(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の形態は、ATMに包装硬貨の取り扱い機能を持たせることにより、ATMが広範な両替取引の要求に対応できるようにした。利用者は口座情報を利用して両替取引を実行できる結果、両替手数料を口座から引き落とされるにすることができる。さらに、金融機関の管理担当の職員(或いは、係員、ともいう。)が両替機の運用業務として実施している両替手数料回収業務および手数料管理業務を無くすか、或いは、軽減させることができる。
【0015】
図1乃至20に基づいて、本発明に係る自動取引装置としてのATMの一実施形態を説明する。
図1にATM1の接続構成の一例を示す。利用者が多い店舗では、一般的にATMは複数台設置されており、各ATM1は同一店舗内のLAN3に接続されている。ATM1はホストコンピュータ(上位装置)4と通信を行って取引を実行する。ホストコンピュータ4とATM1の通信は、店舗内のルータ2を介して実行される。
【0016】
図2にATM1の内部構成の一例示す。ATM1は、金融機関等に設置され、利用者の操作に基づき入出金等の自動取引を行う自動取引装置に相当し、回線接続部22によりホストの回線接続部12に接続されている。なお、“部”とは、ハードウェア及び/又はソフトウェアからなる構成であって、“モジュール”、“ユニット”、“回路”、又は、“装置”等と言い換えてもよい。
【0017】
ATM1は、利用者操作部23、係員操作部24、紙幣入出金機構部25、硬貨入出金機構部26、包装硬貨支払い部27、通帳機構部28、カード機構部29、明細票機構部30、そしてこれら各部を制御する制御部21等を備えている。制御部21は、CPU、メモリ等のハードウェア資源と、プログラム、データ等のソフト資源とから構成され、各種処理、取引を制御する。
【0018】
ATM1と接続するホストコンピュータ4は、ATM1の回線接続部22と接続し、ATM1とのデータの送信または受信を行う回線接続部12を介して接続され、ファイル部14の内部に設けた利用者の口座情報などを記憶する口座情報ファイル15を制御する口座情報ファイル制御部13と、これを制御するホストコンピュータ制御部11とを有する。
【0019】
利用者操作部23(利用者操作端末)は、画面表示、キー入力検知機能を備えており、主に、ATM1の利用者が取引を行う際、取引操作の誘導画面を表示したり、両替金種の指定など利用者の操作や指で指定されたキー入力を受付ける。
【0020】
金融機関の係員操作部24は画面表示、キー入力検知機能を備えており、現金の補充・回収処理や取引集計印字などの運用処理を行う際、処理操作の誘導画面を表示したり、係員の操作や指で指定されたキー入力を受付ける。利用者操作部23と係員操作部24はタッチパネル等により構成された入力兼表示部(入力表示部、ともいう)として実現されることが望ましく、様々な情報を表示画面に表示し、この表示画面に含まれる色々な項目への操作を検知できる。
【0021】
紙幣入出金機構部25は、紙幣の入金機能と支払い機能を有する。硬貨入出金機構部26は、硬貨の入金機能と支払い機能を有する。包装硬貨支払い部27は、包装硬貨の支払い機能を有する。通帳機構部28は、利用者の通帳の挿入又は排出動作、通帳の磁気ストライプへのリード又はライト動作、通帳への取引記録の印字機能などを有する。
【0022】
カード機構部29は、利用者のカードの挿入又は排出動作、カードの磁気ストライプ又はICチップへのリード又はライト動作などを有する。また取引した内容を印字部により明細票に印字し、装置内から排出する明細票機構部30を有する。そして、これらの各部位の処理は制御部21によって制御される。
【0023】
図3に、ATM1を構成する複数のユニットの配置例であって、ATM1の背面から見た複数のユニットの配置を示す。ATM1の上半に左からカード機構部29と明細票機構部30を搭載するカード・明細票ユニット35、通帳機構部28を搭載する通帳ユニット34、硬貨入出金機構部26を搭載する硬貨ユニット33を配置し、ATM1の下半には左側に紙幣入出金機構部25を搭載する紙幣ユニット36を、右側には包装硬貨支払い部27を搭載する包装硬貨ユニット32と、制御部21及び電源部を搭載する制御部・電源ユニット31が配置されている。包装硬貨を蓄える機構、包装硬貨支払い部27への包装硬貨の搬送機構は,BTRで実現されているものを適用すればよい。なお、硬貨ユニット33のスペースを少なくして、包装硬貨ユニット32のスペースを確保してもよい。
