特許第6648982号(P6648982)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6648982ひび割れ印刷又は塗装物及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6648982
(24)【登録日】2020年1月20日
(45)【発行日】2020年2月19日
(54)【発明の名称】ひび割れ印刷又は塗装物及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B32B 3/30 20060101AFI20200210BHJP
   B05D 1/26 20060101ALI20200210BHJP
   B32B 33/00 20060101ALI20200210BHJP
   C09D 201/00 20060101ALI20200210BHJP
   C09D 7/20 20180101ALI20200210BHJP
   C09D 7/61 20180101ALI20200210BHJP
   C09D 5/28 20060101ALI20200210BHJP
   B41M 1/40 20060101ALI20200210BHJP
【FI】
   B32B3/30
   B05D1/26 Z
   B32B33/00
   C09D201/00
   C09D7/20
   C09D7/61
   C09D5/28
   B41M1/40 Z
【請求項の数】4
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2015-92471(P2015-92471)
(22)【出願日】2015年4月29日
(65)【公開番号】特開2016-210005(P2016-210005A)
(43)【公開日】2016年12月15日
【審査請求日】2018年2月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000111890
【氏名又は名称】パイロットインキ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】佐久間 智美
【審査官】 藤田 雅也
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭57−024248(JP,A)
【文献】 特開昭53−093908(JP,A)
【文献】 特開平04−067503(JP,A)
【文献】 特開平05−200964(JP,A)
【文献】 特開昭59−102887(JP,A)
【文献】 特開2006−056000(JP,A)
【文献】 特開平09−099530(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00− 43/00
B05D 1/00− 7/26
C09D 1/00− 10/00
11/00− 13/00
101/00−201/10
B41M 1/00− 3/18
7/00− 9/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも凹部を有する支持体上に印刷又は塗装により被膜を設けてなり、前記被膜は、凹部に沿ったひび割れ模様と、不規則なひび割れ模様とを有し、前記被膜中に可逆変色性材料を含有してなるひび割れ印刷又は塗装物。
【請求項2】
前記可逆変色性材料が可逆熱変色性材料又は可逆光変色性材料から選ばれる請求項1記載のひび割れ印刷又は塗装物。
【請求項3】
前記被膜が光透過性を有する請求項1又は2記載のひび割れ印刷又は塗装物。
【請求項4】
少なくとも凹部を有する支持体上に、無機顔料、樹脂、溶剤とから少なくともなる液状組成物を用いて印刷又は塗装して被膜を形成し、前記被膜をひび割れさせて凹部に沿ったひび割れ模様と、不規則なひび割れ模様とを形成するひび割れ印刷又は塗装物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はひび割れ印刷又は塗装物及びその製造方法に関する。更に詳細にはひび割れ模様を有する印刷又は塗装物及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ひび割れ模様の被膜を形成するための美爪料と、それを用いてひび割れ模様の被膜を爪に設けることが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
また、模様付設体の表面に設けられた外側被膜層をひび割れさせるひび割れ模様の付設方法、ひび割れ模様付設体が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
前記美爪料、ひび割れ模様付設体は、表面に不規則なひび割れ模様が形成されるとしても、不規則な模様のみでは意外性に乏しく、用途によっては利用を制限されることがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−147440号公報
【特許文献2】特開2006−56000号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、この種のひび割れ印刷又は塗装物の不具合を解消しようとするものであって、不規則な模様と支持体の凹部に沿ったひび割れ模様を備えて意外性を有すると共に、用途に富むひび割れ印刷又は塗装物及びその製造方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、少なくとも凹部を有する支持体上に印刷又は塗装により被膜を設けてなり、前記被膜は、凹部に沿ったひび割れ模様と、不規則なひび割れ模様とを有し、前記被膜中に可逆変色性材料を含有してなるひび割れ印刷又は塗装物を要件とする。
更には、前記可逆変色性材料が可逆熱変色性材料又は可逆光変色性材料から選ばれること、前記被膜が光透過性を有すること等を要件とする。
更には、少なくとも凹部を有する支持体上に、無機顔料、樹脂、溶剤とから少なくともなる液状組成物を用いて印刷又は塗装して被膜を形成し、前記被膜をひび割れさせて凹部に沿ったひび割れ模様と、不規則なひび割れ模様とを形成するひび割れ印刷又は塗装物の製造方法を要件とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、不規則なひび割れ模様と支持体の凹部に沿ったひび割れ模様が視認され、意外性を有すると共に、種々の用途に適用可能な応用性に富むひび割れ印刷又は塗装物及びその製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】ひび割れ印刷又は塗装物の参考例の正面図である。
図2】本発明のひび割れ印刷又は塗装物の実施例の正面図である。
図3図2のひび割れ印刷又は塗装物の可逆変色性材料が消色した状態を示す正面図である。
図4図2のひび割れ印刷又は塗装物の縦断面説明図である。
図5】加熱消色型の可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料の変色挙動を示す説明図である。
図6】色彩記憶性を有する加熱消色型の可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料の変色挙動を示す説明図である。
図7】加熱発色型の可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料の変色挙動を示す説明図である。
【0008】
本発明は、凹部を有する支持体上に被膜を設けてなり、前記被膜は、凹部に沿ったひび割れ模様と、不規則なひび割れ模様とを有するひび割れ印刷又は塗装物である。
前記凹部は、支持体に直線形状、曲線形状、或いは、それらの組み合わせからなる規則的な溝を設けて凹部を形成したり、支持体上に凸部を形成し、支持体と凸部の周囲を凹部とすることができる。
前記支持体上に凹部を形成する方法としては、支持体の成形時に形成したり、或いは、支持体を切削、溶融等により形成したり、支持体同士を固着して形成したり、支持体に塗膜等を設けて形成することができる。
なお、前記凹部は支持体上に規則的に配置することが好ましい。
前記凹部を有する支持体としては、紙、合成紙、編布、織布、不織布等の布帛、合成皮革、天然皮革、ゴム、プラスチック、ガラス、陶磁器、金属、木材、石材等が用いられる。又、形態としては平面状の形態であってもよいし、立体形状の形態であってもよい。
前記支持体中には着色剤を含有させたり、支持体上に着色剤を含む着色層を設けてもよい。
なお、前記着色層は着色像であってもよく、絵柄、図柄、模様、文字、記号等の像が挙げられる。
【0009】
前記支持体上には、ひび割れ模様を形成するための被膜を設けてなる。
前記被膜は、無機顔料と溶剤とから少なくともなる液状組成物を支持体上に印刷又は塗装し、乾燥時に被膜をひび割れさせてひび割れ模様の被膜が形成される。
