(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された構成では、スナバーリングに形成されたスリットが、シリンダチューブの内周面との間で常時、絞り流路を構成している。油圧シリンダを使っている最中に、作動油中の異物により、この絞り流路が詰まってしまうと、ストロークの終端で作動油排出流路が閉じられ、油圧シリンダの機能低下をもたらす。絞り流路が詰まってしまうと、油圧シリンダを分解して詰まりを解消する以外の方策がない。
【0006】
また、スリットが形成されているスナバーリングがシリンダチューブの内周面を摺動するため、シリンダチューブの内周面に摩耗痕が発生し、作動油中の異物が増加してしまう虞もある。シリンダチューブ内周面に摩耗痕が発生してしまうと、ピストンのシール性が低下する。
【0007】
さらに、油室に作動油を給排するための給排口が、シリンダチューブの内周面に開口しているため、その給排口につながる油路を、シリンダチューブの外周囲に設ける必要がある。このため、油圧シリンダが径方向に大きくなってしまうと共に、その重量も増大してしまうという不都合もある。
【0008】
ここに開示する技術は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、航空機の降着装置用油圧シリンダにおいて、スナビング機構が、スリットが形成されたスナバーリングを備えることに起因する様々な不都合を解消することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
具体的に、ここに開示する技術は、航空機の降着装置用の油圧シリンダに係る。この油圧シリンダは、シリンダチューブと、前記シリンダチューブ内に油室を区画するよう構成されたピストンと、前記ピストンと連結して構成されたピストンロッドと、前記シリンダチューブの端部に設けられかつ、前記ピストンのストロークの終端を規定するよう構成された一対のエンドカバーと、前記ピストンがストロークの終端に近づいたとき以降に、前記ピストンの移動速度を低減させるよう構成されたスナビング機構と、を備える。
【0010】
前記スナビング機構は、前記ピストンのストローク方向を向いて前記油室内に開口するよう前記エンドカバーに設けられると共に、作動油を給俳するよう構成された給排口と、前記油室内において、前記給排口を開閉するよう構成された弁体と、前記弁体と前記ピストンとを互いに相対移動可能に連結するよう構成された連結部と、前記給排口の縁部から凹陥すると共に、前記弁体が前記給排口を閉じたときに、前記弁体によって区画されることで、前記給排口よりも小断面積でかつ、前記油室につながる
オリフィスを形成するよう構成された凹部と、を有する。
【0011】
そして、前記スナビング機構は、前記ピストンがストロークの終端に近づいたときに、前記ピストンと共に移動をした前記弁体が、開いていた前記給排口を閉じて前記
オリフィスが形成されると共に、前記ピストンがストロークの終端に近づく方向にさらに移動をしたときに、前記油室内の前記作動油が前記
オリフィスを通じて排出されることで、前記ピストンの移動速度が低下するよう構成されている。
【0012】
この構成によると、スナビング機構は、シリンダチューブの端部のエンドカバーに設けられた給排口と、ピストンと共に移動をする弁体と、弁体とピストンとを連結する連結部と、によって構成される。スナビング機構が、シリンダチューブの端部に設けられるため、油圧シリンダは径方向に大型化しない。それにより、油圧シリンダの軽量化も図られる。
【0013】
ピストンがストロークの終端から離れているときには、弁体が給排口から離れていて給排口が開いた状態となる。ピストンがエンドカバーに近づく方向に移動することに伴って油室から排出される作動油は、給排口を通って排出される。給排口の断面積を所定の断面積に設定しておけば、所望の速度でピストンをストロークさせることが可能になる。
【0014】
ピストンストロークの終端に近づくと、ピストンと共に移動をする弁体が、開いていた給排口を閉じる。給排口が閉じることによって、給排口の縁部から凹陥する凹部が、油室につながる
オリフィスを形成する。
【0015】
連結部は、ピストンと弁体とを相対移動可能に連結するため、弁体が給排口を閉じた状態で、ピストンはさらにストロークすることが可能である。ピストンがさらにストロークをしたときには、油室内の作動油は
オリフィスを通じて排出される。
オリフィスは、給排口よりも断面積が小さいため、作動油の排出流量が低下する。その結果、ピストンの移動速度が低下する。
【0016】
こうして、ピストンがストロークの終端に近づいたとき以降に、ピストンの移動速度が低下するようになり、ピストンがストロークの終端に到達したときの衝撃が緩和される。
【0017】
この構成のスナビング機構は、シリンダチューブの内周面を摺動するスナバーリングを備えていないため、シリンダチューブの内周面に摩耗痕が形成されることが抑制され、作動油中の異物の発生を低減することができる。
【0018】
また、
オリフィスを形成する凹部は、ピストンが摺動するシリンダチューブの内周面の近くに位置しないため、
オリフィスの詰まりが生じることが抑制される。
