(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6649087
(24)【登録日】2020年1月20日
(45)【発行日】2020年2月19日
(54)【発明の名称】印刷版からプレート要素に印刷するための印刷ユニット、及びこのような印刷ユニットを含む加工機械
(51)【国際特許分類】
B41F 27/12 20060101AFI20200210BHJP
B41F 13/42 20060101ALI20200210BHJP
【FI】
B41F27/12 B
B41F13/42
【請求項の数】10
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-550010(P2015-550010)
(86)(22)【出願日】2013年12月19日
(65)【公表番号】特表2016-505425(P2016-505425A)
(43)【公表日】2016年2月25日
(86)【国際出願番号】EP2013003865
(87)【国際公開番号】WO2014101992
(87)【国際公開日】20140703
【審査請求日】2015年8月25日
【審判番号】不服2017-11184(P2017-11184/J1)
【審判請求日】2017年7月27日
(31)【優先権主張番号】1262955
(32)【優先日】2012年12月28日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】514053077
【氏名又は名称】ボブスト リヨン
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(72)【発明者】
【氏名】ガヴェグリア セルジュ
(72)【発明者】
【氏名】ペルネ レミー
【合議体】
【審判長】
尾崎 淳史
【審判官】
吉村 尚
【審判官】
畑井 順一
(56)【参考文献】
【文献】
特開2004−74639(JP,A)
【文献】
特開2007−223208(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41F 27/12
B41F 13/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転自在に取り付けられた少なくとも1つの版胴(6)を有し、最初に少なくとも1つの前の印刷版(11)を担持し、その後に少なくとも1つの後の印刷版(12)を担持するのに適した、移送システム(2)によって搬送されるプレート要素上に印刷版(11、12)から印刷を行うための印刷ユニット(3、4)であって、
− 前記前の印刷版(11)を用いた印刷中、及び前記前の印刷版(11)の巻き外し中に、前記後の印刷版(12)を、前記後の印刷版(12)が前記版胴(6)の直近に配置されるスタンバイ構成で支持し、前記後の印刷版(12)の前記版胴(6)上への巻き付け中に、前記後の印刷版(12)を、前記後の印刷版(12)の一部が前記後の印刷版(12)の下部において前記版胴(6)に取り付けられる係合構成で支持するのに適した1次支持部(22)と、
− 前記版胴(6)から巻き外された前記前の印刷版(11)を支持するのに適した2次支持部(41)と、
を備え、前記1次支持部(22)は、少なくとも、
− 前記後の印刷版(12)を前記スタンバイ構成で懸架する1次固定部材(24)と、
− 前記後の印刷版(12)を前記係合構成で懸架する1次固定機構(31)と、
をさらに有し、
前記2次支持部(41)は、前記前の印刷版(11)を懸架する2次固定部材(44)を更に備え、
前記印刷ユニットは、前記前の印刷版(11)を、前記2次支持部(41)上に置くとともに、その上部において前記2次固定部材(44)で保持して懸架させるように構成され、前記後の印刷板(12)を、前記1次支持部(22)上に置くとともに、その上部において前記1次固定部材(24)で、その後前記1次固定機構(31)で保持して懸架させるように構成され、
前記1次支持部(22)は、前記後の印刷版(12)を実質的に1次平面(P28)内に支持するのに適した1次パネル(28)を備え、
前記2次支持部(41)は、前記前の印刷版(11)を支持するのに適した2次パネル(48)を備え、
前記2次パネル(48)は、前記1次パネル(28)に対して実質的に平行に延び、前記1次支持部(22)及び前記2次支持部(41)は、組立体を形成し、
