユニット4の背面に配置されている。これらの複数のLEDチップはLED基板上で配線により電気的に接続され、最外にある2つのLEDチップはそれぞれ、異なる極性(+、−)に電気的に接続されている。
【0017】
さらに、格子状に複数並べたLEDチップの周囲には拡散板を設けるなどして前方の表示ユニット4へ照射される光を広範囲に拡散させ均一化させるなど、局所的に点状に明るさの偏りが存在しないように工夫がなされている。
【0018】
枠部3aの裏面には、光源ユニット3の背面から器具本体1の方向に向かってその先端部が垂直に伸びて突起した形状をした電気接続コネクタ3dが設けられている。電気接続コネクタ3dは、器具本体取付用爪部4dの少し内周側、かつ先ほど説明した上下2個の器具本体取付用爪部4dの間の位置に枠部3aの右辺上に1個、またその対辺である枠部3aの左辺上に1個(図示なし)設けられている。枠部3aの内部には電気接続コネクタ3dと接続された配線が収納されており、電気接続コネクタ3dから枠部3a内の配線を通じて光源部3bに電力が供給される。
【0019】
器具本体1は、外形が正面視略長方形形状をなしており、その前面が開放された略箱形状である。その開放された器具本体1前面外周部を取り囲むように枠部1aが形成されている。器具本体1は、例えばプラスチックケースや金属ケースなどである。器具本体1の外形は、光源ユニット3及び表示ユニット4の外形とほぼ同一形状であり、ほぼ同一の大きさである。
【0020】
この器具本体1の内部には、光源ユニット3を点灯制御する点灯ユニット2と、外部の商用電源(図示なし)から供給される電力を受ける電源端子台5と、停電発生(商用電源遮断)時に代替使用される非常用バッテリー6、停電発生(商用電源遮断)時を判断する点検スイッチASSY7が配置されている。
さらに、点灯ユニット2、電源端子台5、非常用バッテリー6、点検スイッチASSY7、電気接続部2a(後述する)との間は電源コードなどで配線されており、所望の電気回路を構成している。
【0021】
枠部1aの表面には、表示ユニット4の枠部4aの裏面に形成された器具本体取付用爪部4dに対向する位置に、その嵌合部である表示ユニット取付用凹部1e(被取付部)が、枠部1aの右辺上に上下2個(図示なし)、またその対辺である枠部1aの左辺上に上下2個形成されている。なお、枠部1aの表面とは、開放された器具本体1前面外周部を取り囲むように形成された枠部1aのうち、光源ユニット3に面した左右両辺の少し内周側の位置のことをさしている。
上記において、表示ユニット4を器具本体1に取り付ける際に、器具本体取付用爪部4dは器具本体1に形成された表示ユニット取付用凹部1eに対してしっかり嵌合できるようにあらかじめ寸法設計されている。
【0022】
さらに、枠部1aの表面には、電気接続コネクタ3dの嵌合部である電気接続部2aが、光源ユニット3の枠部3aの裏面に形成された電気接続コネクタ3dに対向する位置に、枠部1aの右辺上に1個、またその対辺である枠部1aの左辺上に1個形成されている。なお、枠部1aの表面とは、開放された器具本体1前面外周部を取り囲むように形成された枠部1aのうち、光源ユニット3に面した左右両辺の少し内周側の位置のことをさしている。
これにより、器具本体取付用爪部4dと表示ユニット取付用凹部1eとの嵌合と同時に、電気接続コネクタ3dと電気接続部2aが嵌合して電気的に接続され、この器具本体1内部に配置された点灯ユニット2と光源ユニット3との間で電気回路が形成され、光源ユニット3の点灯制御が実現される。
【0023】
なお、器具本体取付用爪部4dが、器具本体1の表示ユニット取付用凹部1eに対してしっかり嵌合できないのであれば、器具本体1の外側からネジなどにより表示ユニット4と器具本体1を固定する方法を用いても勿論構わない。
【0024】
図2は、本発明の実施の形態1に係る表示ユニット4の取り付け構造を示す裏面図である。
図2(a)は枠部4aの構造を示す裏面図である。
図2(b)は表示板4bの構造を示す裏面図である。枠部4aの上辺には光源ユニット取付用凸部4cが2箇所、及び下辺には光源ユニット取付用凸部4cが2箇所形成されており、これに対応した位置にこの表示板4bの上辺の左右には切り欠き部分4fが2箇所、及び下辺の左右には切り欠き部分4fが2箇所形成されている。
表示ユニット4の取り付けの際には、この光源ユニット取付用凸部4cをこの切り欠き部分4fと位置合わせして、この表示板4bを枠部4aに裏面方向から嵌めこむことができる構造となっている。
なお同様に、枠部4aの左辺、右辺上にも光源ユニット取付用凸部4c、表示板4bの左辺、右辺上にも切り欠き部分4fを形成しても良い。
【0025】
図3は、実施の形態1に係る表示ユニット4に光源ユニット3を取り付けた構造を示す図である。
