(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記製品は、焼成工程、バリ取り修正工程、組立工程、糊乾燥工程、塗型工程、塗型乾燥工程、及び検査工程の順に実行して製造され、鋳型に収められて鋳造に利用される中子であり、
前記現品票は前記焼成工程以降の複数の工程を移動して循環することを特徴とする請求項1記載の品質データ管理システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1の品質データ管理システムは、製品の良否と設備の各種運転状態を示すデータとを製品に関連付けるために、製品に直接打痕されたか、製品に付随する現品票等に印字された製品番号を入力したり、認識したりする必要がある。このため、この品質データ管理システムは、製品毎に異なる製品番号を製品に直接打痕したり、現品票等に印字したりする手間やコストを要する。また、この品質データ管理システムは、製品番号を入力したり、認識したりする時間がかかったり、製品番号を誤入力したりするおそれがある。
【0007】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、製品ごとの品質データ管理を効率的に行うことができる品質データ管理システムを提供することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の品質データ管理システムは、複数の現品票、複数の読取装置、及び記憶装置を備えている。各現品票は票番号が付されている。各現品票は製品と共に複数の工程を移動した後に、それら工程の先頭である先頭工程に戻されて循環する。各読取装置は各工程において現品票の票番号を読み取る。記憶装置は
、先頭工程において、
複数の工程を循環する各現品票に付された票番号と製品の個体識別情報とを関連付けて記憶する。また、記憶装置は
、各工程において
、読取装置が読み取った票番号に関連付けられた個体識別情報に品質データを関連付けて記憶する。
票番号は、現品票ごとに異なり、各現品票のそれぞれを特定するものである。
【0009】
この品質データ管理システムは、複数の工程を製品と共に移動する現品票の票番号に個体識別情報が関連付けられている。このため、この品質データ管理システムは、各工程において読取装置が票番号を読み取ることによって、記憶装置が個体識別情報に関連付けて品質データを記憶することができる。また、この品質データ管理システムは、複数の現品票を循環させて利用するため、製品ごとに異なる個体識別情報を現品票に印字する手間等をなくすことができ、品質データの管理を比較的に低コストで行うことができる。また、この品質データ管理システムは、票番号を簡潔にすれば、読取装置の読取時間を短くしたり、誤認識を少なくしたりすることができる。
【0010】
したがって、本発明の品質データ管理システムは製品ごとの品質データ管理を効率的に行うことができる。
【0011】
また、この品質データ管理システムは、現品票が仮に破損したり、紛失したりした場合でも、記憶装置に個体識別情報に関連付けられた品質データが記憶されているため、同じ内容を印字した現品票を新たに作成して製品に付随させれば、継続してシステムを運用することができる。
【0012】
また、この品質データ管理システムは、複数の現品票を循環させているため、各工程における現品票の通過履歴を収集して、現品票の回転率や、現品票が複数の工程を移動するリードタイム等を分析することによって、物流改善に活用することができる。
【0013】
また、この品質データ管理システムは、各工程を移動中の現品票の枚数から在庫状況を分析することができる。このため、この品質データ管理システムは、在庫低減、生産指示の適正化に活用することができる。
【0014】
本発明の品質データ管理システムにおいて、製品は鋳造に利用される中子であり得る。中子は、焼成工程、バリ取り修正工程、組立工程、糊乾燥工程、塗型工程、塗型乾燥工程、及び検査工程の順に実行して製造され、鋳型に収められる。現品票は焼成工程以降の複数の工程を移動して循環し得る。
【0015】
中子は、細い円筒形状の砂であり、印字スペースが限られているため、個体識別情報を直接中子に付すためには高い技術が必要であり、コストが高くなるおそれがある。また、塗型工程で塗料が塗布されると直接中子に印字された個体識別情報が認識できなくなるおそれがある。また、中子は、糊乾燥工程、塗型乾燥工程において、高温で乾燥されるため、耐熱性が低いICタグ等は取り付けることができない。このような中子に対して、この品質データ管理システムは、中子に個体識別情報を印字することなく、現品票の票番号を読取装置で読み取ることによって、票番号に関連付けられた個体識別情報に関連付けて品質データを記憶することができる。また、この品質データ管理システムは作業者の負担にならずに各品質データを収集することができる。
