特許第6649056号(P6649056)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6649056
(24)【登録日】2020年1月20日
(45)【発行日】2020年2月19日
(54)【発明の名称】可搬形医療機器
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/00 20060101AFI20200210BHJP
【FI】
   A61B8/00
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-230456(P2015-230456)
(22)【出願日】2015年11月26日
(65)【公開番号】特開2017-93872(P2017-93872A)
(43)【公開日】2017年6月1日
【審査請求日】2018年10月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000112602
【氏名又は名称】フクダ電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【弁理士】
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 秀二
(72)【発明者】
【氏名】取出 優
(72)【発明者】
【氏名】高橋 宗雄
(72)【発明者】
【氏名】廣岡 衛
(72)【発明者】
【氏名】重岡 宏行
(72)【発明者】
【氏名】光岡 亮
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 太智
【審査官】 森口 正治
(56)【参考文献】
【文献】 特表2005−526567(JP,A)
【文献】 特開2007−021088(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00−8/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動用キャスターを備えた機器本体と、操作者による指示操作を受ける操作パネルを備え該機器本体よりも上方に配置されて操作に応じて電動で昇降するユーザインターフェースとを具備する可搬形医療機器であって、
前記ユーザインターフェースの昇降用の電力の供給を分担する第1の電源部と、
当該可搬形医療機器の、前記第1の電源部の電力供給分担分を除く、あるいは該第1の電源部の電力供給分担分を含む、各部分への電力の供給を担う第2の電源部と、
前記第2の電源部による電力の供給を開始させる電源オンと、前記第1の電源部による電力の供給を妨げることなく前記第2の電源部による電力の供給を遮断する電源オフとの切替えを指示する第1の操作子と、
前記第1の操作子による電源オフの指示の前後のうちの少なくとも電源オフの指示後において、前記ユーザインターフェースの昇降のうちの少なくとも下降を指示する第2の操作子と
前記第1の操作子による電源オフの指示を受けて、前記第1の電源部による電力の供給を妨げることなく前記第2の電源部による電力の供給を遮断するスイッチと、
前記第1の操作子による電源オフの指示を受けて計時を開始し、タイムアップにより前記第1の電源部による電力の供給を遮断するタイマとを有することを特徴とする可搬形医療機器。
【請求項2】
前記ユーザインターフェースがさらに、画像を表示する画像モニタ、および、当該可搬形医療機器の収納時の姿勢である収納姿勢と、少なくとも1つの、当該可搬形医療機器の稼働時の姿勢である稼働姿勢との間での該画像モニタの姿勢の変更を自在とし、少なくとも前記収納姿勢に向けた動作が電動で行なわれる継ぎ手を備え、
前記第1の電源部が、前記ユーザインターフェースの昇降用の電力に加え、前記継ぎ手による前記画像モニタの姿勢変更用の電力の供給を分担するものであって、
当該可搬形医療機器がさらに、前記第2の操作子と兼用し、あるいは該第2の操作子とは別途に備えられた、前記第1の操作子による電源オフの指示の前後のうちの少なくとも電源オフの指示後において、前記画像モニタの姿勢変更のうちの少なくとも前記収納姿勢への姿勢変更を指示する第3の操作子を有することを特徴とする請求項1に記載の可搬形医療機器。
【請求項3】
外部から電力の供給を受けて充電され前記第1の電源部と前記第2の電源部とのうちの少なくとも前記第1の電源部に電力を供給するバッテリを有することを特徴とする請求項1または2に記載の可搬形医療機器。
【請求項4】
