(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第一電極と前記第二電極との間に位置されると共に前記第一配向膜に対応する第二配向膜をさらに備え、且つ前記液晶層は前記第一配向膜と前記第二配向膜との間に位置されることを特徴とする、請求項1記載の液晶表示パネル。
第一基板と、前記第一基板に対応して設置される第二基板と、前記第一基板と前記第二基板との間に設置される第一電極と、前記第一基板と前記第二基板との間に設置され、且つ前記第一電極と異なる電位を有する第二電極と、前記第一電極と前記第二電極との間に位置される第一配向膜と、前記第一基板と前記第二基板との間に設置される液晶層とを備える、動作周波数がNHzの液晶表示パネルを提供する工程と、
液晶電流測定法により前記液晶表示パネルの測定を行い、以下の式(1)に示すように、1/2N時間での前記液晶層のイオン電位及び1/2N時間での前記第一配向膜のイオン電位の和Aを獲得し、且つ以下の式(2)に示すように、位相差測定法により前記液晶表示パネルの測定を行い、1/2N時間での前記液晶層のイオン電位及び1/2N時間での前記第一配向膜のイオン電位の差Bを獲得する工程と、
以下の式(3)及び式(4)により1/2N時間での前記第一配向膜のイオン電位及び1/2N時間での前記液晶層のイオン電位をそれぞれ獲得する、工程とを含むことを特徴とする液晶表示パネルの液晶層と第一配向膜の間のイオンによる電位を検出する方法。
A=Vion_PI(1/2N) +Vion_LC(1/2N) (1)
B=Vion_PI(1/2N) −Vion_LC(1/2N) (2)
(0.1≦N≦30であり、Vion_LC(1/2N)は1/2N時間での前記液晶層のイオン電位であり、Vion_PI(1/2N)は1/2N時間での前記第一配向膜のイオン電位である)
Vion_PI(1/2N) = (A + B)/2 (3)
Vion_LC(1/2N) = (A − B)/2 (4)
液晶電流測定法により前記液晶表示パネルの測定を行いイオン電位の和を獲得する工程では、60Hzに等しいかより大きく且つ5000Hzに等しいかより小さい動作周波数を有する電圧を前記液晶表示パネルに提供し、電圧の液晶容量に対する関係図を獲得する工程と、前記時間のイオン電位の差に対する関係図及び前記電圧の液晶容量に対する関係図により、時間の液晶容量に対する関係図を獲得する工程と、前記時間の液晶容量に対する関係図及び前記時間のイオン電位の差に対する関係図により、時間の液晶分子のねじれに必要な電荷に対する関係図を獲得する工程と、前記時間の液晶分子のねじれに必要な電荷に対する関係図及び時間の表示パネルを流れる電流に対する関係図により、時間のイオン電位の和に対する関係図を獲得する工程とを含むことを特徴とする、請求項6記載の液晶表示パネルの液晶層と配向膜の間のイオンによる電位を検出する方法。
前記第一電極は前記第一基板上に位置され、前記第二電極は前記第二基板上に位置されることを特徴とする、請求項5記載の液晶表示パネルの液晶層と配向膜の間のイオンによる電位を検出する方法。
前記第一電極と前記第二電極との間に位置されると共に前記第一配向膜に対応する第二配向膜をさらに備え、且つ前記液晶層は前記第一配向膜と前記第二配向膜との間に位置されることを特徴とする、請求項5記載の液晶表示パネルの液晶層と配向膜の間のイオンによる電位を検出する方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、低動作周波数の場合、これらイオン電荷による電界が液晶層内の液晶分子の実際の受容器電位に影響を及ぼし、残像、点滅、電圧の保持率の低下等の問題を引き起こす。これらの問題は、液晶表示パネルの品質に影響を与える重要な要素である。
これを鑑み、表示パネルの液晶層と配向膜との間のイオンによる電位を検出する方法を開発し、この方法により適合する液晶材料及び配向膜材料を選出することで、低動作周波数でも適用できる高い表示品質を有する液晶表示パネルを製造する。
【0005】