【0016】
本発明の品質データ管理システムにおいて、個体識別情報は製品に一体に付され得る。この場合、現品票が仮に破損したり、紛失したりしても、製品に一体に付された個体識別情報を頼りに新たに作成した同じ記載の現品票を製品に付随させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の品質データ管理システムを具体化した実施形態1及び2について、図面を参照しつつ説明する。
【0019】
<実施形態1>
実施形態1の品質データ管理システムは、
図1に示すように、中子ライン1、造型ライン、溶解ライン5、仕上げ検査ライン7、及び加工ライン9を有する鋳造設備における中子ライン1に利用される。中子ライン1は、
図2及び
図3に示すように、焼成工程、バリ取り修正工程、組立工程、糊乾燥工程、塗型工程、塗型乾燥工程、及び検査工程を有している。焼成工程は金型に砂を流し込んで焼成して中子本体を生成する。中子本体は中子を構成する主要部材である。中子本体は1個ずつ耐熱性を有するパレットに載置されて各工程を移動する。バリ取り修正工程は中子本体のバリを除去する。組立工程は中子本体に小部品を糊付けして中子を組み立てる。つまり、中子は中子本体と小部品とから構成されている。糊乾燥工程は、組立後の中子を乾燥炉に入れて、高温で糊を乾燥させる。塗型工程は、槽に張られた溶液に中子を漬けて、表面に焼きつき防止用の塗料を塗布する。塗型乾燥工程は、焼きつき防止用の塗料を塗布した後の中子を乾燥炉に入れて、高温で乾燥させる。検査工程は、中子の最終検査を実施し、合否判定する。この中子ライン1は、各工程での生産能力が異なっているため、各工程でバッチ生産を実施する。
【0020】
焼成工程は、
図2〜
図4に示すように、タッチパネル10Aを有したコンピュータ10と読取装置である二次元バーコードリーダ20とを設置している。焼成工程において、パレットに載置された中子本体が焼成されて生成されるたびに、作業者がタッチパネル10Aを操作し、中子本体ごとの個体識別情報である中子シリアル番号(Z-15X301-1-001)をコンピュータ10が生成する。中子シリアル番号は連続した通し番号(-001、-002、・・・)が含まれている。つまり、中子本体ごとに異なる中子シリアル番号が生成される。中子本体は、中子シリアル番号が付されていなくてもよいが、
図7に示すように、中子本体2に設けられ、中子を鋳型の下型及び上型に形成されたキャビティ内に配置した際に中子が支えられる部分である巾木2A等に中子シリアル番号が付されていてもよい。
【0021】
現品票である焼成工程現品票30は、所定枚数が用意され、焼成工程に設置された現品票ポスト31に備えられている。これら焼成工程現品票30は、
図4に示すように、票番号(X00001)、マトリクス型二次元コード30A、品番(XX151-55X12-XHT)、棚番(Y001)、及び工程(焼成→捕集→部品庫)が印字されている。票番号は、焼成工程現品票30そのものを特定するものであり、連続した通し番号(00001,00002,・・・)が含まれている。つまり、焼成工程現品票30ごとに異なる票番号が印字されている。マトリクス型二次元コード30Aは焼成工程現品票30に印字された票番号等の情報をコード化している。品番は焼成工程で生産される中子本体の品番である。棚番は焼成前の中子本体が仮置きされていた棚番号を示す。工程は焼成工程現品票30が中子本体と共に移動する工程等を示している。つまり、この焼成工程現品票30は、中子本体が焼成されて生成された後に現品票ポスト31から取り出されてパレットの上面に載置され、中子本体と共に焼成工程、バリ取り修正工程、及び部品庫を移動する。
【0022】
焼成工程において、作業者は、タッチパネル10Aを操作した後、つまり、中子本体ごとに異なる中子シリアル番号(Z-15X301-1-001)が生成された後、二次元バーコードリーダ20を利用して、パレット上に載置された焼成工程現品票30のマトリクス型二次元コード30Aを読み取る。すると、コンピュータ10が焼成工程現品票30に印字された焼成工程現品票30の票番号(X00001)と中子シリアル番号(Z-15X301-1-001)とを関連付ける。そして、この票番号と中子シリアル番号とを関連付けた情報が記憶装置であるデータベースサーバ40に記憶される。
【0023】
