特許第6648959号(P6648959)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6648959
(24)【登録日】2020年1月20日
(45)【発行日】2020年2月19日
(54)【発明の名称】パターン性が良好なめっき品の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01B 13/00 20060101AFI20200210BHJP
   G03F 7/11 20060101ALI20200210BHJP
   G03F 7/40 20060101ALI20200210BHJP
   H01B 5/14 20060101ALI20200210BHJP
   H05K 3/18 20060101ALI20200210BHJP
【FI】
   H01B13/00 503D
   G03F7/11 503
   G03F7/40 521
   H01B5/14 B
   H05K3/18 B
【請求項の数】4
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2014-122576(P2014-122576)
(22)【出願日】2014年6月13日
(65)【公開番号】特開2016-4623(P2016-4623A)
(43)【公開日】2016年1月12日
【審査請求日】2017年5月19日
【審判番号】不服2018-12591(P2018-12591/J1)
【審判請求日】2018年9月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000077
【氏名又は名称】アキレス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001999
【氏名又は名称】特許業務法人はなぶさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】芦澤 弘樹
(72)【発明者】
【氏名】浅野 健
【合議体】
【審判長】 酒井 朋広
【審判官】 山澤 宏
【審判官】 須原 宏光
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−36478(JP,A)
【文献】 特開2014−95102(JP,A)
【文献】 特開平6−348035(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01B13/00
H05K 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材表面上に線幅が2.0μm以下のパターン化された金属膜が形成されためっき品の製造方法であって、
1)基材表面上に導電性ポリピロール微粒子とバインダーを含む塗料を塗布して厚みが0.1〜1.0μmのめっき下地層を形成する工程a1、
2)前記めっき下地層上にフォトレジスト層を形成する工程b1、
3)前記フォトレジスト層をパターン状のマスクを介して露光する工程c1、
4)前記露光の後、現像液によりパターンに従ってフォトレジスト層を除去する工程d1、
5)前記現像により露出しためっき下地層をウェットエッチングにより除去する工程e1、
6)基材上に残存するフォトレジスト層をリンス液により除去する工程f1、
7)前記残存するフォトレジスト層の除去により露出しためっき下地層について該層に含まれる導電性ポリピロール微粒子を脱ドープ処理して還元性ポリピロール微粒子に変える工程g1、及び
8)前記脱ドープ処理されためっき下地層の上に無電解めっき処理により金属めっき膜を設ける工程g2
からなる製造方法。
【請求項2】
前記フォトレジスト層は、ネガ型の感光性レジスト又はポジ型の感光性レジストよりなる請求項1記載の製造方法。
【請求項3】
基材表面上に線幅が2.0μm以下のパターン化された金属膜が形成されためっき品の製造方法であって、
1)基材表面上に還元性ポリピロール微粒子とバインダーを含む塗料を塗布して厚みが0.1〜1.0μmのめっき下地層を形成する工程a2、
2)前記めっき下地層上にフォトレジスト層を形成する工程b2、
3)前記フォトレジスト層をパターン状のマスクを介して露光する工程c2、
4)前記露光の後、現像液によりパターンに従ってフォトレジスト層を除去する工程d2、
5)前記現像により露出しためっき下地層をウェットエッチングにより除去する工程e2、
6)基材上に残存するフォトレジスト層をリンス液により除去する工程f2、及び
7)前記残存するフォトレジスト層の除去により露出しためっき下地層の上に無電解めっき処理により金属めっき膜を設ける工程g3
からなる製造方法。
【請求項4】
前記フォトレジスト層は、ネガ型の感光性レジスト又はポジ型の感光性レジストよりなる請求項記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パターン性が良好なめっき品の製造方法に関するものであり、詳細には、所望の線幅に近いパターン状の金属膜を有するめっき品を製造する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
タッチパネル等で用いられる透明導電膜やプリント配線板において、金属膜をパターニングする技術が知られている。
この透明導電膜の用途では、一般的にITO膜がよく使用されているが、抵抗値がより低い膜として、銅などの金属膜をメッシュ状にパターニングする方法が行われている。
【0003】
一方、プリント配線板の用途では、銅箔と基材を接着させた銅張積層板に対して、フォトリソグラフィーの技術を採用し、銅箔の不要な部位を溶解して回路パターンを形成する方法が通常行われている。