【0010】
前記無機顔料は、溶剤が揮発する過程でひび割れた被膜を生じさせるために添加されるものであり、二酸化ケイ素、二酸化チタン、二酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、酸化マグネシウム、酸化クロム、酸化鉄、酸化亜鉛、炭酸カルシウム等が用いられる。
【0011】
前記溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ミネラルスピリット、ソルベッソ、ヘプタン、シクロヘキサノン、アセトン、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、エチレングリコールジメチルエーテル、メチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブ、エタノール、プロパノール、ブタノール等の有機溶剤、水が挙げられる。
【0012】
更に、必要により液状組成物中に樹脂を添加することもできる。
前記樹脂は、水溶性或いは油溶性の樹脂のいずれであってもよいが、油溶性の樹脂が好適に用いられる。
前記樹脂として具体的には、アイオノマー樹脂、イソブチレン−無水マレイン酸樹脂共重合樹脂、アクリロニトリル−アクリリックスチレン共重合樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合樹脂、アクリロニトリル塩素化ポリエチレン−スチレン共重合樹脂、エチレン−塩化ビニル共重合樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン−酢酸ビニル−塩化ビニルグラフト共重合樹脂、塩化ビニリデン樹脂、塩化ビニル樹脂、塩素化塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合樹脂、塩素化ポリエチレン樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ハイインパクトポリスチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリメチルスチレン樹脂、ポリアクリル酸エステル樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、エポキシアクリレート樹脂、アルキルフェノール樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、ロジン変性アルキド樹脂、フェノール樹脂変性アルキド樹脂、エポキシ樹脂変性アルキド樹脂、スチレン変性アルキド樹脂、アクリル変性アルキド樹脂、アミノアルキド樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アルキッド樹脂、天然ゴム、ポリイソブチレン、ブチルゴム、ポリビニルアルキルエーテル、ロジン、ロジンエステル、ロジン誘導体、ポリテルペン樹脂、油溶性フェノール樹脂、石油系炭化水素樹脂、シェラック、環化ゴム、酢酸ビニル系エマルジョン樹脂、スチレン−ブタジエン系エマルジョン樹脂、アクリル酸エステル系エマルジョン樹脂、水性シリコンゴムエマルジョン樹脂、水溶性アルキド樹脂、水溶性メラミン樹脂、水溶性尿素樹脂、水溶性フェノール樹脂、水溶性エポキシ樹脂、水溶性ポリブタジエン樹脂、酢酸セルローズ、硝酸セルローズ、エチルセルローズ等を挙げることができる。
又、前記樹脂は、1種又は2種以上を併用することができる。
【0013】
更に、前記液状組成物中に染料や顔料を含有させることもできる。
前記染料としては、酸性染料、塩基性染料、直接染料が挙げられ、顔料としては、カーボンブラック、群青などの無機顔料、フタロシアニン系、アゾ系、アンスラキノン系、ジケトピロロピロール系、キナクリドン系、イソインドリノン系等の有機顔料が挙げられる。
蛍光顔料としては、各種蛍光染料を樹脂マトリックス中に固溶体化した合成樹脂微細粒子状の蛍光顔料が使用できる。
【0014】
更に、前記液状組成物中に可逆変色性材料を含有させることもできる。
前記可逆変色性材料としては、可逆熱変色性材料や可逆光変色性材料が挙げられる。
前記可逆熱変色性材料としては、AgHgIやCuHgI等の無機材料、液晶、電子供与性呈色性有機化合物と、電子受容性化合物と、前記両者の呈色反応を可逆的に生起させる有機化合物媒体との三成分を含む加熱消色型の可逆熱変色性材料、或いは、電子供与性呈色性有機化合物と、電子受容性化合物と、前記両者の呈色反応を可逆的に生起させる有機化合物媒体との三成分を含む加熱発色型の可逆熱変色性材料が用いられる。
そのうち、電子供与性呈色性有機化合物と、電子受容性化合物と、前記両者の呈色反応を可逆的に生起させる有機化合物媒体を含む可逆熱変色性材料について説明する。
前記可逆熱変色性材料は、(イ)電子供与性呈色性有機化合物、(ロ)電子受容性化合物、(ハ)前記両者の呈色反応の生起温度を決める反応媒体からなる可逆熱変色性組成物を内包させた有色から無色に変色する可逆熱変色性マイクロカプセル顔料(可逆熱変色性顔料)が挙げられる。
前記可逆熱変色性組成物としては、特公昭51−44706号公報、特公昭51−44707号公報、特公平1−29398号公報等に記載された、所定の温度(変色点)を境としてその前後で変色し、高温側変色点以上の温度域で消色状態、低温側変色点以下の温度域で発色状態を呈し、前記両状態のうち常温域では特定の一方の状態しか存在せず、もう一方の状態は、その状態が発現するのに要した熱又は冷熱が適用されている間は維持されるが、前記熱又は冷熱の適用がなくなれば常温域で呈する状態に戻る、ヒステリシス幅が比較的小さい特性(ΔH=1〜7℃)を有する加熱消色型(加熱により消色し、冷却により発色する)の可逆熱変色性組成物を適用できる(図5参照)。
【0015】
また、特公平4−17154号公報、特開平7−179777号公報、特開平7−33997号公報、特開平8−39936号公報等に記載されている大きなヒステリシス特性(ΔH=8〜50℃)を示す、即ち、温度変化による着色濃度の変化をプロットした曲線の形状が、温度を変色温度域より低温側から上昇させていく場合と逆に変色温度域より高温側から下降させていく場合とで大きく異なる経路を辿って変色し、完全発色温度(t)以下の低温域での発色状態、又は完全消色温度(t)以上の高温域での消色状態が、特定温度域〔t〜tの間の温度域(実質的二相保持温度域)〕で色彩記憶性を有する加熱消色型(加熱により消色し、冷却により発色する)の可逆熱変色性組成物も適用できる(図6参照)。
【0016】
前記可逆熱変色性組成物の色濃度−温度曲線におけるヒステリシス特性について説明する。
図6において、縦軸に色濃度、横軸に温度が表されている。温度変化による色濃度の変化は矢印に沿って進行する。ここで、Aは完全消色状態に達する温度t(以下、完全消色温度と称す)における濃度を示す点であり、Bは消色を開始する温度t(以下、消色開始温度と称す)における濃度を示す点であり、Cは発色を開始する温度t(以下、発色開始温度と称す)における濃度を示す点であり、Dは完全発色状態に達する温度t(以下、完全発色温度と称す)における濃度を示す点である。
変色温度域は前記tとt間の温度域であり、着色状態と消色状態のいずれかの状態を呈することができ、色濃度の差の大きい領域であるtとtの間の温度域が実質変色温度域である。
また、線分EFの長さが変色のコントラストを示す尺度であり、線分EFの中点を通る線分HGの長さがヒステリシスの程度を示す温度幅(以下、ヒステリシス幅ΔHと記す)であり、このΔH値が小さいと変色前後の両状態のうち常温域では特定の一方の状態しか存在しえない。また、前記ΔH値が大きいと変色前後の各状態の保持が容易となる。
【0017】
以下に可逆熱色性組成物の(イ)、(ロ)、(ハ)成分について説明する。
(イ)成分である電子供与性呈色性有機化合物としては、ジフェニルメタンフタリド類、フェニルインドリルフタリド類、インドリルフタリド類、ジフェニルメタンアザフタリド類、フェニルインドリルアザフタリド類、フルオラン類、スチリノキノリン類、ジアザローダミンラクトン類、ピリジン類、キナゾリン類、ビスキナゾリン類等が挙げられる。
以下にこれらの化合物を例示する。
3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、
3−(4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、
3,3−ビス(1−n−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、
3,3−ビス(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、
3−〔2−エトキシ−4−(N−エチルアニリノ)フェニル〕−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、
