(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記売却を希望する不動産物件の販売価格および面積の各データを、ネットワークに接続された他のサーバが提供する不動産物件紹介サイトから定期的に収集して差分を求め、不動産物件の売却が成立した情報を前記記憶手段に蓄積する不動産物件収集手段を備えた請求項4記載の不動産物件紹介装置。
前記検索結果物件の中から、販売価格、築年数または坪単価から選択された一つの条件に基づいて、前記選択物件の順位を判定する順位判定手段を備えた請求項4または5に記載の不動産物件紹介装置。
前記原販売価格演算手段が算出した成約事例の成約価格からの原販売価格を示すマークを、価格を示す直線状の第1座標軸にプロットすると共に、前記検索結果物件の販売価格を示すマークを、前記第1座標軸に価格のスケールを合わせた直線状の第2座標軸にプロットし、更に、前記評価物件価格演算手段が算出した評価時の査定価格を示すマークを、前記第1座標軸および前記第2座標軸の価格のスケールに基づいてプロットするプロット手段と、
前記第1座標軸および前記第2座標軸に価格のスケールを合わせた価格軸と、不動産物件の価格に対する売却確率を示す確率軸とによる直交座標に、前記成約事例の原販売価格に対応する第1売却確率曲線と、前記検索結果物件の販売価格に対応する第2売却確率曲線とを重畳させたグラフを生成するグラフ生成手段と、
前記第1座標軸、前記第2座標軸および前記グラフの価格軸に沿って移動して、前記第1売却確率曲線および前記第2売却確率曲線と直線状のカーソルとの交点が示す売却確率を表示するカーソル操作手段とを備えた請求項4から6のいずれかの項に記載の不動産物件紹介装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に記載の不動産価格査定システムでは、取引需要の有無に応じた補正率を掛けて、市場性現価率の値を補正するようにしているが、そもそも補正する前の不動産物件の価格が適正か否かが問題となる。確かに、不動産物件の価格は、市場性により決まるものであるが、売却時、または購入時の取引需要の高低だけで考慮すると、評価が高すぎたり、低すぎたりすることがある。
【0007】
例えば、物件を売却するときに、不動産物件の査定価格が高すぎ、その査定価格を売却額として物件を売りに出すと、買い手が付かず、値下げせざる負えない状況になってしまう。そうなると、一旦、高い売却額で売りに出しているため、適正な価格で再度提示しても、高値感を消費者が感じるため、買い手が付き難い状況に陥る。従って、適正な査定価格より更に値下げした価格にしないと、買い手が現れないことがあり、結果として、売却損が発生するおそれがある。
【0008】
そこで本発明は、適正な査定価格を得ることができることで、適正な判断を下すことが可能な不動産物件評価支援装置、不動産物件評価支援プログラム、不動産物件紹介装置および不動産物件紹介装置プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の不動産物件評価支援装置は、成約事例の成約価格を、成約時の価格動向を示す指標により除算して、原販売価格を算出する原販売価格演算手段と、前記原販売価格を成約事例の面積により除算して得られた前記成約事例のそれぞれの推定坪単価から推定坪単価の平均を算出して、前記成約事例の推定平均坪単価を算出する坪単価演算手段と、評価対象の不動産物件の面積に前記推定平均坪単価を乗算して評価時の査定価格を算出する評価物件価格演算手段とを備えたことを特徴とする。
【0010】
また、本発明の不動産物件評価支援プログラムは、コンピュータを、成約事例の成約価格を、成約時の価格動向を示す指標と面積とにより除算して得られた前記成約事例のそれぞれの推定坪単価から推定坪単価の平均を算出して、前記成約事例の推定平均坪単価を算出する坪単価演算手段、評価対象の不動産物件の面積に前記推定平均坪単価を乗算して評価時の査定価格を算出する評価物件価格演算手段として機能させることを特徴とする。
【0011】
本発明の不動産物件評価支援装置および不動産物件評価支援プログラムによれば、まず、原販売価格演算手段が以下の演算を行う。