また、焼成工程において、生成された中子本体ごとに、中子の品質に影響する中子本体の品質データ(例えば、金型に流し込む砂の材質、焼成温度等)が中子シリアル番号(Z-15X301-1-001)に関連付けられてデータベースサーバ40に記憶される。これら品質データは、センサによって自動入力されたり、作業者がタッチパネル10Aを操作して入力されたりして、データベースサーバ40に記憶される。この品質データは不具合追跡や不良解析に利用することができる。
【0024】
バリ取り修正工程も、
図2に示すように、タッチパネル10Aを有したコンピュータ10と二次元バーコードリーダ20とを設置している。中子本体はパレット上に載置された状態で焼成工程からバリ取り修正工程に送られる。焼成工程現品票30は、パレットの上面に載置されているため、中子本体と共にバリ取り修正工程に移動する。
【0025】
バリ取り修正工程において、作業者は二次元バーコードリーダ20を利用してパレット上に載置された焼成工程現品票30のマトリクス型二次元コード30Aを読み取る。すると、コンピュータ10は、焼成工程現品票30の票番号(X00001)を取得し、この票番号に基づいて、パレット上に載置された中子本体の中子シリアル番号(Z-15X301-1-001)をデータベースサーバ40から取得する。これによって、バリ取り修正工程でバリを除去された中子本体と、その中子シリアル番号を対応させることができる。
【0026】
そして、バリ取り修正工程において、中子の品質に影響する中子本体の品質データ(例えば、欠けや亀裂の有無等)が中子本体ごとの中子シリアル番号に関連付けられてデータベースサーバ40に記憶される。これら品質データは、作業者がタッチパネル10Aを操作して入力され、データベースサーバ40に記憶される。この品質データも不具合追跡や不良解析に利用することができる。バリ取り修正工程を終了した中子本体はパレット上に載置された状態で部品庫に一時的に保管される。
【0027】
部品庫からパレット上に載置された状態の中子本体を組立工程に移動させる際、
図2、
図3、及び
図6に示すように、焼成工程現品票30を組立工程現品票50に差し替える。組立工程現品票50に差し替えられた後の焼成工程現品票30は、パレットから取り除かれ、焼成工程に設けられた現品票ポスト31に戻される。焼成工程に設けられた現品票ポスト31に戻された焼成工程現品票30は、現品票ポスト31に戻された順に、上述したように、中子本体が焼成されて生成された後に現品票ポスト31から取り出され、中子本体が載置されたパレットの上面に載置される。このようにして、焼成工程現品票30は、焼成工程、バリ取り修正工程、及び部品庫を循環する。ここでは、焼成工程が先頭工程に相当する。
【0028】
組立工程現品票50は、
図3に示すように、所定枚数が用意され、組立工程に設置された現品票ポスト51に備えられている。これら組立工程現品票50は、
図6に示すように、票番号(Y00001)、マトリクス型二次元コード50A、ASSY品番(XX151-55X12-XNK)、本体品番(XX151-55X12-XHT)、棚番A(X001)、部品品番(XX151-41X12-XST)、棚番B(Y001)、及び工程(組立→糊乾燥→塗型乾燥→検査→完品置場→造型)が印字されている。票番号は、組立工程現品票50そのものを特定するものであり、連続した通し番号(00001,00002,・・・)が含まれている。つまり、組立工程現品票50ごとに異なる票番号が印字されている。マトリクス型二次元コード50Aは組立工程現品票50に印字された票番号等の情報をコード化している。ASSY品番は組立工程で中子本体に小部品を糊付けして組み立てられる中子の品番である。本体品番は中子本体の品番である。棚番Aは中子本体が仮置きされていた棚番号である。部品品番は中子本体に糊付けされる小部品の品番である。棚番Bは小部品が仮置きされていた棚番号である。工程は組立工程現品票50が中子と共に移動する工程などを示している。つまり、この組立工程現品票50は、
図2及び
図3に示すように、組立工程で中子本体に小部品を糊付けして組み立てられた中子を載置するパレットの上面に載置され、中子と共に組立工程、糊乾燥工程、塗型工程、塗型乾燥工程、検査工程、完成品置き場、及び造型ラインの中子収め工程を移動する。
【0029】
焼成工程現品票30と組立工程現品票50の差し替えは、
図6に示すように、マトリクス型二次元コード30A,50Aを読み取ることができるハンディターミナルコンピュータ60を利用して次に説明するように行われる。
【0030】
先ず、作業者がハンディターミナルコンピュータ60を利用して、中子本体が載置されたパレット上に載置された焼成工程現品票30のマトリクス型二次元コード30Aを読み取る。すると、ハンディターミナルコンピュータ60は、焼成工程現品票30の票番号(X00001)を取得し、取得した票番号に基づいて、中子シリアル番号(Z-15X301-1-001)をデータベースサーバ40から取得する。
