(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
施策ごとに、所定のストレス項目の各々に対する当該施策の効果の度合いを示すテーマ適合度と、特に定めた組織の特性である組織特性のとり得る内容の各々に対する当該施策との相性の良し悪しを前記テーマ適合度に与える影響度として定量化して示す組織適合度とを記憶する施策情報記憶手段と、
前記施策情報記憶手段に記憶されている情報に基づいて、組織に対して施策の提案を行う施策提案手段と、
実際に活動を行った組織の活動内容を示す情報である活動報告を、活動ログとして2以上記憶する活動ログ記憶手段と、
前記活動ログ記憶手段に記憶されている活動ログに基づき、ある施策について、前記施策情報記憶手段に記憶されている情報によって示される組織特性と効果との関係またはテーマと効果との関係に矛盾が生じているか否かを判定する活動ログ分析手段と、
前記矛盾が生じていると判定された場合に、所定のユーザに通知を行うユーザ連携手段とを備え、
前記活動ログ分析手段は、同一の組織特性を有する組織間で、同一の施策について活動した結果、一方の組織に所定以上のプラスの効果があり、他方の組織に所定以上のマイナスの効果があった場合に、当該施策について、組織特性と効果との関係に前記矛盾があると判定する
ことを特徴とする組織改善活動支援システム。
ユーザ連携手段は、矛盾が生じていると判定したときに用いられた組織特性の中に同じ区分に属しているが全体としてばらつき度合いが異なる項目があった場合、その旨を併せて通知する
請求項1または請求項2に記載の組織改善活動支援システム。
実際に活動を行った組織の活動内容を示す情報である活動報告を、活動ログとして2以上記憶する活動ログ記憶手段に記憶されている活動ログに基づき、ある施策について、所定の施策情報記憶手段であって、施策ごとに、所定のストレス項目の各々に対する当該施策の効果の度合いを示すテーマ適合度と、特に定めた組織の特性である組織特性のとり得る内容の各々に対する当該施策との相性の良し悪しを前記テーマ適合度に与える影響度として定量化して示す組織適合度とを記憶する施策情報記憶手段に記憶されている情報によって示される組織特性と効果との関係またはテーマと効果との関係に矛盾が生じているか否かを判定する活動ログ分析手段と、
前記矛盾が生じていると判定された場合に、所定のユーザに通知を行うユーザ連携手段と、を備え、
前記活動ログ分析手段は、同一の組織特性を有する組織間で、同一の施策について活動した結果、一方の組織に所定以上のプラスの効果があり、他方の組織に所定以上のマイナスの効果があった場合に、当該施策について、組織特性と効果との関係に前記矛盾があると判定する
ことを特徴とする情報処理装置。
情報処理装置が、実際に活動を行った組織の活動内容を示す情報である活動報告を、活動ログとして2以上記憶する活動ログ記憶手段に記憶されている活動ログに基づき、ある施策について、所定の施策情報記憶手段であって、施策ごとに、所定のストレス項目の各々に対する当該施策の効果の度合いを示すテーマ適合度と、特に定めた組織の特性である組織特性のとり得る内容の各々に対する当該施策との相性の良し悪しを前記テーマ適合度に与える影響度として定量化して示す組織適合度とを記憶する施策情報記憶手段に記憶されている情報によって示される組織特性と効果との関係またはテーマと効果との関係に矛盾が生じているか否かを判定し、
前記情報処理装置が、前記矛盾が生じていると判定された場合に、所定のユーザに通知を行い、
前記情報処理装置が、
前記矛盾が生じているか否かを判定する際に、同一の組織特性を有する組織間で、同一の施策について活動した結果、一方の組織に所定以上のプラスの効果があり、他方の組織に所定以上のマイナスの効果があった場合に、当該施策について、組織特性と効果との関係に前記矛盾があると判定する
ことを特徴とする組織改善活動支援方法。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。まず、本発明の前提となる施策を提案する機能部について説明する。
図1は、第1の実施形態の組織改善活動支援システム1000に含まれる施策提案手段100の構成例を示すブロック図である。
図1に示す組織改善活動支援システム1000は、施策提案手段100と、チェック結果DB(database)101と、施策DB105と、を備える。
【0017】
また、施策提案手段100は、結果分析手段102と、改善テーマ決定手段103と、組織特性入力手段104と、適合度計算手段106と、施策提示手段107とを含む。
【0018】
チェック結果DB101は、BJSQ等による、対象組織のストレス診断結果を少なくとも記憶する。なお、組織のストレス診断方法はBJSQに限定されない。
【0019】
施策DB105は、提案する施策の情報を記憶する。本実施形態では、施策DB105は、各施策の情報として、診断項目のうちストレス反応に影響を与える所定の各項目であるストレス項目の各々に対して、特に定めた組織の特性である組織特性の内容に応じた改善効果を示す情報を記憶する。
【0020】
例えば、施策DB105は、上記の改善効果を示す情報として、各施策につき、該施策が各ストレス項目に対してどれだけ適合しているか(効果があるか)を定量的に示すテーマ適合度に加えて、各施策につき、組織特性のとりうる値の各々に対して、該施策のテーマ適合度にどれだけ影響を与えるかを係数で表した組織適合度を記憶してもよい。このような場合には、施策とストレス項目の組み合わせによって求まるテーマ適合度に、施策と組織特性の組み合わせによって求まる組織適合度である係数を掛けた値が、当該施策の該ストレス項目に対する組織特性に応じた適合度となる。
【0021】
施策DB105に記憶させる情報は、例えば、専門家の監修の元でシステム管理者が入力してもよい。
【0022】
結果分析手段102は、チェック結果DB101に記憶されている情報に基づいて、対象組織のストレス診断結果を分析する。結果分析手段102は、例えば、各ストレス項目について、平均値からの乖離度を算出してもよい。
【0023】
改善テーマ決定手段103は、結果分析手段102による分析結果を基に、改善対象とするストレス項目の候補をリストアップし、ユーザに、これら候補の中から対象組織が改善したいストレス項目を選択させるなどして、改善テーマを決定する。
【0024】
組織特性入力手段104は、対象組織の組織特性を入力する。組織特性入力手段104は、例えば、対象組織の特徴を表すもののうち、組織改善を行う上で影響の大きい特性を組織特性として、それら項目の各々について、対象組織の現状等を入力してもよい。
【0025】
