特許第6648984号(P6648984)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6648984
(24)【登録日】2020年1月20日
(45)【発行日】2020年2月19日
(54)【発明の名称】アクチュエータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 33/16 20060101AFI20200210BHJP
【FI】
   H02K33/16 A
【請求項の数】20
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2015-98104(P2015-98104)
(22)【出願日】2015年5月13日
(65)【公開番号】特開2016-127789(P2016-127789A)
(43)【公開日】2016年7月11日
【審査請求日】2018年4月10日
(31)【優先権主張番号】特願2014-263861(P2014-263861)
(32)【優先日】2014年12月26日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】日本電産サンキョー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142619
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100125690
【弁理士】
【氏名又は名称】小平 晋
(74)【代理人】
【識別番号】100153316
【弁理士】
【氏名又は名称】河口 伸子
(74)【代理人】
【識別番号】100090170
【弁理士】
【氏名又は名称】横沢 志郎
(72)【発明者】
【氏名】武田 正
(72)【発明者】
【氏名】須江 猛
(72)【発明者】
【氏名】土橋 将生
(72)【発明者】
【氏名】北原 裕士
【審査官】 佐藤 彰洋
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2014/041923(WO,A1)
【文献】 特開2000−330688(JP,A)
【文献】 特開2011−250637(JP,A)
【文献】 特開昭56−088666(JP,A)
【文献】 特開2013−059756(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/029678(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 33/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体と、
可動体と、
前記可動体と前記支持体とに接続され、弾性および粘弾性の少なくとも一方を備えた接続体と、
前記支持体および前記可動体のうちの一方に保持された第1磁石、および他方に保持され、前記第1磁石に第1方向で対向する第1コイルを備え、前記可動体を前記第1方向に直交する第2方向に駆動する駆動力を発生させる第1磁気駆動回路と、
前記支持体および前記可動体のうちの一方に保持された第2磁石、および他方に保持され、前記第2磁石に前記第1方向で対向する第2コイルを備え、前記可動体を前記第1方向に直交し、前記第2方向に交差する第3方向に駆動する駆動力を発生させる第2磁気駆動回路と、
を有し、
前記接続体は、前記可動体が前記支持体に対して前記第2方向および前記第3方向に相対移動するとき、前記接続体の伸縮方向と直交する方向に、非線形の成分よりも線形の成分が大きいせん断方向の変形特性に従って変形することを特徴とするアクチュエータ。
【請求項2】
支持体と、
可動体と、
前記可動体と前記支持体とに接続され、弾性および粘弾性の少なくとも一方を備えた接続体と、
前記支持体および前記可動体のうちの一方に保持された第1磁石、および他方に保持され、前記第1磁石に第1方向で対向する第1コイルを備え、前記可動体を前記第1方向に直交する第2方向に駆動する駆動力を発生させる第1磁気駆動回路と、
前記支持体および前記可動体のうちの一方に保持された第2磁石、および他方に保持され、前記第2磁石に前記第1方向で対向する第2コイルを備え、前記可動体を前記第1方向に直交し、前記第2方向に交差する第3方向に駆動する駆動力を発生させる第2磁気駆動回路と、
を有し、
前記接続体は、前記可動体と前記支持体が前記第1方向に対向する位置で、前記可動体と前記支持体を前記第1方向に接続しており、
前記可動体が前記支持体に対して前記第1方向に接近するとき、線形の成分よりも非線形の成分が大きい伸縮特性に従って圧縮されることを特徴とするアクチュエータ。
【請求項3】
前記第1方向に対して直交する方向からみたとき、
前記第1磁気駆動回路と前記第2磁気駆動回路は、前記第1方向の同一位置に設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載のアクチュエータ。
【請求項4】
前記第2方向と前記第3方向とは直交していることを特徴とする請求項に記載のアクチュエータ。
【請求項5】
前記第1磁気駆動回路は、前記第2方向で離間し、かつ、前記第2方向からみたときに重なる2個所に設けられ、
前記第2磁気駆動回路は、前記第3方向で離間し、かつ、前記第3方向からみたときに重なる2個所に設けられていることを特徴とする請求項に記載のアクチュエータ。
【請求項6】
前記第1磁気駆動回路は、前記第3方向で離間し、かつ、前記第3方向からみたときに重なる2個所に設けられ、
前記第2磁気駆動回路は、前記第2方向で離間し、かつ、前記第2方向からみたときに重なる2個所に設けられていることを特徴とする請求項に記載のアクチュエータ。
【請求項7】
前記第1磁気駆動回路は、前記第2方向で離間し、かつ、前記第2方向からみたときに前記第3方向にずれた2個所に設けられ、
前記第2磁気駆動回路は、前記第3方向で離間し、かつ、前記第3方向からみたときに前記第2方向にずれた2個所に設けられていることを特徴とする請求項に記載のアクチュエータ。
【請求項8】
前記第1方向からみたとき、前記第1磁気駆動回路と前記第2磁気駆動回路とは、前記可動体の重心の周りで交互に配置されていることを特徴とする請求項5または6に記載のアクチュエータ。
【請求項9】
前記第1方向からみたとき、前記第1磁気駆動回路と前記第2磁気駆動回路とは、前記可動体の重心の周りで交互に配置されていることを特徴とする請求項7に記載のアクチュエータ。
【請求項10】
前記第1方向からみたとき、前記2個所の第1磁気駆動回路は、前記重心を通って前記第3方向に延在する仮想線を中心とする線対称に配置され、前記2個所の第2磁気駆動回路は、前記重心を通って前記第2方向に延在する仮想線を中心とする線対称に配置されていることを特徴とする請求項に記載のアクチュエータ。
【請求項11】
前記第1方向からみたとき、前記2個所の第1磁気駆動回路は、前記重心を中心とする点対称に配置され、前記2個所の第2磁気駆動回路は、前記重心を中心とする点対称に配置されていることを特徴とする請求項8乃至10の何れか一項に記載のアクチュエータ。
【請求項12】
前記第1方向からみたとき、前記第1磁気駆動回路と前記第2磁気駆動回路とは、少なくとも一部が重なっていることを特徴とする請求項1または2に記載のアクチュエータ。
【請求項13】
前記支持体および前記可動体のうちの一方に保持された第3磁石、および他方に保持され、前記第3磁石に前記第1方向で対向する第3コイルを備え、前記可動体を前記第1方向に直交し、前記第2方向および前記第3方向に斜めに交差する第4方向に駆動する駆動
力を発生させる第3磁気駆動回路を有することを特徴とする請求項1または2に記載のアクチュエータ。
【請求項14】
前記第2方向と前記第3方向とは斜めに交差していることを特徴とする請求項13に記載のアクチュエータ。
【請求項15】
前記接続体として、少なくともゲル状ダンパー部材が用いられていることを特徴とする請求項1乃至14の何れか一項に記載のアクチュエータ。
【請求項16】
前記接続体として、ゲル状ダンパー部材のみが用いられていることを特徴とする請求項15に記載のアクチュエータ。
【請求項17】
前記ゲル状ダンパー部材は、前記可動体および前記支持体の双方に固定されていることを特徴とする請求項15または16に記載のアクチュエータ。
【請求項18】
前記ゲル状ダンパー部材は、シリコーンゲルからなることを特徴とする請求項15乃至17の何れか一項に記載のアクチュエータ。
【請求項19】
前記支持体は、
前記可動体の前記第2方向の移動範囲を規制する第1移動規制部、および、前記可動体の前記第3方向の移動範囲を規制する第2移動規制部の一方もしくは両方を備えることを特徴とする請求項1乃至18のいずれかの項に記載のアクチュエータ。
【請求項20】
前記可動体は、前記第1磁石を保持する第1ホルダー部材と、前記第2磁石を保持する第2ホルダー部材を接合して構成され、
前記第1移動規制部および前記第2移動規制部は、前記第1ホルダー部材と前記第2ホルダー部材の接合部と異なる位置で、前記可動体に当接することを特徴とする請求項19に記載のアクチュエータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気駆動機構を備えたアクチュエータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
使用者に振動を体感させるアクチュエータとして、可動体の周りに筒状のコイルおよび筒状の磁石を備えた磁気駆動機構を設け、可動体を軸線方向に振動させる構成が提案されている(特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−78310号公報
【特許文献2】特開2006−7161号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1、2に記載の構成では、可動体が軸線方向のみに振動するため、使用者に1種類の振動しか体感させることができない。このため、振動によって使用者に情報を伝達する場合、伝達できる情報量が少ないという問題点がある。
【0005】