【0019】
ここで、ピストンがストロークの終端に至った状態から、ピストンが逆方向にストロークをするときには、ピストンがエンドカバーから離れるように移動する。ピストンの移動に伴って弁体も移動をするため、弁体が給排口から離れて、閉じていた給排口が開く。この状態では、給排口の凹部により形成されていた
オリフィスが形成されなくなる。このように、前記の構成のスナビング機構は、弁体が給排口を閉じたときにのみ、
オリフィスが形成され、弁体が給排口から離れたときには、
オリフィスが形成されない。
【0020】
これにより、給排口の凹部の近傍に異物が付着していたとしても、弁体が給排口から離れて油室内に作動油が流入するときに発生する力(作動油による摩擦力)により、付着していた異物を、自動的に除去することが可能になる。
【0021】
ここで、給排口に凹部を形成する代わりに、給排口を閉じる弁体に凹部を形成し、弁体が給排口を閉じたときに凹部が
オリフィスを形成する構成も考えられる。しなしながら、エンドカバーは、ピストンとは異なり、移動をしない。そのため、油室内に作動油が流入する際の、エンドカバーと作動油の流入速度との速度差は、エンドカバーから離れる方向に移動をするピストンと作動油の流入速度との速度差よりも大きい。つまり、給排口に凹部を形成することによって、その凹部の近傍に付着した異物に対して、より大きな流体力を作用させることが可能になる。従って、前記の構成は、異物の除去効果が高い。
【0022】
異物が除去される結果、給排口が弁体によって再び閉じられて
オリフィスが形成されたときに、当該
オリフィスが詰まることが防止されると共に、仮に
オリフィスが詰まっていたとしても、弁体が給排口から離れたときに、その詰まりを自動的に解消することが可能になる。この構成のスナビング機構は、セルフクリーニング機能を有することになるから、油圧シリンダの信頼性が向上する。
【0023】
前記弁体の先端は、前記給排口に挿入可能なテーパ面を有する先細に形成されており、
前記給排口は前記弁体のテーパ角とは異なるテーパ角を有するテーパ状であり、前記凹部は、前記給排口の縁部に設けられ
た切り欠きであり、前記弁体
の先端のテーパ面が
前記給排口の縁部に当たることにより前記給排口を閉じたときに、
前記切り欠きと、前記弁体の前記テーパ面によっ
て、前記油室につながるオリフィス
が形成
される。
【0024】
弁体の先端を先細に形成すると共に、凹部を、給排口の縁部に形成された切り欠きによって構成することで、弁体が給排口を閉じたときに、油室につながる絞り流路として、
流路長さの短いオリフィスを形成することが可能になる。
【0025】
ここで、航空機は、気温の高い地域に着陸又は離陸したり、気温の低い地域に着陸又は離陸したりする。そのため、使用される作動油の温度範囲は広く、粘度の変化も大きい。
【0026】
また、航空機は、高高度を飛行中に極低温下に曝される。従来の航空機の油圧供給系統は、温度管理された集中油圧源から作動油を使用しているため、油圧シリンダ等の作動時に作動油の温度低下は起こりにくい。しかしながら、降着装置用の油圧シリンダが、電動モータによって駆動される油圧ポンプからの作動油が供給されるよう構成されたEHA(Electro Hydrostatic Actuator)システムの油圧シリンダであれば、降着装置は飛行中には使用されないため、作動油の温度が大きく低下してしまう。そのため、着陸時には作動油の温度が大幅に低下した状態で、油圧シリンダを動作させる場合もある。
【0027】
このように航空機の降着装置用油圧シリンダは、作動油の温度変化が大きく、それに伴い、作動油の粘度の変化が大きくなるという特有の事情がある。これに対し、オリフィスは、絞り流路が短いので、絞り流路の長いチョークに比べて流体の粘度の影響が少なく、作動油の粘度が変化しても、通過する流量は変わりにくいという特性を有している。従って、給排口の縁部に形成された切り欠きによってオリフィスを構成することは、温度変化が大きく、それによって作動油の粘度変化の大きい航空機の降着装置用油圧シリンダにおいて、動作特性を一定に維持して、油圧シリンダの動作安定性を向上させる上で有利になる。
【0028】
前記
切り欠きは、前記エンドカバーに、2以上設けられている、としてもよい。こうすることで、弁体が給排口を閉じたときに複数の
オリフィスが形成される。複数の
オリフィスの内の1つが詰まったとしても、他の詰まっていない
オリフィスによって、作動油を油室から排出させることが可能になる。これによって、ピストンを、その終端まで確実にストロークさせることが可能になる。この構成は、油圧シリンダの機能確保の上で有利であり、航空機の降着装置用油圧シリンダとして機能喪失を防止することができる。
【0029】
前記連結部は、前記弁体を前記ピストンから離れる方向に付勢すると共に、前記弁体が前記ピストンに近づく方向に相対移動をすることを許容する付勢部材によって構成されている、としてもよい。前記作動油が前記給排口を通じて前記油室内に流入することで前記ピストンが前記エンドカバーから離れる方向に移動をする。このとき、前記連結部の付勢力は、前記作動油の圧力によって、前記給排口を閉じていた前記弁体が前記給排口から離れるような付勢力に設定されている、としてもよい。
