特許第6648879号(P6648879)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エコモ・インターナショナル株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6648879-水素発生ユニット 図000002
  • 特許6648879-水素発生ユニット 図000003
  • 特許6648879-水素発生ユニット 図000004
  • 特許6648879-水素発生ユニット 図000005
  • 特許6648879-水素発生ユニット 図000006
  • 特許6648879-水素発生ユニット 図000007
  • 特許6648879-水素発生ユニット 図000008
  • 特許6648879-水素発生ユニット 図000009
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6648879
(24)【登録日】2020年1月20日
(45)【発行日】2020年2月14日
(54)【発明の名称】水素発生ユニット
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/68 20060101AFI20200203BHJP
   C01B 3/08 20060101ALI20200203BHJP
【FI】
   C02F1/68 520B
   C02F1/68 510B
   C02F1/68 530B
   C01B3/08 Z
【請求項の数】8
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2017-544169(P2017-544169)
(86)(22)【出願日】2015年10月9日
(86)【国際出願番号】JP2015078832
(87)【国際公開番号】WO2017061056
(87)【国際公開日】20170413
【審査請求日】2018年9月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】500304556
【氏名又は名称】エコモ・インターナショナル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080160
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 憲一郎
(72)【発明者】
【氏名】福岡 和久
【審査官】 片山 真紀
(56)【参考文献】
【文献】 特許第5613853(JP,B2)
【文献】 国際公開第2015/011847(WO,A1)
【文献】 特許第5777791(JP,B2)
【文献】 特開2014−015224(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/68
C01B 3/00−58
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
DWPI(Derwent Innovation)
Japio−GPG/FX
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体中に投入することにより同液体中に水素を含有させて水素含有液を生成する水素発生ユニットにおいて、
同水素発生ユニットは、
含水して水素を発生する水素発生剤と、
水と、
前記水を前記水素発生剤と反応しない非流出状態に保持する非流出状態保持手段と、を水素ガスを外部に放出する孔を有した副放出手段を備えた副収容体に収容し、
前記副収容体は、水素ガスを外部に放出する孔を有した主放出手段を備えた主収容体に収容して一体に構成すると共に、
前記副収容体を内包した前記主収容体は、前記液体中に遊動自在に投入され、
前記非流出状態保持手段は、前記主収容体外から所定量の機械的なエネルギーとしての外力を付与することにより前記非流出状態の前記水を前記水素発生剤と反応可能な流出状態に変化させるものであり、
前記外力の付与をトリガーとして、前記流出状態となった前記水を前記水素発生剤と反応させ、前記副収容体内にて生成した水素を前記副放出手段と前記主放出手段を介して放出することにより、前記液体の水素発生ユニット内への浸潤によらず前記水素含有液を生成すべく構成したことを特徴とする水素発生ユニット。
【請求項2】
前記副収容体は、前記水素発生剤と前記水と前記非流出状態保持手段とを収容する副収容室を備え、
前記主収容体は、前記副収容体を収容する主収容室を備え、
前記非流出状態保持手段は、前記水を密閉収容して前記非流出状態とする可撓性の区画室であり、同区画室は、収容していた前記水を吐出して前記流出状態とする脆弱部を有し、
前記外力として前記主収容体を手指で挟持する押圧力が所定量付与されることにより前記脆弱部を破断し、前記流出状態となった前記水が前記水素発生剤と反応して生成した水素を前記副放出手段と前記主放出手段を介して放出することにより、前記液体の水素発生ユニット内への浸潤によらず前記水素含有液を生成すべく構成したことを特徴とする請求項1に記載の水素発生ユニット。
【請求項3】
前記主放出手段は管状の狭窄通路で形成された主水素排出口を備え、
前記副放出手段は管状の狭窄通路で形成された副水素排出口を備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の水素発生ユニット。
【請求項4】
前記主・副収容体は可撓性を有する合成樹脂材からなり、
前記主収容体は前記主水素排出口と連通し、
前記副収容体は前記副水素排出口と連通し、前記副収容室には更に貫通用部材を収容し、
前記貫通用部材は先端先鋭の貫通用突起を有し、
前記副収容室には、前記脆弱部に前記貫通用突起を対峙して収容し、
前記外力として前記主収容体を手指で挟持する押圧力が所定量付与されることにより前記貫通用突起が前記脆弱部を破断し、前記流出状態となった前記水が前記水素発生剤と反応して生成した水素を前記主・副水素排出口を介して放出することにより、前記液体の水素発生ユニット内への浸潤によらず前記水素含有液を生成すべく構成したことを特徴とする請求項3に記載の水素発生ユニット。
【請求項5】
前記主水素排出口の開口方向を鉛直方向とし、前記副水素排出口の開口方向を水平方向として互いが異なる開口方向となるように形成したことを特徴とする請求項3又は請求項
4に記載の水素発生ユニット。
【請求項6】
前記主水素排出口の前記狭窄通路には、前記主水素排出口の前記狭窄通路と連通する前記主収容室の上部側壁を左右側部と底部からなる正面視凹状とし、凹状の前記底部で前記主水素排出口の前記狭窄通路の下端部が連通した逆流防止部を備えることを特徴とする請求項3乃至請求項5のいずれか1項に記載の水素発生ユニット。
【請求項7】
前記主収容体の下部側を先端先鋭に形成したことを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の水素発生ユニット。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の水素発生ユニットの前記主収容体に装着自在なカバー体であり、
前記カバー体は、前記カバー体を前記主収容体に装着することで前記主収容体を略被覆すると共に、前記カバー体の外部から機械的なエネルギーとしての外力が付与されても前記非流出状態保持手段が前記非流出状態を保持することができるように外力遮断部を備えた水素発生ユニットのカバー体を、備えることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の水素発生ユニット
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体中に水素を含有させて水素含有液を生成する水素発生ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
我々が日常的に摂取する水は、健康の基礎作りとして極めて重要な役割を果たしており、人々の間で健康志向が高まる中、飲用水への注目が更に高まっている。
【0003】