具体的には、例えば特許文献1(特開平09−130016号公報)に記載されているように、銅箔上にフォトレジスト(感光性樹脂)を設け、マスクを用いて露光し、現像、エッチング、レジスト剥離という方法を経て、回路パターンを形成する方法が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平09−130016号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の方法では、フォトレジストの下に銅箔が存在し、露光時、照射した紫外線等の光が銅箔により反射され、本来露光が不要な部位であるマスク下のフォトレジストの一部を露光(感光)させてしまうため、この方法を用いて透明導電膜で使用されるような細線でメッシュ状にパターニングされた金属膜を形成しようとすると、反射により露光される領域が、線幅(細線)に対して相対的に大きくなるため、マスクで設定された線幅とは異なる線幅でパターニングされた金属膜が形成されてしまうことになる。
【0006】
例えば、フォトレジストとして、ネガ型フォトレジストを用いた場合、現像後のフォトレジストの幅がマスクパターンより太くなり、そして、このようにマスクパターンの幅よりも太くなったフォトレジストの状態で、エッチング、レジスト剥離を行うと、マスクで設定された線幅よりも太い線幅でパターン化された金属膜が得られてしまい、また、ポジ型フォトレジストを用いた場合は、現像後のフォトレジストの幅が、マスクパターンより細くなり、そして、このようにマスクパターンの幅よりも細くなったフォトレジストの状態で、エッチング、レジスト剥離を行うと、マスクで設定された線幅よりも細い線幅でパターン化された金属膜が得られてしまうため、結果として、所望の線幅に近いパターン状の金属膜が形成され難くなるという問題があった。
【0007】
従って、本発明は、上記課題を解決し得る、即ち、所望の線幅に近いパターン状の金属膜を有するめっき品を製造する方法の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者等は上記課題を解決するために鋭意検討した結果、基材表面上に高分子微粒子とバインダーを含む塗料を塗布してめっき下地層を形成し、該めっき下地層上にフォトレ
ジスト層を形成し、マスクを用いて露光し、現像、エッチング、レジスト剥離を行ったところ、めっき下地層における高分子微粒子は光線反射率が低く、そのため、露光時に照射する紫外線等の光の反射量が少なくなり、結果として、現像後のフォトレジストの幅は所望の線幅と同等なものとなり、それにより、その後、無電解めっき処理を行うことにより、所望の線幅に近いパターン状の金属膜が形成されることを見出し、本発明を完成させた。
【0009】
即ち、本発明は、
[1]基材表面上にパターン化された金属膜が形成されためっき品の製造方法であって、1)基材表面上に導電性高分子微粒子とバインダーを含む塗料を塗布してめっき下地層を形成する工程a1、
2)前記めっき下地層上にフォトレジスト層を形成する工程b1、
3)前記フォトレジスト層をパターン状のマスクを介して露光する工程c1、
4)前記露光の後、現像によりパターンに従ってフォトレジスト層を除去する工程d1、5)前記現像により露出しためっき下地層をエッチングにより除去する工程e1、
6)基材上に残存するフォトレジスト層を除去する工程f1、
7)前記残存するフォトレジスト層の除去により露出しためっき下地層について該層に含まれる導電性高分子微粒子を脱ドープ処理して還元性高分子微粒子に変える工程g1、及び
8)前記脱ドープ処理されためっき下地層の上に無電解めっき処理により金属めっき膜を設ける工程g2
からなる製造方法、
[2]前記フォトレジスト層は、ネガ型の感光性レジスト又はポジ型の感光性レジストよりなる前記[1]記載の製造方法、
[3]前記エッチングは、ドライエッチング又はウェットエッチングで行われる前記[1]又は[2]記載の製造方法、
[4]前記工程a1で形成されるめっき下地層の厚みを1μm以下とする前記[1]ないし[3]の何れか1つに記載の製造方法、
[5]基材表面上にパターン化された金属膜が形成されためっき品の製造方法であって、1)基材表面上に還元性高分子微粒子とバインダーを含む塗料を塗布してめっき下地層を形成する工程a2、
2)前記めっき下地層上にフォトレジスト層を形成する工程b2、
3)前記フォトレジスト層をパターン状のマスクを介して露光する工程c2、
4)前記露光の後、現像によりパターンに従ってフォトレジスト層を除去する工程d2、5)前記現像により露出しためっき下地層をエッチングにより除去する工程e2、
6)基材上に残存するフォトレジスト層を除去する工程f2、及び
7)前記残存するフォトレジスト層の除去により露出しためっき下地層の上に無電解めっき処理により金属めっき膜を設ける工程g3
からなる製造方法、
[6]前記フォトレジスト層は、ネガ型の感光性レジスト又はポジ型の感光性レジストよりなる前記[5]記載の製造方法、
[7]前記エッチングは、ドライエッチング又はウェットエッチングで行われる前記[5]又は[6]記載の製造方法、
[8]前記工程a2で形成されるめっき下地層の厚みを1μm以下とする前記[5]ないし[7]の何れか1つに記載の製造方法、
に関する。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、所望の線幅に近いパターン状の金属膜を有するめっき品を製造することができる。
本発明の製造方法において、フォトレジストとしてネガ型のフォトレジストを用いる場合の工程図を図1(A)に示し、ポジ型のフォトレジスト用いる場合の工程図を図1(B)に示した。
