【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 公開者:白水 重徳、瀬野 ゆめか、村田 恵美子、飛岡 健、正木 健雄、安松 聖高、三島 徳雄、菅野 久信 ウェブサイトのアドレス: http://dx.doi.org/10.4172/2380−5439.1000130 ウェブサイトの掲載日: 平成27年8月20日 発行者名:IEEE刊行物名:37th Annual International Conference of the IEEE Engineering in Medicine and Biology Society 予稿集、第6437頁〜第6440頁 発行年月日:平成27年8月25日 公開場所:37th Annual International Conference of the IEEE Engineering in Medicine and Biology Society、ミラノ、イタリア 公開者:白水 重徳、瀬野 ゆめか、飛岡 健、正木 健雄、安松 聖高、三島 徳雄、菅野 久信 公開日(発表日):平成27年8月25日〜29日(平成27年8月28日) 発行者名:株式会社人間と科学の研究所 BIT研究所 刊行物名:自分(家族)が主治医の時代、第99頁〜第104頁 発行年月日:平成27年9月18日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記状態検出部が、複数の前記係数算出期間を含む状態判定期間における複数の前記RR間隔変動係数の最大値を第1ストレス状態判定基準値と比較することにより前記被検者のストレス状態を検出する請求項1に記載の心身状態診断支援装置。
前記表示部が、前記ストレス自己評価値および前記RR間隔変動係数の最大値を座標とする点を二次元平面上にプロットしたストレス診断プロット図を表示する請求項4に記載の心身状態診断支援装置。
前記表示部が、前記RR間隔変動係数の最大値の座標軸上で前記第1ストレス状態判定基準値を通りかつ前記ストレス自己評価値の座標軸と平行な第1基準線、および、前記ストレス自己評価値の座標軸上で前記第2ストレス状態判定基準値を通りかつ前記RR間隔変動係数の最大値の座標軸と平行な第2基準線の少なくとも一方を前記ストレス診断プロット図に重ねて表示する請求項5に記載の心身状態診断支援装置。
前記状態検出部が、前記係数算出期間における前記RR間隔変動係数を糖尿状態判定基準値と比較することにより前記被検者の糖尿状態も検出する請求項2に記載の心身状態診断支援装置。
前記状態検出部が、前記状態判定期間における複数の前記RR間隔変動係数の最大値を糖尿状態判定基準値と比較することにより前記被検者の糖尿状態も検出する請求項3に記載の心身状態診断支援装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ストレスがあるとは何かが、明確にされていない。この為に、心拍変動や脈拍変動を測定し、自律神経活動を評価しようとした研究・装置は、この20年間にあまた提唱されてきたが有効なものとはなっていない。例えば、特許文献1に開示されている生体情報取得装置は、搏動間隔のゆらぎの低周波成分LFと高周波成分HFとの比(LF/HF)を算出して、この比を基準値と比較することによりストレス度を判定しているものである。しかしながら、このような方法は、有効な評価法にはなっていない。
【0007】
本発明は上述のような事情によりなされたものであり、本発明の目的は、被検者のストレス状態をより精度良く検出できるように支援する心身状態診断支援装置、および、この心身状態診断支援装置を備えた生体情報管理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
例えば、医療、介護、保育、幼児教育といった職域では、ストレスによる退職人数が多く、臨床心理士等が介入しているが、効果的な成果はあがっていないという実情がある。本発明者らは、このような実情に鑑み、ある職場においてストレスによる退職人数を低減させるという具体的な課題を解決する為の検討を通じて、ストレスとは何かを明確にし、評価法を確立した。ストレスには2種類ある。日々の対人的、社会的、物理的刺激によるストレスと、ある条件の下でそれが蓄積する事でおこる自律神経活動の健康度の低下を伴うストレスである。後者は、うつ状態や循環器疾患へとつながる。一方、職場でおこるストレスによる退職等のストレスは前者である。従来の問診票を用いたストレスチェックは、後者のみを対象としている。
【0009】
日々のストレスは、心拍変動(脈拍変動)のゆらぎの低周波成分LFと高周波成分HFとの比(LF/HF)として得られる交感神経活動の値に表れるが、この値は時々刻々と変化するものである。そのため、上記特許文献1のようにいつ測定してもよいものではなく、ストレスを感じている瞬間に測定する必要があり、このために、人の生活行動を妨げない非拘束の長時間測定が可能な装置を発明者らは開発した。そして多人数の被検者について交感神経活動を含む生体情報を測定してそれらを鋭意検討した結果、本発明を見いだした。
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の一態様は、(1)時系列的に検出された被検者の生体情報が入力される生体情報入力部と、前記生体情報入力部に入力された前記生体情報に基づいて前記被検者のストレス状態を検出する状態検出部と、前記状態検出部で検出された前記被検者のストレス状態を表示する表示部と、を有し、前記生体情報入力部には、前記被検者の心臓の動きに応じた心動情報を含む前記生体情報が入力され、前記状態検出部が、前記心動情報から前記被検者の心臓の収縮間隔であるRR間隔を算出し、係数算出期間における前記RR間隔の標準偏差を当該係数算出期間における前記RR間隔の平均値で割ることにより算出したRR間隔変動係数を用いて前記被検者のストレス状態を検出
し、前記状態検出部が、前記係数算出期間における前記被検者の交感神経の活動状態を示す交感神経情報をさらに算出し、前記表示部が、複数の前記係数算出期間を含むプロット期間におけるそれぞれの前記係数算出期間に対応して算出された前記RR間隔変動係数および前記交感神経情報を座標とする複数の点を二次元平面上にプロットした自律神経活動プロット図を表示し、前記表示部が、前記被検者の複数の生活時間帯に対応する複数の前記プロット期間のそれぞれにおける複数の前記自律神経活動プロット図を表示することを特徴とする心身状態診断支援装置である。
【0011】
本発明によれば、RR間隔変動係数を用いることにより、自律神経全体の活動状況を含めてストレス状態を検出することができるので、被検者のストレス状態をより精度良く検出することができる。
また、RR間隔変動係数に加えて交感神経情報も用いることで、より精度良くストレス状態を検出でき、視覚的に表示することができる。
また、生活時間帯毎のストレス状態を検出することができ、被検者の生活活動をより反映したストレス状態を検出することができる。
【0012】
本発明では、(2)前記生体情報入力部には、前記係数算出期間にわたり前記被検者に人為的にストレスが加えられた状態での前記生体情報が入力され、前記状態検出部が、前記係数算出期間における前記RR間隔変動係数を第1ストレス状態判定基準値と比較することにより前記被検者のストレス状態を検出するようにしてもよい。このようにすることで、例えば、2分間などの比較的短い時間に人為的にストレスを加えられることにより被検者の生活活動におけるストレス状態が近似的に再現され、そのような状態で検出された生体情報を用いてストレス状態を検出することにより、短時間でより精度良くストレス状態を検出できる。
【0013】
