特許第6648940号(P6648940)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6648940
(24)【登録日】2020年1月20日
(45)【発行日】2020年2月14日
(54)【発明の名称】アスファルトプラント
(51)【国際特許分類】
   E01C 19/10 20060101AFI20200203BHJP
【FI】
   E01C19/10 Z
   E01C19/10 A
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-118372(P2016-118372)
(22)【出願日】2016年6月14日
(65)【公開番号】特開2017-223021(P2017-223021A)
(43)【公開日】2017年12月21日
【審査請求日】2019年4月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000226482
【氏名又は名称】日工株式会社
(72)【発明者】
【氏名】御代 哲也
(72)【発明者】
【氏名】藤原 和也
(72)【発明者】
【氏名】小野 賢二
【審査官】 石川 信也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−256615(JP,A)
【文献】 特開2015−256615(JP,A)
【文献】 実開平06−063606(JP,U)
【文献】 米国特許第5215372(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01C 19/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のフロアを有する高架台上に振動篩と、骨材貯蔵ビンと、骨材計量槽と、ミキサとを階層状に組み込むと共に、前記ミキサ下位の少なくとも四隅に配置して高架台を支持する架台脚柱の間隔を運搬車両が前後及び左右方向から進入可能な幅とし、かつ前記高架台の側部に配置される骨材加熱用の骨材ドライヤと、加熱した骨材を前記振動篩に持ち上げる垂直搬送装置とを運搬車両が進入する前記架台脚柱間に位置しないように設置したことを特徴とするアスファルトプラント。
【請求項2】
前記高架台の最上段のフロアに前記骨材ドライヤと略平行に再生ドライヤを搭載し、前記振動篩、骨材貯蔵ビン、骨材計量槽を組み込んだ下段フロアに再生材貯蔵ビンと、再生材計量槽とを搭載し、該再生材計量槽を前記ミキサの上位に配置すると共に、前記垂直搬送装置により持ち上げた骨材を投入する振動篩の位置を前記ミキサの真上からずらすような位置関係に設置したことを特徴とする請求項1記載のアスファルトプラント。
【請求項3】
前記骨材ドライヤの骨材排出側にドラムの回転とともに骨材をドラム上部へ持ち上げる持ち上げ手段と、該持ち上げ手段にて持ち上げた骨材を流し込む開口部を有する排出シュートとを備え、該排出シュートはその開口部の位置高さによる傾斜を利用してドラム後方のドラム回転軸方向へと延出し、その先端部を前記垂直搬送装置の投入口に接続し、前記骨材ドライヤが運搬車両の進入の妨げにならないように前記架台脚柱から遠ざけて設置できるようにしたことを特徴とする請求項1または2記載のアスファルトプラント。
【請求項4】
前記持ち上げ手段は、前記骨材ドライヤのドラムの骨材排出側を拡径して流下する骨材を落とし込ませて貯留する溝部を形成し、該溝部内には貯留した骨材をドラムの回転に伴ってドラム上部へ持ち上げる持ち上げ羽根を備えてなることを特徴とする請求項3記載のアスファルトプラント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路舗装材であるアスファルト合材を製造するアスファルトプラントに関し、特に合材製造量の比較的少ない中小規模のアスファルトプラントに関する。
【背景技術】
【0002】
アスファルト合材製造工場は、例えば、需要の多い都市部近郊や高速道路製造用などとして合材の年間出荷量が10万トン以上にもなる比較的規模の大きい工場が設置されることがある一方、都市部から離間した地方などでは年間出荷量が5万トン程度、或いはそれ以下の中小規模の工場が設置されることが多い。
【0003】
