特許第6649082号(P6649082)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社LIXILの特許一覧

特許6649082便器洗浄タンク及びこれを備える便器洗浄装置
<>
  • 特許6649082-便器洗浄タンク及びこれを備える便器洗浄装置 図000002
  • 特許6649082-便器洗浄タンク及びこれを備える便器洗浄装置 図000003
  • 特許6649082-便器洗浄タンク及びこれを備える便器洗浄装置 図000004
  • 特許6649082-便器洗浄タンク及びこれを備える便器洗浄装置 図000005
  • 特許6649082-便器洗浄タンク及びこれを備える便器洗浄装置 図000006
  • 特許6649082-便器洗浄タンク及びこれを備える便器洗浄装置 図000007
  • 特許6649082-便器洗浄タンク及びこれを備える便器洗浄装置 図000008
  • 特許6649082-便器洗浄タンク及びこれを備える便器洗浄装置 図000009
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6649082
(24)【登録日】2020年1月20日
(45)【発行日】2020年2月19日
(54)【発明の名称】便器洗浄タンク及びこれを備える便器洗浄装置
(51)【国際特許分類】
   E03D 1/34 20060101AFI20200210BHJP
【FI】
   E03D1/34
【請求項の数】4
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-255271(P2015-255271)
(22)【出願日】2015年12月25日
(65)【公開番号】特開2017-115546(P2017-115546A)
(43)【公開日】2017年6月29日
【審査請求日】2018年8月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】302045705
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】榊▲原▼ 豪介
(72)【発明者】
【氏名】深川 雅史
【審査官】 舟木 淳
(56)【参考文献】
【文献】 実開平04−082075(JP,U)
【文献】 特許第5807257(JP,B2)
【文献】 米国特許第04710986(US,A)
【文献】 実開昭60−040575(JP,U)
【文献】 特開平09−004011(JP,A)
【文献】 特開平10−159148(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03D 1/00−7/00、11/00−13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄水を貯留する便器洗浄タンクであって、
底部と、
前記底部の周縁から立ち上がる外壁と、
前記底部に設けられる排水口と、
前記排水口の周縁に設けられる弁座と、
前記底部に設けられ、前記排水口に連通する流路と、
オーバーフロー管が接続される開口を有し且つ前記流路と連通するオーバーフロー管用接続部と、を備え、
前記排水口、前記弁座、前記流路及び前記オーバーフロー管用接続部は、一体的に形成され
前記流路は、前記排水口と前記便器洗浄タンクの外部とを連通する連通部分を有し、前記連通部分に、前記便器洗浄タンクの外部への水の流通を止める閉止部を有する便器洗浄タンク。
【請求項2】
前記流路は、前記排水口から前記便器洗浄タンクの後方に向けて延びるように形成される請求項に記載の便器洗浄タンク。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の便器洗浄タンクと、
前記オーバーフロー管用接続部に接続される前記オーバーフロー管と、を備える便器洗浄装置であって、
前記オーバーフロー管は、前記流路に配置され前記閉止部を有する便器洗浄装置。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の便器洗浄タンクと、
前記弁座に当接する位置と前記弁座から離間する位置との間を移動可能に構成され、前記排水口を開閉する排水弁と、
オーバーフロー管本体と、前記排水弁を移動可能に支持する排水弁支持部と、を有する前記オーバーフロー管と、を備える便器洗浄装置であって、