【0030】
こうすることで、ピストンがエンドカバーから離れる方向に移動するときには、作動油の圧力によって弁体が給排口から離れるようになり、油室内に作動油が速やかに流入する。これは、油圧シリンダの動作開始時におけるピストンの移動速度を比較的高くすることを可能にし、油圧シリンダの動作特性が良好になる。
【発明の効果】
【0031】
以上説明したように、前記の航空機の降着装置用油圧シリンダは、スナビング機構が、シリンダチューブの内周面を摺動するスナバーリングを備えていないため、シリンダチューブの内周面に摩耗痕が発生すること、及び異物の発生が防止される。また、
オリフィスを形成する
切り欠きの付近に付着した異物を、給排口を通じて流入する作動油の流れによって自動的に除去することができ、
オリフィスの詰まりを抑制、又は、
オリフィスの詰まりを自動的に解消することができるから、油圧シリンダの信頼性を向上させることができる。さらに、スナビング機構をエンドカバーに設けることで、油圧シリンダの小型化、及び、軽量化を図ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、ここに開示する航空機の降着装置用油圧シリンダの構成を、図を参照しながら説明する。尚、以下の説明は例示である。この油圧シリンダは、EHAを構成する油圧シリンダとしてもよい。また、航空機の油圧システムから油圧の供給を受ける油圧シリンダとしてもよい。
【0034】
降着装置用油圧シリンダは、図示は省略するが、航空機の降着装置において、脚の揚降を行うためのギヤシリンダ、脚を収容する格納室のドアを開閉するためのドアシリンダ、及び、脚を降ろした状態で固定する機構を解除するためのダウンロックリリースシリンダの三種類のシリンダのいずれにも適用できる。
【0035】
図1は、油圧シリンダ1の全体構成を概念的に示している。油圧シリンダ1は、円筒状のシリンダチューブ2と、シリンダチューブ2内に油室を区画するよう構成されたピストン3と、ピストン3と連結して構成されたピストンロッド32と、シリンダチューブ2の端部に設けられかつ、ピストン3のストロークの終端を規定するよう構成された一対のエンドカバー41、42とを備えている。油圧シリンダ1は、シリンダチューブ2内に区画される2つの油室21、22に、作動油が供給及び排出されることによって、油圧シリンダ1の中心軸X方向に伸縮する。油圧シリンダ1は、ピストン3がストロークの終端に近づいたとき以降に、ピストン3の移動速度を低減させるように構成されたスナビング機構71、72を備えている。スナビング機構71、72は、油圧シリンダ1が縮む側、及び、伸びる側のそれぞれに設けられている。
【0036】
ピストンロッド32の先端は、図示は省略するが、可動端として、航空機における機体設備の被取付部に取付固定される。一方、ヘッドカバー(エンドカバー)41の他端(
図1における左端)は、固定端として、航空機における機体設備の被取付部に取付固定される。油圧シリンダ1は、中心軸X上に位置する2つの端部において、機体設備に取付固定される。
【0037】
油圧シリンダ1は、シリンダチューブ2内に、ボア側油室21(つまり、ピストンロッド32が配設されていない側の油室)とアニュラス側油室22(つまり、ピストンロッド32が配設されている側の油室)とを有している。ピストン3は、シリンダチューブ2内で、ボア側油室21とアニュラス側油室22とを隔てている。油圧シリンダ1の第1ポート11はボア側油室21に連通し、第2ポート12はアニュラス側油室22に連通している。作動油は、第1ポート11を介して、ボア側油室21に流入及び流出し、第2ポート12を介して、アニュラス側油室22に流入及び流出する。
【0038】
ヘッドカバー(エンドカバー)41は、ボア側油室21側のシリンダチューブ2の端部に設けられている。ヘッドカバー41は、ボア側油室21に臨む端面411を有している。この端面411は、ピストン3が縮む方向のストロークの終端を規定する。
【0039】
第1ポート11は、ヘッドカバー41の外周面に設けられている。ヘッドカバー41にはまた、その端面411に、第1給排口412が開口している。第1給排口412は、ピストン3のストローク方向を向いてボア側油室21内に開口する。第1給排口412は、中心軸Xと同軸となるように設けられている。第1給排口412は、
図2に示すように、所定の断面積を有する円形状である。第1ポート11と第1給排口412とは、ヘッドカバー41内に設けられた油路413を通じて、つながっている。第1ポート11から流入した作動油は、油路413及び第1給排口412を通じて、ボア側油室21に供給される。また、ボア側油室21から排出される作動油は、第1給排口412及び油路413を通って、第1ポート11から流出する。
【0040】
第1給排口412の縁部には、
図2に拡大して示すように、凹部としての切り欠き414が設けられている。
図2に示すように、ここに示す例では、第1給排口412の縁部が縦断面で直角に形成されており、切り欠き414はその直角の縁部を斜めに切り欠いて設けられている。切り欠き414は、
