特許第6648861号(P6648861)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 中国電力株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6648861-フレーム構造体 図000002
  • 特許6648861-フレーム構造体 図000003
  • 特許6648861-フレーム構造体 図000004
  • 特許6648861-フレーム構造体 図000005
  • 特許6648861-フレーム構造体 図000006
  • 特許6648861-フレーム構造体 図000007
  • 特許6648861-フレーム構造体 図000008
  • 特許6648861-フレーム構造体 図000009
  • 特許6648861-フレーム構造体 図000010
  • 特許6648861-フレーム構造体 図000011
  • 特許6648861-フレーム構造体 図000012
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6648861
(24)【登録日】2020年1月20日
(45)【発行日】2020年2月14日
(54)【発明の名称】フレーム構造体
(51)【国際特許分類】
   F03B 13/26 20060101AFI20200203BHJP
   E02B 9/08 20060101ALI20200203BHJP
【FI】
   F03B13/26
   E02B9/08
【請求項の数】7
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2019-532151(P2019-532151)
(86)(22)【出願日】2019年2月6日
(86)【国際出願番号】JP2019004211
【審査請求日】2019年6月14日
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成26年度国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「橋脚・港湾構造物利用式潮流発電」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】一色国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】和田 泰孝
(72)【発明者】
【氏名】谷川 博昭
(72)【発明者】
【氏名】大内 優
【審査官】 冨永 達朗
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−046539(JP,A)
【文献】 特開2015−007417(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F03B 13/26
E02B 9/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸に取り付けられ、所定の方向に流れる流体の流れを受けて前記回転軸を回転させるブレードを含んで構成される回転装置を、前記流体中の構造物に固定する、複数のフレーム部材からなるフレーム構造体であって、
前記フレーム部材は、前記フレーム部材の上流側から流れてくる前記流体に起因して前記フレーム部材に与えられる抵抗を抑制するように、前記フレーム部材の上流側における前記流体の前記所定の方向に沿って、前記流体の上流側から下流側に向かうにつれて、前記所定の方向と交差する方向における厚みが薄くなる形状を呈し、
前記フレーム部材は、前記中心軸を通り、前記中心軸に沿う方向と、前記所定の方向と垂直に交わる方向と、で形成される面を境として対称に形成され、
前記複数のフレーム部材は、前記回転軸と平行に設けられる第1フレーム部材を含み、
前記第1フレーム部材は、前記第1フレーム部材の中心軸に垂直な断面が楕円形状を呈し、前記抵抗を抑制するように、前記断面の長軸が前記所定の方向に沿って設けられる
ことを特徴とするフレーム構造体。
【請求項2】
前記複数のフレーム部材は、前記回転軸および前記所定の方向に直交して設けられる第2フレーム部材を含み、
前記第2フレーム部材は、前記回転軸および前記所定の方向に沿う断面が楕円形状を呈し、前記抵抗を抑制するように、前記断面の長軸が前記所定の方向に沿って設けられる
ことを特徴とする請求項に記載のフレーム構造体。
【請求項3】
回転軸に取り付けられ、所定の方向に流れる流体の流れを受けて前記回転軸を回転させるブレードを含んで構成される回転装置を、前記流体中の構造物に固定する、複数のフレーム部材からなるフレーム構造体であって、
前記フレーム部材は、前記フレーム部材の上流側から流れてくる前記流体に起因して前記フレーム部材に与えられる抵抗を抑制するように、前記フレーム部材の上流側における前記流体の前記所定の方向に沿って、前記流体の上流側から下流側に向かうにつれて、前記所定の方向と交差する方向における厚みが薄くなる形状を呈し、
前記フレーム部材は、前記中心軸を通り、前記中心軸に沿う方向と、前記所定の方向と垂直に交わる方向と、で形成される面を境として対称に形成され、
前記複数のフレーム部材は、前記回転軸と平行に設けられる第1フレーム部材を含み、
前記第1フレーム部材は、前記第1フレーム部材の中心軸に垂直な断面が菱形形状を呈し、前記抵抗を抑制するように、前記断面における長い方の対角線が前記所定の方向に沿って設けられる
ことを特徴とするフレーム構造体。
【請求項4】
前記複数のフレーム部材は、前記回転軸および前記所定の方向に直交して設けられる第2フレーム部材を含み、
前記第2フレーム部材は、前記回転軸および前記所定の方向に沿う断面が菱形形状を呈し、前記抵抗を抑制するように、前記断面における長い方の対角線が前記所定の方向に沿って設けられる
ことを特徴とする請求項に記載のフレーム構造体。
【請求項5】