【0024】
図4にATM1の現金・カード・通帳等媒体の出し入れを行う入出口における表示部等の配置例(ATM1の正面)を示している。ATM1の接客面手前中央に利用者操作部23の入力表示部46、接客面手前右側に紙幣入出金口41、接客面手前左側に包装硬貨取出し口42、接客面正面左から硬貨入出金口43、通帳入出口44、カード入出口と明細票取出し口45を配置している。
【0025】
図5にATM1の取引選択メニュー画面の一例を示す。利用者が支払い(出金)取引を希望する場合は、「お引出し」51、「お預入れ」52等の取引キーを押下して取引を開始する。
【0026】
図6にATM1の支払い取引における取引操作案内の画面の一例であり、支払い金額の入力操作後に行う支払金種の確認案内画面を示す。利用者が、包装硬貨の支払いを希望する場合は「包装硬貨支払い」キー61を押下し、包装硬貨の支払いを希望しない場合は「通常支払い」キー62を押下する。
【0027】
図7〜
図10に包装硬貨の支払いを利用者が希望する場合の取引操作案内画面の一例を示す。
図7は包装硬貨の支払い時は手数料が発生することを利用者に通知する手数料徴収案内画面である。
図8は包装硬貨の金種選択画面である。画面上には包装硬貨の金種別の本数選択キー17個(1円/5円/10円/50円/100円の各金種それぞれに対し1本、5本、10本を選択し、500円を1本と2本を選択するキー84)と枚数選択キー6個(各金種別に10枚を選択するキー)を配置し、各金種キーの左端には、例えば、500円の合計金額表示部82、100円の合計金額表示部83等、金種別に選択された本数の合計金額を表示する。
【0028】
画面上方の左側に支払い可能金額の表示領域81を設け、その右側には金種選択操作中の選択可能な残り金額表示領域87を設けている。「全訂正」キー86は金種選択操作途中にはじめから選択操作をやり直す場合、「選択終了」キー85は金種選択操作を終了する場合に使用する。
【0029】
なお、枚数選択キー(10枚固定)を設けているので同一金種の合計支払い枚数が50枚単位にならず包装硬貨での支払いが出来ない場合があり得るが、その場合には50枚に満たない端数分はバラの硬貨で支払われる。
【0030】
図9に利用者が選択した包装硬貨の金種・本数の確認案内画面の例を示す。画面上の最下段に合計本数の表示領域91、合計金額の表示領域92、利用手数料の表示領域93を設けている。
図10に取引金額およびその内訳を利用者に確認してもらうための案内画面の一例を示す。
図11に支払い貨幣の抜取り案内画面の一例であり、支払い現金として紙幣、硬貨、包装硬貨の全種類を支払う場合の案内画面である。
【0031】
図12に包装硬貨の支払いを行う場合の利用明細票の印字例を示す。お取引金額の印字欄1201は、支払い金額と手数料を合算した金額を印字する。手数料の印字欄1202には、包装硬貨の支払いを実施した取引について発生する手数料を印字する。包装硬貨の支払い本数は金種別に取扱本数の印字欄1203に印字する。なお、包装硬貨の支払いに伴う手数料とは別にATM1の時間外取引によって手数料が発生する場合や、あるいは他金融機関のキャッシュカード取引によって手数料が発生する場合は、包装硬貨の支払いに伴う手数料との合計金額を手数料の印字欄1202に印字する。その場合、ご利用明細票のご案内領域1204に「手数料には包装硬貨の支払いサービス利用料XXXが含まれています。」を印字する。
【0032】
図13にATM1の支払取引の処理フローを示す。利用者は最初に取引選択メニュー画面(
図5)にて「お引出し」取引キー51を選択する(S501)。続いてキャッシュカードをカード入出口45へ挿入する(S502)。ATM1は挿入されたカードの磁気情報を読み取り、取り扱い可能なカードか否かを判定する(S503、S504)。取り扱い不可カードの場合は利用者にカードを返却して取引を中断あるいは終了する(S504、S521、S522)。取り扱い可能なカードの場合は利用者に暗証番号を入力させ(S505)、続いて支払金額を入力させる(S506)。
