(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1記載の防災連携設備に於いて、前記連携表示装置は、前記在室情報に基づき、人が在室している部屋と在室している人数を表示すると共に、老人、子供、障害者等の災害時要援護者が在室していることを表示することを特徴とする防災連携設備。
【背景技術】
【0002】
従来、オフィスビルや公共施設等の建物にあっては、火災やガス漏れ等を検出して警報する防災監視設備が設置されている。防災監視設備は、警戒区域に引き出された信号線に接続した火災感知器からの火災信号を防災センターや管理室などに設置された受信機で受信し、火災代表表示を行うと共に主音響や地区音響を鳴動させ、防火戸や防火シャッター等の連動制御を行うようにしている。
【0003】
また、このような防災監視設備が設置された建物には、入退出管理設備が設置されている場合がある。入退出管理設備は、例えば建物の階毎に設置した入退出管理制御盤からの信号線に部屋の入り口扉の外側にカードリーダを接続すると共に扉に設けた電気錠を接続している。
【0004】
各階に設けた入退出管理制御盤は、ローカルエリアネットワーク(以下「LAN」という)を介して防災センターや管理室などに設置されたセンター装置やクライアント装置に接続されている。センター装置は、入退出管理設備を設置している建物の地図等の管理情報を表示する。クライアント装置は、入退出管理制御盤に対する個人情報の登録、削除、履歴検索、在室状況等の各種の設定や処理を行う。
【0005】
部屋に出入りする利用者は個人情報を登録した例えばICカードを携帯しており、カードリーダにICカードをかざすことで個人情報を読み取って入退出管理制御盤に送り、入退出管理制御盤で事前登録している個人情報との照合一致が得られた場合に電気錠を解錠し、ドアを開いて出入できるようにしている。
【0006】
このように防災監視設備と入退出管理設備を設けた建物にあっては、防災監視設備の受信機で火災感知器からの火災信号を受信して火災警報を出力した場合、入退出管理設備に火災移報信号を出力し、入退出管理設備の入退出管理制御盤から電気錠に一斉解錠信号を出力し、全ての電気錠を解錠してドアを開放可能とし、火災に伴う消防活動や避難行動の妨げにならないようにしている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、火災報知設備の受信機で火災信号を受信して火災警報が出力された場合、防災管理者や防災担当者は、火災発生場所に出向いて火災を確認した場合、受信機で火災断定操作を行って移報停止や連動停止を自動的に解除させた後に、119番通報を行い、更に初期消火や避難誘導を行う手順となっている。
【0009】
しかしながら、119番通報を受けて駆け付けた消防隊が消火活動や救援活動を行う場合、防災センタ−や管理人室に行き、防災管理者から火災の状況や避難状況を聞いて対処することになるが、火災による危険が迫っている火災発生階に逃げ遅れた人いる可能性があるか否かは、火災現場に行ってみないとわからず、万一、逃げ遅れた人がいた場合には、適切な機材や装備を準備して人命救助を最優先とした消防活動を行う必要があるが、この判断に手間取っていると、人命に関わる大きな被害を出す恐れがある。
【0010】
本発明は、火災が発生した場合に消防隊等が、火災発生区域における人の在室状況を迅速且つ確実に把握して、効果的な救援活動や消防活動を行うことを可能とする防災連携設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(防災連携設備)
本発明は、防災連携設備に於いて、
警戒区域に引き出された信号線に接続した火災感知器からの火災信号を受信機で受信して警報を出力する防災監視設備と、
利用者が携帯する記録媒体に記録した個人情報を読取って事前登録した個人情報との照合一致を判別した場合に、電気錠を解錠すると共に在室情報を保存して管理する入退出管理設備と、
防災監視設備の受信機で火災を検出した場合に、入退出管理設備から少なくとも火災発生区域に存在する部屋の在室情報を取得して表示する連携表示装置と、