【0031】
次に、作業者がハンディターミナルコンピュータ60を利用して、組立工程現品票50のマトリクス型二次元コード50Aを読み取る。すると、ハンディターミナルコンピュータ60は、組立工程現品票50の票番号(Y00001)を取得し、この票番号と中子シリアル番号(Z-15X301-1-001)とを関連付ける。そして、この票番号と中子シリアル番号とを関連付けた情報がデータベースサーバ40に記憶される。このようにして、焼成工程現品票30と組立工程現品票50とが差し替えられる。差し替えらえた組立工程現品票50は、それまで焼成工程現品票30が載置されていたパレット上に載置される。
【0032】
組立工程、糊乾燥工程、塗型工程、塗型乾燥工程、及び検査工程の各工程は、タッチパネル10Aを有したコンピュータ10と二次元バーコードリーダ20とを設置している。なお、塗型工程と塗型乾燥工程とは共通のタッチパネル10Aを備えており、これらの工程で共用される。
【0033】
組立工程、糊乾燥工程、塗型工程、塗型乾燥工程、及び検査工程の各工程において、
図5に示すように、作業者は二次元バーコードリーダ20を利用してパレット上に載置された組立工程現品票50のマトリクス型二次元コード50Aを読み取る。すると、コンピュータ10が組立工程現品票50の票番号(Y00001)を取得し、この票番号に基づいて、コンピュータ10はパレット上に載置された中子の中子シリアル番号(Z-15X301-1-001)をデータベースサーバ40から取得する。これによって、各工程の中子本体と、その中子シリアル番号を対応させることができる。
【0034】
そして、組立工程、糊乾燥工程、塗型工程、塗型乾燥工程、及び検査工程の各工程において、中子の品質に影響する品質データ(例えば、各工程における欠けや亀裂の有無、糊乾燥工程における乾燥炉の温度、塗型工程における溶液の成分、塗型乾燥工程における乾燥炉の温度等)が中子ごとに中子シリアル番号(Z-15X301-1-001)に関連付けられてデータベースサーバ40に記憶される。これら品質データは、センサによって自動入力されたり、作業者がタッチパネル10Aを操作して入力されたりして、データベースサーバ40に記憶される。これら品質データも不具合追跡や不良解析に利用することができる。
【0035】
検査工程を終了した中子はパレット上に載置された状態で完成品置き場に一時的に保管される。その後、中子は、パレット上に載置された状態で造型ラインの中子収め工程に搬送され、鋳型の下型及び上型に形成されたキャビティ内に配置される。この際、作業者は二次元バーコードリーダ20を利用してパレット上に載置された組立工程現品票50のマトリクス型二次元コード50Aを読み取る。これによって、鋳型に対してどの中子を収めたかの情報を収集し、データベース40に記憶する。また、パレット上に載置された組立工程現品票50は、作業者が二次元バーコードリーダ20を利用してマトリクス型二次元コード50Aが読み取られた後、パレットから取り除かれ、組立工程に設けられた現品票ポスト51に戻される。組立工程に設けられた現品票ポスト51に戻された組立工程現品票50は、現品票ポストに戻された順に、上述したように、焼成工程現品票30の差し替えに用いられ、中子が載置されたパレットの上面に載置される。このように、組立工程現品票50は、組立工程、糊乾燥工程、塗型工程、塗型乾燥工程、検査工程、完成品置き場、及び造型ラインの中子収め工程を循環する。ここでは、組立工程が先頭工程に相当する。
【0036】
このように、実施形態1の品質データ管理システムは、複数の焼成工程現品票30、複数の組立工程現品票50、各工程に備えられた複数の二次元バーコードリーダ20、及びデータベースサーバ40を備えている。各焼成工程現品票30及び各組立工程現品票50は票番号が付されている。各焼成工程現品票30は、中子本体と共に焼成工程、バリ取り修正工程、及び部品庫を移動した後に、焼成工程に設けられた現品票ポスト31を経由して、焼成工程に戻される。このように、各焼成工程現品票30は、焼成工程、バリ取り修正工程、及び部品庫を循環する。また、各組立工程現品票50は、中子と共に組立工程、糊乾燥工程、塗型工程、塗型乾燥工程、検査工程、完成品置き場、及び造型ラインの中子収め工程を移動した後に、組立工程に設けられた現品票ポスト51を経由して組立工程に戻される。このように、組立工程現品票50は、組立工程、糊乾燥工程、塗型工程、塗型乾燥工程、検査工程、完成品置き場、及び造型ラインの中子収め工程を循環する。各二次元バーコードリーダ20は、各工程において、焼成工程現品票30又は組立工程現品票50の票番号を読み取る。データベースサーバ40は先頭工程である焼成工程又は組立工程において関連付けられた票番号と中子本体の中子シリアル番号とを記憶する。また、データベースサーバ40は各工程において二次元バーコードリーダ20が読み取った票番号に関連付けられた中子シリアル番号に品質データを関連付けて記憶する。
