(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2の刃の刃部の前記アンカット部に対する長さの比は9以上11以下であり、前記第2の刃の刃部の長さは20mm以上21mm以下であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の紙折り装置における刃の組み合わせによる紙折り機構。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
クロス折のような折り目が交差する折り方の場合、特許文献1、2に示す紙折り装置を用いて用紙を折り畳むには、用紙と用紙との間に生じた空気の層から空気が折り目以外の場所から抜け出なくてはならない。しかし、入った空気が抜け出ずに、折り目付近で空気が滞留したまま用紙が折り畳まれてしまうと、折り畳まれた用紙にシワが発生してしまうという課題がある。そして、折り畳まれてシワが発生した用紙はロスとなってしまう。シワが発生する条件は様々であり、用紙を折る回数が多くなって用紙が重なるほどシワが発生する可能性が高くなる。また、用紙の厚さが厚ければ厚いほど、用紙を折る回数が少なくてもシワが発生する可能性が高くなり、正確に折ることは難しくなる。このため、紙折り装置に刃を設け、紙折り装置における刃を用紙の厚さが変わるごとに変え、用紙と用紙との間に生じた空気の層から空気を抜け出させている。
【0005】
そこで本発明は上記課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、用紙を折り畳んでもシワの発生を低減できる紙折り装置における刃の組み合わせによる紙折り機構を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するため、本発明の紙折り装置における刃の組み合わせによる紙折り機構は次の構成を備える。すなわち本発明は、搬送路に沿って用紙を搬送する搬送機構と、搬送された用紙を折り畳む複数の紙折り部と、刃により用紙に断続的な切れ目を付ける複数の切れ目付け部とを有する紙折り機構とを具備する紙折り装置における刃の組み合わせによる紙折り機構であって、前記刃は、等長の刃部を有するカット部と、アンカット部とが交互に配列され、前記紙折り機構は、第1の紙折り部と、該第1の紙折り部内に設けられた第1の刃を有する第1の切れ目付け部と、前記第1の紙折り部よりも搬送路の下流に設けられた第2の紙折り部と、該第2の紙折り部内に設けられた第2の刃を有する第2の切れ目付け部と、前記第2の紙折り部よりも搬送路の下流に設けられた第3の紙折り部と
、該第3の紙折り部内に設けられた第3の刃を有する第3の切れ目付け部と、前記第3の紙折り部よりも搬送路の下流に設けられた第4の紙折り部とを備え、前記第2の刃の刃部の長さは、前記第1の刃の刃部の長さよりも長
く、前記第3の刃の刃部の長さは、前記第2の刃の刃部の長さよりも短いことを特徴とする。この構成によれば、一枚の用紙を複数回折り畳んでもシワの発生を低減でき、精度よく折り畳むことができる。
また、一枚の用紙を4回折り畳んでも滞留する空気が抜けてシワの発生を低減でき、精度よく折り畳むことができる。
【0007】
また、本発明において、前記第1の刃の刃部の前記アンカット部に対する長さの比は2.7以上4以下であり、前記第1の刃の刃部の長さは7mm以下であってもよい。これによれば、滞留する空気が抜けやすくなると共に、折られた用紙の重ね合わせ位置が正確であって折り精度も良くなる。
【0008】
また、本発明において、前記第2の刃の刃部の前記アンカット部に対する長さの比は9以上11以下であり、前記第2の刃の刃部の長さは20mm以上21mm以下であってもよい。これによれば、滞留する空気が抜け、シワが発生しにくくなる。