を備え、複数階の建物の場合、連携表示装置は、火災発生階の在室情報と、火災発生階以外の在室情報と、をそれぞれ別画面として切り替えて表示でき、火災発生時に、火災発生階以外の在室情報の画面を表示したとき、所定時間経過後に、火災発生階の在室情報の画面表示に切り替わることを特徴とする。
【0012】
(火災発生階と直上階)
連携表示装置は、
火災発生階以外の在室情報として火災発生階
の直上階の在室情報
を表示する。
【0013】
(在室している部屋の表示)
連携表示装置は、在室情報に基づき、人が在室している部屋を表示する。
【0014】
(在室している人数の表示)
連携表示装置は、在室情報に基づき、人が在室している部屋と在室している人数を表示する。
【0015】
(在室している男女数の表示)
連携表示装置は、在室情報に基づき、人が在室している部屋と在室している人数を表示すると共に男女を人数分けして表示する。
【0016】
(在室している災害時要援護者の表示)
連携表示装置は、在室情報に基づき、人が在室している部屋と在室している人数を表示すると共に、老人、子供、障害者等の災害時要援護者が在室していることを表示する。この場合、
連携表示装置は、災害時要援護者が在室している部屋を、優先度を高くして表示する。
【0017】
(文字又は文字と地図の組合表示)
連携表示装置は、在室情報を、文字又は文字と地図の組み合わせにより表示する。
【0018】
(連携表示装置)
連携表示装置を、防災監視設備の受信機に設けた表示装置又は入退出管理設備のセンタ側に設けた表示装置の少なくとも何れかとする。
【0019】
(在室確認表示)
連携表示装置は、所定の操作によって、在室確認を完了した部屋の在室情報を、確認完了を示す表示内容に変更するか、または表示優先度を下げて表示する。
【0020】
(在室情報の更新)
連携表示装置は、火災発生直後に取得した在室情報を固定的に表示するか、又は火災発生後の入退出を反映した在室情報を表示する。
【0021】
(受信機による電気錠の解錠操作)
本発明の他の形態にあっては、
警戒区域に引き出された信号線に接続した火災感知器からの火災信号を受信機で受信して警報を出力する防災監視設備と、
利用者が携帯する記録媒体に記録した個人情報を読取って予め登録した個人情報との照合一致した場合に、電気錠を解錠すると共に在室情報を保存して管理する入退出管理設備と、
を備えた防災連携設備に於いて、
防災監視設備の受信機から、複数の電気錠を制御する入退出管理設備の入退出管理制御盤に信号線を接続し、
受信機の受信制御部に、操作部の操作により解錠制御信号を前記入退出管理制御盤に送信して所定の電気錠を解錠させる機能を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
(基本的な効果)
本発明は、防災連携設備に於いて、警戒区域に引き出された信号線に接続した火災感知器からの火災信号を受信機で受信して警報を出力する防災監視設備と、利用者が携帯する記録媒体に記録した個人情報を読取って事前登録した個人情報との照合一致を判別した場合に、電気錠を解錠すると共に在室情報を保存して管理する入退出管理設備と、防災監視設備の受信機で火災を検出した場合に、入退出管理設備から少なくとも火災発生区域に存在する部屋の在室情報を取得して表示する連携表示装置とを設けるようにしたため、防災監視設備の受信機が火災信号を受信して火災警報を出力した場合に、入退出管理設備で管理している火災発生階にある部屋の在室情報を取得して連携表示装置に表示することで、119番通報を受けて駆け付けた消防隊は、連携表示装置の在室情報の表示を見て、どの部屋に人がいたかが直ぐに分かり、人のいた部屋に優先的に出向いて確認することができ、迅速且つ適切な救助活動を伴う消防活動を可能とする。
【0023】
また、防災管理者や防災担当者が避難誘導を行う場合にも、火災発生階にある部屋の在室情報から在室状況を把握することで、適切な避難誘導を可能とする。
【0024】
(火災発生階と直上階の在室情報表示による効果)