当該可搬形医療機器が、人体内に超音波を送波し反射超音波を受波して反射超音波による画像を表示する可搬形の超音波診断装置であることを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載の可搬形医療機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可搬形の、例えば超音波診断装置やストレステストシステム等の医療機器に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波診断装置やストレステストシステム等、キャスター付きの大型の可搬形医療機器が知られており、広く普及している。それらの可搬形医療機器の中には、上部に操作パネルと画像モニタとからなるユーザインターフェースを備えた機器も多い。また、その可搬形医療機器の中には、様々な身長の操作者に合わせるために、あるいは、立って操作したり椅子に腰かけて操作したりなどの操作者の姿勢に合わせるために、ユーザインターフェースを上下動させることのできる機構を備えたタイプの機器が存在する。
【0003】
例えば、特許文献1には、操作者の高さを検知して機器を自動で昇降させる自動昇降装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−110399号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記タイプの可搬形医療機器において、ユーザインターフェースを電動で昇降する機能を備えると、スイッチ1つで目的の高さに合わせることができ、便利である。可搬形医療機器は、その使い方によっては、使わないときは収納しておき、使う際に収納場所から持ち出して使用される。収納する際は、その収納スペース等の関係上、ユーザインターフェースを一番下まで下降させて収納することが好ましい。ところが、使用終了時にユーザインターフェースを下降させないまま電源スイッチをオフにしてしまうと、ユーザインターフェースを下降できなくなってしまうおそれがある。電源を再度オンにすればユーザインターフェースを下降させることはできるが、機器によっては、電源をオンにすると使用開始にあたっての各種の準備動作が開始され、安全のため、それらの準備動作が終了するまで一切の操作を行なうことができない機器もある。そのような機器の場合、準備動作の終了まで待つことを強いられることになる。そうなると、ユーザインターフェースを下降させずに電源をオフした操作者のミスから始まったことであっても、収納時の使い勝手の悪い機器となってしまう。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑み、収納時の使い勝手の良い可搬形医療機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成する本発明の可搬形医療機器は、移動用キャスターを備えた機器本体と、操作者による指示操作を受ける操作パネルを備え機器本体よりも上方に配置されて操作に応じて電動で昇降するユーザインターフェースとを具備する可搬形医療機器であって、
ユーザインターフェースの昇降用の電力の供給を分担する第1の電源部と、
この可搬形医療機器の、第1の電源部の電力供給分担分を除く、あるいは第1の電源部の電力供給分担分を含む、各部分への電力の供給を担う第2の電源部と、
第2の電源部による電力の供給を開始させる電源オンと、第1の電源部による電力の供給を妨げることなく第2の電源部による電力の供給を遮断する電源オフとの切替えを指示する第1の操作子と、
第1の操作子による電源オフの指示の前後のうちの少なくとも電源オフの指示後において、ユーザインターフェースの昇降のうちの少なくとも下降を指示する第2の操作子とを有することを特徴とする。
【0008】
本発明の可搬形医療機器は、上記の第1の電源部と第2の電源部とを備え、第1の操作子による電源オフの操作後において、ユーザインターフェースの下降を可能としている。
【0009】
すなわち、本発明の可搬形医療機器の場合、収納のためにユーザインターフェースを下降させる操作は電源オフの状態で可能となり、機器の収納時の使い勝手が良好となる。
【0010】
なお、収納のための下降の操作は、電源オフの操作後のみ可能であってもよく、電源オフの操作の前後双方において可能であってもよい。
【0011】
ここで、本発明の可搬形医療機器において、ユーザインターフェースがさらに、画像を表示する画像モニタ、および、この可搬形医療機器の収納時の姿勢である収納姿勢と、少なくとも1つの、この可搬形医療機器の稼働時の姿勢である稼働姿勢との間での画像モニタの姿勢の変更を自在とし、少なくとも収納姿勢に向けた動作が電動で行なわれる継ぎ手を備え、