本発明では、(3)前記状態検出部が、複数の前記係数算出期間を含む状態判定期間における複数の前記RR間隔変動係数の最大値を第1ストレス状態判定基準値と比較することにより前記被検者のストレス状態を検出するようにしてもよい。このようにすることで、例えば、1日などの比較的長い時間を通して検出された生体情報を用いてストレス状態を検出することにより、そのような生体情報には被検者の生活活動がより正確に反映されているので、より精度良くストレス状態を検出できる。
【0014】
本発明では、(4)前記生体情報入力部には、前記被検者のストレス自己評価値がさらに入力され、前記状態検出部が、複数の前記係数算出期間を含む状態判定期間における複数の前記RR間隔変動係数の最大値を第1ストレス状態判定基準値と比較するとともに、前記ストレス自己評価値を第2ストレス状態判定基準値と比較することにより前記被検者のストレス状態を検出するようにしてもよい。このようにすることにより、RR間隔変動係数の最大値に加えて、ストレス自己評価値も用いることで、より精度良くストレス状態を検出することができる。
【0015】
本発明では、(5)前記表示部が、前記ストレス自己評価値および前記RR間隔変動係数の最大値を座標とする点を二次元平面上にプロットしたストレス診断プロット図を表示するようにしてもよい。このようにすることで、ストレス状態を視覚的に把握できる。
【0016】
本発明では、(6)前記表示部が、前記RR間隔変動係数の最大値の座標軸上で前記第1ストレス状態判定基準値を通りかつ前記ストレス自己評価値の座標軸と平行な第1基準線、および、前記ストレス自己評価値の座標軸上で前記第2ストレス状態判定基準値を通りかつ前記RR間隔変動係数の最大値の座標軸と平行な第2基準線の少なくとも一方を前記ストレス診断プロット図に重ねて表示するようにしてもよい。このようにすることで、プロット図上の点が、第1基準線および第2基準線の少なくとも一方と視覚的に比較でき、ストレス状態をより視覚的に把握できる。特に、第1基準線および第2基準線の両方を表示することで、これら第1基準線および第2基準線で区画される複数の象限のどこに含まれるかによって、ストレス状態をより視覚的に把握できる。
【0017】
本発明では、(7)前記第1ストレス状態判定基準値が、0.04であることが好ましい。この第1ストレス状態判定基準値は、ストレス状態が既知である複数の被検者において検出したRR間隔変動係数から得られたものであるので、より精度良くストレス状態を検出することができる。
【0018】
本発明では、(8)前記状態検出部が、前記係数算出期間における前記RR間隔変動係数を糖尿状態判定基準値と比較することにより前記被検者の糖尿状態も検出するようにしてもよい。このようにすることで、ストレス状態に加えて、糖尿状態も検出できる。
【0019】
本発明では、(9)前記状態検出部が、前記状態判定期間における複数の前記RR間隔変動係数の最大値を糖尿状態判定基準値と比較することにより前記被検者の糖尿状態も検出するようにしてもよい。例えば、1日などの比較的長い時間を通して検出された生体情報を用いて糖尿状態を検出することにより、そのような生体情報には被検者の生活活動がより正確に反映されているので、より精度良く糖尿状態を検出できる。
【0020】
本発明では、(10)前記糖尿状態判定基準値が、0.022であることが好ましい。この糖尿状態判定基準値は、糖尿状態が既知である複数の被検者において検出したRR間隔変動係数から得られたものであるので、より精度良く糖尿状態を検出することができる。
【0021】
本発明では、(11)
前記表示部が、前記自律神経活動プロット図において、前記RR間隔変動係数がしきい値以下の前記点と、前記RR間隔変動係数が前記しきい値より大きい前記点とを異なる色で表示するようにしてもよい。
また、前記表示部が、前記自律神経活動プロット図において、前記RR間隔変動係数がしきい値以下の前記点を薄い色で表示し、前記RR間隔変動係数が前記しきい値より大きい前記点を濃い色で表示するようにしてもよい。
また、前記しきい値が0.05であることが好ましい。
【0022】
本発明では、(12)前記表示部が、前記被検者の複数の生活時間帯に対応する複数の前記プロット期間のそれぞれにおける複数の前記自律神経活動プロット図を表示するようにしてもよい。このようにすることで、生活時間帯毎のストレス状態を検出することができ、被検者の生活活動をより反映したストレス状態を検出することができる。
【0023】
上記目的を達成するために、本発明の他の一態様は、(13)時系列的に検出された被検者の生体情報が入力される生体情報入力部と、前記生体情報入力部に入力された前記生体情報に基づいて前記被検者のストレス状態を検出する状態検出部と、前記状態検出部で検出された前記被検者のストレス状態を表示する表示部と、を有し、前記生体情報入力部には、前記被検者の心臓の動きに応じた心動情報を含む前記生体情報が入力され、前記状態検出部が、前記心動情報から前記被検者の心臓の収縮間隔であるRR間隔を算出し、係数算出期間における前記RR間隔を用いて前記被検者の交感神経の活動状態を示す交感神経情報および副交感神経の活動状態を示す副交感神経情報を算出し、前記表示部が、複数の前記係数算出期間を含むプロット期間におけるそれぞれの前記係数算出期間に対応して算出された前記副交感神経情報および前記交感神経情報を座標とする複数の点を二次元平面上にプロットした自律神経バランスプロット図を表示することを特徴とする心身状態診断支援装置である。
【0024】
本発明によれば、交感神経情報および副交感神経情報を用いることにより、自律神経全体の活動状況を含めてストレス状態を検出することができるので、被検者のストレス状態をより精度良く検出することができる。
【0025】
本発明では、(14)前記状態検出部が、前記自律神経バランスプロット図の複数の点を含むプロット形状の面積を用いて前記被検者のストレス状態を検出するようにしてもよい。このようにすることで、自律神経全体の活動状況からストレス状態を検出することができる。
【0026】
本発明では、(15)前記状態検出部が、前記自律神経バランスプロット図の複数の点を含むプロット形状の座標軸方向の大きさを用いて前記被検者のストレス状態を検出するようにしてもよい。このようにすることで、交感神経または副交感神経の個別の活動状況およびこれらの活動状況のバランスからストレス状態を検出することができる。
【0027】
本発明では、(16)前記状態検出部が、前記自律神経バランスプロット図の複数の点を含むプロット形状と座標軸との間の距離を用いて前記被検者のストレス状態を検出するようにしてもよい。このようにすることで、交感神経および副交感神経の活動状況のオフセット状態からストレス状態を検出することができる。
【0028】
本発明では、(17)前記状態検出部が、前記自律神経バランスプロット図の複数の点を含むプロット形状の周縁の滑らかさを用いて前記被検者のストレス状態を検出するようにしてもよい。このようにすることで、自律神経の乱れ具合からストレス状態を検出することができる。
【0029】
本発明では、(18)前記表示部が、前記被検者の複数の生活時間帯に対応する複数の前記プロット期間のそれぞれにおける複数の前記自律神経バランスプロット図を表示するようにしてもよい。このようにすることで、生活時間帯毎のストレス状態を検出することができ、被検者の生活活動をより反映したストレス状態を検出することができる。
【0030】
本発明では、(19)前記複数の生活時間帯が、在床時間、出社前時間、在社時間および退社後時間であるようにしてもよい。このようにすることで、家での生活活動および会社での生活活動のそれぞれのストレス状態を検出することができる。
【0031】