前記1次固定機構(31)は、
− 前記係合構成と、前記後の印刷版(12)が前記1次固定機構(31)に懸架されていない非係合構成との間で枢動可能であり、
− 前記版胴(6)と実質的に平行な枢動方向を中心に枢動できるヒンジと、
− 次の印刷版(12)を前記1次固定機構(31)に懸架するために、前記後の印刷版(12)が前記1次固定機構(31)から懸架が外れた後、前記1次固定機構(31)を前記係合構成から前記非係合構成に戻すように設計された弾性付勢部材(32)と、
を有する、
ことを特徴とする印刷ユニット。
【請求項2】
前記1次固定部材(24)は、前記後の印刷版(12)に結合された少なくとも1つのフック(12.1)と相補形状によって係合されるのに適している、
ことを特徴とする請求項1に記載のユニット。
【請求項3】
前記1次固定部材(24)は、前記版胴(6)の円筒軸(Y6)と実質的に平行に延びるタブによって形成され、該タブは、前記印刷ユニット(3、4)の稼働中に短い方の部分が上を指すL字形の断面を有する、
ことを特徴とする請求項2に記載のユニット。
【請求項4】
前記1次支持部(22)は、前記後の印刷版(12)を、垂直方向(Z)に対して5°〜30°の状態にある1次角度(A28)で傾斜する1次平面(P28)内に実質的に支持するのに適した1次パネル(28)を有する、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のユニット。
【請求項5】
前記2次支持部(41)は、前記前の印刷版(11)を支持するのに適し、前記1次パネル(28)と実質的に平行に延び、且つ前記1次パネル(28)の上方に突出するように設計された2次パネル(48)を有する、
ことを特徴とする請求項4に記載のユニット。
【請求項6】
前記1次支持部(22)は、前記後の印刷版(12)を前記版胴(6)に向かって摺動させるように設計されたガイド部を含むガイド手段を有し、前記係合構成において前記版胴(6)に取り付けられた前記後の印刷版(12)の部分は、該後の印刷版(12)の下部(12.2)である、
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のユニット。
【請求項7】
前記ガイド部は、前記後の印刷版(12)が通過するのに適した間隙(28.29)を前記1次パネル(28)との間に定めるように、前記1次パネル(28)と実質的に平行に配置された1次プレート(29)を有する、
ことを特徴とする請求項6に記載のユニット。
【請求項8】
前記版胴(6)は、前記後の印刷版(12)を前記版胴(6)上に前記係合構成でロックするのに適したロック装置(60)をさらに有し、前記印刷ユニット(3、4)は、オペレータ(O)が、前記前の印刷版(11)を巻き外すために前記ロック装置(60)を非作動にし、その後に前記後の印刷版(12)を前記版胴(6)上に固定するために前記ロック装置(60)を作動することを行えるように構成された制御装置(70)をさらに備える、
ことを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載のユニット。
【請求項9】
前記版胴(6)を覆う安全位置と、前記版胴(6)を少なくとも部分的に露出させる係合位置との間で移行できるように設計された安全フード(80)をさらに備える、
ことを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載のユニット。
【請求項10】
少なくとも1つの移送システム(2)を備えた、プレート要素を加工するための機械であって、請求項1から9のいずれか1項に記載の少なくとも1つの印刷ユニット(3、4)を備える、
ことを特徴とする機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移送システムによって搬送されるプレート要素上に印刷版から印刷を行うための印刷ユニットに関する。本発明は、このような印刷ユニットを含む加工機械にも関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、厚紙シートなどのプレート要素を加工して梱包箱を形成する分野に適用することができる。特に、本発明は、加工機械に、とりわけ印刷、切断及び折り曲げ/糊付けを同時に行う機械に適用することができる。
【0003】