上記第1の電源部が、ユーザインターフェースの昇降用の電力に加え、上記継ぎ手による画像モニタの姿勢変更用の電力の供給を分担するものであって、
この可搬形医療機器がさらに、上記第2の操作子と兼用し、あるいはその第2の操作子とは別途に備えられた、第1の操作子による電源オフの指示の前後のうちの少なくとも電源オフの指示後において、画像モニタの姿勢変更のうちの少なくとも収納姿勢への姿勢変更を指示する第3の操作子を有するものであってもよい。
【0012】
機器によっては、ユーザインターフェースが操作パネルのほかに画像モニタを備え、さらに、その画像モニタが操作パネルと一緒に昇降するだけでなく、画像モニタの姿勢を変更することのできる継ぎ手を備えたものが存在する。そのタイプの機器の場合、収納時には画像モニタも収納時の姿勢に戻すことが望ましい。そこで、そのタイプの機器の場合に、上記の第1の電源部に、ユーザインターフェースの昇降用の電力に加え、上記の継ぎ手による画像モニタの姿勢変更用の電力供給を担わせ、第1の操作子による電源オフの後であっても、ユーザインターフェースの下降だけでなく、画像モニタの収納姿勢への姿勢変更を可能とする。こうすることで、収納時の使い勝手が一層良好となる。
【0013】
また、上記本発明の可搬形医療機器において、外部から電力の供給を受けて充電され上記第1の電源部と第2の電源部とのうちの少なくとも第1の電源部に電力を供給するバッテリを有することが好ましい。
【0014】
上記タイプの可搬形医療機器は、その可搬形医療機器の電源プラグを、外部から電力を取り込むためのコンセントに差し込むことによって、必要な電力を得るのが一般的である。上記のバッテリを備えると、収納にあたって第1の操作子により電源オフの操作を行ない、さらに電源プラグをコンセントから抜いた後であっても、収納に向けた操作が可能となる。
【0015】
さらに、本発明の可搬形医療機器において、第1の操作子の操作による電源オフの指示を受けて計時を開始し、タイムアップにより第1の電源部による電力の供給を遮断するタイマを有することも好ましい態様である。
【0016】
電源オフの後、収納に向けた操作を必要としないときにまで、あるいは収納の操作を行なった後にまで、いつまでも操作を可能としておくのではなく、十分な時間が経過した後は、操作を不能とすることが好ましい。
【0017】
ここで、この可搬形医療機器は、人体内に超音波を送波し反射超音波を受波して画像モニタ上に反射超音波による画像を表示する可搬形の超音波診断装置であってもよい。
【0018】
本発明は、可搬形の超音波診断装置に好適に適用することができる。
【発明の効果】
【0019】
以上の本発明によれば、収納時の使い勝手のよい可搬形医療機器が実現する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の可搬形医療機器の一例としての、可搬形の超音波診断装置の横向きの外観を示した図である。
図2図1に示した超音波診断装置における、収納姿勢にある画像モニタを示した図である。
図3図1に示した超音波診断装置における、斜め左を向いた姿勢の画像モニタを示した図である。
図4図1に示した超音波診断装置における電源系統を示したブロック図である。
図5】昇降操作子の模式図である。
図6】姿勢変更操作子の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0022】
図1は、本発明の可搬形医療機器の一例としての可搬形の超音波診断装置の横向きの外観を示した図である。
【0023】
この超音波診断装置100は、装置本体10と、ユーザインターフェース20とを備えている。ユーザインターフェース20は、操作パネル30と、画像モニタ40と、継ぎ手50とを備えている。画像モニタ40は継ぎ手50を介して取り付けられており、その姿勢を様々に変えることができる。
【0024】
装置本体10には、キャスター11と把っ手12が備えられており、把っ手12を手で押して移動させることが可能となっている。
【0025】
ここで、装置本体10には、超音波プローブ15がケーブル16を介して接続されている。この超音波診断装置100は、超音波プローブ15を人体にあてがい、その超音波プローブ15を使って人体内に超音波を送波し、人体内で反射して戻ってきた反射超音波をその超音波プローブ15で受波して電気信号に変換し、その電気信号に基づく画像を画像モニタ40上に表示することを基本動作とする装置である。