【0010】
また、本発明において、前記第3の刃の刃部の前記アンカット部に対する長さの比は2以上3以下であり、前記第3の刃の刃部の長さは14mm以上であってもよい。これによれば、切れ目の幅が広くなって糊が入りやすくなって製本しやすくなると共に、製本後に折り畳まれた用紙の一部が抜け落ちてしまうことがない。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る紙折り装置における刃の組み合わせによる紙折り機構によれば、用紙を折り畳んでもシワの発生を低減できる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について、図に基づいて説明する。
図1に紙折り装置10の概略を示し、(a)は斜め上方から見た斜視図を示し、(b)は平面図を示す。本実施形態に用いられる紙折り装置10は、搬送路に沿って用紙12を搬送する搬送機構と、搬送された用紙12を折り畳む複数の紙折り部と、刃により用紙12に断続的な切れ目を付ける複数の切れ目付け部とを有する紙折り機構とを具備する。
図1中の点線で描かれた矢印a1は、第1の紙折り部18で折り畳まれた用紙12の搬送方向を示す。矢印a2は、第2の紙折り部20で折り畳まれた用紙12の搬送方向を示す。矢印a3は、第3の紙折り部22で折り畳まれた用紙12の搬送方向を示す。また、第1の紙折り部18では、用紙12の搬送方向はa1と平行な方向である。第2の紙折り部20内で用紙12が折り畳まれる位置までの用紙12の搬送方向はa1と平行な方向である。第3の紙折り部22内で用紙12が折り畳まれる位置までの用紙12の搬送方向はa2と平行な方向である。第4の紙折り部24内で用紙12が折り畳まれる位置までの用紙12の搬送方向はa3と平行な方向である。
【0014】
搬送機構は、搬送用ローラ、無端ベルト(いずれも図示せず)が搬送路に設けられていて、回転する搬送用ローラによって搬送用ローラに取り付けられた無端ベルトが回転し、用紙12が搬送路に沿って搬送される。
【0015】
図1には、平台14の上に複数枚の用紙12が積み重なった用紙群16を示し、紙折り装置10は、この用紙群16の中から一枚ずつ用紙12を分離する。平台14に積載された用紙12が少なくなるにつれて平台14はせり上がり、常に一定な高さ位置にある用紙12が搬送機構によって搬送路に送られる。搬送路には紙が膨らんだり、まくれたりするのを防ぐために、紙を挟んでどちらか一方側(例えば搬送路の上側)に上押さえ部品が設けられ、もう一方側(例えば搬送路の下側)に下押さえ部品が設けられている。用紙12は上押さえ部品と下押さえ部品との間を通過する。一例として、上押さえ部品および下押さえ部品は、すのこのように間隔を空けて配置される部品である。
【0016】
紙折り機構は、用紙12を折り畳む回数に応じて複数台の紙折り部が設けられていて、1つの紙折り部によって用紙12が1回折り畳まれる。搬送路の途中には、搬送路の上流側から下流側に向けて、紙折り部が第1の紙折り部18、第2の紙折り部20、第3の紙折り部22の順に設けられている。この場合、用紙12が3回折り畳まれて表裏の両面で16頁分の折丁が得られる。さらに、第3の紙折り部22よりも搬送路の下流に第4の紙折り部24が設けられると、用紙12が4回折り畳まれて表裏の両面で32頁分の折丁が得られる。
【0017】
紙折り機構は、切れ目付け部が設けられていて、1つの切れ目付け部によって用紙12に切れ目が付けられる。
