特許第6648909号(P6648909)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6648909
(24)【登録日】2020年1月20日
(45)【発行日】2020年2月14日
(54)【発明の名称】コンテナターミナル及びその運用方法
(51)【国際特許分類】
   B65G 63/00 20060101AFI20200203BHJP
   B66C 13/00 20060101ALI20200203BHJP
   B66C 19/00 20060101ALI20200203BHJP
【FI】
   B65G63/00 J
   B65G63/00 L
   B66C13/00 D
   B66C19/00 B
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-70178(P2017-70178)
(22)【出願日】2017年3月31日
(65)【公開番号】特開2018-172188(P2018-172188A)
(43)【公開日】2018年11月8日
【審査請求日】2019年3月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】518126144
【氏名又は名称】株式会社三井E&Sマシナリー
(74)【代理人】
【識別番号】110001368
【氏名又は名称】清流国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】和田 秀人
(72)【発明者】
【氏名】荒木 宏之
【審査官】 中田 誠二郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−238134(JP,A)
【文献】 特開2003−048625(JP,A)
【文献】 特開2014−172704(JP,A)
【文献】 特開2005−138952(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0126015(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 63/00−63/06
B66C 13/00
B66C 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部への出入口となるゲートを有するコンテナヤードを備え、このコンテナヤードが、コンテナが蔵置される複数の蔵置レーンと、それぞれの蔵置レーンに配置されてその蔵置レーンを跨いでその蔵置レーンの長手方向に沿って走行する門型クレーンとを有し、前記ゲートを通過する外来車両が、外部と前記コンテナヤードとの間で前記コンテナを運搬して、前記門型クレーンが前記コンテナヤードに進入した前記外来車両に対して前記コンテナの荷役を行う構成にしたコンテナターミナルにおいて、
前記外来車両が前記ゲートに到着してから荷役を行う前記蔵置レーンに到着する間でこの外来車両を撮像する荷役前撮像装置と、前記門型クレーンのオペレータ用の表示装置と、前記荷役前撮像装置及び前記オペレータ用の表示装置に通信可能に接続されて、前記外来車両が荷役する前記コンテナの管理情報に前記荷役前撮像装置によるこの外来車両の撮像画像を関連付ける管理装置とを備えて、
前記門型クレーンが前記外来車両に対して前記コンテナの荷役を行うときに、そのコンテナの前記管理情報に基づいて、前記管理装置により、前記表示装置に対してその管理情報に関連付けられた前記荷役前撮像装置による前記外来車両の撮像画像を表示させる構成にしたことを特徴とするコンテナターミナル。
【請求項2】
前記荷役前撮像装置による前記外来車両の撮像画像が、この外来車両の上面を含む画像である請求項1に記載のコンテナターミナル。
【請求項3】
前記外来車両が荷役を行う前記蔵置レーンに到着してから荷役位置に停車している間で、この外来車両を撮像する荷役時撮像装置を備えて、
前記表示装置に前記荷役前撮像装置によるその外来車両の撮像画像とともに、前記荷役時撮像装置によるその外来車両の撮像画像を表示させる構成にした請求項1又は2に記載のコンテナターミナル。
【請求項4】
前記荷役時撮像装置による前記外来車両の撮像画像が、この外来車両の上面を含む画像である請求項3に記載のコンテナターミナル。
【請求項5】