(A1)成約事例の成約価格を、成約時の価格動向を示す指標で除算することで、価格動向を加味しない販売価格(原販売価格)が算出できる。
次に、坪単価演算手段が以下の演算を行う。
(A2)価格動向を加味しない販売価格を面積で除算することで坪単価である推定坪単価が算出できる。
(A3)成約事例の推定坪単価の平均を算出することで推定平均坪単価が算出できる。
次に、評価物件価格演算手段が以下の演算を行う。
(A4)評価対象の不動産物件の面積に推定平均坪単価を乗算することで、評価時の査定価格が算出できる。
【0012】
前記評価対象の不動産物件が建物であるときに、前記坪単価演算手段は、新築時の前記推定平均坪単価を、成約時の価格動向を示す指標と築年数ごとの減価償却に基づく係数と面積とにより成約事例の成約価格を除算して得られた前記成約事例のそれぞれの新築時の推定坪単価を平均して求め、前記評価物件価格演算手段は、前記評価時の査定価格を、前記評価対象の不動産物件の面積に、前記新築時の推定平均坪単価を乗算して得られた前記新築時の推定販売価格に、築年数に基づいた係数を乗算して求めることができる。
【0013】
このように、評価対象の不動産物件が建物であるときに、まず、坪単価演算手段が以下の演算を行う。
(B1)成約事例の成約価格を、成約時の価格動向を示す指標で除算することで、価格動向を加味しない販売価格が算出できる。
(B2)価格動向を加味しない販売価格を築年数ごとの減価償却に基づく係数で除算することで新築時の販売価格を算出できる。
(B3)新築時の販売価格を面積で除算することで新築時の坪単価である推定坪単価を算出できる。
(B4)成約事例の推定坪単価の平均を算出することで推定平均坪単価が算出できる。
次に、評価物件価格演算手段が以下の演算を行う。
(B5)評価対象の不動産物件の面積に推定平均坪単価を乗算することで、新築時の推定販売価格が算出できる。
(B6)新築時の推定販売価格に、築年数に基づいた係数を乗算することで、評価時の査定価格が算出できる。
【0014】
本発明の不動産物件紹介装置は、本発明の不動産物件評価支援装置と、前記成約事例と、売却を希望する不動産物件とが格納された記憶手段と、前記売却を希望する不動産物件の中から検索条件に合致した不動産物件を、検索結果物件として抽出する検索手段と、前記検索結果物件の中から選択された選択物件を評価対象の不動産物件として、前記不動産物件評価支援装置により得られた査定価格を、前記選択物件の販売価格と共に提示する提示手段とを備えたことを特徴とする。
【0015】
また、本発明の不動産物件紹介プログラムは、コンピュータを、前記請求項1に記載の不動産物件評価支援装置、前記成約事例と、売却を希望する不動産物件とが格納される記憶手段、前記売却を希望する不動産物件の中から検索条件に合致した不動産物件を、検索結果物件として抽出する検索手段、前記検索結果物件の中から選択された選択物件を評価対象の不動産物件として、前記不動産物件評価支援装置により得られた査定価格を、前記選択物件の販売価格と共に提示する提示手段として機能させることを特徴とする。
【0016】
本発明の不動産物件紹介装置によれば、検索手段により抽出された検索結果物件の中から選択された選択物件を評価対象の不動産物件として、不動産物件評価支援装置により得られた査定価格を、選択物件の販売価格と共に、提示手段が提示する。そのため、査定価格と販売価格との比較が容易である。
【0017】
前記売却を希望する不動産物件の販売価格、築年数および面積の各データを、ネットワークに接続された他のサーバが提供する不動産物件紹介サイトから定期的に収集して差分を求め、不動産物件の売却が成立した情報を前記記憶手段に蓄積する不動産物件収集手段を備えることができる。
【0018】
不動産物件収集手段が、他のサーバが提供する不動産物件紹介サイトから売却を希望する不動産物件に関する情報を収集して、記憶手段に蓄積するため、売りに出されている不動産物件の情報と、売却が成立した成約事例とを、広く収集することができる。
【0019】
前記検索結果物件の中から、販売価格、築年数または坪単価から選択された一つの条件に基づいて、前記選択物件の順位を判定する順位判定手段を備えることができる。選択物件の順位が表示されるため、操作者は、選択物件が近隣の不動産物件に対して販売価格や坪単価が高いとか、築年数が古いとかを、ひと目で把握することができる。
