特許第6649103号(P6649103)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6649103
(24)【登録日】2020年1月20日
(45)【発行日】2020年2月19日
(54)【発明の名称】画像データ生成装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 29/38 20060101AFI20200210BHJP
   B41J 21/00 20060101ALI20200210BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20200210BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20200210BHJP
   G06F 3/12 20060101ALI20200210BHJP
【FI】
   B41J29/38 201
   B41J29/38 204
   B41J21/00 Z
   G03G21/00 370
   H04N1/00 C
   G06F3/12 315
   G06F3/12 344
   G06F3/12 382
【請求項の数】3
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2016-20887(P2016-20887)
(22)【出願日】2016年2月5日
(65)【公開番号】特開2016-172435(P2016-172435A)
(43)【公開日】2016年9月29日
【審査請求日】2019年1月7日
(31)【優先権主張番号】特願2015-53294(P2015-53294)
(32)【優先日】2015年3月17日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000250502
【氏名又は名称】理想科学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(72)【発明者】
【氏名】方波見 英基
【審査官】 上田 正樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−175447(JP,A)
【文献】 特開2001−026343(JP,A)
【文献】 特開2001−031291(JP,A)
【文献】 特開2004−325825(JP,A)
【文献】 特開2005−024749(JP,A)
【文献】 特開平06−297797(JP,A)
【文献】 特開2012−210736(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0251154(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/38
B41J 21/00
G03G 21/00
G06F 3/12
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷ジョブに基づいて画像データを生成する画像データ生成装置であって、
少なくとも印刷装置の複数の給紙トレイに積載される用紙のサイズ、向きおよび用紙残数を含むトレイ情報を取得するトレイ情報取得部と、
前記印刷ジョブに基づいて画像データの印刷ページ数を消耗品使用数として算出する消耗品使用数算出部と、
前記トレイ情報と前記消耗品使用数とに基づいて使用する給紙トレイと画像データの向きを決定し、この決定した向きでラスター画像処理を実行することにより画像データを生成するラスター画像処理部と、
を備え、
前記トレイ情報の内から印刷ジョブにて指定された第1給紙トレイの前記トレイ情報と前記印刷ページ数とに基づいて、
前記ラスター画像処理部は、
前記印刷ページ数が前記第1給紙トレイの用紙残数以下である場合には、
前記印刷ジョブの全印刷ページを前記第1給紙トレイの用紙の向きでラスター画像処理を実行すること
により画像データを生成し、
前記ラスター画像処理部は、
前記印刷ページ数が前記第1給紙トレイの用紙残数より大きい場合には、
前記第1給紙トレイと用紙サイズが同じであって、前記第1給紙トレイとは用紙の向きが異なる第2給紙トレイがあるか否か検索し、
当該第2給紙トレイがある場合は、印刷ジョブの全ページをラスター画像処理するまでの間、