適合度計算手段106は、決定された改善テーマ(改善対象とするストレス項目)と、対象組織の組織特性の内容とに基づき、各施策の適合度を計算する。
【0026】
施策提示手段107は、適合度計算手段106による適合度の計算結果に基づいて、対象組織に推奨する施策をリストアップして提示する。施策提示手段107は、例えば、対象組織において改善テーマに対する適合度を最大化する施策を順にリストアップして、推奨する施策として提示してもよい。
【0027】
チェック結果DB101および施策DB105は、例えば、データベースシステム等の記憶装置により実現される。また、結果分析手段102、改善テーマ決定手段103、組織特性入力手段104、適合度計算手段106および施策提示手段107は、例えば、コンピュータ、より具体的には、該コンピュータが備えるプログラムに従って動作するCPUによって実現される。なお、
図1には、結果分析手段102、改善テーマ決定手段103、組織特性入力手段104、適合度計算手段106および施策提示手段107が、1つの処理部として実装される例を示しているが、これらは別々の装置に実装されていてもよい。
【0028】
次に、本実施形態の施策提案手段100の動作を説明する。
図2は、施策提案手段100の動作の一例を示すフローチャートである。
図2に示す例では、まず結果分析手段102が、対象組織のストレス診断結果を分析する(ステップS101)。ここで、結果分析手段102は、例えば、チェック結果DB101に記憶されている全国の各組織のストレス診断結果の情報に基づいて、対象組織のストレス診断結果に含まれる各ストレス項目の全国での偏差値を求め、求めた偏差値と全国平均との差を、平均値乖離度として求めてもよい。また、結果分析手段102は、例えば、チェック結果DB101に記憶されている当該組織が属する会社の各組織のストレス診断結果の情報に基づいて、対象組織のストレス診断結果に含まれる各ストレス項目の会社内での偏差値を求め、求めた偏差値と会社内平均との差を、平均値乖離度として求めてもよい。また、結果分析手段102は、例えば、チェック結果DB101に記憶されている当該組織のストレス診断結果の情報に基づいて、各ストレス項目の評価値の全ストレス項目間の平均値からの差(偏差)を、相対評価値として求めてもよい。例えば、チェック結果DB101が対象組織以外にも種々の組織におけるストレス診断結果を記憶し、結果分析手段102は、それを統計処理することによって、各ストレス項目の偏差値や平均値を得ればよい。
【0029】
次に、改善テーマ決定手段103は、結果分析手段102による分析結果に基づき、改善テーマとするストレス項目の候補をリストアップして提示し、ユーザに、その中から1つまたは複数を選択させる(ステップS102,ステップS103)。改善テーマ決定手段103は、例えば、各種平均値から相対的に乖離の大きいストレス項目をリストアップする。
【0030】
改善テーマ決定手段103は、ユーザ操作に応じて選択結果を示す情報を受け付けて、改善テーマを決定する(ステップS104)。改善テーマ決定手段103は、例えば、改善テーマに決定されたストレス項目にその旨を示す情報を付与するなどを行ってもよい。なお、決定された改善テーマの情報登録の方法は、これに限らず、後の適合度計算処理(ステップS106)においてどのストレス項目が改善テーマであるかがわかるような方法であればよい。
【0031】
次に、組織特性入力手段104は、ユーザに、対象組織の組織特性を示す情報を入力させ、入力された情報を受け付ける(ステップS105)。組織特性入力手段104は、例えば、組織特性入力用の画面を予め用意しておき、ユーザに、対象組織の現在の組織特性の内容として合致するものを選択させてもよい。
【0032】
次に、適合度計算手段106は、決定された改善テーマ(改善対象とするストレス項目)と、組織特性入力手段104が受け付けた対象組織の組織特性の情報とに基づき、各施策の適合度を計算する(ステップS106)。
【0033】
最後に、施策提示手段107は、適合度計算手段106による適合度の計算結果に基づいて、対象組織に推奨する施策を提示する(ステップS107)。施策提示手段107は、例えば、改善テーマとされたストレス項目を対象に、適合度を最大化する施策を順に、推奨する施策として提示してもよい。
【0034】
次に、具体例を用いて施策提案手段100の動作を説明する。
図3は、結果分析手段102によるストレス診断結果の分析結果の一例を示す説明図である。
図3には、BJSQによる対象組織のストレス診断結果の一例として、ストレス反応、ストレス要因および修飾要因に分類される各ストレス項目(合計19項目)について、その結果(例えば、強弱の度合等)を数値化した例が示されている。なお、分析対象すなわち改善テーマの候補となりうるストレス項目には、上述するように、ストレス反応だけでなく、ストレス反応に影響を与えるストレス要因および修飾要因が含まれることが好ましい。これは、ストレス反応だけに着目して改善を試みても効果が上がらない場合が多いのに対して、ストレス反応に影響を与える要因に着目して改善を試みると効果が上がりやすいためである。
【0035】
結果分析手段102は、例えば、BJSQによるストレス診断項目のうちストレス反応、ストレス要因および修飾要因に分類される各ストレス項目(合計19項目)について、対象組織の診断結果の全国偏差値と全国平均とを比較して、その差を、対象組織の診断結果が全国平均からどれくらい乖離しているかを示す平均値乖離度として求めてもよい。
【0036】
また、
図4は、結果分析手段102による改善対象とするストレス項目の候補リストの例を示す説明図である。
図4には、改善対象とするストレス項目の候補リストとして、優先度とともに、項目名、比較結果として全国偏差値の全国平均との比較結果である全国平均値乖離度および自グループ内での相対評価値が示されている。なお、自グループ内での相対評価値は、例えば、当該項目の良し悪しの度合いである評価ポイントの、全項目による平均値からの差分であってもよい。
【0037】
改善テーマ決定手段103は、例えば、
図4に示すように、各種比較結果に基づいて、対象組織を含む複数のグループ間(例えば、全国や全社など)の平均からの乖離が大きい項目や、対象組織内において相対的に評価が低い項目を、その度合いに基づいて優先順位づけて、候補リストとしてユーザに提示してもよい。
【0038】
また、改善テーマ決定手段103は、候補リストを提示する際に、項目ごとに選択ボックスを付加して表示して、ユーザに、対象組織が改善したいストレス項目すなわち改善テーマを選択させてもよい。なお、選択可能な項目は一つに限らず複数であってもよい。