【0037】
この品質データ管理システムは、複数の工程を中子本体又は中子と共に移動する焼成工程現品票30又は組立工程現品票50の票番号に中子シリアル番号が関連付けられている。このため、この品質データ管理システムは、各工程において二次元バーコードリーダ20が票番号を読み取ることによって、データベースサーバ40が中子シリアル番号に関連付けて品質データを記憶することができる。また、この品質データ管理システムは、複数の焼成工程現品票30又は組立工程現品票50を循環させて利用するため、中子本体又は中子ごとに異なる中子シリアル番号を焼成工程現品票30又は組立工程現品票50に印字する手間等を無くすことができ、品質データの管理を比較的低コストで行うことができる。また、この品質データ管理システムは、票番号を簡潔にすれば、二次元バーコードリーダ20の読取時間を短くしたり、誤認識を少なくしたりすることができる。
【0038】
したがって、実施形態1の品質データ管理システムは製品ごとの品質データ管理を効率的に行うことができる。
【0039】
また、この品質データ管理システムは、焼成工程現品票30又は組立工程現品票50が仮に破損したり、紛失したりした場合でも、データベースサーバ40に中子シリアル番号に関連付けられた品質データが記憶されているため、同じ内容を印字した焼成工程現品票30又は組立工程現品票50を新たに作成して中子本体又は中子が載置されたパレット上に載置すれば、継続してシステムを運用することができる。
【0040】
また、この品質データ管理システムは、複数の焼成工程現品票30又は複数の組立工程現品票50を循環させているため、各工程におけるこれら現品票の通過履歴を収集して、現品票の回転率や、現品票が複数の工程を移動するリードタイム等を分析することによって、物流改善に活用することができる。
【0041】
また、この品質データ管理システムは、各工程を移動中の焼成工程現品票30又は組立工程現品票50の舞推移から在庫状況を分析することができる。このため、この品質データ管理システムは、在庫低減、生産指示の適正化に活用することができる。
【0042】
この品質データ管理システムは鋳造に利用される中子の製造に利用されている。中子は、焼成工程、バリ取り修正工程、組立工程、糊乾燥工程、塗型工程、塗型乾燥工程、及び検査工程の順に実行して製造され、鋳型に収められる。焼成工程現品票30は、焼成工程、バリ取り修正工程、及び部品庫を循環する。組立工程現品票50は、組立工程、糊乾燥工程、塗型工程、塗型乾燥工程、検査工程、完成品置き場、及び造型ラインの中子収め工程を循環する。
【0043】
中子は、細い円筒形状の砂であり、印字スペースが限られているため、中子シリアル番号を直接中子に付すためには高い技術が必要であり、コストが高くなるおそれがある。また、塗型工程で塗料が塗布されると直接中子に印字された中子シリアル番号が認識できなくなるおそれがある。また、中子は、糊乾燥工程、塗型乾燥工程において、高温で乾燥されるため、耐熱性が低いICタグ等は取り付けることができない。このような中子に対して、この品質データ管理システムは、中子に中子シリアル番号を印字することなく、焼成工程現品票30又は組立工程現品票50の票番号を読取装置で読み取ることによって、これら票番号に関連付けられた中子シリアル番号に関連付けて品質データを記憶することができる。また、この品質データ管理システムは作業者の負担にならずに各品質データを収集することができる。
【0044】
また、この品質データ管理システムにおいて、中子本体に中子シリアル番号を一体に付せば、焼成工程現品票30又は組立工程現品票50が仮に破損したり、紛失したりしても、中子本体に一体に付された中子シリアル番号を頼りに新たに作成した同じ記載の焼成工程現品票30又は組立工程現品票50を中子本体又は中子が載置されたパレットに正しく載置しなおすことができる。
【0045】
<実施形態2>
実施形態2の品質データ管理システムは、複数の半製品の中子(組立工程と、糊乾燥工程とを実行し、中子本体と小部品とが一体になったもの)を合体させて、鋳型の下型及び上型に形成されたキャビティ内に配置する中子を形成する点が、実施形態1と相違する。他の構成は、実施形態1と同様であり、同一の構成は同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0046】
この品質データ管理システムは、2個の半製品の中子を合体させて中子を形成する場合、