図2の左図に示すように、第1給排口412において、周方向に等間隔を開けて、2つ設けられている。
図2においては、上下方向に向かい合うように、2つの切り欠き414が、第1給排口412に形成されている。この切り欠き414は、後述するように、オリフィスを構成する。
【0041】
ロッドカバー(エンドカバー)42は、アニュラス側油室22側のシリンダチューブ2の端部に設けられている。ロッドカバー42は、アニュラス側油室22に臨む端面421を有しており、この端面421は、ピストン3が伸びる方向のストロークの終端を規定する。
【0042】
第2ポート12は、ロッドカバー42の外周面に設けられている。ロッドカバー42にはまた、その端面421に、当該端面421から、中心軸Xの方向に凹陥する収容部425が形成されている。収容部425は、後述する第2弁体52よりも大径に形成されており、この収容部425は、第2弁体52を、その内部に収容する。
【0043】
収容部425の底端面(
図1及び
図3における右端面)に、第2給排口422が開口している。第2給排口422は、ピストン3のストローク方向を向いてアニュラス側油室22内に開口する。第2給排口422は、中心軸Xと同軸となるように設けられている。第2給排口422は、
図3に示すように、所定の断面積を有する円形状である。第2給排口422は、収容部425よりも小径である。収容部425と第2給排口422との間には段差が設けられる。第2ポート12と第2給排口422とは、ロッドカバー42内に設けられた油路423を通じてつながっている。第2ポート12から流入した作動油は、ロッドカバー42内の油路423及び第2給排口422を通じて、アニュラス側油室22に流入する。また、アニュラス側油室22から流出する作動油は、第2給排口422及び油路423を通じて、第2ポート12から流出する。
【0044】
第2給排口422の縁部には、
図3に拡大して示すように、凹部としての切り欠き424が設けられている。
図3に示すように、ここに示す例では、第2給排口422の縁部が縦断面で直角に形成されており、切り欠き424はその直角の縁部を斜めに切り欠いて設けられている。切り欠き424は、
図3の右図に示すように、第2給排口422において、周方向に等間隔を開けて、2つ設けられている。
図3においては、上下方向に向かい合うように、2つの切り欠き424が、第2給排口422に形成されている。この切り欠き424は、後述するように、オリフィスを構成する。
【0045】
ボア側油室21内には、第1給排口412を開閉するよう構成された第1弁体51が配設されている。第1弁体51は、基端部511と、基端部511から突出する先端部512とを有している。
【0046】
第1弁体51の基端部511は、ピストン3のボア側油室21側において、保持部311に内挿されている。保持部311は、ピストン3のボア側油室21に臨む端面において、中心軸Xと同軸でかつ、ピストン3の端面から中心軸X方向に凹陥するように形成されている。第1弁体51は、その基端部511がピストン3の保持部311に保持された状態で、中心軸X方向に往復移動することが可能である。
【0047】
先端部512は、ピストン3の先端面からヘッドカバー41の方に突出している。先端部512は、中心軸Xと同軸に配置されている。先端部512は、基端部511よりも小径に構成されている。先端部512の径は、第1給排口412の径よりも大に設定されている。先端部512の先端部分は、先細に構成されている。後述するように、第1弁体51の先端部512の先端部分が第1給排口412に挿入される。先端部512におけるテーパ面が、第1給排口412の開口縁に当たって、第1給排口412を閉じる。先端部512を先細に構成することで、第1給排口412を確実に閉じることができるようになる。
【0048】
図2に示すように、第1弁体51の先端部512が第1給排口412を閉じると、その第1弁体51の先端部512のテーパ面と、切り欠き414との間に、ボア側油室21につながるオリフィス(つまり、絞り流路)が形成される。第1給排口412には2つの切り欠き414が形成されているため、第1弁体51の先端部512が第1給排口412を閉じたときに、2つのオリフィスが形成される。第1給排口412が閉じられた後、ボア側油室21内の作動油は、2つのオリフィスを通じて排出される。
【0049】
第1弁体51とピストン3とは、第1連結部61によって互いに連結されている。第1連結部61は、例えば圧縮ばねによって構成されている。第1連結部61は、ピストン3の保持部311内において、第1弁体51の基端部511とピストン3とを互いに連結する。第1連結部61は、第1弁体51を、ピストン3から離れる方向に付勢すると共に、第1弁体51がピストン3に近づく方向に相対移動することを許容する。これにより第1連結部61は、第1弁体51の先端とピストン3との距離を所定の距離に保ちながら、ピストン3の往復移動に伴って、第1弁体51を中心軸X方向に往復移動させることができる。さらに後述するように、第1連結部61は、第1弁体51が第1給排口412を閉じた状態で、ピストン3がヘッドカバー41に近づく方向にさらに移動することを許容する。ここで、第1連結部61を構成する圧縮ばねの、ばね定数は比較的低く設定されている。こうすることで、第1弁体51が第1給排口412を閉じた状態で、ピストン3がヘッドカバー41に近づく方向にさらに移動するときに、第1連結部61のばね力がピストン3に大きく作用することを防止することができる。つまり、第1連結部61のばね力は、ピストン3の移動速度を低減させない程度に設定されている。