【0039】
また、
図5は、組織特性入力用のGUI(graphical user interfase)の例を示す説明図である。
図5には、予め定められている組織特性の各項目に対して、スライドバーや、選択リストなどを利用した組織特性入力用画面の例が示されている。組織特性入力手段104は、例えば、
図5に示すような組織特性入力用画面を用いて、予め定められている組織特性の各項目について、対象組織が現時点において該当する内容を選択させてもよい。このとき、ユーザは、提示された組織特性のうち主要と思われる項目に対してのみ、内容を入力してもよい。
【0040】
なお、
図5には、要員凝集度(例えば、高い/普通/低い等)、役割(例えば、設計/開発/保守/営業/接客等)、コミュニケーション度(例えば、高い/普通/低い等)といった3種類の組織特性の例が示されているが、組織特性はこれらに限定されない。例えば、上記以外にも、
・平均年齢
・平均残業時間
・PM理論(PM型、Pm型、pM型、pm型等)
・男女比(例えば、男性のみ/男性多数/均衡/女性多数/女性のみ等)
・最多年齢層(例えば、20代/30代/40代/50代等)
・構成員の経歴傾向(例えば、異動少数/バランス型/異動多数等)
・問題の所在(例えば、職場構想の立案/仕事の管理/人の管理等)
・CMMI(能力成熟度モデル統合)(例えば、1〜5等)
・最多職級数、雰囲気(例えば、外向的/内向的等)
・業務特性(例えば、専門的/一般的等)
・業種特性(例えば、製造系/非製造系等)
・クライアントとの関係(例えば、優位/対等/劣位等)
・休暇取得傾向(例えば、積極的/消極的等)
・報酬への満足度(例えば、良い/ふつう/悪い等)
・評価への満足度(例えば、良い/ふつう/悪い等)
・ロスコン案件以外のプロジェクトのトラブル有無
・管理職の変更有無
・組織体制の変更有無
・勤務場所(例えば、社内多数/社外(客先・出向等)多数等)
・休職者有無
・勤労制限者有無
・部門損失の状況(例えば、良い/ふつう/悪い等)
・帰属意識の度合い(例えば、高い/普通/低い等)
等も考えられる。
【0041】
また、
図6は、施策DB105に記憶される情報の例を示す説明図である。
図6に示すように、施策DB105には、施策ごとに、各ストレス項目に対するテーマ適合度(
図6(A)参照)と、各組織特性のとり得る内容の各々に対する組織適合度(
図6(B)参照)とを記憶してもよい。
【0042】
図6(A)に示す例では、例えば、施策Aは、ストレス反応に分類される「活気」や「不安」といったストレス項目に対しては+5の効果が得られ、ストレス要因に分類される「量的負担感」や「裁量権」といったストレス項目に対しては+2の効果が得られることがわかる。また、例えば、施策Bは、「活気」項目に対しては+1の効果が得られ、「不安」項目に対しては+2の効果が得られるといったことがわかる。
【0043】
また、
図6(B)に示す例では、例えば、施策Aは、「要員凝集度」が低い組織の場合、テーマ適合度が「向き」であるので、得られる効果が「+2.0」倍されるのに対して、「要員凝集度」が高い組織の場合には、テーマ適合度が「不向」であるため、得られる効果が「0.5」倍される、すなわち当該組織特性を有する組織に対しては効果が半減することがわかる。なお、本例では、組織適合度が「普通」の場合、得られる効果が「+1」倍される、すなわち組織特性による相乗効果がないことを意味する。また、仮に、組織適合度がマイナスの場合、得られる効果が「−X」倍される、すなわち当該組織特性を有する組織に対しては悪化するおそれがあることを意味する。なお、
図6に示す例では、組織適合度として「向き(+2.0)」「普通(+1.0)」「不向(+0.5)」の三通りの内容が登録される例が示されているが、組織適合度のとりうる値を、施策特性間で異ならせてもよい。そのようにすると、組織適合度を、組織特性別に施策との相性を表す指標としてだけでなく、組織特性間における影響の強弱を表す指標としても用いることができる。また、組織特性間における影響の強弱の一例として、例えば、組織特性がある内容のときには採用してはいけない施策がある場合、その施策に対する当該内容に対する組織適合度を「不可(−100)」とするなど、後述の適合度の最大化評価の結果、必ずはじかれるような値に設定することも可能である。
【0044】
例えば、改善テーマの選択の結果、全国平均との乖離が大きい「裁量権」と、自グループ内の相対評価が低い「上司支援」の2つが改善テーマに決定されたとする。また、組織特性の入力の結果、対象組織は、作業場所として客先常駐が多く、メンバが少人数で支援先プロジェクトの指示に従って開発を行っているなど、主要な組織特性として「要員凝集度」が「低い」旨が入力されたとする。そのような場合には、適合度計算手段106は、
図7に示すように、計算対象とされる各施策の情報に、入力された内容を反映させて、各施策の適合度を計算すればよい。
【0045】
本例では、適合度計算手段106は、各施策につき、少なくとも改善テーマとされたストレス項目を対象に、各ストレス項目の効果に対して主要な組織特性との相性を係数として反映して、適合度を求めればよい。具体的には、各施策につき、改善テーマとされたストレス項目のテーマ適合度の各々に対して、主要な組織特性による係数(複数ある場合はそれらを足したもの)を掛け合わせたものの総和を、当該施策の適合度とすればよい。
図7に示す例では、施策ID=1の「組織長巡回」施策の適合度=(+2.0)×(2+5)=+14.0、施策ID=2の「飲み会」施策の適合度=(+1.0)×(1+3)=+4.0、施策ID=3の「定例会議」施策の適合度=(+0.5)×(10+8)=+9.0が求まる。なお、改善テーマとされたストレス項目以外のストレス項目も計算対象に含めてもよい。
【0046】
図8は、適合度計算手段106による適合度の計算結果の一例を示す説明図である。施策提示手段107は、
図8に示すような適合度計算手段106による各施策の適合度の計算結果に基づいて、ユーザに、推奨する施策を提示すればよい。
【0047】
図9は、施策提示手段107による推奨施策の提示方法の一例を示す説明図である。施策提示手段107は、例えば、
図9に示すように、適合度が高いものから順に所定数の施策をユーザに推奨してもよい。なお、改善テーマとされるストレス項目以外のストレス項目も計算対象に含めて適合度が算出される場合には、各ストレス項目に対する改善効果(テーマ適合度×組織適合度)がマイナスの値にならない施策のうち、改善テーマとされたストレス項目に対する改善効果が最大となる施策を、順に推奨してもよい。また、この他、改善テーマとされるストレス項目に対する改善効果が所定値以上の施策のうち、全ストレス項目に対する改善効果の和が最大となる施策を選ぶといった方法も考えられる。