前記アスファルト合材製造工場に設置されるアスファルトプラントは、高架台上に振動篩、骨材貯蔵ビン、骨材計量槽等を積み上げてなる新規合材製造用の混合タワーと、高架台上に再生ドライヤ、再生材貯蔵ビン、再生材計量槽等を積み上げてなる再生合材製造用の再生材タワーとを併設し、それぞれの計量槽にて計量した材料を下位のミキサに供給して再生材を混入したアスファルト合材を製造できるように構成しているのが一般的である(特許文献1、2参照)。
【0004】
ところで、前記混合タワーの高架台の側部には、骨材加熱用の骨材ドライヤと、該骨材ドライヤから排出される骨材を前記高架台上の振動篩に持ち上げる垂直搬送装置とが併設されるため、前記高架台に搭載されるミキサ下位の周囲の開口部のうち、少なくともその一部は前記骨材ドライヤや垂直搬送装置にて閉塞され、アスファルト合材を運搬する車両は、混合タワー側の一方向のみから進入するように設計されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平6−63606号公報
【特許文献2】特開2015−227598号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来のプラントは、敷地面積の広い大規模な工場では比較的無理なく設置できるものの、敷地面積にあまり余裕のない中小規模の工場においては、アスファルト合材を運搬する車両が混合タワー側の一方向のみから進入するように設計されていること、混合タワーと再生材タワーが平面的に重なることなく、かつ位置関係が一体不可分なものであることから、運搬車両の進入路、プラントの平面視の面積、道路に面する敷地形状及び敷地面積、骨材等の材料置き場及び運営事務所の配置、プラント機器の騒音源等を総合的に考慮すると、プラントの配置位置をいくら振り回してもプラントを好適にレイアウトすることができずにプラント設置を断念せざるを得ない状況となることもあり得る。
【0007】
本発明は上記の点に鑑み、特に中小規模のアスファルト合材製造工場にも好適に設置可能な融通性に優れたアスファルトプラントを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明に係る請求項1記載のアスファルトプラントでは、複数のフロアを有する高架台上に振動篩と、骨材貯蔵ビンと、骨材計量槽と、ミキサとを階層状に組み込むと共に、前記ミキサ下位の少なくとも四隅に配置して高架台を支持する架台脚柱の間隔を運搬車両が前後及び左右方向から進入可能な幅とし、かつ前記高架台の側部に配置される骨材加熱用の骨材ドライヤと、加熱した骨材を前記振動篩に持ち上げる垂直搬送装置とを運搬車両が進入する前記架台脚柱間に位置しないように設置したことを特徴としている。
【0009】
また、請求項2記載のアスファルトプラントでは、前記高架台の最上段のフロアに前記骨材ドライヤと略平行に再生ドライヤを搭載し、前記振動篩、骨材貯蔵ビン、骨材計量槽を組み込んだ下段フロアに再生材貯蔵ビンと、再生材計量槽とを搭載し、該再生材計量槽を前記ミキサの上位に配置すると共に、前記垂直搬送装置により持ち上げた骨材を投入する振動篩の位置を前記ミキサの真上からずらすような位置関係に設置したことを特徴としている。
【0010】
また、請求項3記載のアスファルトプラントでは、前記骨材ドライヤの骨材排出側にドラムの回転とともに骨材をドラム上部へ持ち上げる持ち上げ手段と、該持ち上げ手段にて持ち上げた骨材を流し込む開口部を有する排出シュートとを備え、該排出シュートはその開口部の位置高さによる傾斜を利用してドラム後方のドラム回転軸方向へと延出し、その先端部を前記垂直搬送装置の投入口に接続し、前記骨材ドライヤが運搬車両の進入の妨げにならないように前記架台脚柱から遠ざけて設置できるようにしたことを特徴としている。
【0011】
また、請求項4記載のアスファルトプラントでは、前記持ち上げ手段は、前記骨材ドライヤのドラムの骨材排出側を拡径して流下する骨材を落とし込ませて貯留する溝部を形成し、該溝部内には貯留した骨材をドラムの回転に伴ってドラム上部へ持ち上げる持ち上げ羽根を備えてなることを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る請求項1記載のアスファルトプラントによれば、複数のフロアを有する高架台上に振動篩と、骨材貯蔵ビンと、骨材計量槽と、ミキサとを階層状に組み込むと共に、前記ミキサ下位の少なくとも四隅に配置して高架台を支持する架台脚柱の間隔を運搬車両が前後及び左右方向から進入可能な幅とし、かつ前記高架台の側部に配置される骨材加熱用の骨材ドライヤと、加熱した骨材を前記振動篩に持ち上げる垂直搬送装置とを運搬車両が進入する前記架台脚柱間に位置しないように設置したので、運搬車両のミキサ下位への進入路の選択肢を増やせ、敷地面積にあまり余裕のない中小規模のアスファルト合材製造工場にプラントを配置する場合でもその配置の選択肢を増やすことができる。