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、可動体に複数方向の振動を行わせることのできるアクチュエータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係るアクチュエータは、支持体と、可動体と、前記可動体と前記支持体とに接続され、弾性および粘弾性の少なくとも一方を備えた接続体と、前記支持体および前記可動体のうちの一方に保持された第1磁石、および他方に保持され、前記第1磁石に第1方向で対向する第1コイルを備え、前記可動体を前記第1方向に直交する第2方向に駆動する駆動力を発生させる第1磁気駆動回路と、前記支持体および前記可動体のうちの一方に保持された第2磁石、および他方に保持され、前記第2磁石に前記第1方向で対向する第2コイルを備え、前記可動体を前記第1方向に直交し、前記第2方向に交差する第3方向に駆動する駆動力を発生させる第2磁気駆動回路と、を有し、前記接続体は、前記可動体が前記支持体に対して前記第2方向および前記第3方向に相対移動するとき、前記接続体の伸縮方向と直交する方向に、非線形の成分よりも線形の成分が大きいせん断方向の変形特性に従って変形することを特徴とする。
【0007】
本発明では、可動体が弾性および粘弾性の少なくとも一方を備えた接続体によって支持体に支持されているとともに、可動体と支持体との間には、第1方向で対向する第1コイルと第1磁石とによって可動体を第2方向に駆動する駆動力を発生させる第1磁気駆動回路と、第1方向で対向する第2コイルと第2磁石とによって可動体を第3方向に駆動する駆動力を発生させる第2磁気駆動回路とが設けられている。このため、可動体を第2方向および第3方向に振動させることができるため、使用者に第2方向の振動および第3方向の振動を体感させることができる。また、第1磁気駆動回路および第2磁気駆動回路のいずれにおいても、コイルと磁石とが第1方向で対向しているため、第1磁気駆動回路および第2磁気駆動回路を設けた場合でも、アクチュエータの第1方向のサイズを小型化することができる。かかる構成によれば、リニアリティが良好な振動特性を得ることができる。
【0008】
本発明において、前記第1方向に対して直交する方向からみたとき、前記第1磁気駆動回路と前記第2磁気駆動回路は、前記第1方向の同一位置に設けられていることが好ましい。かかる構成によれば、第1磁気駆動回路および第2磁気駆動回路を設けた場合でも、
アクチュエータの第1方向のサイズをより小型化することができる。
【0009】
本発明において、前記第2方向と前記第3方向とは直交していることが好ましい。かかる構成によれば、可動体を第2方向に振動させた際に使用者が感じる振動と、可動体を第3方向に振動させた際に使用者が感じる振動とを大きく相違させることができる。
【0010】
本発明において、前記第1磁気駆動回路は、前記第2方向で離間し、かつ、前記第2方向からみたときに重なる2個所に設けられ、前記第2磁気駆動回路は、前記第3方向で離間し、かつ、前記第3方向からみたときに重なる2個所に設けられている構成を採用することができる。
【0011】
本発明において、前記第1磁気駆動回路は、前記第3方向で離間し、かつ、前記第3方向からみたときに重なる2個所に設けられ、前記第2磁気駆動回路は、前記第2方向で離間し、かつ、前記第2方向からみたときに重なる2個所に設けられている構成を採用することができる。
【0012】
本発明において、前記第1磁気駆動回路は、前記第2方向で離間し、かつ、前記第2方向からみたときに前記第3方向にずれた2個所に設けられ、前記第2磁気駆動回路は、前記第3方向で離間し、かつ、前記第3方向からみたときに前記第2方向にずれた2個所に設けられている構成を採用することができる。
【0013】
本発明において、前記第1方向からみたとき、前記第1磁気駆動回路と前記第2磁気駆動回路とは、前記可動体の重心の周りで交互に配置されていることが好ましい。かかる構成によれば、可動体を第2方向に振動させる際、および第3方向に振動させる際、可動体が回転することを抑制することができる。また、可動体を重心周りに振動させることもできる。
【0014】
本発明において、前記第1方向からみたとき、前記2個所の第1磁気駆動回路は、前記重心を中心とする点対称に配置され、前記2個所の第2磁気駆動回路は、前記重心を中心とする点対称に配置されていることが好ましい。かかる構成によれば、可動体を第2方向に振動させる際、および第3方向に振動させる際、可動体が回転することを抑制することができる。また、可動体を重心周りに振動させることもできる。
【0015】
本発明において、前記第1方向からみたとき、前記2個所の第1磁気駆動回路は、前記重心を通って前記第3方向に延在する仮想線を中心とする線対称に配置され、前記2個所の第2磁気駆動回路は、前記重心を通って前記第2方向に延在する仮想線を中心とする線対称に配置されている構成を採用することができる。かかる構成によれば、可動体を第2方向に振動させる際、および第3方向に振動させる際、可動体が回転することを抑制することができる。
【0016】
本発明において、前記第1方向からみたとき、前記第1磁気駆動回路と前記第2磁気駆動回路とは、少なくとも一部が重なっている構成を採用してもよい。かかる構成によれば、アクチュエータの第1方向からみたときのサイズを小型化することができる。
【0017】
本発明において、前記支持体および前記可動体のうちの一方に保持された第3磁石、および他方に保持され、前記第3磁石に前記第1方向で対向する第3コイルを備え、前記可動体を前記第1方向に直交し、前記第2方向および前記第3方向に斜めに交差する第4方向に駆動する駆動力を発生させる第3磁気駆動回路を有する構成を採用してもよい。かかる構成によれば、可動体を第2方向、第3方向および第4方向に振動させることができるとともに、第2方向、第3方向および第4方向の各振動を合成した振動を可動体に行わせ
ることができる。
【0018】
この場合、前記第2方向と前記第3方向とは斜めに交差している構成を採用してもよい。
【0019】
本発明において、前記接続体として、少なくともゲル状ダンパー部材が用いられていることが好ましい。かかる構成によれば、可動体が共振することを抑制することができる。
【0020】
本発明において、前記接続体として、ゲル状ダンパー部材のみが用いられていることが好ましい。かかる構成によれば、接続体がバネ成分を有していないため、可動体が共振することを抑制することができるとともに、支持体に対する可動体の支持構造を簡素化することができる。
【0021】
本発明において、前記ゲル状ダンパー部材は、前記可動体および前記支持体の双方に固定されていることが好ましい。かかる構成によれば、ゲル状ダンパー部材が設けられている部分において、可動体が支持体から離間する方向に移動した場合でも、かかる移動に追従してゲル状ダンパー部材が変形し、可動体の共振を効果的に抑制することができる。
【0022】
本発明において、前記ゲル状ダンパー部材は、例えば、シリコーンゲルからなる構成を採用することができる。
【0023】
本発明において、前記支持体は、前記可動体の前記第2方向の移動範囲を規制する第1移動規制部、および、前記可動体の前記第3方向の移動範囲を規制する第2移動規制部の一方もしくは両方を備えることが好ましい。かかる構成によれば、可動体の移動範囲を、接続体の変形量が限界変形量を越えない範囲に制限できる。これにより、接続体の破壊を防止できる。
【0024】
本発明において、前記可動体は、前記第1磁石を保持する第1ホルダー部材と、前記第2磁石を保持する第2ホルダー部材を接合して構成され、前記第1移動規制部および前記第2移動規制部は、前記第1ホルダー部材と前記第2ホルダー部材の接合部と異なる位置で、前記可動体に当接することが好ましい。かかる構成によれば、可動体の中で強度の弱い部位である接合部が第1移動規制部および第2移動規制部に衝突することがない。従って、可動体が衝撃によって壊れるおそれを少なくすることができる。
【0026】
また、本発明に係るアクチュエータは、支持体と、可動体と、前記可動体と前記支持体とに接続され、弾性および粘弾性の少なくとも一方を備えた接続体と、前記支持体および前記可動体のうちの一方に保持された第1磁石、および他方に保持され、前記第1磁石に第1方向で対向する第1コイルを備え、前記可動体を前記第1方向に直交する第2方向に駆動する駆動力を発生させる第1磁気駆動回路と、前記支持体および前記可動体のうちの一方に保持された第2磁石、および他方に保持され、前記第2磁石に前記第1方向で対向する第2コイルを備え、前記可動体を前記第1方向に直交し、前記第2方向に交差する第3方向に駆動する駆動力を発生させる第2磁気駆動回路と、を有し、前記接続体は、前記可動体と前記支持体が前記第1方向に対向する位置で、前記可動体と前記支持体を前記第1方向に接続しており、前記可動体が前記支持体に対して前記第1方向に接近するとき、線形の成分よりも非線形の成分が大きい伸縮特性に従って圧縮されることを特徴とする。かかる構成によれば、可動体と支持体との第1方向のギャップが大きく変化することを回避でき、可動体と支持体との第1方向のギャップを確保できる。
【発明の効果】
【0027】
本発明では、可動体を第2方向および第3方向に振動させることができるため、使用者に第2方向の振動および第3方向の振動を体感させることができる。また、第1磁気駆動回路および第2磁気駆動回路のいずれにおいても、コイルと磁石とが第1方向で対向して
いるため、第1磁気駆動回路および第2磁気駆動回路を設けた場合でも、アクチュエータの第1方向のサイズを小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の実施の形態1に係るアクチュエータの説明図である。
図2】本発明の実施の形態1に係るアクチュエータの分解斜視図である。
図3】本発明の実施の形態1に係るアクチュエータの磁気駆動回路の説明図である。
図4】本発明の実施の形態1に係るアクチュエータにおける磁気駆動回路の平面的なレイアウトを示す説明図である。
図5】本発明の実施の形態2に係るアクチュエータの説明図である。
図6】本発明の実施の形態2に係るアクチュエータの分解斜視図である。
図7】本発明の実施の形態3に係るアクチュエータにおける磁気駆動回路の平面的なレイアウトを示す説明図である。