【0048】
また、
図10〜
図13は、本システムにおける推奨施策の提案にかかるGUIの他の例を示す説明図である。
【0049】
図10は、組織データ(分析対象とするストレス診断結果)を参照するための選択画面の例を示す説明図である。例えば、結果分析手段102は、
図10に示すような画面を表示して、ユーザに、分析対象とするストレス診断結果の参照のための組織情報を選択させてもよい。ここで、選択肢の情報として、組織の識別子や登録日などの情報を付与してもよい。また、初期施策の立案支援の利用頻度は、それほど多くないことが想定されるため、各画面において利用方法を示したテキストが表示されるのが好ましい。また、選択肢としては、チェック結果DB101に記憶されている各組織の最新の診断結果のみを対象にしてもよい。また、診断をまだ行っていない場合や施策を行う組織が現時点で存在していない場合などには、組織データを選択せずにすなわち診断結果なしで次画面に進んでもよい。そのような場合には、対象組織の各ストレス項目の評価を最低値として取り扱うなどの処理を行ってもよい。
【0050】
また、
図11は、改善テーマの選択用画面の例を示す説明図である。例えば、改善テーマ決定手段103は、
図11に示すような画面を表示して、ユーザに、改善したいストレス項目(改善テーマ)を選択させてもよい。このとき、選択のための指標として、各比較値(全国比較、全社比較、自グループ比較)を表示してもよい。ここで、全国比較は、当該組織の該当するストレス項目の評価に対して全国平均との乖離の度合いを示す指標である。また、全社比較は、当該組織の該当するストレス項目の評価に対して全社平均との乖離の度合いを示す指標である。また、自グループ比較は、当該組織の該当するストレス項目の評価に対して当該組織のストレス項目全体の平均との乖離の度合いを示す指標である。なお、各比較値は、列内でソート可能なことが好ましい。なお、表示する比較値は、上述したものに限られない。また、各ストレス項目は、当該項目がストレス反応、ストレス要因または修飾要因のいずれに該当するかを示す情報と併せて表示されることが好ましい。
【0051】
また、
図12は、組織特性の入力用画面の例を示す説明図である。例えば、組織特性入力手段104は、
図12に示すような画面を表示して、ユーザに、対象組織の組織特性の現在の状況を入力させてもよい。なお、
図12に示される組織特性の項目と内容は一例であって、これらの限定されない。
【0052】
また、
図13は、推奨する施策の提示用画面の例を示す説明図である。例えば、施策提示手段107は、
図13に示すような画面を表示して、ユーザに、推奨する施策を提示してもよい。このとき、施策の情報として、施策の具体例とともに、推奨理由を提示することが好ましい。推奨理由は、例えば、組織特性に対して有効であるか、改善テーマに対して有効であるかといった観点で行うのが好ましい。例えば、適合度計算手段106は、適合度の計算結果に、算出された適合度の情報だけでなく、計算に用いたテーマ適合度や組織適合度の情報を含めて出力し、施策提示手段107は、それらの情報に基づいて所定の閾値以上のテーマ適合度の有無や、所定の閾値以上の組織適合度の有無を判定して、その判定の結果に基づいて推奨理由を選択してもよい。また、このとき、根拠となった数値(テーマ適合度や組織適合度やそれを掛け合わせたもの等)を併せて表示してもよい。
【0053】
以上のように、施策提案手段100によれば、予め各施策について、各ストレス項目に対する効果の度合いを保持しておくだけでなく、組織特性の各々に対して施策との相性をテーマ適合度への影響度として定量化して保持しておくことにより、組織の取りうる様々な態様において各ストレス項目に対する効果を定量的に測ることができるので、専門家を介在させなくても自動でかつ精度よく、対象組織に適合する施策を提案できる。また、施策提案手段100によれば、機会学習のようなサンプルとする情報を必要としない簡易な構成で実現されているので、例えば、サンプルが少なく機会学習では偏った情報しか得られないような状況であっても、ユーザが改善テーマの選択と組織特性の入力だけで、最初から取り組む施策を誤らずに決定することができる。
【0054】
なお、施策DB105は、施策ごとに、所定のストレス項目の各々に対する当該施策の効果の度合いを示すテーマ適合度と、特に定めた組織の特性である組織特性のとり得る内容(以下、属性値という場合がある)の各々に対する当該施策との相性の良し悪しをテーマ適合度に与える影響度として定量化して示す組織適合度とを記憶するものであればよい。
【0055】
また、組織特性入力手段104は、対象組織の組織特性を示す情報を入力するものであればよい。組織特性入力手段104は、例えば、ユーザに該当する内容を選択させることにより、対象組織の組織特性の現在の内容を示す情報を入力するものであってもよい。
【0056】
また、適合度計算手段106は、施策DB105に記憶されているテーマ適合度および組織適合度と、組織特性入力手段104によって入力された対象組織の組織特性を示す情報と、改善テーマとされたストレス項目の情報とに基づいて、施策ごとに、対象組織の組織特性に応じた組織適合度をストレス項目に応じたテーマ適合度の係数として用いて、適合度を計算するものであればよい。
【0057】
また、施策提示手段107は、計算された施策ごとの適合度に基づいて、推奨する施策を提示するものであればよい。
【0058】
このような構成により、施策提案手段100は、専門家を介在させなくても自動でかつ精度よく、対象組織に適合する施策を提案できる。
【0059】
なお、改善テーマ決定手段103は、ユーザに改善テーマとするストレス項目を選択させて、改善テーマを決定するものに限られない。
【0060】
また、組織適合度はマイナスの値を含んでいてもよい。また、組織適合度の値域が、組織特性の種類によって異なっていてもよい。
【0061】
また、
図14は、本実施形態の組織改善活動支援システム1000の全体構成の例を示す構成図である。
図14に示すように、本実施形態の組織改善活動支援システム1000は、
図1に示す構成に加えて、さらに、施策情報更新手段200と、活動報告入力手段201と、活動ログDB202と、専門家連携手段203とを備える。
【0062】
施策情報更新手段200は、後述する活動ログDB202に記憶されている活動ログに基づいて、施策DB105に記憶されている施策の情報(例えば、施策ごとのテーマ適合度および/または組織適合度)を更新する、および/または、活動ログの分析結果に基づき、専門家に情報を通知するか否かの判定を行う。