図2に本実施形態の切れ目付け部に用いられる刃の概略形状の一例を示す。(a)は第1の切れ目付け部に用いられる第1の刃19、(b)は第2の切れ目付け部に用いられる第2の刃21、(c)は第3の切れ目付け部に用いられる第3の刃23である。刃は円形板状の丸刃であって、円周に沿って等長の刃部26を有するカット部28と、アンカット部30とが交互に配列したものである。円弧に沿った刃部26の長さをL1、また刃部26と同じ径の円周上におけるアンカット部30の長さをL2とする。L1とL2はそれぞれの刃において好適な範囲で設定される。また、アンカット部30はV溝、U溝であってもよく、製本されたときに背中側(背表紙側)になる箇所の切れ目が形成される場合は、糊が浸透するように、より深く切削できるV溝の方が好ましい。刃の中心に向かうアンカット部30の深さ方向の長さをL3とする。第1の刃19、第2の刃21、第3の刃23は、外周縁に刃部26が形成されると共に、外周縁に向かって断面は先細りとなる刃先32を形成している。また、第1から第3のそれぞれの刃19、21、23は切れ目付け部にある支持軸46に取り付けられるようドーナツ状に中心部がくり抜かれ、ホルダー41、43によって挟持される。
【0018】
第1の刃19を有する第1の切れ目付け部は、第1の紙折り部18内の搬送路下流側に設けられる。第2の刃21を有する第2の切れ目付け部は、第2の紙折り部20内の搬送路下流側に設けられる。第3の刃23を有する第3の切れ目付け部は、第3の紙折り部22内の搬送路下流側に設けられる。紙折り機構では、第1の紙折り部18によって折り畳まれた用紙12が、第1の切れ目付け部で第1の刃19によって切れ目が付けられる。そして、第2の紙折り部20に搬送され、第2の紙折り部20によって折り畳まれた用紙12が、第2の切れ目付け部で第2の刃21によって切れ目が付けられる。そして、第3の紙折り部22に搬送され、16頁分の折丁を得る場合は切れ目が付けられず、第3の紙折り部22の排出部から3回折り畳まれた用紙12が排出される。32頁分の折丁を得る場合は、第3の紙折り部22によって折り畳まれた用紙12が、第3の切れ目付け部で第3の刃23によって切れ目が付けられ、第4の紙折り部24に搬送される。また、後述するように、各紙折り部18、20、22において、用紙12が折り畳まれると同時に切れ目が付けられてもよい。
【0019】
図2に示すように、第1の刃19は、アンカット部30の長さL2よりも刃部26の長さL1の方が長い。同様に、第2の刃21、第3の刃23も、いずれもアンカット部30の長さL2よりも刃部26の長さL1の方が長い。そして、第1の刃19の刃部26の長さL1と第2の刃21の刃部26の長さL1を比較すると、第1の刃19の刃部26の長さL1は、第2の刃21の刃部26の長さL1よりも短くなるように設定される。第2の刃21の刃部26の長さL1よりも第1の刃19の刃部26の長さL1を短くすることで、空気の通り道の数が増えるので、滞留する空気が用紙12内のどの位置にあっても空気が抜けやすくなる。また、第1の刃19の刃部26の長さL1よりも第2の刃21の刃部26の長さL1を長くすることで、16頁分の折丁を得る場合(3回折り)、第2の刃21によって形成された切れ目が製本されたときに背中側になり、背中側の切れ目に糊が入りやすくなる。32頁分の折丁を得る場合(4回折り)、折る回数が多くなってもシワが発生しにくい。
【0020】
図3は用紙12の外観の一例を示し、(a)は第1の紙折り部18によって折り畳まれる前の用紙12であり、(b)、(c)、(d)はそれぞれ第2の紙折り部20、第3の紙折り部22、第4の紙折り部24によって折り畳まれる前の用紙12である。さらに、第1の紙折り部18、第2の紙折り部20、第3の紙折り部22、第4の紙折り部24によって折り畳まれる用紙12の折り目18a、20a、22a、24aの位置を点線で示す。なお、
図3中の点線矢印a1、a2、a3は