【0026】
装置本体10内には、電源装置や、その電源装置から電力の供給を受けてこの超音波診断装置100の動作を可能とする様々な回路部が備えられている。ただし、ここでは、超音波診断装置100の詳細機能の説明は省略し、本発明の実施形態として必要な要素についてのみ説明する。
【0027】
ユーザインターフェース20は、装置本体10との間に昇降部60を介在させて、その装置本体10の上方に設置されている。
【0028】
装置本体10内には昇降用のモータ13と、そのモータ13の回転によりユーザインターフェース20を昇降させる昇降機構14が備えられている。モータ13を回転させると、昇降機構14が作動し、そのモータ13の回転の向きに応じて、昇降部60が矢印Uの向きに伸び、また、矢印Dの向きに縮む。これにより、ユーザインターフェース20が矢印Uの向きに上昇し、また、矢印Dの向きに下降する。
【0029】
この超音波診断装置100の収納にあたっては、ユーザインターフェース20は、昇降可能な範囲内における最も下の位置まで下降される。
【0030】
ユーザインターフェース20を構成する操作パネル30上には、この超音波診断装置100を自在に使いこなすための様々な多数の操作子31が配列されている。それらの操作子31についての説明は、本発明の実施形態としての説明に必要な、後述する一部の操作子についての説明を除き、省略する。
【0031】
この図1では、画像モニタ40は、継ぎ手50を介して正面(図1の右側)を向いた姿勢となっている。この継ぎ手50は、6つの関節51を有し、画像モニタ40を様々な姿勢に変更することができる継ぎ手となっている。
【0032】
図2は、図1に示した超音波診断装置における、収納姿勢にある画像モニタを示した図である。
【0033】
この図2に示す収納姿勢は、この超音波診断装置100の収納時における画像モニタ40の姿勢である。
【0034】
この超音波診断装置100の収納にあたっては、上述の通り、ユーザインターフェース20が昇降可能な範囲内における最も下の位置まで下降されるとともに、画像モニタ40については、その姿勢が、この図2に示す収納姿勢に変更される。
【0035】
図3は、図1に示した超音波診断装置における、斜め左を向いた姿勢の画像モニタを示した図である。
【0036】
医師や臨床検査技師が患者をベッドに横たわらせ、この超音波診断装置100をそのベッドの横に置き、患者に超音波プローブ15(図1図2参照)を当てがいながら画像モニタ40上の画像を確認する場合などは、例えば、この図3に示すような、画像モニタ40を横に向けた姿勢が便利なこともある。
【0037】
このように、本実施形態の超音波診断装置100の場合、画像モニタ40を様々な姿勢に変更することができる。ここでは、図2に示す「収納姿勢」以外の、この超音波診断装置100の稼働時の画像モニタ40の姿勢を、「稼働姿勢」と称する。
【0038】
この図3には、継ぎ手50の各関節51に対応する各モータ52が模式的に示されている。各モータ52が、対応する各関節51を動かすことで、画像モニタ40の向きが自在に変更される。
【0039】
図4は、図1に示した超音波診断装置における電源系統を示したブロック図である。
【0040】
バッテリ71は、この超音波診断装置100の電源プラグ(不図示)をコンセントに差し込むことにより取り込まれた外部電力により充電される。
【0041】
この超音波診断装置100は、電源プラグをコンセントに差し込んだまま動作させることを予定しており、したがってバッテリ71は、後述する目的を満たすだけの小容量のバッテリでよい。外部から取り込んだ電力は、バッテリ71を充電するとともに、スイッチ72,73をそれぞれ経由して第1の電源部74と第2の電源部75に供給される。第1の電源部74は、昇降部76と姿勢変更部77に向けて電力を供給する。
【0042】
昇降部76は、図1に示す、ユーザインターフェース20の昇降用のモータ13や、その昇降用のモータ13の回転を制御する制御回路(不図示)から構成されている。この昇降部76を構成している制御回路は、モータ13の回転を、操作パネル30上に配置された昇降操作子80の操作に応じて制御する回路である。
【0043】
姿勢変更部77は、図3に示す継ぎ手50の関節51を動作させる6つのモータ51や、それらのモータ51を連繋して回転させることにより画像モニタ40を目的とする姿勢に向けて動かす制御回路から構成されている。この姿勢変更部77を構成する制御回路は、モータ51の回転を、操作パネル30上に配置された姿勢変更操作子90の操作に応じて制御する回路である。
【0044】