【0063】
活動報告入力手段201は、実際に活動を行った組織の活動内容を示す情報である活動報告を入力する。活動報告は、例えば、ある組織の所定期間(1ヶ月)中の活動状況を示す情報であってもよい。また、活動報告は、当該期間中に誰が、何を、どのようにもしくはどの程度活動したかがわかるような情報であってもよい。例えば、活動報告は、活動を行った組織に関する情報と、活動対象である施策に関する情報と、施策の実施状況を示す情報とを含む情報であってもよい。
【0064】
また、活動報告は、効果に関する情報を含んでいてもよい。効果に関する情報は、対象組織に属するメンバのストレス診断結果であってもよい。例えば、活動報告は、施策開始時と活動報告時のストレス診断結果を含んでいてもよい。なお、組織に関する情報や施策に関する情報のうち、活動実施期間中に変化しない情報については、施策決定時等に基本設定として保持しておき、必要に応じて読み出すようにしてもよい。なお、以下では、このようにして読み出された情報も活動報告に含まれうる情報として扱う。また、活動報告入力手段201は、活動報告として、ファシリテータ役のユーザに、施策の実施状況を示す情報を入力させた後で、組織に関する情報に変更があったか否かを聞き、変更があった場合に組織に関する情報を入力させるというように、施策の実施状況を示す情報とそれ以外の情報とを分けて入力してもよい。
【0065】
図15は、活動報告入力用画面の一例を示す説明図である。
図15には、ユーザに、施策活性度とメンバ反応度とを各々スライドバーを用いて入力させる入力画面の例が示されている。活動報告入力手段201は、例えば
図15に示すような入力画面を出力して、ユーザに、活動報告の少なくとも一部である施策の実施状況を示す情報として、施策に対してどの程度実施したかを表す施策活性度と、活動に対するメンバの反応の度合いを表すメンバ反応度とを入力させてもよい。
【0066】
また、活動報告入力手段201は、施策提案手段100を用いて施策が提供された様々な組織の各々に実装され、当該組織の活動報告を入力してもよい。また、活動報告入力手段201は、各組織のファシリテータがアクセスできるサイト等を提供することで、様々な組織の活動報告を入力するサーバ等であってもよい。
【0067】
活動ログDB202は、活動ログとして、例えば、施策クローズ時や毎月の活動報告時に入力された活動報告を複数記憶する。活動ログは、複数の組織についての活動報告を含むことが望ましい。なお、活動ログとして記憶される活動報告の各々には、活動を行った組織が選定したテーマの情報や、組織特性や、該組織に対して助言した内容や、施策を決定したときや施策実施中や活動報告時の施策に対する適合度・合意度・活性度(行動評価値)・メンバの反応(感情評価値)・メンバ間でシェアした情報(タイムライン等の掲示板の情報等)や、上手くいった場合の工夫点などの情報が含まれていてもよい。
【0068】
ここで、施策の合意度は、該施策に対する対象組織のメンバの賛同度合いを定量的に示す情報であればよい。また、施策の活性度は、該施策に対する対象組織の実施度合いを定量的に示す情報であればよい。なお、施策の活性度は、施策に関連する具体的な行動に対する評価値(行動評価値)であってもよい。また、メンバの反応は、施策に関連する具体的な行動時のメンバの反応に対する評価値(感情評価値)であってもよい。
【0069】
また、
図16は、施策情報更新手段200のより詳細な構成例を示すブロック図である。
図16に示すように、施策情報更新手段200は、活動ログ分析手段211と、重み付け再計算手段212と、マスタ書換手段213とを含んでいてもよい。
【0070】
活動ログ分析手段211は、種々の組織から収集された活動報告の集合である活動ログに基づいて、実施された施策の中から、改善テーマに対して有効な施策である有効施策および/または改善テーマに対して有効でない施策である非有効施策を抽出し、さらにマスタとして管理されている当該施策に関する情報を自動更新するか否かを判定する。
【0071】
活動ログ分析手段211は、例えば、施策DB105に記憶されている施策に関する情報のうち、改善テーマに対する適合度(テーマ適合度)を自動更新の対象としてもよい。そして、活動ログ分析手段211は、活動ログにより示される種々の情報から、自動更新対象とされた対象(以下、更新対象知識という)ごとに設けられた更新条件に従って、活動ログ中の施策が有効施策であるか否かや、非有効施策であるか否かを判定してもよい。
【0072】
以下、更新対象知識がテーマ適合度である場合の例をいくつか示す。
図17は、テーマ適合度の更新条件の例を示す説明図である。活動ログ分析手段211は、例えば、更新対象知識がテーマ適合度である場合、活動ログによって示される、ある改善テーマに対して実際に行った施策について、活動期間や、メンバ数や、合意度や、活性度等を用いた更新条件に従い、該施策が、有効施策であるか非有効施策であるかまたはそのどちらでもない(判定保留)かを決定してもよい。
【0073】
活動ログ分析手段211は、例えば、
図17に示す条件等を用いて、活動ログに含まれる、ある改善テーマに対して実施した施策が有効施策であるか否か、および非有効施策であるか否かを判定してもよい。有効施策であるか否かの判定条件の例としては、ストレスチェック結果の各テーマごとの変化が改善の方向で所定の閾値(例えば、標準偏差±α)を超えるといった効果に関する条件に加えて、次のような諸条件を含んでいてもよい。諸条件の例としては、例えば、活動期間が所定の閾値(1年以上)、が挙げられる。また、他の例としては、メンバ数が所定の閾値以上(例えば、10人以上)、が挙げられる。また、他の例としては、合意度が所定の閾値以上(例えば、6割以上)、が挙げられる。また、他の例としては、活性度が所定の閾値以上(例えば、7割以上)、が挙げられる。更新条件は、これらを全て含んでいてもよいし、これらのうちの1つ以上の組み合わせであってもよい。このような条件を用いれば、活動前後のストレスチェック結果から、その改善テーマに対して組織特性に関わらず汎用的な効果があるもしくは大きいと思われる施策を抽出できる。
【0074】
同様に、非有効施策であるか否かの判定条件の例としては、ストレスチェック結果の各テーマごとの変化が悪化の方向で所定の閾値(例えば、標準偏差±α)を超えるといった効果に関する条件に加えて、上述した諸条件を1つ以上含むものであってもよい。このような条件を用いれば、活動前後のストレスチェック結果から、その改善テーマに対して組織特性に関わらず汎用的な効果がない、少ないもしくはマイナスであると思われる施策を抽出できる。