ネガ型のフォトレジストを用いる図1(A)の場合、工程aにおいて基材1の平面上の全体に亘ってめっき下地層2が均一に形成され、工程bにおいてめっき下地層2上にネガ型のフォトレジスト層3aが形成され、工程cにおいて、ネガ型のマスク4aを介してネガ型のフォトレジスト層3aが露光され、工程dにおいて、現像によりネガ型のフォトレジスト層3aの露光されなかった部分が除去されてパターン状のネガ型のフォトレジスト層3aが形成され、工程eにおいて、前記現像により露出しためっき下地層2がエッチングにより除去され、工程fにおいてめっき下地層2上のネガ型のフォトレジスト層3aが除去され、工程gにおいて、露出したパターン状のめっき下地層2の上に無電解めっき処理により金属めっき膜が形成される。
ポジ型のフォトレジストを用いる図1(B)の場合、工程aにおいて基材1の平面上の全体に亘ってめっき下地層2が均一に形成され、工程bにおいてめっき下地層2上にポジ型のフォトレジスト層3bが形成され、工程cにおいて、ポジ型のマスク4bを介してポジ型のフォトレジスト層3bが露光され、工程dにおいて、現像によりポジ型のフォトレジスト層3bの露光された部分が除去されてパターン状のポジ型のフォトレジスト層3bが形成され、工程eにおいて、前記現像により露出しためっき下地層2がエッチングにより除去され、工程fにおいてめっき下地層2上のポジ型のフォトレジスト層3bが除去され、工程gにおいて、露出したパターン状のめっき下地層2の上に無電解めっき処理により金属めっき膜が形成される。
これにより、所望の線幅に近いパターン状の金属膜を有するめっき品を容易に得ることができる。
また、本発明の製造方法は、エッチング法として、ドライエッチングとウェットエッチングの何れの方法でも行うことができ、更に、高分子微粒子として、導電性微粒子と還元性微粒子の何れも使用することができるため、非常に汎用性の高い方法といえる。
【0011】
本発明の好ましい態様において、めっき下地層の厚みを1μm以下とする製造方法が挙げられる。
めっき下地層の厚みを1μm以下とすることにより、ウェットエッチング(特に、等方性)を用いて微細幅の金属膜を形成する場合であり、具体的には所望の線幅が3μm以下、より微細な幅としては2μm以下という非常に微細な幅であっても、該所望の線幅に近いパターン状の金属膜を有するめっき品の製造が可能となる。
エッチング方法として、ウェットエッチング、特に等方性のウェットエッチングを採用する場合、図2で示されるように、エッチング液6は、レジスト層3のエッジから垂直にめっき下地層2を除去するだけではなく、レジスト層3の下のめっき下地層2の内側にもエッチング液6が回り込み、めっき下地層2のサイド部分も除去してしまう (サイドエッチング、オーバーエッチング)。
これにより、形成されるめっき下地層2の幅は、現像後のレジスト層3の幅よりも細くなり、結果として、無電解めっきにより、めっき下地層上に、パターン状の金属めっき膜を形成した際、該形成されるパターン状の金属膜の線幅は、所望のパターン状の金属膜の線幅よりも細くなってしまうことになる。
上記のようなサイドエッチング、オーバーエッチングによる影響は、めっき下地層を十分に薄くすることで抑制することが可能であり、そして、めっき下地の厚みが、所望の線幅の略1/2以下である場合に、所望の線幅に近いパターン状の金属膜を有するめっき品の製造が可能となる。そのため、パターン状の金属膜の線幅が3μm以下、より微細な幅としては2μmのめっき品を製造しようとする場合、めっき下地層の厚さを1μm以下とすれば、例えエッチング方法としてウェットエッチング(等方性)を採用した場合においても、ほぼ所望の線幅を有するパターン状の金属めっき膜が形成されためっき品を製造することができ、これにより、等方性のウェットエッチングを採用した場合においても、線
幅が2μm以下となるようなファインパターンをほぼ所望の線幅で形成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の製造方法の工程を示す工程図である。
図2】ウェットエッチング(等方性)を説明する図である。
図3】実施例1で製造した、線幅1.8μmの金属めっき膜が形成されためっき品の表面の電子顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
更に詳細に本発明を説明する。
本発明の基材表面上にパターン化された金属膜が形成されためっき品の製造方法は、
1)基材表面上に導電性高分子微粒子とバインダーを含む塗料を塗布してめっき下地層を形成する工程a1、
2)前記めっき下地層上にフォトレジスト層を形成する工程b1、
3)前記フォトレジスト層をパターン状のマスクを介して露光する工程c1、
4)前記露光の後、現像によりパターンに従ってフォトレジスト層を除去する工程d1、5)前記現像により露出しためっき下地層をエッチングにより除去する工程e1、
6)基材上に残存するフォトレジスト層を除去する工程f1、
7)前記残存するフォトレジスト層の除去により露出しためっき下地層について該層に含まれる導電性高分子微粒子を脱ドープ処理して還元性高分子微粒子に変える工程g1、及び
8)前記脱ドープ処理されためっき下地層の上に無電解めっき処理により金属めっき膜を設ける工程g2
からなることを特徴とする。
【0014】
以下、工程a1ないし工程g1及びg2について順次説明する。
(1)工程a1について
工程a1は、基材表面上に導電性高分子微粒子とバインダーを含む塗料を塗布してめっき下地層を形成する工程である。
本発明に使用することができる基材としては、特に限定されないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ガラス、金属等が挙げられる。