そこで、本発明者は上記の欠点が改善可能と考え、鋭意検討を重ねた結果、合理的設計で上記の課題を効果的に改善する本発明の提案に到った。
【0006】
本発明は、以上の従来技術の課題を解決する為になされたものである。即ち、本発明の目的は、液晶表示パネルを提供することである。そして、低動作周波数の電圧でも、配向膜材料或いは液晶分子のイオンの影響によって表示パネルが点滅を起こすことはない。
【0007】
また、本発明の他の目的は、液晶層と配向膜の間のイオンによる電位を検出する方法を提供することである。換言すれば、液晶分子或いは配向膜材料のイオン電位の差を制御することで電界を変化させ、イオンが液晶ディスプレイの品質に与える影響を低下させる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る液晶表示パネルは、第一基板と、前記第一基板に対応して設置される第二基板と、前記第一基板と前記第二基板との間に設置される第一電極と、前記第一基板と前記第二基板との間に設置され、且つ前記第一電極と異なる電位を有する第二電極と、
前記第一電極と前記第二電極との間に位置される第一配向膜と、前記第一基板と前記第二基板との間に設置される液晶層とを備えている。
そして、前記液晶表示パネルがNHzの動作周波数の場合、前記液晶層及び前記
第一配向膜のイオン電位は以下の関係式(I)に符合することを特徴とする。
【0009】
【数1】
【0010】
(関係式(I)中、0.1≦N≦30であり、V
ion_LC(1/2N)は1/2N時間での前記液晶層のイオン電位であり、V
ion_PI(1/2N)は1/2N時間での前記
第一配向膜のイオン電位である)。
【0011】
本発明の液晶表示パネルでは、適切な液晶層材料及び配向膜材料を選択し、液晶表示パネルが低動作周波数の場合でも液晶層及び配向膜のイオン電位が前述の関係式(I)に符合し、液晶層及び配向膜のイオンによる影響を低下させて、液晶表示パネルの表示品質を改善させる。
【0012】
本発明の液晶表示パネルでは、第一電極と第二電極との間に位置されると共に第一配向膜に対応する第二配向膜をさらに備え、且つ液晶層は第一配向膜と第二配向膜との間に位置される。
【0013】
また、本発明に係る液晶表示パネルは本技術分野では既知の液晶表示パネルであり、例えばねじれネマティック方式、VA方式、或いはIPS方式の液晶表示パネルである。即ち、第一電極及び第二電極は共に第一基板上に位置されるか、或いは第一電極が第一基板上に位置され、第二電極が第二基板上に位置される。
【0014】
さらに、本発明の液晶表示パネル中の液晶層と
第一配向膜の間のイオンによる電位を検出する方法(以下、単に、検出方法と称する場合がある。)は、前述の液晶表示パネルを提供する工程を含み、液晶電流測定法を利用して液晶表示パネルの測定を行い、1/2N時間での液晶層のイオン電位及び1/2N時間での
第一配向膜のイオン電位のイオン電位の和Aを獲得し、以下の式(1)に示す。
また、位相差測定法を利用して液晶表示パネルを測定し、1/2N時間での液晶層のイオン電位及び1/2N時間での
第一配向膜のイオン電位のイオン電位の差Bを獲得し、以下の式(2)に示す。
A=V
ion_PI(1/2N)+V
ion_LC(1/2N) (1)
B=V
ion_PI(1/2N)−V
ion_LC(1/2N) (2)
ここでは、0.1≦N≦30であり、V
ion_LC(1/2N)は1/2N時間での液晶層のイオン電位であり、V
ion_PI(1/2N)は1/2N時間での
第一配向膜のイオン電位である。
そして、以下の式(3)及び式(4)により1/2N時間での配向膜のイオン電位及び1/2N時間での液晶分子のイオン電位をそれぞれ獲得する。
V
ion_PI(1/2N)=(A+B)/2 (3)
V
ion_LC(1/2N)=(A−B)/2 (4)。
【0015】