【0075】
自動更新するための判定条件をそのように定めることで、特殊なケースや組織特性に依存するような結果といったノイズを除去して、改善テーマに対して確度の高いものや関連性の高いもののみを、マスタに反映することができる。
【0076】
なお、活動ログ分析手段211は、ある改善テーマに対してある施策が有効施策と判定された場合、当該施策の該改善テーマに対する適合度をプラス方向の更新対象とすればよい。一方、活動ログ分析手段211は、ある改善テーマに対してある施策が非有効施策と判定された場合、当該施策の該改善テーマに対する適合度をマイナス方向の更新対象とすればよい。
【0077】
なお、更新対象知識はテーマ適合度に限られない。
図18は、組織適合度の更新条件の例を示す説明図である。活動ログ分析手段211は、例えば、組織適合度を更新対象知識とすることも可能である。その場合、例えば、上記の判定条件に代えてまたは加えて、次のような条件を用いて、自動更新の対象か否かを判定してもよい。組織特性に対する更新条件の例としては、テーマ側で有効施策(プラス方向の更新)と判定された、かつ現状の組織適合度が所定値以下(例えば、マイナス値)、が挙げられる。このような場合、現状の組織特性は、割り当てられた組織適合度が示す程度には、効果に対して与える影響がないまたは小さいと判断できるため、そのような効果を示した組織特性に対する当該施策の適合度をプラス方向の更新対象としてもよい。また、他の例としては、テーマ側で非有効施策と判定された、かつ現状の組織適合度が所定値以下(例えば、プラス値)、が挙げられる。このような場合も、上記と同様に、現状の組織特性は、当該テーマに対して割り当てられた組織適合度が示す程度には、効果に対して与える影響がないまたは小さいと判断できるため、そのような効果を示した組織特性に対する当該施策の適合度をマイナス方向の更新対象としてもよい。
【0078】
また、活動ログ分析手段211は、活動ログを分析した結果、同じ施策に対する活動結果が、同じ組織特性を持つ組織間で異なっていた場合、専門家が組織特性の見直しが必要か否かの判定ができるよう、その旨の通知または/および判定に必要な情報の提供を、専門家連携手段203に要求してもよい。
【0079】
重み付け再計算手段212は、活動ログ分析手段211によって自動更新すると判定された有効施策または非有効施策の適合度を再計算する。ここで、重み付け再計算手段212は、施策DB105に記憶されている施策に関する情報のうち、有効施策または非有効施策と判定された施策の、指定された改善テーマに対応するストレス項目に対する適合度(施策適合度)を再計算してもよい。また、重み付け再計算手段212は、施策DB105に記憶されている施策に関する情報のうち、有効施策であってプラス方向の更新対象とされた組織特性または非有効施策であってマイナス方向の更新対象とされた組織特性に対する適合度(組織適合度)を再計算してもよい。
【0080】
図19(a)は、テーマ適合度の更新方法の例を示す説明図である。重み付け再計算手段212は、更新対象知識がテーマ適合度である場合、
図19(a)に示すような方法で更新後の適合度を決定してもよい。すなわち、BJSQの差分取得時に、条件に合致するテーマの適合度を、有効施策であれば+1、非有効施策であれば−1してもよい。なお、加減算する数は1に限られない。ただし、重み付け再計算手段212は、変更後の変更度の値を算出する際に、マスタ(施策DB105に記憶されている施策に関する情報)の適合度の制限幅内での変動とする。
【0081】
また、
図19(b)は更新結果の例を示す説明図である。例えば、
図19(b)に示すように、「仕事の負荷」を改善テーマとしている組織の活動ログに基づき、BJSQを評価した結果、+9の効果があったとする。それにより、当該組織が該改善テーマに対して行った施策は有効施策(プラス方向の更新対象)であると判定された場合を考える。更新条件の一つであるBJSQの差が所定の閾値(本例の場合、±8)を超えているので、プラス方向の更新対象とされる。今、
図19(b)に示すように、「仕事の負荷」に対する当該施策の現在の適合度が「3」であったとすると、重み付け再計算手段212は、現在の適合度に1を加算して、変更後の適合度として「4」を算出してもよい。
【0082】
また、
図19(b)には、改善テーマ「裁量度」に対してある施策を行った場合のBJSQの差分が閾値以内である場合、当該改善テーマに対する当該施策の適合度は更新されない(変更対象外とされる)ことが示されている。同様に、
図19(b)に示す例において、改善テーマ「働きがい」に対するある施策の適合度についても、得られる効果が更新条件を満たしていないことから、変更対象外とされている。なお、
図19(b)に示す例において、改善テーマ「同僚からの支援」に対するある施策の効果はマイナス方向で閾値を超えているため、マイナス方向の更新対象とされる。その場合、当該改善テーマに対する当該施策の現在の適合度が「3」であったとすると、重み付け再計算手段212は、現在の適合度に1を減算して、変更後の適合度として「2」を算出してもよい。
【0083】
また、
図19(b)には、改善テーマ「上司からの支援」に対するある施策が有効施策(プラス方向の更新対象)とされた場合であっても、当該改善テーマに対する当該施策の現在の適合度が上限値である場合には更新されない(変更対象外とされる)ことが示されている。
【0084】
図20は、組織適合度の更新方法の例を示す説明図である。重み付け再計算手段212は、更新対象知識が組織適合度である場合、
図20に示すような方法で更新後の適合度を決定してもよい。すなわち、BJSQの差分取得時に、条件に合致する組織特性の値に対応づけられている適合度を、プラス方向の更新対象であれば+1、マイナス方向の更新対象であれば−1してもよい。なお、加減算する数は1に限られない。ただし、重み付け再計算手段212は、変更後の変更度の値を算出する際に、マスタ(施策DB105に記憶されている施策に関する情報)の適合度の制限幅内での変動とする。
【0085】
ここで、更新内容に関して、条件に合致する組織特性の値とは、例えば、
図21に示すように、組織特性の各項目に含まれる属性値(
図21の例では、平均年齢であれば、「29歳以下」や「30歳〜39歳」など)を指す。したがって、条件に合致する組織特性の値のみといった場合には、その組織特性の項目ごとに含まれる、いくつかある属性値のうちの条件に合致した属性値のみを指す。
図21は、組織特性の項目ごとの属性値の例を示す説明図である。
【0086】
また、