従来より、このようなニーズに合致するような飲用水は種々提案されており、例えば、飲用水中に酸素を多量に溶存させた酸素水や、水素を溶存させた水素水が知られている。
【0004】
特に、分子状水素を含有させた水素水は、生体内酸化ストレスの低下や、血中LDLの増加抑制など、健康に寄与する報告が種々なされている。
【0005】
このような水素水は、水中に水素を溶存させることで生成されるのであるが、水素の入手や純粋な水素を水中に溶解させることは一般には困難である。
【0006】
また、水中に溶存させた水素は、水素透過性の極めて低い容器を用いない限り時間と共に徐々に抜けてしまうため、水素水の調製後できるだけ速やかに飲用に供するのが望ましい。
【0007】
そこで、一般家庭などにおいても手軽に水素水を調製できるよう、数cm程度の有底筒状容器の内部に水素発生剤を封入した水素添加器具が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0008】
このような水素添加器具によれば、水を収容したペットボトル等の容器内に投入して密閉することで、水中に水素を含有させて水素水を生成できるとしている。
【0009】
ところが、特許文献1に係る従来の水素添加器具は、水素発生剤を防湿包装袋から取出し、この水素発生剤を別途密閉容器に挿入し、さらに水素発生剤と反応させるための水を所定量添加して閉蓋するという作業が必要となる。
【0010】
このような煩雑な作業は、特に高齢者など手先の細かな作業が不得手な者にとっては困難であり、より手軽に水素水を生成できる手段が望まれていたところ、本願発明者が既に発明し出願している特許文献2や特許文献3に係る水素発生ユニットでは、含水して水素を発生する水素発生剤と、水と、水を水素発生剤と反応しない非流出状態に保持する非流出状態保持手段と、を水素ガスを外部に放出する孔を有した放出手段を備えた収容体に収容して構成すると共に、非流出状態保持手段は、収容体外から所定量のエネルギーを付与することにより非流出状態の水を水素発生剤と反応可能な流出状態に変化させるものであり、エネルギーの付与をトリガーとして、流出状態となった水を水素発生剤と反応させ、収容体内にて生成した水素を放出手段を介して放出することにより、液体(以下、飲用水と同義とする。)の水素発生ユニット内への浸潤によらず水素含有液を生成すべく構成した水素発生ユニットを見出している。
【0011】
すなわち、水素発生ユニットを防湿包装袋から取出した後は、収容体の外部から手指で挟持する押圧力により水を流出状態として水素の発生を開始させ、キャップを有するペットボトル等の調製容器中の飲用水に水素発生ユニットを投入して閉蓋するだけで水素を含有させた水素含有液を生成でき、従来の水素添加器具に比して、水素含有液をより手軽に生成可能な水素発生ユニットを提供することができるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2012−020962号公報
【特許文献2】特願2015−000740
【特許文献3】特願2015−081949
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
上記特許文献2、3に係る水素発生ユニットは、少なくとも高齢者など手先の細かな作業が不得手な者であっても水素含有液を手軽に得られる点で非常に優れており、水素含有液の世界的な普及には欠かすことができない技術である。
【0014】
しかしながら、特許文献2に係る水素発生ユニットでは、水素ガスの放出手段として加工が難しく高価な半透膜等の部材を用いる必要があり、多くの一般消費者に安価に提供するには他の技術分野も含めた更なる技術開発の進展を待つ必要がある。
【0015】
また、特許文献2に係る水素発生ユニットは、水素排出口を形成する狭窄通路を備えた合成樹脂材からなる収容体を用いることで一般消費者に安価に提供することができる。また、本願発明者による数多くの実験から、水素の生成後に収容体内部に残る反応済みの水を含む副生成物が水素排出口から調製容器中の飲用水(以下、液体と同義とする。)に流出しないことが確認されており、水素発生ユニットの使用者が予期せぬ使用方法を実施した場合であっても、逆流防止部やトラップ室等の形成により飲用水への流出防止を図っている。
【0016】
しかしながら、水素排出口は機械的な狭窄通路であることから、水素発生ユニットの使用者による予期せぬ使用方法を実施した場合にまで飲用水への流出防止を完全に図ることができるか否かについては疑問があった。
【0017】
このような事情に鑑みて本願本発明は、従来の水素発生ユニットに比して収容体内の水素生成後の副生成物の飲用水への流出防止を強化した水素発生ユニットを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記従来の課題を解決するために、本発明に係る水素発生ユニットでは、
(1)液体中に投入することにより同液体中に水素を含有させて水素含有液を生成する水素発生ユニットにおいて、同水素発生ユニットは、含水して水素を発生する水素発生剤と、水と、前記水を前記水素発生剤と反応しない非流出状態に保持する非流出状態保持手段と、を水素ガスを外部に放出する孔を有した副放出手段を備えた副収容体に収容し、前記副収容体は、水素ガスを外部に放出する孔を有した主放出手段を備えた主収容体に収容して一体に構成すると共に、前記副収容体を内包した前記主収容体は、前記液体中に遊動自在に投入され、前記非流出状態保持手段は、前記主収容体外から所定量の機械的なエネルギーとしての外力を付与することにより前記非流出状態の前記水を前記水素発生剤と反応可能な流出状態に変化させるものであり、前記外力の付与をトリガーとして、前記流出状態となった前記水を前記水素発生剤と反応させ、前記副収容体内にて生成した水素を前記副放出手段と前記主放出手段を介して放出することにより、前記液体の水素発生ユニット内への浸潤によらず前記水素含有液を生成すべく構成した。
【0019】
また、本発明に係る水素発生ユニットでは、以下の点にも特徴を有する。
(2)前記副収容体は、前記水素発生剤と前記水と前記非流出状態保持手段とを収容する副収容室を備え、前記主収容体は、前記副収容体を収容する主収容室を備え、前記非流出状態保持手段は、前記水を密閉収容して前記非流出状態とする可撓性の区画室であり、同区画室は、収容していた前記水を吐出して前記流出状態とする脆弱部を有し、前記外力として前記主収容体を手指で挟持する押圧力が所定量付与されることにより前記脆弱部を破断し、前記流出状態となった前記水が前記水素発生剤と反応して生成した水素を前記副放出手段と前記主放出手段を介して放出することにより、前記液体の水素発生ユニット内への浸潤によらず前記水素含有液を生成すべく構成したこと。
(3)前記主放出手段は管状の狭窄通路で形成された主水素排出口を備え、前記副放出手段は管状の狭窄通路で形成された副水素排出口を備えること。
(4)前記主・副収容体は可撓性を有する合成樹脂材からなり、前記主収容体は前記主水素排出口と連通し、前記副収容体は前記副水素排出口と連通し、前記副収容室には更に貫通用部材を収容し、前記貫通用部材は先端先鋭の貫通用突起を有し、前記副収容室には、前記脆弱部に前記貫通用突起を対峙して収容し、前記外力として前記主収容体を手指で挟持する押圧力が所定量付与されることにより前記貫通用突起が前記脆弱部を破断し、前記流出状態となった前記水が前記水素発生剤と反応して生成した水素を前記主・副水素排出口を介して放出することにより、前記液体の水素発生ユニット内への浸潤によらず前記水素含有液を生成すべく構成したこと。
(5)前記主水素排出口の開口方向を鉛直方向とし、前記副水素排出口の開口方向を水平方向として互いが異なる開口方向となるように形成したこと。
(6)前記主水素排出口の前記狭窄通路には、前記主水素排出口の前記狭窄通路と連通する前記主収容室の上部側壁を左右側部と底部からなる正面視凹状とし、凹状の前記底部で前記主水素排出口の前記狭窄通路の下端部が連通した逆流防止部を備えること。
(7)前記主収容体の下部側を先端先鋭に形成したこと。
(8)水素発生ユニットの前記主収容体に装着自在なカバー体であり、前記カバー体は、前記カバー体を前記主収容体に装着することで前記主収容体を略被覆すると共に、前記カバー体の外部から機械的なエネルギーとしての外力が付与されても前記非流出状態保持手段が前記非流出状態を保持することができるように外力遮断部を備えた水素発生ユニットのカバー体を備えること