本発明に係る検出方法において、位相差測定法を利用して液晶表示パネルの測定を行いイオン電位の差を獲得する工程では、60Hzに等しいかより大きく且つ5000Hzに等しいかより小さい動作周波数を有する電圧を前記液晶表示パネルに提供し、電圧の液晶の位相差に対する関係図を獲得する工程と、0Hzより大きく且つ10Hzより小さい動作周波数を有する電圧を前記液晶表示パネルに提供し、時間の液晶の位相差に対する関係図を獲得する工程と、前記時間の液晶の位相差に対する関係図と前記電圧の液晶の位相差に対する関係図とを比較し、時間のイオン電位の差に対する関係図を獲得する工程と、を含む。
【0016】
この他に、本発明に係る検出方法において、液晶電流測定法により液晶表示パネルの測定を行いイオン電位の和を獲得する工程では、60Hzに等しいかより大きく且つ5000Hzに等しいかより小さい動作周波数を有する電圧を前記液晶表示パネルに提供し、電圧の液晶容量に対する関係図を獲得する工程と、前記時間のイオン電位の差に対する関係図及び前記電圧の液晶容量に対する関係図により、時間の液晶容量に対する関係図を獲得する工程と、前記時間の液晶容量に対する関係図及び前記時間のイオン電位の差に対する関係図により、時間の液晶分子のねじれに必要な電荷に対する関係図を獲得する工程と、前記時間の液晶分子のねじれに必要な電荷に対する関係図及び時間の表示パネルを流れる電流に対する関係図により、時間のイオン電位の和に対する関係図を獲得する工程とを含む。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る検出方法において、液晶電流測定法により液晶層及び配向膜のイオン電位の和を獲得し、且つ位相差測定法により液晶層及び配向膜のイオン電位の差を獲得し、換算して液晶層及び配向膜材料のイオン電位をそれぞれ獲得することで、液晶表示パネル中の液晶層及び配向膜材料のイオンの個別の影響を理解する。これにより、液晶表示パネル中のイオン特性を制御し、低動作周波数で適用される液晶表示パネルを改良する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1(a)は、本発明の実施形態に用いられる液晶表示パネルを示す概念図であり、
図1(b)は、本発明の実施形態に用いられる液晶表示パネルのイオンによる作用を示す概念図である。
【
図2】
図2(a)は、本発明の実施形態に用いられる液晶電流測定システムの概念図であり、
図2(b)は、本発明の実施形態に用いられる液晶電流測定システムの等価電路図である。
【
図3】
図3(a)は、本発明の実施形態に用いられる位相差測定システムの概念図であり、
図3(b)は、本発明の実施形態における液晶表示パネルによる位相差の概念図である。
【
図4】本発明の実施形態により得られる電圧が液晶の位相差に対する関係図である。
【
図5】本発明の実施形態により得られる時間が液晶の位相差に対する関係図である。
【
図6】本発明の実施形態により得られる時間がイオン電位の差に対する関係図である。
【
図7】本発明の実施形態により得られる電圧が液晶容量に対する関係図である。
【
図8】本発明の実施形態により得られる時間が液晶容量に対する関係図である。
【
図9】本発明の実施形態により得られる時間が液晶分子ツイストに必要な電荷に対する関係図である。
【
図10】本発明の実施形態により得られる時間が液晶表示パネルを流れる電流に対する関係図である。
【
図11】本発明の実施形態により得られる時間が液晶表示パネルを流す電荷に対する関係図である。
【
図12】本発明の実施形態により得られる時間がイオン電位合計に対する関係図である。
【
図13】本発明の比較実施形態により得られる時間がイオン電位の差、イオン電位合計、液晶イオン電位及び配向膜のイオン電位に対する関係図である。
【
図14】本発明の好ましい実施形態により得られる時間がイオン電位の差、イオン電位合計、液晶イオン電位及び配向膜のイオン電位に対する関係図である。
【
図15】本発明の好ましい実施形態の液晶表示パネルの時間が位相差に対する関係図である。
【
図16】本発明の他の好ましい実施形態の液晶表示パネルを示す概念図である。
【