【0033】
利用者が支払金額を入力したら、ATM1は、支払い金種の確認画面(
図6)を表示し、支払い金額の一部または支払金額の全額を包装硬貨で支払うどうかを利用者に選択させる(S507)。ATM1は、利用者が支払金種確認画面で「通常支払い」キー62を選択入力したら、取引入力操作を終了しホストコンピュータ4への上り電文編集処理(S512)へ移行し、利用者が「包装硬貨支払い」キー61を選択入力したら、手数料徴収の案内画面(
図7)を表示して利用者に手数料が発生することを認識させる(S508、S509)。
【0034】
手数料徴収案内画面にて利用者が「確認」キーを押下したら、ATM1は、包装硬貨の金種選択画面(
図8)を表示し、利用者に包装硬貨の金種選択を行わせる(S510)。利用者が包装硬貨の金種選択が終了したら、ATM1は包装硬貨の支払い本数から手数料を算出し、支払金額に手数料分を加算して口座引落し金額を確定させて(S511)、取引金額の確認画面を表示する(S530)。
【0035】
利用者の入力操作が終了すると、ATM1は、ホストコンピュータ4への上り電文を編集し(S512)、ホストコンピュータ4との電文送受信を行う(S513)。
【0036】
ATM1は、ホストコンピュータ4から下り電文を受信したら、支払取引が許可されたか否かを判定し(S514)、支払取引が拒否された場合、支払い処理は行わず明細票に拒否理由等を印字してキャッシュカードを利用者へ返却する(S523、S524)。
【0037】
支払取引が許可された場合は、ATM1は、現金の繰出し処理を行う(S515)。支払う現金の構成については、利用者が包装硬貨の支払いを選択している場合、指定された金額分を包装硬貨支払い部から支払い、残りの支払金額分を紙幣と硬貨の支払い枚数が最少になるような金種構成で支払う。
【0038】
利用者が通常支払いを選択している場合は、ATM1は、支払金額の全額を紙幣と硬貨の支払い枚数が最少になるような金種構成で支払いを行う。現金(貨幣)の繰出し処理が終了したら、明細票に取引内容を印字してキャッシュカードを利用者へ返却し(S516、S517)、続いて現金の入出口を開けて利用者へ現金を支払う(S518)。
【0039】
ATM1は、支払った現金の抜取りが終了すると取引終了案内を行い(S519)、制御部記憶領域の取引集計情報と現金有高情報を更新して(S520)、取引を終了する。
【0040】
図14に制御部21に記憶する、ATM内部に保有する現金量の情報の一例を示す。紙幣、硬貨、包装硬貨をそれぞれ金種別に管理する。紙幣と硬貨の単位は枚数、包装硬貨の単位は本数で有高を管理する。本データは取引において出入りが発生したとき、および、職員による現金の補充回収処理において出入りが発生したときに更新される。
【0041】
図15に制御部21に記憶する、ATMの取引における現金の出入りに関する情報(テーブル)の一例を示す。ATM1は、紙幣、硬貨、包装硬貨をそれぞれ金種別に管理する。紙幣と硬貨は入金・支払い別に管理され、包装硬貨は支払いのみが管理される。本情報は取引において出入りが発生したときに更新され、係員によって「合計」処理が実行され、明細票に取引集計データが正常に印字されたタイミングでクリアされる。
【0042】
図16に制御部21に記憶する、現金補充回収処理の出入り情報(テーブル)の一例を示す。ATM1は、紙幣、硬貨、包装硬貨をそれぞれ補充処理と回収処理に分けて金種別に管理する。本情報は係員による補充回収処理において更新され、
図15の場合と同様に、係員によって「合計」処理が実行され、明細票に取引集計データが正常に印字されたタイミングでクリアされる。
【0043】
図17に取引集計の印字例を示す。
図18に端末集計の印字例を示す。係員が後述の
図20の「合計」キー2001または「小計」キー2002を操作することによって、ATM1が明細票に集計結果を印字する。係員はこれらの印字内容にて、ATMの取引における現金の出入り、および補充回収処理における現金の出入りを確認することができる。「合計」処理の場合は明細票への印字が完了した時点で、制御部記憶領域の取引集計情報および現金補充回収情報のデータがすべてクリアされゼロになる。「小計」処理の場合にはデータはクリアされない。