【0013】
また、請求項2記載のアスファルトプラントによれば、前記高架台の最上段のフロアに前記骨材ドライヤと略平行に再生ドライヤを搭載し、前記振動篩、骨材貯蔵ビン、骨材計量槽を組み込んだ下段フロアに再生材貯蔵ビンと、再生材計量槽とを搭載し、該再生材計量槽を前記ミキサの上位に配置すると共に、前記垂直搬送装置により持ち上げた骨材を投入する振動篩の位置を前記ミキサの真上からずらすような位置関係に設置したので、前記振動篩をずらした分に応じて垂直搬送装置と骨材ドライヤとをミキサから遠ざけられ、運搬車両が進入する前記架台脚柱間に位置させないように配置しやすいものとなる。更には、平面視した際には、再生合材製造用の設備と新規合材製造用の設備とが平面的に重なる位置に配置することで、プラントをコンパクト化でき、敷地面積にあまり余裕のない中小規模のアスファルト合材製造工場にも配置の工夫によっては設置可能となり、融通性に優れたアスファルトプラントとなる。
【0014】
また、請求項3記載のアスファルトプラントによれば、前記骨材ドライヤの骨材排出側にドラムの回転とともに骨材をドラム上部へ持ち上げる持ち上げ手段と、該持ち上げ手段にて持ち上げた骨材を流し込む開口部を有する排出シュートとを備え、該排出シュートはその開口部の位置高さによる傾斜を利用してドラム後方のドラム回転軸方向へと延出し、その先端部を前記垂直搬送装置の投入口に接続したので、前記骨材ドライヤが運搬車両の進入の妨げにならないように前記架台脚柱から遠ざけて設置でき、運搬車両のミキサ下位への進入路をより一層確保しやすいものとなる。
【0015】
また、請求項4記載のアスファルトプラントによれば、前記持ち上げ手段は、前記骨材ドライヤのドラムの骨材排出側を拡径して流下する骨材を落とし込ませて貯留する溝部を形成し、該溝部内には貯留した骨材をドラムの回転に伴ってドラム上部へ持ち上げる持ち上げ羽根を備えてなるので、前記溝部内に貯留させた骨材を持ち上げ羽根にて確実にドラム上部まで持ち上げて排出シュート開口部へ流し込んで排出することができ、その開口部の位置高さによる傾斜を利用して骨材ドライヤを前記架台脚柱から遠ざけて設置でき、運搬車両のミキサ下位への進入路を確保しやすいものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明に係るアスファルトプラントの一実施例を示す概略正面図である。
図2図1の一部を省略したA−A断面図である。
図3図1の平面図である。
図4図1の一部を省略した要部切り掻き拡大図である。
図5図4の一部を切り掻いたB−B矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明に係るアスファルトプラントにあっては、複数のフロアを有する高架台上に、振動篩と、骨材貯蔵ビンと、骨材計量槽と、ミキサとを階層状に組み込むと共に、前記ミキサ下位の少なくとも四隅に配置して高架台を支持する架台脚柱の間隔をアスファルト合材の運搬車両が前後及び左右方向から進入可能な幅とする。また、前記高架台の側部に配置される骨材加熱用の骨材ドライヤと、加熱した骨材を前記振動篩まで持ち上げるバケットエレベータ等の垂直搬送装置とを、運搬車両が進入する前記架台脚柱間に位置しないように設置する。例えば、前記架台脚柱間に運搬車の進入を可能とするために、前記垂直搬送装置の機高が高くはなるものの、上部の排出シュートを平面視で斜めに長く伸ばした形状とすることで、垂直搬送装置の機体本体を前記架台脚柱間から遠ざけ、それに合わせて骨材ドライヤも前記架台脚柱間から遠ざけて設置することも可能である。
【0018】
また、前記高架台の最上段のフロアに前記骨材ドライヤと略平行に再生ドライヤを搭載し、前記振動篩、骨材貯蔵ビン、骨材計量槽を組み込んだ下段フロアに再生材貯蔵ビンと、再生材計量槽とを搭載し、該再生材計量槽を前記ミキサの上位に配置し、平面視した際には、再生合材製造用の設備と新規合材製造用の設備とが平面的に重なる位置に配置し、プラントのコンパクト化を図ると共に、同一の高架台上のフロアに再生合材製造用の設備と新規合材製造用の設備を設置することで、前記ミキサの設置位置や上方に位置する前記振動篩の設置位置もフロア上となり、機能を阻害しない限り多少の位置変更は可能となる。