外部との出入口となるゲートを経由して、コンテナヤードと外部との間で、外来車両によりコンテナを運搬し、前記コンテナが蔵置される複数の蔵置レーンを有して、それぞれの蔵置レーンに門型クレーンを有する前記コンテナヤードに進入した前記外来車両に対して、前記蔵置レーンを跨いで前記蔵置レーンの長手方向に移動する前記門型クレーンにより前記コンテナの荷役を行うコンテナターミナルの運用方法において、
前記外来車両が前記ゲートに到着してから荷役を行う前記蔵置レーンに到着する間で、荷役前撮像装置により、この外来車両を撮像し、
その外来車両が荷役する前記コンテナの管理情報と、前記荷役前撮像装置によるこの外来車両の撮像画像とを、管理装置により関連付け、
前記門型クレーンがこの外来車両に対して前記コンテナの荷役を行うときに、そのコンテナの前記管理情報に基づいて、前記門型クレーンのオペレータ用の表示装置に、その管理情報に関連付けられた前記荷役前撮像装置によるこの外来車両の撮像画像を表示させることを特徴とするコンテナターミナルの運用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンテナターミナル及びその運用方法に関し、より詳細には、荷役効率を向上するコンテナターミナル及びその運用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ゲートに到着した外来車両を撮像する撮像装置を備えたコンテナターミナルが提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。これらのコンテナターミナルでは、撮像装置が撮像した画像から車両固有の自動車登録番号(以下、車番という)を読み取り、その車番に基づいて外来車両の行き先や門型クレーンの荷役指令を管理している。
【0003】
外来車両は、ゲートで指示された荷役位置まで走行して、その荷役位置に停車する。しかし、門型クレーンのオペレータからは、実際に荷役位置で停車している外来車両が荷役指令で指示された荷役対象の外来車両であるか否かを判定できない。
【0004】
これに関して、外来車両に荷役位置などが記載されたカード、専用の無線タグ、携帯端末などを搭載し、それらを利用する方式が考案されている。しかし、ゲートで、外来車両の運搬者に手渡したり、回収したりする手間も必要になり、ゲート通過時の作業が煩雑になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−193277号公報
【特許文献2】特開2002−037453号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、門型クレーンのオペレータにも荷役対象の外来車両を確認させて、荷役効率を向上するコンテナターミナル及びその運用方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成する本発明のコンテナターミナルは、外部への出入口となるゲートを有するコンテナヤードを備え、このコンテナヤードが、コンテナが蔵置される複数の蔵置レーンと、それぞれの蔵置レーンに配置されてその蔵置レーンを跨いでその蔵置レーンの長手方向に沿って走行する門型クレーンとを有し、前記ゲートを通過する外来車両が、外部と前記コンテナヤードとの間で前記コンテナを運搬して、前記門型クレーンが前記コンテナヤードに進入した前記外来車両に対して前記コンテナの荷役を行う構成にしたコンテナターミナルにおいて、前記外来車両が前記ゲートに到着してから荷役を行う前記蔵置レーンに到着する間でこの外来車両を撮像する荷役前撮像装置と、前記門型クレーンのオペレータ用の表示装置と、前記荷役前撮像装置及び前記オペレータ用の表示装置に通信可能に接続されて、前記外来車両が荷役する前記コンテナの管理情報に前記荷役前撮像装置によるこの外来車両の撮像画像を関連付ける管理装置とを備えて、前記門型クレーンが前記外来車両に対して前記コンテナの荷役を行うときに、そのコンテナの前記管理情報に基づいて、前記管理装置により、前記表示装置に対してその管理情報に関連付けられた前記荷役前撮像装置による前記外来車両の撮像画像を表示させる構成にしたことを特徴とするものである。
【0008】
上記の目的を達成する本発明のコンテナターミナルの運用方法は、外部との出入口とな