(1)ラスター画像処理により生成される画像データの物理ページ番号が第1給紙トレイの用紙残量以下である場合は、その物理ページ番号の原稿の向きを前記第1給紙トレイの用紙の向きに合わせてラスター画像処理を実行し、
(2)前記画像データの物理ページ番号が前記第1給紙トレイの用紙残量よりも大きくなった場合は、前記第2給紙トレイの用紙の向きに合わせてラスター画像処理を実行すること
により画像データを生成すること
を特徴とする画像データ生成装置。
【請求項2】
印刷ジョブに基づいて画像データを生成する画像データ生成装置であって、
少なくとも印刷装置の複数の給紙トレイに積載される用紙のサイズ、向きおよび用紙残数を含むトレイ情報を取得するトレイ情報取得部と、
前記印刷ジョブに基づいて画像データの印刷ページ数を消耗品使用数として算出する消耗品使用数算出部と、
前記トレイ情報と前記消耗品使用数とに基づいて使用する給紙トレイと画像データの向きを決定し、この決定した向きでラスター画像処理を実行することにより画像データを生成するラスター画像処理部と、
を備え、
前記トレイ情報の内から印刷ジョブにて指定された第1給紙トレイの前記トレイ情報と前記印刷ページ数とに基づいて、
前記ラスター画像処理部は、
前記印刷ページ数が前記第1給紙トレイの用紙残数以下である場合には、
前記印刷ジョブの全印刷ページを前記第1給紙トレイの用紙の向きでラスター画像処理を実行すること
により画像データを生成し、
前記ラスター画像処理部は、
前記印刷ページ数が前記第1給紙トレイの用紙残数より大きい場合には、
前記第1給紙トレイと用紙サイズが同じであって、前記第1給紙トレイとは用紙の向きが異なる第2給紙トレイがあるか否か検索し、
当該第2給紙トレイがある場合は、印刷ジョブの全ページをラスター画像処理するまでの間、
(1)ラスター画像処理により生成される画像データの物理ページ番号が前記第1給紙トレイの用紙残量から所定枚数減算した値以下である場合は、その物理ページ番号の原稿の向きを前記第1給紙トレイの用紙の向きに合わせてラスター画像処理を実行し、
(2)前記画像データの物理ページ番号が前記第1給紙トレイの用紙残量から所定枚数減算した値から前記第1給紙トレイの用紙残量に対し所定枚数加算した値までの場合は、その物理ページ番号の原稿の向きを前記第1給紙トレイおよび前記第2給紙トレイの用紙の向きに合わせてラスター画像処理を実行し、
(3)前記画像データの物理ページ番号が前記第1給紙トレイの用紙残量に対し所定枚数加算した値よりも大きくなった場合は、前記第2給紙トレイの用紙の向きに合わせてラスター画像処理を実行すること
により画像データを生成すること
を特徴とする画像データ生成装置。
【請求項3】
印刷ジョブに基づいて画像データを生成する画像データ生成装置であって、
少なくとも印刷装置の複数の排紙トレイで用いられるステープラのステープル位置、およびステープル針の残数を含むトレイ情報を取得するトレイ情報取得部と、
前記印刷ジョブに基づいてステープルされるステープル数を消耗品使用数として算出する消耗品使用数算出部と、
前記トレイ情報と前記消耗品使用数とに基づいて使用する排紙トレイと画像データの向きを決定し、この決定した向きでラスター画像処理を実行することにより画像データを生成するラスター画像処理部と、
を備え、
第1のステープル位置にステープルするステープラが設けられた第1の排紙トレイと、前記第1のステープル位置とは異なる第2のステープル位置にステープルするステープラが設けられた第2の排紙トレイと、を備え、
前記ラスター画像処理部は、前記消耗品使用数算出部により算出された印刷ジョブにおける前記第1のステープル位置でステープルするのに必要となるステープル数が前記第1のステープル位置におけるステープル針の残数以上であり、前記第2のステープル位置におけるステープル針の残数未満である場合、前記第2の排紙トレイでステープルされる向きに前記画像データの向きを決定し、
前記消耗品使用数算出部により算出された印刷ジョブにおける前記第2のステープル位置でステープルするのに必要となるステープル数が前記第2のステープル位置におけるステープル針の残数以上であり、前記第1のステープル位置におけるステープル針の残数未満である場合、前記第1の排紙トレイでステープルされる向きに前記画像データの向きを決定する