図22は、組織特性の適合度の更新結果の例を示す説明図である。例えば、ある組織がある改善テーマに対して行ったある施策のBJSQの結果から、更新条件とされる所定期間を経過した1月以降の効果がプラスであり、当該施策が有効施策であると判定されたとする。このとき、
図22に示すように、当該期間中の当該組織の該施策に対する組織特性の適合度がマイナス値となっている属性値があった場合、該属性値に対する組織適合度がプラス方向の更新対象とされる。
図22に示す例では、組織特性の項目「平均残業時間」の属性値「80h以上」に対する現在の適合度が「−2」(マイナス値)となっている。そのような場合、重み付け再計算手段212は、当該属性値に対する組織適合度の更新後の値として、現在の値に1を加算し、「−1」としてもよい。
【0087】
また、
図23は、組織特性の適合度の更新結果の他の例を示す説明図である。例えば、ある組織がある改善テーマに対して行ったある施策のBJSQの結果から、更新条件とされる所定期間を経過した1月以降の効果がマイナスであり、当該施策が非有効施策であると判定されたとする。このとき、
図23に示すように、当該期間中の当該組織の該施策に対する組織特性の適合度がプラス値となっている属性値があった場合、該属性値に対する組織適合度がマイナス方向の更新対象とされる。
図23に示す例では、組織特性の項目「勤務場所」の属性値「オフィス」に対する現在の適合度が「2」(プラス値)となっている。そのような場合、重み付け再計算手段212は、当該属性値に対する組織適合度の更新後の値として、現在の値に1を減算し、「1」としてもよい。また、
図23に示す例では、組織特性の項目「PM理論」の属性値「Pm」に対する現在の適合度も「2」(プラス値)となっている。そのような場合、重み付け再計算手段212は、当該属性値に対する組織適合度の更新後の値として、現在の値に1を減算し、「1」としてもよい。
【0088】
マスタ書換手段213は、重み付け再計算手段212によって算出された更新後の値を、マスタに反映させる。ここで、マスタとされる施策DB105の数は、1つとは限らない。例えば、業界ごとに別々のマスタを管理していることも考えられる。そのような場合、マスタ書換手段213は、活動ログに基づいて、対象とされるマスタに対して、情報の書き換えを行うようにしてもよい。なお、当該システムを、業界ごとに設けてもよい。その場合は、マスタ書換手段213は、組織の属する業界等を気にせず、当該システムが備えるマスタに対して、情報の書きかけを行えばよい。
【0089】
なお、更新条件および更新方法は上記の例に限られない。
【0090】
例えば、メンバによって投稿され、メンバ間で共有される情報(タイムライン等の掲示板の情報等)を利用して、組織適合度を更新するか否かを判定することも可能である。例えば、
図24(a)に示すように、予め辞書等に、組織特性の各々に対応づけたキーワード等の関連語(当該組織特性に関する話題によく用いられる用語など)を登録しておいてもよい。また、併せて
図24(b)に示すように、プラス用語(肯定的表現。プラスの意識のときによく用いられる用語等)と、マイナス用語(否定的表現。マイナスの意識のときによく用いられる用語等)を予め辞書等に登録しておいてもよい。そのような場合に、
図25に示すように、活動ログ分析手段211は、活動期間中にタイムライン等に書き込まれた内容に対して、登録されたキーワードと一緒に、プラス用語またはマイナス用語が出現したか否かを判定してもよい。例えば、キーワードと一緒にプラス用語が出現した場合、その意見が書き込まれた時の特定の組織特性は、そのとき実施している施策に対してプラス方向に働いていると判断してもよい。その場合、活動ログ分析手段211は、該施策に対する該組織特性のそのときの属性値をプラス方向の更新対象と判定してもよい。また、例えば、キーワードと一緒にマイナス用語が出現した場合に、その意見が書き込まれた時の特定の組織特性は、そのとき実施している施策に対してマイナス方向に働いていると判断してもよい。その場合、活動ログ分析手段211は、該施策に対する該組織特性のそのときの属性値をマイナス方向の更新対象と判定してもよい。
【0091】
なお、活動ログ分析手段211は、更新対象とするか否かを判定する際に、出現する用語だけでなく、当該意見に賛同しているメンバの数の情報も考慮してもよい。
【0092】
また、マスタ書換手段213は、施策DB105に記憶されている情報を変更した場合に、自動更新した内容を専門家が確認および必要に応じて補完できるよう、変更した旨の通知を、専門家連携手段203を介して行ってもよい。
【0093】
活動ログDB202は、例えば、データベースシステム等の記憶装置により実現される。また、施策情報更新手段200および活動報告入力手段201は、例えば、コンピュータ、より具体的には、該コンピュータが備えるプログラムに従って動作するCPUによって実現される。なお、
図16には、活動ログ分析手段211、重み付け再計算手段212およびマスタ書換手段213が、1つの処理部として実装される例を示しているが、これらは別々の装置に実装されていてもよい。
【0094】
専門家連携手段203は、予め登録されている専門家に、当該システムの情報を通知したり、該専門家から当該システムが保持している情報へのアクセスを受け付ける。専門家連携手段203は、例えば、マスタ書換手段213による施策DB105に対する書き換え履歴の情報を保持しておき、自動でまたは所定の専門家からの要求に応じて当該履歴情報を出力してもよい。また、専門家連携手段203は、例えば、施策DB105に記憶されている情報へのアクセス(読み出し要求および書き込み要求)を受け付けてもよい。
【0095】
例えば、施策DB105に、予めテーマ適合度や組織適合度に関して予め専門家の知見が反映された施策モデルを引用した施策の情報だけでなく、類似例がない場合など予め知見を反映させることが難しい施策を登録したい場合がある。そのような場合に、当該施策について、テーマ適合度や組織適合度を仮の値で登録しておき、当該施策に関する活動報告を待ち、集まった活動ログに基づいて、当該施策のテーマ適合度や組織適合度を更新していくことが考えられる。その過程で、自動更新だけでは補いきれない部分を、専門家が手動で補完できるよう、専門家連携手段203は、仮の値で登録された施策(モデル未引用施策)について自動更新が行われた際などに、その旨を所定のユーザ(専門家)に通知してもよい。
【0096】
その際、専門家連携手段203は、自動更新が行われた施策のIDや、当該施策のマスタ情報へのアクセス方法を示す情報を併せて通知してもよい。
【0097】