図17】本発明のさらなる好ましい実施形態の液晶表示パネルによる位相差を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、特定の具体的実施例を通じて本発明の実施形態を説明し、本発明の属する技術分野の技術者は本明細書で開示される内容から簡単に本発明その他の利点と効果を理解できる。
本発明もその他異なる具体的実施形態を通じて実施或いは運用できる。また、本明細書内の各細部に異なる見解と応用について、本発明の要旨を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができる。
【0020】
[第1の実施形態]
以下、本発明の具体的な実施形態(第1の実施形態)について添付図面に基づき説明する。
まず、
図1(a)は、本発明の実施形態に用いられる液晶表示パネルを示す概念図である。本実施形態で用いられる液晶表示パネルは、第一基板11と、第一基板11に対応して設置される第二基板15と、第一基板11と第二基板15との間に設置される第一電極111と、第一基板11と第二基板15との間に設置され、且つ第一電極111と異なる電位を有する第二電極151と、第一電極111と第二電極151との間に位置される第一配向膜12と、第一基板11と第二基板15との間に設置される液晶層13とを備える。第一電極111及び第二電極151はパターン化電極である。
また、本実施形態で使用される液晶表示パネルは、第一基板11と第二基板15との間に位置されると共に第一配向膜12に対応する第二配向膜14をさらに備え、且つ液晶層13は第一配向膜12と第二配向膜14との間に位置される。本実施形態で使用される液晶表示パネルは、第一基板11の第一電極111及び第二基板15の第二電極151が対応し合い、故に本実施形態で用いられる液晶表示パネルはねじれネマティック(TN)液晶表示パネルである。
【0021】
図1(b)は、本発明の実施形態に用いられる液晶表示パネルのイオンによる作用を示す概念図である。動作電圧(電界)Eが液晶表示パネルにかけられて第一電極111及び第二電極151が異なる電位を有する場合、液晶層13の液晶分子131は第一電極111と第二電極151との間に発生する電界Eの影響により回転し、第一配向膜12、液晶層13、及び第二配向膜14内の正電荷(正電イオンを帯びる)が負極方向に移動し、負電荷(負電イオンを帯びる)が正極方向に移動する。液晶層13と第一配向膜12及び第二配向膜14との境界面の電荷が相互に打ち消し合い、最後に内部電界が残り、配向膜層のイオンが多ければイオン電界の除去は外場と同じ方向になり、液晶層のイオンが多ければイオン電界の除去は外場とは反対方向になる。内部電界が液晶分子131の回転特性に影響を与え、液晶層13の光学位相に影響を与える。特に、低動作周波数の電圧の場合、イオンが発生させる内部電界による影響が顕著である。
図1(b)の液晶分子131は例示に過ぎず、これに制限させるものではないが、液晶分子はポジティブ液晶或いはネガティブ液晶である。
【0022】
このため、前述の第一配向膜12、液晶分子131、及び第二配向膜14で発生するイオンの電位を検出するため、本実施形態では、液晶電流測定法及び位相差測定法をそれぞれ使用し、液晶表示パネル中の配向膜(第一配向膜12及び第二配向膜14を含む)材料及び液晶分子131の通電後に発生するイオン電位を測定する。
【0023】
図2(a)及び
図2(b)は、本発明の実施形態に用いられる液晶電流測定システムの概念図及び等価回路図である。本実施形態で使用される液晶測定システムは、信号発生器21と、半導体分析計22と、データ処理装置23とを備える。信号発生器21は本実施形態で使用される液晶表示パネル1に電気的に接続されると共に電圧を液晶表示パネル1に提供し、半導体分析計22も液晶表示パネル1に電気的に接続される。ここでは、半導体分析計22はAgilent 4155Cであるが、但し本発明はこれに限定されず、半導体分析計22が10
−9Aから10
−12Aの電流を検知可能な分析計であればよい。
【0024】