第2の電源部75は、この超音波診断装置100の、第1の電源部74が電力の供給を分担している昇降部76と姿勢変更部77を除く、他の全ての回路部78への電力の供給を担っている。
【0045】
この回路部78は、操作パネル30上に配置された多数の操作子31のうちの、昇降操作子80、姿勢変更操作子90、および、以下において説明する電源オン/オフ操作子32を除く、その他の多数の操作子からなる操作子群33の操作に応じて動作する。回路部78および操作子群33の詳細説明は省略する。
【0046】
バッテリ71から第2の電源部75への電源供給経路上に配置されたスイッチ73は、操作パネル30上の電源オン/オフ操作子32の操作による指示に従って動作する。すなわち、電源オン/オフ操作子32が電源オンの操作を受けると、スイッチ73が、バッテリ71からの電力を第2の電力部75に供給するように切り替えられ、電源オン/オフ操作子32が電源オフの操作を受けると、スイッチ73がバッテリ71と第2の電力部75とを繋ぐ電力供給路を遮断する。
【0047】
また、ここには、タイマ79が備えられている。このタイマ79は、電源オン/オフ操作子32が電源オフの操作を受けたことを契機として計時を開始し、タイムアップにより、バッテリ71と第1の電源部74とを繋ぐ電源供給路上に配置されているスイッチ72に、その電力供給路を遮断させる動作を行なう。このスイッチ72による、バッテリ71から第1の電源部74への電力供給路の接続は、スイッチ73と同様に、電源オン/オフ操作子32の電源オンの操作により行なわれる。
【0048】
すなわち、本実施形態の超音波診断装置100によれば、電源オン/オフ操作子32を操作して電源をオフにしても、タイマ79がタイムアップするまでの間、昇降部76および姿勢変更部77には電力が供給され続ける。また、ここには、バッテリ71が備えられているため、電源オン/オフ操作子32を操作して電源をオフにし、その後直ちに電源プラグをコンセントから抜いた場合であっても同様に、タイマ79がタイムアップするまでの間、昇降部76および姿勢変更部77に電力が供給され続ける。
【0049】
したがって、このタイマ79がタイムアップするまでの間、ユーザインターフェース20を最下位まで下降させ、また、画像モニタ40の姿勢を図2に示す収納姿勢に変更することができる。
【0050】
すなわち、本実施形態によれば、電源オフの操作の後であっても、あるいは電源プラグをコンセントから抜いた後であっても、ユーザインターフェース20の最も低い位置への下降と、画像モニタ40の収納姿勢への姿勢変更を行なうことができ、収納時の使い勝手を向上させている。
【0051】
図5は、昇降操作子の模式図である。
【0052】
ここでは、昇降操作子80は、上昇釦81と下降釦82と、収納釦83とから構成されている。上昇釦81は、この上昇釦81を指で押している間、ユーザインターフェース20を上昇させ、指を離した時点で上昇を停止させる釦である。また、下降釦82は、この下降釦82を指で押している間、ユーザインターフェース20を下降させ、指を離した時点で下降を停止させる釦である。さらに収納釦83は、この収納釦83を指で押すとユーザインターフェース20が下降を開始し、指を離してもユーザインターフェース20が最も低い位置に下降するまで、その下降が継続される釦である。
【0053】
なお、この収納釦83を備えずに上昇釦81と下降釦82のみとし、下降釦82を押し続けることでユーザインターフェース20を最も低い位置まで下降させる構成としてもよい。
【0054】
あるいは、収納釦83を備え、この収納釦83については、電源オフの操作を行なった後で初めて機能するようにしてもよい。こうすることで、使用時に誤ってこの収納釦83を押してしまい、ユーザインターフェース20が最も低い位置まで下降してしまうというトラブルを避けることができる。
【0055】
さらには、電源オフの時点で上昇釦81と下降釦82は機能を停止させ、電源オフの後は収納釦83のみ機能するようにしてもよい。ユーザインターフェース20の上昇、下降に関し、電源オフの後はユーザインターフェース20を最も低い位置に下降させること以外の動作は不要だからである。
【0056】
図6は、姿勢変更操作子の模式図である。
【0057】
この図6に示す姿勢変更操作子90は、前向き釦91、収納釦92、右向き釦93a、左向き釦93b、上向き釦94a、下向き釦94b、上昇釦95a、下降釦95b、前方釦96a、および後方釦96bの、合計10個の押釦から構成されている。これら10個の押釦のうち、収納釦92以外の各押釦は、押している間だけ、画像モニタ40をその押釦に応じた向きに姿勢や位置を変更させる押釦である。これに対し、収納釦92は、一旦押した後指を離しても、画像モニタ40が図2に示す収納姿勢となるまで動作が継続される釦である。