また、基材の形状は特に限定されないが、例えば、板状、フィルム状が挙げられる。他にも、基材として、例えば、射出成形などにより樹脂を成形した樹脂成形品が挙げられる。そして、この樹脂成形品に本発明のめっき物を設けることにより、例えば、ポリイミド樹脂やポリエチレンテレフタレート樹脂からなるフィルム上に本発明のめっき物をパターン状で設けることにより、例えば、電気回路品を作成することができる。
基材の厚さは、5ないし200μmの範囲となるものが好ましく、12ないし100μmの範囲となるものがより好ましい。
【0015】
上記の塗料は、導電性高分子微粒子とバインダーを含む。
導電性高分子微粒子は、導電性を有する粒子であって、具体的には、0.01S/cm以上の導電率を有する粒子である。
また、導電性高分子微粒子としては、球形の微粒子であるものが挙げられ、その平均粒径(レーザー回析/散乱法により求められる値)は、10〜100nmとするのが好ましい。
導電性高分子微粒子としては、導電性を有するπ−共役二重結合を有する高分子であれば特に限定されないが、例えば、ポリアセチレン、ポリアセン、ポリパラフェニレン、ポ
リパラフェニレンビニレン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリチオフェン及びそれらの各種誘導体が挙げられ、好ましくは、黒色で光線反射率が低いポリピロールが挙げられる。
導電性高分子微粒子は、π−共役二重結合を有するモノマーから合成して使用する事ができるが、市販で入手できる導電性高分子微粒子を使用することもできる。
【0016】
上記導電性高分子微粒子は、通常、有機溶媒に分散された分散液として使用されるが、これらの微粒子は、分散液中における分散安定性を維持するために、固形分として該分散液の質量の10質量%以下(固形分比)となるようにするのが好ましい。
前記の微粒子を分散する有機溶媒としては、例えば、酢酸ブチル等の脂肪族エステル類、トルエン等の芳香族溶媒、メチルエチルケトン等のケトン類、シクロヘキサン等の環状飽和炭化水素類、n−オクタン等の鎖状飽和炭化水素類、メタノール、エタノール、n−オクタノール等の鎖状飽和アルコール類、安息香酸メチル等の芳香族エステル類、ジエチルエーテル等の脂肪族エーテル類及びこれらの混合物等が挙げられる。
【0017】
塗料に含まれるバインダーとしては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリメチルメタクリレート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリフェニレンオキシド系樹脂、ポリブタジエン系樹脂、ポリ(N−ビニルカルバゾール)系樹脂、炭化水素系樹脂、ケトン系樹脂、フェノキシ系樹脂、ポリアミド系樹脂、エチルセルロース系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ABS系樹脂、ウレタン系樹脂、メラミン系樹脂、アクリル系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、アルキド系樹脂、エポキシ系樹脂、シリコン系樹脂、フォトレジスト用の感光性樹脂等が挙げられる。
好ましいバインダーとしては、ポリエステル系樹脂又はメラミン系樹脂が挙げられる。
【0018】
上記導電性高分子微粒子とバインダーの固形分比(質量比)は、1:0.25ないし1:10の範囲とするのが好ましい。上記固形分比において、1:0.25よりもバインダーの固形分比が小さくなると金属めっき膜の密着性が低下して剥離が生じ易くなる傾向があり、1:10よりもバインダーの固形分比が大きくなると、めっき析出性が低下してめっきが析出し難くなる傾向がある。
【0019】
上記塗料は、上記成分に加えて無機フィラー、溶媒等を含み得る。
無機フィラーとしては、カーボン粒子が挙げられ、カーボン粒子としては、例えば、カーボンブラック等が挙げられる。
カーボン粒子としては、平均1次粒子径が1ないし100nmの範囲となるものが好ましい。
紫外線等の光の反射をより抑制できる(黒色化)という観点から、上記塗料にカーボン粒子を添加するのが好ましい。
無機フィラーを使用する際のバインダーと無機フィラー(カーボン粒子)の固形分比(質量比)は、1:1.5ないし1:30の範囲とするのが好ましい。上記固形分比において、1:1.5よりもカーボン粒子の固形分比が小さくなると金属めっき膜の光線反射を抑え難くなって、例えばタッチパネル等の透明導電膜としての視認性を確保し難くなる傾向があり、また、1:30よりもカーボン粒子の固形分比が大きくなると、めっき析出性が低下してめっきが析出し難くなる傾向がある。
【0020】
溶媒としては、特に限定されるものではないが、具体的には、酢酸ブチル等の脂肪族エステル類、トルエン等の芳香族溶媒、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン等のケトン類、シクロヘキサン等の環状飽和炭化水素類、n−オクタン等の鎖状飽和炭化水素類、メタノール、エタノール、n−オクタノール等の鎖状飽和アルコール類、安息香酸メチル等の芳香族エステル類、ジエチルエーテル等の脂肪族エーテル類及びこれらの
混合物等が挙げられる。
また、メチルセルソルブ等の多価アルコール誘導体溶媒、ミネラルスピリット等の炭化水素溶媒、ジヒドロターピネオール、D−リモネン等のテルペン類に分類される溶媒を用いることもできる。
【0021】
上記塗料は、黒色インク又は暗色インクを加えることも可能であり、更に、用途や塗布対象物等の必要に応じて、分散安定剤、増粘剤、インキバインダ等の樹脂を加えることも可能である。
上記塗料は、上述の成分を含むことにより、その溶液の粘度を50cps以上とすることが好ましい。