また、複数階の建物の場合、連携表示装置は、火災発生階とその直上階の在室情報を取得して表示するようにしたため、火災の危険度の最も高い火災発生階と、次に火災の危険度が高い直上階の在室情報を表示することで、消防隊による迅速且つ適切な救助活動と消防活動を可能とする。
【0025】
(在室している部屋の表示による効果)
また、連携表示装置は、在室情報に基づき、人が在室している部屋を表示するようにしたため、消防隊は、例えば火災発生階の人が在室していた部屋を把握して、迅速且つ適切な救助活動と支消防活動を可能とする。
【0026】
(在室している人数の表示による効果)
また、連携表示装置は、在室情報に基づき、人が在室している部屋と在室している人数を表示するようにしたため、消防隊は、例えば人数の多い部屋から確認を進めるといった対処が可能となり、迅速且つ適切な救助活動と支消防活動を可能とする。
【0027】
(在室している男女数の表示による効果)
また、連携表示装置は、在室情報に基づき、人が在室している部屋と在室している人数を表示すると共に男女を人数分けして表示するようにしたため、消防隊は、例えば女性の人数の多い部屋から確認を進めるといった対処が可能となり、迅速且つ適切な救助活動と支消防活動を可能とする。
【0028】
(在室している災害時要援護者の表示による効果)
また、連携表示装置は、在室情報に基づき、人が在室している部屋と在室している人数を表示すると共に、老人、子供、障害者等の災害時要援護者が在室していることを表示し、この場合、
連携表示装置は、災害時要援護者が在室している部屋を、優先度を高くして表示するようにしたため、消防隊は、逃げ遅れた可能性の高い老人、子供、障害者等の災害時要援護者が在室していた部屋から優先的に確認を進めるといった対処が可能となり、迅速且つ適切な救助活動と支消防活動を可能とする。
【0029】
(文字又は文字と地図の組合表示による効果)
また、連携表示装置は、在室情報を、文字又は文字と地図の組み合わせにより表示するようにしたため、消防隊は、どの部屋に人がいた表示内容から容易に把握して、迅速且つ適切な救助活動と支消防活動を可能とする。
【0030】
(連携表示装置の配置場所による効果)
また、連携表示装置を、防災監視設備の受信機に設けた表示装置又は入退出管理設備のセンタ側に設けた表示装置の少なくとも何れかとしたため、新たな連携表示装置を設ける必要がなく、受信機に設けた液晶ディスプレイや、入退出管理設備のセンター側に設けているパーソナルコンピュータ等を使用したセンター装置やクライアント装置のディスプレイを利用して、簡単且つ容易に在室情報を表示できる。
【0031】
(在室確認表示による効果)
また、連携表示装置は、所定の操作によって、在室確認を完了した部屋の在室情報を、確認完了を示す表示内容に変更するか、または表示優先度を下げて表示するようにしたため、消防隊員等による在室未確認の部屋の在室情報を強調させることができる。
【0032】
(在室情報の固定表示と更新表示による効果)
また、連携表示装置は、火災発生直後に取得した在室情報を固定的に表示するか、又は火災発生後の入退出情報を反映した在室情報を表示するようにしたため、火災に対応して電気錠を解錠した火災発生区域の部屋については、その後の入退出管理が行われないことから火災発生直後の在室情報に固定しても問題がなく、一方、火災に対応して電気錠を解錠していない火災発生区域から離れた区域の部屋については、その後の入退出情報を反映した在室情報とすることで、リアルタイム性を確保した在室情報の表示ができる。
【0033】
(受信機による電気錠の解錠操作の効果)
本発明の他の形態にあっては、警戒区域に引き出された信号線に接続した火災感知器からの火災信号を受信機で受信して警報を出力する防災監視設備と、利用者が携帯する記録媒体に記録した個人情報を読取って予め登録した個人情報との照合一致した場合に、電気錠を解錠すると共に在室情報を保存して管理する入退出管理設備とを備えた防災連携設備に於いて、防災監視設備の受信機から、複数の電気錠を制御する入退出管理設備の入退出管理制御盤に信号線を接続し、受信機の受信制御部に、操作部の操作により解錠制御信号を入退出管理制御盤に送信して所定の電気錠を解錠させる機能を設けるようにしたため、火災発生階、火災発生地区、避難経路、建物の在館状況等に合せて受信機からの手動操作により必要とする任意の電気錠の解錠を遠隔的に行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0035】