るゲートを経由して、コンテナヤードと外部との間で、外来車両によりコンテナを運搬し、前記コンテナが蔵置される複数の蔵置レーンを有して、それぞれの蔵置レーンに門型クレーンを有する前記コンテナヤードに進入した前記外来車両に対して、前記蔵置レーンを跨いで前記蔵置レーンの長手方向に移動する前記門型クレーンにより前記コンテナの荷役を行うコンテナターミナルの運用方法において、前記外来車両が前記ゲートに到着してから荷役を行う前記蔵置レーンに到着する間で、荷役前撮像装置により、この外来車両を撮像し、その外来車両が荷役する前記コンテナの管理情報と、前記荷役前撮像装置によるこの外来車両の撮像画像とを、管理装置により関連付け、前記門型クレーンがこの外来車両に対して前記コンテナの荷役を行うときに、そのコンテナの前記管理情報に基づいて、前記門型クレーンのオペレータ用の表示装置に、その管理情報に関連付けられた前記荷役前撮像装置によるこの外来車両の撮像画像を表示させることを特徴とする方法である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、門型クレーンがコンテナの荷役を行う前に、荷役前撮像装置により外来車両を撮像する。次いで、門型クレーンがコンテナの荷役を行う時に、オペレータ用の表示装置に対してそのコンテナの管理情報に関連付けられた荷役前撮像装置による外来車両の撮像画像を表示するので、門型クレーンのオペレータが実際に到着している外来車両と撮像画像とを比較することができる。これにより、実際に到着している外来車両が、指示どおりか否かの確認には有利になり、指示とは異なる外来車両に対してコンテナを荷役することを防止できる。これに伴って、荷役効率を向上できる。
【0010】
また、外来車両がゲートに到着してから荷役を行う蔵置レーンに到着する間に、荷役前撮像装置によって外来車両を撮像し、その外来車両の撮像画像を利用することで、ゲートにおける外来車両の進入作業を簡略化できるので、荷役効率を向上させるには有利になる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明のコンテナターミナルの第一実施形態を平面視で例示する説明図である。
図2図1の蔵置レーンをII矢視で例示する説明図である。
図3図1の蔵置レーンをIII矢視で例示する説明図である。
図4図1の操作装置を例示する説明図である。
図5】本発明のコンテナターミナルの運用方法を例示する第一のフロー図である。
図6】本発明のコンテナターミナルの運用方法を例示する第二のフロー図である。
図7】本発明のコンテナターミナルの第二実施形態の門型クレーンを例示する説明図である。
図8図7の運転室の内部を例示する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明のコンテナターミナル及びその運用方法の実施形態について説明する。図中では、陸側から海側に向う方向をx方向、停泊しているコンテナ船15の進行方向(x方向に直交する方向)をy方向、鉛直方向をz方向で示している。
【0013】
図1図4に例示する第一実施形態のコンテナターミナル10は、x方向に隣接するコンテナヤード11と本船荷役エリア12とを備えている。
【0014】
コンテナヤード11は、外部との出入口となる複数のゲート13を有している。また、コンテナヤード11は、コンテナCが蔵置される複数の蔵置レーン14と、蔵置レーン14を跨いで蔵置レーン14の長手方向(y方向)に沿って走行する門型クレーン30とを有している。複数の蔵置レーン14は、それぞれの長手方向がy方向に向いて、隣接する蔵置レーン14とは所定の間隔を空けて配置されている。蔵置レーン14は、その長手方向がx方向に向いて配置されてもよい。
【0015】
本船荷役エリア12は、コンテナ船15が接岸しているエリアであり、そのコンテナ船15に対してコンテナCの荷役を行う複数の岸壁クレーン16を有している。
【0016】
外来車両20及び構内車両21は、運転者が搭乗しているコンテナトラックやコンテナトレーラである。外来車両20は、運転部(キャブ、トラクタやヘッドなどの牽引車)20aと荷台部(ボディ、トレーラなどの重被牽引車)20bとから構成されており、ゲート13を経由して一点鎖線で示した外来用走行路22に沿って走行する。構内車両21は、二点鎖線で示した構内用走行路23に沿って走行する。構内車両21としては、無人搬送台車(AGV)を用いてもよい。
【0017】