【0020】
前記原販売価格演算手段が算出した成約事例の成約価格からの原販売価格を示すマークを、価格を示す直線状の第1座標軸にプロットすると共に、前記検索結果物件の販売価格を示すマークを、前記第1座標軸に価格のスケールを合わせた直線状の第2座標軸にプロットし、更に、前記評価物件価格演算手段が算出した評価時の査定価格を示すマークを、前記第1座標軸および前記第2座標軸の価格のスケールに基づいてプロットするプロット手段と、前記第1座標軸および前記第2座標軸に価格のスケールを合わせた価格軸と、不動産物件の価格に対する売却確率を示す確率軸とによる直交座標に、前記成約事例の原販売価格に対応する第1売却確率曲線と、前記検索結果物件の販売価格に対応する第2売却確率曲線とを重畳させたグラフを生成するグラフ生成手段と、前記第1座標軸、前記第2座標軸および前記グラフの価格軸に沿って移動して、前記第1売却確率曲線および前記第2売却確率曲線と直線状のカーソルとの交点が示す売却確率を表示するカーソル操作手段とを備えていることが望ましい。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、価格動向を加味した査定価格を算出することができるため、適正な査定価格を得ることができることで、適正な判断を下すことが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の実施の形態に係る不動産物件評価支援装置を含む不動産物件紹介装置について、図面に基づいて説明する。
不動産物件紹介装置は、不動産物件を買いたい購入予定者、または不動産物件を売却したい売却予定者などの操作者が操作する端末装置に、不動産物件紹介サイトを提供して、購入可能な不動産物件の候補を案内するものである。
図1に示すように、不動産物件紹介装置10は、ネットワークの一例であるインターネットWを介して通信可能に端末装置Tと接続されている。また、不動産物件紹介装置10は、他の不動産物件紹介サイトを提供するサーバSVとも、インターネットWを介して通信可能に接続されている。
【0024】
不動産物件紹介装置10は、コンピュータに不動産物件紹介プログラムを動作させたものである。不動産物件紹介装置10は、通信手段20と、不動産物件情報収集装置30と、不動産物件紹介サイト提供装置40と、不動産物件評価支援装置50とを備えている。
通信手段20は、インターネットWに接続するサーバSVや、端末装置Tと通信する機能を有している。
【0025】
不動産物件情報収集装置30は、他の不動産物件紹介サイトを提供するサーバSVと通信して、他の不動産物件紹介サイトから不動産物件に関する情報を収集する機能を有している。
不動産物件情報収集装置30は、不動産物件収集手段31と、成約事例蓄積手段32と、記憶手段60とを備えている。
不動産物件収集手段31は、他の不動産物件紹介サイトに掲載された売却を希望する不動産物件に関する各データを取得し、それぞれを関連付け、物件情報として、記憶手段60に格納する機能を備えている。
成約事例蓄積手段32は、不動産物件が掲載開始されてから掲載されなくなるまでの期間を掲載期間として算出すると共に、掲載されなくなる前の販売価格を成約価格として、これらを物件情報に関連付け、成約事例情報として記憶手段60に格納する機能を備えている。
【0026】
不動産物件紹介サイト提供装置40は、ページ生成手段41と、検索手段42と、順位判定手段43と、所在地表示手段44と、並び替え手段45と、記憶手段60とを備えている。
ページ生成手段41は、記憶手段60に格納された各種ページのフォーマットに従って、他の手段からの数値や情報を埋め込み、各ページとして通信手段20を介して端末装置Tへ送信して、操作者に不動産物件を提示する提示手段として機能するものである。
検索手段42は、ページ生成手段41が提供した検索条件入力ページに、操作者が端末装置Tを操作して入力した検索条件に基づいて、物件情報および成約事例を検索して、検索条件に合致した不動産物件(検索結果物件)を抽出し、記憶手段60に格納する機能を備えている。
【0027】
順位判定手段43は、検索結果物件の中から選択された不動産物件(以下、選択物件と称す。)が、検索結果物件の中で、何番目であるかを判定する機能を備えている。