回転軸に取り付けられ、所定の方向に流れる流体の流れを受けて前記回転軸を回転させるブレードを含んで構成される回転装置を、前記流体中の構造物に固定する、複数のフレーム部材からなるフレーム構造体であって、
前記フレーム部材は、前記フレーム部材の上流側から流れてくる前記流体に起因して前記フレーム部材に与えられる抵抗を抑制するように、前記フレーム部材の上流側における前記流体の前記所定の方向に沿って、前記流体の上流側から下流側に向かうにつれて、前記所定の方向と交差する方向における厚みが薄くなる形状を呈し、
前記フレーム部材は、前記中心軸を通り、前記中心軸に沿う方向と、前記所定の方向と垂直に交わる方向と、で形成される面を境として対称に形成され、
前記フレーム部材は、前記中心軸を通り、前記中心軸に沿う方向と、前記所定の方向と垂直に交わる方向と、で形成される面を境として対称に形成され、
前記複数のフレーム部材は、前記回転軸と平行に設けられる第1フレーム部材を含み、
前記第1フレーム部材は、前記第1フレーム部材の中心軸に垂直な断面が略菱形形状を呈し、前記抵抗を抑制するように、前記断面における前記所定の方向に直交する方向に沿う短い方の対角線の角部が湾曲して形成され、前記断面における長い方の対角線が前記所定の方向に沿って設けられる
ことを特徴とするフレーム構造体。
【請求項6】
前記複数のフレーム部材は、前記回転軸および前記所定の方向に直交して設けられる第2フレーム部材を含み、
前記第2フレーム部材は、前記回転軸および前記所定の方向に沿う断面が略菱形形状を呈し、前記抵抗を抑制するように、前記断面における前記所定の方向に直交する方向に沿う短い方の対角線の角部が湾曲して形成され、前記断面における長い方の対角線が前記所定の方向に沿って設けられる
ことを特徴とする請求項に記載のフレーム構造体。
【請求項7】
前記流体は、水である
ことを特徴とする請求項1乃至請求項の何れか一項に記載のフレーム構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレーム構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、潮流発電は、潮流のエネルギーを利用して回転力を起こして発電している。潮流発電では、一般的に流体に対して回転軸が垂直に設けられるダリウス式などの垂直軸式の回転装置が用いられている。垂直軸式の回転装置には、回転軸から放射状に延びるアームの先端に流体を受けるブレードが設けられている。ブレードは、流体の流れを受けて回転軸を回転させる。また、回転装置を港湾構造物などに固定するために、回転装置を取り囲むようにフレーム構造体が設けられている。フレーム構造体は、一般的に円柱形状のフレーム部材を組み合わせて構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5113283号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、潮流発電において、フレーム構造体を流体が通過するときに、フレーム構造体の形状に起因して流体の流れが乱れることにより、フレーム構造体と流体との間で所謂剥離が生じる。これにより、フレーム構造体を構成するフレーム部材の下流側の領域において、カルマン渦などの渦が生じる。このようなフレーム構造体と流体との間で生じる剥離や渦により、フレーム部材の下流側では圧力低下が生じる。そして、フレーム構造体には、圧力低下により所謂粘性圧力抵抗が加わる。さらに、剥離により生じる流れの乱れやカルマン渦がフレーム部材の下流側で回転しているブレードに到達することにより、ブレードの周囲の流れを乱すため、回転動力への変換効率を大幅に低下させる。
【0005】
つまり、潮流発電では、流体による粘性圧力抵抗によりフレーム構造体に過度な抵抗がかかるため、フレーム構造体の強度やフレーム構造体を港湾構造物などに固定するときの強度を増大させる必要が生じることから、フレーム構造体の製造コストの増大、フレーム構造体の重量の増大による輸送コストの増大、フレーム構造体の設置コストの増大などを引き起こす虞があった。また、流れの乱れやカルマン渦などの渦により、ブレードの周囲の流れが乱されることで発電効率の低下を引き起こす虞があった。
【0006】
また、流れの乱れやカルマン渦などの渦が水面の近くで生じると、水面に波を生じさせるため、フレーム構造体に対して所謂造波抵抗を与えることとなる。これにより、上述したように、フレーム構造体の製造コストの増大、フレーム構造体の重量の増大による輸送コストの増大、フレーム構造体の設置コストの増大などを引き起こす虞があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述した課題を解決する主たる本発明は、回転軸に取り付けられ、所定の方向に流れる流体の流れを受けて前記回転軸を回転させるブレードを含んで構成される回転装置を、前記流体中の構造物に固定する、複数のフレーム部材からなるフレーム構造体であって、前記フレーム部材は、前記フレーム部材の上流側から流れてくる前記流体に起因して前記フレーム部材に与えられる抵抗を抑制するように、前記フレーム部材の上流側における前記流体の前記所定の方向に沿って、前記流体の上流側から下流側に向かうにつれて、前記所定の方向と交差する方向における厚みが薄くなる形状を呈し、前記フレーム部材は、前記中心軸を通り、前記中心軸に沿う方向と、前記所定の方向と垂直に交わる方向と、で形成される面を境として対称に形成され、前記複数のフレーム部材は、前記回転軸と平行に設けられる第1フレーム部材を含み、前記第1フレーム部材は、前記第1フレーム部材の中心軸に垂直な断面が楕円形状を呈し、前記抵抗を抑制するように、前記断面の長軸が前記所定の方向に沿って設けられることを特徴とする。
【0008】