図8に示すように、組立工程において、合体後の組立工程現品票57が、次に説明するように作成される。
【0047】
まず、作業者は、組立工程に備えられた二次元バーコードリーダ20を利用して、半製品の中子が載置されたパレット上に載置された組立工程現品票53,55のマトリクス型二次元コード53A,55Aを夫々読み取る。すると、コンピュータ10は夫々の票番号(Y00001,Y00002)を取得し、これら票番号に関連付けられた中子シリアル番号(Z-15X301-1-001,Z-15X301-1-002)をデータベースサーバ40から取得する。半製品の中子の組立工程現品票53,55は、上述した組立工程現品票50と同じ項目が印刷されているが、工程欄には、「組立→糊乾燥→組立」と印字されている。つまり、この組立工程現品票53,55は、半製品の中子と共に、組立工程、糊乾燥工程を移動した後、合体するために組立工程に移動することが示されている。
【0048】
次に、作業者は、二次元バーコードリーダ20を利用して、合体後の組立工程現品票57のマトリクス型二次元コード57Aを読み取る。すると、コンピュータ10は、合体後の組立工程現品票57の票番号(Y00010)を取得すると共に、新たに中子シリアル番号(Z-15X301-1-001-U)を生成する。その後、取得した票番号(Y00010)と新たな中子シリアル番号(Z-15X301-1-001-U)とを関連付けた情報がデータベースサーバ40に保存される。なお、半製品の各中子の中子シリアル番号(Z-15X301-1-001,Z-15X301-1-002)と、合体後の新たな中子シリアル番号(Z-15X301-1-001-U)とは関連付けられてデータベースサーバ40に保存される。合体後の中子の組立工程現品票57は、票番号、マトリクス型二次元コード57A、ASSY品番、及び工程が印字されている。
【0049】
合体後の組立工程現品票57は、所定枚数が用意され、組立工程に設置された現品票ポスト51に備えられている。この組立工程現品票57は、上述した通り、合体された中子を載置するパレットの上面に載置され、中子と共に組立工程、糊乾燥工程、塗型工程、塗型乾燥工程、検査工程、完成品置き場、及び造型ラインの中子収め工程を移動する。そして、この組立工程現品票57は、合体後の中子が鋳型の下型及び上型に形成されたキャビティ内に配置される際、パレットから取り除かれ、組立工程に設けられた現品票ポスト51に戻される。組立工程に設けられた現品票ポスト51に戻されたこの組立工程現品票57は、現品票ポスト51に戻された順に、上述したように、半製品の中子を合体させて中子を形成する際に用いられる。このように、この組立工程現品票57も、組立工程、糊乾燥工程、塗型工程、塗型乾燥工程、検査工程、完成品置き場、及び造型ラインの中子収め工程を循環する。ここでは、組立工程が先頭工程に相当する。
【0050】
このように、実施形態2の品質データ管理システムも、複数の工程を合体後の中子と共に移動する組立工程現品票57の票番号に新たな中子シリアル番号が関連付けられている。このため、この品質データ管理システムは、各工程において二次元バーコードリーダ20が票番号を読み取ることによって、データベースサーバ40が中子シリアル番号に関連付けて品質データを記憶することができる。また、この品質データ管理システムは、複数の合体後の組立工程現品票57を循環させて利用するため、合体後の中子ごとに異なる中子シリアル番号を組立工程現品票57に印字する手間等を無くすことができ、品質データの管理を比較的低コストで行うことができる。また、この品質データ管理システムは、票番号を簡潔にすれば、二次元バーコードリーダ20の読取時間を短くしたり、誤認識を少なくしたりすることができる。
【0051】
したがって、実施形態2の品質データ管理システムは製品ごとの品質データ管理を効率的に行うことができる。
【0052】
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態1及び2に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)実施形態1では、焼成工程現品票と組立工程現品票を備え、中子本体を部品庫から組立工程に移動させる際に焼成工程現品票を組立工程現品票に差し替えたが、一種類の現品票が全工程を移動して、循環させるようにしてもよい。
(2)実施形態1及び2で示した各票番号、各品番、各棚番の記載は一例であり、他の形式であってもよい。
(3)実施形態1及び2では、品質管理システムを鋳造設備の中子ラインに利用したが、他の製造ラインに利用してもよい。
(4)実施形態1及び2では、品質管理システムを中子の品質管理に利用したが、鋳造品に限らず、他の製品に対する品質管理に利用してもよい。