プレート要素という用語は、印刷層を受け取って包装容器を形成するのに適した、紙、厚紙又はポリマーなどの少なくとも1つの材料で作製された全体的に平坦な製品を意味する。従って、プレート要素という用語は、厚紙シート、段ボール、積層段ボール、厚紙板、並びにポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)及び二軸延伸ポリプロピレン(BOPP)などの軟質プラスチックを意味する。
【0004】
欧州特許第0686503号には、移送システムによって搬送される厚紙シート上に印刷版から印刷を行うためのフレキソ印刷ユニットが開示されている。この印刷ユニットは、円筒軸を中心に回転できるように取り付けられた版胴を含む。この版胴は、最初に前の印刷版を担持し、その後に後の印刷版を担持するのに適する。稼働中、版胴は、厚紙シート上に付着させるインクで覆われる。移送システムは、厚紙シートを印刷ユニット内に搬送し、各厚紙シートは、インクで覆われた版胴に押し付けられる。
【0005】
前の及び後のという用語は、生産段階中の時間的順序を示す相対語である。従って、印刷ユニットの稼働中、版胴は、印刷を行うために前の印刷版を最初に搬送し、その後に次の印刷を行うために後の印刷版を搬送する。その後は、別の後の印刷版が使用されるので、上記の後の印刷版は、版胴によって運ばれる際には前の印刷版になる。
【0006】
厚紙シート上の印刷パターンを変更するには、版胴に巻かれた前の印刷パターンを定める前の印刷版を、後の異なる印刷パターンを定める後の印刷版に交換する必要がある。これを行うために、オペレータは、印刷ユニットの上に登り、前の印刷版を除去し、印刷ユニットから降り、前の印刷版を加工機械の脇に置き、後の印刷版を持ち上げ、再び印刷ユニットの上に登って後の印刷版を配置することを連続的に行わなければならない。時には、第1のオペレータを支援するために第2のオペレータが参加することもある。
【0007】
前の印刷版及び後の印刷版は大型であり、通常は、しばしば辺の長さが1m又は2mをも上回る矩形の形を取る。これらの印刷版は、相当に重い可撓性材料で作製される。この結果、オペレータがこれらの印刷版を取り扱うことは容易でない。
【0008】
従って、印刷ユニット内の前の印刷版を交換するには、比較的長い時間が掛かる。この交換時間は、加工機械の停止時間のかなりの割合を成す。現在では、特に印刷版の交換が頻繁に行われる多くの短い稼働を行う加工機械では、停止時間が長いと機械の生産量及び収益性が低下する。逆に、これらの交換が頻繁に行われる時に、印刷版の交換に2人のオペレータを参加させると生産コストがさらに増加する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】欧州特許第0686503号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、特に、上述した問題点を完全に又は部分的に解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
これを行うために、本発明の主題は、移送システムによって搬送されるプレート要素上に印刷版から印刷するための印刷ユニットである。この印刷ユニットは、最初に少なくとも1つの前の印刷版を担持し、その後に少なくとも1つの後の印刷版を担持するのに適した、回転自在に取り付けられた少なくとも1つの版胴を含む。この印刷ユニットは、
− 前の印刷版を用いた印刷中、及び前の印刷版の巻き外し中に、一部が版胴に取り付けられた後の印刷版をスタンバイ構成で支持し、後の印刷版の版胴上への巻き付け中に、後の印刷版を係合構成で支持するのに適した1次支持部と、
− 版胴から巻き外された前の印刷版を支持するのに適した2次支持部と、
を含む。
【0012】
この印刷ユニットは、1次支持部が、少なくとも、
− 後の印刷版をスタンバイ構成で固定する1次固定部材と、
− 後の印刷版を係合構成で固定する1次固定機構と、
を含むことを特徴とする。
【0013】
従って、このような印刷ユニットは、オペレータが大型のプレートを独力で配置できるようにする。前の印刷版を交換するのに必要なオペレータの人数が最低限に抑えられ、前の印刷版を交換するのに掛かる時間も短縮される。このことは、印刷版の交換が頻繁に行われる多くの短い稼働を行う加工機械にとって特に有利である。
【0014】