所在地表示手段44は、選択物件と、選択物件の所在地を中心とした所定の範囲の検索結果物件とを、地図上に示す機能を備えている。
並び替え手段45は、検索結果物件に基づいて、売却可能な不動産物件と成約事例とを、並び替え条件に基づいて並び替える機能を備えている。この並び替え条件は、坪単価、販売価格または築年数とすることができる。
【0028】
プロット手段46は、後述する原販売価格演算手段51が算出した成約事例の成約価格からの原販売価格を示すマークを、価格を示す直線状の第1座標軸にプロットすると共に、検索結果物件の販売価格を示すマークを、第1座標軸に価格のスケールを合わせた直線状の第2座標軸にプロットし、更に、後述する評価物件価格演算手段53が算出した評価時の査定価格を示すマークを、第1座標軸および第2座標軸の価格のスケールに基づいてプロットする機能を備えている。
【0029】
グラフ生成手段47は、第1座標軸および第2座標軸に価格位置を合わせた価格軸と、不動産物件の価格に対する売却確率を示す確率軸とによる直交座標に、成約事例の原販売価格に対応する第1売却確率曲線と、検索結果物件の販売価格に対応する第2売却確率曲線とを重畳させたグラフを生成する機能を備えている。
【0030】
カーソル操作手段48は、第1座標軸、第2座標軸およびグラフの価格軸に沿って移動して、第1売却確率曲線および第2売却確率曲線と直線状のカーソルとの交点が示す売却確率を表示する機能を備えている。
【0031】
不動産物件評価支援装置50は、マンションや戸建住宅などの不動産物件の評価を支援する。不動産物件評価支援装置50は、コンピュータに不動産物件評価支援プログラムを動作させたものである。不動産物件評価支援装置50は、原販売価格演算手段51と、坪単価演算手段52と、評価物件価格演算手段53とを備えている。
【0032】
原販売価格演算手段51は、成約事例の成約価格を、成約時の価格動向を示す指標により除算して、価格動向が加味されない販売価格である原販売価格を算出して記憶手段60に格納する機能を備えている。
坪単価演算手段52は、原販売価格を、築年数に基づいた築年数ごとの減価償却に基づく係数と不動産物件の面積とにより除算して、成約事例の新築時のそれぞれの坪単価を算出し、新築時の坪単価の平均を算出して、成約事例の新築時の平均坪単価を算出して、記憶手段60に格納する機能を備えている。
評価物件価格演算手段53は、評価対象の不動産物件の面積に、平均坪単価を乗算すると共に、新築時の価格動向を示す指標を除算して新築時の価格を算出し、新築時の価格に、築年数に基づいた係数および評価時の価格動向を示す指標を乗算して評価時の価格を算出して、記憶手段60に格納する機能を備えている。
【0033】
記憶手段60は、大容量の記憶が可能なハードディスクドライブやSSDが使用できる。記憶手段60には、物件情報と、成約事例情報と、補正用の各種のデータが格納されている。
【0034】
物件情報は、売却を希望する、不動産物件の種別、名称、所在地を示す住所、外観を示す写真や間取り図などの画像、築年数、販売価格、面積、間取り、商談の状態などが関連付けられたデータである。例えば、不動産物件の種別は、マンションか戸建住宅で、更に、新築、中古または不明等の情報も含まれる。名称は、マンションの名称である。面積は、マンションであれば専有面積、戸建住宅であれば延べ面積である。間取りは、居室数が数字、居間がL、台所がK、食堂がD、納戸がSなどとして組み合わされた記号である。商談の状態は、売却が成立したことを示す「成約済」、売却の一時中断を示す「売止め」、商談が進行中であることを示す「商談中」、売却が可能である「公開」などの各種の状態がある。
【0035】
成約事例情報は、売却が成立した不動産物件に関する物件情報と、成約時期、成約価格とが関連付けられたデータである。
補正用の各種のデータは、築年数ごとの減価償却に基づく係数や、価格動向を示す指標などである
築年数ごとの減価償却に基づく係数(掛け率)は、
図3に示すような築年数ごとの定数とすることができる。例えば、築年数が12年の戸建は、「0.540」であり、マンションは、「0.595」である。
また、価格動向を示す指標は、