前記オーバーフロー管本体及び前記排水弁支持部は、一体的に形成される便器洗浄装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、便器洗浄タンク及びこれを備える便器洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、便器洗浄タンクと、便器洗浄タンクの底部に取り付けられるオーバーフロー管と、を備える便器洗浄装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載のオーバーフロー管は、上下方向に延びるオーバーフロー管本体と、オーバーフロー管本体の下部に設けられ洗浄水を排出する排水口と、排水口の周縁に設けられた弁座と、を備える。特許文献1に記載のオーバーフロー管は、オーバーフロー管本体と、排水口及び弁座とが、別体の2部材で構成されており、排水口において、便器洗浄タンクの底部に取り付けられる。オーバーフロー管本体の上部の開口部から流入した水は、下部において排水口に流れ込む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5807257号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のオーバーフロー管は、オーバーフロー管本体と、排水口及び弁座とが、別体の2部材で構成されており、部品点数が多くなり易く、構成が複雑になり易い。
ここで、特許文献1に記載のオーバーフロー管は、便器洗浄タンクの底部に取り付けられる。そのため、オーバーフロー管が便器洗浄タンクに取り付けられる構造であるオーバーフロー構造を簡易にすることが望まれる。
【0005】
本発明は、オーバーフロー構造を簡易にできる便器洗浄タンクを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、洗浄水を貯留する便器洗浄タンク(例えば、後述の洗浄タンク4)であって、底部(例えば、後述の底部411)と、前記底部の周縁から立ち上がる外壁(例えば、後述の周壁412)と、前記底部に設けられる排水口(例えば、後述の排水口11)と、前記排水口の周縁に設けられる弁座(例えば、後述の弁座12)と、前記底部に設けられ、前記排水口に連通する流路(例えば、後述の流路13)と、オーバーフロー管(例えば、後述のオーバーフロー管46)が接続される開口を有し且つ前記流路と連通するオーバーフロー管用接続部(例えば、後述の接続口14)と、を備え、前記排水口、前記弁座、前記流路及び前記オーバーフロー管用接続部は、一体的に形成される便器洗浄タンクに関する。
【0007】
また、前記流路は、前記排水口と前記便器洗浄タンクの外部とを連通することが好ましい。
【0008】
また、前記流路は、前記排水口から前記便器洗浄タンクの後方に向けて延びるように形成されることが好ましい。
【0009】
また、本発明は、前記便器洗浄タンクと、前記オーバーフロー管用接続部に接続される前記オーバーフロー管と、を備える便器洗浄装置(例えば、後述の便器洗浄装置1)であって、前記オーバーフロー管は、前記流路に配置され前記便器洗浄タンクの外部への水の流通を止める閉止部(例えば、後述の閉止部464)を有する便器洗浄装置に関する。
【0010】
また、本発明は、前記便器洗浄タンクと、前記弁座に当接する位置と前記弁座から離間する位置との間を移動可能に構成され、前記排水口を開閉する排水弁(例えば、後述の排水弁48)と、オーバーフロー管本体(例えば、後述のオーバーフロー管本体)と、前記排水弁を移動可能に支持する排水弁支持部(例えば、後述の排水弁支持部465)と、を有する前記オーバーフロー管と、を備える便器洗浄装置であって、前記オーバーフロー管本体及び前記排水弁支持部は、一体的に形成される便器洗浄装置に関する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、オーバーフロー構造を簡易にできる便器洗浄タンクを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態に係る便器洗浄装置1を示す斜視図である。
図2】本発明の一実施形態に係る洗浄タンク4及び洗浄タンク4の内部の構成を示す断面図である。
図3】オーバーフロー管46及び排水口11の周辺の構成を示す断面斜視図である。
図4】オーバーフロー管46及び排水口11の周辺の構成を示す断面図である。
図5】洗浄タンク4を斜め上方から視た斜視図である。
図6】洗浄タンク4を斜め下方から視た斜視図である。
図7】オーバーフロー管46及び排水弁48の構成を示す斜視図である。