本発明の実施形態によれば、1次固定部材は、後の印刷版に結合された少なくとも1つのフックと相補形状を通じて協働するのに適している。従って、このような1次固定部材は、オペレータが後の印刷版を極めて迅速に1次支持部に固定できるようにする。
【0015】
本発明の実施形態によれば、1次固定部材は、円筒軸と実質的に平行に延びるタブによって形成され、このタブは、印刷ユニットの稼働中に上を指すL字形の断面を有する。従って、このようなタブは、低重量かつ低コストの1次固定部材を作製できるようにする。この実施形態の代替例として、締付部材、磁石、電磁石、吸着力又は静電力などによって1次固定部材を形成することもできる。
【0016】
代替の実施形態によれば、2次支持部は、前の印刷版に結合された少なくとも1つのフックと相補形状を通じて協働するのに適した2次固定部材を含む。従って、このような2次固定部材は、オペレータが前の印刷版を極めて迅速に2次支持部に固定できるようにする。この代替の実施形態では、2次部材が、印刷ユニットの稼働中に上を指すL字形の断面を有するタブによって有利に形成される。従って、このようなタブは、低重量かつ低コストの1次固定部材を作製できるようにする。
【0017】
本発明の実施形態によれば、1次固定機構は、後の印刷版の係合構成と、後の印刷版の非固定構成との間で移行することができる。1次固定機構は、版胴と実質的に平行な枢動方向を中心に枢動できるようにするヒンジと、後の印刷版が版胴上に巻かれた後に、1次固定機構を非固定構成から係合構成に付勢するように構成された弾性付勢部材とを有する。
【0018】
換言すれば、版胴によってもたらされる牽引力の方が弾性付勢部材の力よりも大きいので、後の印刷版を引っ張って1次固定機構から自動的に解放するのは版胴の回転である。この弾性付勢部材は、後の印刷版が版胴上に巻かれた後、1次固定機構を、オペレータが新たな後の印刷版を固定できるスタンバイ構成に戻す。
【0019】
この実施形態の代替例によれば、弾性付勢部材は、螺旋ねじりばねによって形成される。従って、このような螺旋ねじりばねは、低重量かつ低コストの弾性付勢部材を作製できるようにする。
【0020】
ある実施形態によれば、1次支持部は、後の印刷版を、垂直方向に対して5度〜30度の状態にある1次角度で傾斜する1次平面内に実質的に支持するのに適した1次パネルを有する。従って、このような1次支持部は、プレート要素の移送方向においてコンパクトであり、これによって印刷ユニットの容量が減少する。
【0021】
本発明の実施形態によれば、1次支持部は、スタンバイ構成において、後の印刷版の下部が版胴から50mm未満の距離に、好ましくは30mm未満の距離に存在するように設計される。従って、このような1次支持部は、後の印刷版を版胴の直近に配置できるようにし、これによってスタンバイ構成と係合構成との間で移行するのに必要な時間が最小化される。
【0022】
本発明の実施形態によれば、2次支持部は、前の印刷版を支持するのに適した2次パネルを含み、この2次パネルは、1次パネルと実質的に平行に延び、1次パネルと垂直に測定した2次パネルと1次パネルとの間の距離は、100mm未満、好ましくは50mm未満であり、2次パネルは、印刷ユニットの稼働中に1次パネルの上方に突出するように設計される。従って、1次支持部及び2次支持部によって形成される組立体は、プレート要素の移送方向において特にコンパクトである。さらに、2次パネルが突出しているので、オペレータは、前の印刷版を2次パネルに容易に固定することができる。
【0023】
本発明の実施形態によれば、ガイド手段は、後の印刷版を版胴に向かって摺動させるように設計されたガイド部をさらに含み、係合構成において版胴に取り付けられる後の印刷版の部分は、後の印刷版の下部である。従って、このようなガイド手段は、後の印刷版を、版胴上に巻かれるようにする目的で正確に位置決めできるようにする。
【0024】
本発明の実施形態によれば、ガイド部は、後の印刷版が通過するのに適した間隙を1次パネルとの間に定めるように、1次パネルと実質的に平行に配置された1次シートを有する。従って、このような1次シートは、低コストかつ低容量のガイド手段を形成する。
【0025】
本発明の実施形態によれば、版胴は、後の印刷版を版胴上に係合構成でロックするのに適した、好ましくは後の印刷版に空気圧作用をもたらすのに適したロック装置をさらに有し、印刷ユニットは、オペレータが、前の印刷版を巻き外すためにロック装置を非作動にし、その後に後の印刷版を版胴上に固定するためにロック装置を作動することを連続的に行えるように構成された制御装置をさらに備える。