図1と同様に、矢印a1は、第1の紙折り部18で折り畳まれた用紙12の搬送方向を示す。矢印a2は、第2の紙折り部20で折り畳まれた用紙12の搬送方向を示す。矢印a3は、第3の紙折り部22で折り畳まれた用紙12の搬送方向を示す。本実施形態で用いられる紙折り装置10では、第1の紙折り部18で折り畳まれた用紙12の折り目18aの位置に対して90°の方向に第2の紙折り部20で用紙12に折り目が付けられて折り畳まれる。さらには、第2の紙折り部20で折り畳まれた用紙12の折り目20aの位置に対して90°の方向に第3の紙折り部22で折り目が付けられて折り畳まれる。同様に、第3の紙折り部22で折り畳まれた用紙12の折り目22aの位置に対して90°の方向に第4の紙折り部24で折り目が付けられる。
【0021】
また、搬送機構によって搬送されながら折り目が所望の位置に付けられるよう、それぞれの紙折り部が配置される。第2の紙折り部20における用紙12の搬送方向a1に対して第3の紙折り部22における用紙12の搬送方向a2が90°の位置になるように第2の紙折り部20、第3の紙折り部22が配置される。そして、第3の紙折り部22における用紙12の搬送方向a2に対して第4の紙折り部24における用紙12の搬送方向a3が90°の位置になるように第4の紙折り部24が配置される。なお、紙折り装置10全体では、搬送方向が90°ずつ回転して
図1に示すように反時計回りに用紙12が搬送されるようにすればよい。
【0022】
図4(a)に第1の紙折り部18の概略を示し、第1の紙折り部18を側方から見た側面図であり、ホルダー41の断面を示す。(b)に第1の紙折り部18を正面から見た正面図を示し、第1の紙折り部18における搬送方向a1の後端側から先端側に向けて見たときの正面図を示す。第1の紙折り部18は、羽根とガイドが設けられた羽根折り(バックル折り)式の紙折り部である。羽根の隙間に用紙12が入り、用紙12が第1の紙折り部18の上端方向に搬送され、搬送された用紙12は設けられたガイド(ストッパ)に当接する。さらに用紙12が送り込まれると用紙12がたわむ。たわんだ用紙12が、向かい合って回転しているローラ40a、40bに挟まれて巻き込まれて折り畳まれる。このとき、第1の紙折り部18は用紙12の搬送方向a1に対して直角に折り、用紙12は
二つ折りされる。ガイドの位置を調節することで、折り目18aの位置が調整され、用紙12全体の中央付近に折り目18aを形成できる。折り畳まれた用紙12は、折り目18aを先端方向に向けて第2の紙折り部20内にある搬送路に送られ、用紙12が第2の紙折り部20内で折り畳まれる位置まで搬送される。
【0023】
また、第1の紙折り部18内には第1の刃19を有する第1の切れ目付け部が設けられ、第1の紙折り部18に設けられた支持軸46には、ホルダー41aによって挟持された第1の刃19が設けられ、オス側となる。また、ホルダー41aと向かい合うホルダー41bの方はメス側となる。ホルダー41はローラ40と同様に円筒状であり、支持軸46に取り付けられて回転する。その他、支持軸46にはローラ40cが取り付けられている。第1の紙折り部18で折り畳まれた後の用紙12が、向かい合って回転するホルダー41aとホルダー41bとの間を通過すると、第1の刃19の刃部26の長さL1に合わせて用紙12に切れ目が付けられる。これと共に、アンカット部30の長さL2に合わせて切れ目と切れ目との間隔が取られる。なお、第1の切れ目付け部により切れ目が付けられた用紙12は、第2の紙折り部20内にある搬送機構により、用紙12が第2の紙折り部20内で折り畳まれる位置まで搬送される。
【0024】
第1の刃19によって搬送方向a1と平行な方向に切れ目が付けられる位置は、用紙12の搬送方向a1に対して直角方向を二分する位置であり、
二つ折りされた用紙12の中央付近となる。さらには、第1の刃19によって切れ目が付けられる位置は、第2の紙折り部20によって用紙12に折り目が付けられる位置が好ましく、切れ目の位置で第2の紙折り部20において折り畳まれることが好ましい。