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る水素発生ユニットによれば、液体中に投入することにより同液体中に水素を含有させて水素含有液を生成する水素発生ユニットにおいて、同水素発生ユニットは、含水して水素を発生する水素発生剤と、水と、前記水を前記水素発生剤と反応しない非流出状態に保持する非流出状態保持手段と、を水素ガスを外部に放出する孔を有した副放出手段を備えた副収容体に収容し、前記副収容体は、水素ガスを外部に放出する孔を有した主放出手段を備えた主収容体に収容して一体に構成すると共に、前記副収容体を内包した前記主収容体は、前記液体中に遊動自在に投入され、前記非流出状態保持手段は、前記主収容体外から所定量の機械的なエネルギーとしての外力を付与することにより前記非流出状態の前記水を前記水素発生剤と反応可能な流出状態に変化させるものであり、前記外力の付与をトリガーとして、前記流出状態となった前記水を前記水素発生剤と反応させ、前記副収容体内にて生成した水素を前記副放出手段と前記主放出手段を介して放出することにより、前記液体の水素発生ユニット内への浸潤によらず前記水素含有液を生成すべく構成したため、万一、副収容体内から副放出手段を介して反応後の水が流出したとしても、流出した反応後の水は主収容体内に留まるため、反応後の水が水素発生ユニット外の液体中に流出することを防止できる。
【0021】
また、水素発生ユニットの収容体が二重構造となることで、外側に位置する主収容体の表面温度は、水素の生成反応による発熱が内部の副収容体を介して緩和されて伝わるので高温にならず取扱い易く、しかも、主収容体の外表面で接する調製容器中の液体の温度が低くても、副収容体内に収容された水素発生剤の温度低下を防止でき、水素の生成反応を阻害することがない。
【0022】
更に、万一、主放出手段を介して調製容器中の液体が内部に侵入したとしても、侵入した液体は副収容体の内部には侵入できず水素発生剤と接することはないので、必要以上の水分が水素発生剤と触れて水素の生成反応を阻害することはない。
【0023】
しかも、二重構造の収容体により、単独の収容体からなる水素発生ユニットに比して、意図せず主収容体外から所定量の外力が付与されても、容易には非流出状態の水が流出状態に変化しないので、使用者の意思に反した水素ガスの発生を可及的に防止できる。
【0024】
また、前記副収容体は、前記水素発生剤と前記水と前記非流出状態保持手段とを収容する副収容室を備え、前記主収容体は、前記副収容体を収容する主収容室を備え、前記非流出状態保持手段は、前記水を密閉収容して前記非流出状態とする可撓性の区画室であり、同区画室は、収容していた前記水を吐出して前記流出状態とする脆弱部を有し、前記外力として前記主収容体を手指で挟持する押圧力が所定量付与されることにより前記脆弱部を破断し、前記流出状態となった前記水が前記水素発生剤と反応して生成した水素を前記副放出手段と前記主放出手段を介して放出することにより、前記液体の水素発生ユニット内への浸潤によらず前記水素含有液を生成すべく構成したことより、水素発生ユニットの外形をなす主収容体を手指で挟持しながら脆弱部を破断する程度に押圧するだけで水を流出状態にできるので極めて簡便に水素の生成反応を開始させることができ、しかも、収容体の内部に注水する作業が不要となる。
【0025】
また、前記主放出手段は管状の狭窄通路で形成された主水素排出口を備え、前記副放出手段は管状の狭窄通路で形成された副水素排出口を備えることにより、主・副収容体に別途の部材を使用せずとも主・副収容体の各々に一体の主・副水素排出口を各々形成できるので、水素発生ユニットを安価に製造でき、経費的に有利である。
【0026】
また、前記主・副収容体は可撓性を有する合成樹脂材からなり、前記主収容体は前記主水素排出口と連通し、前記副収容体は前記副水素排出口と連通し、前記副収容室には更に貫通用部材を収容し、前記貫通用部材は先端先鋭の貫通用突起を有し、前記副収容室には、前記脆弱部に前記貫通用突起を対峙して収容し、前記外力として前記主収容体を手指で挟持する押圧力が所定量付与されることにより前記貫通用突起が前記脆弱部を破断し、前記流出状態となった前記水が前記水素発生剤と反応して生成した水素を前記主・副水素排出口を介して放出することにより、前記液体の水素発生ユニット内への浸潤によらず前記水素含有液を生成すべく構成したことより、主収容体を手指で挟持して付与する押圧力が弱くても、貫通用部材の貫通用突起により容易に脆弱部を破断させることができるので、少なくとも高齢者など手先の力が弱い者でも容易に水を流出状態にできるので極めて簡便に水素の生成反応を開始させることができる。
【0027】
また、前記主水素排出口の開口方向を鉛直方向とし、前記副水素排出口の開口方向を水平方向として互いが異なる開口方向となるように形成したことより、水を流出状態として水素の生成反応が開始した後、万一、水素ガスが水と共に上方に噴出したとしても副水素排出口の開口方向は水平方向であることから反応後の水は副水素排出口から流出し難く、更に、水素発生ユニットを大きく傾けて副水素排出口の開口方向が略鉛直方向となり、副収容体内の反応後の水が副水素排出口から流出したとしても、その際の主水素排出口の開口方向は水平方向であることから、そのまま一気に主収容体の外部に反応後の水流出することを防止できる。
【0028】
また、前記主水素排出口の前記狭窄通路には、前記主水素排出口の前記狭窄通路と連通する前記主収容室の上部側壁を左右側部と底部からなる正面視凹状とし、凹状の前記底部で前記主水素排出口の前記狭窄通路の下端部が連通した逆流防止部を備えることより、万一、水素発生ユニットが大きく傾いて、その際に主収容体内に反応後の水が存在していた場合、反応後の水主水素排出口側に向かって移動したしたとしても、凹状の底部に反応後の水が滞留することは無く、凹状の底部の左右側部のいずれかに反応後の水が滞留することになるため、反応後の水が主収容体の外部の液体中に流出することを防止できる。
【0029】
また、前記主収容体の下部側を先端先鋭に形成したことより、水素発生ユニットの上下が明確となり、ペットボトル等の調製容器中の液体に水素発生ユニットを投入する向きを直感的に把握することができる。
【0030】
更に、水素発生ユニットの前記主収容体に装着自在なカバー体であり、前記カバー体は、前記カバー体を前記主収容体に装着することで前記主収容体を略被覆すると共に、前記カバー体の外部から機械的なエネルギーとしての外力が付与されても前記非流出状態保持手段が前記非流出状態を保持することができるように外力遮断部を備えた水素発生ユニットのカバー体を、備えることより、水素発生ユニットへの意図しない外力の付与により、水が流出状態となって水素の生成反応が開始されてしまうことを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】(a)は水素発生ユニットの正面図と上端を示す図であり、(b)は水素発生ユニットの側面図である。
図2】水素発生ユニットの分解図である。
図3】人手により水を流出状態とする方法を示した説明図である。
図4】(a)は水が非流出状態である水素発生ユニットを示し、(b)は流出状態の途中を示し、(c)は流出状態の終盤を示す説明図である。
図5】(a)は水素発生ユニットを投入する開蓋した調製容器の上部を示し、(b)は水素発生ユニットを投入して閉蓋した調製容器の上部を示した説明図である。
図6】水素生成中の水素発生ユニットを逆さにした状態を示す説明図である。
図7】(a)は区画室と変形例に係る貫通用部材を示した斜視図で、(b)はこれらを対峙してセットした副収容室内での収納状態を示す側面図である。
図8】(a)はカバー体を装着した水素発生ユニットの前方斜視図で、(b)は後方斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明は、液体中に投入することにより同液体中に水素を含有させて水素含有液を生成する水素発生ユニットに関するものである。
【0033】