図3(a)は表示ユニット4に光源ユニット3を取り付けた構造を示す正面図である。
図3(b)は
図3(a)の表示ユニット4の断面図(A−A断面)である。光源ユニット3と表示ユニット4とを一体的に取り付けた後に、表示板4bの裏面に形成された直方体の空間には、最も左側に表示板4b、その右側に隣接して光源ユニット3が配置されている。
この取り付けられた光源ユニット3と表示ユニット4との右側(表示板4bの裏面)には、光源ユニット3の背面からその先端部が垂直に伸びて突起した形状をした4本の器具本体取付用爪部4d(
図1の左辺2本は図示なし)と、2本の電気接続コネクタ3d(
図1の左辺1本は図示なし)が表示板4bの裏面方向に向かって突き出ている。
【0026】
図3(c)は
図3(b)の上端部分の光源ユニット3と表示ユニット4の拡大図である。ここでは、さらに枠部4a、表示板4b及び光源ユニット3の詳細構造を説明する。
枠部4aには、表示板4bの上端部及び下端部から光源ユニット3の裏面側にまで回りこむように、表示板4bの正面から表示板4bに垂直な裏面方向に向かって延びる延在部4eが形成されている。延在部4eは、枠部4aの裏面から光源ユニット3が挿入できる程度の弾力性のある素材で形成されている。
また、表示板4bの光源ユニット3側の上部の背面側に小さな突起4gがあり、前面側は窪んでいる。延在部4eの光源ユニット3側の前面側下部に小さな突起4hが形成されており、背面側は窪んでいる。これらの突起4g、4hがお互い組み合わせられることにより表示板4bの表面と面一にすることができる。よって、誘導灯100正面の意匠性を向上できる。
さらに、延在部4eの内周の一部、その延在部4eが光源ユニット3の裏面側に延びた終端部分には、下方向に小さく突起した形状の光源ユニット取付用凸部4cが形成されている。このため、表示板4bの上端部及び下端部において、表示板4b及び光源ユニット3を表示板4bの裏面に形成された直方体の空間に裏面側から嵌め込むことができる構造となっている。
【0027】
ここで、表示板4bと光源ユニット3とを枠部4aに、一体的に取り付ける際には、まず、表示板4bの上辺の左右に形成された切り欠き部分4fが2箇所と枠部4aの上辺に形成された光源ユニット取付用凸部4c2箇所を位置合わせした後、表示板4bの下辺の左右に形成された切り欠き部分4fが2箇所と枠部4aの下辺に形成された光源ユニット取付用凸部4c2箇所を位置合わせする。そして、表示板4bを枠部4aに嵌め込む。
次に、光源ユニット3を前方に一定角度傾け、枠部4aの上部に形成された延在部4eの光源ユニット取付用凸部4cに力を加えて軽く上方に持ち上げ撓ませた状態で光源ユニット3の上部を枠部4aの上部に嵌め込んだ後、枠部4aの下部に形成された延在部4eの光源ユニット取付用凸部4cに力を加えて軽く下方に撓ませた状態で、光源ユニット3の下部を枠部4aの下部に嵌め込む。このように、枠部4aの裏面から表示板4b、光源ユニット3の順に嵌め込んでいく。
なお、光源ユニット3が撓む素材を使用する場合は、枠部4aは硬い素材で構成しても良く、光源ユニット3の撓みを利用して光源ユニット3を枠部4aに取り付ける構成にしても良い。また、表示板4bの裏面に形成された直方体の空間に反射板などを取り付けても良い。
【0028】
図4は、実施の形態1に係る表示ユニット4に光源ユニット3を取り付けた後に光源ユニット3の背面側から見た図である。
図3で説明したとおり、表示ユニット4の枠部4aの上部に形成された延在部4eの光源ユニット取付用凸部4cにより、光源ユニット3と表示ユニット4とが一体的に取り付けられている。また、器具本体取付用爪部4dの少し内周側、かつ上下2個の器具本体取付用爪部4dの間の位置には、枠部3aの右辺上に1個、またその対辺である左辺上に1個、光源ユニット3の背面から器具本体1の方向に向かってその先端部が垂直に伸びて突起した形状をした2本の電気接続コネクタ3dが突き出ている。
【0029】
図5は、実施の形態1に係る誘導灯100の器具本体1を側面から見た側面図である。
図1で説明したように、開放された器具本体1前面外周部を取り囲む枠部1aには、表示ユニット取付用凹部1eが上下2個形成されている。また、枠部1aに形成された上下2個の表示ユニット取付用凹部1eの間の位置には、枠部1aの右辺上に1個、またその対辺である枠部1aの左辺上に1個(図示なし)電気接続部2aが形成されている。尚、電気接続部2aは枠部1aの内周側に設けられている。
【0030】
図1で説明した実施の形態1に係る誘導灯100は、一定の使用時間が経過するとランプ寿命を迎えるため、その際には、誘導灯100内の光源ユニット3を新しいものに交換する必要がある。この場合、上記で説明した誘導灯100においては、一般的に手の届きにくい高い場所に設置されることを考えると、光源ユニット3を前面から簡単に交換装着できる構造に設計するのが望ましいと考えられる。