図8】本発明の実施の形態4に係るアクチュエータにおける磁気駆動回路の平面的なレイアウトを示す説明図である。
図9】本発明の実施の形態5に係るアクチュエータにおける磁気駆動回路の平面的なレイアウトを示す説明図である。
図10】本発明の実施の形態6に係るアクチュエータの磁気駆動回路の説明図である。
図11】本発明の実施の形態7に係るアクチュエータの磁気駆動回路の説明図である。
図12】本発明の実施の形態8に係るアクチュエータの磁気駆動回路の説明図である。
図13】本発明の実施の形態9に係るアクチュエータの説明図である。
図14】本発明の実施の形態9に係るアクチュエータの分解斜視図である。
図15】本発明の実施の形態9に係るアクチュエータの主要部の分解斜視図である。
図16】本発明の実施の形態9に係るアクチュエータから第2ケースを取り外した平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の説明において、磁気駆動回路のレイアウト等を明確にする目的で、互いに直交する方向をX軸方向、Y軸方向およびZ軸方向とし、X軸方向の一方側にX1を付し、X軸方向の他方側にX2を付し、Y軸方向の一方側にY1を付し、Y軸方向の他方側にY2を付し、Z軸方向の一方側にZ1を付し、Z軸方向の他方側にZ2を付して説明する。また、磁気駆動回路によって駆動力が発生する各方向のうち、第1方向をL1とし、第2方向をL2とし、第3方向をL3として説明する。
【0030】
[実施の形態1]
(全体構成)
図1は、本発明の実施の形態1に係るアクチュエータ1の説明図であり、図1(a)、(b)、(c)は、アクチュエータ1の斜視図、アクチュエータ1の中央部分を通るA1−A1′線に沿ってアクチュエータ1を切断したときのXZ断面図、およびアクチュエータ1の端部を通るB1−B1′線に沿ってアクチュエータ1を切断したときのXZ断面図である。図2は、本発明の実施の形態1に係るアクチュエータ1の分解斜視図であり、図2(a)、(b)は、第2ケース52を外した状態の分解斜視図、および第1ケース51から可動体4等を分離した状態の分解斜視図である。
【0031】
図1および図2において、本形態のアクチュエータ1は、使用者に振動を体感させる振動アクチュエータである。アクチュエータ1は、支持体5と、可動体4と、可動体4と支
持体5とに接続された接続体7とを有しており、可動体4は、接続体7を介して支持体5に支持されている。接続体7は、弾性および粘弾性の少なくとも一方を備えている。また、アクチュエータ1は、支持体5に対して可動体4を相対移動させる磁気駆動回路として、第1磁気駆動回路10および第2磁気駆動回路20を有している。
【0032】
本形態において、まず、支持体5は、Z軸方向の一方側Z1に位置する第1ケース51と、第1ケース51にZ軸方向の他方側Z2で被さる第2ケース52とを有している。第1ケース51は、Z軸方向からみたときに四角形の板状部材からなり、第2ケース52は、Z軸方向からみたときに四角形の箱状部材からなる。第2ケース52は、第1ケース51に対向する端板部521と、端板部521の縁から第1ケース51に向けて突出した角筒状の胴部522とを有しており、胴部522のZ軸方向の一方側Z1の端部が第1ケース51に連結されている。
【0033】
可動体4は、Z方向に厚さ方向を向ける板状部材41を有しており、板状部材41は、Z軸方向からみたときに支持体5より小さな四角形の平面形状を有している。また、可動体4は、板状部材41のZ軸方向の一方側Z1に向く第1面411の中心に固定された平板状の第1ウエイト部材46と、板状部材41のZ軸方向の他方側Z2に向く第2面412の中心に固定された平板状の第2ウエイト部材47とを備えている。本形態において、第1ウエイト部材46および第2ウエイト部材47は、Z軸方向からみた時に円形の金属板からなる。
【0034】
(接続体7の構成)
本形態において、接続体7は、可動体4の板状部材41の4つの角付近に設けられたゲル状ダンパー部材70からなり、ゲル状ダンパー部材70は、板状部材41と第1ケース51との間の4箇所と、板状部材41と第2ケース52の端板部521との間の4箇所とに配置されている。従って、ゲル状ダンパー部材70は、後述する第1コイル12および第2コイル22も含めた可動体4の重心Gを囲むように配置されている。また、8個所に設けられたゲル状ダンパー部材70はいずれも、可動体4と支持体5とに接続されている。より具体的には、8個所に設けられたゲル状ダンパー部材70のうち、板状部材41と第1ケース51との間に設けられたゲル状ダンパー部材70は、Z軸方向の両端面が各々、板状部材41および第1ケース51に接着等の方法で接続されている。また、板状部材41と第2ケース52の端板部521との間に設けられたゲル状ダンパー部材70は、Z軸方向の両端面が各々、板状部材41および第2ケース52の端板部521に接着等の方法で接続されている。
【0035】
ゲル状ダンパー部材70は、粘弾性を備えており、その伸縮方向によって、線形あるいは非線形の伸縮特性を備える。例えば、板状のゲル状ダンパー部材70は、その厚さ方向(軸方向)に押圧されて圧縮変形する際は、線形の成分よりも非線形の成分が大きい伸縮特性を備える。一方、厚さ方向(軸方向)に引っ張られて伸びる場合は、非線形の成分よりも線形の成分が大きい伸縮特性を備える。また、厚さ方向(軸方向)と交差する方向(せん断方向)に変形する場合も、非線形の成分よりも線形の成分が大きい変形特性を持つ。本形態において、ゲル状ダンパー部材70は、円柱状のシリコーンゲルからなり、針入度が90度から110度である。針入度とは、JIS−K−2207やJIS−K−2220で規定されているように、25℃で9.38gの総荷重をかけた1/4コーンの針が5秒間に入り込む深さを1/10mm単位で表わした値であり、この値が小さいほど硬いことを意味する。
【0036】
本形態のアクチュエータ1において、支持体5と可動体4との間には、可動体4を互いに交差する2方向に駆動する駆動力を発生させる第1磁気駆動回路10および第2磁気駆動回路20が構成されており、第1磁気駆動回路10および第2磁気駆動回路20は各々
、支持体5および可動体4のうちの一方に保持された磁石と、他方に保持されたコイルを備えている。より具体的には、第1磁気駆動回路10は、支持体5に保持された第1磁石11と、可動体4に保持された第1コイル12とを備えており、第1磁石11と第1コイル12とは第1方向L1で対向し、第1コイル12に通電した際、可動体4を第1方向L1に直交する第2方向L2に駆動する駆動力を発生させる。第2磁気駆動回路20は、支持体5に保持された第2磁石21と、可動体4に保持された第2コイル22とを備えており、第2磁石21と第2コイル22とは第1方向L1で対向し、第2コイル22に通電した際、可動体4を第1方向L1に直交し、第2方向L2に交差する第3方向L3に駆動する駆動力を発生させる。本形態において、第1方向L1はZ軸方向と平行であり、第2方向L2はX軸方向と平行であり、第3方向L3はY軸方向と平行である。従って、第2方向L2と第3方向L3とは直交している。
【0037】
(磁気駆動回路の詳細構成)
図3は、本発明の実施の形態1に係るアクチュエータ1の磁気駆動回路の説明図であり、図3(a)、(b)は、磁気駆動回路の斜視図、および磁気駆動回路の分解斜視図である。
【0038】
本形態において、第1磁気駆動回路10および第2磁気駆動回路20はいずれも、図3に示す構造を有している。本形態では、第1磁気駆動回路10と第2磁気駆動回路20とは、基本的な構成が同一であるため、図3には、第1磁気駆動回路10の構成を中心に示し、第2磁気駆動回路20の構成は、図3にかっこ書きで示してある。
【0039】
図1(a)、(b)、図2、および図3に示すように、第1磁気駆動回路10は、支持体5に保持された第1磁石11と、可動体4に保持された第1コイル12とを有しており、第1磁石11と第1コイル12とは第1方向L1(Z軸方向)で対向している。本形態において、第1磁石11は、第1コイル12に対してZ軸方向の一方側Z1で対向する位置、および第1コイル12に対してZ軸方向の他方側Z2で対向する位置の2個所に配置されており、2つの第1磁石11はいずれも支持体5に保持されている。より具体的には、2つの第1磁石11のうち、第1コイル12に対してZ軸方向の一方側Z1で対向する第1磁石11は、第1ケース51に保持され、第1コイル12に対してZ軸方向の他方側Z2で対向する第1磁石11は、第2ケース52の端板部521に保持されている。
【0040】
第1コイル12は、第3方向L3に延在する2つの長辺121、122と、第2方向L2に延在する2つの短辺123、124とを備えた偏平な空芯コイルであって、2つの長辺121、122は、第2方向L2で対向し、2つの短辺123、124は、第3方向L3で対向している。第1磁石11は、第2方向L2でS極とN極とに着磁された板状の永久磁石であり、第1コイル12の長辺121、122に対向している。このため、第1コイル12では、長辺121、122が有効辺として利用され、第1コイル12に通電した際、可動体4を第2方向L2(X軸方向)に駆動する駆動力を発生させる。
【0041】
また、第1磁気駆動回路10は、2つの第1磁石11のうち、Z軸方向の一方側Z1の第1磁石11に対して第1コイル12とは反対側で重なるヨーク131と、Z軸方向の他方側Z2の第1磁石11に対して第1コイル12とは反対側で重なるヨーク132とを有しており、2つの第1磁石11は各々、ヨーク131、132を介して支持体5に保持されている。より具体的には、図1(b)に示すように、2つの第1磁石11のうち、Z軸方向の一方側Z1の第1磁石11は、ヨーク131を介して第1ケース51に固定され、Z軸方向の他方側Z2の第1磁石11は、ヨーク132を介して第2ケース52の端板部521に固定されている。本形態において、2つのヨーク131、132は、U字状に折れ曲がった連結部133を介して一体に繋がった第1磁性体13からなり、連結部133は、例えば、第2ケース52の胴部522の内面に固定されている。
【0042】