そして、本実施形態に係る水素発生ユニットに特徴的には、含水して水素を発生する水素発生剤と、水と、前記水を前記水素発生剤と反応しない非流出状態に保持する非流出状態保持手段と、を水素ガスを外部に放出する孔を有した副放出手段を備えた副収容体に収容し、前記副収容体は、水素ガスを外部に放出する孔を有した主放出手段を備えた主収容体に収容して一体に構成すると共に、前記副収容体を内包した前記主収容体は、前記液体中に遊動自在に投入され、前記非流出状態保持手段は、前記主収容体外から所定量のエネルギーを付与することにより前記非流出状態の前記水を前記水素発生剤と反応可能な流出状態に変化させるものであり、前記エネルギーの付与をトリガーとして、前記流出状態となった前記水を前記水素発生剤と反応させ、前記副収容体内にて生成した水素を前記副放出手段と前記主放出手段を介して放出することにより、前記液体の水素発生ユニット内への浸潤によらず前記水素含有液を生成すべく構成している。
【0034】
ここで、水素を溶解させるための液体は特に限定されるものではないが、水やジュース、お茶等をはじめとする飲料や、注射・点滴等に使用する薬液など、ヒトに拘わらず生体に対して使用する液体物とすることができる。
【0035】
また、水素発生剤は水分と接触することにより水素を発生するものであれば特に限定されるものではなく、また、混合物であっても良い。
【0036】
水分と接触することにより水素を発生する混合物としては、例えば、水素よりイオン化傾向の高い金属又は金属化合物と、酸やアルカリなどの反応促進剤との混合物を挙げることができる。
【0037】
また、好適に用いることのできる金属としては、例えば、鉄、アルミニウム、ニッケル、コバルト、亜鉛等を挙げることができ、好適な反応促進剤としては、例えば、各種酸のほか、水酸化カルシウム、酸化カルシウム、陰イオン交換樹脂、焼成カルシウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム等を用いることができる。
【0038】
また、水素発生剤には、実用上必要な水素生成反応を阻害しない範囲において、必要に応じ適宜機能性を有する物質を添加しても良い。例えば、水との接触により吸熱反応を生じるような物質(例えば尿素や、これと同様の効果を生起する食品添加物に該当する物質。)を添加しておくことにより、水素生成反応に伴って発生する熱を抑制することもできる。
【0039】
更に、水素発生剤は必ずしも不織布等による袋体に収容させて所定箇所に配置することに限定されず、実施形態に応じて所定箇所に直接配置してもよい。
【0040】
水は、水素発生剤から水素を生成可能なものであれば特に限定されるものではなく、例えば、純水や水道水、井戸水等を用いることができる。また、水は、水素含有液が生成不可能な程度に水素の発生を妨げるものでなければよく、何らかの物質が溶存しているものであっても良い。例えば、反応促進剤としての酸を溶存させておき、金属や金属化合物と反応させることで水を供給しつつ水素発生剤を構成して水素を発生させるようにしても良い。
【0041】
非流出状態保持手段は、水を水素発生剤(水の添加と同時に水素発生剤を構成する場合には金属や金属化合物)と反応しない非流出状態に保持するための手段である。
【0042】
非流出状態保持手段の一例としては、例えば、水を密閉収容して非流出状態とする可撓性の区画室によるものを挙げることができる。
【0043】
そして、区画室には、所定量の外力が付与されることにより収容していた水を吐出して流出状態とする脆弱部を形成しておくことで、使用者が所望の際に水素発生の反応を開始させることができる。
【0044】
特に、前述の区画室によって非流出状態保持手段を実現した場合には、エネルギーとして外力を加えることにより、水素生成反応のトリガーとして利用することができる。なお、前述の脆弱部はこの外力によって水を吐出可能な程度に形成しておくのは勿論である。
【0045】
これら水素発生剤や水、非流出状態保持手段は、主収容体に内包した副収容体に収容されることで水素発生ユニットが形成される。この主・副収容体は、前述の非流出状態保持手段に対して付与されるエネルギーを伝達可能な素材や構造を備えるようにしても良い。
【0046】
すなわち、前述の区画室によって非流出状態保持手段を実現した場合には、主・副収容体は区画室に外力を伝達可能な部位、例えば指先などで押圧した際に撓むことで主・副収容体の壁部を介して区画室に外力を付与可能な素材や構成を挙げることができる。
【0047】
また、副収容体には、同副収容体内部にて発生した水素を主収容体内へ放出させるための副放出手段として、狭窄通路で形成された副水素排出口を備え、主収容体には、副収容体内部にて発生した水素を主収容体外へ放出させるための主放出手段として、狭窄通路で形成された主水素排出口を備えている。
【0048】
この狭窄通路は水素を主収容体内に排出したり、主収容体外に排出するためのものであり、そのために途中で分岐したり、不連続な状態(複数の狭窄通路を備える)で形成されていてもよく、更に、形状が直線であったり曲線であったり等、適宜構成することができる。
【0049】
また主収容体は、水素発生ユニット外の液体が主収容体内へ浸入するのを防止でき、且つ、副収容体内部にて発生した水素を主水素排出口から主収容体外へ放出可能な素材にて形成されていれば良い。
【0050】
また副収容体は、万一、主収容体内に水素発生ユニット外の液体が浸入したとしても副収容体内に該液体が侵入するのを防止でき、且つ、副収容体内部にて発生した水素を副水素排出口から主収容体内へ放出可能な素材にて形成されていれば良い。
【0051】
また、さらに望ましくは、主・副収容体は、水素発生剤を構成する成分など、金属イオンや無機化合物、有機質を透過させないものが良い。
【0052】
このような素材としては、例えば、ポリプロピレンやポリエチレン、ポリエステル等の合成樹脂材を挙げることができる。
【0053】
ところで、放出手段である主・副水素排出口には逆止弁の如き機械的な弁機構を付加することも可能である。すなわち、発生させた水素の内圧により、液体の浸入を阻止する弁機構の付勢力に抗して瞬間的に開放させることにより、水素の気泡を副収容体内から主収容体を介して液体中へ放出することもできる。
【0054】
なお、水素発生ユニットには、主収容体を略被覆するカバー体を装着することもできる。カバー体は、水素発生ユニットの運搬時等においてエネルギーとしての外力が意図せず区画室に付与され、水が流出状態となって水素発生剤と反応することを防止する保護部材である。
【0055】
このような素材としては、例えば、ポリプロピレンやポリエチレン、ポリエステル、アクリル、ABS樹脂、ポリカーボネート等の合成樹脂材を挙げることができる。
【0056】
このように、本実施形態に係る水素発生ユニットによれば、従来の水素発生ユニットに比して、水素含有液をより手軽に生成することができる。また、液体の水素発生ユニット内への浸潤によらず水素含有液を生成すべく構成し、しかも、収容体を二重構造としているため、水素発生ユニット内外における液体の流通に伴って水素発生剤の成分からなる副生成物が液体へ漏出するおそれを可及的に抑制することができる。
【0057】
以下、本実施形態に係る水素発生ユニットについて、図面を参照しながら説明する。
【0058】
[実施形態]
本発明の実施形態に係る水素発生ユニットAは、図1図5に示すように、液体(以下、飲用水とする。)L中に投入することにより同飲用水L中に水素を含有させて水素含有液を生成する水素発生ユニットAにおいて、同水素発生ユニットAは、含水して水素を発生する水素発生剤15と、水14と、水14を水素発生剤15と反応しない非流出状態に保持する非流出状態保持手段と、を水素ガス17を外部に放出する孔を有した副放出手段38を備えた副収容体19に収容し、副収容体19は、水素ガス17を外部に放出する孔を有した主放出手段18を備えた主収容体1に収容して一体に構成すると共に、副収容体19を内包した主収容体1は、飲用水L中に遊動自在に投入され、非流出状態保持手段は、主収容体1外から所定量のエネルギーを付与することにより非流出状態の水14を水素発生剤15と反応可能な流出状態に変化させるものであり、エネルギーの付与をトリガーとして、流出状態となった水14を水素発生剤と反応させ、副収容体19内にて生成した水素を副放出手段38と主放出手段18を介して放出することにより、飲用水Lの水素発生ユニットA内への浸潤によらず水素含有液を生成すべく構成している。