【0026】
換言すれば、ロック解除後には、版胴が惰性で回転し、オペレータは、前の印刷版を版胴から引き離すことによって前の印刷版11の巻き外しを終えることができる。従って、このようなロック装置及びこのような制御装置は、オペレータが前の印刷版を容易に交換できるようにし、これによって前の印刷版を交換するのに掛かる時間が短縮される。実際、制御装置は、ロック装置を非作動にするために、従って前の印刷版をロック解除するためにオペレータが押すスイッチボタンを含むことができる。従って、このようなロック装置は、版胴との間の前の印刷版又は後の印刷版の取り付け又は取り外しを素早く行えるようにする。
【0027】
本発明の実施形態によれば、印刷ユニットは、版胴を覆う安全位置と、版胴を少なくとも部分的に露出させる係合位置との間で移行できるように設計された安全フードをさらに備える。従って、このような安全フードは、生産中における、換言すれば版胴の回転中におけるオペレータの安全を保証する。その後、安全フードが格納されると、オペレータは、版胴にアクセスして前の印刷版を交換できるようになる。
【0028】
本発明の代替の実施形態によれば、安全フードの移行は、印刷ユニットが移送システムから離れた時点で自動的に行われる。実際、印刷ユニットは、カム及び歯車付モータから成る機構により、版胴と共に移送システムの上方に上昇することができる。
【0029】
さらに、本発明の主題は、プレート要素を加工するための、移送システムを含む印刷機などの加工機械であり、この加工機械は、本発明による少なくとも1つの印刷ユニットを備えることを特徴とする。従って、このような加工機械は、大型の印刷版にも関わらず、1人のオペレータによって制御することができる。従って、本発明は、前の印刷版を交換するのに必要なオペレータの人数を最小限に抑え、前の印刷版を交換するのに掛かる時間を短縮することができる。このことは、印刷版の交換が頻繁に行われる多くの短い稼働を行う加工機械にとって特に有利である。
【0030】
上述した実施形態及び代替の実施形態は、個別に採用することも、或いはいずれかの技術的に許容できる組み合わせで採用することもできる。
【0031】
非限定的な例として示す、添付図面を参照しながら行う以下の説明を読めば、本発明がより明確に理解されるとともに、その利点も明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】本発明による2つの印刷ユニットを含む、本発明による加工機械の一部の斜視図である。
【
図5】
図1の印刷ユニットの一方を示す、
図4の細部Vの拡大図である。
【
図9】
図5の印刷ユニットの一部を示す、後の印刷版が係合構成にある
図8の平面IXの断面図である。
【
図10】
図5の印刷ユニットの一部を示す、係合構成の次の位置にある
図9と同様の図である。
【
図11】
図5の印刷ユニットに属する版胴の斜視図である。
【
図12】前の印刷版を引き抜いて巻き外し、後の印刷版を係合させて巻き付ける段階を示す
図5の印刷ユニットの斜視図である。
【
図13】前の印刷版を引き抜いて巻き外し、後の印刷版を係合させて巻き付ける段階を示す
図5の印刷ユニットの斜視図である。
【
図14】前の印刷版を引き抜いて巻き外し、後の印刷版を係合させて巻き付ける段階を示す
図5の印刷ユニットの斜視図である。
【
図15】前の印刷版を引き抜いて巻き外し、後の印刷版を係合させて巻き付ける段階を示す
図5の印刷ユニットの斜視図である。
【
図16】前の印刷版を引き抜いて巻き外し、後の印刷版を係合させて巻き付ける段階を示す
図5の印刷ユニットの斜視図である。
【
図17】前の印刷版を引き抜いて巻き外し、後の印刷版を係合させて巻き付ける段階を示す
図5の印刷ユニットの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1〜
図11に、プレート要素を加工するための、印刷、折り曲げ及び接着を行うタイプの加工機械1の一部を示す。この場合、プレート要素は厚紙シートとすることができる。
【0034】
加工機械1は、移送システム2と、2つの印刷ユニット3及び4とを備え、これらは
図1、
図3及び
図4で確認することができる。印刷ユニット3及び4は、フレキソ印刷ユニットである。印刷ユニット3及び4は、フレキシブル印刷版から厚紙シート(図示せず)上に印刷を行うように意図される。