本発明の他の特徴については、添付図面及び本明細書の記載により明らかとなる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、流体中に置かれたフレーム部材の下流側の領域に生じるうる流体の流れの乱れやカルマン渦などの渦の発生を抑制することができるため、フレーム構造体に起因する潮流の乱れを抑制することにより、発電効率の向上が図れる。さらに、フレーム構造体を低強度で製造できるため、フレーム構造体の製造コストの低減が図れる。また、フレーム構造体の軽量化やフレームの港湾構造物などへの固定方法を簡素化できるため、フレーム構造体の設置コストの低減が図れる。また、流体の流れを整流することにより流れの乱れを抑制できるため、発電効率の向上が図れる。
【0010】
また、水面の近くで流れの乱れやカルマン渦などの渦が生じることに起因して水面に生じうる波を抑制することができる。これにより、フレーム構造体を低強度で製造できるため、フレーム構造体の製造コストの低減が図れる。また、フレーム構造体の軽量化やフレーム構造体の港湾構造物などへの固定方法を簡素化できるため、フレーム構造体の設置コストの低減が図れる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1実施形態に係るフレーム構造体の一例を示す斜視図である。
図2】第1実施形態に係るフレーム構造体を拡大した一例を示す斜視図である。
図3】第1実施形態に係る第1フレーム部材を+Y方向から見た一例を示す断面図である。
図4】第2実施形態に係るフレーム構造体の一例を示す斜視図である。
図5】第2実施形態に係る第1フレーム部材を+Y方向から見た一例を示す断面図である。
図6】第3実施形態に係るフレーム構造体の一例を示す斜視図である。
図7】第3実施形態に係る第1フレーム部材を+Y方向から見た一例を示す断面図である。
図8】発電装置の一例を示す構成図である。
図9】垂直軸式の回転装置にフレームが設けられている一例を示す斜視図である。
図10】垂直軸式の回転装置のフレームに生じる流れの乱れやカルマン渦の発生状況を+Y方向から見た一例を示す平面図である。
図11】垂直軸式の回転装置を取り囲むフレームに生じる流れの乱れやカルマン渦や波の発生状況を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書および添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
【0013】
尚、以下説明において、X軸は第1フレーム部材の断面の長軸に沿う軸であり、Y軸は回転軸100に沿う方向であり、Z軸はX軸およびY軸に垂直に交わる軸である。なお、図1図11において、同一の部材については同一の数字を付して説明する。また、以下説明において、特に条件を明示していなければ、流体はX軸に沿って流れているものとする。また、フレーム構造体における、流体の流れる方向の側を「下流側」と示し、流体の流れてくる方向の側を「上流側」と示すことがある。また、X軸に沿う方向を「X方向」と示し、Y軸に沿う方向を「Y方向」と示し、Z軸に沿う方向を「Z方向」と示すこともある。また、「X方向」、「Y方向」、「Z方向」のそれぞれにおける+側には「+」を付けて示し、−側には「−」を付けて示すこともある。また、第1フレーム部材におけるX軸とZ軸とを含む平面で区切った断面を「XZ断面」と示し、第2フレーム部材におけるX軸とY軸とを含む平面で区切った断面を「XY断面」と示すこともある。
【0014】
===フレーム構造体を配置する回転装置200===
<<回転装置200>>
図8図9を参照しつつ、本実施形態に係るフレーム構造体が支える回転装置200の構成について説明をする。図8は、発電装置1000の一例を示す構成図である。図9は、垂直軸式の回転装置200にフレーム130が設けられている一例を示す斜視図である。
【0015】
図8に示すように、回転装置200は、例えば発電装置1000(タービン(不図示)を含む)の増速機300に回転軸100を介して回転力を伝達する装置である。また、増速機300は、回転軸100の回転速度を増速して発電機400に伝達する装置である。発電装置1000は、例えば潮流発電装置である。潮流発電装置は、潮汐により生じる潮流エネルギーを利用して水車を回転させることにより発電する発電装置である。本実施形態に係るフレーム構造体が支える回転装置200とは、例えばダリウス式などの垂直軸式の発電装置の回転装置をいう。
【0016】
図9に示すように、潮流発電装置の回転装置200は、水中でフレーム130に固定される。フレーム130は、例えば、回転軸100と平行に設けられるフレーム部材131の何れかが湾岸構造物や橋脚基礎などのコンクリート構造物に固定される。なお、フレーム130は、海底に設置されたコンクリートなどの基礎上に固定されることや、海面に設置される浮体に固定されてもよい。フレーム130は、例えば回転軸100が回動できるように、軸受140A,140Bを介して回転軸100に軸支されている。
【0017】
潮流発電装置の回転装置200は、回転軸100と、ブレード120と、を含んで構成されている。回転軸100は、例えばX方向における一方の端部が増速機300に接続されている。回転軸100は、増速機300に回転力を伝達する。回転軸100は、後述するブレード120を+Y方向から見たときに、例えば時計周り方向(以下、「回転方向」と称する。)に回転する。ブレード120は、流体の流れにより、回転方向への揚力を得る部材である。ブレード120は、回転軸100を中心に回転している。なお、ブレード120は、その両端部に設けられるアーム110を介して回転軸100に接続されている。ブレード120は、アーム110を介して回転方向への揚力を、回転方向への回転力として回転軸100に伝達する。アーム110は、例えば回転軸100から放射状に延設されている。
【0018】
なお、上記において、回転装置200は垂直軸式であるとして説明したが、例えば回転軸100が水平(例えばZ方向)に設けられる回転装置200や、水平に対して斜めに設けられる回転装置200でもよく、回転軸100の設置される態様が限定されるものではない。また、回転装置200のブレード120がアーム110,111を介さずに回転軸100に取り付けられる回転装置200でもよい。以下の説明では、回転装置200の回転軸100が垂直(Y方向)に設けられているものについて説明する。