[防災連携設備の概要]
(防災監視設備と入退出管理設備の概略)
図1は建物に設けた防災監視設備と入退出管理設備の概略を示した説明図である。
図1は複数階からなる建物の1階を示しており、建物10の防災センター11にはR型の防災監視設備の受信機12を設置している。受信機12からは建物内に伝送路14を引き出しており、建物内の部屋A1〜A8の各々に設置したアナログ感知器16を伝送路14に接続している。
【0036】
また、防災センター11には、入退出管理設備の入退出センタ―設備15と入退出管理制御盤18を設置しており、入退出管理制御盤18は建物10の各階に配置している。入退出管理制御盤18はこの階を含め、入退出センター設備15に対しLAN26により接続しており、入退出センター設備15には後の説明で明らかにするように、センター装置とクライアント装置を設けている。
【0037】
建物10の各部屋A1〜A8の出入口となる扉の外側にはカードリーダ20を配置し、また、扉には電気錠22を設けている。カードリーダ20及び電気錠22は入退出管理制御盤18に伝送路24により接続している。
【0038】
防災監視設備の受信機12で火災を検出した場合に、入退出管理設備の入退出センター設備15で少なくとも火災発生区域に存在する部屋の在室情報を取得し、連携表示装置として機能するセンタ―設備のディスプレイ或いは受信機12に設けたディスプレイに在室情報を表示する連携処理を行う。
【0039】
(防災監視設備と入退出管理設備の機能構成概略)
図2は設備連携により火災発生時に在室情報を表示する防災監視設備と入退出管理設備の機能構成の概略を示したブロック図である。
【0040】
図2に示すように、防災監視設備100は、防災センターに受信機12を設置しており、受信機12には、受信機制御部30,伝送部32、表示部34、操作部36、警報部38、移報部40及びアダプタ42を設けている。
【0041】
受信機制御部30は、CPU、メモリ、各種の入出力ポートを備えたコンピュータ回路で構成しており、プログラムの実行により所定の受信機制御機能を実現する。受信機12からは建物の警戒エリアに向けて伝送路14が引き出され、伝送路14に対しアナログ感知器16を接続している。
【0042】
アナログ感知器16は、受信機12との間で情報を双方向伝送する伝送機能を備えており、受信機12を含めて固有のアドレスが予め割り当てられている。1つの伝送路14に接続できるアナログ感知器16の数は、例えば最大アドレス数が256アドレスの場合、受信機アドレスを除くことから、255台以下のアナログ感知器16を接続することができる。
【0043】
なお、伝送路32には中継器が接続され、中継器から引き出された感知器回線にオンオフ感知器及び発信機を接続し、また別の中継器にはガス漏れ検知器を接続しているが、図示を省略している。更に、受信機12に設けた別の伝送部からは制御用の伝送路が引き出され、そこに地区音響装置や防排煙機器等の制御機器を伝送路に接続して制御するようにしているが、図示を省略している。
【0044】
受信機12からアナログ感知器16に対する下り信号は電圧モードで伝送している。この電圧モードの信号は、伝送路14の電圧を例えば18ボルトと30ボルトの間で変化させる電圧パルスとして伝送される。
【0045】
これに対しアナログ感知器16からの上り信号は電流モードで伝送される。この電流モードにあっては、伝送路14に伝送データのビット1のタイミングで信号電流を流し、いわゆる電流パルス列として上り信号が受信機に伝送される。
【0046】
受信機制御部30による受信制御は次のようになる。受信機12は、通常の監視時にあっては、端末アドレスを順次指定した正常監視用のポーリングコマンドを送信しており、アナログ感知器16は自己の設定アドレスに一致するポーリングコマンドを受信すると正常監視応答を行う。このため受信機12にあっては、ポーリングコマンドに対し応答がなかったアナログ感知器16を障害として故障を検出することができる。