3,6−ジフェニルアミノフルオラン、
3,6−ジメトキシフルオラン、
3,6−ジ−n−ブトキシフルオラン、
2−メチル−6−(N−エチル−N−p−トリルアミノ)フルオラン、
3−クロロ−6−シクロヘキシルアミノフルオラン、
2−メチル−6−シクロヘキシルアミノフルオラン、
2−(2−クロロアミノ)−6−ジブチルアミノフルオラン、
2−(2−クロロアニリノ)−6−ジ−n−ブチルアミノフルオラン、
2−(3−トリフルオロメチルアニリノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、
2−(N−メチルアニリノ)−6−(N−エチル−N−p−トリルアミノ)フルオラン、
1,3−ジメチル−6−ジエチルアミノフルオラン、
2−クロロ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、
2−アニリノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、
2−アニリノ−3−メトキシ−6−ジエチルアミノフルオラン、
2−アニリノ−3−メチル−6−ジ−n−ブチルアミノフルオラン、
2−アニリノ−3−メトキシ−6−ジ−n−ブチルアミノフルオラン、
2−キシリジノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、
1,2−ベンツ−6−ジエチルアミノフルオラン、
1,2−ベンツ−6−(N−エチル−N−イソブチルアミノ)フルオラン、
1,2−ベンツ−6−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)フルオラン、
2−(3−メトキシ−4−ドデコキシスチリル)キノリン、
スピロ〔5H−(1)ベンゾピラノ(2,3−d)ピリミジン−5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕−3′−オン、
2−(ジエチルアミノ)−8−(ジエチルアミノ)−4−メチル−スピロ〔5H−(1)ベンゾピラノ(2,3−g)ピリミジン−5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕−3−オン、
2−(ジ−n−ブチルアミノ)−8−(ジ−n−ブチルアミノ)−4−メチル−スピロ〔5H−(1)ベンゾピラノ(2,3−g)ピリミジン−5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕−3−オン、
2−(ジ−n−ブチルアミノ)−8−(ジエチルアミノ)−4−メチル−スピロ〔5H−(1)ベンゾピラノ(2,3−g)ピリミジン−5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕−3−オン、
2−(ジ−n−ブチルアミノ)−8−(N−エチル−N−i−アミルアミノ)−4−メチル−スピロ〔5H−(1)ベンゾピラノ(2,3−g)ピリミジン−5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕−3−オン、
2−(ジブチルアミノ)−8−(ジペンチルアミノ)−4−メチル−スピロ[5H−(1)ベンゾピラノ(2,3−g)ピリミジン−5,1′(3′H)−イソベンゾフラン]−3−オン、
3−(2−メトキシ−4−ジメチルアミノフェニル)−3−(1−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)−4,5,6,7−テトラクロロフタリド、
3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4,5,6,7−テトラクロロフタリド、
3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−ペンチル−2−メチルインドール−3−イル)−4,5,6,7−テトラクロロフタリド、
4,5,6,7−テトラクロロ−3−[4−(ジメチルアミノ)−2−メチルフェニル]−3−(1−エチル−2−メチル−1H−インドール−3−イル)−1(3H)−イソベンゾフラノン、
3′,6′−ビス〔フェニル(2−メチルフェニル)アミノ〕−スピロ[イソベンゾフラン−1(3H),9′−〔9H〕キサンテン]−3−オン、
3′,6′−ビス〔フェニル(3−メチルフェニル)アミノ〕−スピロ[イソベンゾフラン−1(3H),9′−〔9H〕キサンテン]−3−オン、
3′,6′−ビス〔フェニル(3−エチルフェニル)アミノ〕−スピロ[イソベンゾフラン−1(3H),9′−〔9H〕キサンテン]−3−オン、
4−[2,6−ビス(2−エトキシフェニル)−4−ピリジニル]−N,N−ジメチルベンゼンアミン、
2−(4′−ジメチルアミノフェニル)−4−メトキシ−キナゾリン、
4,4′−(エチレンジオキシ)−ビス〔2−(4−ジエチルアミノフェニル)キナゾリン〕等を挙げることができる。
なお、フルオラン類としては、キサンテン環を形成するフェニル基に置換基を有する前記化合物の他、キサンテン環を形成するフェニル基に置換基を有すると共にラクトン環を形成するフェニル基にも置換基(例えば、メチル基等のアルキル基、クロロ基等のハロゲン原子)を有する青色や黒色を呈する化合物であってもよい。
【0018】
前記(ロ)成分の電子受容性化合物としては、活性プロトンを有する化合物群、偽酸性化合物群(酸ではないが、組成物中で酸として作用して成分(イ)を発色させる化合物群)、電子空孔を有する化合物群等がある。
活性プロトンを有する化合物を例示すると、フェノール性水酸基を有する化合物としては、モノフェノール類からポリフェノール類があり、さらにその置換基としてアルキル基、アリール基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシ基及びそのエステル又はアミド基、ハロゲン基等を有するもの、及びビス型、トリス型フェノール等、フェノール−アルデヒド縮合樹脂等を挙げることができる。又、前記フェノール性水酸基を有する化合物の金属塩であってもよい。
以下に具体例を挙げる。
フェノール、o−クレゾール、ターシャリーブチルカテコール、ノニルフェノール、n−オクチルフェノール、n−ドデシルフェノール、n−ステアリルフェノール、p−クロロフェノール、p−ブロモフェノール、o−フェニルフェノール、p−ヒドロキシ安息香酸n−ブチル、p−ヒドロキシ安息香酸n−オクチル、レゾルシン、没食子酸ドデシル、4,4−ジヒドロキシジフェニルスルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ブタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ヘプタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−オクタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ノナン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−デカン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ドデカン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルプロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2,3−ジメチルペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−エチルブタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−エチルヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,7−ジメチルオクタン、1−フェニル−1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ペンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ペプタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−オクタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ノナン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−デカン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ドデカン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチルプロピオネート、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン等がある。