【0019】
そこで、前記垂直搬送装置により持ち上げた骨材を投入する前記振動篩の位置を、前記再生ドライヤ直下の横長の下段フロアのスペースを利用して前記ミキサの真上からずらすような位置関係に設置し、前記振動篩へと骨材を搬送する垂直搬送装置の機体本体をミキサ位置からずらして前記架台脚柱間に位置しないようにし、運搬車両の進入を可能とする。
【0020】
また、前記骨材ドライヤの骨材排出側には、ドラムの回転とともに骨材をドラム上部へ持ち上げる持ち上げ手段と、該持ち上げ手段にて持ち上げた骨材を流し込む開口部を有する排出シュートとを備え、該排出シュートはその開口部を前記持ち上げ手段のドラム上部の旋回位置に臨ませるように配置し、その位置高さによる傾斜を利用して排出シュートの排出側をドラム後方のドラム回転軸方向であるドラム長手方向へと延出し、その先端部を前記垂直搬送装置の投入口に接続するようにすると良い。これによって、垂直搬送装置と骨材ドライヤとをドラムの長手方向へ離間させて配置することができ、それによって特に前記骨材ドライヤを運搬車両の進入の妨げにならないように前記架台脚柱から遠ざけることができる。
【0021】
なお、前記骨材ドライヤの基台高さを、例えばより高く設計するようにすれば、排出シュートの傾斜角度を骨材の排出に必要な角度に保ちながら骨材ドライヤを架台脚柱からより一層遠ざけられ、骨材ドライヤを運搬車両の進入路から余裕を持って退避させることもできる。
【0022】
また、前記持ち上げ手段としては、例えば、前記骨材ドライヤのドラムの骨材排出側を拡径してドラム内を流下する骨材を落とし込ませて一時的に貯留する溝部を形成し、該溝部内にドラムの回転に伴って貯留骨材をドラム上部の旋回位置まで持ち上げる持ち上げ羽根を所定間隔にて複数備えた構成としても良い。
【0023】
このように、上記構成のアスファルトプラントによれば、高架台に搭載されるミキサ下位の四隅の架台脚柱の間隔を少なくとも運搬車両が前後及び左右方向から進入可能な幅に構成し、かつ高架台側部に併設される骨材ドライヤと垂直搬送装置とを運搬車両が進入する前記架台脚柱間に位置しないように設置するので、運搬車両の進入路の選択肢を増やせ、特に敷地面積にあまり余裕のない中小規模のアスファルト合材製造工場などにも好適に設置可能な融通性に優れたプラントの提供が可能となる。
【0024】
また、一つの高架台上に新規合材製造用の設備と、再生合材製造用の設備とを平面的に重なる位置に配置すると、プラントのコンパクト化が図れ、かつ前記ミキサの設置位置や上方に位置する前記振動篩の設置位置もフロア上となり、それぞれの位置変更が可能となり、前記振動篩の位置を前記ミキサの真上からずらすような位置関係に設置すれば、垂直搬送装置の機体本体をミキサ位置からずらして前記架台脚柱間に位置しないようにできる。これによって、ミキサ下位への運搬車両が前後及び左右方向から進入可能となると共に、プラントのコンパクト化によって、敷地面積にあまり余裕のない中小規模のアスファルト合材製造工場にも配置の工夫によっては設置可能となり、融通性に優れたアスファルトプラントとなる。
【実施例】
【0025】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【0026】
図中の1は、道路舗装材であるアスファルト混合物を製造するアスファルトプラントのプラント本体であって、複数のフロア2a〜2dを有する高架台3を立設し、該高架台3の下段フロア2b〜2cに、加熱骨材を粒径別に篩い分ける振動篩4と、該振動篩4にて篩い分けた骨材を粒径別に貯蔵する骨材貯蔵ビン5と、該骨材貯蔵ビン5にて貯蔵した骨材を計量する骨材計量槽6と、該骨材計量槽6から排出される骨材と溶融アスファルトや石粉等の材料を混合処理するミキサ7とを上下に重ねるようにして階層状に組み込んでいる。
【0027】
また、前記高架台3の最上段のフロア2aには、前記振動篩4の直上位置に、バケットエレベータ8から供給される廃材を加熱再生処理する再生ドライヤ9を搭載していると共に、該再生ドライヤ9から排出される再生材を貯蔵する再生材貯蔵ビン10と、該再生材貯蔵ビン10から排出される再生材を計量する再生材計量槽11とを、前記振動篩4、骨材貯蔵ビン5、骨材計量槽6を組み込んだ同じ下段フロア2b〜2c内の一端側に偏らせて上下に重ねるように搭載し、かつ前記再生材計量槽11を前記ミキサ7の直上に配置し、前記再生ドライヤ9から排出される再生材が再生材貯蔵ビン10及び再生材計量槽11を経由して最下層のフロア2dに備えたミキサ7まで自重落下にて投入される構成としている。