図4に示すような、百分率で表された定数とすることができる。例えば、2014年4月に建設されたマンションであれば、124.8%である。価格動向を示す指標は、国土交通省が毎月公表する年間約30万件の不動産の取引価格情報をもとに、全国・ブロック別・都市圏別・都道府県別に不動産価格の動向を指数化した「不動産価格指数」が使用できる。
【0036】
また、記憶手段60には、サーバSVが提供する他の不動産物件紹介サイトのアドレス、例えば、URLが、サイト情報として、登録されている。
更に、記憶手段60には、不動産物件紹介サイトにアクセスする操作者のログイン名およびパスワードなどの情報が登録されている。
【0037】
端末装置Tは、ブラウザが動作するデスクトップ型やノートブック型、タブレット型のコンピュータ、またはブラウザが動作するスマートフォンなどとすることができる。
【0038】
以上のように構成された本発明の実施の形態に係る不動産物件紹介装置10の動作および使用状態について、図面に基づいて説明する。
まず、
図1および
図2に示す不動産物件紹介装置10は、記憶手段60に不動産物件を示す物件情報が登録されているものとする。しかし、物件情報は多い方が、購入予定者や売却予定者にとっては比較したり参考したりすることができ、選択肢が多くなるため利便性が高くなる。
【0039】
そこで、不動産物件情報収集装置30では、不動産物件収集手段31が、記憶手段60に登録されたサイト情報に基づいてサーバSVにアクセスして、他の不動産物件紹介サイトに掲載された不動産物件に関する情報を収集して、記憶手段60に、物件情報として格納する。不動産物件収集手段31は、この物件情報の収集を定期的に、例えば、毎日や、1週間ごと、または1ヶ月ごとに行うことができる。
【0040】
他の不動産物件紹介サイトでは、不動産物件の売却が成立したため、不動産物件の掲載が無くなることがある。このような場合に、成約事例蓄積手段32は、掲載が無くなった不動産物件の掲載期間を算出する。そして、成約事例蓄積手段32は、掲載されなくなる前の販売価格を成約価格として記憶手段60に格納する。
【0041】
このようにして、不動産物件収集手段31は、売りに出されている不動産物件に関する情報を定期的に収集して差分を求めることで、売りに出されている不動産物件の情報(物件情報)と、売却が成立した不動産物件の情報(成約事例)とを、広く、インターネットW上から収集することができる。従って、売りに出されている、または売却が成立した不動産物件の情報を蓄積することで、購入や売却を希望する操作者に、有利な情報が提供できる。
【0042】
このようにして物件情報が蓄積された不動産物件紹介装置10に、端末装置Tを操作する操作者は、希望の条件を入力して、不動産物件を閲覧する。
例えば、操作者は、端末装置Tを操作して、まず、不動産物件紹介装置10のページ生成手段41が提供する不動産物件紹介サイトのログイン画面からログインする。そして、操作者は、不動産物件紹介サイトの検索条件を入力する検索ページを、端末装置Tに表示させる。例えば、
図5に示すような検索ページP1が、不動産物件紹介装置10から送信され、表示される。操作者は、この検索ページP1に検索条件を入力する。
検索ページP1では、商談の状態(ステータス)や、住所、物件価格(販売価格)、成約価格、間取り、延べ面積または専有面積、その他の細かな条件などで、絞り込むことが可能である。
【0043】
そして、検索結果をリストで表示したい場合には、「リストで表示」ボタンB11を押下する。また、地図上に検索結果をプロットしたい場合には、「地図で表示」ボタンB12を押下する。
【0044】
不動産物件紹介装置10、検索手段42により、検索ページP1により入力された検索条件に基づいて、記憶手段60に格納された不動産物件情報を検索して検索結果物件として記憶手段60に格納する。そして、検索結果物件に基づいて、ページ生成手段41が、
図6に示す検索結果ページP2を生成して、通信手段20を介して端末装置Tへ送信する。
【0045】
検索結果ページP2では、上部に更に絞り込むための条件変更領域A21が配置され、左側に地図表示領域A22が配置され、右側に一覧表示領域A23が配置されている。