前記フェノール性水酸基を有する化合物が最も有効な熱変色特性を発現させることができるが、芳香族カルボン酸及び炭素数2〜5の脂肪族カルボン酸、カルボン酸金属塩、酸性リン酸エステル及びそれらの金属塩、1、2、3−トリアゾール及びその誘導体から選ばれる化合物等であってもよい。
【0019】
前記(イ)、(ロ)成分による電子授受反応を特定温度域において可逆的に生起させる反応媒体の(ハ)成分について説明する。
前記(ハ)成分としては、アルコール類、エステル類、ケトン類、エーテル類を挙げることができる。
前記化合物を以下に例示する。
アルコール類としては、炭素数10以上の脂肪族一価の飽和アルコールが有効であり、具体的にはデシルアルコール、ウンデシルアルコール、ドデシルアルコール、トリデシルアルコール、テトラデシルアルコール、ペンタデシルアルコール、ヘキサデシルアルコール、ヘプタデシルアルコール、オクタデシルアルコール、エイコシルアルコール、ドコシルアルコール等が挙げられる。
【0020】
エステル類としては、炭素数10以上のエステル類が有効であり、脂肪族及び脂環或いは芳香環を有する一価カルボン酸と、脂肪族及び脂環或いは芳香環を有する一価アルコールの任意の組み合わせから得られるエステル類、脂肪族及び脂環或いは芳香環を有する多価カルボン酸と、脂肪族及び脂環或いは芳香環を有する一価アルコールの任意の組み合わせから得られるエステル類、脂肪族及び脂環或いは芳香環を有する一価カルボン酸と、脂肪族及び脂環或いは芳香環を有する多価アルコールの任意の組み合わせから得られるエステル類が挙げられ、具体的にはカプリル酸エチル、カプリル酸オクチル、カプリル酸ステアリル、カプリン酸ミリスチル、カプリン酸ドコシル、ラウリン酸2−エチルヘキシル、ラウリン酸n−デシル、ミリスチン酸3−メチルブチル、ミリスチン酸セチル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸ネオペンチル、パルミチン酸ノニル、パルミチン酸シクロヘキシル、ステアリン酸n−ブチル、ステアリン酸2−メチルブチル、ステアリン酸3,5,5−トリメチルヘキシル、ステアリン酸n−ウンデシル、ステアリン酸ペンタデシル、ステアリン酸ステアリル、ステアリン酸シクロヘキシルメチル、ベヘン酸イソプロピル、ベヘン酸ヘキシル、ベヘン酸ラウリル、ベヘン酸ベヘニル、安息香酸セチル、p−tert−ブチル安息香酸ステアリル、フタル酸ジミリスチル、フタル酸ジステアリル、シュウ酸ジミリスチル、シュウ酸ジセチル、マロン酸ジセチル、コハク酸ジラウリル、グルタル酸ジラウリル、アジピン酸ジウンデシル、アゼライン酸ジラウリル、セバシン酸ジ−(n−ノニル)、1,18−オクタデシルメチレンジカルボン酸ジネオペンチル、エチレングリコールジミリステート、プロピレングリコールジラウレート、プロピレングリコールジステアレート、ヘキシレングリコールジパルミテート、1,5−ペンタンジオールジステアレート、1,2,6−ヘキサントリオールトリミリステート、1,4−シクロヘキサンジオールジデシル、1,4−シクロヘキサンジメタノールジミリステート、キシレングリコールジカプリネート、キシレングリコールジステアレート等が挙げられる。
また、飽和脂肪酸と分枝脂肪族アルコールのエステル、不飽和脂肪酸又は分枝もしくは置換基を有する飽和脂肪酸と分岐状であるか又は炭素数16以上の脂肪族アルコールのエステル、酪酸セチル、酪酸ステアリル及び酪酸ベヘニルから選ばれるエステル化合物も有効である。
具体的には、酪酸2−エチルヘキシル、ベヘン酸2−エチルヘキシル、ミリスチン酸2−エチルヘキシル、カプリン酸2−エチルヘキシル、ラウリン酸3,5,5−トリメチルヘキシル、パルミチン酸3,5,5−トリメチルヘキシル、ステアリン酸3,5,5−トリメチルヘキシル、カプロン酸2−メチルブチル、カプリル酸2−メチルブチル、カプリン酸2−メチルブチル、パルミチン酸1−エチルプロピル、ステアリン酸1−エチルプロピル、ベヘン酸1−エチルプロピル、ラウリン酸1−エチルヘキシル、ミリスチン酸1−エチルヘキシル、パルミチン酸1−エチルヘキシル、カプロン酸2−メチルペンチル、カプリル酸2−メチルペンチル、カプリン酸2−メチルペンチル、ラウリン酸2−メチルペンチル、ステアリン酸2−メチルブチル、ステアリン酸2−メチルブチル、ステアリン酸3−メチルブチル、ステアリン酸1−メチルヘプチル、ベヘン酸2−メチルブチル、ベヘン酸3−メチルブチル、ステアリン酸1−メチルヘプチル、ベヘン酸1−メチルヘプチル、カプロン酸1−エチルペンチル、パルミチン酸1−エチルペンチル、ステアリン酸1−メチルプロピル、ステアリン酸1−メチルオクチル、ステアリン酸1−メチルヘキシル、ラウリン酸1,1−ジメチルプロピル、カプリン酸1−メチルペンチル、パルミチン酸2−メチルヘキシル、ステアリン酸2−メチルヘキシル、ベヘン酸2−メチルヘキシル、ラウリン酸3,7−ジメチルオクチル、ミリスチン酸3,7−ジメチルオクチル、パルミチン酸3,7−ジメチルオクチル、ステアリン酸3,7−ジメチルオクチル、ベヘン酸3,7−ジメチルオクチル、オレイン酸ステアリル、オレイン酸ベヘニル、リノール酸ステアリル、リノール酸ベヘニル、エルカ酸3,7−ジメチルオクチル、エルカ酸ステアリル、エルカ酸イソステアリル、イソステアリン酸セチル、イソステアリン酸ステアリル、12−ヒドロキシステアリン酸2−メチルペンチル、18−ブロモステアリン酸2−エチルヘキシル、2−ケトミリスチン酸イソステアリル、2−フルオロミリスチン酸2−エチルヘキシル、酪酸セチル、酪酸ステアリル、酪酸ベヘニル等が挙げられる。
【0021】
また、色彩記憶性を有する可逆熱変色性組成物を得るための(ハ)成分としては、5℃以上50℃未満のΔT値(融点−曇点)を示すカルボン酸エステル化合物、例えば、分子中に置換芳香族環を含むカルボン酸エステル、無置換芳香族環を含むカルボン酸と炭素数10以上の脂肪族アルコールのエステル、分子中にシクロヘキシル基を含むカルボン酸エステル、炭素数6以上の脂肪酸と無置換芳香族アルコール又はフェノールのエステル、炭素数8以上の脂肪酸と分岐脂肪族アルコール又はエステル、ジカルボン酸と芳香族アルコール又は分岐脂肪族アルコールのエステル、ケイ皮酸ジベンジル、ステアリン酸ヘプチル、アジピン酸ジデシル、アジピン酸ジラウリル、アジピン酸ジミリスチル、アジピン酸ジセチル、アジピン酸ジステアリル、トリラウリン、トリミリスチン、トリステアリン、ジミリスチン、ジステアリン等が用いられる。
【0022】
また、炭素数9以上の奇数の脂肪族一価アルコールと炭素数が偶数の脂肪族カルボン酸から得られる脂肪酸エステル化合物、n−ペンチルアルコール又はn−ヘプチルアルコールと炭素数10乃至16の偶数の脂肪族カルボン酸より得られる総炭素数17乃至23の脂肪酸エステル化合物も有効である。
具体的には、酢酸n−ペンタデシル、酪酸n−トリデシル、酪酸n−ペンタデシル、カプロン酸n−ウンデシル、カプロン酸n−トリデシル、カプロン酸n−ペンタデシル、カプリル酸n−ノニル、カプリル酸n−ウンデシル、カプリル酸n−トリデシル、カプリル酸n−ペンタデシル、カプリン酸n−ヘプチル、カプリン酸n−ノニル、カプリン酸n−ウンデシル、カプリン酸n−トリデシル、カプリン酸n−ペンタデシル、ラウリン酸n−ペンチル、ラウリン酸n−ヘプチル、ラウリン酸n−ノニル、ラウリン酸n−ウンデシル、ラウリン酸n−トリデシル、ラウリン酸n−ペンタデシル、ミリスチン酸n−ペンチル、ミリスチン酸n−ヘプチル、ミリスチン酸n−ノニル、ミリスチン酸n−ウンデシル、ミリスチン酸n−トリデシル、ミリスチン酸n−ペンタデシル、パルミチン酸n−ペンチル、パルミチン酸n−ヘプチル、パルミチン酸n−ノニル、パルミチン酸n−ウンデシル、パルミチン酸n−トリデシル、パルミチン酸n−ペンタデシル、ステアリン酸n−ノニル、ステアリン酸n−ウンデシル、ステアリン酸n−トリデシル、ステアリン酸n−ペンタデシル、エイコサン酸n−ノニル、エイコサン酸n−ウンデシル、エイコサン酸n−トリデシル、エイコサン酸n−ペンタデシル、ベヘニン酸n−ノニル、ベヘニン酸n−ウンデシル、ベヘニン酸n−トリデシル、ベヘニン酸n−ペンタデシル等を挙げることができる。
【0023】
ケトン類としては、総炭素数が10以上の脂肪族ケトン類が有効であり、2−デカノン、3−デカノン、4−デカノン、2−ウンデカノン、3−ウンデカノン、4−ウンデカノン、5−ウンデカノン、2−ドデカノン、3−ドデカノン、4−ドデカノン、5−ドデカノン、2−トリデカノン、3−トリデカノン、2−テトラデカノン、2−ペンタデカノン、8−ペンタデカノン、2−ヘキサデカノン、3−ヘキサデカノン、9−ヘプタデカノン、2−ペンタデカノン、2−オクタデカノン、2−ノナデカノン、10−ノナデカノン、2−エイコサノン、11−エイコサノン、2−ヘンエイコサノン、2−ドコサノン、ラウロン、ステアロン等を挙げることができる。