上記目的を達成するために、本発明の他の一態様は、(20)時系列的に検出された被検者の生体情報が入力される生体情報入力部と、前記生体情報入力部に入力された前記生体情報に基づいて前記被検者のストレス状態を検出する状態検出部と、前記状態検出部で検出された前記被検者のストレス状態を表示する表示部と、を有し、前記生体情報入力部には、前記被検者の心臓の動きに応じた心動情報を含む前記生体情報が入力され、前記状態検出部が、前記心動情報から前記被検者の心臓の収縮間隔であるRR間隔を算出し、活動状態検出期間における前記RR間隔を用いて前記被検者の交感神経の活動状態を示す交感神経情報を算出し、そして、複数の前記活動状態検出期間を含む状態判定期間におけるそれぞれの前記活動状態検出期間に対応して算出された複数の前記交感神経情報の最大値および第3四分位数を用いてストレス状態を検出することを特徴とする心身状態診断支援装置である。
【0032】
本発明によれば、複数の活動状態検出期間を含む状態判定期間におけるそれぞれの活動状態検出期間に対応して算出された複数の交感神経情報の最大値および第3四分位数を用いてストレス状態を検出する。このようにすることで、被検者のストレス状態をより精度良く検出することができる。
【0033】
本発明では、(21) 前記状態検出部が、複数の前記交感神経情報の最大値が25以上でかつ第3四分位数が5以上のとき、前記被検者がストレスを抱えていると判定することが好ましい。このようにすることで、ストレス状態をより効果的に検出することができる。
【0034】
本発明の他の一態様は、(22)上記心身状態診断支援装置と、生体情報検出装置と、を備え、前記生体情報検出装置が、前記被検者の前記心動情報を含む生体情報を検出する、前記被検者の胴体に装着可能な携帯型の生体情報検出装置本体を有し、前記生体情報入力部には、前記生体情報検出装置本体で検出された前記生体情報が入力されることを特徴とする生体情報管理システムである。
【0035】
本発明によれば、被検者の胴体に装着可能な携帯型の生体情報検出装置本体が検出した生体情報を用いるので、普段の生活活動において生体情報を検出することができ、そのため、このような生体情報により普段の生活活動におけるストレス状態を検出することができる。
【発明の効果】
【0036】
本発明によれば、被検者のRR間隔から算出したRR間隔変動係数、交感神経の活動状態を示す交感神経情報または副交感神経の活動状態を示す副交感神経情報を用いてストレス状態を検出しているので、被検者のストレス状態をより精度良く検出できる。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下に、本発明の実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。
【0039】
(第1実施形態)
以下に、本発明の第1実施形態にかかる生体情報管理システムについて説明する。
【0040】
生体情報管理システムは、被検者のストレス状態を管理するシステムであり、
図1に示すように、生体情報検出装置1と、心身状態診断支援装置30とを備えている。
【0041】
まず、生体情報検出装置1の構成および動作について説明する。
【0042】
図2は生体情報検出装置1の構成例を示すブロック図である。
【0043】
生体情報検出装置1は、携帯型の生体情報検出装置本体10と載置台20を有している。生体情報検出装置本体10は被検者の胴体に装着され、好ましくは胸部に装着される。生体情報検出装置本体10は生体情報検出部100を有しており、生体情報検出部100は、体温センサ110、加速度センサ120および心電信号センサ130を有している。
【0044】
体温センサ110は、被検者の表皮温度を測定し、所定の間隔で体温データTを出力する。加速度センサ120は、被検者の3次元の動きを検出し、X方向、Y方向およびZ方向の加速度データα=(αx,αy,αz)を所定の間隔で出力する。ここで、αxはX方向の加速度、αyはY方向の加速度、αzはZ方向の加速度である。
【0045】
心電信号センサ130は2つの電極を有しており、被検者の心電信号を検出するために、それぞれの電極を被検者の身体に接触させて電位(電位信号)を測定し、測定された2つの電位の差を所定の間隔で心電信号データEとして出力する。なお、電極は3つ以上でもよく、その場合、算出される電位差は複数となる。測定される電位信号は微弱であり、心電信号センサ130内部の増幅器等で増幅されるので、ノイズの影響を受けやすい。よって、ノイズの影響を低減しS/N比を向上させるために、電極や増幅器等は近接して配置される。電極と第1段目の増幅器との間の配線長は2cm以下であることが好ましい。心電信号データEは、被検者の心臓の動きに応じた電位信号であり、即ち心動情報に相当する。心電信号データEに代えて、例えば、近赤外線を用いた脈拍センサにより検出した脈拍データを用いてもよい。この場合、脈拍データが心動情報に相当する。
【0046】
なお、体温データTを出力する間隔、加速度データαを出力する間隔および心電信号データEを出力する間隔は、3つとも同じ値でも違う値でもよい。例えば、表皮温度は通常変動が小さいので、体温データTを出力する間隔を他よりも長く設定してもよい。これにより、取得するデータ量を削減することができる。また、体温データTを出力する間隔、加速度データαを出力する間隔および心電信号データEを出力する間隔を、固定値ではなく変更可能としてもよい。運動直後等の値の変動が大きいと想定される時は出力する間隔を短くする等の調整を行うことにより、体調に合わせた適切な生体情報の取得が可能となる。
【0047】
生体情報検出部100から出力された体温データT、加速度データαおよび心電信号データE(これらをまとめて生体情報データBDと総称する)は、制御部140に入力される。制御部140は、入力された体温データT、加速度データαおよび心電信号データEを、データ毎に予め設定されたメモリ150内の領域にそれぞれ格納する。なお、生体情報データBDのメモリ150への格納方法は、データ毎に予め設定された領域に格納する方法に限られるのではなく、領域を設定せず、各データを区別する識別子を体温データT、加速度データαおよび心電信号データEにそれぞれ付加し、その識別子とともにメモリ150に格納する方法等でもよい。
【0048】
生体情報を検出する際に生体情報を外部に送信する設定(以下、同時送信設定と称する)にしている場合は、制御部140は生体情報データBDを送信部160に出力する。送信部160は、入力された生体情報データBDを心身状態診断支援装置30が受信可能な形式に変換し、生体情報信号BS1として無線送信する。無線送信の方式として、ワイファイ(Wi−Fi)方式やブルートゥース(Bluetooth(登録商標))方式等を使用する。なお、生体情報検出装置本体10が生体情報を検出する際に生体情報を常に外部に送信する構成を採用してもよい。この構成の場合、メモリ150を省略してもよい。
【0049】
なお、生体情報検出部100が生体情報を測定する時間を体温センサ110、加速度センサ120および心電信号センサ130毎に変更可能としてもよい。これにより、検出に多くの電力を必要とする生体情報の測定時間は短くする、体調が良くない時の測定時間は長くする等の柔軟な対応を取ることができる。
【0050】
ここで、生体情報検出装置本体10を充電する際の動作について説明する。
【0051】
図2に示されるように、生体情報検出装置本体10は充電入力部170を有し、載置台20は充電出力部200を有している。生体情報検出装置本体10を載置台20に載置し、充電入力部170と充電出力部200を近接させると、生体情報検出装置本体10が必要とする電力が電磁誘導を利用した方式(電磁誘導方式)により供給される。即ち、充電入力部170と充電出力部200はそれぞれコイルを有しており、充電出力部200のコイルに電流が流れると磁束が発生し、その磁束に誘導されて、充電入力部170のコイルに電流が流れ、充電が行われる。なお、非接触充電方式として、電磁誘導方式ではなく、共鳴方式等を使用してもよい。また、生体情報検出装置本体10が有する充電される電源としては、ニッケルカドミウム電池、リチウムイオン電池等の二次電池やスーパーキャパシタ(電気二重層コンデンサ)等を使用する。