また、図3にかっこ書きで示すように、第2磁気駆動回路20は、第1磁気駆動回路10と略同様に、支持体5に保持された第2磁石21と、可動体4に保持された第2コイル22とを有しており、第2磁石21と第2コイル22とは第1方向L1で対向している。本形態において、第2磁石21は、第2コイル22に対してZ軸方向の一方側Z1で対向する位置、および第2コイル22に対してZ軸方向の他方側Z2で対向する位置の2個所に配置されており、2つの第2磁石21はいずれも支持体5に保持されている。
【0043】
第2コイル22は、第2方向L2に延在する2つの長辺221、222と、第3方向L3に延在する2つの短辺223、224とを備えた偏平な空芯コイルであって、2つの長辺221、222は、第3方向L3で対向し、2つの短辺223、224は、第2方向L2で対向している。第2磁石21は、第3方向L3でS極とN極とに着磁された板状の永久磁石であり、第2コイル22の長辺221、222に対向している。このため、第2コイル22では、長辺221、222が有効辺として利用され、第2コイル22に通電した際、可動体4を第3方向L3(Y軸方向)に駆動する駆動力を発生させる。
【0044】
また、第2磁気駆動回路20は、2つの第2磁石21のうち、Z軸方向の一方側Z1の第2磁石21に対して第2コイル22とは反対側で重なるヨーク231と、Z軸方向の他方側Z2の第2磁石21に対して第2コイル22とは反対側で重なるヨーク232とを有しており、2つの第2磁石21は各々、ヨーク231、232を介して支持体5に保持されている。より具体的には、図1(c)に示すように、2つの第2磁石21のうち、Z軸方向の一方側Z1の第2磁石21は、ヨーク231を介して第1ケース51に固定され、Z軸方向の他方側Z2の第2磁石21は、ヨーク232を介して第2ケース52の端板部521に固定されている。本形態において、2つのヨーク231、232は、U字状に折れ曲がった連結部233を介して繋がった第2磁性体23からなり、連結部233は、第2ケース52の胴部522の内面に固定されている。
【0045】
このように構成したアクチュエータ1において、第1方向L1に対して直交する方向からみたとき、第1磁気駆動回路10と第2磁気駆動回路20は第1方向L1において同一の高さ位置に設けられている。
【0046】
(磁気駆動回路の平面的なレイアウト)
図4は、本発明の実施の形態1に係るアクチュエータ1における磁気駆動回路の平面的なレイアウトを示す説明図である。なお、図4では、第1磁気駆動回路10および第2磁気駆動回路20を構成する複数の部材のうち、コイルおよび1つの磁石のみを図示してある。
【0047】
図4に示すように、本形態のアクチュエータ1において、第1方向L1からみたとき、可動体4が四角形であり、第1磁気駆動回路10は、可動体4において第2方向L2で対向する2つの辺の中央に設けられ、第2磁気駆動回路20は、可動体4において第3方向L3で対向する2つの辺の各々の中央に設けられている。このため、第1磁気駆動回路10は、第2方向L2で離間し、かつ、第2方向L2からみたときに重なる2個所に設けられている。また、第2磁気駆動回路20は、第3方向L3で離間し、かつ、第3方向L3からみたときに重なる2個所に設けられている。
【0048】
また、第1方向L1からみたとき、第1磁気駆動回路10と第2磁気駆動回路20とは、可動体4の重心Gの周りで交互に配置されている。また、第1方向L1からみたとき、2個所の第1磁気駆動回路10は、可動体4の重心Gを中心とする点対称に配置され、2個所の第2磁気駆動回路20は、可動体4の重心Gを中心とする点対称に配置されている。また、第1方向L1からみたとき、2個所の第1磁気駆動回路10は、可動体4の重心
Gを通って第3方向L3に延在する仮想線L30を中心とする線対称に配置され、2個所の第2磁気駆動回路20は、可動体4の重心Gを通って第2方向L2に延在する仮想線L20を中心とする線対称に配置されている。
【0049】
また、本形態では、第1方向L1からみたとき、可動体4が正方形である。このため、第1方向L1からみたとき、第1磁気駆動回路10と第2磁気駆動回路20とは、可動体4の重心Gの周りで等角度間隔に配置されている。
【0050】
(動作)
本形態のアクチュエータ1において、例えば、2つの第1磁気駆動回路10の各々の第1コイル12に交流を印加する一方、第2磁気駆動回路20の第2コイル22への通電を停止する。その結果、可動体4は、第2方向L2に振動するため、アクチュエータ1における重心が第2方向L2に変動する。このため、利用者は、第2方向L2の振動を体感することができる。その際、第1コイル12に印加する交流波形を調整して、可動体4が第2方向L2の一方側に移動する速度と、可動体4が第2方向L2の他方側に移動する速度を相違させれば、利用者は、第2方向L2において方向性を有する振動を体感することができる。
【0051】
また、2つの第2磁気駆動回路20の各々の第2コイル22に交流を印加する一方、第1磁気駆動回路10の第1コイル12への通電を停止する。その結果、可動体4は、第3方向L3に振動するため、アクチュエータ1における重心が第3方向L3に変動する。このため、利用者は、第3方向L3の振動を体感することができる。その際、第2コイル22に印加する交流波形を調整して、可動体4が第3方向L3の一方側に移動する速度と、可動体4が第3方向L3の他方側に移動する速度を相違させれば、利用者は、第3方向L3において方向性を有する振動を体感することができる。
【0052】
また、第1コイル12への通電と第2コイル22への通電とを組み合わせれば、利用者は、第2方向L2での振動と第3方向L3での振動とを組み合わせた体感を得ることができる。
【0053】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態のアクチュエータ1では、可動体4が接続体7によって支持体5に支持されているとともに、可動体4と支持体5との間には、第1方向L1で対向するコイルと磁石とによって、第1方向L1に直交する第2方向L2に駆動する駆動力を発生させる第1磁気駆動回路10と、第1方向L1に直交し、第2方向L2に交差する第3方向L3に駆動する駆動力を発生させる第2磁気駆動回路20とが設けられている。このため、可動体4を第2方向L2に振動させることができるとともに、可動体4を第3方向L3に振動させることができる。このため、使用者に第2方向L2の振動および第3方向L3の振動を体感させることができる。また、第1磁気駆動回路10および第2磁気駆動回路20のいずれにおいても、コイルと磁石とが第1方向L1で対向しているため、第1磁気駆動回路10および第2磁気駆動回路20を設けた場合でも、アクチュエータ1の第1方向L1のサイズを小型化することができる。
【0054】
また、本形態では、第2方向L2と第3方向L3とは直交しているため、可動体4を第2方向L2に振動させた際に使用者が感じる振動と、可動体4を第3方向L3に振動させた際に使用者が感じる振動とを大きく相違させることができる。
【0055】
また、第1磁気駆動回路10は、第2方向L2で離間する2個所に設けられ、第2磁気駆動回路20は、第3方向L3で離間する2個所に設けられている。このため、可動体4を振動させるパワーを増大させることができる。
【0056】
また、第1磁気駆動回路10と第2磁気駆動回路20とは、可動体4の重心Gの周りで交互に配置されている。また、第1磁気駆動回路10は、第2方向L2で離間し、かつ、第2方向L2からみたときに重なる2個所に設けられている。また、第2磁気駆動回路20は、第3方向L3で離間し、かつ、第3方向L3からみたときに重なる2個所に設けられている。このため、第1磁気駆動回路10および第2磁気駆動回路20を駆動して可動体4を第2方向L2および第3方向L3に振動させた際、可動体4が第1方向L1に延在する軸線周りに回転しにくいので、可動体4を効率よく振動させることができる。
【0057】
特に、本形態では、2個所の第1磁気駆動回路10は、可動体4の重心Gを中心とする点対称に配置され、2個所の第2磁気駆動回路20は、可動体4の重心Gを中心とする点対称に配置されている。また、第1方向L1からみたとき、2個所の第1磁気駆動回路10は、可動体4の重心Gを通って第3方向L3に延在する仮想線L30を中心とする線対称に配置され、2個所の第2磁気駆動回路20は、可動体4の重心Gを通って第2方向L2に延在する仮想線L20を中心とする線対称に配置されている。このため、第1磁気駆動回路10および第2磁気駆動回路20を駆動して可動体4を第2方向L2および第3方向L3に振動させた際、可動体4が第1方向L1に延在する軸線周りにより回転しにくいので、可動体4をさらに効率よく振動させることができる。
【0058】
また、アクチュエータ1において、可動体4と支持体5とに接続する接続体7をバネ部材とした場合には、可動体4が、可動体4の質量とバネ部材のバネ定数に対応する周波数で共振することがあるが、本形態では、接続体7にゲル状ダンパー部材70が用いられている。また、本形態では、接続体7にゲル状ダンパー部材70のみが用いられ、ゲル状ダンパー部材70は、その変形方向によっては、バネ成分が存在しないか、あるいは、バネ成分が少ない変形特性を持つ。このため、可動体4の共振を抑制することができる。また、ゲル状ダンパー部材70は、可動体4および支持体5の双方に接着等の方法で固定されている。このため、可動体4の移動に伴ってゲル状ダンパー部材70が移動することを防止することができる。従って、接続体7としてゲル状ダンパー部材70のみを用いることができるので、アクチュエータ1の構成を簡素化することができる。また、ゲル状ダンパー部材70は、針入度が90度から110度である。このため、ゲル状ダンパー部材70は、ダンパー機能を発揮するのに十分な弾性を有するとともに、ゲル状ダンパー部材70が破断して飛散するような事態が発生しにくい。
【0059】
ゲル状ダンパー部材70は、可動体4の第1方向L1の両側で、支持体5と可動体4との間に配置されている。このため、ゲル状ダンパー部材70は、可動体4が第1方向L1で動く場合には、第1方向L1の一方側と他方側のどちらかで必ず圧縮変形し、もう一方の側で、その厚さ方向(軸方向)に伸びる。上述したように、ゲル状ダンパー部材70は圧縮時の伸縮特性は線形の成分よりも非線形の成分が多いので、可動体4が第1方向L1に動く場合には、必ず、圧縮側のゲル状ダンパー部材70が非線形の伸縮特性に従って圧縮される。従って、可動体4と支持体5とのギャップが大きく変化することを回避でき、可動体4と支持体5との第1方向L1のギャップを確保できる。