また、総炭素数が12乃至24のアリールアルキルケトン類、例えば、n−オクタデカノフェノン、n−ヘプタデカノフェノン、n−ヘキサデカノフェノン、n−ペンタデカノフェノン、n−テトラデカノフェノン、4−n−ドデカアセトフェノン、n−トリデカノフェノン、4−n−ウンデカノアセトフェノン、n−ラウロフェノン、4−n−デカノアセトフェノン、n−ウンデカノフェノン、4−n−ノニルアセトフェノン、n−デカノフェノン、4−n−オクチルアセトフェノン、n−ノナノフェノン、4−n−ヘプチルアセトフェノン、n−オクタノフェノン、4−n−ヘキシルアセトフェノン、4−n−シクロヘキシルアセトフェノン、4−tert−ブチルプロピオフェノン、n−ヘプタフェノン、4−n−ペンチルアセトフェノン、シクロヘキシルフェニルケトン、ベンジル−n−ブチルケトン、4−n−ブチルアセトフェノン、n−ヘキサノフェノン、4−イソブチルアセトフェノン、1−アセトナフトン、2−アセトナフトン、シクロペンチルフェニルケトン等を挙げることができる。
【0024】
エーテル類としては、総炭素数10以上の脂肪族エーテル類が有効であり、ジペンチルエーテル、ジヘキシルエーテル、ジヘプチルエーテル、ジオクチルエーテル、ジノニルエーテル、ジデシルエーテル、ジウンデシルエーテル、ジドデシルエーテル、ジトリデシルエーテル、ジテトラデシルエーテル、ジペンタデシルエーテル、ジヘキサデシルエーテル、ジオクタデシルエーテル、デカンジオールジメチルエーテル、ウンデカンジオールジメチルエーテル、ドデカンジオールジメチルエーテル、トリデカンジオールジメチルエーテル、デカンジオールジエチルエーテル、ウンデカンジオールジエチルエーテル等を挙げることができる。
【0025】
更に、電子受容性化合物として炭素数3乃至18の直鎖又は側鎖アルキル基を有する特定のアルコキシフェノール化合物を用いたり(特開平11−129623号公報、特開平11−5973号公報)、特定のヒドロキシ安息香酸エステルを用いたり(特開2001−105732号公報)、没食子酸エステル等を用いた(特公昭51−44706号公報、特開2003−253149号公報)加熱発色型(加熱により発色し、冷却により消色する)の可逆熱変色性組成物を内包した可逆熱変色性マイクロカプセル顔料(可逆熱変色性顔料)を適用することもできる(図7参照)。
【0026】
前記(イ)、(ロ)、(ハ)成分の配合割合は、濃度、変色温度、変色形態や各成分の種類に左右されるが、一般的に所望の変色特性が得られる成分比は、(イ)成分1に対して、(ロ)成分0.1〜50、好ましくは0.5〜20、(ハ)成分1〜800、好ましくは5〜200の範囲である(前記割合はいずれも質量部である)。
【0027】
前記可逆熱変色性組成物をマイクロカプセル化する方法としては、界面重合法、界面重縮合法、in Situ重合法、液中硬化被覆法、水溶液からの相分離法、有機溶媒からの相分離法、融解分散冷却法、気中懸濁被覆法、スプレードライング法等があり、用途に応じて適宜選択される。
更にマイクロカプセルの表面には、目的に応じて更に二次的な樹脂皮膜を設けて耐久性を付与したり、表面特性を改質させて実用に供することもできる。
ここで、前記マイクロカプセル内に非熱変色性の染料や顔料を配合して、有色(1)から有色(2)への互変的色変化を呈する構成となすこともできる。
前記マイクロカプセルに内包させることにより、化学的、物理的に安定な顔料を構成でき、平均粒子径0.1〜50μm、好ましくは0.5〜30μm、より好ましくは1〜20μmの範囲が実用性を満たす。
なお、粒子径の測定はレーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置〔(株)堀場製作所製;LA−300〕を用いて測定し、その数値を基に平均粒子径(メジアン径)を体積基準で算出する。
【0028】
前記可逆光変色性材料としては、フォトクロミック化合物、または、フォトクロミック化合物をマイクロカプセルに内包させた可逆光変色性マイクロカプセル顔料、熱可塑性又は熱硬化性樹脂中にフォトクロミック化合物を分散した可逆光変色性樹脂粒子等の可逆光変色性顔料が挙げられる。
前記フォトクロミック化合物をマイクロカプセル化する方法は、前述の方法が挙げられ、化学的、物理的に安定な顔料を構成でき、平均粒子径0.1〜50μm、好ましくは0.5〜30μm、より好ましくは1〜20μmの範囲が実用性を満たす。
前記マイクロカプセル内に非熱変色性の染料や顔料を配合して、有色(1)から有色(2)への互変的色変化を呈する構成となすこともできる。
【0029】
前記フォトクロミック化合物のうち、スピロオキサジン誘導体を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
インドリノスピロベンゾオキサジン系化合物としては、
1,3,3−トリメチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
6′−クロロ−5−フルオロ−1,3,3−トリメチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
3,3−ジメチル−1−エチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
5,7−ジフルオロ−1,3,3−トリメチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
5−シアノ−3,3−ジメチル−1−(メトキシカルボニル)メチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
1′−メチルジスピロ〔シクロヘキサン−1,3′−〔3H〕インドール−2′(1′H),3″−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
1′−メチル−5′−ニトロジスピロ〔シクロペンタン−1,3′−〔3H〕−インドール−2′(1′H),3″−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
1,3,3,5′−テトラメチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
6′−フルオロ−1′−メチルジスピロ〔シクロヘキサン−1,3′−〔3H〕インドール−2′(1′H),3″−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
1−ベンジル−6′−クロロ−3,3−ジメチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
6′−メトキシ−1,3,3−トリメチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
5−クロロ−1,3,3−トリメチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
5−ブロモ−1,3,3−トリメチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
5−ヨード−1,3,3−トリメチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
5−トリフルオロメチル−1,3,3−トリメチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
3,3−ジエチル−1−メチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
1,3,3,6′−テトラメチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
6−クロロ−1,3,3−トリメチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
5′−フルオロ−1′−メチルジスピロ〔シクロヘキサン−1,3′−〔3H〕インドール−2′(1′H),3″−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
5−シアノ−1,3,3−トリメチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
5−エトキシカルボニル−1,3,3−トリメチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
4′,6′−ジフルオロ−1′−メチルジスピロ〔シクロヘキサン−1,3′−〔3H〕インドール−2′(1′H),3″−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
3,3−ジメチル−1−(メトキシカルボニル)メチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
3,3−ジメチル−1−フェニルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