【0059】
また、副収容体19は、水素発生剤15と水14と非流出状態保持手段とを収容する副収容室25を備え、主収容体1は、副収容体19を収容する主収容室2を備え、非流出状態保持手段は、水14を密閉収容して非流出状態とする可撓性の区画室41であり、同区画室41は、収容していた水14を吐出して流出状態とする脆弱部44を有し、エネルギーとして主収容体1を手指Pで挟持する押圧力が所定量付与されることにより脆弱部44を破断し、流出状態となった水14が水素発生剤15と反応して生成した水素を副放出手段38と主放出手段18を介して放出すべく構成している。
【0060】
更に、主放出手段18は管状の狭窄通路3で形成された主水素排出口4を備え、副放出手段38は管状の狭窄通路23で形成された副水素排出口24を備えている。
【0061】
また、主・副収容体1,19は可撓性を有する合成樹脂材からなり、図1(a)、(b)、図2に示すように、主収容体1は主水素排出口4と連通し、副収容体19は副水素排出口24と連通し、副収容室25には更に貫通用部材48を収容し、貫通用部材48は先端先鋭の複数の貫通用突起49a,49b,49cを有し、副収容室25には、脆弱部44に貫通用突起49a,49b,49cを対峙して収容し、図3に示すように、エネルギーとして主収容体1を手指Pで挟持する押圧力が所定量付与されることにより貫通用突起49a,49b,49cが脆弱部44を破断し、図4(b)、(c)に示すように、流出状態となった水14が水素発生剤15と反応して生成した水素を主・副水素排出口4,24を介して放出すべく構成している。
【0062】
また、図1(a)、(b)、図2に示すように、主水素排出口4の開口方向を鉛直方向とし、副水素排出口24の開口方向を水平方向として互いが異なる開口方向となるように形成すると共に、主収容体1の下部側10を先端先鋭に形成している。
【0063】
また、主水素排出口4の狭窄通路3には、主水素排出口4の狭窄通路3と連通する主収容室2の上部側壁5を左右側部7a,7bと底部8からなる正面視凹状とし、凹状の底部8で主水素排出口4の狭窄通路3の下端部9が連通した逆流防止部6を備えている。
【0064】
更に、水素発生ユニットAには、図8(a)、(b)に示すように、主収容体1に装着自在なカバー体53を備えることができる。カバー体53は、カバー体53を主収容体1に装着することで主収容体1を略被覆すると共に、カバー体53の外部から機械的なエネルギーとしての外力が付与されても非流出状態保持手段が非流出状態を保持することができるように外力遮断部54を備えている。
【0065】
このように水素発生ユニットAの収容体1,19を二重構造等に構成することで、従来の水素発生ユニットに比して収容体内の水素生成後の副生成物である反応後の水68の飲用水Lへの流出防止を強化した水素発生ユニットAを提供することができる。
【0066】
次に、水素発生ユニットAの各部の具体的な構成について図面を参照しながら詳述する。
【0067】
[主収容体]
主収容体1は、図5(b)に示すように、後述する調製容器70の開口部から投入可能な幅員で形成され、図1(a)、(b)、図2に示すように、矩形長方形状で下部側10を先端先鋭に形成した主ケース部1aと、主密閉フィルムシート1bと、で構成され、主ケース部1aは、帯状のプラスチック製シートの正面側を凹状に膨出させ、主放出手段18である狭窄通路3からなる主水素排出口4、逆流防止部6、主収容室2を上部から下部にかけて連通配置し、膨出していない主ケース部1aの偏平状の外縁部を接合部1cとしている。また、主密閉フィルムシート1bは、帯状のフィルムシートを接合部1cに溶着し、膨出させた各部を密閉している。
【0068】
主密閉フィルムシート1bは主ケース部1aの正面視の外形と同形状の矩形長方形状で下部側12を先端先鋭に形成しており、主収容体1に溶着することで一体の水素発生ユニットAを構成する。なお、接合部1cへの主密閉フィルムシート1bの接合においては、溶着以外に接着剤による接合であってもよい。
【0069】
主ケース部1aの材質は、耐熱性や耐衝撃性、気密性に優れたプラスチックシート材であるポリプロピレンを用いているが、ポリエチレン等の合成樹脂材を基材とするシート材等、耐熱性を有し、外部の飲用水Lが内部に透過せず、内部の反応水14や反応後の水68が外部に透過しないものであれば特に材質は限定されるものではない。
【0070】
主密閉フィルムシート1bの材質は、透明で耐熱性や耐衝撃性、気密性に優れたプラスチックフィルム材であるポリエステルを用いているが、延伸ポリプロピレン(OPP)やポリエチレン等の合成樹脂材を基材とするフィルム材等、耐熱性を有し、外部の飲用水Lが内部に透過せず、内部の反応水14や反応後の水68が外部に透過しないものであれば特に材質や透明度は限定されるものではない。但し、透明度が高い方が反応水14の流出状態や水素発生体16への接触状態を確認しやすく有利である。
【0071】
主放出手段18である主水素排出口4を形成する狭窄通路3は、主ケース部1aの上端中央部に開口3aを形成し、開口3aから下方の主収容室2にかけて直線的に延設して主収容室2と連通連設している。また、主水素排出口4は断面視略半円状に形成され、外部から飲用水Lが容易に浸入しない小径の開口、例えば略1mm程度の直径で形成し、狭窄通路3自体も同様の断面形状で同様の直径で形成している。
【0072】
なお、主水素排出口4の開口断面積は狭窄通路3の途中の空間断面積よりも大きく形成してもよく、また、主水素排出口4から主収容室2までの経路を曲線的に形成してもよい。また、主水素排出口4から主収容室2までの距離は外部からの飲用水Lの進入や内部の反応水14や反応後の水68の流出を防止する観点から長く形成することが望ましく、本実施形態では略10mmの長さで形成している。更に、狭窄通路3は一箇所であることに限定されない。
【0073】
また、主収容室2の深さは後述する副収容体19が余裕を持って収容できる程度であればよい。
【0074】
主放出手段18である主水素排出口4の狭窄通路3には、主水素排出口4の狭窄通路3と連通する主収容室2の上部側壁5を左右側部7a,7bと底部8からなる正面視凹状とし、凹状の底部8で主水素排出口4の狭窄通路3の下端部9が連通した逆流防止部6を備えている。すなわち、狭窄通路3が主収容室2の内側の一部に延設されている。
【0075】
このように構成することで、図6に示すように、水素発生ユニットAの主水素排出口4が下方に位置しても、内部の反応後の水68が狭窄通路3を通過して主水素排出口4から外部に放出されることを未然に防止することができる。
【0076】
このように形成された主収容室2は、これを囲繞する偏平状の外縁部を接合部1cとして全体を主ケース部1aとし、帯状の主密閉フィルムシート1bを接合部1cに溶着して上述した各部を密閉し主収容体1を構成している。
【0077】
[副収容体]
副収容体19は、図1(a)、(b)、図2に示すように、主収容体1の主収容室2に収まる外形に形成され、矩形長方形状で下部側29を先端先鋭に形成した副ケース部19aと、副密閉フィルムシート19bと、で構成され、副ケース部19aは、帯状のプラスチック製シートの正面側を凹状に膨出させ副収容室25とし、水収容室26、移動用通路27、剤収容室28を上部から下部にかけて連通配置している。また、膨出していない副ケース部19aの偏平状の外縁部を接合部19cとし、水収容室26の中途部の左右側壁30a,30bと該部分近傍の接合部19c,19cのみ膨出させて副放出手段38となる狭窄通路23,23を形成している。また、副密閉フィルムシート19bは、帯状のフィルムシートを接合部19cに溶着し、膨出させた各部を密閉している。
【0078】
また、水収容室26には反応水14を収容した区画室41と貫通用部材48を収容し、剤収容室28には水素発生剤15を内包する水素発生体16を収容している。
【0079】
副密閉フィルムシート19bは副ケース部19aの正面視の外形と同形状の矩形長方形状で下部側31を先端先鋭に形成しており、副ケース部19aに溶着することで一体の副収容体19を構成する。なお、接合部19cへの副密閉フィルムシート19bの接合においては、溶着以外に接着剤による接合であってもよい。