【0047】
また受信機12は、すべての端末アドレスに対するポーリングコマンドの送信周期ごとに一括AD変換コマンドを繰り返し送信している。アナログ感知器16は受信機12からの一括AD変換コマンドを受信すると、検出している煙濃度や温度などのアナログ検出データをサンプリングし、予め定めた火災レベルと比較している。
【0048】
アナログ感知器16でサンプリングしたアナログ検出データが火災レベルを超えた場合には、受信機12に対しポーリングコマンドに対する応答タイミングで割込信号を送信する。この割込信号は、応答ビット列をオール1とするような通常は使用されない信号を送る。
【0049】
受信機12は、アナログ感知器16からの割込信号を受信すると、グループ検索コマンドを発行し、火災を検出したアナログ感知器16を含むグループからの割込応答を受信してグループを判別する。
【0050】
続いて、判別したグループに含まれる個々のアナログ感知器16に対し、順次アドレスを指定したポーリングを行い、アナログデータの火災応答を受けることで、火災を検出したアナログ感知器16の感知器アドレスを認識し、火災警報動作を行うことになる。
【0051】
表示部34には火災代表灯、ガス漏れ代表灯、外部機器の障害を示す諸表示灯、タッチパネルを備えた液晶ディスプレイ等を設けている。操作部36には、火災・ガス漏れ断定スイッチ、音響停止スイッチ、地区音響一時停止スイッチ等を露出して設けている。警報部
38はスピーカを備え、各種の警報音や音声メッセージを出力する。移報部
40は外部機器や装置に火災移報信号を出力する。
【0052】
アダプタ42は入退出管理設備200との間でLAN26を使用して信号を送受信するインタフェースであり、受信機制御部30で火災信号を受信して火災警報を出力した場合に、火災移報信号をLAN26を介して入退出管理設備200側に送信し、また、必要に応じて入退出管理設備200で保存管理している情報を取得することを可能とする。
【0053】
入退出管理設備200は、建物の防災センターに、入退出センター設備としてセンター装置15−1とクライアント装置15−2を設置しており、また,建物の各階に対応して入退出管理制御盤18を設けている。建物の各部屋A1,A2・・・には、カードリーダ20と電気錠22を設置しており、それぞれ入退出管理制御盤18から引き出された伝送路24に含まれる信号線に接続している。
【0054】
カードリーダ20は、例えば利用者の携帯する磁気カード又は非接触ICカードを読取って事前登録した個人情報と照合し、照合一致により認証成功を判別した場合に認証信号を入退出管理制御盤18へ送信する。
【0055】
入退出管理制御盤18はカードリーダ20から認証信号を受信した場合、対応する出入口に設けた電気錠22へ制御信号を出力して解錠制御し、入退室を可能とする。
【0056】
センター装置15−1は、液晶ディスプレイ付きのパーソナルコンピュータであり、LAN26を介して入退出管理制御盤18と接続し、入退出管理設備200を設置した建物の地図などの管理情報を表示する。
【0057】
クライアント装置15−2は、液晶ディスプレイ付きのパーソナルコンピュータであり、LAN26を介して入退出管理制御盤18と接続し、入退出管理制御盤18を経由してカードリーダ20との間で磁気カードや非接触ICカードに対応した個人情報の登録、削除、履歴検索などの各種設定や処理を行う。
【0058】
また、クライアント装置15−2は、入退出管理制御盤18を経由してカードリーダ20で読み取った磁気カードや非接触ICカードの個人情報から、建物内の各部屋の在室情報を生成して保存管理している。クライアント装置15−2で管理している在室情報には、各部屋毎に在室としている人の性別、年齢、障害の有無といった個人情報が含まれている。
【0059】
本実施形態にあっては、入退出管理設備200に設けたクライアント装置15−2に設けた液晶ディスプレイを、連携表示装置に使用しており、防災監視設備100の受信機12で火災信号を受信して火災警報を出力した場合に、受信機制御部30はアダプタ42を介してLAN26のクライアント装置15−2に火災移報信号を出力する。なお、受信機12からの火災移報信号は、移報部40からの移報信号線をクライアント装置15−2に直接接続することで供給するようにしても良い。