【0050】
アニュラス側油室22内には、第2給排口422を開閉するよう構成された第2弁体52が配設されている。第2弁体52は、ピストンロッド32に外挿される環状に構成されている。従って、第2弁体52は、中心軸X上に配置されている。第2弁体52は、ピストンロッド32に案内されることにより、中心軸X方向に往復移動することが可能である。
【0051】
第2弁体52は、第2給排口422の径よりも大に設定されている。また、第2弁体52の先端部分(尚、第2弁体52の先端部分は、
図1における右側の部分である)は、先細に構成されている。第2弁体52の先端部分が第2給排口422に挿入される(
図3参照)。このことにより、先端部分におけるテーパ面が、第2給排口422の開口縁に当たって、第2給排口422を閉じる。第2弁体52の先端部分を先細に構成することで、第2給排口422を確実に閉じることができるようになる。
【0052】
図3に示すように、第2弁体52の先端部分が第2給排口422を閉じると、その第2弁体52の先端部分のテーパ面と、切り欠き424との間に、アニュラス側油室22につながるオリフィス(つまり、絞り流路)が形成される。第2給排口422には2つの切り欠き424が形成されているため、第2弁体52が第2給排口422を閉じたときに、2つのオリフィスが形成される。第2給排口422が閉じられた後、アニュラス側油室22内の作動油は、2つのオリフィスを通じて排出される。
【0053】
第2弁体52とピストン3とは、第2連結部62によって互いに連結されている。第2連結部62は、例えば圧縮ばねによって構成されている。第2連結部62は、図例ではピストンロッド32を囲むように配設されて、第2弁体52の基端部分とピストン3とを互いに連結する。第2連結部62は、第2弁体52を、ピストン3から離れる方向に付勢すると共に、第2弁体52がピストン3に近づく方向に相対移動することを許容する。これにより第2連結部62は、第2弁体52とピストン3との間隔を所定の間隔に保ちながら、ピストン3の往復移動に伴って、第2弁体52を中心軸X方向に往復移動させることができる。さらに後述するように、第2連結部62は、第2弁体52が第2給排口422を閉じた状態で、ピストン3がロッドカバー42に近づく方向にさらに移動することを許容する。
【0054】
ここで、第2連結部62を構成する圧縮ばねの、ばね定数は比較的低く設定されている。こうすることで、第2弁体52が第2給排口422を閉じた状態で、ピストン3がロッドカバー42に近づく方向にさらに移動するときに、第2連結部62のばね力がピストン3に大きく作用することを防止することができる。つまり、第2連結部62のばね力は、ピストン3の移動速度を低減させないよう設定されている。
【0055】
以上の構成において、ボア側油室21に設けられかつ、油圧シリンダ1が縮む側のスナビング機構71は、ヘッドカバー41に設けられた第1給排口412、第1給排口412を開閉する第1弁体51、第1弁体51とピストン3とを連結する第1連結部61、及び、第1給排口412に設けられた切り欠き414、414によって構成される。
【0056】
アニュラス側油室22に設けられかつ、油圧シリンダ1が伸びる側のスナビング機構72は、ロッドカバー42に設けられた第2給排口422、第2給排口422を開閉する第2弁体52、第2弁体52とピストン3とを連結する第2連結部62、及び、第2給排口422に設けられた切り欠き424、424によって構成される。
【0057】
次に、
図4及び
図5を参照しながら、油圧シリンダ1の動作について説明をする。
図4は、油圧シリンダ1が伸びる方向にストロークする際の動作を示す遷移図である。
図4の左側の各図は、縦断面であり、
図4の右側の各図は、第2給排口422の位置における横断面である。
図5は、油圧シリンダ1が縮む方向にストロークする際の動作を示す遷移図である。
図5の右側の各図は、縦断面であり、
図5の左側の各図は、第1給排口412の位置における横断面である。
【0058】
まず、
図4について説明をする。
図4においてP11は、油圧シリンダ1が最も縮んだ状態を示している。ここから、ボア側油室21内に作動油の供給が開始されると共に、アニュラス側油室22から作動油の排出が開始されることにより、ピストン3の、伸びる方向へのストロークが開始する。このとき、第2弁体52は、第2給排口422から離れており、第2給排口422が開いている。ピストン3がロッドカバー42に向かって移動をするに伴い、アニュラス側油室22の作動油は、第2給排口422を通じて排出される。作動油の排出流量が高いため、ピストン3の移動速度は、比較的高くなる。
【0059】