【0052】
載置台20は、生体情報検出装置本体10の送信部160から無線送信される生体情報信号を受信し外部に無線送信する通信部210も有しており、生体情報検出装置本体10が充電される際に、送信部160から生体情報信号を受信し、外部に無線送信する。
【0053】
即ち、電磁誘導により充電が開始されると、充電入力部170は充電開始信号CSを制御部140に出力し、制御部140は、充電開始信号CSを入力すると、メモリ150に格納された生体情報データBDを送信部160に出力する。送信部160は入力された生体情報データBDを通信部210が受信可能な形式に変換し、生体情報信号BS2として無線送信する。通信部210は生体情報信号BS2を受信し、心身状態診断支援装置30が受信可能な形式に変換し、生体情報信号BS3として無線送信する。なお、この時に送信部160および通信部210が使用する無線送信方式としては、ワイファイ(Wi−Fi)方式やブルートゥース(Bluetooth(登録商標))方式等を使用し、生体情報信号BS2に変換するために使用する方式は、生体情報信号BS1やBS3に変換するために使用する方式と同じ方式でも違う方式でもよい。ただ、生体情報信号BS2が無線送信される時は、送信部160と通信部210は近接しているので、近距離通信方式を使用すれば、消費電力を抑えることができる。
【0054】
このように、非接触充電方式で充電し、充電時の生体情報の送受信は無線で実施することにより、外部接続用の入出力端子が不要となり、防水性を高くすることができる。
【0055】
なお、載置台20の通信部210は、有線通信により外部に生体情報信号BS3を送信してもよい。また、生体情報検出装置本体10が充電入力部170に電力を供給するための充電端子を備えた構成を採用してもよく、例えば、充電端子にUSBコネクタを採用して、USBケーブルを用いて充電可能としてもよい。この場合、載置台20は省略される。また、生体情報検出装置本体10を一次電池(コイン型電池等)で動作させることにより、充電機構を省略してもよい。
【0056】
本実施形態において、生体情報検出装置本体10の送信部160、載置台20の通信部210および後述する睡眠状態検出装置30の生体情報入力部300は、互いに無線通信により生体情報信号を送受信するものであったが、これに限定されるものではない。例えば、生体情報検出装置本体10の送信部160と睡眠状態検出装置30の生体情報入力部300との間でUSBインタフェースを採用してメモリ150に格納した生体情報を有線通信により送受信してもよく、本発明の目的に反しない限り、それぞれの機能部間の通信方式(有線/無線、通信プロトコル等)は任意である。
【0057】
図3は、制御部140の構成例を示すブロック図であり、
図4は制御部140の動作例を示すフローチャートである。
【0058】
図3に示されるように、制御部140は、データ処理部141、モード設定部142、切替部143およびデータ読出部144で構成されている。データ処理部141は、生体情報検出部100から出力される生体情報データBD(体温データT、加速度データα、心電信号データE)を読み取り、メモリ150および切替部143に出力する。モード設定部142は、生体情報検出装置本体10の充電が開始される時に充電入力部170が出力する充電開始信号CSを入力する。そして、モード設定部142は、充電開始信号CSの入力の有無と同時送信設定のON/OFFの情報を基に、生体情報データBDの出力モードを決定し、モード信号MSとして出力する。即ち、充電開始信号CSの入力有りの時は「メモリデータ出力モード」にし、充電開始信号CSの入力なしで同時送信設定ONの時は「同時送信モード」にし、充電開始信号CSの入力なしで同時送信設定OFFの時は「無出力モード」にする。モード信号MSは切替部143に入力される。データ読出部144も充電開始信号CSを入力し、充電開始信号CSを入力したら、メモリ150に格納されている生体情報データBDを読み出し、切替部143に出力する。
【0059】
図4のフローチャートを参照して、制御部140の動作例を説明する。
【0060】
生体情報検出部100から出力された生体情報データBDをデータ処理部141が読み取る(ステップS1)。読み取られた生体情報データBDはメモリ150に格納され(ステップS2)、同時に、切替部143の接点143aに入力される。
【0061】
そして、モード設定部142から出力されるモード信号MSが「同時送信モード」ならば、切替部143は接点143aに接続し、生体情報データBDが送信部160に出力される(ステップS3)。モード信号MSが「無出力モード」ならば、切替部143はどちらの接点にも接続せず、生体情報データBDは出力されない。モード信号MSが「メモリデータ出力モード」ならば、切替部143は接点143bに接続する。この時、充電開始信号CSがデータ読出部144に入力されることによりデータ読出部144がメモリ150に記憶された生体情報データBDを読み出し(ステップS4)、切替部143の接点143bに出力するので、メモリ150に格納された生体情報データBDが送信部160に出力される(ステップS5)。
【0062】
生体情報検出装置本体10は、例えば、被検者の生活活動をより正確に反映した生体情報を検出するために、少なくとも24時間にわたり生体情報(生体情報データBD)を検出できることが好ましい。
【0063】
次に、心身状態診断支援装置30の構成および動作について説明する。
【0064】
図1に示されるように、心身状態診断支援装置30は、生体情報入力部300、メモリ310、状態検出部320および表示部330で構成されている。
【0065】
生体情報入力部300は、生体情報検出装置本体10の送信部160から送信された生体情報信号BS1および載置台20の通信部210から送信された生体情報信号BS3を受信し、生体情報データBDの形式に戻して、メモリ310に格納する。メモリ310への格納方法としては、メモリ150への格納方法と同様に、体温データT、加速度データαおよび心電信号データE毎に予め設定された領域に格納する方法でも、各データを区別する識別子を各データに付加し、その識別子とともに格納する方法等でもよい。生体情報検出装置本体10が生体情報を検出する際に生体情報を常に外部に送信する構成を採用している場合、生体情報入力部300は、生体情報検出装置本体10の送信部160から送信された生体情報信号BS1のみ受信する構成となる。
【0066】
また、生体情報入力部300は、例えば、スマートホンやタブレット端末、パソコンなどの情報端末から送信されたストレス自己評価値を受信する。このストレス自己評価値とは、例えば、被検者が問診票に回答することにより算出される自己のストレス状態を示す数値したものである。一例として、上記情報端末では、問診票として、「最近気分がすぐれない」、「はっきりした原因はないが不安になることがある」などの質問事項を表示する。被検者は各質問事項に対する回答を「よくあてはまる」、「かなりあてはまる」、「ややあてはまる」、「あてはまらない」から選択して情報端末に入力する。情報端末は、これら回答に設定された点数を集計して、ストレス自己評価値を算出し、例えば、無線通信などにより生体情報入力部300に送信する。問診票は、紙に質問事項が記載されたものでもよく、回答を人手で集計して、集計した点数を上記情報端末に入力し、生体情報入力部300に送信する構成を採用してもよい。
【0067】
生体情報検出装置1による被検者の生体情報の検出が終了し、取得された生体情報データBDが全てメモリ310に格納されたら、状態検出部320は、メモリ310に格納された生体情報データBDを読み出し、それらを用いて被検者のストレス状態に関する解析データASを算出する、つまり、被検者のストレス状態を検出する。解析データASとして算出される情報は、異常波形情報、心拍数、瞬間心拍数、RR間隔の標準偏差、RR間隔の平均値、RR間隔変動係数(「自律神経活動度」ともいう。)、交感神経情報、副交感神経情報、姿勢情報、入床時刻、離床時刻および体温である。