5−メトキシ−1,3,3−トリメチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
1,3,3,5−テトラメチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
7′−クロロ−1,3,3−トリメチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
1,3,3,7′−テトラメチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
7′−メトキシ−1,3,3−トリメチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
1,3,3−トリメチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔2,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
6′−クロロ−5−フルオロ−1,3,3−トリメチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔2,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
5−クロロ−1,3−ジメチル−3−エチル−5′−メトキシスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔2,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
3,3−ジエチル−1−メチル−5−ニトロスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔2,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
1′,6′−ジメチルスピロ〔シクロヘキサン−1,3′−〔3H〕インドール−2′(1′H),3″−〔3H〕ピリド〔2,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
9″−ブロモ−1′−メトキシカルボニルメチル−5′−トリフルオロメチルジスピロ〔シクロペンタン−1,3′−〔3H〕−インドール−2′〔1′H〕,3″−〔3H〕ピリド〔2,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
1−ベンジル−3,3−ジ−nブチル−7′−エチル−5−メトキシスピロ〔2H−インドール−1,3′−〔3H〕ピリド〔2,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
1′−n−ブチル−6′−ヨードジスピロ〔シクロヘプタン−1,3′−〔3H〕−インドール−2′(1′H),3″−〔3H〕ピリド〔2,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
3,3−ジメチル−9′−ヨード−1−ナフチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔2,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
4′−シアノ−1′−(2−(メトキシカルボニル)エチル)ジスピロ〔シクロヘキサン−1,3′−〔3H〕インドール−2′(1′H),3″−〔3H〕ピリド〔2,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
7−メトキシカルボニル−1,3,3−トリメチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔2,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
4−ブロモ−3,3−ジエチル−9′−エトキシ−1−(2−フェニル)エチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔2,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
1′−メチルジスピロ〔シクロヘキサン−1,3′−〔3H〕−インドール−2′(1′H),3″−〔3H〕ピリド〔2,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
6−フルオロ−1,3,3−トリメチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔2,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
5−エチル−9−フルオロ−1,3,3−トリメチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔2,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
1′−ベンジル−6″−ヨードジスピロ〔シクロペンタン−1,3′−〔3H〕−インドール−2′(1′H),3″−〔3H〕ピリド〔2,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
5−エトキシ−1,3,3−トリメチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔2,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
1′−メチル−5′−トリクロロメチルジスピロ〔シクロヘキサン−1,3′−〔3H〕−インドール−2′(1′H),3″−〔3H〕ピリド〔2,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
1,3−ジエチル−3−メチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔2,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
1′−メトキシカルボニルメチルジスピロ〔シクロヘキサン−1,3′−〔3H〕−インドール−2′(1′H)−〔3H〕ピリド〔2,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕等、インドリノスピロベンゾオキサジンのインドール環及びベンゼン環のハロゲン、メチル、エチル、メチレン、エチレン、水酸基等の各置換体を例示することができる。
【0030】
インドリノスピロナフトオキサジン系化合物としては、
1,3,3−トリメチル−スピロインドリンナフトオキサジン、
1,3,3−トリメチル−5−クロロ−スピロインドリンナフトオキサジン、
1,3,3−トリメチル−5−ブロモ−スピロインドリンナフトオキサジン、
1,3,3,5−テトラメチル−スピロインドリンナフトオキサジン、
1,3,3−トリメチル−5−n−プロピル−スピロインドリンナフトオキサジン、
1,3,3−トリメチル−5−iso−ブチル−スピロインドリンナフトオキサジン、
1,3,3−トリメチル−5−メトキシ−スピロインドリンナフトオキサジン、
1,3,3−トリメチル−5−n−プロポキシ−スピロインドリンナフトオキサジン、
1,3,3−トリメチル−5−シアノ−スピロインドリンナフトオキサジン、
1−n−プロピル−3,3−ジメチル−スピロインドリンナフトオキサジン、
1−iso−ブチル−3,3−ジメチル−スピロインドリンナフトオキサジン、
1−n−オクチル−3,3−ジメチル−スピロインドリンナフトオキサジン、
1−n−オクタデシル−3,3−ジメチル−スピロインドリンナフトオキサジン、
1,3,3−トリメチル−8′−スルホン酸ナトリウム−スピロインドリンナフトオキサジン、
1,3,3−トリメチル−9′−メトキシスピロインドリンナフトオキサジン、
1,3,3−トリメチル−8′−シアノ−スピロベンゾインドリンナフトオキサジン、
1,3,3−トリメチル−5−トリフルオロ−スピロインドリンナフトオキサジン、
1−(4′−メチルフェニル)−3,3−ジメチル−スピロインドリンナフトオキサジン、
1,3,3−トリメチル−6′−(2,3−ジヒドロ−1−インドリノ)−スピロインドリンナフトオキサジン、
1,3,3−トリメチル−6′−(1−ピペリジニル)−スピロインドリンナフトオキサジン、
1,3,3−トリメチル−6′−(1−モルフォリノ)−スピロインドリンナフトオキサジン、
1−エチル−3,3−ジメチル−6−トリフルオロメチル−6′−(1−モルフォリノ)−スピロインドリンナフトオキサジン、
1,3,3−トリメチル−6−トリフルオロメチル−6′−(1−ピペリジニル)−スピロインドリンナフトオキサジン、
1−ベンジル−3,3−ジメチル−スピロインドリンナフトオキサジン、