【0035】
これらの厚紙シートは、移送システム2によっていわゆる押し込み方向又は長手方向Xに搬送される。これを行うために、移送システム2は、移送ベルトと、移送ベルトを駆動するための部材とを有する。
【0036】
印刷ユニット3及び4は同様のものであるため、以下では印刷ユニット4のみについて説明する。印刷ユニット4は、円筒軸Y6を中心に回転できるように取り付けられた版胴6を有する。版胴6の稼働中、円筒軸Y6は、長手方向Xに垂直な横方向Yに平行である。
【0037】
図12〜
図17のシーケンスに示すように、版胴6は、特に
図13と
図16の比較によって示すように、最初に少なくとも1つのいわゆる前の印刷版11を担持し、その後に少なくとも1つのいわゆる後の印刷版12を担持するのに適する。
【0038】
版胴6は、約15m幅の前の印刷版11及び後の印刷版12を担持するのに適する。版胴6は、円筒軸Y6に沿って測定した約2.2mの幅L6を有する。生産中、版胴6は、印刷すべき各厚紙シート上にインクを転写するために回転する。
図1〜
図17の例では、版胴6が単一のロールを含む。
【0039】
印刷ユニット4は、オペレータOが、前の印刷版11及び後の印刷版12の取り扱いと印刷ユニット4の制御とを行えるように設計された通路Pも有する。
【0040】
印刷ユニット4は、版胴6上に後の印刷版12が巻かれる(
図12〜
図15)前に後の印刷版12を支持するのに適した1次支持部22も有する。さらに、印刷ユニット4は、前の印刷版11が版胴6から巻き外された(
図15〜
図17)後に前の印刷版11を支持するのに適した2次支持部41も有する。
【0041】
1次支持部22は、前の印刷版11から印刷が行われている時間の全部又は一部にわたって、及び前の印刷版11が巻き外されている間に、後の印刷版12をいわゆるスタンバイ構成(
図12、
図13及び
図14)で支持するのに適する。1次支持部22は、後の印刷版12が版胴6上に巻かれている最中であって、後の印刷版12の一部が版胴6に取り付けられている間に、後の印刷版12をいわゆる係合構成(
図15)で支持するのに適する。
【0042】
図2及び
図7に示すように、1次支持部22は、後の印刷版12をスタンバイ構成で固定するための1次固定部材24を含む。1次固定部材24は、後の印刷版12に結合されたフック12.1と相補形状を通じて相互作用するのに適する。
図9及び
図10で確認できるフック12.1は、後の印刷版12の上縁部に配置される。
【0043】
1次固定部材24の目的は、後の印刷版12をスタンバイ構成で懸架されるように固定することである。従って、1次固定部材24は、オペレータOが後の印刷版12を1次支持部22に極めて迅速に固定できるようにする。
【0044】
ここでは、1次固定部材24が、円筒軸Y6と実質的に平行に延びるタブによって形成されている。このタブは、印刷ユニット4の稼働中(
図12〜
図17)に上を指すL字形の断面を有する。
【0045】
同様に、2次支持部41は、前の印刷版11に結合された少なくとも1つのフックと相補形状を通じて相互作用するのに適した2次固定部材44を含む。2次固定部材44は、オペレータOが前の印刷版11を2次支持部41に極めて迅速に固定できるようにする。
【0046】
図2及び
図6に示すように、ここでは、2次固定部材44が、印刷ユニット4の稼働中に上を指すL字形の断面を有するタブによって形成されている。
【0047】
図1〜
図17の例では、1次支持部22が、後の印刷版12を係合構成で固定するための1次固定機構31も含む。1次固定機構31は、後の印刷版12の係合構成と、後の印刷版12の未固定構成との間で移行することができる。
【0048】
1次固定機構31はヒンジ式であり、版胴6と実質的に平行な、すなわち横方向Yと実質的に平行な枢動方向Y31を中心に枢動できるようにヒンジを含む。
図8に示すように、ここでは、1次固定機構31が、印刷ユニット4の稼働中に上を指すフックを備えたタブによって形成されている。
【0049】
さらに、ここでは、ヒンジ式の1次固定機構31が、後の印刷版12が版胴6上に巻かれた後に、この同じ1次固定機構31を固定構成から係合構成(
図15)に戻すように設計された弾性付勢部材32を含む。ここでは、弾性付勢部材32が、螺旋ねじりばねによって形成されている。
【0050】