【0069】
メモリ310から読み出された生体情報データBD中の心電信号データEは、
図5に示すような心電波形を形成する。この心電波形に関して、心拍の1拍分の基本波形は
図6(A)のような波形となっており、波形の山と谷の箇所は、
図6(A)に示されるように、P波、Q波、R波、S波およびT波と呼ばれている。心電信号データEより形成される心電波形の中に、この基本波形と大きく形が異なる箇所を発見したら、異常波形ありとの判定結果を、その発見された箇所の情報(時刻等)とともに異常波形情報とする。基本波形と大きく形が異なる箇所がなければ、異常波形なしとの判定結果を異常波形情報とする。基本波形と大きく形が異なる波形としては、例えば
図6(B)のようにT波がR波と重なり、なくなってしまったような波形である。このような波形は、心電波形からP波、Q波、R波、S波およびT波を抽出し、T波の有無により発見することができる。
【0070】
心電波形からR波を抽出し、1分間毎に抽出されたR波の数を心拍数とするとともに、隣り合う2つのR波の間隔(RR間隔)を算出して、RR間隔の逆数を瞬間心拍数とする。瞬間的に自律神経の動きに変化が生じた時、瞬間心拍数は即座に対応して変化するので、瞬間心拍数を算出することにより自律神経の動きを解析することができる。心拍数および瞬間心拍数は時系列の情報(一定時間間隔で算出されたデータの並びとなっている情報)となる。
【0071】
所定の係数算出期間(例えば2分間)毎にRR間隔の標準偏差およびRR間隔の平均値を算出し、このRR間隔の標準偏差をRR間隔の平均値で割ったRR間隔変動係数(Coefficient of Variation of RR−interval:CVRR)を算出する。自律神経活動の健康度は、RR間隔変動係数(CVRR)を用いて評価できるが、単にこの係数を用いただけでは精度にかけるものであった。というのも、生体情報の測定状況を限定せずに短時間で測定した生体情報を用いてこの係数を算出していたからである。本発明者らは、多数の被検者で、繰り返し長時間の測定を行うことで、RR間隔変動係数も時々刻々と変化し、ある期間での中央値をパラメータとしても、中央値も疲労や眠気等により低下することを見出し、さらに、覚醒時間全体を複数の領域に分け、それぞれの中央値を求め、その最大値をパラメータとして判定すれば、従来の問診票よりも、精度よく判定できることを見出した。本発明者らは、更に、多数の測定を行い、問診票からの判定の点数と2次元プロットを行う事で、自律神経活動が健康か、そうでないかを判定するしきい値が0.04である事を見いだした。
【0072】
RR間隔変動係数(CVRR)は、自律神経活動の健康度以外にも、糖尿状態の判定や、その他の自律神経に関連する疾患のスクリーニング手段として使用されているが、これまでは、いずれも、測定状況を限定せずに短時間で測定された生体情報を用いてこの係数を算出しており、上に述べたような理由により精度に欠けるものであった。我々の手法を使用すれば、より正確なスクリーニングができる。
【0073】
RR間隔を用いて、交感神経情報および副交感神経情報を算出する。通常、RR間隔は周期的に変動しており、この変動のパターンには自律神経(交感神経(Sympathetic Nervous System:SNS)、副交感神経(Para−SNS:PSNS))の機能と関わるところがあるとの知見があるので、RR間隔の変動を解析することにより、自律神経に関する情報を得ることができる。時間を横軸としてRR間隔の差ΔRRをプロットすると、例えば
図7のような波形(RR間隔の変動量の時間変化波形)になるので、この波形を周波数分析して、低周波成分および高周波成分の周波数成分を算出することにより、自律神経に関する情報である交感神経情報および副交感神経情報を算出する。交感神経情報は、被検者の交感神経の活動状態を示す指標であり、副交感神経情報は被検者の副交感神経の活動状態を示す指標である。例えば0.04Hz以上でかつ0.15Hz未満を低周波成分LF、0.15Hz以上でかつ0.4Hz未満を高周波成分HFとして、それぞれの帯域の周波数成分を所定の活動状態検出期間(例えば2分間)毎に算出し、低周波成分LFを副交感神経情報、低周波成分LFと高周波成分HFの比率(LF/HF)を交感神経情報とする。これは、一般的に交感神経は心臓の拍動を促進し、副交感神経は心臓の拍動を抑制すると言われていることに基づいての算出である。交感神経情報および副交感神経情報は時系列の情報となる。
【0074】
姿勢情報は、メモリ310から読み出された生体情報データBD中の加速度データα=(αx,αy,αz)と、加速度データαを積分して算出される速度データV=(Vx,Vy,Vz)を用いて算出される。ここで、VxはX方向の速度、VyはY方向の速度、VzはZ方向の速度で、それぞれαx、αyおよびαzを積分することにより算出される。
【0075】
姿勢情報は、被検者の姿勢が立座(立位、座位)、仰臥位(あおむけ)、伏臥位(うつぶせ)、右側臥位(右側を下にした姿勢)および左側臥位(左側を下にした姿勢)のいずれの状態となっているかを判別した結果で、速度データVおよび加速度データαから判別される。即ち、臥位(寝た状態)での身体の身長方向をX方向、立位(立った状態)での身体の身長方向をZ方向とした場合、Z方向への加速度の増加および一定時間の速度の発生により立座から臥位または臥位から立座への変化を検知し、臥位においてY方向およびZ方向での加速度増加の有無および速度発生時間により仰臥位、伏臥位、右側臥位または左側臥位への変化を検知する。姿勢情報は時系列の情報となる。
【0076】
入床時刻は、姿勢情報により立座から臥位(寝た状態)に変化したことを検出した時刻である。離床時刻は、姿勢情報により、立座から臥位(寝た状態)に変化したことを検出した時刻である。被検者が離床している期間とは、離床時刻から次の入床時刻までの期間である。
【0077】
本実施形態では、加速度センサ120が検出する加速データαを用いて被検者の姿勢を自動的に検出するので、生体情報検出装置本体10に内蔵された1つの時計を用いて各時刻を検出することができる。そのため、例えば、入床時刻として寝室の消灯時刻が使われる場合など各時刻が複数の時計で検出される構成に比べて、各時刻間の経過時間を精度良く検出できる。
【0078】
体温については、メモリ310から読み出された生体情報データBD中の体温データTをそのまま使用する。
【0079】
なお、解析データASとして算出される情報としては、本発明の目的に反しない限り、上記のうちの一部でも上記以外の情報を追加してもよく、各情報の算出についても上記以外の方法で算出してもよい。
【0080】
算出された解析データASは表示部330に出力される。表示部330は、入力した解析データASを各種態様でディスプレイ等に表示する。
【0081】
表示部330による表示例1を
図8に示す。
図8は、ストレス状態検出結果を表示する図の一例である。
【0082】
この表示例1は、被検者に係数算出期間(2分間)にわたって人為的にストレスを加え、この係数算出期間におけるRR間隔変動係数を算出して、このRR間隔変動係数を、ストレス状態の判定に用いる第1ストレス状態判定基準値、および、糖尿状態の判定に用いる糖尿状態判定基準値と比較した結果を示している。
【0083】