【0060】
クライアント装置15−2は、受信機12からの火災移報信号を受信すると、全ての階に設けた入退出管理制御盤18或いは火災発生階と直上階に設けた入退出管理制御盤18に火災移報信号を送信し、この火災移報信号を受信した入退出管理制御盤18は全ての電気錠22に対し解錠制御信号を出力し、電気錠22を自動的に一斉解錠することで、部屋の扉を開放可能な状態とし、消防活動や避難の妨げにならないようにする。
【0061】
また、受信機12からの火災移報信号を受信したクライアント装置15−2は、そのときメモリに保存管理している建物の各部屋の在室情報の中から、火災発生階に存在する部屋の在室情報を読出し、連携表示装置として機能するクライアント装置15−2の液晶ディスプレイ上に、火災発生階の在室情報を表示する。
【0062】
また、クライアント装置15−2は、火災の危険が最も高い火災発生階の在室情報に加え、次に火災による危険度の高い直上階の在室情報を読出して表示用のメモリに展開しており、例えば、火災発生階の在室情報の表示画面の切替え操作により、直上階の在室情報を表示可能としている。また、火災発生階及び直上階以外の在室情報も、例えば階を指定する操作により表示可能としている。
【0063】
なお、火災が発生した場合の在室情報の表示は、防災監視設備100の受信機12の表示部34に設けたタッチパネル付きの液晶ディスプレイで行うようにしても良い。この場合には、受信機12からの火災移報信号を受信したクライアント装置15−2は、そのとき保存している建物の部屋の在室情報を読出し、LAN26及びアダプタ42を介して受信機制御部30に送信し、受信機12の表示部34に設けた液晶ディスプレイに在室情報を表示する。
【0064】
また、火災が発生した場合の在室情報は、クライアント装置15−2の液晶ディスプレイと受信機12の液晶ディスプレイの両方で行うようにしてもよい。更に、受信機12に対し防災表示盤やR型表示盤をRS232等の伝送路を介して接続している場合には、在室情報を受信機12から防災表示盤やR型表示盤に送って表示するようにしても良い。
【0065】
[火災発生時の在室情報の表示例]
(文字画面による在室情報の表示)
図3は在室情報を文字表示した連携表示装置の表示画面を示した説明図である。
図3の表示画面は、
図1に示した建物10の1階の部屋A7のアナログ感知器16が火災を検出して受信機12で火災警報を出力した場合を例にとっており、例えばクライアント装置15−2の液晶ディスプレイで実現される連携表示装置50の画面には、「火事です」の火災表示52に続いて、火災発生場所54として例えば「本館 南 1階 7号室」が火災信号を送信したアナログ感知器16の感知器アドレスに基づいて事前登録した建物情報から読出し表示される。
【0066】
続いて、在室情報56が表示される。本実施形態における文字情報による在室情報56の表示は、「部屋番号 在室あり」として、在室のある部屋のみを表示し、更に、火災検知した7号室については、「火災発生中」の火災情報を付加している。
【0067】
このような連携表示装置50に表示された在室情報56を、119番通報を受けて駆け付けた消防隊の隊員が確認することで、火災発生階となる1階に存在する1号室〜8号室の内、7号室、1号室及び4号室に在室があったことが分かり、在室となっていた部屋に出向いて、逃げ遅れた人がいるかどうかを迅速に確認可能となる。
【0068】
また、本実施形態の在室情報56の表示は、火災発生中の7号室を先頭となるように配列しており、火災による危険が最も高い火災発生中の7号室からの確認を優先して行えるようにしている。
【0069】
更に、連携表示装置50の画面の右上には、直上階の在室情報の切替え表示を指示する操作ボタン58を設けており。火災による危険度が次に高い直上階の在室情報に画面操作により切替え、直上階における在室状況も確認可能としている。なお、操作ボタン58により直上階の在室情報の表示に切り替えた場合、例えば1分といった所定時間後に、元の火災発生階の在室情報の表示画面に自動的に戻るようにすることが望ましい。