【0031】
そこで、誘導灯100内の光源ユニット3を新しいものに交換装着する手順について、以下に説明する。
いま、光源ユニット3を交換する必要が生じた場合、まず、誘導灯100の側面から、光源ユニット3と器具本体1の接続部付近に手をかけて、誘導灯100の正面方向から力を加えて引っ張ることにより、枠部4aの裏面に形成された器具本体取付用爪部4dを器具本体1の表示ユニット取付用凹部1eから取り外す。すると、
図3で説明したように、光源ユニット3と表示ユニット4とが一体的に取り付けられたものを器具本体1から取り外すことができる。
【0032】
この後、延在部4eに形成された光源ユニット取付用凸部4cを上方に力を加えて引っ張り、この電気接続コネクタ3dを取り外すことにより、光源ユニット3及び表示板4bとを順次、取り外すことができる。
【0033】
この後、延在部4eに形成された光源ユニット取付用凸部4cを上方に力を加えて引っ張り、表示板4b及び光源ユニット3とを順次、取り付け光源ユニット3を新しいものに交換装着する。
【0034】
最後に、誘導灯100の側面から、光源ユニット3と器具本体1の接続部付近に手をかけて、誘導灯100の正面方向から力を加えて押し込むことにより、枠部4aの裏面に形成された器具本体取付用爪部4dを器具本体1の表示ユニット取付用凹部1eに取り付けることができる。
【0035】
この一連の動作により、誘導灯100内の光源ユニット3の交換作業が完了する。
【0036】
図6は、実施の形態1に係る表示ユニット4の枠部4aに形成された器具本体取付用爪部4d及び電気接続コネクタ3dを示す図(
図3のB−B断面)である。
図6(a)は、枠部4aに形成された器具本体取付用爪部4d及び電気接続コネクタ3dを表示ユニット4の正面を底にして横から見た断面図であり、
図6(b)はその拡大図を示している。
表示ユニット4の器具本体取付用爪部4dの内周側の位置に、隣接して光源ユニット3の裏面から電気接続コネクタ3dが並立して形成されている。
このため、器具本体取付用爪部4dが器具本体1に形成された表示ユニット取付用凹部1eに機械的に接続されると同時に、電気接続コネクタ3dが、あらかじめこれに対応した位置に器具本体1の枠部1aの右辺上及び左辺上に形成された電気接続部2aと電気的に接続される。
【0037】
なお、表示ユニット4と、光源ユニット3と、器具本体1とをお互いに機械的に固定し、かつ電気的にも接続することができるのであれば、勿論、実施例に示した以外の位置に、少なくとも1つ以上の嵌合部を設けてもよいし、任意の数や形状を使用し、他の固定方法を用いても良い。
【0038】
さらに、上記の実施の形態においては、光源ユニット3と表示ユニット4とが一体的に取り付けられたものを器具本体1に対し脱着可能とし、機械的接続と共に誘導灯の電気接続コネクタ3dと電気接続部2aが電気的に接続され、光源ユニット2から光源に電力が供給されるものを紹介したが、順番を入れ替えて、先に光源ユニット3が器具本体1に脱着され、光源ユニット3を器具本体1へ取付けた後に、表示ユニット4を光源ユニット3へ取り付けられる構造に設計変更しても勿論構わない。
【0039】
以上のように、本発明の誘導灯は、光源に面発光型の光源ユニットを採用し、表示ユニットの背面に配置し、誘導灯の光源ユニットを前面から脱着可能な構成としたので、意匠性が良くなるとともに前面から表示ユニットと光源ユニットを取り替えることができ、取り付けが容易になるという効果がある。
【0040】
また、本発明の誘導灯は、表示ユニット4と光源ユニット3と器具本体1の外形をほぼ同一、大きさもほぼ同一としたので、誘導灯100の外観をすっきりとした形状にすることができ、意匠性を向上できる。また、面光源を表示ユニット4の背面に配置したので、エッジライト方式のように表示ユニットの上部に設けられた光源を隠すための枠体も不要にできる。
【0041】
また、本発明の誘導灯は、表示ユニット4と光源ユニット3を一体にして器具本体1に脱着可能であり、光源ユニット3を交換する際に、表示ユニット4と光源ユニット3をそれぞれ器具本体1から取り外す手間が省くことができる。
【0042】
また、本発明の誘導灯は、表示ユニット4及び光源ユニット3を器具本体1に取り付ける際に、表示ユニット4が器具本体1に機械的に取り付けられると同時に光源ユニット3が点灯ユニット2に電気的に接続されるので、取り付け作業性が向上できる。
【0043】
なお、上述した実施の形態では有機EL光源に対応した光源ユニットを備えた誘導灯について説明したが、本発明はこれに限定するものではなく、表示ユニットを変更すれば異なる用途にも適用できるものであり、面発光型の光源ユニットを使用した誘導灯以外の照明装置についても適用できる。