上記粘度が50cps未満となる場合、汎用の印刷機、例えば、スクリーン印刷法、スクリーンオフセット法、グラビア印刷法、グラビアオフセット印刷法、フレキソ印刷法、インプリント印刷法、反転印刷法、インクジェット印刷法等による印刷パターンの印刷精度が低下することがあるためである。
【0022】
上記塗料を基材表面上に塗布してめっき下地層を形成する方法としては、基材表面上に上記塗料を印刷(全面印刷)する方法が挙げられる。
尚、基材の両面にめっき下地層を形成する場合は、上記の操作を繰り返すことにより達成され得る。
前記塗料を用いる印刷(全面印刷)としては、特に限定されるものではなく、例えば、スクリーン印刷法、スクリーンオフセット法、グラビア印刷法、グラビアオフセット印刷法、フレキソ印刷法、インプリント印刷法、反転印刷法、インクジェット印刷法等が挙げられ、また、印刷方法は、各印刷機を用いる通常の印刷法によって行うことができる。
【0023】
形成するめっき下地層の厚さは、0.1ないし1.5μmの範囲とするのが好ましい。めっき下地層の厚さが0.1μm未満になると、めっき析出性が低下してめっきが析出し難くなる傾向があり、また、めっき下地層の厚さが1.5μmを超えると、細線パターン(線幅3μm以下)を形成することが困難となり易くなる傾向がある。
また、エッチング方法としてウェットエッチング(特に、等方性)を採用し且つ微細幅(例えば、2μm以下)からなるパターン状の金属膜を形成する場合には、めっき下地層の厚さを1μm以下としておくのが好ましい。
形成しようとする金属膜の線幅が微細幅で且つエッチング方法がウェットエッチング、特に、等方性である場合、該エッチング方法において不可避に発生するオーバーエッチングを少なく抑えて、所望の線幅に近いパターン状の金属膜を有するめっき品を得るためには、めっき下地層の厚さを薄く、例えば、形成する金属膜の線幅の1/2以下としておくことが要求される。
めっき下地層の厚さを1μm以下にすると、ウェットエッチング(特に、等方性)を用いて微細幅の金属膜を形成する場合であって且つ所望の線幅が3μm以下、より微細な幅としては2μm以下という非常に微細な幅であっても、該所望の線幅に近いパターン状の金属膜を有するめっき品の製造が可能となる。
【0024】
(2)工程b1について
工程b1は、工程a1で形成しためっき下地層上にフォトレジスト層を形成する工程である。
フォトレジスト層の形成は、感光性レジストを用いる慣用の方法により行うことができる。
感光性レジストとしては、以下に記載する工程e1で使用するエッチング液に溶解しない感光性レジストであれば特に限定されるものではなく、溶剤現像型又はアルカリ現像型で、シート状のドライフィルム、インク等が挙げられ、また、ネガ型の感光性レジスト、ポジ型の感光性レジストの何れを用いることもでき、また、あらゆる露光波長用のフォト
レジストを用いることができる。
上述の感光性レジストは、事前に調製して用いることもできるが、市販されているものを使用することもできる。
【0025】
上述のシート状のドライフィルムを工程a1で形成しためっき下地層上に張り付けるか又は上述の感光性レジストインクを工程a1で形成しためっき下地層上に塗布することにより、フォトレジスト層を形成することができる。
【0026】
(3)工程c1について
工程c1は、工程b1で形成したフォトレジスト層をパターン状のマスクを介して露光する工程である。
具体的には、マスクパターンを介して前記フォトレジスト層に紫外線等の光を照射することにより達成され得る。
マスクパターンは、ネガ型、ポジ型の何れでも適用できる。
照射する紫外線の光源としては、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、ハロゲンランプ、キセノンランプ、殺菌灯等の一般的に用いられる光源を用いることが出来る。
【0027】
(4)工程d1について
工程d1は、工程c1における露光の後、現像によりパターンに従ってフォトレジスト層を除去する工程である。
具体的には、工程b1で使用した感光性レジストに対応した現像液に工程c1で露光されたものを浸漬し、パターン部以外の感光性レジストを除去することにより達成される。
【0028】
(5)工程e1について
工程e1は、工程d1における現像により露出しためっき下地層をエッチングにより除去する工程である。
エッチング方法としては、工程b1で形成したフォトレジスト層を除去せず、工程a1で形成しためっき下地層のみを除去し得る方法であれば特に限定されず、ドライエッチング又はウェットエッチングの何れも使用することができ、また、等方性又は異方性の何れも使用することができる。
【0029】
ウェットエッチングとしては、例えば、エッチング液として、硝酸水溶液等の鉱酸を用いる方法が挙げられ、ドライエッチングとしては、反応ガス中に材料を曝す反応性ガスエッチングやプラズマによりガスをイオン化・ラジカル化してエッチングする反応性イオンエッチング等があるが、反応ガスとして二フッ化キセノン(X22)を用いる反応性ガスエッチングやガスとして六フッ化硫黄(SF6)、四フッ化炭素(CF4)、トリフルオロメタン(CHF3)等を用いる反応性イオンエッチング等が挙げられる。
ドライエッチング、特に異方性エッチングであるRIE方式を使用するのが好ましい。
【0030】
(6)工程f1について
工程f1は、基材上に残存するフォトレジスト層を除去する工程である。
具体的には、工程b1で使用した感光性レジストに対応したリンス液に工程e1によりエッチングされたものを浸漬し、基材上に残存する感光性レジストを除去することにより達成される。
【0031】
(7)工程g1について
工程g1は、前記残存するフォトレジスト層の除去により露出しためっき下地層について該層に含まれる導電性高分子微粒子を脱ドープ処理して還元性高分子微粒子に変える工程である。