図8】オーバーフロー管46及び排水弁48の構成を示す拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の便器洗浄装置1の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。以下の説明においては、便器洗浄装置1の便座(図示せず)に座った人から視た場合の前後の向きを前後方向とする。また、便器洗浄装置1の便座(図示せず)に座った人から視た場合の左右の向きを左右方向とする。また、鉛直方向に沿った上下の向きを上下方向とする。
【0014】
本実施形態の便器洗浄装置1は、図1及び図2に示すように、便器2と、ベースプレート3と、便器洗浄タンクとしての洗浄タンク4と、給水部5と、洗浄駆動ユニット7と、上部カバー8aと、一対の側部カバー8b,8bと、を備える。
【0015】
便器2は、便器本体2aと、便座(図示せず)及び便蓋2bと、を含んで構成される。便座(図示せず)及び便蓋2bは、便器本体2aの上部に、便器本体2aに対して回動可能に取り付けられる。
【0016】
ベースプレート3は、図1に示すように、便器本体2aの後方の上面に取り付けられる。ベースプレート3の上方には、洗浄タンク4が配置される。ベースプレート3に受け止められた水は、ベースプレート3に形成された導出開口部(図示せず)を介して、便器本体2aの内部に導出される。
【0017】
洗浄タンク4は、ベースプレート3の上方において、便器2の後方かつ上方に配置され、便器本体2aを洗浄する洗浄水を貯留する。洗浄タンク4は、便器洗浄装置1に内装される。洗浄タンク4は、図2に示すように、タンク本体41と、タンク蓋部42と、を備える。
【0018】
タンク本体41は、洗浄水を貯留する。タンク本体41は、図2に示すように、上面が開口して形成され、底部411と、底部411の周縁から立ち上がり周囲を囲むように形成される周壁412(外壁)と、を備える。また、タンク本体41は、図2図6に示すように、排水口11と、弁座12と、流路13と、オーバーフロー管用接続部としての接続口14と、を有する。排水口11、弁座12、流路13及び接続口14は、タンク本体41の底部411において、一体的に形成される。タンク本体41の接続口14には、オーバーフロー管46が接続されている。
【0019】
排水口11は、図5及び図6に示すように、洗浄タンク4のタンク本体41の底部411に設けられる。排水口11は、洗浄水を便器2に排出する。排水口11は、底部411の下部から下方に突出する円筒状に形成され、タンク本体41の底部411を貫通する。
【0020】
弁座12は、図5に示すように、排水口11の周縁に設けられる。弁座12は、円筒状に形成され、排水口11の周縁において、タンク本体41の底部411から上方に延出するように形成される。弁座12の上端部は、洗浄タンク4の後方側が高くなるように傾斜する。
【0021】
弁座12には、図2図4に示すように、排水弁48が配置される。排水弁48は、排水口11を開閉する。排水弁48は、弁座12に当接する位置と弁座12から離間する位置との間を移動可能に構成される。弁座12の上端部において洗浄タンク4の後方側が高くなるように傾斜して形成されているため、排水弁48は、排水口11を閉じている状態においては、洗浄タンク4の後方側が高くなるように傾斜した状態で、弁座12に配置される。
【0022】
排水弁48は、図7及び図8に示すように、弁体部481と、弁体保持部482と、一対の支持腕部483,483と、を有する。
弁体部481は、円環状の板状に形成される。弁体部481は、弁座12に当接して、排水口11を閉止する。弁体部481は、弁体保持部482に保持される。弁体保持部482の上面には、玉鎖401の下端部が接続される。
【0023】
一対の支持腕部483,483は、それぞれ、弁体保持部482の一端部からオーバーフロー管46側に延出して形成される。一対の支持腕部483,483の先端側には支持凹部483aが形成される。支持凹部483aは、下方側が開放する凹状に形成され、後述するオーバーフロー管46の排水弁支持部465に回動可能に支持される。
【0024】
排水弁48は、図2に示すように、玉鎖401を介して洗浄駆動ユニット7に接続されており、操作ボタン(図示せず)の操作により、排水口11を開閉する。排水弁48を引き上げて排水口11を開放することにより、タンク本体41の内部に貯留された洗浄水が排水口11から流出して便器本体2aに供給され、便器本体2aが洗浄される。排水弁48には、玉鎖401を介して洗浄駆動ユニット7に接続されており、例えば、操作ボタン(図示せず)の操作により、洗浄駆動ユニット7のモータ7aの回転軸7bが回転することで洗浄駆動ユニット7が駆動されて、排水弁48は、開閉される。
【0025】