図3(a)は本発明の実施形態に用いられる位相差測定システムの概念図である。本実施形態で使用される位相差測定システムは、ヘテロダイン干渉計31と、信号発生器32と、偏光板33と、位相記録計34と、カウンター35と、カウンター36と、差分増幅器37と、データ処理装置38とを備える。ヘテロダイン干渉計31は、レーザー装置311と、四分の一波長板(QWP)312と、分光ユニット313と、偏光板314と、位相記録計315とを含む。
ここでは、レーザー装置311が発するレーザー光は矢印が示す方向に伝達され、且つ本実施形態で使用される液晶表示パネル1及び偏光板33を経て、信号発生器32が液晶表示パネル1に電気的に接続されることで電圧が液晶表示パネル1に提供される。
本実施形態では、ヘテロダイン干渉計31はAgilent 5519Aであり、レーザー装置311は波長633nmのゼーマンレーザー(Zeeman laser)であり、且つ周波数差は2.4 MHzである。しかしながら、本発明はこれに限定されない。本実施形態では、レーザー装置311で使用されるゼーマンレーザー光源自体が左回転及び右回転を行う偏光を有し、四分の一波長板312により位相が遅延された後、偏光方向に相互に垂直になるリニア偏光が形成される。
図3(b)に示すように、ω1及びω2はそれぞれ常光線(ordinary ray、実線の矢印で示す)及び異常光線(extraordinary ray、破線の矢印で示す)の周波数であり、且つ両者の周波数の差は2.4MHzである。分光ユニット313を経た後に1つのビームが2つに分かれ、反射光が偏光板314を経た後に、位相記録計315により受光され、参照信号となる。他の透過光は液晶表示パネル1を経て、位相の差を発生させた後に偏光板33から位相記録計34を経て、測定対象信号となり、その直交リニア偏光が液晶表示パネル1を経て発生する位相の差は
図3(b)に示すようになる。液晶が複屈折特性を有し、光が液晶表示パネル1を経た場合、常光線及び異常光線が異なる位相の差φ1及びφ2をそれぞれ発生させる。光線が偏光板314及び偏光板33を経た後に位相記録計315及び位相記録計34により受光され、参照信号及び測定対象信号の光強度信号が測定され、両者のオーバーレイ処理が施され、計算後(φ=Δn×dであり、Δnは液晶材料の常光線及び異常光線の屈折係数の差であり、dは液晶表示パネル1の液晶層の厚さである)に、参照信号及び測定対象信号の両者の位相差が得られる。
【0025】
次は、本実施形態で用いられる位相差測定法を詳述する。まず、
図3(a)に示す位相差測定システムにより、60Hzに等しいかより大きく且つ5000Hzに等しいかより小さい動作周波数を有する電圧を液晶表示パネル1に提供し、電圧の液晶の位相差に対する関係図(ΔPhase vs.Voltage)を獲得する。本実施形態では、1000Hzの矩形波の電圧を液晶表示パネル1に提供し、且つ電圧の範囲は0Vから10Vであり、
図4に示す電圧の液晶の位相差に対する関係図を獲得する。ここでは、高周波の印加電圧を用いて液晶表示パネルの位相差が測定されると、配向膜及び液晶分子内のイオンは周波数切り換え速度についていくことができないため、イオンが液晶層に対して光学位相差に寄与しない。
よって、
図4で得られる電圧の液晶の位相差に対する関係図は、イオンの影響を受けない印加電圧の液晶の位相差に対する関係図である。
図4で得られた曲線の分析後に、約3Vの印加電圧時の曲線の傾斜度が最大になり、これは液晶分子が最大の位相差の変化を有することを示す。よって、以降では3Vの印加電圧を用いて後続の測定を行う。
【0026】
その後、再度
図3(a)に示す位相差測定システムを利用し、0Hzより大きく且つ10Hzより小さい動作周波数を有する電圧を液晶表示パネル1に提供し、時間の液晶の位相差に対する関係図(ΔPhase vs.Time)を獲得する。
本実施形態においては、0.1Hzの矩形波の3Vの印加電圧を液晶表示パネル1に提供し、
図5に示すような時間の液晶の位相差に対する関係図を獲得する。ここでは、低周波の印加電圧を使用して液晶表示パネルの位相差を測定する場合、配向膜及び液晶分子が発生するイオンが印加電圧に加算され、これによりイオン電界が液晶層に影響を及ぼして光学位相差に寄与する。これにより、