【0060】
また、ゲル状ダンパー部材70は、可動体4が第2方向L2、第3方向L3に動くと、厚さ方向(軸方向)と直交する方向(せん断方向)に変形する。つまり、ゲル状ダンパー部材70のせん断方向は、第1方向L1に対向する支持体5と可動体4を接続するゲル状ダンパー部材70が伸縮する場合に、その伸縮方向(第1方向)と直交する方向であって、可動体4が振動する方向と平行な方向である。従って、アクチュエータ1は、可動体4を第2方向L2および第3方向L3に振動させる際に、ゲル状ダンパー部材70のせん断方向の変形特性を用いる。ゲル状ダンパー部材70のせん断方向の変形特性は、非線形の成分よりも線形の成分が多い。従って、アクチュエータ1の駆動方向(第2方向L2、第
3方向L3)では、リニアリティが良好な振動特性を得ることができる。
【0061】
[実施の形態2]
図5は、本発明の実施の形態2に係るアクチュエータ1の説明図であり、図5(a)、(b)は、アクチュエータ1の斜視図、およびアクチュエータ1の中央部分を通るA2−A2′線に沿ってアクチュエータ1を切断したときのXZ断面図である。図6は、本発明の実施の形態2に係るアクチュエータ1の分解斜視図であり、図6(a)、(b)は、第2ケース54を外した状態の分解斜視図、および第1ケース53から可動体4等を分離した状態の分解斜視図である。なお、本形態の基本的な構成は、実施の形態1と同等であるため、対応する部分には同一の符号を付してそれらの説明を省略する。
【0062】
実施の形態1では、コイルが可動体4に保持され、磁石が支持体5に保持されていたが、本形態では、コイルが支持体5に保持され、磁石が可動体4に保持されている。より具体的には、図5および図6に示すように、本形態のアクチュエータ1も、実施の形態1と同様、使用者に振動を体感させる振動アクチュエータである。アクチュエータ1は、支持体5と、可動体4と、可動体4と支持体5とに接続された接続体7とを有しており、可動体4は、接続体7を介して支持体5に支持されている。また、アクチュエータ1は、支持体5に対して可動体4を互いに交差する方向(第2方向L2および第3方向L3)に相対移動させる磁気駆動回路として、第1磁気駆動回路10および第2磁気駆動回路20を有している。本形態において、第1磁気駆動回路10が駆動力を発生させる第2方向L2は、X軸方向であり、第2磁気駆動回路20が駆動力を発生させる第3方向L3は、Y軸方向であり、第2方向L2と第3方向L3とは直交している。
【0063】
本形態において、支持体5は、Z軸方向の一方側Z1に位置する第1ケース53と、第1ケース53にZ軸方向の他方側Z2で被さる第2ケース54とを有している。第1ケース53は、Z軸方向からみたときに+(プラス)形状の容器からなり、端板部531と、端板部531から第2ケース54の側に突出した胴部532とを有している。第2ケース54は、Z軸方向からみたときに+(プラス)形状の蓋からなり、胴部532のZ軸方向の他方側Z2の端部に固定されている。
【0064】
可動体4は、Z方向に厚さ方向を向ける板状部材48を有しており、板状部材48は、Z軸方向からみたときに支持体5より小さな四角形の平面形状を有している。ここで、板状部材48の4つの辺のうち、第2方向L2で対向する2つの辺の各々に、第1磁気駆動回路10の第1磁石11が固定され、第3方向L3で対向する2つの辺の各々に、第2磁気駆動回路20の第2磁石21が固定されている。
【0065】
また、支持体5は、第1ケース53の端板部531に固定された板状部材55を有しており、かかる板状部材55には、2つの第1磁石11の各々に第1方向L1の一方側(Z軸方向の一方側Z1)で対向する第1コイル12(図5(b)参照)と、2つの第2磁石21の各々に第1方向L1の一方側で(Z軸方向の一方側Z1)対向する第2コイル(図示せず)とが保持されている。
【0066】
また、本形態でも、実施の形態1と同様、接続体7は、可動体4と支持体5との間に設けられたゲル状ダンパー部材70からなる。本形態において、ゲル状ダンパー部材70は、第1磁石11の第1方向L1の一方側の端面と第1ケース53の端板部531との間の4個所に設けられており、かかるゲル状ダンパー部材70は、第1磁石11および第1ケース53の端板部531の各々に接着等の方法で固定されている。また、ゲル状ダンパー部材70は、第1磁石11の第1方向L1の他方側の端面と第2ケース54との間の4箇所とに設けられており、かかるゲル状ダンパー部材70は、第1磁石11および第2ケース54の各々に接着等の方法で固定されている。さらに、ゲル状ダンパー部材70は、第
1磁石11の側面と板状部材55の側面とに跨る4箇所にも設けられており、かかるゲル状ダンパー部材70は、第1磁石11、板状部材55および第1ケース53の胴部532の内面の各々に接着等の方法で固定されている。本形態において、ゲル状ダンパー部材70は、板状のシリコーンゲルからなる。
【0067】
本形態においても、実施の形態1と同様、第1磁気駆動回路10は、第2方向L2で離間し、かつ、第2方向L2からみたときに重なる2個所に設けられている。また、第2磁気駆動回路20は、第3方向L3で離間し、かつ、第3方向L3からみたときに重なる2個所に設けられている。また、第1方向L1からみたとき、第1磁気駆動回路10と第2磁気駆動回路20とは、可動体4の重心Gの周りで交互に配置されている。さらに、第1方向L1からみたとき、2個所の第1磁気駆動回路10は、可動体4の重心Gを中心とする点対称に配置され、2個所の第2磁気駆動回路20は、可動体4の重心Gを中心とする点対称に配置されている。また、第1方向L1からみたとき、2個所の第1磁気駆動回路10は、可動体4の重心Gを通って第3方向L3に延在する仮想線(図示せず)を中心とする線対称に配置され、2個所の第2磁気駆動回路20は、可動体4の重心Gを通って第2方向L2に延在する仮想線(図示せず)を中心とする線対称に配置されている。また、第1方向L1からみたとき、第1磁気駆動回路10と第2磁気駆動回路20とは、可動体4の重心Gの周りで等角度間隔に配置されている。また、第1方向L1に対して直交する方向からみたとき、第1磁気駆動回路10と第2磁気駆動回路20は第1方向L1において同一の高さ位置に設けられている。
【0068】
このように構成したアクチュエータ1においても、実施の形態1と同様、可動体4が接続体7によって支持体5に支持されているとともに、可動体4と支持体5との間には、第1方向L1で対向するコイルと磁石とによって、第1方向L1に直交する第2方向L2に駆動する駆動力を発生させる第1磁気駆動回路10と、第1方向L1に直交し、第2方向L2に交差する第3方向L3に駆動する駆動力を発生させる第2磁気駆動回路20とが設けられている。このため、可動体4を第2方向L2に振動させることができるとともに、可動体4を第3方向L3に振動させることができる。このため、使用者に第2方向L2の振動および第3方向L3の振動を体感させることができる。また、第1磁気駆動回路10および第2磁気駆動回路20のいずれにおいても、コイルと磁石とが第1方向L1で対向しているため、第1磁気駆動回路10および第2磁気駆動回路20を設けた場合でも、アクチュエータ1の第1方向L1のサイズを小型化することができる等、実施の形態1と同様な効果を奏する。
【0069】
[実施の形態3]
図7は、本発明の実施の形態3に係るアクチュエータ1における磁気駆動回路の平面的なレイアウトを示す説明図である。なお、図7では、第1磁気駆動回路10および第2磁気駆動回路20を構成する複数の部材のうち、コイルおよび1つの磁石のみを図示してある。
【0070】
図7に示すように、本形態のアクチュエータ1においても、実施の形態1、2と同様、第1磁気駆動回路10は、第1方向L1に直交する第2方向L2の駆動力を発生させ、第2磁気駆動回路20は、第1方向L1に直交し、第2方向L2と交差する第3方向L3の駆動力を発生させる。ここで、第2方向L2と第3方向L3とは直交している。
【0071】
本形態では、第1磁気駆動回路10は、第3方向L3で離間し、かつ、第3方向L3からみたときに重なる2個所に設けられている。また、第2磁気駆動回路20は、第2方向L2で離間し、かつ、第2方向L2からみたときに重なる2個所に設けられている。
【0072】
また、第1方向L1からみたとき、第1磁気駆動回路10と第2磁気駆動回路20とは
、可動体4の重心Gの周りで交互に配置されている。また、第1方向L1からみたとき、2個所の第1磁気駆動回路10は、可動体4(図示せず)の重心Gを中心とする点対称に配置され、2個所の第2磁気駆動回路20は、可動体4の重心Gを中心とする点対称に配置されている。また、第1方向L1からみたとき、2個所の第1磁気駆動回路10は、可動体4の重心Gを通って第3方向L3に延在する仮想線L30を中心とする線対称に配置され、2個所の第2磁気駆動回路20は、可動体4の重心Gを通って第2方向L2に延在する仮想線L20を中心とする線対称に配置されている。また、第1方向L1からみたとき、第1磁気駆動回路10と第2磁気駆動回路20とは、可動体4の重心Gの周りで等角度間隔に配置されている。また、第1方向L1に対して直交する方向からみたとき、第1磁気駆動回路10と第2磁気駆動回路20は第1方向L1において同一の高さ位置に設けられている。
【0073】
本形態のアクチュエータ1においても、実施の形態1と同様、2つの第1磁気駆動回路10によって、可動体4が第2方向L2に振動するため、アクチュエータ1における重心が第2方向L2に変動する。また、2つの第2磁気駆動回路20によって、可動体4が第3方向L3に振動するため、アクチュエータ1における重心が第3方向L3に変動する。このため、利用者は、第2方向L2および第3方向L3の振動を体感することができる。
【0074】
また、2つの第1コイル12に逆相の交流を供給し、2つの第2コイル22に逆相の交流を供給すれば、可動体4が重心G周りに往復回転する。このため、利用者は、重心G周りの振動を体感することができる。
【0075】
[実施の形態4]
図8は、本発明の実施の形態4に係るアクチュエータ1における磁気駆動回路の平面的なレイアウトを示す説明図である。なお、図8では、第1磁気駆動回路10および第2磁気駆動回路20を構成する複数の部材のうち、コイルおよび1つの磁石のみを図示してある。