ヒンジY31は、1次固定機構31を、係合構成(
図9)に対応する位置と、後の印刷版12が解放されて(
図10)1次固定機構31のフック状のタブがもはや後の印刷版12を保持していない位置との間で枢動させる。後の印刷版12が解放された後には、弾性付勢部材32が、1次固定機構31を係合構成に戻す。
【0051】
1次支持部22は、後の印刷版12を実質的に1次平面P28内に支持するのに適した1次パネル28をさらに含む。
図5に示すように、1次平面P28は、垂直方向Zに対して5度〜30度、好ましくは約10度の状態にある1次角度A28だけ傾斜する。従って、後の印刷版12は、1次固定部材24から解放された後に1次パネル28上で摺動することができる。
【0052】
図14に示すように、1次支持部22は、後の印刷版12の下部12.2がスタンバイ構成において版胴6から0mmの距離に位置するように設計される。換言すれば、下部12.2は、版胴6と位置合わせされる。従って、1次支持部22は、後の印刷版12を版胴6の直近に配置できるようにし、これによって後の印刷版12をスタンバイ構成(
図14)と係合構成(
図15)との間で移行させるのに必要な時間が最小化される。後の印刷版12を取り付けるのに必要な時間を最小化するために、版胴6は、後の印刷版12の下部12.2の位置と実質的に一致する角位置に保持される。この角位置では、版胴6が、後の印刷版12を直接受け入れる状態にある。
【0053】
2次支持部41は、前の印刷版11を支持するのに適した2次パネル48を含む。2次パネル48は、1次パネル28と実質的に平行に延びる。ここでは、1次パネル28と垂直に測定した2次パネル48と1次パネル28との間の距離48.28が約30mmである。さらに、
図5に示すように、2次パネル48は、印刷ユニット4の稼働中に1次パネル28の上方に突出するように設計される。
【0054】
従って、1次支持部22及び2次支持部41によって形成される組立体は、厚紙シートの移送方向Xにおいて特にコンパクトである。さらに、2次パネル48が突出しているので、オペレータOは、前の印刷版11を2次パネル48に容易に固定することができる。
【0055】
図1〜
図17の例では、1次パネル28及び2次パネル48が、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)で作製される。従って、1次パネル及び2次パネルを強固で透明なものとすることができ、これによってオペレータOが後の印刷版12を確認しながら位置決めすることが容易になる。
【0056】
1次支持部22は、後の印刷版12を版胴6に向かって摺動させるように設計されたガイド部を有するガイド手段をさらに含む。係合構成(
図15)では、後の印刷版12が、その下部12.2によって版胴に取り付けられる。下部12.2と版胴6は一致しているので、後の印刷版12を、版胴6上に巻かれるようにする目的で(
図16)非常に正確に位置決めすることができる。
【0057】
図5に示すように、ここでは、これらのガイド部が、後の印刷版12が通過するのに適した間隙28.29を1次パネル28との間に定めるように1次パネル28と実質的に平行に配置された1次プレート29を含む。後の印刷版12は、版胴6に向かって摺動する時に間隙28.29を通過する。
【0058】
図1〜
図17の例では、スタンバイ構成(
図14)と係合構成(
図15)との間における後の印刷版12の動きが比較的長い。或いは、ガイド手段を、後の印刷版12を非常に短い動きでガイドするように設計することもでき、この代替の実施形態では、スタンバイ構成と係合構成が互いに近く、一致することもできる。
【0059】
この代替の実施形態では、ガイド手段が、後の印刷版12をもっぱらスタンバイ構成(
図14)から係合構成16に向かう動きで導くのに適することが有利である。従って、ガイド手段は、係合構成からスタンバイ構成に戻る動きを行うように設けられないので、比較的単純である。
【0060】
版胴6は、係合構成(
図15)において後の印刷版12を版胴6上にロックするのに適したロック装置60をさらに含む。ロック装置60については、欧州特許第0686503号に詳細に記載されている。この場合、ロック装置60は、後の印刷版12に空気圧作用をもたらす。
【0061】
図2及び