【0019】
<<流体による抵抗>>
図10図11を参照しつつ、フレーム部材131,132に生じる流れの乱れやカルマン渦などの渦について説明する。図10は、垂直軸式の回転装置200のフレーム部材131に生じる流れの乱れやカルマン渦の発生状況を+Y方向から見た一例を示す平面図である。図11は、垂直軸式の回転装置200を取り囲むフレーム130に生じる流れの乱れやカルマン渦や波の発生状況を示す斜視図である。なお、流体は−X方向から+X方向に向かって流れることとする。
【0020】
回転装置200は、流体中において、例えば回転軸100がX方向に対して垂直に配置されている。フレーム130は、回転装置200を支えるように、回転装置200を取り囲んで設けられる。
【0021】
図10に示すように、流体がフレーム部材131を通過するときに、フレーム部材131の下流側に圧力低下部を生じる。フレーム部材131には、圧力低下部により粘性圧力抵抗が加わる。また、フレーム部材131には、圧力低下部に起因して生じる流れの乱れやカルマン渦などの渦(以下、「渦」と称する。)により造渦抵抗が生じる。さらに、水面の近くのフレーム部材131に起因する流れの乱れや渦により水面の近くに波が生じるため、フレーム130に造波抵抗が生じる。なお、流れの乱れとは、流体中に配置される物体の形状などの効果によって生じる流れの方向変化や流体の剥離による乱れである。また、渦とは、流体中に障害物を配置したときに障害物の下流側(+X方向の側)において交互に生じる渦である。なお、説明の便宜上、フレーム部材132についても、上述した流れの乱れや渦が生じるものとして、その説明を省略する。
【0022】
図11に示すように、流体がフレーム130の上流側からフレーム部材131,132に到達し、流体がフレーム部材131,132の周面に沿って下流側に流れるときに、フレーム部材131,132の下流側の領域において、流れの乱れや渦が生じる。流れの乱れや渦は、フレーム部材131,132の下流側において、回転軸100を中心に回転しているブレード120に到達する。ブレード120は、その周りの潮流が乱されて回転に支障をきたす。また、ブレード120が水面の近くに配置されている場合には、フレーム部材131,132によって生じる波の影響により流体の流れが乱されるため、ブレード120の回転に支障をきたす。
【0023】
上述したように、流れの乱れや渦は、ブレード120の周りの流れを乱して、ブレード120が流体の運動エネルギーを軸の回転動力へ変換する効率を低下させる。そこで、流れの乱れや渦を抑制するように、フレーム部材の形状に特徴を有するフレーム構造体を提供する。以下、フレーム構造体について詳細に説明する。
【0024】
===第1実施形態に係るフレーム構造体10===
図1図3を参照しつつ、第1実施形態に係るフレーム構造体10について説明をする。図1は、第1実施形態に係るフレーム構造体10の一例を示す斜視図である。図2は、第1実施形態に係るフレーム構造体10を拡大した一例を示す斜視図である。図3は、第1実施形態に係る第1フレーム部材11を+Y方向から見た一例を示すXZ断面図である。
【0025】
第1実施形態に係るフレーム構造体10は、流体中に配置されたときに、回転装置200を支えるとともに、フレーム構造体10の下流側で生じうる流れの乱れや渦を抑制する構造体である。また、フレーム構造体10は、水面の近くにおいて波の発生をも抑制する。フレーム構造体10は、例えば軸受15A,15Bを介して回転軸100を軸支している。図示していないが、フレーム構造体10の何れかのフレーム部材が港湾構造物などに、直接的または間接的に固定される。
【0026】
==構成==
図1に示すように、フレーム構造体10は、例えば、第1フレーム部材11と、第2フレーム部材12と、第3フレーム部材13と、第4フレーム部材14と、軸受15A,15Bと、を組み合わせて、略直方体の空間を形成するように構成されている。また、フレーム構造体10は、第1〜第4フレーム部材11〜14とブレード120が接触しないように配置および形成されている。
【0027】
第1フレーム部材11は、回転軸100と略平行に設けられるフレーム部材である。第1フレーム部材11は、例えばステンレス材料で形成されている。第1フレーム部材11は、その下流側において、流体の流れの乱れや渦を抑制する形状を呈する。例えば、流体の流れの方向(X方向)に沿って、上流側から下流側に向かうにつれて、流体の流れの方向(X方向)における厚みが薄くなるように形成されている。これにより、第1フレーム部材11の下流側における流体の流れが整流されるため、下流側に生じうる圧力低下部の発生を抑制することができる。また、中心軸を通り、X方向およびY方向に沿って形成される断面を境として対称に形成されている。これにより、Z方向における流体の圧力差を低減することができる。なお、中心軸とは、第1フレーム部材11の中心を通る仮線のことをいう。また、中心軸を通り、X方向およびZ方向に沿って形成される断面を境として対称に形成されている。これにより、流体が上流側から下流側にスムーズに流れるため、流れの乱れや渦の発生を抑制できる。上述したことから、図2に示すように、第1フレーム部材11は、上流側から下流側に向かって流れる流体を整流するため、下流側に生じうる流れの乱れや渦の発生を抑制でき、下流側に配されるブレード120の回転を阻害しない。
【0028】
図3に示すように、第1フレーム部材11の形状について、より具体的に述べると、第1フレーム部材11は、例えばXZ断面が楕円形状を呈する。XZ断面の長軸が流体の流れの方向(X方向)に沿うように配置されている。これにより、流体は、第1フレーム部材11の中心軸に対する上流側では周面に沿って滑らかに流れて、中心軸に対する下流側でも周面に沿って滑らかに流れる。
【0029】