流路13は、図4図6に示すように、タンク本体41の底部411に設けられる。流路13には、オーバーフロー管46の上部の開口部46a(後述)から流入した水が導入される。流路13は、オーバーフロー管46から流入した水を排水口11へ向けて流通させる。流路13は、弁座12の内側の後方側の側面を側方に貫通して形成される。流路13は、排水口11に連通する。
【0026】
流路13は、図4に示すように、流路構成部分131により構成される。流路構成部分131は、弁座12における洗浄タンク4の後部から、洗浄タンク4の後方に延びる。流路構成部分131は、下部構成部131aと、上部構成部131bと、を有する。下部構成部131aは、洗浄タンク4の底部411により構成され、水平方向に延びる板状に形成される。上部構成部131bは、下部構成部131aの上方側に離間して配置され、水平方向に延びる板状に形成される。流路13は、下部構成部131aと上部構成部131bとの間に形成される。
【0027】
流路構成部分131は、後述する接続口14と一体的に形成される。上部構成部131bの上部には、接続口14が形成される。接続口14は、上下方向に延びる円筒状に形成され、上部にオーバーフロー管46が接続される開口を有し、かつ、流路13に連通する。
【0028】
流路13は、洗浄タンク4の外部に向けて延びる。流路13は、排水口11の周縁に形成される弁座12の内側の後方側の側面から、洗浄タンク4の後方側に向けて水平方向に延び、且つ、排水口11とタンク本体41の外部とを連通する。
【0029】
本実施形態においては、上下に配置した金型(図示せず)を用いて洗浄タンク4を成型する際に、成型上の理由から、洗浄タンク4の底部において、水平方向に貫通しないで途中まで延びる流路を成型することが難しい。そのため、流路13を容易に形成するために、流路13は、金型を用いて、排水口11とタンク本体41の外部とを貫通させて連通するように成型される。これにより、排水口11とタンク本体41の外部とを貫通させて成型するため、上下に配置した金型を用いてタンク本体41を成型しても、流路13を容易に形成できる。
【0030】
ここで、本実施形態においては、流路13は、排水口11の周縁の弁座12から後方に延びるように形成される。本実施形態においては、排水口11の周縁の弁座12から後方側の洗浄タンク4の外部までの距離は、排水口11の周縁の弁座12から左右方向側の洗浄タンク4の外部までの距離よりも短い。つまり、本実施形態においては、流路13の長さは、排水口11から洗浄タンク4の左右方向に延びるよりも、短く形成される。これにより、流路13が短いため、上下に配置した金型を用いてタンク本体41を成型しても、流路13を容易に形成できる。
【0031】
接続口14は、上下方向に延び、上部が円形状に開口する円筒状に形成される。接続口14の開口には、図3及び図4に示すように、後述するオーバーフロー管46のオーバーフロー管接続部462が接続される。接続口14の下部は、流路13が延びる前後方向の途中において、流路構成部分131の上部構成部131bに接続されることで、流路13と連通する。これにより、接続口14は、流路13とタンク本体41の内部とを連通する。
【0032】
オーバーフロー管46は、図2に示すように、タンク本体41の内部に設けられる。オーバーフロー管46は、タンク本体41に対して着脱可能に構成される。本実施形態においては、オーバーフロー管46が洗浄タンク4に取り付けられる構造をオーバーフロー構造という。オーバーフロー構造は、前述のタンク本体41の底部411に設けられる排水口11、弁座12、流路13及び接続口14と、オーバーフロー管46のオーバーフロー管接続部462(後述)と、を備える。
【0033】
オーバーフロー管46は、樹脂材料で一体的に形成される。オーバーフロー管46は、上部に開口部46aを有する。開口部46aは、オーバーフロー管46の上端において、洗浄タンク4に貯留される洗浄水の水位の上限に合わせた高さで開口する。
【0034】
オーバーフロー管46は、図7及び図8に示すように、オーバーフロー管本体461と、オーバーフロー管接続部462と、一対の排水弁支持部465,465と、を有する。オーバーフロー管本体461、オーバーフロー管接続部462及び一対の排水弁支持部465,465は、一体的に形成される。
【0035】
オーバーフロー管接続部462は、オーバーフロー管46の下部に設けられる。オーバーフロー管接続部462は、図4に示すように、タンク本体41の接続口14に接続される。オーバーフロー管接続部462は、図4図7及び図8に示すように、接続部本体463と、閉止部464と、を有する。
【0036】
接続部本体463は、図8に示すように、オーバーフロー管本体461の下端部から下方に延びるように形成される。接続部本体463は、接続部筒体463aと、環状係止凸部463bと、位置決め縦凸部463cと、複数の縦凸部463dと、Oリング用溝463eと、第1係合部463fと、第2係合部463gと、を有する。