【0076】
図8に示すように、本形態のアクチュエータ1においても、実施の形態1、2と同様、第1磁気駆動回路10は、第1方向L1に直交する第2方向L2の駆動力を発生させ、第2磁気駆動回路20は、第1方向L1に直交し、第2方向L2と交差する第3方向L3の駆動力を発生させる。ここで、第2方向L2と第3方向L3とは直交している。
【0077】
本形態では、第1磁気駆動回路10は、第2方向L2で離間し、かつ、第2方向L2からみたときに第3方向L3にずれた2個所に設けられている。また、第2磁気駆動回路20は、第3方向L3で離間し、かつ、第3方向L3からみたときに第2方向L2にずれた2個所に設けられている。
【0078】
また、第1方向L1からみたとき、第1磁気駆動回路10と第2磁気駆動回路20とは、可動体4の重心Gの周りで交互に配置されている。また、第1方向L1からみたとき、2個所の第1磁気駆動回路10は、可動体4(図示せず)の重心Gを中心とする点対称に配置され、2個所の第2磁気駆動回路20は、可動体4の重心Gを中心とする点対称に配置されている。また、第1方向L1からみたとき、第1磁気駆動回路10と第2磁気駆動回路20とは、可動体4の重心Gの周りで等角度間隔に配置されている。また、第1方向L1に対して直交する方向からみたとき、第1磁気駆動回路10と第2磁気駆動回路20は第1方向L1において同一の高さ位置に設けられている。
【0079】
本形態のアクチュエータ1においても、実施の形態1と同様、2つの第1磁気駆動回路10によって、可動体4が第2方向L2に振動するため、アクチュエータ1における重心が第2方向L2に変動する。また、2つの第2磁気駆動回路20によって、可動体4が第
3方向L3に振動するため、アクチュエータ1における重心が第3方向L3に変動する。このため、利用者は、第2方向L2および第3方向L3の振動を体感することができる。
【0080】
また、2つの第1コイル12に逆相の交流を供給し、2つの第2コイル22に逆相の交流を供給すれば、可動体4が重心G周りに往復回転する。このため、利用者は、重心G周りの振動を体感することができる。
【0081】
[実施の形態5]
図9は、本発明の実施の形態5に係るアクチュエータ1における磁気駆動回路の平面的なレイアウトを示す説明図である。なお、図9では、第1磁気駆動回路10、第2磁気駆動回路、および第3磁気駆動回路30を構成する複数の部材のうち、コイルおよび1つの磁石のみを図示してある。
【0082】
図9に示すように、本形態のアクチュエータ1においても、実施の形態1、2と同様、第1磁気駆動回路10は、第1方向L1に直交する第2方向L2の駆動力を発生させ、第2磁気駆動回路20は、第1方向L1に直交し、第2方向L2と交差する第3方向L3の駆動力を発生させる。
【0083】
さらに、本形態のアクチュエータ1は、第3磁石31と、第3磁石31に第1方向L1(Z軸方向)で対向する第3コイル32とを有し、第1方向L1と直交し、第2方向L2および第3方向L3と斜めに交差する第4方向L4の駆動力を発生させる。
【0084】
ここで、第2方向L2と第3方向L3とは斜めに交差し、第3方向L3と第4方向L4とは斜めに交差し、第2方向L2と第4方向L4とは斜めに交差している。また、第1磁気駆動回路10、第2磁気駆動回路20および第3磁気駆動回路30はいずれも、1個所に設けられている。
【0085】
また、第1方向L1からみたとき、第1磁気駆動回路10、第2磁気駆動回路20および第3磁気駆動回路30は、可動体4(図示せず)の重心Gを中心とする回転対称に配置され、第1磁気駆動回路10、第2磁気駆動回路20および第3磁気駆動回路30は、可動体4の重心Gの周りで等角度間隔に配置されている。また、第1方向L1に対して直交する方向からみたとき、第1磁気駆動回路10、第2磁気駆動回路20、および第3磁気駆動回路30は、第1方向L1において同一の高さ位置に設けられている。
【0086】
本形態のアクチュエータ1においても、実施の形態1と同様、第1磁気駆動回路10の第1コイル12に交流を印加する一方、第2磁気駆動回路20の第2コイル22、および第3磁気駆動回路30の第3コイル32への通電を停止すると、可動体4は、第2方向L2に振動するため、アクチュエータ1における重心が第2方向L2に変動する。また、第2磁気駆動回路20の第2コイル22に交流を印加する一方、第1磁気駆動回路10の第1コイル12、および第3磁気駆動回路30の第3コイル32への通電を停止すると、可動体4は、第3方向L3に振動するため、アクチュエータ1における重心が第3方向L3に変動する。さらに、第3磁気駆動回路30の第3コイル32に交流を印加する一方、第1磁気駆動回路10の第1コイル12、および第2磁気駆動回路20の第2コイル22への通電を停止すると、可動体4は、第4方向L4に振動するため、アクチュエータ1における重心が第3方向L3に変動する。このため、利用者は、第2方向L2、第3方向L3および第4方向L4の振動を体感することができる。
【0087】
また、第1コイル12への通電、第2コイル22への通電、および第3コイル32への通電を組み合わせれば、利用者は、第2方向L2での振動、第3方向L3での振動、および第4方向L4での振動を組み合わせた体感を得ることができる。例えば、第1コイル1
2への通電、第2コイル22への通電、および第3コイル32への通電を組み合わせれば、利用者は、X軸方向Xでの振動、およびY軸方向Yでの振動を体感することができる。
【0088】
[実施の形態6]
図10は、本発明の実施の形態6に係るアクチュエータ1の磁気駆動回路の説明図であり、図10(a)、(b)は、磁気駆動回路の平面的なレイアウトを示す説明図、および磁気駆動回路の別の平面的なレイアウトを示す説明図である。なお、図10では、第1磁気駆動回路10、および第2磁気駆動回路20を構成する複数の部材のうち、コイルおよび1つの磁石のみを図示してある。
【0089】
実施の形態1では、計8つの磁石および計8つのコイルが用いられ、実施の形態2では、計3つの磁石および計3つのコイルを用いたが、本形態では、計2つの磁石および計2つのコイルが用いられている。
【0090】
具体的には、図10(a)、(b)に示すように、本形態のアクチュエータ1においても、実施の形態1、2と同様、第1磁気駆動回路10は、第1方向L1に直交する第2方向L2の駆動力を発生させ、第2磁気駆動回路20は、第1方向L1に直交し、第2方向L2と交差する第3方向L3の駆動力を発生させる。ここで、第2方向L2と第3方向L3とは直交している。
【0091】
図10(a)に示す形態では、第1方向L1からみたとき、可動体4(図示せず)の重心Gから第2方向L2に離間した位置に第1磁気駆動回路10が設けられ、可動体4(図示せず)の重心Gから第3方向L3に離間した位置に第2磁気駆動回路20が設けられている。また、図10(b)に示す形態では、第1方向L1からみたとき、可動体4(図示せず)の重心Gから第2方向L2に離間した位置に第1磁気駆動回路10が設けられ、可動体4(図示せず)の重心Gと重なる位置に第2磁気駆動回路20が設けられていている。
【0092】
本形態のアクチュエータ1においても、実施の形態1と同様、第1磁気駆動回路10によって、可動体4が第2方向L2に振動するため、アクチュエータ1における重心が第2方向L2に変動する。また、第2磁気駆動回路20によって、可動体4が第3方向L3に振動するため、アクチュエータ1における重心が第3方向L3に変動する。このため、利用者は、第2方向L2および第3方向L3の振動を体感することができる。
【0093】
ここで、図10(b)に示す形態では、第1方向L1からみたとき、可動体4(図示せず)の重心Gと重なる位置に第2磁気駆動回路20が設けられていているため、可動体4を第3方向L3に振動させる際、可動体4が重心Gを中心に回転することを抑制することができる。
【0094】
[実施の形態7]
図11は、本発明の実施の形態7に係るアクチュエータ1の磁気駆動回路の説明図であり、図11(a)、(b)、(c)は、磁気駆動回路の斜視図、平面図、および側面図である。なお、図11では、第1磁気駆動回路10、および第2磁気駆動回路20を構成する複数の部材のうち、コイルおよび1つの磁石のみを図示してある。
【0095】
上記実施の形態1では、第1方向L1に対して直交する方向からみたとき、全ての磁気駆動回路が第1方向L1で同一位置に設けられていたが、本形態および後述する実施の形態8では、第1方向L1からみたとき、第1磁気駆動回路10と第2磁気駆動回路20とが部分的に重なっている。
【0096】
具体的には、図11に示すように、本形態のアクチュエータ1においても、実施の形態1、2と同様、第1磁気駆動回路10は、第1方向L1に直交する第2方向L2の駆動力を発生させる。第2磁気駆動回路20は、第1方向L1に直交し、第2方向L2と交差する第3方向L3の駆動力を発生させる。ここで、第2方向L2と第3方向L3とは直交している。
【0097】
ここで、第1方向L1からみたとき、第1磁気駆動回路10は、可動体4(図示せず)の重心Gと重なる位置に設けられ、第2磁気駆動回路20も、第1磁気駆動回路10と同様、可動体4(図示せず)の重心Gと重なる位置に設けられていている。このため、第1方向L1からみたとき、第1磁気駆動回路10と第2磁気駆動回路20とが部分的に重なっている。従って、アクチュエータ1の第1方向L1からみたときのサイズを小型化することができる。
【0098】
本形態のアクチュエータ1においても、実施の形態1と同様、第1磁気駆動回路10によって、可動体4が第2方向L2に振動するため、アクチュエータ1における重心が第2方向L2に変動する。また、第2磁気駆動回路20によって、可動体4が第3方向L3に振動するため、アクチュエータ1における重心が第3方向L3に変動する。このため、利用者は、第2方向L2および第3方向L3の振動を体感することができる。
【0099】
ここで、第1方向L1からみたとき、可動体4(図示せず)の重心Gと重なる位置に第1磁気駆動回路10および第2磁気駆動回路20が設けられていているため、可動体4を第2方向L2および第3方向L3に振動させる際、可動体4が重心Gを中心に回転することを抑制することができる。
【0100】
[実施の形態8]