【0044】
図19に係員操作部24の入力兼表示部に表示する画面の一例であって、ATM1の運用モードを切替える場合の操作画面を示す。包装硬貨の支払いが許可される「包装硬貨運用有モード」と、包装硬貨の支払いが禁止される「包装硬貨運用無モード」がある。モードの切替操作は「包装硬貨運用有」キー1901および「包装硬貨運用無」キー1902によって行われる。いずれの運用モードの状態にあるかはキーの上方にある小さい丸印を緑色に点灯させることにより示される。
【0045】
図20に、係員操作部24に表示されるATMの運用処理のメニュー画面の例を示す。ここでは本実施形態に用いる運用処理を中心にメニューを構成している。「合計」、「小計」、「現金補充」、又は、「現金回収」のキーへのタッチにより、選択された処理が起動される。
【0046】
既述の実施形態によれば、ATMに包装硬貨の取り扱い機能を持たせることにより、ATMが両替取引のニーズに答えることができるようにした。その結果、利用者は口座情報を利用して両替取引を行えるため、両替用の現金を持ち歩かなくても、そして、手数料を口座から引き落とされるにすることができる。さらに、金融機関の職員が両替機の運用業務として実施している両替手数料回収業務および手数料管理業務を無くすか、或いは、軽減させることができる。
【0047】
次に、自動取扱装置の第2の実施形態を説明する。第2の実施形態が第1の実施形態と異なる点は以下のとおりである。
【0048】
第1の実施形態では、利用者が払出し金額を選択或いは決定した後、包装硬貨の要否、包装硬貨の金種を指定できるのに対して、第2の実施形態では、取引が選択される最初の時点で、包装硬貨の支払い取引を選択できるようにした点である。
【0049】
図21にATM1の取引選択メニュー画面の一例を示す。先の実施形態で説明した
図5の取引選択メニュー画面と異なるのは、「お引出し(包装硬貨)」キー2101がある点である。利用者が支払い取引において包装硬貨の支払いを希望する場合は、最初に、「お引出し(包装硬貨)」キー2101を選択すればよい。
【0050】
図22に、ATM1による支払取引の処理フローの一例を示し、先の実施形態で説明した
図13の処理フローと異なる点は、
図7の手数料徴収案内画面を表示するタイミングが取引選択キーの押下後になり得ることであり、そして、支払金額入力ステップの後で支払い金種の確認ステップ(
図6)が不要となることである。
【0051】
利用者が最初に取引選択メニュー画面(
図21)にて「お引出し(包装硬貨)」取引キー2101を選択押下すると(S2201)、ATM1は、手数料徴収の案内画面を表示して利用者に手数料が発生することを認識させる(S2202)。なお、
図5に係る取引選択メニュー画面には、包装硬貨を選択するボタン(
図21の2101)は設けられていない。
【0052】
ATM1は、続いてキャッシュカードの挿入を受付ける(S2203)。ATM1は挿入されたカードの磁気情報を読み取り、取り扱い可能なカードか否かを判定する(S2204、S2205)。取り扱い不可カードの場合は利用者にカードを返却して取引を中断する(S2205、S2221、S2222)。取り扱い可能なカードの場合は利用者に暗証番号を入力させ(S2206)、続いて支払金額を入力させる(S2207)。利用者が支払金額を入力したら、包装硬貨の金種選択画面(
図8)を表示し、利用者に包装硬貨の金種選択を行わせる(S2208)。包装硬貨の金種選択が終了したら、ATM1は包装硬貨の支払い本数から手数料を算出し、支払金額に手数料分を加算して口座引落し金額を確定させて(S2209)、取引金額の確認画面を表示する(S2210)。
以上で利用者の入力操作が終了するので、続いてホストコンピュータ4への上り電文を編集し(S2211)、ホストコンピュータ4との電文送受信を行う(S2212)。
【0053】
ホストコンピュータ4から下り電文を受信したら、支払取引が許可されたか否かを判定し(S2213)、支払取引が拒否された場合、支払い処理は行わず明細票に拒否理由等を印字してキャッシュカードを利用者へ返却する(S2223、S2224)。
【0054】