【0037】
接続部筒体463aは、オーバーフロー管本体461の下端部から、下方に延びる円筒状に形成される。
環状係止凸部463bは、図8に示すように、接続部筒体463aの上端部において、接続部筒体463aの外面から円環状に突出する。環状係止凸部463bは、オーバーフロー管46を洗浄タンク4の底部411に接続した際に、洗浄タンク4の接続口14の上端面に当接する(図4参照)。
【0038】
位置決め縦凸部463cは、図8に示すように、環状係止凸部463bの下方において、接続部筒体463aの外周面から突出して上下方向に延びる。位置決め縦凸部463cは、排水弁48が配置される側に形成される。位置決め縦凸部463cは、オーバーフロー管46を洗浄タンク4の底部411に接続した際に、洗浄タンク4の接続口14の溝部141に係止され、オーバーフロー管46をタンク本体41に対して回転不能に位置決めする(図4参照)。
【0039】
複数の縦凸部463dは、図8に示すように、それぞれ、環状係止凸部463bの下方において、接続部筒体463aの外周面から突出して上下方向に延びる。複数の縦凸部463dは、周方向に離間して配置される。複数の縦凸部463dは、オーバーフロー管46を洗浄タンク4の底部411に接続した際に、洗浄タンク4の接続口14の内面に押し付けられて変形する。
【0040】
Oリング用溝463eは、図8に示すように、複数の縦凸部463dの下方において、接続部筒体463aの外周面に沿って形成される。Oリング用溝463eには、Oリング466が配置される。Oリング用溝463eに配置されたOリング466は、オーバーフロー管46を洗浄タンク4の底部411に接続した際に、接続口14の内面に押し付けられる(図4参照)。
【0041】
第1係合部463fは、図8に示すように、接続部筒体463aの下端部において、下方に突出し、且つ、流路13側の側方に突出する。第1係合部463fは、オーバーフロー管46を洗浄タンク4の底部411に接続した際に、接続口14における排水口11側において、流路13を構成する流路構成部分131の上部構成部131bの縁部に係合する(図4参照)。
【0042】
第2係合部463gは、図8に示すように、接続部筒体463aの下端部において、下方に突出し、且つ、流路13における洗浄タンク4の外部側の側方に突出する。第2係合部463gは、オーバーフロー管46を洗浄タンク4の底部411に接続した際に、接続口14における洗浄タンク4の外部側において、流路13を構成する流路構成部分131の上部構成部131bの縁部に係合する(図4参照)。
【0043】
閉止部464は、図8に示すように、接続部本体463の下部に連続して形成される。閉止部464は、オーバーフロー管46を洗浄タンク4の底部411に接続した際に、流路13に配置され、洗浄タンク4の外部への水の流通を止める。閉止部464は、半円筒体464aと、半円板464bと、止水突出部464cと、を有する。
【0044】
半円筒体464aは、水平方向の断面が略半円弧状の略半円筒状に形成され、上下方向に延びる。半円筒体464aは、閉止部464の円弧状の側面を構成し、接続部本体463の下端部から下方に延びて形成される。
半円板464bは、閉止部464の底部を構成し、略半円の板状に形成される。半円板464bは、水平に配置された状態で、半円筒体464aの下部を塞ぐように、半円筒体464aの下端部に接続される。
【0045】
止水突出部464cは、図8に示すように、半円筒体464a及び半円板464bの外面に形成される。止水突出部464cは、一対の縦突出部464d、464dと、横突出部464eと、を有する。一対の縦突出部464d、464dは、半円筒体464aの外面において、上下方向に直線状に延び、半円筒体464aを挟んで洗浄タンク4の前後において対称に形成される。横突出部464eは、半円板464bの外面(下面)において、一対の縦突出部464d、464dの下端部同士をつないで形成され、洗浄タンク4の前後方向に直線状に延びる。
【0046】
閉止部464は、図3及び図4に示すように、オーバーフロー管46をタンク本体41の底部411に接続した場合に、流路13に配置される。閉止部464は、半円筒体464aの円弧状の側面が、タンク本体41の外部側に凸となるように配置される。閉止部464は、樹脂材料で形成されており、オーバーフロー管46をタンク本体41の底部411に接続する際に、接続口14を介して流路13に圧入されて挿入され、押しつぶされる。
【0047】