【0058】
ここで、その収納釦92を除く、前向き釦91、右向き釦93a、左向き釦93b、上向き釦94a、下向き釦94b、上昇釦95a、下降釦95b、前方釦96a、および後方釦96bは、それぞれ、指で押している間、画像モニタ40を、今の姿勢から、図1に示す前向きの姿勢となるように姿勢を変更する釦、右を向くように姿勢を変更する釦、左を向くように姿勢を変更する釦、上を向くように姿勢を変更する釦、下を向くように姿勢を変更する釦、上方に移動させる釦、下方に移動させる釦、前方に移動させる釦、および後方に移動させる釦である。
【0059】
なお、収納釦92を省略し、他の押釦を操作して画像モニタ40を図2に示す収納姿勢に変更する構成としてもよい。
【0060】
あるいは、図5に示す昇降操作子80を構成する収納釦83と、この図6に示す姿勢変更操作子90を構成する収納釦92とを別々に備える代わりに、1つの押釦とし、その押釦を押すことで、ユーザインターフェース20を最も低い位置まで下げる動作と画像モニタ40の姿勢を収納姿勢に変更する動作との双方の動作を行なわせてもよい。
【0061】
さらには、1つの押釦とするか別々の収納釦とするかに拘らず、その収納釦による収納姿勢への姿勢変更は電源オフの操作を行なった後に初めて機能するようにしてもよい。これも、昇降操作子80を構成する収納釦83の場合と同様、実使用時に画像モニタの姿勢が不用意に収納姿勢に変更されるのを防止するためである。あるいは、収納釦92についても、他の押釦と同様に、押している間だけ動作させる構成としてもよい。さらには、これも昇降操作子80の場合と同様、この姿勢変更操作子90に関しても、電源オフの後は、収納釦92のみ機能させてもよい。画像モニタ40の姿勢に関し、電源オフの後は、収納姿勢に変更させること以外の動作は不要だからである。
【0062】
なお、上述の実施形態では、画像モニタ40を姿勢変更操作子90の操作に応じて全ての姿勢に変更できる構成としているが、図2に示す収納姿勢に戻すときのみ操作子を操作し、その収納姿勢から他の姿勢に変更するときは、画像モニタ40や継ぎ手50に直接に手で触れて姿勢を変更する構成としてもよい。
【0063】
また、上述の実施形態では、バッテリ71を備えているが、バッテリ71を備えずに、電源オフの後、電源プラグがコンセントに差し込まれていることを条件に、最も低い位置への下降や収納姿勢への変更を可能としてもよい。
【0064】
あるいは、バッテリ71を備えた場合であっても、第1の電源部74と第2の電源部75とのうち、バッテリ71を介して電力を供給するのは第1の電源部74のみとし、第2の電源部75については、コンセントから受け取った電力を、バッテリ71を介さずに供給する構成としてもよい。
【0065】
また、上述の実施形態では、タイマ79を備えて電源オフの後のタイムアップまでの時間内に限り、第1の電源部74に電力を供給する構成としているが、タイマ79を備えずに、電源オフの後の最も低い位置への下降や収納姿勢への変更を、バッテリ71に充電しておいた電力が尽きるまで、あるいはバッテリ71も備えていない場合は、電源プラグがコンセントから抜かれるまで、可能としてもよい。
【0066】
また、ここでは、超音波診断装置100を取り挙げて説明したが、本発明は、超音波診断装置以外の可搬形医療機器にも適用可能である。例えば、自転車のペダル踏み運動を行なうエルゴメータや屋内でウォーキングやランニングを行なうトレッドミルなどで人体に運動負荷をかけながら心電図検査を行なうストレステストシステムなどにも本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0067】
10 装置本体
11 キャスター
12 把っ手
13 昇降用のモータ
14 昇降機構
15 超音波プローブ
16 ケーブル
20 ユーザインターフェース
30 操作パネル
40 画像モニタ
50 継ぎ手
51 関節
52 モータ
71 バッテリ
72,73 スイッチ
74 第1の電源部
75 第2の電源部
76 昇降部
77 姿勢変更部
78 回路部
79 タイマ
80 昇降操作子
81 上昇釦
82 下降釦
83 収納釦
90 姿勢変更操作子
91 前向き釦
92 収納釦
100 超音波診断装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6