図5の時間の液晶の位相差に対する関係図はイオンの影響を受けた時間の液晶の位相差に対する関係図と言える。
【0027】
続いて、
図5の時間の液晶の位相差に対する関係図と
図4の電圧の液晶の位相差に対する関係図とを比較し、時間のイオン電位の差に対する関係図(ΔVoltage vs. Time)を獲得する(
図6参照)。例えば、
図5の3秒時の位相差は約92nmであり、92nmを
図4と比較した後に得られる電圧値は約3.11Vである。なお、
図5の液晶の位相差に対する電圧の測定時に用いられる印加電圧は3Vであり、
図5の3秒の位相差が約92nmの際に、イオンが寄与する電位の差が0.11Vであることが分かり、
図6に図示する3秒時のイオン電位の差は0.11Vのデータ点である。前述の算出された各時間点でのイオンが寄与する電位の差により、本実施形態の
図6の時間のイオン電位の差に対する関係図が得られる。液晶層の光学位相に影響を与える電界は液晶層と第一配向膜及び第二配向膜との境界面のイオン電荷が相互に打ち消し合うことで得られる電界であり、故に、本実施形態で獲得する
図6の時間のイオン電位の差(B)に対する関係図は、以下の式(2)に示す通りである。
B=V
ion_PI(1/2N)−V
ion_LC(1/2N) (2)
ここでは、0.1≦N≦30であり、V
ion_LC(1/2N)は1/2N時間での前記液晶層のイオン電位であり、V
ion_PI(1/2N)は1/2N時間での前記配向膜のイオン電位である。
【0028】
液晶容量の誘電率は電圧、周波数、及び温度の変化に追随して変化し、且つ低周波で測定する場合、前述の位相差測定法を用いて液晶容量を測定することはできない。このため、本実施形態では、
図2(a)に示す液晶電流測定システムを用いて、液晶層全体の容量及び電流を測定する。
中でも、液晶分子の回転によって誘電率が変化するため、より多くの電荷を提供して液晶分子の回転の影響を補償しなければならない。故に、測定された容量及び電流は、配向膜のイオン、液晶分子のイオン、及び液晶分子の回転が影響する容量及び電流の合計である。
【0029】
まず、
図2(a)に示す液晶電流測定システムを使用して、60Hzに等しいかより大きく且つ5000Hzに等しいかより小さい動作周波数を有する電圧を液晶表示パネル1に提供し、電圧の液晶容量に対する関係図(Capacitance vs. Voltage)を獲得する。本実施形態によれば、1000Hzの矩形波の電圧を液晶表示パネル1に提供し、且つ電圧の範囲は0Vから5Vであり、
図7に示す電圧の液晶容量に対する関係図を獲得する。ここでは、高周波ではイオン特性を考慮する必要がなく、横軸の電圧値は液晶電流測定システムが提供する電圧である。
【0030】
続いて、
図6に示す時間のイオン電位の差に対する関係図と
図7に示す電圧の液晶容量に対する関係図とを比較し、時間の液晶容量に対する関係図(ΔC vs. Time) を獲得する(
図8参照)。例えば、
図6の1秒時のイオン電位の差は約0.065Vであり、
図6は3Vで得られるイオン電位の差を示し、故に
図7の液晶容量と比較すると、液晶容量が3+0.065Vの場合に対応する容量値は約1037×10
−12Fであり、
図8に図示する1秒時の液晶容量は1037×10
−12Fのデータ点である。前述の算出された各時間点での液晶容量値により、本実施形態の
図8の時間の液晶容量に対する関係図が得られる。
【0031】
その後、
図8に示す時間の液晶容量に対する関係図と
図6に示す時間のイオン電位の差に対する関係図とを比較し、以下の式(5)により時間の液晶分子のねじれに必要な電荷(ΔQ
LC_deform)に対する関係図を獲得する(
図9参照)。
ΔQ
LC_deform=ΔC
LC×ΔV (5)
ここでは、ΔVは
図6に示す3Vで得られる時間に対するイオン電位の差の毎秒の変数であり、ΔC
LCは各時間点での1秒前に対応する容量の差である。例えば、
図6の1秒時のイオン電位の差は約0.065Vであり、