1−(4−メトキシベンジル)−3,3−ジメチル−スピロインドリンナフトオキサジン、
1−(4−クロロベンジル)−3,3−ジメチル−スピロインドリンナフトオキサジン、
1−エチル−3,3−ジメチル−スピロインドリンナフトオキサジン、
1−イソプロピル−3,3−ジメチル−スピロインドリンナフトオキサジン、
1−(2−フェノキシエチル)−3,3−ジメチル−スピロインドリンナフトオキサジン、
1,3−ジメチル−3−エチル−スピロインドリンナフトオキサジン、
1,3,3−トリメチル−9′−ヒドロキシ−スピロインドリンナフトオキサジン、
1,3−ジメチル−3−エチル−8′−ヒドロキシ−スピロインドリンナフトオキサジン、1,3,3,5−テトラメチル−9′−メトキシ−スピロインドリンナフトオキサジン、
1,3,3,5,6−ペンタメチル−9′−メトキシ−スピロインドリンナフトオキサジン、
1,3,3−トリメチル−4−トリフルオロメチル−5′−メトキシ−スピロインドリンナフトオキサジン、
1,3,3−トリメチル−5′−メトキシ−6′−トリフルオロメチル−スピロインドリンナフトオキサジン、
1,3,3−トリメチル−4−トリフルオロメチル−9′−メトキシ−スピロインドリンナフトオキサジン、
1,3,5,6−テトラメチル−3−エチル−スピロインドリンナフトオキサジン、
1,3,3,5,6−ペンタメチル−スピロインドリンナフトオキサジン、
1−メチル−3,3−ジフェニル−スピロインドリンナフトオキサジン、
1−(4−メトキシベンジル)−3,3−ジメチル−スピロインドリンナフトオキサジン、
1−(3,5−ジメチルベンジル)−3,3−ジメチル−スピロインドリンナフトオキサジン、
1−(2−フルオロベンジル)−3,3−ジメチル−スピロインドリンナフトオキサジン等、インドリノスピロナフトオキサジンのインドール環及びベンゼン環のハロゲン、メチル、エチル、メチレン、エチレン、水酸基等の各置換体を例示することができる。
【0031】
ナフトピラン系化合物としては、
3,3,9,9−テトラフェニル−3H,9H−ナフト[2,1−b:6,5−b′]−ジピラン、
3,3,10,10−テトラフェニル−3H,10H−ナフト[2,1−b:7,8−b′]ジピラン、
3,3,9,9−テトラフェニル−3H,10H−ナフト[4,3−b:8,7−b]−ジピラン、
3,3−ジフェニル−9−メトキシ−3H−ナフト[4,3−b]ピラン、
3,3−ジフェニル−10−メチル−3H−ナフト[2,1−b:5,6−b]ジピラン−8−オン、
3,3,9,9−テトラ(4′−メトキシ−フェニル)−3H,9H−ナフト[2,1−b:6,5−b′]−ジピラン、
3,3−ジフェニル−8−(2−(4−ジメチルアミノ)フェニル)エテン−3H−ナフト[4,3−b]ピラン、
3,3−ジフェニル−5−アセトキシ−3H−ナフト[4,3−b]ピラン、
3,3−ジフェニル−8−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)カルボニル−3H−ナフト[4,3−b]ピランを例示できる。
【0032】
インドリノスピロフェナントロオキサジン系化合物の例としては、1,3,3−トリメチル−スピロインドリンフェナントロオキサジン、1,3,3−トリメチル−5−クロロ−スピロインドリンフェナントロオキサジン等、インドリノスピロフェナントロオキサジンのインドール環及びベンゼン環のハロゲン、メチル、エチル、メチレン、エチレン、水酸基等の各置換体を例示することができる。
【0033】
インドリノスピロキノリノオキサジン系化合物としては、1,3,3−トリメチル−スピロインドリンキノリノオキサジン等、インドリノスピロキノリノオキサジンのインドール環及びベンゼン環のハロゲン、メチル、エチル、メチレン、エチレン、水酸基等の各置換体を例示することができる。
【0034】
前記フォトクロミック化合物のうち、スピロピラン誘導体を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
1,3,3−トリメチルインドリノベンゾピリロスピラン、1,3,3−トリメチルインドリノ−6′−ブロモベンゾピリロスピラン、1,3,3−トリメチルインドリノ−8′−メトキシベンゾピリロスピラン、1,3,3−トリメチルインドリノ−β−ナフトピリロスピラン、1,3,3−トリメチルインドリノ−6′−ニトロベンゾピリロスピラン等を例示することができる。
更に、光メモリー性(色彩記憶性光変色性)を有するフルギド系化合物、ジアリールエテン系化合物等のフォトクロミック化合物を用いることもできる。
【0035】
ひび割れ模様の被膜を形成するための前記液状組成物を用いて、以下の製造方法によりひび割れ印刷又は塗装物が得られる。
凹部を有する支持体上にスクリーン印刷、オフセット印刷、グラビヤ印刷、コーター、転写印刷等の印刷方法、スプレー塗装等の塗布方法により印刷又は塗装して被膜を形成する。
前記被膜は、乾燥時に凹部を有していない箇所の被膜は不規則なひび割れを生じ、凹部を有する箇所、或いは、凹部を有する箇所の近傍には凹部に沿った規則的なひび割れ模様の被膜が形成され、ひび割れ印刷又は塗装物が得られる。
【0036】
前記被膜上には、透明性を有する保護層を設けて耐擦過性を付与したり、光安定剤層を設けたり、透明性金属光沢顔料を含む層を設けることができる。
具体的には、前記光安定剤層は紫外線吸収剤、酸化防止剤、老化防止剤、一重項酸素消光剤、スーパーオキシドアニオン消光剤、オゾン消色剤、可視光線吸収剤、赤外線吸収剤から選ばれる光安定剤を分散状態に固着した層である。
前記透明性金属光沢顔料としては、芯物質として天然雲母、合成雲母、ガラス片、アルミナ、透明性フィルム片の表面を酸化チタン等の金属酸化物で被覆した顔料を例示できる。
【0037】
前記ひび割れ模様の被膜中に可逆変色性材料を含有する場合、被膜は光透過性を有していても光遮蔽性を有していてもよいが、光透過性を有することが好ましい。
前記ひび割れ模様の被膜が光透過性を有することにより、可逆変色性材料が消色した状態では支持体の色が視認されてひび割れ模様が視認され難く、可逆変色性材料が発色した状態ではひび割れ模様が視認される意外性を付与することができる。
【0038】
更に、前記被膜上には、着色剤を含む光透過性を有する着色層を設けることもできる。
前記光透過性を有する着色層を設けることにより、可逆変色性材料が消色した状態では着色層の色を呈し、可逆変色性材料が発色した状態では着色層の色と混色になった色のひび割れ模様が視認されるため、意外な色変化を示すひび割れ印刷又は塗装物を得ることができる。
【0039】
前記ひび割れ印刷又は塗装物として具体的には、人形又は動物形象玩具、人形の家や家具、衣類、帽子、鞄、靴等の人形用付属品、アクセサリー玩具、積木玩具、ブロック玩具、こま、凧、楽器玩具、料理玩具、鉄砲玩具、捕獲玩具、背景玩具、乗物、動物、植物、建築物、食品等を模した玩具、被服、履物、布製身の回り品、額縁、造花等の屋内装飾品、アクセサリー、文房具類、化粧品、コップ、皿、箸、スプーン、フォーク、鍋、フライパン等の台所用品、カレンダー、ラベル、カード、記録材、偽造防止用の各種印刷物、絵本等の書籍、手袋、ネクタイ、帽子、鞄、包装用容器、運動用具、釣り具、歯ブラシ、コースター、時計、眼鏡、照明器具、冷暖房器具、楽器、カイロ、蓄冷剤、写真立て、財布等の袋物、傘、家具、乗物、建造物、教習具を例示できる。
【実施例】
【0040】
以下に実施例を記載するが、本発明はこれら実施例に限定されない。
尚、実施例中の部は質量部である。
参考例1
液状組成物の作製
親水性フュームドシリカ(商品名:AEROSIL 90G)25部を、アクリル樹脂(商品名:アクリディックA―180)のトルエン溶液(固形分45%)30部に分散し、キシレン及びメチルイソブチルケトンを用いて希釈して液状組成物を得た。
【0041】
ひび割れ印刷又は塗装物の作製(図1参照)
前記液状組成物を用いて、支持体2として格子模様の凹部を設けた赤色ABS製板状成形体上にスプレーガンにて塗装し、室温で20分乾燥させて被膜3を形成し、乾燥の過程で被膜に割れが生じてひび割れ模様の被膜を設けて、ひび割れ印刷又は塗装物1を得た。
前記ひび割れ印刷又は塗装物は、凹部に沿ったひび割れ模様4と、不規則なひび割れ模様5を有し、ひび割れ部分から支持体による赤色が視認され、意外性を有していた。
【0042】
参考例2
液状組成物の作製
疎水性フュームドシリカ(商品名:AEROSIL R812)15部を、キシレン及びメチルイソブチルケトンを用いて希釈して液状組成物を得た。
【0043】
ひび割れ印刷又は塗装物の作製
前記液状組成物を用いて、支持体としてボンネットとドアとライトの周囲に凹部を設けた青色ABS製ミニカー上にスプレーガンにて塗装し、室温で20分乾燥させて被膜を形成し、乾燥の過程で被膜に割れが生じてひび割れ模様の被膜を設けて、ひび割れ印刷又は塗装物を得た。
前記ひび割れ印刷又は塗装物は、凹部に沿ったひび割れ模様と、不規則なひび割れ模様を有し、ひび割れ部分から支持体による青色が視認され、意外性を有していた。