また、専門家連携手段203は、所定のユーザが、施策のマスタ情報へアクセスするためのインターフェース(施策情報変更画面等)を提供してもよい。そのような場合には、当該インターフェースにおいて、ユーザに対して認証を行う認証手段を設けていることが好ましい。
【0098】
モデルを引用せずに登録された新規施策であっても、実際に活動を行った結果に基づいて専門家の知見が反映されることで、より汎用的な施策として、様々な組織において利用可能になる。
【0099】
また、専門家連携手段203は、例えば、活動ログ分析手段211が活動ログを分析した結果、同一施策について、組織特性と効果との関係やテーマと効果との関係に矛盾を発見した場合等に、その旨を専門家に通知してもよい。
【0100】
図26は、活動ログ分析手段211の矛盾判定処理の例を示す説明図である。
図26に示すように、活動ログ分析手段211は、例えば、同じ組織特性を有する組織間において、同一の施策について、お互いに更新条件(少なくとも結果が所定期間、安定している等)を満たし、かつ、一方がプラス方向の更新対象とされ、他方がマイナス方向の更新対象とされているか否かを判定してもよい。そのような場合、当該施策は組織特性と効果との関係またはテーマと効果との関係に矛盾を生じていると判定してもよい。そのような場合、活動ログ分析手段211は、当該施策に対するテーマ適合度および組織適合度を更新せず、その旨の通知または/およびテーマ適合度や組織特性の見直しの有無の分析に用いられる情報の提供を、専門家連携手段203を介して行ってもよい。
【0101】
このとき、専門家連携手段203は、
図27に示すように、組織特性の中で同じ区分に属しているが全体としてばらつき度合いが異なる項目がある場合に、当該項目のばらつきの有無を新たな項目として追加することや、区分けを細分化することが可能な項目があれば区分けの細分化などを提案する旨を、併せて通知してもよい。
【0102】
また、
図28は、本実施形態の組織改善活動支援システム1000の全体動作の例を示すシーケンス図である。なお、
図28には、対象組織の例として、組織Aと組織Bとが示されているが、対象組織の数は2つに限られない。
【0103】
本例では、対象組織Aから組織情報や改善テーマに関する情報が入力されると(図中の301)、施策提案手段100が、施策DB105を参照して、施策を提案する(図中の301、303)。施策の提案を受けて、対象組織Aは、当該施策を実施し、活動報告を逐次、活動ログDBに入力する(図中の304、305)。
【0104】
同様の処理が、組織Bに対しても行われる(図中の306〜310)。
【0105】
施策情報更新手段200は、所定のタイミング(例えば、定期的等)で、活動ログDB202に記憶されている活動ログを読み出し、内容を分析して、必要に応じて施策DB105に記憶されている施策情報を更新する(図中の311〜313)。
【0106】
専門家連携手段203は、施策情報更新手段200による活動ログの分析の結果、所定のユーザに対して、更新履歴の通知や、組織特性の見直しに必要な情報の提供を行う(図中の314)。
【0107】
以上のように、本実施形態によれば、施策マスタの自動更新が行えるだけでなく、必要に応じて専門家の補完が簡単に行えたり、施策マスタの更新だけでは対応できないような組織特性の見直しも適切に行うことができるため、ユーザ数や活動組織の増加に伴い、より幅広く、それぞれの状況に適した施策の提案が可能になる。
【0108】
次に、本発明の概要を説明する。
図29は、本発明の概要を示すブロック図である。
図29に示すように、本発明の組織改善活動支援システムは、施策情報記憶手段501と、施策提案手段502と、活動ログ記憶手段503と、活動ログ分析手段504と、ユーザ連携手段505とを備えている。
【0109】
施策情報記憶手段501(例えば、施策DB105)は、施策ごとに、所定のストレス項目の各々に対する当該施策の効果の度合いを示すテーマ適合度と、特に定めた組織の特性である組織特性のとり得る内容の各々に対する当該施策との相性の良し悪しをテーマ適合度に与える影響度として定量化して示す組織適合度とを記憶する。
【0110】
施策提案手段502(例えば、施策提案手段100)は、施策情報記憶手段501に記憶されている情報に基づいて、組織に対して施策の提案を行う。
【0111】
活動ログ記憶手段503(例えば、活動ログDB202)は、実際に活動を行った組織の活動内容を示す情報である活動報告を、活動ログとして2以上記憶する。
【0112】
活動ログ分析手段504(例えば、活動ログ分析手段211)は、活動ログ記憶手段503に記憶されている活動ログに基づき、ある施策について、施策情報記憶手段501に記憶されている情報によって示される組織特性と効果との関係またはテーマと効果との関係に矛盾が生じているか否かを判定する。
【0113】
ユーザ連携手段505(例えば、専門家連携手段203)は、活動ログ分析手段504によって矛盾が生じていると判定された場合に、所定のユーザに通知を行う。
【0114】
また、活動ログ分析手段は、同一の組織特性を有する組織間で、同一の施策について活動した結果、一方の組織に所定以上のプラスの効果があり、他方の組織に所定以上のマイナスの効果があった場合に、当該施策について、組織特性と効果との関係に矛盾があると判定してもよい。
【0115】
また、ユーザ連携手段は、矛盾が生じていると判定した際に用いられた、施策の情報および活動ログの情報を、併せて通知してもよい。
【0116】
また、ユーザ連携手段は、矛盾が生じていると判定したときに用いられた組織特性の中に同じ区分に属しているが全体としてばらつき度合いが異なる項目があった場合、その旨を併せて通知してもよい。
【0117】
また、ユーザ連携手段は、所定のユーザからの施策情報記憶手段に記憶されている情報へのアクセスを受け付けてもよい。
【0118】
また、本発明の組織改善活動支援システムは、活動ログ記憶手段に記憶されている活動ログに基づき、施策情報記憶手段に記憶されているテーマ適合度または組織適合度を更新する施策情報更新手段を備え、ユーザ連携手段は、施策情報更新手段が更新を行った場合に、所定のユーザに通知を行ってもよい。
【0119】
また、
図30は、本発明の情報処理装置の構成例を示すブロック図である。
図30に示すように、本発明の情報処理装置は、上記の活動ログ分析手段504と、ユーザ連携手段505とを備えた構成であってもよい。
【0120】
以上、実施形態および実施例を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態および実施例に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。