【0080】
副ケース部19aの材質は、耐熱性や耐衝撃性、気密性に優れたプラスチックシート材であるポリプロピレンを用いているが、ポリエチレン等の合成樹脂材を基材とするシート材等、耐熱性を有し、外部の飲用水Lが内部に透過せず、内部の反応水14や反応後の水68が外部に透過しないものであれば特に材質は限定されるものではない。
【0081】
副密閉フィルムシート19bの材質は、透明で耐熱性や耐衝撃性、気密性に優れたプラスチックフィルム材であるポリエステルを用いているが、延伸ポリプロピレン(OPP)やポリエチレン等の合成樹脂材を基材とするフィルム材等、耐熱性を有し、外部の飲用水Lが内部に透過せず、内部の反応水14や反応後の水68が外部に透過しないものであれば特に材質や透明度は限定されるものではない。但し、透明度が高い方が反応水14の流出状態や水素発生体16への接触状態を確認しやすく有利である。
【0082】
なお、副密閉フィルムシート19bは、撥水性水素透過膜であってもよい。この場合、撥水性水素透過膜が副放出手段となるため、副収容体19に狭窄通路23からなる副水素排出口24を形成する必要は無い。また、撥水性水素透過膜は、水素発生ユニットA外の飲用水Lが副収容体19内へ浸入するのを防止でき、且つ、副収容体19内部にて発生した水素を副収容体外へ放出可能な素材にて形成されていれば良い。
【0083】
また、さらに望ましくは、撥水性水素透過膜は、水素発生剤15を構成する成分など、金属イオンや無機化合物、有機質を透過させないものが良い。このような素材としては、例えば、防水透湿性素材(液体状の水の透過は阻止しつつも気体状の水を透過させる素材)や、半透膜、逆浸透膜、伸延PTFE等を挙げることができる。
【0084】
副放出手段38である副水素排出口24を形成する狭窄通路23は、副ケース部19aの上部側の左右端部となる水収容室26の中途部の接合部19cに開口23a,23aを有し、開口23a,23aから水平方向に直線的に延設して主収容室2と水収容室26とを連通連設している。また、副水素排出口24は断面視略半円状に形成され、外部から飲用水Lが容易に浸入しない小径の開口、例えば略1mm程度の直径で形成し、狭窄通路23自体も同様の断面形状で同様の直径で形成している。
【0085】
なお、副水素排出口24の開口断面積は狭窄通路23の途中の空間断面積よりも大きく形成してもよく、開口23aから水収容室26までの経路を曲線的に形成してもよい。また、狭窄通路23は左右の二箇所であることに限定されない。また、水収容室26の深さは後述する区画室41と貫通用部材48が収容できる程度であればよい。
【0086】
水収容室26は、長手方向を上下とする有底の矩形箱状に形成し、上述の通り、左右側壁30a,30bの開放端部中央において狭窄通路23,23と連通連設している。また、下部側壁33の開放端部中央において移動用通路27と連通連設している。なお、水収容室26は必ずしも矩形箱状である必要はない。
【0087】
移動用通路27は、水収容室26と剤収容室28の底部34,36よりも浅く外観視凹状に形成され、下方の剤収容室28にかけて幅狭に短く延設して剤収容室28と連通連設している。なお、移動用通路27の長さや形状は水収容室26から剤収容室28に早く確実に反応水14が移動する形状であればよい。
【0088】
剤収容室28は、長手方向を上下とする有底の矩形箱状に形成し、上部側壁37の開放端部中央において移動用通路27と連通連設している。また、剤収容室28は、中央部で折曲した外観視長方形状の水素発生体16を折曲面が剤収容室28の開口から視認できる状態で収容可能な空間とし、収容される水素発生体16を移動し難く形成している。なお、剤収容室28に収容された水素発生体16は、剤収容室28の底部36と移動用通路27の底部35との深さの違いにより、移動用通路27側に移動することはない。
【0089】
このように形成された水収容室26等の副収容体19は、これらを囲繞する偏平状の外縁部を接合部19cとして全体を副ケース部19aとし、帯状の副密閉フィルムシート19bを接合部19cに溶着して上述した各部を密閉し副収容体19を構成している。
【0090】
なお、本実施形態に係る水素発生ユニットAでは、主収容体1の内部に1つの副収容体19を内包した構成を説明しているが、内包する副収容体19の数は本実施形態に限定されるものではなく、また、副収容体19の内部に更に副収容体19を内包してもよい。
【0091】
そして、密閉される水収容室26と剤収容室28には以下の部材が収容され、水素発生ユニットAが構成される。
【0092】
まず、水収容室26に収容される反応水14を内包する区画室41は、有底の矩形箱状で開放端部全周に接合フランジ部42aを形成した箱体42に、箱体42の開口を被覆する薄膜で矩形フィルム状の脆弱部44の外縁端を接合フランジ部42aに溶着して水密状としている。なお、本実施形態では反応水14を可能な限り無菌状態で区画室41に内包するためにクリーンルーム内での充填を行っている。また、接合フランジ部42aへの脆弱部44の接合においては、溶着以外に接着剤による接合であってもよい。
【0093】
なお、箱体42の材質は、気密性に優れたプラスチックシート材であるポリプロピレンを用いているが、ポリエチレン等の合成樹脂材を基材とするシート材等、内部の反応水14が外部に透過しないものであれば特に材質は限定されるものではない。
【0094】
脆弱部44の材質は、透明で気密性に優れたプラスチックフィルム材であるポリエステルを用いているが、延伸ポリプロピレン(OPP)やポリエチレン等の合成樹脂材を基材とするフィルム材等、内部の反応水14が外部に透過せず、破断容易であれば特に材質や透明度は限定されるものではない。
【0095】
区画室41は水収容室26の底部34に区画室41の底部45を向けて、すなわち、脆弱部44と対向する側を向けて収容される。なお、区画室41は水収容室26内で不必要に移動できない程度の外形であることが望ましい。
【0096】
反応水14は、水素発生剤15と接触させて水素生成反応を生起させるための水であり、本実施形態においては純水を用いている。また、区画室41内に収容された反応水14は非流出状態に保持されている。
【0097】
また、水収容室26には区画室41と共に貫通用部材48も収容される。貫通用部材48は図1(b)、図2に示すように、箱体42の開口と略同面積で厚め(略0.5mm)の矩形シート状の合成樹脂材で形成され、上下端部側及び中央部に貫通用突起49a,49b,49cを3箇所形成している。貫通用突起49a,49b,49cは2辺が切断され残りの1辺を折曲した先端先鋭の三角形状に形成し、貫通用突起49a,49b,49cを脆弱部44に対峙させた状態で水収容室26に収容している。
【0098】
また、貫通用部材48の材質は、耐衝撃性に優れたプラスチックシート材であるポリプロピレンを用いているが、ポリエチレン等の合成樹脂材を基材とするシート材等、材質は特に限定されるものではない。
【0099】
なお、貫通用部材48は、変形例として図7(a)、(b)に示すような貫通用部材48aであってもよい。具体的には、変形例に係る貫通用部材48aは、中央部に貫通用突起49a,49b,49cを形成した貫通用基部64と、その両端部に載置片65,65を立設してコ字状に形成している。載置片65には、貫通用突起49a,49b,49cの先端部が脆弱部44の直前で保持されるように、区画室41の外縁部をなす接合フランジ部42aが当接載置されるフランジ載置部66を形成している。
【0100】
フランジ載置部66は、各載置片65,65の内側面の中途部において各載置片65,65と直交する段差を形成することで接合フランジ部42aを載置可能な平面が形成される。また、このフランジ載置部66から貫通用基部64に至るまでを内側にテーパー状に形成している。
【0101】
このように貫通用部材48aを構成することで、所定の外力が貫通用部材48aに付与されるまでは、区画室41の水14を非流出状態に保持でき、貫通用突起49a,49b,49cが意図せず脆弱部44を破断して水14が流出状態となる不具合を防止できる。