外来用走行路22は、あるゲート13から延びる一本の外来用進入路24から複数の外来用レーン(走行レーン)25に分岐して、別のゲート13に向う一本の外来用退出路26に合流している。構内用走行路23は、一本の構内用進入路27から複数の構内用レーン28に分岐して一本の構内用退出路29に合流している。この実施形態では、外来用走行路22と構内用走行路23との二つの走行路をそれぞれ独立して設けたが、それらを一つの走行路として、外来車両20と構内車両21とが共通の走行路を走行する構成としてもよい。
【0018】
コンテナターミナル10のゲート13の近傍の領域内には、管理棟17が設置されている。管理棟17には、管理装置(TOS)40と制御装置43とが設置されている。管理装置40及び制御装置43は、各種情報処理を行うCPU、その各種情報処理を行うために用いられるプログラムや情報処理結果を読み書き可能な内部記憶装置、及び各種インターフェースなどから構成されている。また、管理棟17には、オペレータにより操作される操作装置37(37a、37b)が設置されている。
【0019】
図2に例示するように、各蔵置レーン14の一端部の近傍には、ヤード用検知装置41が設置されている。ゲート13の近傍には、ゲート用検知装置42とゲート用遮断機47とゲート用指示機48とが設置されている。これらは管理装置40に無線又は有線で通信可能に接続されている。ヤード用検知装置41としては、外来用進入路24のゲート13側の端部の側方に一台設置されてもよい。
【0020】
ヤード用検知装置41及びゲート用検知装置42は、外来車両20が予め備えている車両固有の識別情報Nxを検知する。この実施形態では、ヤード用検知装置41及びゲート用検知装置42は、電子料金収受システムの路側装置であり、通過する外来車両20に予め備えられている電子料金収受システムの車載機44と無線通信を行う。そして、ヤード用検知装置41及びゲート用検知装置42は、その車載機44に記憶されている固有の車載機番号を識別情報Nxとして読み取る。車載機44は、電子料金が記憶されているカードが不挿入でもヤード用検知装置41及びゲート用検知装置42と無線通信して、車載機番号を送信可能である。
【0021】
ヤード用検知装置41及びゲート用検知装置42としては、例えば、外来車両20が予め備えているナンバープレートを撮像する撮像装置を用いてもよい。撮像装置を用いた場合に、識別情報Nxは撮像されたナンバープレートに記載されている車両固有の自動車登録番号となる。また、外来車両20が予め備えているRFIDタグと通信して、そのRFIDタグに記憶されている識別情報Nxを読み取るリーダを用いてもよい。
【0022】
ゲート用遮断機47は、例えば、ゲート用検知装置42に連動して遮断桿が昇降する機
構であって、ゲート13を遮断とその解除をする。ゲート用指示機48は、例えば、電光掲示板であって、ゲート用検知装置42に連動して外来車両20の運転者に荷役位置Qxを指示する。ゲート用指示機48としては、例えば、外来車両20の荷役位置Qxが記載された印刷物を印刷する印刷機を用いてもよい。
【0023】
外来車両20はゲート13を潜ってコンテナヤード11に進入する。各ゲート13の天井には、荷役前撮像装置56が設置されている。これらは管理装置40に無線又は有線で通信可能に接続されている。
【0024】
荷役前撮像装置56は、カメラのレンズが下方に向けられて、外来車両20の上面を撮像するスチルカメラである。この実施形態では、外来車両20の上面は、少なくとも運転部20aの上面を含む部分である。荷役前撮像装置56による外来車両20の撮像画像(以下、荷役前画像IBxという)は、管理装置40の内部記憶装置に記憶される。
【0025】
門型クレーン30は、例えば、運転者が搭乗しない無人のタイヤ式門型クレーン(RTG)であって、蔵置レーン14と外来用レーン25と構内用レーン28とをx方向に跨ぎ、蔵置レーン14に沿ってy方向に移動する。門型クレーン30としては、レール式門型クレーン(RMG)を用いることもできる。この実施形態では、二台の門型クレーン30が各蔵置レーン14で荷役しているが、門型クレーン30の台数については限定されない。
【0026】
図3に例示するように、門型クレーン30は、トロリ31と、トロリ31を介して昇降する吊具32と、x方向に延設されたガーダ33と、ガーダ33の両端部のそれぞれから下方に向って延在する脚体34とを備える。この脚体34は、下端にy方向に走行する走行装置35を有する。
【0027】
門型クレーン30は、クレーン用制御装置36を有していて、このクレーン用制御装置36により自動走行が制御される。門型クレーン30は、荷役時撮像装置57と吊具用撮像装置58とを有している。