また、フレーム構造体10が回転軸100に配置された状態において、第1フレーム部材11は、例えば、後述する第2〜第4フレーム部材12〜14が接合される部分から水面方向(+Y方向)に向かって延び出るように形成されている。延び出る長さは、例えば、第1フレーム部材11が水面から突出する程度の長さに設定される。これにより、水面近くにおける流れの乱れや渦の発生に起因して生じうる波の発生を抑制することができる。つまり、造波抵抗を低減できる。
【0030】
第2フレーム部材12は、回転軸100および流体の流れの方向(X方向)と略垂直(Z方向)に設けられるフレーム部材である。また、第2フレーム部材12は、隣接する夫々の第1フレーム部材11の間を掛け渡すように配置されている。第2フレーム部材12は、例えばステンレス材料で形成されている。第2フレーム部材12は、その下流側において、流体の流れの乱れや渦を抑制する形状を呈する。具体的な形状については、説明の便宜上、第1フレーム部材11をZ方向に配置したものと同じであるため、その説明を省略する。
【0031】
第3フレーム部材13は、流体の流れの方向(X方向)に沿うように設けられるフレーム部材である。また、第3フレーム部材13は、隣接する夫々の第1フレーム部材11の間を掛け渡すように配置されている。第3フレーム部材13は、例えばステンレス材料で形成されている。第3フレーム部材13は、例えば円柱形状を呈している。より好ましくは、フレーム構造体10の設計強度が保たれる範囲内において最少の直径を有する円柱形状を呈する。
【0032】
第4フレーム部材14は、第1フレーム部材11と、回転軸100に周設する軸受15A,15Bと、を繋ぐように設けられるフレーム部材である。つまり、第4フレーム部材14は、一端が第1フレーム部材11と接合され、他端が軸受15Aまたは軸受15Bと接合されている。これにより、フレーム構造体10は、軸受15A,15Bを介して回転軸100を支えることができる。第4フレーム部材14は、例えばステンレス材料で形成されている。第4フレーム部材14は、例えば円柱形状を呈している。より好ましくは、フレーム構造体10の設計強度が保たれる範囲内において最少の直径を有する円柱形状を呈する。
【0033】
軸受15A,15Bは、例えばステンレス材料で形成されるボールベアリングである。軸受15A,15Bは、回転軸100と第4フレーム部材14との間に介在して設けられている。これにより、回転軸100が回転している状態において、フレーム構造体10が回転軸100を支えることができる。軸受15A,15Bは、回転軸100に対してフレーム構造体10がY方向に移動しないように、例えばスラストカラー(不図示)を備えていることが好ましい。
【0034】
==組み立て手順==
図1を参照しつつ、第1実施形態に係るフレーム構造体10の組み立て手順の一例について、以下のとおり説明をする。
【0035】
まず、四つの第1フレーム部材11の長軸を同方向(X方向)に配置する。また、夫々の両端部を水平方向(XZ平面)に面一で配置する。
【0036】
次に、第1フレーム部材11の短軸方向(Z方向)に沿うように、第2フレーム部材12を配置する。Z方向に対向する一組の第1フレーム部材11間を掛け渡すように、第2フレーム部材12を配置する。上側(+Y方向側)の第2フレーム部材12は、第1フレーム部材11の上端部(+Y方向側の端部)よりも一定距離下側に配置される。また、下側(−Y方向側)の第2フレーム部材12は、第1フレーム部材11の下端部(−Y方向側の端部)に配置される。そして、第1フレーム部材11と第2フレーム部材12を溶接などで接合する。
【0037】
次に、第1フレーム部材11の長軸方向(X方向)に沿うように、第3フレーム部材13を配置する。X方向に対向する一組の第1フレーム部材11間を掛け渡すように、第3フレーム部材12を配置する。上側(+Y方向側)の第3フレーム部材13は、第1フレーム部材11の上端部(+Y方向側の端部)よりも一定距離下側に配置される。また、下側(−Y方向側)の第3フレーム部材13は、第1フレーム部材11の下端部(−Y方向側の端部)に配置される。そして、第1フレーム部材11と第3フレーム部材13を溶接などで接合する。
【0038】
次に、対角に配置される一組の第1フレーム部材11をように、第4フレーム歩合を配置する。上側(+Y方向側)の第4フレーム部材14は、第1フレーム部材11の上端部(+Y方向側の端部)よりも一定距離下側に配置される。また、下側(−Y方向側)の第4フレーム部材14は、第1フレーム部材11の下端部(−Y方向側の端部)に配置される。そして、対角線に沿って配置される一組の第4フレーム部材14の間に、軸受15Aまたは軸受15Bが配置される。第4フレーム部材14は、一端が第1フレーム部材11と接合され、他端が軸受15Aまたは軸受15Bと接合される。つまり、軸受15A,15Bは、第4フレーム部材14によって4点で支持される。なお、軸受15A,15Bは、Y方向から見たときに、夫々の第1フレーム部材11から等間隔に配置される。
【0039】
次に、軸受15Aの中心孔と軸受15Bの中心孔に回転軸100を嵌入させる。これにより、フレーム構造体10は、軸受15A,15Bを介して回転軸100を回転可能に支持することができる。フレーム構造体10は、第1フレーム部材11の上端部(+Y方向側の端部)が水面からわずかに突出するように配置されることが好ましい。
【0040】
==作用==
図2を参照しつつ、第1実施形態に係るフレーム構造体10の作用の一例について、以下のとおり説明する。
【0041】
X方向から流体が流れている状態において、フレーム構造体10は、上流側から下流側に向かう流体を整流することにより、第1フレーム部材11および第2フレーム部材12の下流側において流れの乱れや渦の発生を抑制する。また、水面の近くにおいて、波の発生を抑制する。これにより、ブレード120の回転方向への流体による抵抗を低減できる。
【0042】
具体的に述べると、第1フレーム部材11は、回転軸100と平行に設けられ、XZ断面が楕円形状を呈しているため、上流側から中心軸に向かって流体が流れるときに、周面と流体との間で抵抗を低減することができる。また、中心軸から下流側に向かって流体が流れるときに、流体が周面に沿って滑らかに流れる。さらに、第1フレーム部材11は、水面に向かって突出するように設けられるため、上述した圧力低下部の発生を低減し、波の発生を抑制できる。
