【実施例】
【0025】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【0026】
図中の1は、道路舗装材であるアスファルト混合物を製造するアスファルトプラントのプラント本体であって、複数のフロア2a〜2dを有する高架台3を立設し、該高架台3の下段フロア2b〜2cに、加熱骨材を粒径別に篩い分ける振動篩4と、該振動篩4にて篩い分けた骨材を粒径別に貯蔵する骨材貯蔵ビン5と、該骨材貯蔵ビン5にて貯蔵した骨材を計量する骨材計量槽6と、該骨材計量槽6から排出される骨材と溶融アスファルトや石粉等の材料を混合処理するミキサ7とを上下に重ねるようにして階層状に組み込んでいる。
【0027】
また、前記高架台3の最上段のフロア2aには、前記振動篩4の直上位置に、バケットエレベータ8から供給される廃材を加熱再生処理する再生ドライヤ9を搭載していると共に、該再生ドライヤ9から排出される再生材を貯蔵する再生材貯蔵ビン10と、該再生材貯蔵ビン10から排出される再生材を計量する再生材計量槽11とを、前記振動篩4、骨材貯蔵ビン5、骨材計量槽6を組み込んだ同じ下段フロア2b〜2c内の一端側に偏らせて上下に重ねるように搭載し、かつ前記再生材計量槽11を前記ミキサ7の直上に配置し、前記再生ドライヤ9から排出される再生材が再生材貯蔵ビン10及び再生材計量槽11を経由して最下層のフロア2dに備えたミキサ7まで自重落下にて投入される構成としている。
【0028】
一方、前記高架台3の側部には、新規骨材を加熱乾燥処理する骨材ドライヤ12と、該骨材ドライヤ12から排出される加熱骨材を前記高架台3上の振動篩4へ持ち上げて供給する垂直搬送装置であるバケットエレベータ13とを併設している。
【0029】
前記骨材ドライヤ12は、基台14上に略円筒形状のドラム15を回転自在に傾斜支持し、該ドラム15の骨材投入側にはコールドホッパ16を介して骨材投入コンベヤ17と排気ダクト18とを備えている一方、骨材排出側にはホットホッパ19を介して熱風供給用のバーナ20を備えている。
【0030】
また、前記骨材ドライヤ12のドラム15の骨材排出側には、ドラム15内を流下する骨材をドラム上部へ持ち上げる後述の持ち上げ手段と、該持ち上げ手段にてドラム上部の旋回位置まで持ち上げた骨材を流し込む開口部21を有する排出シュート22とを備えている。
【0031】
前記持ち上げ手段としては、例えば、
図4、
図5に示すように、前記ドラム15の骨材排出側を若干拡径してドラム内を流下する骨材を落とし込ませて一時的に貯留する断面略凹部形状の溝部23を形成し、該溝部23内に沿ってドラム15の回転に伴って貯留骨材をドラム上部の旋回位置まで持ち上げる、略仕切り板状の持ち上げ羽根24を所定間隔にて複数備えるようにしたものが、構成も比較的簡単でかつ骨材を確実にドラム上部へ持ち上げられて好適に採用することができる。なお、前記溝部23は必ずしも設ける必要はなく、例えば、ドラム15の骨材排出側端部の内周壁に沿って複数の持ち上げ羽根24を直接周設させるようにしても良い。
【0032】
一方、前記排出シュート22は、その基端側の開口部21を前記持ち上げ羽根24のドラム上部の旋回位置へ臨ませるように配置すると共に、この開口部21の位置高さによる傾斜を利用して排出シュート22の基端シュート部22aを前記ホットホッパ19を貫通させてドラム15後方のドラム回転軸方向であるドラム15長手方向(
図1、
図4の左方向)へと延出し、かつその先端側の先端シュート部22bを水平に略直角に曲折して前記バケットエレベータ13の投入口へ接続するようにしている。このような構成とすることにより、従来、骨材ドライヤの骨材排出部であるホットホッパをバケットエレベータ13の投入口に対して隣接して配置する必要があったものが、前記ホットホッパ19より突出した前記基端シュート部22aの長さ分だけ(
図4中のXで示される長さ分)前記骨材ドライヤ12をバケットエレベータ13からドラム15の長手方向へ離間させて配置可能なようにしている。
【0033】
また、前記高架台3に搭載されるミキサ7下位の少なくとも四隅に配置され、前記高架台3を支持する架台脚柱3a、3a’、3b、3b’の間隔を、
図1〜
図3に示すように、アスファルト合材の運搬車両Tが前後及び左右方向から進入可能な程度の幅に構成しており、この運搬車両Tの進入路である各架台脚柱3a、3a’、3b、3b’間に前記骨材ドライヤ12とバケットエレベータ13とが位置しないように配置している。
【0034】