【0025】
第1の刃19は、一例として折り畳まれる用紙12の間にある空気を抜くために利用され、特に、第1の紙折り部18内で折り畳まれた用紙12を第2の紙折り部20内で折り畳むときに、用紙12の間にある空気を抜くために利用する。空気を抜けやすくするため、第1の刃19は刃数を多くし、刃部26の長さを短くしている。そして、より具体的には、第1の刃19の刃部26のアンカット部30に対する長さの比(L1/L2)は2.7以上4以下であり、第1の刃19の刃部26の長さは7mm以下であることが好ましい。用紙12上における第1の刃19による切れ目が7mm以下となり、アンカット部30の長さも短いことから、切れ目が入った箇所と切られていない箇所が短い間隔で交互に存在し、空気の通り道が数多くなる。このため、折り畳まれる過程で用紙12の間から空気が抜け出やすくなる。さらには、折られた用紙12の重ね合わせ位置が正確であって折り精度も良くなる。また、刃部26の刃先32の深さは、約1mmである。第1の刃19の刃部26の長さを7mmより大きくし、第1の刃19の刃部26のアンカット部30に対する長さの比(L1/L2)が2.7より小さいと、空気が抜けにくくしわになりやすく、折り精度が悪くて用紙12の重ね合わせ位置がずれる。また、第1の刃19のアンカット部30の深さ方向の長さL3は2.5mmであり、これにより紙がめくれ上がる現象である、
折れめくれを防止できる。
【0026】
図5(a)に第2の紙折り部20の概略を示し、搬送方向a1に沿って搬送方向a1の後端側から先端側に向けて見た第2の紙折り部20を拡大した図であり、用紙12およびローラ42a、ホルダー43、支持軸46の断面を示す。(b)に第2の紙折り部20における紙折り用のナイフ44が設けられた付近の平面図を示す。第2の紙折り部20は、紙折り用のナイフ44が設けられたナイフ折り式の紙折り部である。用紙12が第2の紙折り部20内にある搬送機構によって、ナイフ44が設けられた所定位置にまで搬送されて止まるよう、ストッパが設けられている。紙折り用のナイフ44は、用紙12をローラ42aに差し込むために設けられたものであり、搬送された用紙12の上方には垂直方向に上下に動くナイフ44が、下方にはローラ42aが設けられていて、ナイフ44は下降して用紙12に当接する。さらにナイフ44が下降するとナイフ44に押圧されて用紙12がたわみ、たわんだ用紙12が向かい合って回転しているローラ42aによって挟まれることで折り目が形成される。また、第1の切れ目付け部で形成された切れ目の位置に折り目20aが形成されるように、第2の紙折り部20のナイフ44の位置、ローラ42aの位置を調整する。これにより、第2の紙折り部20は用紙12の搬送方向a1と同じ方向に折り目20aを付けて折り畳まれ、用紙12は
四つ折りされる。
【0027】
また、第2の紙折り部20内にある支持軸46には、第2の切れ目付け部として、ホルダー43aによって挟持された第2の刃21が設けられている。その他、支持軸46にはローラ42bが設けられている。
図5(b)に支持軸46、支持軸46に軸支されているホルダー43、第2の刃21、ローラ42bを点線で示す。ただし、平面視におけるローラ42aは省略し、図示していない。第2の紙折り部20で折り畳まれた後の用紙12が、向かい合って回転するホルダー43aとホルダー43bとの間を通過すると、切れ目が形成される。切れ目は第2の刃21の刃部26の長さL1に合わせて用紙12に形成され、アンカット部30の長さL2に合わせて切れ目と切れ目との間隔が取られる。第2の刃21によって、搬送方向a2と平行な方向に切れ目が付けられる位置は、用紙12の搬送方向a2に対して直角方向を二分する位置であり、