【0070】
また、直上階以外の適宜の階に切替える操作ボタンを配置することで、火災発生階及び直上階以外の階の在室情報を表示するようにしても良い。また、同じ画面に、火災発生階と直上階の在室情報を同時に表示するようにしても良い。
【0071】
図4は在室情報を人数と共に文字表示した連携表示装置の表示画面を示した説明図である。
図4に示す連携表示装置50の表示画面は、在室情報56として、人が在室している部屋と在室している人数を表示し、更に、在室している人数を男女に分けて表示するようにしている。
【0072】
このような連携表示装置50による在室情報56の表示により、消防隊は、例えば人数の多い部屋から確認を進めるといった対処が可能となる。また、男女に人数を分けて表示したことで、消防隊は、例えば女性の人数の多い部屋から確認を進めるといった対処が可能となる。
【0073】
図5は在室情報を人数及び災害時要援護者と共に文字表示した連携表示装置の表示画面を示した説明図である。
図5に示す連携表示装置50の表示画面は、在室情報56として、人が在室している部屋と在室している人数を表示すると共に、老人、子供、障害者等の災害時要援護者が在室していることを表示している。更に、連携表示装置50は、災害時要援護者が在室している部屋を、優先度が高くなるように先頭に表示している。
【0074】
このような連携表示装置50による在室情報56の表示により、消防隊は、逃げ遅れた可能性の高い老人、子供、障害者等の災害時要援護者が在室していた部屋から優先的に確認を進めるといった対処が可能となり、災害時要援護者を優先した救助活動を可能とする。
【0075】
(文字及び地図による在室情報の表示)
図6は在室情報を文字及び地図で表示した連携表示装置の表示画面を示した説明図である。
図6に示す連携表示装置50の表示画面は、文字情報による在室情報56に加えて、在室を示す地
図60を表示している。地
図60は火災発生階となる1階のレイアウト地図であり、在室ありとなるNo.1,No.4及びNo.7で示す1号室、4号室及び7号室を例えば赤色に着色して識別表示し、また、必要に応じてフリッカ表示としても良く、更に、火災が発生したNo.7の7号室には火災発生マーク62を表示している。
【0076】
このような連携表示装置50による在室情報56の表示により、消防隊は、文字情報による在室情報56に加え、地
図60から火災発生階で在室のあった部屋とその場所を確認し、在室となっていた部屋に出向いて、逃げ遅れた人がいるかどうかを迅速に確認可能とする。
【0077】
図7は在室情報を人数と共に文字及び地図で表示した連携表示装置の表示画面を示した説明図であり、
図4と同じ文字情報による在室情報56に加えて、在室を示す地
図60を表示している。また、地
図60の中の赤色で表示した在室ありとなるNo.1,No.4及びNo.7で示す1号室、4号室及び7号室については、在室していた人数を表示している。
【0078】
このような連携表示装置50による在室情報56と地
図60の表示により、消防隊は、例えば人数の多い部屋から確認を進めるといった対処が可能となり、また、男女に人数を分けて表示したことで、消防隊は、例えば女性の人数の多い部屋から確認を進めるといった対処が可能となる。
【0079】
図8は在室情報を人数及び災害時要援護者と共に文字及び地図で表示した連携表示装置の表示画面を示した説明図であり、
図6に示したと同じ文字情報による在室情報56に加えて、在室を示す地
図60を表示している。また、地
図60の中の赤色で表示した在室ありとなるNo.1,No.4及びNo.7で示す1号室、4号室及び7号室については、在室していた人数を表示し、更に、No.1で示す1号室については、吹出しにより高齢者在室64を表示している。
【0080】
このような連携表示装置50による在室情報56と地
図60、更に高齢者在室64の表示により、消防隊は、逃げ遅れた可能性の高い高齢者等の災害時要援護者が在室していた部屋から優先的に確認を進めるといった対処が可能となり、災害時要援護者を優先したより確実な救助活動を可能とする。