条件変更領域A21には、所在地で再検索するための検索窓W21、マンションや戸建の新築、中古などの条件を変更する種別変更欄R21、販売価格の幅を変更する価格変更欄R22、土地を検索したときの面積を変更する土地面積変更欄R23、のべ面積を変更するときののべ面積変更欄R24、専有面積を変更するときの専有面積変更欄R25、商談の状態を変更するときの商談状態変更欄R26および再検索するための検索ボタンB21が配置されている。
【0046】
地図表示領域A22では、所在地表示手段44により、検索条件ページP1により入力した住所に基づいて表示された地図上に、不動産物件の所在地を示すマークがプロットされている。戸建住宅は青色、マンションは赤色、土地は黄色で表示されている。また、「成約済」は「成」でプロットされ、「公開」はピンでプロットされている。
一覧表示領域A23では、不動産物件ごとに、外観を示す写真または間取り図の画像が表示されている。また、この不動産物件に関する物件情報が表示されている。
【0047】
操作者は、詳細を閲覧したい不動産物件を、この検索結果ページP2から選択することができる。例えば、操作者は、地図表示領域A22にプロットされたマークにより選択したり、一覧表示領域A23から選択したりすることができる。
地図表示領域A22のマークにより選択した場合には、
図7に示すように、選択されたマークの位置から、吹き出しB22が表示されると共に、選択された不動産物件(以下、選択物件と称す。)が一覧表示領域A23の先頭に表示される。
【0048】
図7での吹き出しB22では、所在地、商談の状態を示す「公開」、種別を示す「マンション」、種別がマンションであるため面積を示す「専有面積」、販売価格または成約価格が表示されている。例えば、選択物件が戸建住所である場合には面積の表示が、土地面積とのべ面積となる。
一覧表示領域A23の外観写真や見取り図を選択した場合には、選択物件が表示された地図表示領域A22の該当のマークから吹き出しB22が表示される。この吹き出しB22は、地図表示領域A22のマークにより選択したときと同じ内容である。
【0049】
選択物件の詳細を閲覧したい場合には、操作者は、吹き出しB22の「詳細」ボタンB23または、一覧表示領域A23の各不動産物件の「詳細」ボタンB24を、端末装置Tを操作して押下する。
【0050】
「詳細」ボタンB23,B24が押下されることで、選択物件の詳細が、物件詳細ページにより表示される。物件詳細ページは、全体のページ構成を、ページ生成手段41が生成して、通信手段20を介して端末装置Tへ送信する。
【0051】
図8および
図9に示す物件詳細ページP3では、最上部に、見出し欄R31が配置されている。見出し欄R31には、選択物件(対象物件)の外観写真または間取り、物件名、所在地、売却価格(販売価格)、種別(マンションや戸建、土地等)および築年数、専有面積(面積)、坪単価、公開されてからの期間、選択物件の順位R311が表示されている。
物件詳細ページP3に、選択物件の順位R311が表示されるため、操作者は、選択物件が近隣の不動産物件に対して販売価格や坪単価が高いとか、築年数が古いとかを、ひと目で把握することができる。
【0052】
また、見出し欄R31には、後述する順位の並びを規定する並び替えメニューM31がプルダウン形式で配置されている。メニューM31は、並び替え条件として、「坪単価」、「物件価格」(販売価格)、「築年数」の各項目から選択できる。
【0053】
見出し欄R31の下方には概略情報欄R32が表示されている。概略情報欄R32は、左側に、外観写真と間取り図とが切り替わる画像表示部S31と、選択物件の所在地を示す、拡縮可能な地図が表示された地図表示部S32とを備えている。
【0054】
また、概略情報欄R32には、選択物件の総階数および所在階、居住中または空室、完成年月、築年数、坪単価などの概略情報が表示されている。この概略情報は、「OPEN」と表示された位置をクリックすることで、
図10に示すように、選択物件の「物件概要」、「物件詳細」、「履歴」、「建物情報」および「業者情報」が開き、更にそれぞれをクリックすることさ、その項目が開くようになっている。
【0055】
概略情報欄R32の下方には、選択物件の周囲に所在する他の不動産物件が、所在地表示手段44により表示される周辺物件表示部S33が配置されている。また、概略情報欄R32の下方には、選択物件の順位の一覧を表示した順位一覧表示部S34が配置されている。