【0028】
この実施形態で、荷役時撮像装置57は、門型クレーン30のガーダ33に設置されており、カメラのレンズが下方に向けられて、門型クレーン30のガーダ33の下方を通過する、あるいは下方に停車する外来車両20の上面を撮像するビデオカメラである。荷役時撮像装置57による外来車両20の撮像画像(以下、荷役時画像IAxという)は、管理装置40の内部記憶装置に記憶される。荷役時撮像装置57としては、外来用レーン25の側方に存在している門型クレーン30の脚体34に設置されるものを用いてもよい。
【0029】
吊具用撮像装置58は、門型クレーン30の吊具32に設置されており、カメラのレンズが下方に向けられて、吊具32の下方で、荷役対象となるコンテナCの上面を撮像するビデオカメラである。吊具用撮像装置58によるコンテナCの撮像画像(以下、コンテナ画像ICxという)は、管理装置40の内部記憶装置に記憶される。
【0030】
図4に例示するように、操作装置37は、オペレータ用の表示装置37aと、トロリ31及び吊具32を操作するためのコントローラ37bとからなる。表示装置37aは、複数に分割されており、吊具用撮像装置58の撮像したコンテナ画像ICx、荷役前撮像装置56により撮像した荷役前画像IBx、及び荷役時撮像装置57により撮像した荷役時画像IAxが表示される。また、表示装置37aには、管理装置40が管理しているコンテナCの管理情報(識別情報Nx、管理番号Mx、蔵置位置Px、荷役位置Qx)が表示される。
【0031】
識別情報Nxは、ゲート用検知装置42で検出される番号であり、この実施形態では車載機44の車載機番号である。管理番号Mxは、コンテナCの固有の番号であり、所有者コードやコンテナCのサイズや種類を表す番号を含めてもよい。蔵置位置Pxは、コンテナCのコンテナヤード11における蔵置位置であり、レーン番号(蔵置レーン14の位置)、ベイ番号、ロウ番号(蔵置レーン14の横手方向(x方向))、ティア番号(蔵置レーン14の高さ方向(z方向))からなる。荷役位置Qxは、外来車両20の外来用レーン25における停車位置である。具体的に、荷役位置Qxは、レーン番号と、外来車両20の荷役対象のコンテナCの蔵置位置Pxのベイ番号(蔵置レーン14の長手方向(y方向)の位置)とを示している。
【0032】
表示装置37aの隣接した画面に荷役前画像IBxと荷役時画像IAxとを表示すると、オペレータがそれらの画像を比較し易くなり、確認作業の効率化に有効である。
【0033】
以下に、コンテナターミナル10の運用方法について、図5図6に例示するフローチャートを参照しながら説明する。コンテナターミナル10では、管理装置40及び制御装置43の指示により、各装置が荷役作業を行う。外来車両20は、外部とコンテナヤード11との間でコンテナCを運搬し、構内車両21は、コンテナヤード11と本船荷役エリア12との間でコンテナCを運搬する。岸壁クレーン16は、本船荷役エリア12に進入した構内車両21に対して荷役を行い、門型クレーン30は、蔵置レーン14に進入した外来車両20及び構内車両21に対して荷役を行う。門型クレーン30は、遠隔操作装置37により門型クレーン30のトロリ31のx方向の移動と、吊具32のz方向の昇降が制御されている。
【0034】
図5に例示するように、外部から外来車両20がゲート13に到着すると、ゲート用検知装置42は、外来車両20の識別情報Nxを検知する(S100)。次いで、管理装置40は、荷役前撮像装置56に対して、識別情報Nxを検知した外来車両20の運転部20aの上面を含む画像を撮像させる(S110)。次いで、管理装置40は、識別情報Nx、管理番号Mx、蔵置位置Px、荷役位置Qx、及び撮像画像IBxを関連付ける(S120)。次いで、管理装置40は、識別情報Nxに関連付けられた荷役位置Qxを、ゲート用指示機48により外来車両20の運転者に指示する(S130)。
【0035】
以上のステップは、ゲート用検知装置42が、外部からゲート13に到着した外来車両20の識別情報Nxを検知するごとに行われる。ゲート13が複数設置されている場合は、以上のステップが、ゲート13ごとに行われる。
【0036】
図6に例示するように、次いで、ヤード用検知装置41は、外来車両20の識別情報Nxを検知する(S200)。次いで、制御装置43は、検知した識別情報Nxに基づいて、門型クレーン30のクレーン用制御装置36に移動指令を出す(S210)。この移動指令に基づいて、クレーン用制御装置36により門型クレーン30は、荷役位置Qxに移動する。