閉止部464が押しつぶされることで、閉止部464の一対の縦突出部464d、464d及び横突出部464eは、流路13を構成する流路構成部分131の内面に当接する。これにより、閉止部464は、洗浄タンク4の外部側の流路13を閉止する。よって、オーバーフロー管46から流路13に流入した水の排水口11側への流通は許容され、閉止部464によりタンク本体41の外部側への水の流通は閉止される。
【0048】
なお、洗浄タンク4の下方には、図3及び図4に示すように、ベースプレート3が配置されている。そのため、仮に流路13を流れる水が流路13と閉止部464との隙間から漏れたとしても、ベースプレート3に受け止められる。ベースプレート3に受け止められた水は、ベースプレート3に形成された導出開口部(図示せず)を介して、便器本体2aの内部に導出される。
【0049】
一対の排水弁支持部465,465は、図8に示すように、排水弁48を回動可能(移動可能)に支持する。一対の排水弁支持部465,465は、それぞれ、オーバーフロー管本体461の下部において、オーバーフロー管46の外周面から側方に突出し、且つ、突出した部分の先端から上方に延びる。一対の排水弁支持部465,465は、排水弁48の一対の支持腕部483,483の支持凹部483aを支持する。
【0050】
給水部5は、図2に示すように、洗浄タンク4に備えられる。給水部5は、給水流路部51と、ボールタップ装置60と、を備える。給水部5には、外部の給水源(図示せず)に接続される給水管501が接続されている。
【0051】
給水流路部51は、図2に示すように、主流路部511と、分岐流路部512と、を有する。
主流路部511は、洗浄タンク4の内部を通る。主流路部511は、給水部5から給水された洗浄水を、洗浄タンク4に供給する。主流路部511の下流側端部には、洗浄タンク4の内部に水を吐出する洗浄水吐水部511aが設けられている。分岐流路部512は、給水部5から給水された洗浄水を、便器本体2aに補給する補給水として、ベースプレート3(図1参照)に吐出する。
【0052】
ボールタップ装置60は、図2に示すように、給水弁61と、節水タンク62と、フロート部材63と、アーム部材としての操作アーム部材64と、浮き閉止部材65と、を備える。
【0053】
節水タンク62は、円形状の底部連通孔621aが形成された底部621を有し、一方の側部の上方側の部分が側方に向けて開放し且つ上方が開放した方形筒状に形成される。
浮き閉止部材65は、節水タンク62の底部連通孔621aに配置される。浮き閉止部材65は、浮力を有しており、洗浄タンク4に貯留される洗浄水の水位に連動して上下方向に移動する。
【0054】
フロート部材63は、節水タンク62に貯留された洗浄水の水位に連動して上下方向に移動する。フロート部材63は、フロート部本体631と、フロート側アーム部632と、を有する。
フロート部本体631は、節水タンク62の内部に配置される。フロート部本体631は、上部が閉鎖されかつ下部が開放する方形箱状に形成される。
フロート側アーム部632は、フロート部本体631の上部に接続される。フロート側アーム部632は、上下方向に延びる。
【0055】
操作アーム部材64は、先端側が上下方向に移動することにより、給水弁61の接続支持部611を上下方向に移動させて、給水弁61を作動させる。操作アーム部材64は、上下方向に交差する方向に延びる。操作アーム部材64は、基端側が給水弁61に接続され、先端側がフロート部材63のフロート側アーム部632に係合されている。操作アーム部材64は、フロート部材63の上下方向の移動に連動して基端側を支点として上下方向に移動する。
【0056】
給水弁61は、図2に示すように、給水管501に設けられる。給水弁61は、操作アーム部材64に接続される。操作アーム部材64がフロート部材63の上下方向の移動に連動して移動することで、給水弁61は、洗浄タンク4へ給水を行う開状態又は洗浄タンク4への給水を停止する閉状態に開閉可能である。
【0057】
タンク蓋部42は、図2に示すように、タンク本体41の上面に配置され、タンク本体41の上面を覆う。タンク蓋部42は、第1蓋部43と、第2蓋部44と、を有する。第1蓋部43及び第2蓋部44は、板状に形成され、タンク本体41の上面を覆う。第2蓋部44は、開口部444と、一対のリブ部445,445と、を有する。開口部444は、図2に示すように、フロート部材63のフロート側アーム部632の上方に形成される。
【0058】
上部カバー8aは、図1に示すように、洗浄タンク4及び他の機能部品を覆うように形成される。
一対の側部カバー8b,8bは、便器本体2aの後方の左右方向の両側の側部を塞ぐように形成される。一対の側部カバー8b,8bの形状は、便器本体2aの左右方向において対称の形状である。