【0081】
[受信機からの手動操作による解錠制御の実施形態]
本発明による防災連携設備の他の実施形態として、
図1及び
図2に示した防災連携設備に加え、火災報知設備100の受信機12から入退出管理設備200の入退出管理制御盤18に信号線を接続し、受信機12に設けた操作部36の操作により、入退出管理制御盤18に直接、解錠制御信号を送って電気錠の解錠を遠隔的に行える機能を受信機制御部30に設ける。
【0082】
図1の実施形態にあっては、受信機12で火災を検出した場合に、アダプタ42から入退出管理設備200のクライアント装置15−2を経由して火災発生階及び直上階の入退出管理制御盤18に火災移報信号を送信し、火災発生階及び直上階の電気錠22を一斉解錠しているが、避難経路や建物の在館状況により、電気錠22を手動で操作したい局面も想定される。
【0083】
また、電気錠22を手動操作するため、入退出センター設備15にログインして操作することもできるが、火災発生により混乱した状況下で、入退出センター設備15にログインして電気錠22を手動操作することが迅速に行えるか疑問である。更に、入退出管理設備200の入退出センター設備15は、停電が発生した場合に無停電電源装置によりバックアップを受けるが、数分程度でシャットダウンしてしまい、火災による停電時には操作不能となる。
【0084】
このような問題に対し本実施形態によれば、受信機12に設けた操作部36の手動操作により、入退出管理制御盤18に直接、解錠制御信号を送って、火災発生階、火災発生地区、避難経路、建物の在館状況等に合せて任意の電気錠22の解錠を遠隔的に行うことができる。また、火災による停電に対しては受信機12が予備電源に切り替わって規格上定められた一定時間(例えば30分以上)にわたり動作することから、火災による停電時にも避難誘導に必要な時間にわたり受信機12から電気錠22の操作を行うことができる。
【0085】
なお、本実施形態は、
図1及び
図2の実施形態に示した防災監視設備100の受信機12で火災を検出した場合に、入退出管理設備200から少なくとも火災発生区域に存在する部屋の在室情報を取得して表示する連携表示装置を設けない連携設備としても良い。
【0086】
[本発明の変形例]
(在室確認表示)
上記の実施形態の連携表示装置50は、受信機12の操作部36による所定の操作によって、在室確認を完了した部屋の在室情報を、確認完了を示す表示内容に変更するか、または表示優先度を下げて表示するようしても良い。これにより消防隊員等による在室未確認の部屋の在室情報を強調させることができる。
【0087】
(在室情報の固定表示と更新表示)
上記の実施形態の連携表示装置50は、火災発生直後に取得した在室情報を固定的に表示するか、又は火災発生後の入退出情報を反映した在室情報を入退出管理設備200から取得して更新表示するようにしても良い。これにより、火災に対応して電気錠22を解錠した火災発生階や直上階等の火災発生区域の部屋については、その後の電気錠22の解錠により入退出管理設備200による入退出管理が行われないことから、火災発生直後の在室情報に固定した表示が必要となる。一方、火災に対応して電気錠を解錠していない火災発生区域から離れた区域の部屋については、その後の入退出情報を反映した在室情報とすることで、リアルタイム性を確保した在室情報の表示ができる。
【0088】
(P型防災監視設備と入退出管理設備の連携)
上記の実施形態は、R型の防災監視設備と入退室管理設備を連携して火災時に在室情報を表示する場合を例にとっているが、回線単位に火災を検出して警報するP型の防災監視設備と入退出管理設備とを連携して火災が発生した場合に在室情報を表示するようにしても良い。
【0089】
(入退出管理設備)
また、入退出管理設備は、カードリーダ等の認証装置と電気錠を備える点では共通するが、その制御形態は様々であり、カードリーダの読取り認証で得られた在室情報を保存管理していれば良く、上記の実施形態には限定されない。
【0090】
(その他)
また,本発明は、その目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。