脱ドープ処理としては、パターン化されためっき下地層が形成された基材を、還元剤、
例えば、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウム等の水素化ホウ素化合物、ジメチルアミンボラン、ジエチルアミンボラン、トリメチルアミンボラン、トリエチルアミンボラン等のアルキルアミンボラン、及び、ヒドラジン等を含む溶液で処理して還元する方法、又は、アルカリ性溶液で処理する方法が挙げられる。
【0032】
操作性及び経済性の観点からアルカリ性溶液で処理するのが好ましい。
特に、導電性高分子微粒子を含むめっき下地層は非常に薄いものであるため、緩和な条件下で短時間のアルカリ処理により脱ドープを達成することが可能である。
例えば、1M 水酸化ナトリウム水溶液中で、20ないし50℃、好ましくは30ないし40℃の温度で、1ないし30分間、好ましくは3ないし10分間処理される。
上記脱ドープ処理により、めっき下地層中に存在する導電性高分子微粒子は、還元性高分子微粒子となる。
【0033】
(8)工程g2について
工程g2は、前記脱ドープ処理されためっき下地層の上に無電解めっき処理により金属めっき膜を設ける工程である。
無電解めっき法としては、通常知られた方法に従って行うことができる。
即ち、工程g2において脱ドープ処理を施された、パターン状のめっき下地層が形成された基材を、塩化パラジウム等の触媒金属を付着させるための触媒液に浸漬した後、水洗等を行い、無電解めっき浴に浸漬することにより金属めっき膜を設けることができる。
触媒液は、無電解めっきに対する触媒活性を有する貴金属(触媒金属)を含む溶液であり、触媒金属としては、パラジウム、金、白金、ロジウム等が挙げられ、これら金属は単体でも化合物でもよく、触媒金属を含む安定性の点からパラジウム化合物が好ましく、その中でも塩化パラジウムが特に好ましい。
好ましい、具体的な触媒液としては、0.05%塩化パラジウム−0.005%塩酸水溶液(pH3)が挙げられる。
処理温度は、20ないし50℃、好ましくは30ないし40℃であり、処理時間は、0.1ないし20分、好ましくは、1ないし10分である。
上記の操作により、脱ドープ処理により還元性とされた微粒子は、該微粒子上に触媒金属が吸着され、結果的に、導電性高分子微粒子となる。
【0034】
上記で処理された基材は、金属を析出させるためのめっき液に浸され、これによりパターン状の金属めっき膜が形成される。
めっき液としては、通常、無電解めっきに使用されるめっき液であれば、特に限定されない。
即ち、無電解めっきに使用できる金属、銅、金、銀、ニッケル等、全て適用することができるが、銅が好ましい。
無電解銅めっき浴の具体例としては、例えば、ATSアドカッパーIW浴(奥野製薬工業(株)社製)等が挙げられる。
処理温度は、20ないし50℃、好ましくは30ないし40℃であり、処理時間は、1ないし30分、好ましくは、5ないし15分である。
得られためっき品は、使用した基材のTgより低い温度範囲において、数時間以上、例えば、2時間以上養生するのが好ましい。
形成されるパターン状の金属めっき膜の厚さは、100ないし2000nmの範囲とするのが好ましく、200ないし500nmの範囲とするのがより好ましい。
【0035】
また、必要に応じて、無電解めっき法により形成されたパターン状の金属めっき膜上に、電解めっき法による金属めっき膜を形成してもよく、また、黒化処理を行うこともできる。
パターン状の金属めっき膜表面の黒化処理は、酸化処理(例えば、亜塩素酸ナトリウム
、水酸化ナトリウム及びリン酸三ナトリウムの水溶液を用いる酸化処理)等を行って、例えば、CuO膜を形成することにより達成され得る。
【0036】
上記の製造方法により、基材表面上にパターン化された金属膜が形成されためっき品が製造される。
得られためっき品の導電率は、通常1.0Ω/□以下となる。
また、金属めっき膜において形成される線の幅は視認性の観点から、10μm以下とするのが好ましい。
また、得られためっき品は、視認性の観点から、380〜780nmにおける平均光線反射率を10%以下とするのが好ましい。
【0037】
本発明の基材表面上にパターン化された金属膜が形成されためっき品の製造方法としては、
1)基材表面上に還元性高分子微粒子とバインダーを含む塗料を塗布してめっき下地層を形成する工程a2、
2)前記めっき下地層上にフォトレジスト層を形成する工程b2、
3)前記フォトレジスト層をパターン状のマスクを介して露光する工程c2、
4)前記露光の後、現像によりパターンに従ってフォトレジスト層を除去する工程d2、5)前記現像により露出しためっき下地層をエッチングにより除去する工程e2、
6)基材上に残存するフォトレジスト層を除去する工程f2、及び
7)前記残存するフォトレジスト層の除去により露出しためっき下地層の上に無電解めっき処理により金属めっき膜を設ける工程g3
からなることを特徴とする方法にも関する。
【0038】
工程a2は、上記で説明した工程a1における導電性高分子微粒子に代えて還元性高分子微粒子を用いる以外は、全く同様の条件で行うことができる。
還元性高分子微粒子としては、0.01S/cm未満の導電率を有するπ−共役二重結合を有する高分子であれば特に限定されないが、例えば、ポリアセチレン、ポリアセン、ポリパラフェニレン、ポリパラフェニレンビニレン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリチオフェン及びそれらの各種誘導体が挙げられ、好ましくは、黒色で光線反射率が低いポリピロールが挙げられる。
また、還元性高分子微粒子としては、0.005S/cm以下の導電率を有する高分子微粒子が好ましい。