四つ折りされた用紙12の中央付近となる。折り畳まれ、第2の切れ目付け部により切れ目が付けられた用紙12は、折り目20aを先端方向にし、第3の紙折り部22内にある搬送路に送られ、用紙12が第3の紙折り部22内で折り畳まれる位置まで搬送される。第2の刃21によって切れ目が付けられた位置において第3の紙折り部22によって用紙12に折り目が付けられることが好ましい。
【0028】
第2の刃21は、第3の紙折り部22において折り畳まれる用紙12の間にある空気を抜くために利用され、第2の刃21により、折り畳まれた用紙12内に滞留する空気が抜けてシワが発生することを防止できる。
【0029】
16頁分の折丁を得る場合、第3の切れ目付け部および第4の紙折り部24は使用しない。このため、第2の刃21によって形成された切れ目は製本されたときに背中側になる。16頁分の折丁を得る場合に用いられる第2の刃21は、シワが発生することを防止するだけではなく、切れ目に糊を入れやすくするためにも用いられる。シワ発生防止と同時に切れ目に糊を入れやすくするため、第2の刃21の刃部26のアンカット部30に対する長さの比は4以上7以下であり、第2の刃21の刃部26の長さは12mm以上14mm以下であることが好ましい。これにより、シワが防止され、切れ目の幅が広くなって糊が入りやすくなり、製本しやすくなる。12mmより短いと製本時に糊が折丁に入りにくく、14mmより長いと製本後に折り畳まれた用紙12の一部が抜け落ちてしまう。
【0030】
以降、第4の紙折り部24が設けられ、32頁分の折丁を得る場合について述べるが、本実施形態の紙折り装置10はこれに限定されない。
【0031】
32頁分の折丁を得る場合、特に第2の刃21は、第2の紙折り部20で折り重なった用紙12をさらに第3の紙折り部22で折り重ねるため、重要となる箇所である。空気を抜けやすくするため、第2の刃21の刃部26の長さL1を長くしてアンカット部30の長さL2を短くする。より具体的には、アンカット部30の長さL2は1.5mm以上2.5mm以下であり、第2の刃21の刃部26の長さは20mm以上21mm以下であることが好ましい。そして、第2の刃21の刃部26のアンカット部30に対する長さの比(L1/L2)は9以上11以下である。また、刃部26の刃先32の深さは、約1mmである。アンカット部30の長さL2が1.5mmより短いと用紙12の一部が抜け落ちることがあり、製本後の本としての耐久性が悪くなる。2.5mmより長いと空気の抜けが悪くなり、シワができてしまう。用紙12上における第2の刃21による切れ目が20mm以上21mm以下となるので、空気の通り道が広くなり、折り畳まれる過程で用紙12の間から空気が抜け出やすくなる。さらに、この範囲は、折り畳まれた用紙12の一部が抜け落ちない範囲でもある。また、第2の刃21のアンカット部30の深さ方向の長さL3は4.0mmであり、これにより紙の
折れめくれを防止できる。
【0032】
第3の紙折り部22は、ナイフ44が設けられたナイフ折り式の紙折り部である。ただし、
図5に示す第2の紙折り部20と同様に、折り畳み用のローラ42aと、支持軸46に軸支された第3の刃23とが別体に設けられてもよく(2段式)、折り畳み用のローラ42aに第3の刃23が取り付けられ、一体に回転するものでもよい(1段式)。この場合は用紙12が折り畳まれると同時に切れ目を付けることができるので、工程数が減らせる。以下、折り畳み用のローラ42aと、第3の刃23とが一本の支持軸46に軸支されている1段式の場合について述べる。1段式の場合、ローラ42aの外径は、刃の刃先32が出る程度の大きさであり、ホルダー43aとホルダー43bの外径と同径である。第3の紙折り部22では、