【0044】
参考例3
液状組成物の作製
親水性フュームドシリカ(商品名:AEROSIL 90G)20部、青色顔料5部を、アクリル樹脂(商品名:アクリディックA―180)のトルエン溶液(固形分45%)30部に分散し、キシレン及びメチルイソブチルケトンを用いて希釈して液状組成物を得た。
【0045】
ひび割れ印刷又は塗装物の作製
前記液状組成物を用いて、支持体として白色の印刷インキにより波模様の凹部を設けた白色ABS製板状成形体上にスプレーガンにて塗装し、室温で20分乾燥させて被膜を形成し、乾燥の過程で被膜に割れが生じてひび割れ模様の被膜を設けて、ひび割れ印刷又は塗装物を得た。
前記ひび割れ印刷又は塗装物は、凹部に沿ったひび割れ模様と、不規則なひび割れ模様を有し、ひび割れ部分から支持体による白色が視認され、意外性を有していた。
【0046】
実施例
液状組成物の作製
(イ)成分として3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド1部、(ロ)成分として4,4′−(2−エチルヘキシリデン)ビスフェノール5部、(ハ)成分としてミリスチン酸ミリスチル50部からなる可逆熱変色性組成物をマイクロカプセル壁膜に内包した可逆熱変色性マイクロカプセル顔料(t:31℃、t:41℃、ΔH:7℃、青色から無色に色変化)5部、及び、親水性フュームドシリカ(商品名:AEROSIL 90G)20部を、アクリル樹脂(商品名:アクリディックA―180)のトルエン溶液(固形分45%)30部に分散し、キシレン及びメチルイソブチルケトンを用いて希釈して液状組成物を得た。
【0047】
ひび割れ印刷又は塗装物の作製(図2乃至4参照)
前記液状組成物を用いて、支持体2として縦方向に三本の凹部を設けた白色ABS製板状成形体上にスプレーガンにて塗装し、室温で20分乾燥させて被膜3を形成し、乾燥の過程で被膜に割れが生じてひび割れ模様の被膜を設けて、ひび割れ印刷又は塗装物1を得た。
前記ひび割れ印刷又は塗装物は、25℃では凹部に沿ったひび割れ模様4と、不規則なひび割れ模様5を有し、ひび割れ部分から支持体による白色が視認され、意外性を有していた(図2)。
前記ひび割れ印刷又は塗装物を41℃以上に加温すると、青色のひび割れ模様の被膜は白色になるため、ひび割れ模様は視認されなくなった(図3)。
31℃以下になると再び青色のひび割れ模様と、ひび割れ部分から支持体による白色が視認され、その様相変化は繰り返し行なうことができた。
【0048】
実施例
液状組成物の作製
(イ)成分として3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド1部、(ロ)成分として4,4′−(2−エチルヘキシリデン)ビスフェノール5部、(ハ)成分としてミリスチン酸ミリスチル50部からなる可逆熱変色性組成物をマイクロカプセル壁膜に内包した可逆熱変色性マイクロカプセル顔料(t:31℃、t:41℃、ΔH:7℃、青色から無色に色変化)5部、及び、疎水性フュームドシリカ(商品名:AEROSIL R812)10部を、キシレン及びメチルイソブチルケトンを用いて希釈して液状組成物を得た。
【0049】
ひび割れ印刷又は塗装物の作製
前記液状組成物を用いて、支持体として螺旋模様の凹部を設けたピンク色ポリスチレン製卵型容器上にスプレーガンにて塗装し、室温で20分乾燥させて被膜を形成し、乾燥の過程で被膜に割れが生じてひび割れ模様の被膜を設けて、ひび割れ印刷又は塗装物を得た。
前記ひび割れ印刷又は塗装物は、25℃では凹部に沿ったひび割れ模様と、不規則なひび割れ模様を有し、ひび割れ部分から支持体によるピンク色が視認され、意外性を有していた。
前記ひび割れ印刷又は塗装物を41℃以上に加温すると、青色のひび割れ模様の被膜は白色になり、ひび割れ部分から支持体によるピンク色が視認される。
31℃以下になると再び青色のひび割れ模様と、ひび割れ部分から支持体によるピンク色が視認され、その様相変化は繰り返し行なうことができた。
【0050】
実施例
液状組成物の作製
(イ)成分として3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド1部、(ロ)成分として4,4′−(2−エチルヘキシリデン)ビスフェノール5部、(ハ)成分としてミリスチン酸ミリスチル50部からなる可逆熱変色性組成物をマイクロカプセル壁膜に内包した可逆熱変色性マイクロカプセル顔料(t:31℃、t:41℃、ΔH:7℃、青色から無色に色変化)5部、親水性フュームドシリカ(商品名:AEROSIL 90G)20部、及び、ピンク色顔料1部を、アクリル樹脂(商品名:アクリディックA―180)のトルエン溶液(固形分45%)30部に分散し、キシレン及びメチルイソブチルケトンを用いて希釈して液状組成物を得た。
【0051】
ひび割れ印刷又は塗装物の作製
前記液状組成物を用いて、支持体としてボンネットとドアとライトの周囲に凹部を設けた白色ABS製ミニカー上にスプレーガンにて塗装し、室温で20分乾燥させて被膜を形成し、乾燥の過程で被膜に割れが生じてひび割れ模様の被膜を設けて、ひび割れ印刷又は塗装物を得た。
前記ひび割れ印刷又は塗装物は、凹部に沿ったひび割れ模様と、不規則なひび割れ模様が視認され、意外性を有していた。
前記ひび割れ印刷又は塗装物は、25℃では紫色のひび割れ模様と、ひび割れ部分から支持体による白色が視認される。
前記ひび割れ印刷又は塗装物を41℃以上に加温すると、紫色のひび割れ模様の被膜はピンク色になり、ひび割れ部分から支持体による白色が視認される。
31℃以下になると再び紫色のひび割れ模様と、ひび割れ部分から支持体による白色が視認され、その様相変化は繰り返し行なうことができた。
【0052】
実施例
液状組成物の作製
3,3−ジフェニル−9−メトキシ−3H−ナフト〔2,1−b〕ピラン1部、スチレン−α−メチルスチレン共重合体(商品名:ピコラスチックA−5)10部、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルセバケート)〔商品名:サノールLS−765〕0.2部からなる可逆光変色性材料をマイクロカプセル壁膜に内包した可逆光変色性マイクロカプセル顔料(明所で黄色、暗所で無色に色変化)10部、及び、親水性フュームドシリカ(商品名:AEROSIL 90G)20部を、アクリル樹脂(商品名:アクリディックA―180)のトルエン溶液(固形分45%)30部に分散し、キシレン及びメチルイソブチルケトンを用いて希釈して液状組成物を得た。
【0053】
ひび割れ印刷又は塗装物の作製
前記液状組成物を用いて、支持体としてボンネットとドアとライトの周囲に凹部を設けた白色ABS製ミニカー上にスプレーガンにて塗装し、室温で20分乾燥させて被膜を形成し、乾燥の過程で被膜に割れが生じてひび割れ模様の被膜を設けて、ひび割れ印刷又は塗装物を得た。
前記ひび割れ印刷又は塗装物は、凹部に沿ったひび割れ模様と、不規則なひび割れ模様が視認され、意外性を有していた。
前記ひび割れ印刷又は塗装物に光照射すると、ひび割れ模様の被膜は黄色になり、ひび割れ部分から支持体による白色が視認される。
前記ひび割れ印刷又は塗装物を暗所で放置するとひび割れ模様の被膜は白色になるため、ひび割れ模様は視認されなくなった。
再び光照射すると黄色のひび割れ模様と、ひび割れ部分から支持体による白色が視認され、その様相変化は繰り返し行なうことができた。
【符号の説明】
【0054】
1 ひび割れ印刷又は塗装物
2 支持体
3 被膜
4 凹部に沿ったひび割れ模様
5 不規則なひび割れ模様
加熱消色型の可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料の完全発色温度
加熱消色型の可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料の発色開始温度
加熱消色型の可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料の消色開始温度
加熱消色型の可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料の完全消色温度
加熱発色型の可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料の完全消色温度
加熱発色型の可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料の消色開始温度
加熱発色型の可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料の発色開始温度
加熱発色型の可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料の完全発色温度
ΔH ヒステリシス幅
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7