【0043】
第2フレーム部材12は、回転軸100および流体の流れの方向(X方向)と垂直(Z方向)に設けられ、XY断面(不図示)が楕円形状を呈しているため、上流から中心軸に向かって流体が流れるときに、周面と流体との間で抵抗を低減することができる。また、中心軸から下流側に向かって流体が流れるときに、流体が周面に沿って滑らかに流れる。
【0044】
第3フレーム部材13および第4フレーム部材14は、X方向から流体が流れている状態においては特に圧力低下部の発生が大きくないため、円柱形状を呈している。しかし、例えば夫々の断面が楕円形状を呈している場合、第1フレーム部材11および第2フレーム部材12と同じように圧力低下部の発生を低減できるため、流れの乱れや渦の発生を抑制できる。
【0045】
===第2実施形態に係るフレーム構造体20===
図4図5を参照しつつ、第2実施形態に係るフレーム構造体20について説明をする。図4は、第2実施形態に係るフレーム構造体20の一例を示す斜視図である。図5は、第2実施形態に係る第1フレーム部材21を+Y方向から見た一例を示すXZ断面図である。
【0046】
第2実施形態に係るフレーム構造体20は、流体中に配置されたときに、回転装置200を支えるとともに、フレーム構造体20の下流側で生じうる流れの乱れや渦を抑制する構造体である。また、フレーム構造体20は、水面の近くにおける波の発生も抑制できる。フレーム構造体20は、例えば軸受25A,25Bを介して回転軸100を軸支している。そして、図示していないが、フレーム構造体20の何れかのフレーム部材が港湾構造物などに、直接的または間接的に固定される。
【0047】
==構成==
図4に示すように、フレーム構造体20は、例えば、第1フレーム部材21と、第2フレーム部材22と、第3フレーム部材23と、第4フレーム部材24と、軸受25A,25Bと、を組み合わせて、略直方体の空間を形成するように構成されている。フレーム構造体20は、ブレード120と接触しないように配置および形成されている。
【0048】
なお、説明の便宜上、第2実施形態に係るフレーム構造体20における第3フレーム部材23、第4フレーム部材24および軸受25A,25Bについては、第1実施形態に係るフレーム構造体10における第3フレーム部材13、第4フレーム部材14および軸受15A,15Bと同じものであるため、その説明を省略する。また、以下説明において、第2実施形態に係るフレーム構造体20における第1フレーム部材21および第2フレーム部材22については、第1実施形態に係るフレーム構造体10における第1フレーム部材11および第2フレーム部材12と異なることのみ記載することとする。
【0049】
図5に示すように、第1フレーム部材21は、例えばXZ断面が菱形形状を呈する。XZ断面の長い方の対角線が流体の流れの方向(X方向)に沿うように形成されている。これにより、流体は、第1フレーム部材21の中心軸に対する上流側では周面に沿って滑らかに流れ、中心軸に対する下流側でも周面に沿って滑らかに流れる。つまり、第1フレーム部材21の下流側において流れの乱れや渦の発生を抑制できる。
【0050】
第2フレーム部材22は、例えばXY断面(不図示)が菱形形状を呈する。XY断面の長い方の対角線が流体の流れの方向(X方向)に沿うように配置されている。これにより、第1フレーム部材21と同様に、第2フレーム部材22下流側において流れの乱れや渦の発生を抑制できる。
【0051】
==組み立て手順・作用==
説明の便宜上、第2実施形態に係るフレーム構造体20の組み立て手順および作用については、第1実施形態に係るフレーム構造体10の組み立て手順および作用と同様であるため、その説明を省略する。
【0052】
===第3実施形態に係るフレーム構造体30===
図6図7を参照しつつ、第3実施形態に係るフレーム構造体30について説明をする。図6は、第3実施形態に係るフレーム構造体30の一例を示す斜視図である。図7は、第3実施形態に係る第1フレーム部材31を+Y方向から見た一例を示すXZ断面図である。
【0053】
第3実施形態に係るフレーム構造体30は、流体中に配置されたときに、回転装置200を支えるとともに、フレーム構造体30の下流側で生じうる流れの乱れや渦を抑制する構造体である。また、フレーム構造体30は、水面の近くにおける波の発生も抑制できる。フレーム構造体30は、例えば軸受35A,35Bを介して回転軸100を軸支している。そして、図示していないが、フレーム構造体30の何れかのフレーム部材が港湾構造物などに、直接的または間接的に固定される。
【0054】
==構成==
図6に示すように、フレーム構造体30は、例えば、第1フレーム部材31と、第2フレーム部材32と、第3フレーム部材33と、第4フレーム部材34と、軸受35A,35Bと、を組み合わせて、略直方体の空間を形成するように構成されている。フレーム構造体30は、ブレード120と接触しないように配置および形成されている。
【0055】
なお、説明の便宜上、第3実施形態に係るフレーム構造体30における第3フレーム部材33、第4フレーム部材34および軸受35A,35Bについては、第1実施形態に係るフレーム構造体10における第3フレーム部材13、第4フレーム部材14および軸受15A,15Bと同じものであるため、その説明を省略する。また、以下説明において、第3実施形態に係るフレーム構造体30における第1フレーム部材31および第2フレーム部材32については、第1実施形態に係るフレーム構造体10における第1フレーム部材11および第2フレーム部材12と異なることのみ記載することとする。
【0056】