図5における搬送方向a1はa2、a2はa3となる。第2の切れ目付け部で形成された切れ目の位置に折り目22aが形成されるように、第3の紙折り部22のナイフ44の位置が調整される。搬送された用紙12にナイフ44が下降して用紙12の折り目22aの位置に当接し、用紙12が折り畳み用のローラ42aに挟みこまれて折り畳まれる。これにより
八つ折り(16頁)になる。
【0033】
また、第3の紙折り部22内にあるローラ42aには、ホルダー43によって挟持された第3の刃23が設けられ、第3の切れ目付け部を兼ねているので、折り目を付けるローラ42aの動きにより、切れ目が形成される。切れ目は第3の刃23の刃部26の長さL1に合わせて用紙12に形成され、アンカット部30の長さL2に合わせて切れ目と切れ目との間隔が取られる。第3の刃23によって、搬送方向a3と平行な方向に切れ目が付けられる位置は、用紙12の搬送方向a3に対して直角方向を二分する位置であり、
八つ折りされた用紙12の中央付近となる。折り畳まれ、第3の切れ目付け部により切れ目が付けられた用紙12は、折り目22aを先端方向にし、第4の紙折り部24内にある搬送路に送られ、用紙12が第4の紙折り部24内で折り畳まれる位置まで搬送される。
【0034】
第3の刃23は、折り畳まれた用紙12の間にある空気を抜くために利用され、第3の刃23により、折り畳まれた用紙12内に滞留する空気が抜けてシワが発生することを防止できる。また、第3の刃23の厚さは他の刃よりも厚く、1mm程度であることが好ましく、他の刃よりも刃先32が深く、刃部26の刃先32の深さは約2mmである。これにより、折り畳まれて重なった用紙12でも確実に切れ目を付けることができる。第3の刃23の刃部26のアンカット部30に対する長さの比は2以上3以下であり、第3の刃23の刃部26の長さは14mm以上である。また、第3の刃23のアンカット部30の長さL2は、6mm以上7mm以下であることが好ましい。これにより、切れ目の幅が広くなって糊が入りやすくなり、製本しやすくなる。6mmより短いとシワが発生する。さらに、第2の刃21と第3の刃23による切れ目が交差する箇所で用紙12の
折れめくれが発生する。7mmより長いと製本時に糊が折丁に入りにくく、シワが発生し、製本後に折り畳まれた用紙12の一部が抜け落ちてしまうことがある。
【0035】
また、32頁分の折丁を得る場合、第3の刃23の刃部26の長さL1と第2の刃21の刃部26の長さL1を比較すると、第3の刃23の刃部26の長さは、第2の刃21の刃部26の長さよりも短い。これにより、製本後に用紙12の一部が抜け落ちることがない。また、第1の刃19と第3の刃23のアンカット部30の長さを比較すると、第1の刃19のアンカット部30の長さL2は、第3の刃23のアンカット部30の長さL2よりも短い。これにより、折り精度が良く、紙と紙との重ね合わせ位置が正確になる。また、第3の刃23のアンカット部30の深さ方向の長さL3は4.0mmであり、これにより紙の
折れめくれを防止できる。
【0036】
第4の紙折り部24は、第3の紙折り部22と同様の機構を有し、ナイフ44が設けられたナイフ44折り式の紙折り部である。すなわち、搬送方向a1はa3となる。第3の切れ目付け部で形成された切れ目の位置に折り目24aが形成されるように、第4の紙折り部24のナイフ44の位置が調整される。搬送された用紙12にナイフ44が下降して用紙12の折り目24aの位置に当接し、用紙12がローラ42aに挟みこまれて折り畳まれる。これにより
十六折り(32頁)になる。ただし、ローラ42aには用紙12に切れ目を付ける刃は設けられていない。
【0037】