ここで、ピストン3のストロークが開始するときに、ボア側油室21においては第1弁体51が第1給排口412を閉じている。第1弁体51とピストン3とを連結する第1連結部61のばね定数が低いため、第1ポート11から作動油が流入すると、その作動油の流入圧力が第1弁体51を押して、第1連結部61のばね力に対抗して第1弁体51を第1給排口412から離すようになる。こうして、ピストン3のストロークの開始時に、第1給排口412が速やかに開くようになるから、油圧シリンダ1の動作開始時の速度を、比較的高くすることが可能になる。
【0060】
続くP12では、ピストン3がストロークをすることに伴い、第2弁体52がロッドカバー42の方に移動をする結果、第2弁体52が第2給排口422を閉じるようになる。第2弁体52とピストン3とは、第2連結部62によって所定の間隔に保たれているから、ピストン3がストロークの終端近くに到達したときに、第2弁体52が第2給排口422を閉じるようになる。第2弁体52は、収容部425内に位置する。第2給排口422が閉じられると、アニュラス側油室22につながる2つのオリフィスが、第2弁体52と2つの切り欠き424とによって形成される。
【0061】
第2連結部62を介して第2弁体52とピストン3とは連結されているため、第2弁体52が第2給排口422を閉じたままで、ピストン3はさらにストロークをすることが可能である。P13は、P12よりもピストン3が、ロッドカバー42にさらに近づいた状態を示している。ピストン3の移動に伴いアニュラス側油室22内の作動油は、2つのオリフィスを通じて排出される。断面積が小さいため、作動油の排出流量が低減する。その結果、ピストン3がストロークの終端近くに到達したとき以降は、ピストン3の移動速度が低下する。
【0062】
ここで、前述したように、第2連結部62を構成する圧縮ばねのばね定数は低く設定されている。このため、ピストン3と第2弁体52との間隔が狭くなって、第2連結部62のばね力がピストン3に作用したとしても、ピストン3の移動速度にほとんど影響を与えない。つまり、油圧シリンダ1の伸びる側のスナビング機構72は、実質的にオリフィスのみによって、スナビング特性が設定される。
【0063】
そうして、P14において、ピストン3が、ロッドカバー42の端面421に当接することにより、ピストン3がストロークの終端に到達する。
【0064】
次に、
図5について説明をする。
図5においてP21は、油圧シリンダ1が最も伸びた状態を示している。ここから、アニュラス側油室22内に作動油の供給が開始されると共に、ボア側油室21から作動油の排出が開始されることにより、ピストン3の、縮む方向へのストロークが開始する。このとき、第1弁体51は、第1給排口412から離れており、第1給排口412が開いている。ピストン3がヘッドカバー41に向かって移動をするに伴い、ボア側油室21の作動油は、第1給排口412を通じて排出される。作動油の排出流量が高いため、ピストン3の移動速度は、比較的高くなる。
【0065】
ここで、ピストン3のストロークが開始するときに、アニュラス側油室22においては第2弁体52が第2給排口422を閉じている。第2弁体52とピストン3とを連結する第2連結部62のばね定数が低いため、第2ポート12から作動油が流入すると、その作動油の流入圧力が第2弁体52を押して、第2連結部62のばね力に対抗して第2弁体52を第2給排口422から離すようになる。こうして、P22に示すように、ピストン3のストロークの開始時に、第2給排口422が速やかに開くようになるから、油圧シリンダ1の動作開始時の速度を、比較的高くすることが可能になる。
【0066】
続くP23では、ピストン3がストロークをすることに伴い、第1弁体51がヘッドカバー41の方に移動をする結果、第1弁体51が第1給排口412を閉じるようになる。第1弁体51の先端とピストン3とは、第1連結部61によって所定の距離に保たれているから、ピストン3がストロークの終端近くに到達したときに、第1弁体51が第1給排口412を閉じることになる。第1給排口412が閉じられると、ボア側油室21につながる2つのオリフィスが、第1弁体51と2つの切り欠き414とによって形成される。
【0067】
第1連結部61を介して第1弁体51とピストン3とは連結されているため、第1弁体51が第1給排口412を閉じたままで、ピストン3はさらにストロークをすることが可能である。P23以降で、ピストン3が、ヘッドカバー41にさらに近づくと、ボア側油室21内の作動油は、2つのオリフィスを通じて排出される。断面積が小さくなることで、作動油の排出流量が低減する。その結果、ピストン3がストロークの終端近くに到達した以降は、ピストン3の移動速度が低下する。
【0068】
ここで、前述したように、第1連結部61を構成する圧縮ばねのばね定数は低く設定されているため、第1連結部61のばね力がピストン3に作用したとしても、ピストン3の移動速度にほとんど影響を与えない。つまり、油圧シリンダ1の縮む側のスナビング機構71も、実質的にオリフィスのみによって、スナビング特性が設定されている。
【0069】
そうして、P24において、第1弁体51の先端部512が第1給排口412を閉じた状態で、ピストン3が、ヘッドカバー41の端面411に当接することにより、ピストン3がストロークの終端に到達する。
【0070】