ことを特徴とする画像データ生成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置における印刷中に給紙トレイや排紙トレイを切り替えて印刷を続行する場合でも、印刷速度の低下を防止する画像データ生成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像データ生成装置では、印刷ジョブに基づいてラスター画像処理(Raster Image Processing)を行うことにより、印刷装置が印刷するために必要な画像データを生成する。印刷装置は、A4やA3など複数のサイズの用紙や同一サイズでも向きの異なる用紙を給紙トレイに載置し、画像データに基づいて、適宜給紙トレイを切り替えて用紙に印刷する。
【0003】
そこで、特許文献1には、給紙される用紙の向き等にかかわらず適正な画像生成処理を実行するための画像データ生成装置に関する技術が開示されている。
【0004】
この画像データ生成装置は、印刷ジョブに基づいてラスター画像処理によって生成した画像データを記憶し、給紙トレイから画像生成部に給紙される用紙の向き等を含む給紙状態を検出し、その検出結果に基づいて、記憶した画像データを給紙される用紙の画像生成面の状態に適合するようにて拡大処理や、縮小処理、回転処理を選択的に行う。
【0005】
また、印刷装置には、印刷されて排紙された用紙をステープルするステープル機能を有すものもある。
【0006】
特許文献2には、第1のステープラがステープル可能であると判別した場合、A4用紙に画像を形成させて第1のステープラによりステープル処理を行い、第1のステープラがステープル処理不可能であると判別した場合、A4R用紙(A4用紙に対して90°向きが異なる用紙)に90°回転した画像を形成させて第2のステープラによりステープル処理を行わせる画像形成装置に関する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第4267398号公報
【特許文献2】特開平11−102095号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述の特許文献1に記載された画像データ生成装置では、画像データの印刷に使用していた給紙トレイの用紙がなくなり、他の給紙トレイを切り替えて印刷を続行する際に用紙の向きが変わった場合、画像データの回転処理が発生するため、印刷速度が低下するという問題が発生する。
【0009】
また、上述の特許文献2に記載された画像形成装置においても同様に、使用していた排紙トレイの第1のステープラの針がなくなり、第2のステープラを備える排紙トレイに切り替えてステープルを続行する際にステープルの位置が変わるので、画像データの回転処理が発生するため、印刷速度が低下するという問題が発生する。
【0010】
特に、印刷装置のプロセッサは、PC等のプロセッサと比較すると処理能力が低いため、印刷すべき画像データの解像度が大きい、画像データがカラーである、または用紙のサイズが大きい等により画像データのデータ量が大きい場合、画像データの回転処理に時間を要し、印刷速度が低下することになる。
【0011】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、印刷装置における印刷中に給紙トレイや排紙トレイを切り替えて印刷を続行する場合でも、印刷速度の低下を防止することができる画像データ生成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、本発明に係る画像データ生成装置の第1の特徴は、印刷ジョブに基づいて画像データを生成する画像データ生成装置であって、
印刷装置の複数のトレイ毎で用いられる消耗品に関して少なくとも残数と状態を含むトレイ情報を取得するトレイ情報取得部と、
印刷ジョブに基づいて前記消耗品が使用される消耗品使用数を算出する消耗品使用数算出部と、
前記トレイ情報と前記消耗品使用数とに基づいて使用するトレイと画像データの向きを決定し、この決定した向きでラスター画像処理を実行することにより画像データを生成するラスター画像処理部と、
を備えることにある。
【0013】
また、本発明に係る画像データ生成装置の第2の特徴は、
前記トレイ情報取得部は、前記トレイ情報として、印刷装置の複数の給紙トレイに積載される用紙のサイズ、向きおよび用紙残数を取得し、
前記消耗品使用数算出部は、前記印刷ジョブに基づいて画像データの印刷ページ数を前記消耗品使用数として算出する