【0028】
一方、前記高架台3の側部には、新規骨材を加熱乾燥処理する骨材ドライヤ12と、該骨材ドライヤ12から排出される加熱骨材を前記高架台3上の振動篩4へ持ち上げて供給する垂直搬送装置であるバケットエレベータ13とを併設している。
【0029】
前記骨材ドライヤ12は、基台14上に略円筒形状のドラム15を回転自在に傾斜支持し、該ドラム15の骨材投入側にはコールドホッパ16を介して骨材投入コンベヤ17と排気ダクト18とを備えている一方、骨材排出側にはホットホッパ19を介して熱風供給用のバーナ20を備えている。
【0030】
また、前記骨材ドライヤ12のドラム15の骨材排出側には、ドラム15内を流下する骨材をドラム上部へ持ち上げる後述の持ち上げ手段と、該持ち上げ手段にてドラム上部の旋回位置まで持ち上げた骨材を流し込む開口部21を有する排出シュート22とを備えている。
【0031】
前記持ち上げ手段としては、例えば、図4図5に示すように、前記ドラム15の骨材排出側を若干拡径してドラム内を流下する骨材を落とし込ませて一時的に貯留する断面略凹部形状の溝部23を形成し、該溝部23内に沿ってドラム15の回転に伴って貯留骨材をドラム上部の旋回位置まで持ち上げる、略仕切り板状の持ち上げ羽根24を所定間隔にて複数備えるようにしたものが、構成も比較的簡単でかつ骨材を確実にドラム上部へ持ち上げられて好適に採用することができる。なお、前記溝部23は必ずしも設ける必要はなく、例えば、ドラム15の骨材排出側端部の内周壁に沿って複数の持ち上げ羽根24を直接周設させるようにしても良い。
【0032】
一方、前記排出シュート22は、その基端側の開口部21を前記持ち上げ羽根24のドラム上部の旋回位置へ臨ませるように配置すると共に、この開口部21の位置高さによる傾斜を利用して排出シュート22の基端シュート部22aを前記ホットホッパ19を貫通させてドラム15後方のドラム回転軸方向であるドラム15長手方向(図1図4の左方向)へと延出し、かつその先端側の先端シュート部22bを水平に略直角に曲折して前記バケットエレベータ13の投入口へ接続するようにしている。このような構成とすることにより、従来、骨材ドライヤの骨材排出部であるホットホッパをバケットエレベータ13の投入口に対して隣接して配置する必要があったものが、前記ホットホッパ19より突出した前記基端シュート部22aの長さ分だけ(図4中のXで示される長さ分)前記骨材ドライヤ12をバケットエレベータ13からドラム15の長手方向へ離間させて配置可能なようにしている。
【0033】
また、前記高架台3に搭載されるミキサ7下位の少なくとも四隅に配置され、前記高架台3を支持する架台脚柱3a、3a’、3b、3b’の間隔を、図1図3に示すように、アスファルト合材の運搬車両Tが前後及び左右方向から進入可能な程度の幅に構成しており、この運搬車両Tの進入路である各架台脚柱3a、3a’、3b、3b’間に前記骨材ドライヤ12とバケットエレベータ13とが位置しないように配置している。
【0034】
前記骨材ドライヤ12とバケットエレベータ13とを、運搬車両Tの進入路である前記架台脚柱3a、3a’、3b、3b’間に位置させないように遠ざける手段としては、例えば、バケットエレベータ13の上部排出シュートを平面視で斜めに長く伸ばした形状とするようにしてもよいが、本実施例では、図1のプラント正面図に示すように、高架台3に搭載される振動篩4の位置をミキサ7の真上から右方向にずらすような位置関係に設置することにより、前記振動篩4に骨材を供給するバケットエレベータ13と骨材ドライヤ12の設置位置をミキサ7下位の前記架台脚柱3a、3a’、3b、3b’間から遠ざけられるように図っている。
【0035】
ここで、前記骨材貯蔵ビン5の形状を、図1に示されるように、前記ミキサ7側の側壁面5xを略垂直に形成する一方、反対側の側壁面5yを少なくとも安息角以上に傾斜させ、ビン下端部の排出ゲート5aをミキサ7側に偏心させた構成としており、このようにすることで前記骨材貯蔵ビン5の上位に配置される振動篩4の設置位置を前記ミキサ7の真上からずらして水平方向(図1の右方向)へやや遠ざけて配置しやすいようにしている。