ATM1は、支払取引が許可された場合は、現金の繰出し処理を行う(S2214)。支払いする現金の構成については、利用者が包装硬貨の支払いを選択している場合、指定された金額分を包装硬貨支払い部から支払いし、残りの支払金額分を紙幣と硬貨の支払い枚数が最少になるような金種構成で支払いを行う。
【0055】
利用者が通常支払いを選択している場合は、支払金額の全額を紙幣と硬貨の支払い枚数が最少になるような金種構成で支払いを行う。現金の繰出し処理が終了したら、明細票に取引内容を印字してキャッシュカードを利用者へ返却し(S2215、S2216)、続いて現金の入出口を開けて利用者へ現金を支払う(S2217)。支払った現金の抜取りが終了すると取引終了案内を行い(S2218)、制御部記憶領域の取引集計情報と現金有高情報を更新して(S2219)、取引を終了する。
【0056】
以上説明した第2の実施形態によれば、利用者に提示される最初の取引メニューで、包装硬貨の支払いを選択できるために、ATMは、両替取引を含む利用者の様々な取引要求に迅速に対応することができる。
【0057】
次に、自動取扱装置の第3の実施形態について説明する。この実施形態が前二者の実施形態と異なるのは、利用者がATMに預け入れた金額のうち、一部の金額を利用者の口座に入金し、残額(おつり)を包装硬貨で受け取れようにした点である。
【0058】
図23〜25に、利用者が預金取引において一部入金を選択する場合の操作画面の一例を示す。
図23は、利用者から預かった金額を利用者に確認させるための操作画面の一例である。利用者は、当画面にて一部入金を選択することができる。
図24は、利用者が預けた金額のうちの一部の金額の入金を指定するための操作画面の一例である。
図25は、取引金額の詳細を利用者に確認させるための操作画面の一例である。
【0059】
図26、
図27に、一部入金取引において、おつり分を包装硬貨での支払いを受ける場合に、ATM1によって、利用者に呈示される画面の一例を示す。
図26は包装硬貨の支払い時は手数料が発生することを利用者に通知する手数料徴収案内画面の一例である。手数料は、入金額から差し引かれる。
図27は預け入れ金額、おつり金額、手数料等取引金額の内訳を利用者に確認させるための案内画面の一例である。
【0060】
図28は預金取引における利用明細票の印字例である。取引金額の印字欄2801には、入金金額を印字する。手数料の印字欄2802には、一部入金取引のおつり支払い時に包装硬貨の受け取りを指定した場合の手数料を印字する。おつりの印字欄2803には、一部入金取引のおつり金額を印字する。取扱枚数・取扱本数の印字欄2804にはおつり支払い分の金種別内訳を印字する。ホストコンピュータからの下り電文に利用者への通知メッセージが存在する場合には、その内容をメッセージ領域2805に印字する。
【0061】
図29にATM1の預金取引の処理フローの一例を示す。利用者は最初に取引選択メニュー画面(
図5)にて「お預入れ」取引キー52を選択する(S2901)。続いてキャッシュカードをカード入出口45へ挿入するか、または通帳を通帳入出口44へ挿入する(S2902)。ATM1は、挿入されたカードまたは通帳の磁気情報を読み取り、取り扱い可能な媒体であるか否かを判定する(S2903、S2904)。
【0062】
取り扱い不可媒体の場合は、ATM1は、利用者に媒体を返却して取引を中断する(S2904、S2927、S2928)。ATM1は、取り扱い可能な媒体であることを判定すると、入金される貨幣を受け付ける(S2905)。ATM1は貨幣の読み取りが完了すると、読み取った金額の確認画面(
図23)を表示する。利用者が預入金額の確認画面で「確認」キー2302を選択入力したら、ATM1は取引入力操作を終了しホストコンピュータ4への上り電文編集処理へ移行する。
【0063】
利用者が「一部入金」キー2301を選択入力したら(S2906)、ATM1は一部入金の金額入力画面(
図24)を表示し、利用者に入金額を入力させる(S2907)。ATM1は、入力後、一部入金の確認画面(
図25)を表示し、入金金額とおつり金額を利用者に確認する(S2908)。
【0064】
続いて、ATM1はおつり金額の一部またはおつり金額の全額を包装硬貨で支払いするかどうかを利用者に選択させる(S2910)。利用者が支払い金種確認画面で「通常支払い」キー62を選択入力したら、ATM1は取引入力操作を終了しホストコンピュータ4への上り電文編集処理へ移行し、利用者が「包装硬貨支払い」キー61を選択入力したら、ATM1は手数料徴収の案内画面(