図12は、本発明の実施の形態8に係るアクチュエータ1の磁気駆動回路の説明図であり、図12(a)、(b)、(c)は、磁気駆動回路の斜視図、平面図、および側面図である。なお、図12では、第1磁気駆動回路10、および第2磁気駆動回路20を構成する複数の部材のうち、コイルおよび1つの磁石のみを図示してある。
【0101】
上記実施の形態7では、第1磁気駆動回路10および第2磁気駆動回路20が1つずつ設けられていたが、本形態では、第1磁気駆動回路10および第2磁気駆動回路20が2つずつ設けられ、第1方向L1に対して直交する方向からみたとき、第1磁気駆動回路10と第2磁気駆動回路20とが部分的に重なっている。
【0102】
具体的には、図12に示すように、本形態のアクチュエータ1においても、実施の形態1、2と同様、第1磁気駆動回路10は、第1方向L1に直交する第2方向L2の駆動力を発生させ、第2磁気駆動回路20は、第1方向L1に直交し、第2方向L2と交差する第3方向L3の駆動力を発生させる。ここで、第2方向L2と第3方向L3とは直交している。
【0103】
ここで、第1方向L1からみたとき、第1磁気駆動回路10は、可動体4(図示せず)の重心Gから第2方向L2で離間する2個所に設けられ、第2磁気駆動回路20は、可動体4(図示せず)の重心Gと重なる位置において、第1方向L1で離間する2個所に設けられていている。このため、第1方向L1からみたとき、第1磁気駆動回路10と第2磁気駆動回路20とが部分的に重なっているとともに、2つの第2磁気駆動回路20が部分的に重なっている。従って、アクチュエータ1の第1方向L1からみたときのサイズを小型化することができる。
【0104】
本形態のアクチュエータ1においても、実施の形態1と同様、第1磁気駆動回路10に
よって、可動体4が第2方向L2に振動するため、アクチュエータ1における重心が第2方向L2に変動する。また、第2磁気駆動回路20によって、可動体4が第3方向L3に振動するため、アクチュエータ1における重心が第3方向L3に変動する。このため、利用者は、第2方向L2および第3方向L3の振動を体感することができる。
【0105】
ここで、第1方向L1からみたとき、2個所の第1磁気駆動回路10は、可動体4の重心Gを中心とする点対称に配置され、2個所の第2磁気駆動回路20は、可動体4の重心Gを中心とする点対称に配置されている。また、第1方向L1からみたとき、2個所の第1磁気駆動回路10は、可動体4の重心Gを通って第3方向L3に延在する仮想線L30を中心とする線対称に配置され、2個所の第2磁気駆動回路20は、可動体4の重心Gを通って第2方向L2に延在する仮想線L20を中心とする線対称に配置されている。このため、可動体4を第2方向L2および第3方向L3に振動させる際、可動体4が重心Gを中心に回転することを抑制することができる。
【0106】
[実施の形態9]
(全体構成)
図13は、本発明の実施の形態9に係るアクチュエータ1の説明図であり、図13(a)はアクチュエータ1の斜視図であり、図13(b)はアクチュエータ1の中央部分を通るA3−A3′線に沿ってアクチュエータ1を切断したときのXZ断面図である。また、図14は、図13のアクチュエータ1の分解斜視図であり、図15は、図13のアクチュエータ1の主要部の分解斜視図である。なお、本形態の基本的な構成は、実施の形態1、2と同等であるため、対応する部分には同一の符号を付してそれらの説明を省略する。実施の形態9に係るアクチュエータ1は、実施の形態2と同様に、コイル(第1コイル12、第2コイル22)が支持体5に保持され、磁石(第1磁石11、第2磁石21)が可動体4に保持されている。
【0107】
本形態のアクチュエータ1は、他の形態と同様、使用者に振動を体感させる振動アクチュエータである。アクチュエータ1は、支持体5と、可動体4と、可動体4と支持体5とに接続された接続体7とを有しており、可動体4は、接続体7を介して支持体5に支持されている。また、アクチュエータ1は、支持体5に対して可動体4を互いに交差する方向(第2方向L2および第3方向L3)に相対移動させる磁気駆動回路として、第1磁気駆動回路10および第2磁気駆動回路20を有している。本形態において、第1磁気駆動回路10が駆動力を発生させる第2方向L2は、X軸方向であり、第2磁気駆動回路20が駆動力を発生させる第3方向L3は、Y軸方向である。
【0108】
本形態において、支持体5は、Z軸方向の一方側Z1に位置する第1ケース56と、第1ケース56にZ軸方向の他方側Z2で被さる第2ケース57と、第1ケース56と第2ケース57の間に配置される板状部材58と、第1ケース56と第2ケース57とを固定する4本の固定ネジ59を有する。第2ケース57は、Z軸方向からみたときに四角形の平面形状を有する端板部571と、端板部571から第1ケース56の側に突出した胴部572とを有する。胴部572は、第2方向L2(X軸方向)の一方側を向く第1面572aおよび他方側を向く第2面572bと、第3方向L3(Y軸方向)の一方側を向く第3面572cおよび他方側を向く第4面572dを備える。第1面572aと第2面572bの第3方向L3の中央部、および、第3面572cと第4面572dの第2方向L2の中央部には、Z軸方向の一方側Z1から他方側Z2に切り欠いた切り欠き部573が形成されている。また、第1面572aには、切り欠き部573の隣の部分をZ軸方向の高さの一部分だけ切り欠いた切り欠き部574が形成されている。
【0109】
第1ケース56は、Z軸方向からみたときに四角形の平面形状を有する端板部561と、端板部561の四隅から第2ケース57の端板部571に向けて突出するボス部562
を備える。ボス部562は、Z軸方向の途中位置に形成された段面563と、段面563からZ軸方向の他方側Z2に突出する円筒部564を備える。第2ケース57の端板部571には、四隅に固定穴575が形成される。第2ケース57の固定穴575と第1ケース56のボス部562にZ軸方向の他方側Z2から固定ネジ59をネジ止めすることにより、胴部572のZ軸方向の一方側Z1の端部に第1ケース56の端板部571が固定される。第1ケース56は、第2ケース57の切り欠き部574と第1方向L1で対向する立ち上がり部565を備える。立ち上がり部565は、切り欠き部574との間に基板6を配置するスリットを構成する。基板6には、第1コイル12、第2コイル22への給電線等が接続される。
【0110】
板状部材58の四隅には、円形穴581が開口する。板状部材58は、円形穴581にボス部562の円筒部564が挿入されて、段面563に載った位置で保持される。板状部材58の4つの辺の中央には、内周側へ凹む凹部582(図15参照)が形成されている。第2方向L2で対向する2つの凹部582の内側に第1磁気駆動回路10の第1コイル12が保持される。また、第3方向L3で対向する2つの凹部582の内側に第2磁気駆動回路20の第2コイル22が保持される。第1コイル12は、有効辺となる長辺が第3方向L3に延在する偏平な空芯コイルであり、第2コイル22は、有効辺となる長辺が第2方向L2に延在する偏平な空芯コイルである。第1コイル12と第2コイル22は、板状部材58に形成した長円形の貫通部に装着されている。
【0111】
可動体4は、板状部材58に対してZ軸方向の一方側Z1に位置する第1ホルダー部材42と、板状部材58に対してZ軸方向の他方側Z2に位置する第2ホルダー部材43を備える。第1ホルダー部材42および第2ホルダー部材43は、Z軸方向からみたときに+(プラス)形状である。第1ホルダー部材42および第2ホルダー部材43は、第2方向L2および第3方向L3の両側にそれぞれ突出している部分の先端部が互いに対向する方向に折れ曲がり、U字状に繋がった接合部44を形成している。可動体4は、Z軸方向からみたときの外形が板状部材58よりも一回り小さく、接合部44は、板状部材58の凹部582と第2ケース57の胴部572との間の隙間に配置される(図13(b)参照)。
【0112】
第1ホルダー部材42の中央部と第2ホルダー部材43の中央部は、板状部材58の中央部に形成された円形穴583を通ってZ軸方向に繋がっており、この部位に第1軸受45Aと第2軸受45Bが設けられている。第1軸受45Aは第1ホルダー部材42の中央に設けられ、Z軸方向の一方側Z1から他方側Z2へ向かう方向に凹む円形凹部451Aと、円形凹部451Aの底面と第1ケース56の端板部561との間で転動可能な球体452Aを備える。第2軸受45Bは第2ホルダー部材43の中央に設けられ、Z軸方向の他方側Z2から一方側Z1へ向かう方向に凹む円形凹部451Bと、円形凹部451Bの底面と第2ケース57の端板部571との間で転動可能な球体452Bを備える。なお、可動体4は、第1軸受45Aと第2軸受45Bを省略した構成にすることもできる。
【0113】
本形態でも、実施の形態1と同様、接続体7は、可動体4と支持体5との間に設けられたゲル状ダンパー部材70からなる。すなわち、接続体7は、可動体4の第1ホルダー部材42と第1ケース56との間に設けられた4つのゲル状ダンパー部材70と、第2ホルダー部材43と第2ケース57の端板部571との間に設けられた4つのゲル状ダンパー部材70からなる。第1ホルダー部材42は、第2方向L2の一方側および他方側に延びる第1磁石保持部421と、第3方向L3の一方側および他方側に延びる第2磁石保持部422を備えており、これら4つの磁石保持部と第1ケース56の端板部561との間にそれぞれ、ゲル状ダンパー部材70が1つずつ配置されている。また、第2ホルダー部材43は、第2方向L2の一方側および他方側に延びる第1磁石保持部431と、第3方向L3の一方側および他方側に延びる第2磁石保持部432を備えており、これら4つの磁
石保持部と第2ケース57の端板部571との間にそれぞれ、ゲル状ダンパー部材70が1つずつ配置されている。
【0114】
第1磁石保持部421と第1磁石保持部431は、第1磁気駆動回路10の第1磁石11を保持する。第1磁石保持部421と第1磁石保持部431には、矩形の貫通部が形成され、ここに第1磁石11が装着される。第1磁石11とゲル状ダンパー部材70との間には矩形のヨーク71が配置されている。また、第2磁石保持部422と第2磁石保持部432は、第2磁気駆動回路20の第2磁石12を保持する。第2磁石保持部422と第2磁石保持部432には、矩形の貫通部が形成され、ここに第2磁石12が装着される。第2磁石12とゲル状ダンパー部材70との間には矩形のヨーク71が配置されている。ゲル状ダンパー部材70は、接着等の方法で可動体4のヨーク71および支持体5の端板部561および端板部571に固定されている。