【0037】
次いで、門型クレーン30が荷役位置Qxに到着すると、制御装置43の制御は完了して、門型クレーン30の制御が遠隔操作に切り換わる(S220)。次いで、管理装置40は、表示装置37aに対して、識別情報Nxに関連付けられた荷役前画像IBxを表示させる(S230)。次いで、荷役時撮像装置57が荷役時画像IAxを撮像して、管理装置40は、表示装置37aに対して、荷役時画像IAxを表示させる(S240)。
【0038】
オペレータは、表示装置37aに表示された荷役前画像IBxと、荷役時画像IAxとを比較して、門型クレーン30の下方に到着している外来車両20が、管理装置40の指示どおりの荷役位置Qxに到着したかを確認する。次いで、門型クレーン30の下方に到
着している外来車両20が、管理装置40の指示どおりの荷役位置Qxに到着したことを確認すると、オペレータは、その外来車両20に対してコンテナCの荷役を遠隔操作により行う。一方、門型クレーン30の下方に到着している外来車両20が、管理装置40の指示どおりの荷役位置Qxに到着していない場合に、オペレータから到着している外来車両20に対してブザーやランプなどで警告するとよい。
【0039】
次いで、管理装置40は、オペレータの遠隔操作による門型クレーン30の外来車両20に対するコンテナの荷役が完了する(S250)まで、表示装置37aに対して、荷役前画像IBxと荷役時画像IAxとを表示する。
【0040】
次いで、コンテナの荷役が完了すると、管理装置40は、表示装置37aの表示をリセットする。なお、この実施形態では、荷役時撮像装置57がビデオカメラで構成されているので、荷役時画像IAxは、門型クレーン30の制御が遠隔操作に切り換わったと同時に、表示装置37aに表示されてもよい。
【0041】
以上のように、門型クレーン30がコンテナCの荷役を行う時に、表示装置37aに対して、コンテナCの管理情報(識別情報Nx)に関連付けられた荷役前画像IBxと、荷役時撮像装置57による実際に到着している外来車両20の荷役時画像IAxを表示させるので、門型クレーン30のオペレータは、荷役前画像IBxと荷役時画像IAxとを比較することができる。これにより、実際に到着している外来車両20が、管理装置40の指示どおりに到着したか否かの確認には有利になり、指示とは異なる外来車両20に対してコンテナCを荷役することを防止できる。これに伴って、荷役効率を向上できる。
【0042】
この実施形態では、外来車両20がゲート13に到着したときに、荷役前撮像装置56によって外来車両20を撮像し、その撮像した荷役前画像IBxを利用することで、ゲート13における外来車両20の進入作業を簡略化できるので、荷役効率を向上させるには有利になる。
【0043】
荷役前撮像装置56により外来車両20を撮像するタイミングは、外来車両20がゲート13に到着したときに限定されない。このタイミングとしては、外来車両20がゲート13に到着してから荷役を行う蔵置レーン14に到着するまでの間であればよく、例えば、荷役前撮像装置56をヤード用検知装置41の近傍に設置してもよい。また、この実施形態では、荷役前撮像装置56をスチルカメラで構成したが、ビデオカメラで構成し、映像から静止画像を読み取ってもよい。
【0044】
荷役時撮像装置57により外来車両20を撮像するタイミングは、門型クレーン30の制御を遠隔操作に切り換えたときに限定されない。このタイミングとしては、外来車両20が荷役を行う蔵置レーン14に到着してから荷役位置Qxに停車している間であればよい。この実施形態では、荷役時撮像装置57をビデオカメラで構成したが、スチルカメラで構成してもよい。
【0045】
この実施形態では、荷役前撮像装置56による外来車両20の撮像画像に、少なくとも運転部20aの上面を含むので、オペレータが、各外来車両20を、運転部20aの上面の形状、色、装飾の有無、エアデフレクタの有無などにより区別することができる。
【0046】
このように、荷役前撮像装置56は、少なくとも外来車両20の運転部20aの上面を含む部分を撮像可能であればよく、外来車両20の上面の全域を撮像する必要がない。荷役前撮像装置56を複数設けて、それぞれが撮像した画像を一枚にしたり、荷役前撮像装置56を外来車両20の全長に渡って移動させてその全長を撮像したりする必要がなく、荷役前撮像装置56に掛かるコストを低減できる。