還元性高分子微粒子は、π−共役二重結合を有するモノマーから合成して使用する事ができるが、市販で入手できる還元性高分子微粒子を使用することもできる。
還元性高分子微粒子は、有機溶媒に分散された分散液として使用されるが、該還元性高分子微粒子は、分散液中における分散安定性を維持するために、固形分として該分散液の質量の10質量%以下(固形分比)となるようにするのが好ましい。
また、還元性高分子微粒子としては、球形の微粒子であるものが挙げられ、その平均粒径(レーザー回析/散乱法により求められる値)は、10〜100nmとするのが好ましい。
【0039】
工程b2ないし工程f2は、それぞれ、上記で説明した工程b1ないし工程f1と全く同様の条件で行うことができる。
また、この製造方法は、還元性高分子微粒子を用いるものであるため、上記で説明した工程g1、即ち、導電性高分子微粒子を還元性高分子微粒子に変える脱ドープ処理の工程を必要としない。
そして、工程g3は、上記で説明した工程g2と全く同様の条件で行うことができる。
【0040】
また、必要に応じて、無電解めっき法により形成されたパターン状の金属めっき膜上に
、電解めっき法による金属めっき膜を形成してもよく、また、黒化処理を行うこともできる。
パターン状の金属めっき膜表面の黒化処理は、酸化処理(例えば、亜塩素酸ナトリウム、水酸化ナトリウム及びリン酸三ナトリウムの水溶液を用いる酸化処理)等を行って、例えば、CuO膜を形成することにより達成され得る。
【0041】
上記の製造方法により、基材表面上にパターン化された金属膜が形成されためっき品が製造される。
得られためっき品の導電率は、通常1.0Ω/□以下となる。
また、金属めっき膜において形成される線の幅は視認性の観点から、10μm以下とするのが好ましい。
また、得られためっき品は、視認性の観点から、380〜780nmにおける平均光線反射率を10%以下とするのが好ましい。
【実施例】
【0042】
次に、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
製造例1:導電性ポリピロール塗料の調製
アニオン性界面活性剤ペレックスOT−P(花王(株)製)1.5mmol、トルエン10mL、イオン交換水100mLを加えて20℃に保持しつつ乳化するまで撹拌した。得られた乳化液にピロールモノマー21.2mmolを加え、1時間撹拌し、次いで過硫酸アンモニウム6mmolを加えて2時間重合反応を行った。反応終了後、有機相を回収し、イオン交換水で数回洗浄して、トルエンに分散した導電性ポリピロール微粒子を得た。ここで得られたトルエン分散液中の導電性ポリピロール微粒子の固形分は、約5.0%であった。
ここに、バインダーとしてスーパーベッカミンJ−820(DIC(株)製)を加え、ポリピロール:バインダー樹脂=1:3、固形分約5.0%となる導電性ポリピロール塗料を調製した。
【0043】
製造例2:還元性ポリピロール塗料の調製
アニオン性界面活性剤ペレックスOT−P(花王(株)製)0.42mmol、ポリオキシエチレンアルキルエーテル系ノニオン界面活性剤エマルゲン409P(花王(株)製)2.1mmol、トルエン10mL、イオン交換水100mLを加えて20℃に保持しつつ乳化するまで撹拌した。得られた乳化液にピロールモノマー21.2mmolを加え、1時間撹拌し、次いで過硫酸アンモニウム6mmolを加えて2時間重合反応を行った。反応終了後、有機相を回収し、イオン交換水で数回洗浄して、トルエンに分散した還元性能を有する還元性ポリピロール微粒子を得た。ここで得られたトルエン分散液中のポリピロール微粒子の固形分は、約5.0%であった。
ここに、バインダーとしてスーパーベッカミンJ−820(DIC(株)製)をポリピロール:バインダー樹脂=1:3(ポリピロール、バインダー樹脂ともに固形分換算した場合の質量比)となる割合にて加え、さらにトルエンを加えて固形分(ポリピロール及びバインダー樹脂)の濃度を調整し、該固形分約5.0%となる還元性ポリピロール塗料を調製した。
【0044】
実施例1
[工程a1]
製造例1で調製した導電性ポリピロール塗料を、PETフィルム(東洋紡(株)製のコスモシャインA4100)にバーコーターで薄く塗工し、120℃で5分乾燥して、厚みが1μmのめっき下地層を得た。
[工程b1]
続いて、塗膜上にネガ型感光性レジストOMR−83(東京応化工業(株)製)をバーコーターにてコーティングし、85℃で30分乾燥して、厚みが1μmのレジスト層を得た。
[工程c1]
続いて、L/S=2μm/100μmのパターンを持つマスクを用いて、高圧水銀灯にて露光した。
[工程d1]
続いて、OMR現像液(東京応化工業(株)製)に1分間浸漬して現像を行い、レジストパターンを形成した。
[工程e1]
続いて、露出しためっき下地層を10%硝酸液中に40℃で3分間浸漬して除去した。[工程f1]
続いて、OMRリンス液(東京応化工業(株)製)に1分間浸漬してレジスト層を剥離して、パターン状のめっき下地層を得た。
[工程g1]
上記工程f1で作成した塗膜が形成されたフィルムを、1M水酸化ナトリウム溶液に35℃で5分間浸漬して表面処理(脱ドープ処理)を行った。
[工程g2]
次に、0.02%塩化パラジウム−0.01%塩酸水溶液に35℃で5分間浸漬後、イオン交換水で水洗した。次に、フィルムを無電解めっき浴ATSアドカッパーIW浴(奥野製薬工業(株)製)に浸漬して、35℃で10分間浸漬し、銅めっきを施してめっき品を製造した。
図3に、実施例1で製造した、線幅1.8μmの金属めっき膜が形成されためっき品の表面の電子顕微鏡写真を示した。
【0045】
実施例2
実施例1で使用したレジストを、ポジ型感光性レジスト(ロームアンドハース(株)製のS1805)に変更し、現像液を(KOH現像液)に変更し及び剥離液を(NaOH剥離液)に変更した以外は、実施例1と同じ方法でめっき品を製造した。