【0102】
なお、貫通用部材48,48aや貫通用突起49a,49b,49cの形状、貫通用突起49a,49b,49cの数や位置等は本実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々の変形、変更が可能である。
【0103】
また、水素発生剤15は、透水性を有する不織布により長尺の袋状に形成され、内部に水素発生剤15を収容した水素発生体16として剤収容室28に収容される。水素発生体16は、流出状態となった反応水14と接触することで水素生成反応を行う部位となる。なお、本実施形態において水素発生剤15は、アルミニウムと水酸化カルシウムとを主成分として含有する混合粉末としている。
【0104】
[カバー体]
また、水素発生ユニットAには、図8(a)、(b)に示すようなカバー体53を装着することができる。カバー体53は、カバー体53を主収容体1に装着することで主収容体1を略被覆すると共に、カバー体53の外部から機械的なエネルギーとしての外力が付与されても非流出状態保持手段が非流出状態を保持することができるように外力遮断部54を備えている。
【0105】
具体的には、カバー体53は、区画室41の脆弱部44側、及びその対向側に意図しない外力が付与されないように区画室41を保護するために、主収容体1の所定箇所に外力遮断部54を設け、主収容体1を略被覆する。
【0106】
カバー体53は、有底の矩形箱状に形成した区画室保護部55と、区画室保護部55の底部56から外方に突出した主水素排出口保護部57と、で構成している。区画室保護部55は、外力遮断部54として、主収容体1の主ケース部1aの表側面を略被覆する第一外力遮断壁58と、主収容体1の主密閉フィルムシート1bの表側面を略被覆する第二外力遮断壁60と、を対向して備えている。
【0107】
第一外力遮断壁58と第二外力遮断壁60は、少なくとも区画室41に外力が付与されない程度の厚みと剛性で形成しており、特に該遮断壁58,60に孔等を穿設する必要はないが、本実施形態に係る第一外力遮断壁58では手指Pが入らない程度の傾倒したH字型の孔59を穿設し、第二外力遮断壁60では左右に台形状の孔61,61を穿設している。
【0108】
また、主水素排出口保護部57は主水素排出口4を被覆自在に形成している。なお、本実施形態に係る主水素排出口保護部57では、主水素排出口保護部57側の第二外力遮断壁60に開口62を設けているが、開口62の有無は問わない。
【0109】
[使用方法]
以上、説明したように本実施形態に係る水素発生ユニットAは構成されている。従って、水素ガス17の発生手順としては、まず、図3図4(a)に示すように、主水素排出口4を上方とした状態で主収容体1の主密閉フィルムシート1bを手指Pで押圧し、副収容体19の水収容室26を被覆している副密閉フィルムシート19bを介して貫通用部材48に外力が伝わることで、貫通用突起49が区画室41の脆弱部44を破断させ、破断孔50から反応水14を流出させる。
【0110】
具体的には、区画室41と貫通用部材48からなる非流出状態保持手段を収容した水収容室26は、主ケース部1aを密封する主密閉フィルムシート1bを外方から手指Pにより押圧することで、副ケース部19aを密封する副密閉フィルムシート19bが押され、貫通用突起49が脆弱部44に向かい破断させて破断孔50を現出させ、区画室41に内包された反応水14を破断孔50から流出状態とさせる。すなわち、手指Pによる外力をエネルギーとし、これをトリガーとして反応水14を非流出状態から流出状態へと変化させる。
【0111】
区画室41から流出した反応水14は、図4(b)、(c)に示すように重力により移動用通路27から剤収容室28へと流れ込み、水素発生体16の表皮を形成する不織布を介して内部の水素発生剤15と接触し、水素生成反応により水素を生起させる。発生した水素ガス17は、不織布を透過して剤収容室28から移動用通路27へと上昇し、更に、水収容室26から狭窄通路23,23を介して副水素排出口24から主収容室2へと流通する。
【0112】
また、主収容室2の水素ガス17は上昇し、主収容体1の上部に形成された狭窄通路3を介して主水素排出口4から外部へと放出される。
【0113】
よって、脆弱部44の破断により破断孔50から反応水14を流出させた後は、図5(a)、(b)に示すように調製容器70内に収容した所定液体としての飲用水L中に水素発生ユニットAを投入することで、飲用水L中に水素を含有させて水素含有液を調製することができる。
【0114】
調製容器70は、炭酸水等を市販する際に用いられるような耐圧性を有する500ml容量のペットボトル容器であり、中空状の容器本体70aと、同容器本体70aの上部開口に螺合して気密密閉するスクリューキャップ70bとで構成している。なお、本実施形態では容器としてペットボトル(ポリエチレンテレフタレート製容器)を用いているがこれに限定されるものではなく、ガラスやアルミ素材にて形成された容器を用いても良い。
【0115】
調製容器70内には飲用水Lをボトルネック部近傍(調製容器70の内容積の50分の48〜250分の249)まで収容して液相部とする一方、その上部を気溜まり部71として気相部を形成している。
【0116】
具体的には、水素発生ユニットAの主水素排出口4の開口3aを上方とした状態で、飲用水Lが充填された調製容器70の開口部から飲用水L中に浸漬させ、図5(b)に示すようにスクリューキャップ70bにより閉蓋すれば、主水素排出口4の開口3aを上方としたまま水素ガス17を放出する。
【0117】
なお、水素発生ユニットAの長さは、投入する調製容器70の胴部の内径よりも長く形成することで、水素発生ユニットAが調製容器70内で反転したり横になってしまうことを防止できる。しかも、水素発生ユニットAは、主収容室2や副収容室25の水収容室26や剤収容室28の空間、及び該空間に充密する水素ガス17により飲用水L中で浮揚するように構成している。
【0118】
放出された水素ガス17は、調製容器70の気溜まり部71を拡張しながら充満し、調製容器70の内圧の上昇と共に飲用水L中に溶存して水素含有液が調製される。
【0119】
なお、本実施形態に係る水素発生ユニットAは、脆弱部44の破断により反応水14を流出させた後は、10〜15分程度で水素の生成反応が終了するように構成しており、水素含有液の調製後すぐに飲用したい場合には、調製容器の略中央部を把持して手首を中心に左右に略180°、略30秒間すばやく振って攪拌することで略5.0ppmの水素含有液を生成することができる。
【0120】
また、水素の生成反応が終了した後、冷蔵庫で24時間程度静置させ、上述のように攪拌すれば略7.0ppmの水素含有液を生成することができるように構成している。
【0121】
飲用時には、スクリューキャップ70bを開蓋すれば調製容器70の開口部近傍に水素発生ユニットAの上端部が現出しているので、水素発生ユニットAを容易に抜去して飲用することができる。
【0122】
ここで、水素発生ユニットAの好適な容積(収容体1内部に飲用水Lが浸入しないことを前提とする)について説明する。一般的に飲用水Lが充填された調製容器70内には上述の通り気溜まり部71が存在する。この気溜まり部71は、水素の生成において水素の含有濃度を低下させる要因となるため、水素発生ユニットAを投入してスクリューキャップ70bで閉蓋した際にはできるだけ気溜まり部71が存在しないことが望ましい。
【0123】
従って、水素発生ユニットAの容積は、水素発生ユニットA投入前の初期的な気溜まり部71の容積と近似したものであるか、それ以上であることが望まれるため、本実施形態に係る水素発生ユニットAにおいてもそのような容積となるように形成し、図5(b)に示すように気溜まり部71がほとんど存在しないように構成している。
【0124】
なお、気溜まり部71を最小とする方法としては、生体に無害な材質からなる矩形ブロック状、あるいはビーズ状等のスペーサー部材を別途、調製容器70内に投入することによっても可能である。
【0125】