【0115】
本形態において、ゲル状ダンパー部材70は、板状のシリコーンゲルからなる。ゲル状ダンパー部材70の平面形状は、本形態では円形であるが、矩形などの多角形でもよい。矩形の場合、ゲル状ダンパー部材70を製造する際の歩留まりが最も良いので、低コストである。但し、アクチュエータ1を駆動する際の可動体4の共振特性を考慮すると、ゲル状ダンパー部材70を円形にすることが望ましい。
【0116】
本形態において、第1磁気駆動回路10は、板状部材58に保持された第1コイル12と、板状部材58の第1方向L1の両側で可動体4に保持された第1磁石11とを備えており、第1磁石11と第1コイル12とは第1方向L1で対向し、第1コイル12に通電した際、可動体4を第1方向L1に直交する第2方向L2に駆動する駆動力を発生させる。また、第2磁気駆動回路20は、板状部材58に保持された第2コイル22と、板状部材58の第1方向L1の両側で可動体4に保持された第2磁石21とを備えており、第2磁石21と第2コイル22とは第1方向L1で対向し、第2コイル22に通電した際、可動体4を第1方向L1に直交し、第2方向L2に交差する第3方向L3に駆動する駆動力を発生させる。このため、可動体4を第2方向L2に振動させることができるとともに、可動体4を第3方向L3に振動させることができる。このため、使用者に第2方向L2の振動および第3方向L3の振動を体感させることができる。また、第1磁気駆動回路10および第2磁気駆動回路20のいずれにおいても、コイルと磁石とが第1方向L1で対向しているため、第1磁気駆動回路10および第2磁気駆動回路20を設けた場合でも、アクチュエータ1の第1方向L1のサイズを小型化することができる等、実施の形態1、2と同様な効果を奏する。
【0117】
(移動規制部)
図16は、第2ケース57を取り外したアクチュエータ1の平面図である。図15図16に示すように、本形態の支持体5は、可動体4の第2方向L2の移動範囲を規制する第1移動規制部80と、可動体4の第3方向L3の移動範囲を規制する第2移動規制部90を備える。第1移動規制部80および第2移動規制部90は、板状部材58に形成されている。板状部材58は、上述した円形穴581、凹部582、円形穴583が形成されている薄板部584と、薄板部584に対して垂直な角柱部81および角柱部91を備える。第1移動規制部80は、可動体4の第2磁石保持部422および第2磁石保持部432の第2方向L2の両側で対向する角柱部81を2組(4本)備えている。また、第2移動規制部90は、可動体4の第1磁石保持部421および第1磁石保持部431の第3方向L3の両側で対向する角柱部91を2組(4本)備えている。
【0118】
第1移動規制部80を構成する角柱部81は、第3方向L3で対向する2つの凹部582のそれぞれの、第2方向L2で対向する内周縁に位置する。角柱部81は、第2方向L2で対向する側面813と側面814を備えており、この側面813、814は、可動体
4が第2方向L2に振動するとき、振動方向に対して垂直な面である。また、第2移動規制部90を構成する角柱部91は、第2方向L2で対向する2つの凹部582のそれぞれの、第3方向L3で対向する内周縁に位置する。角柱部91は、第3方向L3で対向する側面913と側面914を備えており、この側面913、914は、可動体4が第2方向L2に振動するとき、振動方向に対して垂直な面である。
【0119】
図15に示すように、角柱部81は、薄板部584から第1ケース56の端板部561に向けて突出する第1突出部811と、第2ケース57の端板部571に向けて突出する第2突出部812を備える。第1突出部811と第2突出部812は、薄板部584からの突出方向が逆向きで突出寸法が同一であり、第2方向L2(X軸方向)に見たときに、第1突出部811が第2磁石保持部422と重なり、第2突出部812が第2磁石保持部432と重なる。従って、可動体4は、第2方向L2に振動するとき、角柱部81によって、第2方向L2の一方側および他方側への移動を規制される。可動体4は、第2磁石保持部422および第2磁石保持部432の第2方向L2の両側で対向する角柱部81の間隔D1と、第2磁石保持部422および第2磁石保持部432の第2方向L2の幅D2との寸法差の範囲で、第2方向L2に振動可能である。また、角柱部81は、第1ホルダー部材42と第2ホルダー部材43をU字状に繋げた接合部である接合部44と異なる位置で、可動体4と当接してその移動を規制する。
【0120】
同様に、角柱部91は、薄板部584から第1ケース56の端板部561に向けて突出する第1突出部911と、第2ケース57の端板部571に向けて突出する第2突出部912を備える。第1突出部911と第2突出部912は、薄板部584からの突出方向が逆向きで突出寸法が同一であり、第3方向L3(Y軸方向)に見たときに、第1突出部911が第2磁石保持部422と重なり、第2突出部912が第2磁石保持部432と重なる。従って、可動体4は、第3方向L3に振動するとき、角柱部91によって、第3方向L3の一方側および他方側への移動を規制される。可動体4は、第1磁石保持部421および第1磁石保持部431の第3方向L3の両側で対向する角柱部91の間隔D3と、第1磁石保持部421および第1磁石保持部431の第3方向L3の幅D4との寸法差の範囲で、第3方向L3に振動可能である。また、角柱部91は、第1ホルダー部材42と第2ホルダー部材43をU字状に繋げた接合部である接合部44と異なる位置で、可動体4と当接してその移動を規制する。
【0121】
本形態のアクチュエータ1では、このように、支持体5が第1移動規制部80および第2移動規制部90を備えており、可動体4の第2方向L2の移動範囲、および、第3方向L3の移動範囲を規制できる。第1移動規制部80によって規制される第2方向L2の移動範囲、および、第2移動規制部90によって規制される第3方向L3の移動範囲は、可動体4が第2ケース57の胴部572に衝突することのない範囲に設定されている。また、可動体4が第2方向L2および第3方向L3に振動する際、接続体7(ゲル状ダンパー部材70)はせん断方向に変形することになる。本形態では、可動体4の移動範囲を、ゲル状ダンパー部材70のせん断方向の限界変形量以下としている。従って、可動体4が最大限振動しても、ゲル状ダンパー部材70が限界変形量以上伸びることがないので、ゲル状ダンパー部材70が破壊されることを回避できる。
【0122】
また、第1移動規制部80および第2移動規制部90は、第1ホルダー部材42と第2ホルダー部材43をU字状に繋げた接合部である接合部44と異なる位置で可動体4と当接するように配置されており、可動体4の強度の弱い箇所が第1移動規制部80および第2移動規制部90に当たらないように構成されている。従って、可動体4が第1移動規制部80および第2移動規制部90との衝突によって壊れるおそれを少なくすることができる。
【0123】
また、本形態のアクチュエータ1は、第1コイル12に対して両面から第1磁石11が対向し、第2コイル22に対して両面から第2磁石21が対向するので、コイルの片面にのみ、磁石が対向している場合と比較して、磁束漏れが少ない。従って、可動体4を動かすための推力を大きくすることができる。
【0124】
なお、第1移動規制部80と第2移動規制部90の一方を省略することもできる。また、本形態では、第1移動規制部80をおよび第2移動規制部90を板状部材58に設けていたが、第1ケース56および第2ケース57に設けることも可能である。
【0125】
[他の実施の形態]
上記実施の形態では、磁石とコイルとが隙間を介して対向していたが、磁石とコイルとの間に樹脂製の保護シートを設け、磁石とコイルとが接触した際の磁石やコイルの損傷を防止してもよい。
【0126】
上記実施の形態では、接続体7としてゲル状ダンパー部材70のみを用いたが、接続体7として、バネを用いた形態や、バネとゲル状ダンパー部材70とを併用した形態としてもよい。
【符号の説明】
【0127】
1…アクチュエータ、10…第1磁気駆動回路、11…第1磁石、12…第1コイル、121、122…長辺、123、124…短辺、13…第1磁性体、131…ヨーク、132…ヨーク、133…連結部、20…第2磁気駆動回路、21…第2磁石、22…第2コイル、221、222…長辺、223、224…短辺、23…第2磁性体、231…ヨーク、232…ヨーク、233…連結部、30…第3磁気駆動回路、31…第3磁石、32…第3コイル、4…可動体、41…板状部材、411…第1面、412…第2面、42…第1ホルダー部材、421…第1磁石保持部、422…第2磁石保持部、43…第2ホルダー部材、431…第1磁石保持部、432…第2磁石保持部、44…接合部、45A…第1軸受、451A…円形凹部、452A…球体、45B…第2軸受、451B…円形凹部、452B…球体、46…第1ウエイト部材、47…第2ウエイト部材、48…板状部材、5…支持体、51…第1ケース、52…第2ケース、521…端板部、522…胴部、53…第1ケース、531…端板部、532…胴部、54…第2ケース、55…板状部材、56…第1ケース、561…端板部、562…ボス部、563…段面、564…円筒部、565…立ち上がり部、57…第2ケース、571…端板部、572…胴部、572a…第1面、572b…第2面、572c…第3面、572d…第4面、573、574…切り欠き部、575…固定穴、58…板状部材、581…円形穴、582…凹部、583…円形穴、584…薄板部、59…固定ネジ、6…基板、7…接続体、70…ゲル状ダンパー部材、71…ヨーク、80…第1移動規制部、81…角柱部、811…第1突出部、812…第2突出部、813、814…側面、90…第2移動規制部、91…角柱部、911…第1突出部、912…第2突出部、913、914…側面、D1、D3…間隔、D2、D4…幅、G…重心、L1…第1方向、L2…第2方向、L3…第3方向、L4…第4方向、L20…仮想線、L30…仮想線
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