順位一覧表示部S34は、並び替え手段45が、検索条件によって検索された不動産物件(検索結果物件)の中で、選択物件を中心とした所定範囲に所在する不動産物件を、メニューM31により選択された項目により並べたものである。順位一覧表示部S34は、坪単価および販売価格であれば、安い順に並べられる。また、築年数であれば新しい順に並べられる。
【0056】
なお、本実施の形態では、5件が検索条件によって検索された不動産物件(検索結果物件)であり、選択物件は、坪単価で並べると第4位である。順位一覧表示部S34は最大10件分が表示される。
【0057】
周辺物件表示部S33の下方には、順位一覧表示部S34に一覧として表示された不動産物件を、販売価格を基準に、直線上にプロットした販売価格帯表示部S35が配置されている。
順位一覧表示部S34の下方には、成約事例の順位の一覧を表示した成約事例一覧表示S36(
図9参照)が表示されている。成約事例一覧表示S36は、選択物件を中心とした所定範囲に所在する成約事例を坪単価が低い順に並べたものである。本実施の形態では、順位一覧表示部S34は最大10件分が表示されるが、検索された成約事例は24件であった。
成約事例一覧表示S36の左方には、成約事例一覧表示S36に一覧として表示された成約事例を、所在地表示手段44により地図上にプロットした周辺成約事例表示部S37が配置されている。また、坪単価を基準に、直線上にプロットした成約価格帯表示部S38が配置されている。
【0058】
成約事例一覧表示S36および成約価格帯表示部S38の下方には、相場価格(査定価格)を示す評価表示部S39が配置されている。
評価表示部S39には、「売却査定額」として査定価格が表示されている。また、「売却査定額」の右方には「対象一覧」ボタンB31が表示されている。「対象一覧」ボタンB31は押下されることで、査定価格の算出に使用された成約事例の一覧が閲覧できる。
【0059】
評価表示部S39の下方であり、物件詳細ページP3の最下部には、売却確率表示部S40が表示されている。売却確率表示部S40には、円形のマークM1が第1座標軸L1(過去市場)に表示されている。また、売却確率表示部S40には、円形のマークM2が第2座標軸L2(現在市場)に表示されている。また、売却確率表示部S40には、三角形のマークM3が第2座標軸L2の下方に表示されている。更に、売却確率表示部S40にはグラフGが表示されている。
【0060】
ここで、評価表示部S39に表示される査定価格の算出について、詳細に説明する。
まず、不動産物件評価支援装置50の原販売価格演算手段51は、成約事例一覧表示S36に表示された成約事例の成約時期に基づいて、
図4に示す価格動向を示す指標を記憶手段60から読み出す。次に、原販売価格演算手段51は、成約事例の成約価格を、価格動向の指標で除算して、価格動向を加味しない販売価格(以下、原販売価格と称す。)を算出する。これにより、成約時の取引需要が高かったり、または低かったりしても、一定の価格に揃えることができる。次に、坪単価演算手段52は、原販売価格を築年数に基づいた係数により除算して、推定される新築時の販売価格(以下、推定販売価格と称す。)を算出する。更に、新築時の推定販売価格から面積(専有面積)を除算して、推定される新築時の坪単価(以下、推定坪単価)を算出する。
そして、それぞれの成約事例の推定坪単価が算出できれば、坪単価演算手段52は、これらの推定坪単価の平均を算出して推定平均坪単価を得る。
【0061】
次に、評価物件価格演算手段53は、評価対象の不動産物件となる選択物件の面積(専有面積)に、推定平均坪単価を乗算する。これにより、販売時の価格動向を加味しない販売価格(原販売価格)が算出できる。次に、評価物件価格演算手段53は、新築時の価格動向の指標を除算することで、新築時の価格動向を加味した推定販売価格を算出する。最後に、評価物件価格演算手段53は、推定販売価格に、築年数に基づいた係数を乗算して、減価償却に基づいて価値が下がった評価時の査定価格を算出する。
【0062】
このように、成約事例の新築時の坪単価を、成約事例の成約価格を、価格動向を加味しない販売価格に基づいて算出するため、正確な坪単価を算出することができる。また、評価対象の不動産物件の査定価格を、この坪単価から算出した新築時の推定販売価格から算出することで、正確な不動産物件の評価を得ることができる。