【0047】
実施例4
導電性ポリピロール塗料に代えて、製造例2で調製した還元性ポリピロール塗料を用い及び脱ドープ処理(実施例1の工程g1に相当する)を行わなかったこと以外は、実施例1と同じ方法にてめっき品を製造した。
【0048】
比較例1
[銅張積層板の作製]
ケミットK−1294(東レ(株)製)100重量部、スタフィックス(富士写真フィルム(株)製)20重量部、エピコートEp871(ジャパンエポキシレジン(株)製)50重量部を、モノクロルベンゼンおよびメチルイソブチルケトンの混合溶媒に混合させ、固形分25%の接着剤を作製した。
続いて、作製した接着剤をPETフィルム(東洋紡(株)製のコスモシャインA4100)へ厚み5μmとなるようにコーティングし、厚み9μmの銅箔F−WS (古河電工工業(株)製)をラミネートし、オーブンにて乾燥させて銅張積層板を作製した。
[フォトエッチング]
続いて、銅張積層板上に、ネガ型感光性レジストOMR−83(東京応化工業(株)製)をバーコーターにてコーティングし、85℃で30分乾燥して、厚みが1μmのレジスト層を得た。
続いて、L/S=2μm/100μmのパターンを持つマスクを用いて、高圧水銀灯にて露光した。
続いて、OMR現像液(東京応化工業(株)製)に1分間浸漬して現像を行い、レジストパターンを形成した。
続いて、露出した銅を塩化第二鉄水溶液からなるエッチング液に3分間浸漬して除去した。
その結果、オーバーエッチングにより、銅箔が消失し、パターン状の金属膜を有するめっき品を得ることはできなかった。
【0049】
比較例2
比較例1で用いた銅張積層板上に、ポジ型感光性レジスト(ロームアンドハース(株)製のS1805)をバーコーターにてコーティングし、100℃で10分乾燥して、厚みが1μmのレジスト層を得た。
続いて、L/S=2μm/100μmのパターンを持つマスクを用いて、高圧水銀灯にて露光した。
続いて、KOH現像液に1分間浸漬して現像を行い、レジストパターンを形成した。
その結果、「現像後のフォトレジスト」が消失したため、それ以降の工程(エッチング、フォトレジストの剥離)を行わなかった(結果として、パターン状の金属膜を得ることができなかった。)。
【0050】
比較例3
銅張積層板に変えて、PETフィルム(東洋紡(株)製のコスモシャインA4100)上へ銅を1μmの厚みでスパッタリングした以外は、比較例1と同じ方法にてパターン状の銅膜を有するめっき品を製造した。
【0051】
試験例1
実施例1、2、4及び比較例1、3で製造しためっき品における、現像後のフォトレジスト幅及び実施例1、2、4及び比較例3で製造しためっき品における、パターン状の金属めっき幅を測定して表1に示した。
尚、測定方法は以下に示した通りである。
また、表1中、A1、A2及びBは以下を意味する。
A1:導電性ポリピロール微粒子
A2:還元性ポリピロール微粒子
B:スーパーベッカミンJ−820(DIC(株)製)
<測定方法>
1.現像後のフォトレジスト幅の測定
現像後のフォトレジスト幅をマイクロスコープ((株)松電舎製のSHP200PC3S)にて拡大観察して測長した。
2.パターン状の金属めっき幅の測定
最終的な金属膜幅をマイクロスコープ((株)松電舎製のSHP200PC3S)にて拡大観察して測長した。
【表1】
【0052】
結果:
実施例1、2、4における現像後のフォトレジスト幅は、何れの場合も、マスクで設定された線幅と同一(2.0μm)となったが、これは、めっき下地層からの反射による感光がなかったことを意味する。
また、エッチングとして、ウェットエッチング(等方性)を採用する実施例1、2、4では、若干のオーバーエッチングにより金属めっき膜の線幅が減少したものの、減少した量は少なく(2.0μm→1.8μm)、結果として得られたパターン状の金属めっき膜の幅は、ほぼ所望の線幅に近いものであった(例えば、図3参照)
較例1は、レジスト層の下の層が銅箔であるため、露光時に該銅箔による反射があり、また、レジスト層は、ネガ型の感光性レジストよりなるものであるため、「現像後のフォトレジスト幅」は、マスクで設定された線幅よりも太くなった(2.0μm→4.0μm)。
また、比較例1は、銅張り積層板の銅箔厚みが9.0μmと、マスクで設定された線幅である2.0μmよりも遥かに厚いものであり且つウェットエッチング(等方性)を採用しているため、オーバーエッチングにより銅箔が消失した。
比較例2は、レジスト層の下の層が銅箔であるため、露光時に該銅箔による反射があり、また、レジスト層は、ポジ型の感光性レジストよりなるものであるため、「現像後のフォトレジスト幅」は、マスクで設定された線幅よりも細くなってフォトレジストが全て消失したため、パターン状の金属膜を得ることはできず、また、この理由からエッチング処理以降の処理は行わなかった。
比較例3は、レジスト層の下の層が銅膜であるため、露光時に該銅膜による反射があり、また、レジスト層は、ネガ型の感光性レジストよりなるものであるため、「現像後のフォトレジスト幅」は、マスクで設定された線幅よりも太くなった(2.0μm→4.0μm)。
また、比較例3は、スパッタリングで形成した銅膜の厚みが1.0μmと、現像後のフォトレジスト幅である4.0μmよりもかなり薄いため、続くウェットエッチング処理(等方性)においても、若干オーバーエッチングがあっただけで、パターン状の金属めっき膜が得られた。しかし、パターン状の金属めっき膜の幅は、所望の線幅ではなかった(2.0μm→3.5μm)。

【符号の説明】
【0053】
1:基材
2:めっき下地層
3:フォトレジスト層
3a:ネガ型のフォトレジスト層
3b:ポジ型のフォトレジスト層
4a:ネガ型のマスク
4b:ポジ型のマスク
5:金属めっき膜
6:エッチング液
図1
図2
図3