ことにある。
【0014】
また、本発明に係る画像データ生成装置の第3の特徴は、
前記トレイ情報の内から印刷ジョブにて指定された第1給紙トレイの前記トレイ情報と前記印刷ページ数とに基づいて、
前記ラスター画像処理部は、
前記印刷ページ数が前記第1給紙トレイの用紙残数以下である場合には、
前記印刷ジョブの全印刷ページを前記第1給紙トレイの用紙の向きでラスター画像処理を実行すること
により画像データを生成し、
前記ラスター画像処理部は、
前記印刷ページ数が前記第1給紙トレイの用紙残数より大きい場合には、
前記第1給紙トレイと用紙サイズが同じであって、前記第1給紙トレイとは用紙の向きが異なる第2給紙トレイがあるか否か検索し、
当該第2給紙トレイがある場合は、印刷ジョブの全ページをラスター画像処理するまでの間、
(1)ラスター画像処理により生成される画像データの物理ページ番号が第1給紙トレイの用紙残量以下である場合は、その物理ページ番号の原稿の向きを前記第1給紙トレイの用紙の向きに合わせてラスター画像処理を実行し、
(2)前記画像データの物理ページ番号が前記第1給紙トレイの用紙残量よりも大きくなった場合は、前記第2給紙トレイの用紙の向きに合わせてラスター画像処理を実行すること
により画像データを生成することにある。
【0015】
また、本発明に係る画像データ生成装置の第4の特徴は、
前記トレイ情報の内から印刷ジョブにて指定された第1給紙トレイの前記トレイ情報と前記印刷ページ数とに基づいて、
前記ラスター画像処理部は、
前記印刷ページ数が前記第1給紙トレイの用紙残数以下である場合には、
前記印刷ジョブの全印刷ページを前記第1給紙トレイの用紙の向きでラスター画像処理を実行すること
により画像データを生成し、
前記ラスター画像処理部は、
前記印刷ページ数が前記第1給紙トレイの用紙残数より大きい場合には、
前記第1給紙トレイと用紙サイズが同じであって、前記第1給紙トレイとは用紙の向きが異なる第2給紙トレイがあるか否か検索し、
当該第2給紙トレイがある場合は、印刷ジョブの全ページをラスター画像処理するまでの間、
(1)ラスター画像処理により生成される画像データの物理ページ番号が前記第1給紙トレイの用紙残量から所定枚数減算した値以下である場合は、その物理ページ番号の原稿の向きを前記第1給紙トレイの用紙の向きに合わせてラスター画像処理を実行し、
(2)前記画像データの物理ページ番号が前記第1給紙トレイの用紙残量から所定枚数減算した値から前記第1給紙トレイの用紙残量に対し所定枚数加算した値までの場合は、その物理ページ番号の原稿の向きを前記第1給紙トレイおよび前記第2給紙トレイの用紙の向きに合わせてラスター画像処理を実行し、
(3)前記画像データの物理ページ番号が前記第1給紙トレイの用紙残量に対し所定枚数加算した値よりも大きくなった場合は、前記第2給紙トレイの用紙の向きに合わせてラスター画像処理を実行すること
により画像データを生成することにある。
【0016】
また、本発明に係る画像データ生成装置の第5の特徴は、
前記トレイ情報取得部は、前記トレイ情報として、印刷装置の複数の排紙トレイで用いられるステープラのステープル位置、およびステープル針の残数を取得し、
前記消耗品使用数算出部は、前記印刷ジョブに基づいてステープルされるステープル数を前記消耗品使用数として算出する
ことにある。
【0017】
また、本発明に係る画像データ生成装置の第6の特徴は、
第1のステープル位置にステープルするステープラが設けられた第1の排紙トレイと、
前記第1のステープル位置とは異なる第2のステープル位置にステープルするステープラが設けられた第2の排紙トレイと、を備え、
前記ラスター画像処理部は、前記消耗品使用数算出部により算出された印刷ジョブにおける前記第1のステープル位置でステープルするのに必要となるステープル数が前記第1のステープル位置におけるステープル針の残数以上であり、前記第2のステープル位置におけるステープル針の残数未満である場合、前記第2の排紙トレイでステープルされる向きに前記画像データの向きを決定し、
前記消耗品使用数算出部により算出された印刷ジョブにおける前記第2のステープル位置でステープルするのに必要となるステープル数が前記第2のステープル位置におけるステープル針の残数以上であり、前記第1のステープル位置におけるステープル針の残数未満である場合、前記第1の排紙トレイでステープルされる向きに前記画像データの向きを決定する