前記骨材ドライヤ12とバケットエレベータ13とを、運搬車両Tの進入路である前記架台脚柱3a、3a’、3b、3b’間に位置させないように遠ざける手段としては、例えば、バケットエレベータ13の上部排出シュートを平面視で斜めに長く伸ばした形状とするようにしてもよいが、本実施例では、
図1のプラント正面図に示すように、高架台3に搭載される振動篩4の位置をミキサ7の真上から右方向にずらすような位置関係に設置することにより、前記振動篩4に骨材を供給するバケットエレベータ13と骨材ドライヤ12の設置位置をミキサ7下位の前記架台脚柱3a、3a’、3b、3b’間から遠ざけられるように図っている。
【0035】
ここで、前記骨材貯蔵ビン5の形状を、
図1に示されるように、前記ミキサ7側の側壁面5xを略垂直に形成する一方、反対側の側壁面5yを少なくとも安息角以上に傾斜させ、ビン下端部の排出ゲート5aをミキサ7側に偏心させた構成としており、このようにすることで前記骨材貯蔵ビン5の上位に配置される振動篩4の設置位置を前記ミキサ7の真上からずらして水平方向(
図1の右方向)へやや遠ざけて配置しやすいようにしている。
【0036】
更に、前記のように、骨材ドライヤ12とバケットエレベータ13とをドラム15長手方向へ離間させた状態で配置可能な構成としたので、それによって前記骨材ドライヤ12をミキサ7下位の前記架台脚柱3a、3a’、3b、3b’間から一層遠ざけられ、特に前記骨材ドライヤ12の骨材排出側に突設されるバーナ20を運搬車両Tの進入路から余裕を持って退避可能としている。
【0037】
なお、前記ドラム15を支持する基台14の高さを、例えばより高く設計するようにすれば、それに伴って前記排出シュート22の開口部21の高さ位置も高くとれ、それによって排出シュート22の傾斜角度を維持しながら排出シュート22を介して接続される前記バケットエレベータ13との間隔をより一層大きくとることが可能となり、骨材ドライヤ12を運搬車両Tの進入路からより退避させやすい構成となる。
【0038】
また、前記バーナ20は、
図4、
図5に示すように、バーナ本体25と燃焼用空気供給ファン26とを一体構造とせずに、各々を上下に分離して配置し、かつこれらバーナ本体25と燃焼用空気供給ファン26とを上下に伸びる燃焼用空気供給ダクト27にて連結しており、バーナ20の長手方向へのサイズをできるだけコンパクト化し、バーナ20のバーナ本体25や、後端部の燃焼用空気供給ファン26等が前記運搬車両Tの進入路上へよりはみ出しにくい構成としている。
【0039】
そして、上記構成のアスファルトプラントを、例えば、敷地面積にあまり余裕のない中小規模の工場に設置するときには、運搬車両の進入路、プラントの平面視の面積、道路に面する敷地形状及び敷地面積、骨材等の材料置き場及び運営事務所の配置、プラント機器の騒音源等を総合的に考慮しながら前記プラント本体1の高架台3の設置位置を決定する。
【0040】
このとき、前記高架台3に搭載されるミキサ7下位の架台脚柱3a、3a’、3b、3b’間は、その前後及び左右方向の何れからも運搬車両Tが進入可能な幅に構成し、かつ高架台3の側部に併設される骨材ドライヤ12とバケットエレベータ13とは前記架台脚柱3a、3a’、3b、3b’間に位置しないように設置するようにして運搬車両Tの進入路の選択肢を増やしているため、例えば敷地面積にあまり余裕がなくて運搬車両Tの進入路を確保できずに設置を断念するといった事態を回避できるだけでなく、運用上使い勝手の良い所望の位置に進入路を設定できるなど、プラントを工場敷地内に好適に配置することができる。
【0041】
このように、本発明のアスファルトプラントによれば、高架台3に搭載されるミキサ7下位への運搬車両Tの進入路を前後及び左右方向の選択肢の中から選択でき、特に敷地面積にあまり余裕のない中小規模のアスファルト合材製造工場などにもプラントを無理なく設置することが可能となる。また、一つの高架台3上に新規合材製造設備と再生合材製造設備とを平面的に重なる位置に配置するようにすることにより、プラント本体1のコンパクト化、省スペース化が図れると共に、前記ミキサ7の設置位置やその上方に位置する振動篩4の設置位置もフロア上を比較的自在に変更可能なものとなり、振動篩4の位置をミキサ7の真上からずらして遠ざけるように配置すれば、それに伴ってバケットエレベータ13や骨材ドライヤ12の設置位置もミキサ7の側方位置から遠ざけて配置でき、前記架台脚柱3a、3a’、3b、3b’間に位置しないようにできる。これによって、ミキサ7下位への運搬車両Tの進入路をより確保しやすいものとなると共に、プラント本体1のコンパクト化、省スペース化によって、敷地面積にあまり余裕のない中小規模の工場への設置がより一層容易なものとなる。