図8の1秒時の0秒時に対する容量の差は15× 10
−12F ((1037−1022) ×10
−12F)であり、式(5)の計算後にΔQ
LC_deformは0.975 × 10
−12Cとなる。前述の算出された各時間点での容量の変化量及び電位の差の積により、本実施形態の
図9の時間の液晶分子のねじれに必要な電荷に対する関係図が得られる。
【0032】
次に、
図2(a)に示す液晶電流測定システムを利用して、時間の液晶の位相差に対する関係図に相等する電圧信号を測定し、0Hzより大きく且つ10Hzより小さい周波数を有する電圧により、液晶表示パネル1を流れる電流全体を測定する。
本実施形態では、0.1Hzの矩形波の3Vの印加電圧を液晶表示パネル1に提供し、
図10に示す時間の表示パネルを流れる電流に対する関係図を獲得し、且つ電流を時間に対して積分した後に時間の表示パネルを流れる電荷に対する関係図 を獲得する (
図11参照)。
ここでは、
図11で得られる表示パネルを流れる電荷は、配向膜のイオン、液晶分子のイオン、及び液晶分子の回転が影響する電荷の合計である。よって、
図11の対応する電荷の合計から
図9の対応する液晶分子のねじれに必要な電荷を控除し、配向膜のイオン及び液晶分子のイオンの電荷の合計を獲得する。デバイ模型(Debye Model)により低周波等価容量に変換し、配向膜のイオン及び液晶分子のイオンの電荷の合計を配向膜のイオン及び液晶分子のイオンの電位の和に変換し、
図12の時間のイオン電位の和(A)に対する関係図に示すようになる。以下の式(1)に示す。
A=V
ion_PI(1/2N) +V
ion_LC(1/2N) (1)
ここでは、0.1≦N≦30であり、V
ion_LC(1/2N)は1/2N時間での前記液晶層のイオン電位であり、V
ion_PI(1/2N)は1/2N時間での前記配向膜のイオン電位である。
【0033】
最後に、式(1)に示す1/2N時間での液晶層のイオン電位及び1/2N時間での配向膜のイオン電位のイオン電位の和Aを用い、且つ式(2)に示す1/2N時間での液晶層のイオン電位及び1/2N時間での配向膜のイオン電位のイオン電位の差Bを利用し、以下の式(3)及び式(4)により1/2N時間での前記配向膜のイオン電位(V
ion_PI)及び1/2N時間での前記液晶分子のイオン電位(V
ion_LC)をそれぞれ獲得する。
V
ion_PI(1/2N)=(A+B)/2 (3)
V
ion_LC(1/2N)=(A−B)/2 (4)。
【0034】
[比較実施形態]
本比較実施形態で使用される液晶表示パネルの構造は前述の実施形態と同じである(
図1(a)参照)。
本比較実施形態において、液晶表示パネルは8msのTN液晶及び中低抵抗の配向膜が使用され、前述の実施形態と同じ方法で検知を行い、25℃の検知環境で時間のイオン電位の差、イオン電位の和、液晶イオン電位、及び配向膜のイオン電位に対する関係図を獲得する(
図13参照)。
図中の式(1)の曲線は時間の液晶層及び配向膜のイオン電位の和に対する曲線を指し、式(2)の曲線は時間の液晶層及び配向膜のイオン電位の差に対する曲線を指し、式(3)の曲線は時間の配向膜のイオン電位に対する曲線を指し、式(4)の曲線は時間の液晶層のイオン電位に対する曲線を指す。
図13に示すように、式(3)及び式(4)の曲線は重合しておらず、これは配向膜のイオン及び液晶層イオンの両者が相互に打ち消し合わないことを示し、本比較実施形態に係る液晶表示パネルは低動作周波数では、点滅が発生することを示す。
[第2の実施形態]
【0035】
第2の実施形態で使用される液晶表示パネルは前述の第1の実施形態と同じである(
図1(a)参照)。
本実施形態において、液晶表示パネルは8msのTN液晶及び高抵抗の配向膜が使用され、前述の実施形態と同じ方法で検知が行われ、25℃の検知環境で時間のイオン電位の差、イオン電位の和、液晶のイオン電位、及び配向膜のイオン電位に対する関係図を獲得する(
図14参照)。