具体的には、被検者に生体情報検出装置本体10を装着し、被検者に対し7桁の数字を5秒間示し、次の15秒間でそれを逆順でパソコンに入力または紙に記載する動作を係数算出期間にわたり繰り返し行わせる。そして、この係数算出期間に計測した生体情報を心身状態診断支援装置に入力してRR間隔変動係数を算出し、上記第1ストレス状態判定基準値、および、糖尿状態判定基準値と比較する。本実施形態において、第1ストレス状態判定基準値は0.04であり、糖尿状態判定基準値は0.022である。これら値は、ストレス状態が既知である複数の被検者において検出したRR間隔変動係数から得られたものである。各判定基準値としてはこれら値が好ましいが、他の値を用いてもよい。
【0084】
図8(a)〜(c)に示すように、RR間隔変動係数の横にストレス状態検出結果を並べて表示する。具体的には、RR間隔変動係数(自律神経活動度)が0.04より大きいと、「ストレスなし」との検出結果を表示し(
図8(a))、0.022より大きくかつ0.04以下であると、「強いストレス状態」との検出結果を表示し(
図8(b))、0.022以下であると「糖尿状態です」との検出結果を表示する(
図8(c))。
【0085】
または、例えば、被検者が通常の生活活動を送る24時間を状態判定期間として、この状態判定期間にわたって係数算出期間(例えば2分間)毎にRR間隔変動係数(自律神経活動度)を算出し、被検者の複数の生活時間帯(後述する、在床時間、出社前時間、在社時間および退社後時間)のそれぞれにおけるRR間隔変動係数の最大値を第1ストレス状態判定基準値と比較することにより、生活時間帯毎にストレス状態を検出してもよい。状態判定期間は、24時間でなくてもよく、例えば、就寝していない期間(離床している期間)などでもよく、対象となる被検者に応じて任意に設定可能である。または、上記RR間隔変動係数の最大値として、複数の生活時間帯のそれぞれにおいてRR間隔変動係数の中央値を算出するとともにこれら複数の中央値のうちの最大のものを採用し、これを第1ストレス状態判定基準値と比較する構成としてもよい。
【0086】
表示部330による表示例2を
図9に示す。
図9は、ストレス診断プロット図の一例である。
【0087】
ストレス診断プロット図は、被検者のストレス自己評価値(問診票スコア)と複数の係数算出期間(例えば2分間)を含む状態判定期間(例えば24時間)におけるRR間隔変動係数の最大値を用いて、当該被検者のストレス自己評価値(横軸)およびRR間隔変動係数の最大値(縦軸)を座標とする点を二次元平面上にプロットしたものである。
図9においては、心身状態診断支援装置30に、互いに異なる複数の被検者のそれぞれの生体情報およびストレス自己評価値を入力して、各被検者に対応する複数の点をプロットしたものである。ストレス自己評価値が高いほど、ストレス状態がつよいことを示す。
【0088】
図9に示すストレス診断プロット図では、RR間隔変動係数の最大値の判定に用いる第1ストレス状態判定基準値を示す第1基準線と、ストレス自己評価値の判定に用いる第2ストレス状態判定基準値を示す第2基準線と、が引いてある。第1基準線は、縦軸上で第1ストレス状態判定基準値を通りかつ横軸と平行であり、第2基準線は、横軸上で第2ストレス状態判定基準値を通りかつ縦軸と平行である。第1基準線および第2基準線はすくなくとも一方が表示されていることが好ましく、両方表示されていることはより好ましい。
【0089】
第1基準線と第2基準線とで区画される複数の象限(I)〜(IV)のどこに含まれるかによって、ストレス状態をより視覚的に判定できる。プロットした点が、象限(I)に含まれる場合は、RR間隔変動係数が高くかつストレス自己評価値が低いため、ストレスがない状態にあると判定する。プロットした点が、象限(IV)に含まれる場合は、RR間隔変動係数が低くかつストレス自己評価値が高いため、ストレスによる何らかの疾患を生じている状態にあると判定する。象限(II)または象限(III)に含まれる場合は、ストレスによる変調をきたしている可能性があると判定する。
【0090】
本実施形態において、第1ストレス状態判定基準値は0.04であり、第2ストレス状態判定基準値は、30である。これら値は、ストレス状態が既知である複数の被検者において検出したRR間隔変動係数およびストレス自己評価値から見いだされたものである。RR間隔変動係数については、具体的には、本発明者らが多数の測定を行い、問診票からの判定の点数と2次元プロットを行う事で、自律神経活動が健康か、そうでないかを判定するRR間隔変動係数のしきい値である第1ストレス状態判定基準値が0.04であることが適切であることを見いだした。
【0091】
表示部330による表示例3A〜3Cを
図10〜
図12に示す。
図10〜
図12は、自律神経活動プロット図(CVRR−SNS−Plot)の一例である。
【0092】
表示部330は、複数の係数算出期間(例えば2分間)を含むプロット期間におけるそれぞれの係数算出期間に対応して算出されたRR間隔変動係数および交感神経情報を座標とする複数の点を二次元平面上にプロットした自律神経活動プロット図を表示する。具体的には、表示部330は、被検者の複数の生活時間帯(後述する、在床時間、出社前時間、在社時間および退社後時間)に対応する複数のプロット期間のそれぞれにおける複数の自律神経活動プロット図を表示する。
図10〜
図12においては、被検者の複数の生活時間帯毎の自律神経活動プロット図を表示している。
【0093】
被検者の生活時間帯は、具体的には、24時間を在床時間、ならびに、離床している期間としての出社前時間および在社時間および退社後時間の4つに分けたものである。本実施形態において、これら在床時間、出社前時間、在社時間および退社後時間は、上述した姿勢情報から自動的に把握するものであるが、例えば、在床時間は23時〜6時、出社前時間は6時〜9時、在社時間は9時〜18時、退社後時間は18時〜23時などとして各時間として予め固定した時間を設定してもよい。
【0094】
発明者らは、以下の点を見いだした。即ち、(1)交感神経活動が大きいときは、ストレスがかかっていると思われがちだが、人は責任ある仕事をするときや難しい仕事をするとき、戦うとき、自分の意思を押し通すとき等、ポジティブな場合でも交感神経活動が大きくなること、(2)例えば、病院長、大学教授、幼稚園の主任、保育園施設長等責任ある立場にいる人は交感神経活動の大きい状態が通常であるが、自律神経活動が不健康になる人は少ないこと、そして、(3)自律神経活動度も交感神経活動の大きさ同様に頻繁に変化すること。そして発明者らは、これら着目点から、自律神経活動度と交感神経活動の関係性が重要であることを見いだして、この自律神経活動プロット図を思い至った。このプロット図において、自律神経活動度が大きい場合に交感神経活動が大きいときはポジティブな精神状態にあり、アクティブストレスが加わっていると考えられ、一方、自律神経活動度が小さいときには受け身の精神状態にあるので、この場合に交感神経活動が大きいときはパッシブストレスが加わっていると考えられる。後者であるパッシブストレスが多い場合に、精神的に不健康な状態になるものと考えられる。
【0095】
本発明者らは、日々のストレスが大きい人が必ずしも自律神経活動の健康を害する訳ではないことの理由に迫り、係数算出期間(エポック)毎のCVRRと交感神経活動の指標の2次元プロット、即ち、上記自律神経活動プロットを発明した。自律神経活動が不健康な人は、RR間隔変動係数が小さな領域で交感神経活動が大きくなることが多く、ストレスが大きくても健康であり続ける人は、RR間隔変動係数が大きな領域で交感神経活動が大きくなることを見いだし、この場合のRR間隔変動係数のしきい値を0.05とするのが適切であることを見いだした。
【0096】
自律神経活動プロット図では、自律神経情報が0.05以下をパッシブストレス領域にあるものとして薄い灰色の点で表示し、0.05より大きいとアクティブストレス領域にあるものとして、濃い灰色の点で表示している。なお黒い点は無効データでありストレス状態検出には用いない。
【0097】