以上説明したように、スナビング機構71、72は、シリンダチューブ2の端部に設けられた一対のエンドカバーであるヘッドカバー41、ロッドカバー42と、ピストン3と共に移動をする第1及び第2弁体51、52と、第1及び第2連結部61、62と、によって構成される。スナビング機構71、72が、シリンダチューブ2の両端部に設けられ、これらのスナビング機構71、72は、シリンダチューブ2の径を拡大しない。このため、油圧シリンダ1は大型化しない。それにより、油圧シリンダ1の軽量化も図られる。
【0071】
また、この構成のスナビング機構71、72は、シリンダチューブ2の内周面を摺動するスナバーリングを備えていないため、シリンダチューブ2の内周面に摩耗痕が形成されること、及び異物の発生が抑制される。さらに、第1及び第2給排口412、422に設けられた切り欠き414,424によって形成されるオリフィスは、ピストン3が摺動するシリンダチューブ2の内周面の近くに位置しないため、オリフィスの詰まりが抑制される。
【0072】
また、前記の構成のスナビング機構71、72は、第1及び第2弁体51、52が第1及び第2給排口412、422を閉じたときにのみ、オリフィスが形成され、第1及び第2弁体51、52が第1及び第2給排口412、422から離れたときには、オリフィスが形成されない。
【0073】
これにより、第1及び第2給排口412、422の縁部の切り欠き414、424の近傍に異物が付着していたとしても、第1及び第2弁体51、52が第1及び第2給排口412、422から離れてボア側油室21及びアニュラス側油室22内に作動油が流入するときに発生する力(作動油による摩擦力)によって、付着していた異物を、自動的に除去することが可能になる。
【0074】
ここで、切り欠き414、424は、それぞれヘッドカバー41、ロッドカバー42に設けられている。ヘッドカバー41、ロッドカバー42は、ピストン3とは異なり移動しないため、作動油が、ボア側油室21及びアニュラス側油室22内に流入する際の、ヘッドカバー41、ロッドカバー42と作動油の流入速度との速度差は、ヘッドカバー41、ロッドカバー42から離れようとするピストン3と作動油の流入速度との速度差よりも大きい。そのため、切り欠き414、424の近傍に付着した異物には比較的大きな流体力が作用する。その結果、異物は効果的に除去される。また、切り欠き414、424が設けられた第1及び第2給排口412、422の縁部は、作動油がボア側油室21及びアニュラス側油室22内に流入するときには、急拡大となる箇所に相当するため、作動油の拡大流れによって効果的に異物を除去することが可能になる。
【0075】
こうして、第1及び第2給排口412、422が第1及び第2弁体51、52によって閉じられてオリフィスが形成されたときに、当該オリフィスが詰まることが防止されると共に、仮にオリフィスが詰まっていたとしても、第1及び第2弁体51、52が第1及び第2給排口412、422から離れたときに、その詰まりを自動的に解消することが可能になる。
【0076】
この構成のスナビング機構71、72は、セルフクリーニング機能を有することになるから、油圧シリンダ1の信頼性が向上する。
【0077】
尚、
図2及び
図3に示す例では、第1給排口412の縁部、及び、第2給排口422の縁部をそれぞれ、縦断面で直角に形成しているが、第1給排口412は、第1弁体51の先細形状に対応するように、テーパ状に形成してもよいし、第2給排口422は、第2弁体52の先細形状に対応するように、テーパ状に形成してもよい。その場合に、第1給排口412のテーパ角と、第1弁体51のテーパ角とは異ならせることが好ましく、同様に、第2給排口422のテーパ角と、第2弁体52のテーパ角とは異ならせることが好ましい。第1給排口412及び第2給排口422をテーパ状に形成する場合も、オリフィスを形成する切り欠き414、424はそれぞれ、テーパの縁部に形成することが好ましい。こうすることで、後述するように絞り流路の短いオリフィスを形成することが可能になると共に、オリフィスの詰まりを効果的に抑制することが可能になる。
【0078】
オリフィスは、第1及び第2給排口412、422の縁部に形成された切り欠き414、424によって構成されているため、第1及び第2弁体51、52が第1及び第2給排口412、422を閉じたときに、第1及び第2弁体51、52のテーパ面と切り欠き414、424とによって、絞り流路の短いオリフィスを形成することが可能になる。
【0079】
ここで、航空機は、気温の高い地域に着陸又は離陸したり、気温の低い地域に着陸又は離陸したりする。そのため、使用される作動油の温度範囲は広く、粘度の変化も大きい。
【0080】
また、航空機は、高高度を飛行中に極低温下に曝される。従来の航空機の油圧供給系統は、温度管理された集中油圧源から作動油を使用しているため、油圧シリンダ等の作動時に作動油の温度低下は起こりにくい。しかしながら、降着装置用の油圧シリンダ1が、EHAシステムの油圧シリンダであれば、降着装置は飛行中には使用されないため、作動油の温度が大きく低下してしまう。そのため、着陸時には作動油の温度が大幅に低下した状態で、油圧シリンダを動作させる場合もある。
【0081】