図7に示すように、第1フレーム部材31は、例えばXZ断面が略菱形形状を呈する。略菱形形状とは、菱形形状の短い方の対角線の角部が湾曲している形状をいう。つまり、第1フレーム部材31のXZ断面におけるZ方向に沿う短い方の対角線の角部が湾曲して形成されている。第1フレーム部材31は、XZ断面の長い方の対角線が流体の流れの方向(X方向)に沿うように配置されている。これにより、流体は、第1フレーム部材31の中心軸に対する上流側では周面に沿って滑らかに流れ、中心軸に対する下流側でも周面に沿って滑らかに流れる。つまり、第1フレーム部材31の下流側において流れの乱れや渦の発生を抑制できる。
【0057】
第2フレーム部材32は、例えばXY断面(不図示)が略菱形形状を呈する。XY断面の長い方の対角線が流体の流れの方向(X方向)に沿うように形成されている。これにより、第1フレーム部材31と同様に、第2フレーム部材32の下流側において流れの乱れや渦の発生を抑制できる。
【0058】
==組み立て手順・作用==
説明の便宜上、第3実施形態に係るフレーム構造体30の組み立て手順および作用については、第1実施形態に係るフレーム構造体10の組み立て手順および作用と同様であるため、その説明を省略する。
【0059】
尚、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、例えば、本発明には以下のようなものも含まれる。
【0060】
===他の実施形態===
<<フレーム構造体10,20,30>>
上記において、フレーム構造体10,20,30は、第1〜第4フレーム部材11〜14,21〜24,31〜34を組み合わせて構成されているとして記載したが、これに限定されない。フレーム構造体10,20,30は、流体の流れに対して抵抗を抑制するように、少なくとも第1フレーム部材11,21,31または第2フレーム部材12,22,32を有していればよい。つまり、その他のフレーム部材の配置および構成については、特に限定されるものではない。
【0061】
<<第1フレーム部材11,21,31>>
上記において、第1フレーム部材11,21,31は、中心軸を通り、X方向およびY方向に沿って形成される断面を境として対称に形成されているとして説明したが、これに限定されない。対称に形成されている必要はなく、例えば略翼型に形成されていてもよい。
【0062】
上記において、第1フレーム部材11,21,31は、中心軸を通り、X方向およびZ方向に沿ってと、で形成される断面を境として対称に形成されているとして説明したが、これに限定されない。対称に形成されている必要はなく、例えば流線型に形成されていてもよい。
【0063】
上記において、第1フレーム部材11,21,31は、第2〜第4フレーム部材12〜14,22〜24,32〜34と接合される部分から水面方向(+Y方向)に向かって延び出るように形成されているとして説明したが、これに限定されない。例えば、延び出るように形成されていなくてもよい。この場合には、所謂造波抵抗の抑制効果は低減されるが、所謂造渦抵抗の抑制効果は確保される。
【0064】
<<第2フレーム部材12,22,32>>
上記において、第2フレーム部材12,22,32は、第1フレーム部材11,21,31の形状と同様であるとして説明したが、これに限定されない。例えば、第1フレーム部材11,21,31のXZ断面が楕円形状である場合に、第2フレーム部材12,22,32のXY断面が円形形状、菱形形状または略菱形形状であってもよい。
【0065】
<<第3フレーム部材13,23,33>>
上記において、第3フレーム部材13,23,33は円柱形状を呈するとして説明したが、これに限定されない。例えば、第3フレーム部材13,23,33は、Y軸とZ軸に沿うYZ断面が楕円形状、菱形形状または略菱形形状を呈していてもよい。これにより、流体の流れがX軸に沿う方向からZ方向にずれたときにでも、第3フレーム部材13,23,33の下流側において流体の流れの乱れや渦の発生を抑制できる。
【0066】
<<第4フレーム部材14,24,34>>
上記において、第4フレーム部材14,24,34は円柱形状を呈するとして説明したが、これに限定されない。例えば、第4フレーム部材14,24,34は、中心軸と垂直に交わる断面が楕円形状、菱形形状または略菱形形状を呈していてもよい。これにより、流体の流れがX軸に沿う方向からZ方向にずれたときにでも、第4フレーム部材14,24,34の下流側において流体の流れの乱れや渦の発生を抑制できる。
【0067】
===まとめ===
以上説明したように、本実施形態に係るフレーム構造体10,20,30は、回転軸100に取り付けられ、所定の方向(X方向)に流れる流体の流れを受けて回転軸100を回転させるブレード120と、を含んで構成される回転装置200を、流体中の構造物に固定する、複数の第1〜第4フレーム部材11〜14,21〜24,31〜34からなるフレーム構造体10,20,30であって、第1〜第4フレーム部材11〜14,21〜24,31〜34のうち少なくとも第1,第2フレーム部材11,12,21,22,31,32は、第1,第2フレーム部材11,12,21,22,31,32の上流側から流れてくる流体に起因して第1,第2フレーム部材11,12,21,22,31,32に与えられる抵抗を抑制するように、所定の方向(X方向)に沿って、流体の上流側から下流側に向かうにつれて、所定の方向(X方向)と交差する方向(Z方向)における厚みが薄くなる形状を呈する。本実施形態によれば、流れの乱れや渦を抑制でき、流れの乱れや渦によるブレード120の回転方向への抵抗を軽減できるため、回転装置200の回転効率を向上できる。また、水面の近くにおいて波の発生を抑制できる。
【0068】
また、本実施形態に係るフレーム構造体10,20,30において、少なくとも第1,第2フレーム部材11,12,21,22,31,32は、中心軸を通り、中心軸を通る方向(Y方向)と、所定の方向(X方向)と、で形成される面を境として対称に形成される。本実施形態によれば、第1,第2フレーム部材11,12,21,22,31,32の一方の側面と他方の側面における流体の圧力差が発生しないため、流体の流れの乱れや渦をより効率よく抑制できる。また、水面の近くにおいて波の発生をより効率よく抑制できる。