図10は、責任ある地位にあり多忙な人のプロット図であり、出社前にはパッシブストレスの割合が小さいが、在社時、退社後にはパッシブストレスの割合が大きくなっていることがわかる。一方、交感神経活動が大きい点はアクティブストレスの領域のみで見られ、本被検者においては精神的な不健康になる心配はない事が予想される。
【0098】
図11は、家庭に問題のあるうつ病患者のプロット図であり、出社前および在社時にパッシブストレスの領域において交感神経活動が比較的大きく、強いストレスが加わっていると考えられる。
【0099】
図12は、自律神経失調症患者のプロット図であり、在社時にパッシブストレスの領域において交感神経活動が非常に大きい点(異常データ)が現われており、非常に強いストレスが加わっていると考えられる。
【0100】
このように、自律神経活動プロット図から被検者のストレス状態について検出することができる。
【0101】
表示部330による表示例4A〜4Hを
図13〜
図20に示す。
図13〜
図20は、自律神経バランスプロット図(PSNS−SNS−Plot)である。
【0102】
表示部330は、複数の活動状態検出期間(エポック、例えば2分間)を含むプロット期間におけるそれぞれの活動状態検出期間に対応して算出された副交感神経情報および交感神経情報を座標とする複数の点を二次元平面上にプロットした自律神経バランスプロット図を表示する。具体的には、表示部330は、被検者の複数の生活時間帯(後述する、在床時間、出社前時間、在社時間および退社後時間)に対応する複数のプロット期間のそれぞれにおける複数の自律神経バランスプロット図を表示する。
図13〜
図16においては、被検者の複数の生活時間帯毎の自律神経バランスプロット図を表示している。
【0103】
被検者の生活時間帯は、上述した自律神経活動プロット図と同様に、24時間を在床時間(IV)、ならびに、離床している期間としての出社前時間(I)および在社時間(II)および退社後時間(III)の4つに分けたものである。
図13に複数の自律神経バランスプロット図の表示例4Aを示す。本実施形態においても、これら在床時間、出社前時間、在社時間および退社後時間は、上述した姿勢情報から自動的に把握するものであるが、例えば、在床時間は23時〜6時、出社前時間は6時〜9時、在社時間は9時〜18時、退社後時間は18時〜23時などとして各時間として予め固定した時間を設定してもよい。
【0104】
図14は、ストレス状態が正常である者の自律神経バランスプロット図の一例(表示例4B)を示す。睡眠(在床時間)では、交感神経の動きが小さく、副交感神経の動きが大きく、よく眠れていることを示している。起床−出社(出社前時間)では、交感神経の動きが徐々に大きくなり、副交感神経の動きが徐々に小さくなり、興奮し始めていることを示している。会社(在社時間)では、交感神経の動きが大きく、副交感神経の動きが小さく、活発に活動していることを示している。そして、退社−入床(退社後時間)では、交感神経の動きが徐々に小さくなり、副交感神経の動きが徐々に大きくなり、興奮が落ち着き始めていることを示している。
【0105】
図15は、ストレス状態が正常と異常の中間である者の自律神経バランスプロット図の一例を示す(表示例4C)。一日を通じて、交感神経と副交感神経の動きが同様、つまり、交感神経の動きが大きくなると副交感神経の動きも大きくなり、交感神経の動きが小さくなると副交感神経の動きも小さくなることを示している。
【0106】
図16は、ストレス状態が非正常である者の自律神経バランスプロット図の一例を示す(表示例4D)。睡眠(在床時間)では、交感神経の動きが大きく、副交感神経の動きが小さく、就寝しても興奮状態にあることを示している。起床−出社(出社前時間)では、交感神経の動きが徐々に小さくなり、副交感神経の動きが徐々に大きくなり、興奮が収まりつつあることを示している。会社(在社時間)では、交感神経の動きが小さく、副交感神経の動きが大きく、働く気持ちが生じていないことを示している。そして、退社−入床(退社後時間)では、交感神経の動きが徐々に大きくなり、副交感神経の動きが徐々に小さくなり、興奮し始めていることを示している。
【0107】
自律神経バランスプロット図におけるプロット形状の面積、プロット形状の座標軸方向の大きさ、プロット形状と座標軸との間の距離およびプロット形状の周縁の滑らかさを用いて被検者のストレス状態を検出する。プロット形状は、自律神経バランスプロット図にプロットされた複数の点を囲む形状である。これら複数の点のうち、他の点から極端に離れている点などについては、無効なものとしてプロット形状に含めないようにしてもよい。
【0108】
図17では、左から順にプロット形状の面積が(1)大、(2)中、(3)小、となるものである(表示例4E)。プロット形状の面積が大きいと、被検者は自律神経が比較的活発な状態にありストレスのないことが予想され、プロット形状の面積が小さいと、被検者は自律神経が比較的活発でない状態にありストレスのあることが予想される。プロット形状の面積について1つまたは複数段階の判定基準値を設け、この判定基準値とプロット形状の面積とを比較することにより、ストレス状態を検出してもよい。
【0109】
図18では、左から順にプロット形状の座標軸方向の大きさが、(1)縦軸方向大きさの方が横軸方向大きさより大きい、(2)縦軸方向大きさと横軸方向大きさがほぼ同じ、(3)縦軸方向大きさの方が横軸方向大きさより小さい、ものである(表示例4F)。プロット形状の縦軸方向の大きさが横軸方向の大きさより大きいと、被検者は交感神経が副交感神経より優位な状態にあり、ポジティブな精神状態でストレスのないことが予想され、縦軸方向の大きさが横軸方向の大きさより小さいと、被検者は副交感神経が交感神経より優位な状態にあり、ネガティブな精神状態でストレスがあることが予想される。プロット形状の縦軸方向と横軸方向との相対的な大きさ、または、縦軸方向および横軸方向の絶対的な大きさについて1つまたは複数段階の判定基準値を設け、この判定基準値とプロット形状の軸方向の大きさとを比較することにより、ストレス状態を検出してもよい。
【0110】
図19では、左から順にプロット形状と座標軸との間の距離が、(1)縦軸横軸ともに接している(距離ほぼ0)、(2)縦軸とは距離dpだけ離れかつ横軸とは接している、(3)縦軸とは接しておりかつ横軸とは距離dsだけ離れている、(4)縦軸とは距離dpだけ離れかつ横軸とは距離dsだけ離れている、ものである(表示例4G)。プロット形状が縦軸から離れていると、被検者は副交感神経が活動的な状態にあり、横軸から離れていると、被検者は交感神経が活動的な状態にあると判定する。ただし、被検者によっては普段からプロット形状と座標軸との間の距離が離れていることもあり、普段の状態との違いから判定が必要である。
【0111】
図20では、左から順にプロット形状の周囲の形状が、(1)角がなく滑らかで美しく整っている、(2)おおむね滑らかであるが多少角がある、(3)角が多く激しく乱れている、ものである(表示例4H)。プロット形状の周縁の形状が滑らかであると、被検者の自律神経が安定しておりストレスのないことが予想され、乱れていると、被検者の自律神経が不安定でストレスのあることが予想される。プロット形状の周縁の形状の滑らかさを判定する1つまたは複数段階の判定基準値を設け、この判定基準値とプロット形状の周縁の形状の滑らかさとを比較することにより、ストレス状態を検出してもよい。
【0112】
図21は、複数の被検者における仕事中の交感神経情報の最大値と第3四分位数とをプロットした図であり、
図22は、複数の被検者における就寝中の交感神経情報の最小値と第1四分位数とをプロットした図である。状態検出部320は、複数の活動状態検出期間(例えば1分間)を含む状態判定期間(仕事中)におけるそれぞれの活動状態検出期間に対応して算出された複数の交感神経情報の最大値および複数の交感神経情報の第3四分位数を用いてストレス状態を検出する。具体的には、複数の交感神経情報の最大値がそのしきい値(好ましくは25、より好ましくかつ確実には27)以上でかつ第3四分位数がそのしきい値(5が好ましい)以上のときに、被検者が強いストレス状態(Large Stress Subject;LS被検者)にあると判定する。表示部330は、判定結果を表示する。