【0063】
不動産物件評価支援装置50により算出された不動産物件の査定価格は、評価表示部S39に表示される。この選択物件は、販売価格が1680万円であったが、査定された結果、評価表示部S39には1122万円と表示されている。従って、操作者は、この査定価格により、この選択物件の販売価格は高すぎることを理解することができる。よって、不動産物件評価支援装置50は、適正な査定価格を得ることができることで、適正な判断を下すことが可能である。
【0064】
また、不動産物件紹介装置10では、不動産物件評価支援装置50により得られた査定価格を、選択物件の販売価格と共に、操作者に提示するため、査定価格と販売価格との比較が容易である。
【0065】
次に、評価表示部S39の下方に表示された売却確率表示部S40について説明する。
プロット手段46により、原販売価格演算手段51が算出した成約事例の成約価格から、価格動向を加味しない販売価格である原販売価格を示すマークM1が、第1座標軸L1(過去市場)にプロットされる。また、プロット手段46により、検索結果物件の販売価格を示すマークM2が、第1座標軸L1に価格のスケールを合わせた直線状の第2座標軸L2(現在市場)にプロットされる。
プロット手段46により、更に、評価物件価格演算手段53が算出した評価時の査定価格を示すマークM3が、第1座標軸L1および第2座標軸L2の価格のスケールに基づいてプロットされている。
【0066】
グラフGは、第1座標軸L1および第2座標軸L2に価格位置を合わせた価格軸Xと、不動産物件の価格に対する売却確率を示す確率軸Yとによる直交座標である。このグラフGは、成約事例の原販売価格に対応する第1売却確率曲線C1と、検索結果物件の販売価格に対応する第2売却確率曲線C2とが重畳されている。
【0067】
この第1売却確率曲線C1と第2売却確率曲線C2とは、統計的に決定される曲線である。つまり、第1売却確率曲線C1と第2売却確率曲線C2とは、最安値と最高値の間に配置されたへ字状の曲線であり、最高値が売却確率20%に設定され、最も売却確率の高い価格が80%に設定された曲線である。
【0068】
そして、操作者が、図示しない入力手段の一例であるキーボードやマウスを操作して、カーソル操作することで、カーソル操作手段48が、直線状のカーソルCを、第1座標軸L1、第2座標軸L2およびグラフGの価格軸Xに沿って移動させる。このとき、カーソル操作手段48が、第1売却確率曲線C1および第2売却確率曲線C2とカーソルCとの交点が示す売却確率を表示する。
【0069】
例えば、評価時の査定価格1122万円では、過去市場であれば35%の確率で売却可能であったが、現在(評価時)の市場では、販売価格が高値にシフトしているため69%の確率で売却できるかも知れないことが、このグラフGから判る。また、カーソルCを左に移動させれば、徐々に確率が高くなるため、もう少し値下げすれば、売却できる可能性が高まることがわかる。
従って、操作者は、市場における査定価格の位置を容易に把握することができる。
【0070】
なお、本実施の形態では、不動産物件がマンションであるときを例に説明したが、土地や一戸建てでもよい。
例えば、不動産物件が土地である場合には、マンションであれば、推定坪単価の算出の際に、成約事例の成約価格を築年数ごとの減価償却に基づく係数により除算していたが、これを省略することで、土地の推定坪単価が算出できる。
また、不動産物件が戸建である場合には、建物部分についてはマンションと同じ演算により算出でき、土地部分との合算により戸建の評価時の査定価格を算出することができる。
【0071】
購入予定者が操作者となって不動産物件紹介サイトを閲覧する場合を説明したが、売却予定者が、不動産物件を売却するときに適正な販売価格を設定するために、不動産物件評価支援装置50を使用するようにしてもよい。
また、本実施の形態では、不動産物件としてマンションを例に説明したが、土地付きの戸建住宅でも、本発明を適用することができる。戸建住宅の査定価格を算出するときには、建物部分をマンションと同様にして査定価格を算出し、土地部分の価格と合算する。そうすることで、戸建住宅をマンションと同様に評価することができる。