以上、説明したように本実施形態に係る水素発生ユニットAは構成されており、飲用水L中に投入することにより同飲用水L中に水素を含有させて水素含有液を生成する水素発生ユニットAにおいて、同水素発生ユニットAは、含水して水素を発生する水素発生剤15と、水14と、前記水14を前記水素発生剤15と反応しない非流出状態に保持する非流出状態保持手段と、を水素ガス17を外部に放出する孔を有した副放出手段38を備えた副収容体19に収容し、前記副収容体19は、水素ガス17を外部に放出する孔を有した主放出手段18を備えた主収容体1に収容して一体に構成すると共に、前記副収容体19を内包した前記主収容体1は、前記飲用水L中に遊動自在に投入され、前記非流出状態保持手段は、前記主収容体1外から所定量のエネルギーを付与することにより前記非流出状態の前記水14を前記水素発生剤15と反応可能な流出状態に変化させるものであり、前記エネルギーの付与をトリガーとして、前記流出状態となった前記水14を前記水素発生剤15と反応させ、前記副収容体19内にて生成した水素を前記副放出手段38と前記主放出手段18を介して放出することにより、前記飲用水Lの水素発生ユニットA内への浸潤によらず前記水素含有液を生成すべく構成したため、万一、副収容体19内から副放出手段38を介して反応後の水68が流出したとしても、流出した反応後の水68は主収容体1内に留まるため、反応後の水68が水素発生ユニットA外の飲用水L中に流出することを防止できる。
【0126】
また、水素発生ユニットAの収容体1,19が二重構造等となることで、外側に位置する主収容体1の表面温度は、水素の生成反応による発熱が内部の副収容体19を介して緩和されて伝わるので高温にならず取扱い易く、しかも、主収容体1の外表面で接する調製容器70中の飲用水Lの温度が低くても、副収容体19内に収容された水素発生剤15の温度低下を防止でき、水素の生成反応を阻害することがない。
【0127】
更に、万一、主放出手段18を介して調製容器70中の飲用水Lが内部に侵入したとしても、侵入した飲用水Lは副収容体19の内部には侵入できず水素発生剤15と接することはないので、必要以上の水分が水素発生剤15と触れて水素の生成反応を阻害することはない。
【0128】
しかも、二重構造の収容体1,19により、単独の収容体からなる水素発生ユニットに比して、意図せず主収容体1外から所定量の外力が付与されても、容易には非流出状態の水14が流出状態に変化しないので、使用者の意思に反した水素ガスの発生を可及的に防止できる。
【0129】
また、前記副収容体19は、前記水素発生剤15と前記水14と前記非流出状態保持手段とを収容する副収容室25を備え、前記主収容体1は、前記副収容体19を収容する主収容室2を備え、前記非流出状態保持手段は、前記水14を密閉収容して前記非流出状態とする可撓性の区画室41であり、同区画室41は、収容していた前記水14を吐出して前記流出状態とする脆弱部44を有し、前記エネルギーとして前記主収容体1を手指Pで挟持する押圧力が所定量付与されることにより前記脆弱部44を破断し、前記流出状態となった前記水14が前記水素発生剤15と反応して生成した水素を前記副放出手段38と前記主放出手段18を介して放出することにより、前記飲用水Lの水素発生ユニットA内への浸潤によらず前記水素含有液を生成すべく構成したことより、水素発生ユニットAの外形をなす主収容体1を手指Pで挟持しながら脆弱部44を破断する程度に押圧するだけで水14を流出状態にできるので極めて簡便に水素の生成反応を開始させることができ、しかも、収容体の内部に注水する作業が不要となる。
【0130】
また、前記主放出手段18は管状の狭窄通路3で形成された主水素排出口4を備え、前記副放出手段38は管状の狭窄通路23で形成された副水素排出口24を備えることにより、主・副収容体1,19に別途の部材を使用せずとも主・副収容体1,19の各々に一体の主・副水素排出口4,24を各々形成できるので、水素発生ユニットAを安価に製造でき、経費的に有利である。
【0131】
また、前記主・副収容体1,19は可撓性を有する合成樹脂材からなり、前記主収容体1は前記主水素排出口4と連通し、前記副収容体19は前記副水素排出口24と連通し、前記副収容室25には更に貫通用部材48を収容し、前記貫通用部材48は先端先鋭の貫通用突起49a,49b,49cを有し、前記副収容室25には、前記脆弱部44に前記貫通用突起49a,49b,49cを対峙して収容し、前記エネルギーとして前記主収容体1を手指Pで挟持する押圧力が所定量付与されることにより前記貫通用突起49a,49b,49cが前記脆弱部44を破断し、前記流出状態となった前記水14が前記水素発生剤15と反応して生成した水素を前記主・副水素排出口4,24を介して放出することにより、前記飲用水Lの水素発生ユニットA内への浸潤によらず前記水素含有液を生成すべく構成したことより、主収容体1を手指Pで挟持して付与する押圧力が弱くても、貫通用部材48の貫通用突起49a,49b,49cにより容易に脆弱部44を破断させることができるので、少なくとも高齢者など手先の力が弱い者でも容易に水14を流出状態にできるので極めて簡便に水素の生成反応を開始させることができる。
【0132】
また、前記主水素排出口4の開口方向を鉛直方向とし、前記副水素排出口24の開口方向を水平方向として互いが異なる開口方向となるように形成したことより、水14を流出状態として水素の生成反応が開始した後、万一、水素ガス17が反応後の水68と共に上方に噴出したとしても副水素排出口24の開口方向は水平方向であることから反応後の水68が副水素排出口24から流出し難く、更に、水素発生ユニットAを大きく傾けて副水素排出口24の開口方向が略鉛直方向となり、副収容体19内の反応後の水68が副水素排出口24から流出したとしても、その際の主水素排出口4の開口方向は水平方向であることから、そのまま一気に主収容体1の外部に反応後の水68が流出することを防止できる。
【0133】
また、前記主水素排出口4の前記狭窄通路3には、前記主水素排出口4の前記狭窄通路3と連通する前記主収容室2の上部側壁5を左右側部7a,7bと底部8からなる正面視凹状とし、凹状の前記底部8で前記主水素排出口4の前記狭窄通路3の下端部9が連通した逆流防止部6を備えることより、万一、水素発生ユニットAが大きく傾いて、その際に主収容体1内に反応後の水68が存在していた場合、反応後の水68が主水素排出口4側に向かって移動したしたとしても、凹状の底部8に反応後の水68が滞留することは無く、凹状の底部8の左右側部7a,7bのいずれかに反応後の水68が滞留することになるため、反応後の水68が主収容体1の外部の飲用水L中に流出することを防止できる。
【0134】
また、前記主収容体1の下部側10を先端先鋭に形成したことより、水素発生ユニットAの上下が明確となり、ペットボトル等の調製容器70中の飲用水Lに水素発生ユニットAを投入する向きを直感的に把握することができる。
【0135】
更に、水素発生ユニットAの前記主収容体1に装着自在なカバー体53であり、前記カバー体53は、前記カバー体53を前記主収容体1に装着することで前記主収容体1を略被覆すると共に、前記カバー体53の外部から機械的なエネルギーとしての外力が付与されても前記非流出状態保持手段が前記非流出状態を保持することができるように外力遮断部54を備えたことより、水素発生ユニットAへの意図しない外力の付与により、水14が流出状態となって水素の生成反応が開始されてしまうことを防止できる。
【0136】
最後に、上述した実施形態の説明は本発明の一例であり、本発明は上述の実施形態に限定されることはない。このため、上述した実施形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0137】
A 水素発生ユニット
L 液体(飲用水)
P 手指
1 主収容体
2 主収容室
3 狭窄通路
4 主水素排出口
5 上部側壁
6 逆流防止部
7a 左側部
7b 右側部
8 底部
9 下端部
10 下部側
14 水
15 水素発生剤
17 水素ガス
18 主放出手段
19 副収容体
23 狭窄通路
24 副水素排出口
25 副収容室
38 副放出手段
41 区画室
44 脆弱部
48 貫通用部材
48a 貫通用部材
49a 貫通用突起
49b 貫通用突起
49c 貫通用突起
53 カバー体
54 外力遮断部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8