【0113】
本発明者らは、多人数の被験者の測定結果から、所定の状態判定期間に対して活動状態検出期間毎に求めた交感神経情報(交感神経活動の指標)の大きさの分布を4分位法で記述した場合に、最大値が27以上でかつ最小値側から75%値(即ち第3四分位数であり、換言すると最大値の次の四分位数である)が5以上になる場合に、その被検者は大きなストレスを感じているといえることを見いだした。
【0114】
具体的には、本発明者らは、被検者である複数の幼稚園の教員について仕事中(在社時間)における交感神経情報を算出し、これら複数の交感神経情報を解析した。被検者である教員の人数は19名、年齢は40.7±15.1才である。一部の教員については異なる機会毎に複数回交感神経情報を算出しており、解析対象となる交感神経情報の個数は30である。各教員について算出した交感神経情報の最大値および第3四分位数をプロットした図を
図21に示す。
図21は、横軸が複数の教員毎に割り当てられた番号であり、縦軸が交感神経情報の大きさである。一部の教員については、複数回測定された生体情報から算出された複数の交感神経情報についてプロットされている。この
図21のプロットに基づき、各被検者の複数の交感神経情報の最大値のしきい値を25(より確実には27)とし、第3四分位数のしきい値を5と設定することで、大きなストレスを感じている者を判別することができる。
図21において、4番、8番、10番の教員が大きなストレスを感じている者と判別される。
【0115】
また、本発明者らは、在床時間において交感神経情報は最低値を示すべきと考え、ストレスが残留(蓄積)する被検者(Remain Stress Subject;RS被検者)の判別のために交感神経情報を解析した。その結果、交感神経情報の最小値が0.8より大きくかつ第1四分位数が0.1より大きくなる場合に、その被検者はストレスが残留することを見いだした。
【0116】
具体的には、上記と同じ被検者である複数の幼稚園の教員について就寝中(在床時間)における交感神経情報を算出し、これら複数の交感神経情報を解析した。被検者数および解析対象となる交感神経情報の個数は上記と同じである。各教員について算出した交感神経情報の最小値および第1四分位数をプロットした図を
図22に示す。
図22は、横軸が複数の教員毎に割り当てられた番号であり、縦軸が交感神経情報の大きさである。一部の教員については、複数回測定された生体情報から算出された複数の交感神経情報についてプロットされている。この
図22のプロットに基づき、各被検者の複数の交感神経情報の最小値のしきい値を0.8とし、第1四分位数のしきい値を0.1と設定することで、ストレスが残留する者を判別することができる。
図22において、4番、5番、14番の教員がストレスが残留する者と判別される。
【0117】
本発明者らは、交感神経情報とストレスとの関係について、論文[Stress of Kindergarten teachers: How we tried to detect and to reduce it by using a small and wearable ECG and acceleration measuring device?/Shirouzu, Shigenori; Seno, Yumeka; Tobioka, Ken; Masaki, Takeo; Yasumatsu, Kiyotaka; Mishima, Norio; Sugano, Hisanobu/Engineering in Medicine and Biology Society (EMBC), 2015 37th Annual International Conference of the IEEE]にて、開示している。
【0118】
なお、本実施形態では、正確な心電信号データEが得られれば、生体情報を検出する装置は、上記生体情報検出装置1に限らないし、活動状態検出期間(解析エポック)の長さも1分間に限らない。上記各しきい値も、上記以外の値を用いてもよい。状態判定期間も仕事中や就寝中でなくてもよく、例えば、就寝していない期間(離床している期間)や24時間などとしてもよく、対象となる被検者に応じて任意に設定可能である。
【0119】
さらに、交感神経活動の時間変化を、このような考え方で追跡する事で、ストレスの要因となった原因・相手を特定できるし、リアルタイムに解析すればストレス・いじめの警報を出すこともできる。子どものいじめからの見守り、職場ストレス監視のモニタリングストレスを構築する事も可能である。
【0120】
(第2実施形態)
図23は、
図1に示される第1実施形態に対して、蓄積部を追加した心身状態診断支援装置50を備えた構成例(第2実施形態)を示すブロック図である。第1実施形態の構成において、蓄積部を追加して心身状態診断支援装置が算出した解析データを蓄積できるようにすることにより、ストレス状態等の経年変化の調査を行うことができる。なお、第2実施形態において、第1実施形態と同一構成には同一符号を付して説明は省略する。
【0121】
蓄積部500は、状態検出部320が出力した解析データASを入力し、生体情報データBDが取得された時間に関する情報(例えば日付等)とともに保存する。時間に関する情報は、例えば生体情報検出装置1が生体情報データBDに付加し、状態検出部320がその情報を解析データASから抽出することにより、あるいは解析データASが保存される際に外部から入力することにより設定される。表示部530は、指定された時間に対応した解析データASを表示する。
【0122】
なお、蓄積部500は、メモリ310に格納された生体情報データBDを保存してもよい。これにより、状態検出部320に新規の解析機能が追加された場合に、メモリ310に格納された生体情報データBDを使用することにより、過去の生体状態の解析も実施できる。また、蓄積部を心身状態診断支援装置に追加するのではなく、心身状態診断支援装置とは別に用意してもよい。これにより大量のデータ保存が可能となる。
【0123】
上述の実施形態(第1実施形態、第2実施形態)では、体温センサ、加速度センサおよび心電信号センサの3つのセンサを使用しているが、他のセンサを追加して使用してもよい。例えば動脈血酸素飽和度を測定するための酸素飽和度センサを追加し、被検者の生体状態の解析に使用してもよい。赤外1色の光電式脈波センサを使用してもよい。
【0124】
さらに、被検者に装着する生体情報検出装置本体は1つではなく、
図24のように、複数としてもよい。被検者の身体の複数箇所から生体情報を取得することにより、1箇所からの生体情報だけでは検知することが難しい症状(例えば、脳梗塞や心筋梗塞の早期発見等)の検知が可能となり、より緻密な被検者のストレス状態を含む健康状態や身体の異常の把握が可能となる。複数の生体情報検出装置本体を使用する場合、取得される生体情報がどの生体情報検出装置本体から入手されたものか判別できるように、例えば、生体情報検出装置本体に固有の番号を割り当て、その固有の番号を生体情報検出装置が送信する生体情報信号に付加する。
【0125】
上記に本発明の本実施形態を説明したが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。前述の各実施形態に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除、設計変更を行ったものや、各実施形態の特徴を適宜組み合わせたものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。