図26)を表示して利用者に手数料が発生することを認識させる(S2911)。
【0065】
次に手数料徴収案内画面にて利用者が「確認」キーを操作したら、ATM1は、包装硬貨の金種選択画面(
図8)を表示し、利用者に包装硬貨の金種選択を行わせる(S2912)。包装硬貨の金種選択が終了したら、ATM1は包装硬貨の支払い本数から手数料を算出し、入金金額から手数料分を減算して(S2913)、取引金額の確認画面を表示する(
図27、S2914)。
【0066】
以上で利用者の入力操作が終了するので、続いてホストコンピュータ4への上り電文を編集し(S2915)、ホストコンピュータ4との電文送受信を行う(S2916)。
【0067】
ATM1は、ホストコンピュータ4から下り電文を受信したら、取引が許可されたか否かを判定し(S2917)、取引が拒否された場合は現金の収納処理は行わず、受付けた現金とキャッシュカードまたは通帳を利用者へ返却する(S2929、S2930)。
【0068】
取引が許可された場合は、ATM1は現金の収納処理を行い(S2918)、続いて一部入金取引の場合はおつり用の現金を繰出す(S2919、S2920)。支払う現金の構成については、利用者が包装硬貨の支払いを選択している場合、ATM1は指定された金額分を包装硬貨支払い部から支払い、残りの支払い金額分を紙幣と硬貨の支払い枚数が最少になるような金種構成で支払いを行う。利用者が通常支払いを選択している場合は、おつり金額の全額を紙幣と硬貨の支払い枚数が最少になるような金種構成で支払いを行う。
【0069】
ATM1は、現金の繰出し処理が終了したら、通帳を取り込んでいる場合は通帳へ取引内容を印字し、通帳を取り込んでいない場合は明細票に取引内容を印字して、通帳またはキャッシュカード・明細票を利用者へ返却する(S2921、S2922)。その後、一部入金の場合はおつりを返却する必要があるので、ATM1は現金の入出口を開けて利用者へ現金を差し出す(S2923、S2924)。利用者によって差し出された現金の抜取りが終了すると、ATM1は取引終了案内を行い(S2925)、制御部記憶領域の取引集計情報と現金有高情報を更新して(S2926)、取引を終了する。
【0070】
第3の実施形態によれば、利用者の口座への入金取引の要求と、両替取引の要求とを同時に果たすことによって、ATMの利用者に対する利便を向上させることができる。
【0071】
既述の実施形態では、ATM1内部のユニット構成として、硬貨ユニット33および通帳ユニット34を搭載する構成としたが、これらユニットは搭載されないようにしてもよい。
【0072】
手数料徴収の条件について、包装硬貨の本数を基準としたが、紙幣およびバラ硬貨を含めたトータルの支払い枚数を基準として定めてもよい。例えば、支払い枚数のトータルが100枚までを手数料108円とし、101枚以上500枚までを216円とするなどである。
【0073】
手数料は金融機関の運営方針に応じて変更することがあり、また消費税率とも関連してくることから、手数料の条件ならびに手数料金額は固定値とするのではなく、ホストコンピュータ4からの指示や係員操作部24からの外部入力によって変更可能な構成にしておくのがのぞましい。
【0074】
また、既述の実施形態ではATM1自身が手数料を算出する方式を採用したが、ホストコンピュータ4側で算出する方式でもよい。その場合は、ATM1からホストコンピュータ4に対して、手数料の算出に必要な情報を提供する必要がある。
【0075】
また、本実施形態ではATM1からホストコンピュータ4に対して手数料金額を通知する方式は採用せず、支払取引では手数料金額分を支払い金額に加算し、預金取引では手数料金額分を入金金額から減算する方法としたが、手数料金額を支払い金額や預金金額と区分してホストコンピュータ4へ通知する方法としてもよい。
【0076】
第1の実施形態の支払取引処理フローでは、包装硬貨の支払いを希望するか否かの確認ステップを支払金額の入力後としたが、当確認ステップは取引選択メニューで支払取引を選択後から支払金額を入力するまでの任意の場所に置いてもよい。