図中の式(1)の曲線は時間の液晶層及び配向膜のイオン電位の和に対する曲線を指し、式(2)の曲線は時間の液晶層及び配向膜のイオン電位の差に対する曲線を指し、式(3)の曲線は時間の配向膜のイオン電位に対する曲線を指し、式(4)の曲線は時間の液晶層のイオン電位に対する曲線を指す。
図14に示すように、式(3)及び式(4)の曲線はほぼ完全に重合し、これは配向膜のイオン及び液晶分子のイオンの両者が相互に打ち消し合うことを示し、本実施形態に係る液晶表示パネルが低動作周波数では、点滅が発生しないことを示す。
【0036】
特に、本実施形態に係る液晶表示パネルは、NHzの動作周波数において、液晶層及び配向膜のイオン電位は以下の関係式(I)に符合する。
【0038】
(関係式(I)中、0.1≦N≦30であり、V
ion_LC(1/2N)は1/2N時間での液晶層のイオン電位であり、V
ion_PI(1/2N)は1/2N時間での配向膜のイオン電位である。
本実施形態では、液晶表示パネルは0.1Hzの動作周波数では、以下の関係式(II)に符合し、約0である。
【0040】
他の実施形態において、以下の関係式(III)に符合し、その範囲は0から0.3の間である。(0に等しいかより大きく、且つ0.3に等しいかより小さい)。
【数4】
【0041】
図3に示す位相差測定システムを用い本実施形態に係る液晶表示パネルの全体の位相差を測定する場合、検知環境は25℃であり、検知電圧は0.1 Hzの周波数を有する1.8Vの電圧であり、
図15に示すような時間の位相差に対する関係図を獲得する。
図15に示すように、時間に連れて変化し、本実施形態に係る液晶表示パネルは低動作周波数では位相差には顕著な変化が見られず、これは本実施形態に係る液晶表示パネルに点滅が発生しないことを示す。
【0042】
上述のように、本発明では液晶或いは配向膜の個別のイオンの影響を有効的に制御可能な検出方法を提供する。この方法により適切な液晶層及び配向膜材料を選択し、パネル中のイオンの影響を最小限に抑える。特に、本発明で提供する検出方法により設計開発された適切な配向膜及び液晶材料は、前述の式(I)の条件に符合する。これにより、低動作周波数で省エネを達成させ、液晶層及び配向膜のイオンが発生させる電界が液晶分子に影響を与えてパネルの透過率が変化するのを回避させ、パネルが点滅するのを防止させる。
【0043】
図16は本発明の他の好ましい実施形態の液晶表示パネルを示す概念図である。前述の実施形態に係る液晶表示パネルと同じであり、本実施形態に係る液晶表示パネルはIPS(In−Plane−Switching、IPS)方式の液晶表示パネルであり、第一電極111及び第二電極151は共に第一基板11上に設置され、且つ第一電極111及び第二電極151には第一配向膜12が設置される。
即ち、第一電極111と第二電極151との間には第一配向膜12を有し、且つ動作電圧が加えられて第一電極111及び第二電極151が異なる電位を有する場合、液晶層13の液晶分子131が第一電極111と第二電極151との間に発生する電界Eの影響を受けて回転し、異なる電位を有する第一電極111と第二電極151との間の液晶層13及び第一配向膜12のイオンが上述の実施形態と同様に電界により改変されて液晶の回転に影響を及ぼし、さらには表示品質にも影響を与えた。
イオンの移動状態は
図17に示す。
図17の液晶分子131は例示に過ぎず、液晶分子をポジティブ液晶或いはネガティブ液晶に限定させるものではない。よって、本実施形態では、液晶層及び配向膜のイオン電位が前述の式(I)の条件に符合するように設計され、低動作周波数によってパネルが点滅するのを防止する目的を達成させる。
【0044】
本発明の前述の実施形態で製造される液晶ディスプレイ装置は、本技術分野の表示ディスプレイが必要な既知の電子装置、例えば表示器、携帯電話、ノートパソコン、ビデオ、カメラ、音楽プレーヤー、GPS装置、テレビ等に応用可能である。
【0045】
以上に述べた実施例は、あくまでも説明の便宜のために挙げたものであって、本発明で主張する権利範囲は特許請求の範囲で記載されるものを基準とし、上記実施例のみに限定されるものではない。