【0036】
更に、前記のように、骨材ドライヤ12とバケットエレベータ13とをドラム15長手方向へ離間させた状態で配置可能な構成としたので、それによって前記骨材ドライヤ12をミキサ7下位の前記架台脚柱3a、3a’、3b、3b’間から一層遠ざけられ、特に前記骨材ドライヤ12の骨材排出側に突設されるバーナ20を運搬車両Tの進入路から余裕を持って退避可能としている。
【0037】
なお、前記ドラム15を支持する基台14の高さを、例えばより高く設計するようにすれば、それに伴って前記排出シュート22の開口部21の高さ位置も高くとれ、それによって排出シュート22の傾斜角度を維持しながら排出シュート22を介して接続される前記バケットエレベータ13との間隔をより一層大きくとることが可能となり、骨材ドライヤ12を運搬車両Tの進入路からより退避させやすい構成となる。
【0038】
また、前記バーナ20は、図4図5に示すように、バーナ本体25と燃焼用空気供給ファン26とを一体構造とせずに、各々を上下に分離して配置し、かつこれらバーナ本体25と燃焼用空気供給ファン26とを上下に伸びる燃焼用空気供給ダクト27にて連結しており、バーナ20の長手方向へのサイズをできるだけコンパクト化し、バーナ20のバーナ本体25や、後端部の燃焼用空気供給ファン26等が前記運搬車両Tの進入路上へよりはみ出しにくい構成としている。
【0039】
そして、上記構成のアスファルトプラントを、例えば、敷地面積にあまり余裕のない中小規模の工場に設置するときには、運搬車両の進入路、プラントの平面視の面積、道路に面する敷地形状及び敷地面積、骨材等の材料置き場及び運営事務所の配置、プラント機器の騒音源等を総合的に考慮しながら前記プラント本体1の高架台3の設置位置を決定する。
【0040】
このとき、前記高架台3に搭載されるミキサ7下位の架台脚柱3a、3a’、3b、3b’間は、その前後及び左右方向の何れからも運搬車両Tが進入可能な幅に構成し、かつ高架台3の側部に併設される骨材ドライヤ12とバケットエレベータ13とは前記架台脚柱3a、3a’、3b、3b’間に位置しないように設置するようにして運搬車両Tの進入路の選択肢を増やしているため、例えば敷地面積にあまり余裕がなくて運搬車両Tの進入路を確保できずに設置を断念するといった事態を回避できるだけでなく、運用上使い勝手の良い所望の位置に進入路を設定できるなど、プラントを工場敷地内に好適に配置することができる。
【0041】
このように、本発明のアスファルトプラントによれば、高架台3に搭載されるミキサ7下位への運搬車両Tの進入路を前後及び左右方向の選択肢の中から選択でき、特に敷地面積にあまり余裕のない中小規模のアスファルト合材製造工場などにもプラントを無理なく設置することが可能となる。また、一つの高架台3上に新規合材製造設備と再生合材製造設備とを平面的に重なる位置に配置するようにすることにより、プラント本体1のコンパクト化、省スペース化が図れると共に、前記ミキサ7の設置位置やその上方に位置する振動篩4の設置位置もフロア上を比較的自在に変更可能なものとなり、振動篩4の位置をミキサ7の真上からずらして遠ざけるように配置すれば、それに伴ってバケットエレベータ13や骨材ドライヤ12の設置位置もミキサ7の側方位置から遠ざけて配置でき、前記架台脚柱3a、3a’、3b、3b’間に位置しないようにできる。これによって、ミキサ7下位への運搬車両Tの進入路をより確保しやすいものとなると共に、プラント本体1のコンパクト化、省スペース化によって、敷地面積にあまり余裕のない中小規模の工場への設置がより一層容易なものとなる。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は、新規合材と再生合材の両方を製造可能なアスファルトプラントにおいて広く利用することができる。
【符号の説明】
【0043】
1…プラント本体 2a〜2d…フロア(高架台)
3…高架台 3a、3a’、3b、3b’…架台脚柱
4…振動篩 5…骨材貯蔵ビン
6…骨材計量槽 7…ミキサ
9…再生ドライヤ 10…再生材貯蔵ビン
11…再生材計量槽 12…骨材ドライヤ
13…バケットエレベータ(垂直搬送装置)
15…ドラム 20…バーナ
21…開口部(排出シュート) 22…排出シュート
23…溝部(持ち上げ手段) 24…持ち上げ羽根(持ち上げ手段)
図1
図2
図3
図4
図5