【0059】
以上説明した本実施形態の洗浄タンク4及び便器洗浄装置1によれば、以下のような効果を奏する。
本実施形態の洗浄タンク4においては、洗浄水を貯留する洗浄タンク4であって、底部411と、底部411の周縁から立ち上がる周壁412と、底部411に設けられる排水口11と、排水口11の周縁に設けられる弁座12と、底部411に設けられ、排水口11に連通する流路13と、オーバーフロー管46が接続される開口を有し且つ流路13と連通する接続口14と、を備え、排水口11、弁座12、流路13及び接続口14は、一体的に形成される。
そのため、洗浄タンク4のタンク本体41の底部411において、排水口11、弁座12及び流路13及び接続口14を一体的に形成することで、排水口11、弁座12及び流路13及び接続口14を別部材により形成しなくてよく、オーバーフロー管46に排水口11及び弁座12を設ける必要もない。これにより、洗浄タンク4をこのように構成することで、オーバーフロー構造を簡易に構成できる。よって、オーバーフロー管46を作成するためのコストを低減できる。
【0060】
また、本実施形態の洗浄タンク4においては、流路13は、排水口11と洗浄タンク4の外部とを連通する。
そのため、オーバーフロー管46と排水弁48とを連通する流路13を、排水口11と洗浄タンク4の外部とを連通するように形成できる。これにより、洗浄タンク4を金型を用いて成型する場合に、流路13を容易に形成することができる。
更に、本実施形態においては、流路13は、排水口11から洗浄タンク4の後方に向けて延びる。そのため、流路13を短くすることができる。これにより、流路13を、より容易に形成することができる。
【0061】
また、本実施形態の便器洗浄装置1においては、洗浄タンク4と、接続口14に接続されるオーバーフロー管46と、を備え、オーバーフロー管46は、流路13に配置され、洗浄タンク4の外部への水の流通を止める閉止部464を有する。そのため、閉止部464により、オーバーフロー管46から流路13に流れ込む水を、洗浄タンク4の外部側への水の流れを止めて、排水口11側に導くことができる。また、オーバーフロー管46が閉止部464を有するため、オーバーフロー管46を洗浄タンク4の底部411に接続するだけで、オーバーフロー管46から流路13に流れ込む水を排水口11側に導くと共に、閉止部464により、流路13において洗浄タンク4の外部への水の流通を止めることができる。また、オーバーフロー管46が閉止部464を有するため、流路13を閉止するための他の構成や他の部材を設けなくてよい。
【0062】
また、本実施形態においては、洗浄タンク4と、弁座12に当接する位置と弁座12から離間する位置との間を回動可能(移動可能)に構成され、排水口11を開閉する排水弁48と、オーバーフロー管本体461と、排水弁48を回動可能(移動可能)に支持する排水弁支持部45と、を有するオーバーフロー管46と、を備え、オーバーフロー管本体461及び排水弁支持部465は、一体的に形成される。そのため、オーバーフロー管46に排水弁支持部45を設けることで、排水弁48を支持する構造を洗浄タンク4側に設けなくてよい。
【0063】
以上、本発明の洗浄タンク4及び便器洗浄装置1の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
例えば、前記実施形態では、オーバーフロー管46は、流路13に配置され便器洗浄タンク4の外部への水の流通を止める閉止部464を備える構成としたが、これに限定されない。オーバーフロー管46は、流路13に配置される閉止部464を備えなくてもよい。本実施形態に係る便器洗浄装置1においては、洗浄タンク4の下方には、図3及び図4に示すように、ベースプレート3が配置されている。そのため、流路13に閉止部464を配置しなくても、流路13から流れる水は、ベースプレート3に受け止められる。ベースプレート3に受け止められた水は、ベースプレート3に形成された導出開口部(図示せず)を介して、便器本体2aの内部に導出される。
【0064】
また、前記実施形態では、流路13を水平方向に延びるように形成したが、これに限定されない。流路13を斜め方向に延びるように形成してもよい。
【符号の説明】
【0065】
1 便器洗浄装置
4 洗浄タンク(便器洗浄タンク)
11 排水口
12 弁座
13 流路
14 接続口(オーバーフロー管用接続部)
46 オーバーフロー管
48 排水弁
411 底部
412 周壁(外壁)
461 オーバーフロー管本体
464 閉止部
465 排水弁支持部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8