【0069】
また、本実施形態に係るフレーム構造体10,20,30において、第1フレーム部材11,21,31は、中心軸を通り、中心軸に沿う方向(Y方向)と、所定の方向(X方向)と垂直に交わる方向(Z方向)と、で形成される面を境として対称に形成される。また、第2フレーム部材12,22,32では、中心軸を通り、中心軸に沿う方向(Z方向)と、所定の方向(X方向)と垂直に交わる方向(Y方向)と、で形成される面を境として対称に形成される。本実施形態によれば、第1,第2フレーム部材11,12,21,22,31,32の上流側から下流側にかけて、流体が周面に沿ってスムーズに流れるため、下流側における流れの乱れや渦の発生を抑制できる。また、水面の近くにおいて波の発生をより効率よく抑制できる。
【0070】
また、本実施形態に係るフレーム構造体10において、複数のフレーム部材(11〜14)には、回転軸100と平行に設けられる第1フレーム部材11を含み、第1フレーム部材11は、第1フレーム部材11の中心軸に垂直なXZ断面が楕円形状を呈し、流体の抵抗を抑制するように、XZ断面の長軸が所定の方向(X方向)に沿って設けられる。本実施形態によれば、流れの乱れや渦を効率よく抑制でき、流れの乱れや渦によるブレード120の回転方向への抵抗を軽減できるため、回転装置200の回転効率を向上できる。また、水面の近くにおいて波の発生を抑制できる。
【0071】
また、本実施形態に係るフレーム構造体10において、複数のフレーム部材(11〜14)には、回転軸100および所定の方向(X方向)に直交して設けられる第2フレーム部材12を含み、第2フレーム部材12は、回転軸100および所定の方向(X方向)に沿うXY断面が楕円形状を呈し、流体の抵抗を抑制するように、XY断面の長軸が所定の方向(X方向)に沿って設けられる。本実施形態によれば、流れの乱れや渦を効率よく抑制でき、流れの乱れや渦によるブレード120の回転方向への抵抗を軽減できるため、回転装置200の回転効率を向上できる。また、水面の近くにおいて波の発生を抑制できる。
【0072】
また、本実施形態に係るフレーム構造体20において、複数のフレーム部材(21〜24)には、回転軸100と平行に設けられる第1フレーム部材21を含み、第1フレーム部材21は、第1フレーム部材21の中心軸に垂直なXZ断面が菱形形状を呈し、流体の抵抗を抑制するように、XZ断面における長い方の対角線が所定の方向(X方向)に沿って設けられる。本実施形態によれば、流れの乱れや渦を効率よく抑制でき、流れの乱れや渦によるブレード120の回転方向への抵抗を軽減できるため、回転装置200の回転効率を向上できる。また、水面の近くにおいて波の発生を抑制できる。
【0073】
また、本実施形態に係るフレーム構造体20において、複数のフレーム部材(21〜24)には、回転軸100および所定の方向(X方向)に直交して設けられる第2フレーム部材22を含み、第2フレーム部材22は、回転軸100および所定の方向(X方向)に沿うXY断面が菱形形状を呈し、流体の抵抗を抑制するように、XY断面における長い方の対角線が所定の方向(X方向)に沿って設けられる。本実施形態によれば、流れの乱れや渦を効率よく抑制でき、流れの乱れや渦によるブレード120の回転方向への抵抗を軽減できるため、回転装置200の回転効率を向上できる。また、水面の近くにおいて波の発生を抑制できる。
【0074】
また、本実施形態に係るフレーム構造体30において、複数のフレーム部材(31〜34)には、回転軸100と平行に設けられる第1フレーム部材31を含み、第1フレーム部材31は、第1フレーム部材31の中心軸に垂直なXZ断面が略菱形形状を呈し、流体の抵抗を抑制するように、XZ断面における所定の方向(X方向)に直交する方向(Z方向)に沿う短い方の対角線の角部が湾曲して形成され、XZ断面における長い方の対角線が所定の方向(X方向)に沿って設けられる。本実施形態によれば、流れの乱れや渦を効率よく抑制でき、流れの乱れや渦によるブレード120の回転方向への抵抗を軽減できるため、回転装置200の回転効率を向上できる。また、水面の近くにおいて波の発生を抑制できる。
【0075】
また、本実施形態に係るフレーム構造体30において、複数のフレーム部材(31〜34)には、回転軸100および所定の方向(X方向)に直交して設けられる第2フレーム部材32を含み、第2フレーム部材32は、回転軸100および所定の方向(X方向)に沿うXY断面が略菱形形状を呈し、流体の抵抗を抑制するように、XY断面における所定の方向(X方向)に直交する方向(Y方向)に沿う短い方の対角線の角部が湾曲して形成され、XY断面における長い方の対角線が所定の方向(X方向)に沿って設けられる。本実施形態によれば、流れの乱れや渦を効率よく抑制でき、流れの乱れや渦によるブレード120の回転方向への抵抗を軽減できるため、回転装置200の回転効率を向上できる。また、水面の近くにおいて波の発生を抑制できる。
【0076】
また、本実施形態に係るフレーム構造体10,20,30において、流体は、水であることを特徴とする。本実施形態によれば、潮流発電の回転装置200において適用することができる。
【符号の説明】
【0077】
10,20,30 フレーム構造体
11,21,31 第1フレーム部材
12,22,32 第2フレーム部材
100 回転軸
120 ブレード
200 回転装置
【要約】
【解決手段】
回転軸に取り付けられ、所定の方向に流れる流体の流れを受けて前記回転軸を回転させるブレードを含んで構成される回転装置を、前記流体中の構造物に固定する、複数のフレーム部材からなるフレーム構造体であって、前記フレーム部材は、前記フレーム部材の上流側から流れてくる前記流体に起因して前記フレーム部材に与えられる抵抗を抑制するように、前記所定の方向に沿って、前記流体の上流側から下流側に向かうにつれて、前記所定の方向と交差する方向における厚みが薄くなる形状を呈することを特徴とする。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11