【0047】
この実施形態では、荷役前画像IBxを識別情報NxなどのコンテナCの管理情報に関連付ける構成にしたが、ヤード用検知装置41及びゲート用検知装置42の代わりに荷役前撮像装置56を用いて、荷役前画像IBxを車載機番号、ナンバープレート、RFIDなどの識別情報Nxとして用いることもできる。
【0048】
このように、荷役前撮像装置56をヤード用検知装置41及びゲート用検知装置42の代わりに用いる場合に、荷役前撮像装置56の撮像タイミングを図る装置として、車両用検知装置を用いるとよい。車両検知装置としては、コイル状に埋設された電線に電流を流すことで生じる磁界(検知範囲)をゲート13に到着した外来車両20が通過及び停車したときに変化するインダクタンスにより、その外来車両20を検知するループコイル式車両検知センサが例示できる。車両検知装置49としては、例えば、光電式車両検知センサ、磁気式車両検知センサ、超音波式車両検知センサを用いてもよい。
【0049】
また、撮像タイミングを図る方法としては、荷役前撮像装置56をビデオカメラで構成し、管理装置40に画像解析プログラムを実装して、荷役前撮像装置56に外来車両20の荷役部20bが写り込んだタイミングの静止画像を荷役前画像IBxとしてもよい。
【0050】
この実施形態では、門型クレーン30に荷役時撮像装置57と吊具用撮像装置58との両方のカメラデバイスを搭載しているが、吊具用撮像装置58に荷役時撮像装置57の機能を担わせてもよい。但し、外来車両20の確認用として、外来車両20が蔵置レーン14に到着してから停車している間で外来車両20を撮像する荷役時撮像装置57を用いると、門型クレーン30がコンテナCの荷役を開始する前に、その外来車両20を確認できる。これにより、実際に到着している外来車両20が、管理装置40の指示どおりに到着したか否かの確認には有利になる。
【0051】
図7図8に例示する第二実施形態のコンテナターミナル10は、第一実施形態に対して、無人では無く、オペレータが搭乗している有人の門型クレーン30を用いている。
【0052】
図7に例示するように、この実施形態では、門型クレーン30が、オペレータが搭乗する運転室59を有している。図8に例示するように、運転室59には、オペレータにより操作される操作装置37として、オペレータ用の表示装置37aとコントローラ37bとが設置されている。
【0053】
この実施形態では、オペレータが外来車両20に対するコンテナCの荷役作業を選択した場合に、表示装置37aに対して荷役前画像IBxを表示させる。具体的に、管理装置40から外来車両20に対するコンテナCの荷役指令が発信される、あるいは、オペレータが門型クレーン30の下方に外来車両20が停車したことを確認すると、表示装置37aに対して荷役前画像IBxを表示させる。
【0054】
このように、この実施形態では、オペレータが下方に停車した外来車両20と、表示装置37aに表示された荷役前画像IBxとを比較できる。これにより、実際に到着している外来車両20が、指示どおりに到着したか否かの確認には有利になり、指示とは異なる外来車両20に対してコンテナCを荷役することを防止できる。これに伴って、荷役効率を向上できる。
【0055】
この実施形態では、表示装置37aがモニタの例に説明したが、表示装置37aとしては、例えば、プロジェクタなどの運転室59の窓に荷役前画像IBxを表示させるものを用いてもよい。このように、運転室59の窓に直接、荷役前画像IBxを表示することで、オペレータが逐次、モニタを監視する必要がなくなり、荷役作業の安全性には有利になる。
【0056】
この実施形態でも、第一実施形態と同様に、門型クレーン30に荷役時撮像装置57を設置して、運転室59に設置された表示装置37aに荷役時画像IAxを表示させてもよい。
【0057】
また、既述した実施形態では、管理装置40と制御装置43とで制御を別々にすることで、一つあたりの情報処理負荷を低減しているが、一つの装置で制御してもよい。
【符号の説明】
【0058】
10 コンテナターミナル
11 コンテナヤード
13 ゲート
14 蔵置レーン
20 外来車両
25 外来用レーン
30 門型クレーン
37a オペレータ用の表示装置
40 管理装置
56 荷役前撮像装置
57 荷役時撮像装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8