このように航空機の降着装置用油圧シリンダ1は、作動油の温度変化が大きく、それに伴い、作動油の粘度の変化も大きくなる。これに対し、オリフィスは、流体の粘度の影響が少なく、作動油の粘度が変化しても、通過する流量は変わりにくいという特性を有している。尚、作動油の流量を制御する別の構成としてチョークが知られている。チョークは、断面積に比べて絞り流路が長い。チョークは、流体の粘度が変化すると、その流量が変化しやすいという特性を有している。そのため、作動油の温度変化が大きく、それに伴い、作動油の粘度の変化も大きくなる航空機の降着装置用油圧シリンダ1に、オリフィスに代えてチョークを設けることは、スナビング機構の動作特性が一定にならない虞があり、適当ではない。
【0082】
従って、第1及び第2給排口412、422の縁部に形成された切り欠き414、424によってオリフィスを構成することは、温度変化が大きく、それによって作動油の粘度変化の大きい航空機の降着装置用油圧シリンダ1において、動作特性を一定に維持できる。そして、油圧シリンダ1の動作安定性を向上させる上で有利になる。
【0083】
尚、第1及び第2給排口412、422の縁部に切り欠き414、424を形成して、オリフィスを構成することに限定されず、第1及び第2給排口412、422の縁部から凹陥する凹部を設け、第1及び第2弁体51、52が第1及び第2給排口412、422を閉じたときに、絞り流路を構成するようにしてもよい。
【0084】
図6は、凹部415を例示している。尚、
図6は、第1給排口412に設けた凹部415を示しているが、同様の凹部は、第2給排口422に形成することも可能である。
【0085】
凹部415は、ヘッドカバー41の端面411から凹陥するように形成されている。凹部415はまた、第1給排口412の縁部から径方向の外方に向かって延びている。第1弁体51の先端部512は、その先端面が平らに形成されている。先端部512は、ヘッドカバー41の端面411に当接することにより、第1給排口412を閉じる。先端部512がヘッドカバー41の端面411に当接した状態で、凹部415は、先端部512の外周面よりも径方向の外方にまで延びている。第1弁体51が第1給排口412を閉じたときに、凹部415は、ボア側油室21に連通する。こうして、先端部512と凹部415とによって径方向に延びる絞り流路が区画形成される。
【0086】
図7は、
図6とは異なる形状の凹部416を例示している。尚、
図7も、第1給排口412に設けた凹部416を示しているが、同様の凹部は、第2給排口422に形成することも可能である。凹部416は、第1給排口412の周面から凹陥するように形成されている。凹部416はまた、第1給排口412の縁部から第1給排口412の内方に向かって延びている。
図2に示す第1弁体51と同様に構成された第1弁体51の、先端部512のテーパ面が第1給排口412の開口縁に当たって、第1給排口412が閉じられる。この状態で、先端部512のテーパ面と凹部416とによって、ボア側油室21に連通すると共に、第1給排口412の内方に向かって延びる絞り流路が区画形成される。
【0087】
第1及び第2給排口412、422において、オリフィスを形成する切り欠き414、424はそれぞれ、2つ設けられている。2つのオリフィスの内の1つが詰まったとしても、他の詰まっていないオリフィスによって、作動油をボア側油室21及びアニュラス側油室22から排出させることが可能になる。これによって、ピストン3を、その終端まで確実にストロークさせることが可能になる。この構成は、油圧シリンダ1の機能確保の上で有利であり、航空機の降着装置用油圧シリンダ1として機能喪失を防止することができる。
【0088】
尚、第1及び第2給排口412、422に形成する切り欠きの数は2つに限らず、3つ以上形成してもよい。切り欠きは、周方向に等間隔となるように、第1及び第2給排口412、422に形成すればよい。第1及び第2給排口412、422に、1つの切り欠きを設けるようにしてもよい。
【0089】
また、前述の通り、第1及び第2連結部61、62を構成する圧縮ばねのばね定数を低く設定することにより、第1及び第2連結部61、62のばねによって、スナビング特性が影響を受けることを防止することができると共に、油圧シリンダ1の動作開始時には、第1及び第2弁体51、52が給排口から速やかに離れるようになって、ピストンの移動速度を比較的高くすることが可能になる。
【0090】
尚、第1及び第2連結部61、62は、圧縮ばねによって構成することに限定されない。第1及び第2連結部61、62はそれぞれ、第1及び第2弁体51、52をピストン3から離れる方向に付勢すると共に、第1及び第2弁体51、52がピストン3に近づく方向に相対移動をすることを許容する付勢部材とすればよい。従って、第1及び第2連結部61、62は様々な構成を、適宜採用することが可能である。また、第1及び第2連結部61、62は、付勢部材に限定されず、第1及び第2弁体51、52がピストン3の往復移動に伴ってストローク方向に往復移動すると共に第1及び第2弁体51、52とピストン3とが相対移動可能となるように、第1及び第2弁体51、52とピストン3とを互いに連結するものであればよい。