従来は、用紙12の厚さが変わると予め用紙12の厚さに応じて設定された刃を用い、折り畳む用紙12の厚さが変わるごとに刃を交換していた。しかし、本実施形態のさらなる特徴として、折り畳む用紙12の厚さが変わるごとに紙折り装置10にある第1の刃19、第2の刃21、第3の刃23を付け替える必要がない。すなわち、辞書用の薄い用紙12や一般的な厚さの用紙12など、幅広い範囲で様々な厚さの用紙12でも同じ第1の刃19、第2の刃21、第3の刃23の組み合わせ、もしくは同じ第1の刃19、第2の刃21の組み合わせで紙をシワなく折り畳むことができる。
【実施例】
【0038】
(実施例1)32頁分の折丁を得る場合
表1に第1の切れ目付け部、第2の切れ目付け部、第3の切れ目付け部に用いられる第1の刃19、第2の刃21、第3の刃23の大きさの組み合わせを示す。表1に示す刃をそれぞれ第1の切れ目付け部、第2の切れ目付け部、第3の切れ目付け部に取り付けて、1000枚の用紙12を用いて紙折り装置10を運転したところ、1枚もシワが発生した用紙12はなかった。さらに辞書や薬品などの取扱説明書に用いられる薄い用紙12を用い、同じ第1の刃19、第2の刃21、第3の刃23を用いて紙折り装置10を運転したところ1枚もシワが発生しなかった。また、折り精度が良く、より正確な所望の位置で折り畳むことができた。これにより、用紙12の厚さに関わらず、シワを発生させずに正確な位置で用紙12を折り畳むことができた。さらに、
折れめくれも発生しなかった。また、糊が切れ目に良く入り、製本強度が確保されて用紙12の一部の抜けがなかった。
【0039】
【表1】
【0040】
(実施例2)16頁分の折丁を得る場合
表2に第1の切れ目付け部、第2の切れ目付け部に用いられる第1の刃19、第2の刃21の大きさの組み合わせを示す。表2に示す刃をそれぞれ第1の切れ目付け部、第2の切れ目付け部に取り付けて、1000枚の用紙12を用いて紙折り装置10を運転したところ、1枚もシワが発生した用紙12はなかった。さらに辞書や薬品などの取扱説明書に用いられる薄い用紙12を用い、同じ第1の刃19、第2の刃21を用いて紙折り装置10を運転したところ1枚もシワが発生しなかった。また、より正確な所望の位置で折り畳むことができた。これにより、用紙12の厚さに関わらず、シワを発生させずに正確な位置で用紙12を折り畳むことができた。さらに、用紙12の一部の抜けがなかった。
【0041】
【表2】
【0042】
(比較例1)
比較例として、第1の切れ目付け部、第2の切れ目付け部、第3の切れ目付け部に用いられる従来の刃をそれぞれ、刃A、刃B、刃Cとし、これらの刃の大きさの組み合わせを示す。比較例1として、表3に示す刃A−1〜4を第1の切れ目付け部に取り付けた。実施例の第1の刃19と比較して、刃A−1〜4の折り精度は悪く、位置がずれて重ならないことがあった。
【0043】
【表3】
【0044】
(比較例2)
表4に示す第1の刃19を第1の切れ目付け部、異なる形状の刃B−1〜刃B−6を第2の切れ目付け部に1種類取り付けた。複数枚の同じ厚さの用紙12を1単位とし、単位ごとに刃B−1を用いて紙折り装置10を運転し、用紙12を折り畳んだ。用紙12の厚さを変えて折り畳んだところ、それぞれの厚さの用紙12で1%から52%のシワが発生した。刃B−2〜刃B−6の場合でもシワが発生し、発生確率はそれぞれ、刃B−2は28%、刃B−3は12%、刃B−4は36%、刃B−5は8%、刃B−6は17%であった。
【0045】
【表4】
【0046】
(比較例3)
表5に示す第1の刃19を第1の切れ目付け部、第2の刃21を第2の切れ目付け部、異なる形状の刃C−1〜4を第3の切れ目付け部に1種類取り付けた。同じ厚さの用紙12を用い、紙折り装置10を運転して用紙12を折り畳んだところ、刃C−1〜刃C−2の場合ではシワが発生し、発生確率はそれぞれ、刃C−1は15%、刃C−2は9%であった。また、刃C−3〜刃C−4の場合では
折れめくれが生じた。
【0047】
【表5】