図5に示すように、印刷ユニット4は、オペレータOが、前の印刷版11を巻き外すためにロック装置60を非作動にし、その後に後の印刷版12を版胴6上に固定するためにロック装置60を作動することを連続的に行えるように構成された制御装置70をさらに含む。
【0062】
従って、ロック解除後には、版胴6が惰性で回転し、オペレータOは、前の印刷版11を版胴6から引き離すことによって前の印刷版11の巻き外しを終えることができる。ここでは、制御装置70が、ロック装置60を非作動にするために、従って前の印刷版11をロック解除するためにオペレータOが押すスイッチボタンを含む。
【0063】
印刷ユニット4は、版胴6を覆う安全位置(
図12又は
図17)と、版胴6を露出させる係合位置(
図13〜
図16)との間で移行できるように設計された安全フード80をさらに含む。
【0064】
安全フード80は、生産中における、換言すれば版胴6の回転中におけるオペレータの安全を保証する。
【0065】
安全フード6が格納されると、オペレータOは、前の印刷版11を交換するために版胴6にアクセスできるようになる。
【0066】
安全フード80の移行は、印刷ユニット4が移送システム2から離れた時点で自動的に行うことができる。実際、印刷ユニット4は、カム及び歯車付モータから成る機構により、版胴6と共に移送システム2の上方に上昇することができる。
【0067】
稼働時には、当初、加工機械1は、移送システム2が印刷ユニット4内の厚紙シートをインクで覆われた版胴6に接触させる生産段階にある。この生産段階では、印刷ユニット4が低い位置に存在し、版胴6は移送システム2と同じ高さに存在する。
【0068】
印刷パターンを変更するには、オペレータOが、以下のステップに従って前の印刷版11を後の印刷版12と交換する必要がある。
− 生産段階中、補助作業として、オペレータOは、後の印刷版12を持って通路Pに登る。安全フード80は閉じられる。
− オペレータOは、後の印刷版12を1次固定部材24に固定することにより、後の印刷版12をスタンバイ構成で導入する(
図12)。
− オペレータOは、生産を中断し、印刷ユニット4の上昇を移送システム2に対する上昇位置に向けて制御する。安全フード80の開放は自動的に制御され、例えば印刷ユニット4の上昇によってサーボ制御される(
図13)。
− オペレータOは、前の印刷版11を版胴6から離脱させるように、制御装置70を用いてロック装置60を非作動にする。
− オペレータOは、前の印刷版11を巻き外した後に2次パネル48上に載置して、2次固定部材44に固定する(
図14)。
− オペレータOは、後の印刷版12をスタンバイ構成から係合構成に移行させる(
図15)。これを行うために、オペレータOは、後の印刷版12を1次固定部材24から解放し、その後に1次固定機構31に固定する。
− オペレータOは、後の印刷版12の下部12.2を版胴6上に配置する。後の印刷版12の重量は、1次パネル28によって支持される。
− オペレータOは、後の印刷版12を版胴6に固定して後の印刷版12が版胴6上に巻かれるようにするために、制御装置70を用いてロック装置60を作動させる。後の印刷版12が版胴6上に巻かれている間、後の印刷版12の上部は1次パネル28に沿って摺動する。
− オペレータOは、制御装置70を用いて版胴6の回転を制御し、これによって後の印刷版12の版胴6上への巻き付けを完了させる。版胴6の回転は、後の印刷版12に牽引力T6(
図9及び
図10)を作用させ、この牽引力T6は、弾性付勢部材32によってもたらされるトルクよりも大きいので、これによって後の印刷版12が1次固定機構31から自動的に解放される。
− オペレータOは、後の印刷版12の上部を版胴6に固定するために、制御装置70を用いてロック装置60を作動させる(
図16)。後の印刷版12が版胴6上に巻かれた後、弾性付勢部材32は、1次固定機構31を、オペレータOが新たな後の印刷版12を固定できるスタンバイ構成に戻す(
図8)。
− オペレータOは、印刷ユニット4の下降を、版胴6が移送システム2と同じ高さになる生産位置に制御する。安全フード80の閉鎖は自動的に制御され、例えば印刷ユニット4の下降によってサーボ制御される(
図17)。
【0069】
加工機械1は、後の印刷版12のデザインを次の厚紙シートに印刷するために再び製品を生産することができる。
【0070】
従って、印刷ユニット4は、オペレータOが大型の前の印刷版11を独力で引き抜き、大型の後の印刷版12を独力で配置できるようにすることができる。