ことにある。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る画像データ生成装置の第1の特徴によれば、トレイ情報と消耗品使用数とに基づいて使用するトレイと画像データの向きを決定し、この決定した向きでラスター画像処理を実行することにより画像データを生成するため、印刷装置における印刷中に給紙トレイや排紙トレイを切り替えて印刷を続行する場合でも、印刷速度の低下を防止することができる。
【0019】
本発明に係る画像データ生成装置の第2の特徴によれば、トレイ情報として、印刷装置の複数の給紙トレイに積載される用紙のサイズ、向きおよび用紙残数を取得し、印刷ジョブに基づいて画像データの印刷ページ数を消耗品使用数として算出するため、特に、印刷装置における印刷中に用紙の向きが異なる給紙トレイに切り替えて印刷を続行する場合でも、印刷速度の低下を防止することができる。
【0020】
また、本発明に係る画像データ生成装置の第3の特徴によれば、
印刷ページ数が第1給紙トレイの用紙残数より大きい場合には、
第1給紙トレイと用紙サイズが同じであって、第1給紙トレイとは用紙の向きが異なる第2給紙トレイがあるか否か検索し、
当該第2給紙トレイがある場合は、印刷ジョブの全ページをラスター画像処理するまでの間、
(1)ラスター画像処理により生成される画像データの物理ページ番号が第1給紙トレイの用紙残量以下である場合は、その物理ページ番号の原稿の向きを第1給紙トレイの用紙の向きに合わせてラスター画像処理を実行し、
(2)画像データの物理ページ番号が第1給紙トレイの用紙残量よりも大きくなった場合は、第2給紙トレイの用紙の向きに合わせてラスター画像処理を実行することにより画像データを生成する。
【0021】
そのため、ラスター画像処理後に、印刷ページ数が印刷ジョブにより指定した第1給紙トレイの用紙残数より大きく、第1給紙トレイから用紙の向きの異なる第2給紙トレイに切り替えて印刷する場合でも、切り替えの際に、画像データの回転処理が不要になり、印刷速度の低下を防止することができる。
【0022】
また、本発明に係る画像データ生成装置の第4の特徴によれば、
(1)ラスター画像処理により生成される画像データの物理ページ番号が第1給紙トレイの用紙残量から所定枚数減算した値以下である場合は、その物理ページ番号の原稿の向きを第1給紙トレイの用紙の向きに合わせてラスター画像処理を実行し、
(2)画像データの物理ページ番号が第1給紙トレイの用紙残量から所定枚数減算した値から第1給紙トレイの用紙残量に対し所定枚数加算した値までの場合は、その物理ページ番号の原稿の向きを第1給紙トレイおよび第2給紙トレイの用紙の向きに合わせてラスター画像処理を実行し、
(3)画像データの物理ページ番号が第1給紙トレイの用紙残量に対し所定枚数加算した値よりも大きくなった場合は、第2給紙トレイの用紙の向きに合わせてラスター画像処理を実行すること
により画像データを生成する。
【0023】
そのため、第1給紙トレイの給紙トレイ情報に含まれる給紙枚数に誤差があった場合でも、第1給紙トレイの用紙残量の前後の所定枚数は縦向きおよび横向き両方の画像データがあるので、用紙の向きが異なる給紙トレイに切り替えて印刷を続行する場合でも、印刷速度の低下を防止することができる。
【0024】
また、本発明に係る画像データ生成装置の第5の特徴によれば、トレイ情報として、印刷装置の複数の排紙トレイで用いられるステープラのステープル位置、およびステープル針の残数を取得し、印刷ジョブに基づいてステープルされるステープル数を消耗品使用数として算出するため、特に、印刷装置における印刷中にステープルの位置が異なる排紙トレイに切り替えて印刷を続行する場合でも、印刷速度の低下を防止することができる。
【0025】
また、本発明に係る画像データ生成装置の第6の特徴によれば、
ラスター画像処理部は、消耗品使用数算出部により算出された印刷ジョブにおける第1のステープル位置でステープルするのに必要となるステープル数が第1のステープル位置におけるステープル針の残数以上であり、第2のステープル位置におけるステープル針の残数未満である場合、第2の排紙トレイでステープルされる向きに画像データの向きを決定し、
前記消耗品使用数算出部により算出された印刷ジョブにおける第2のステープル位置でステープルするのに必要となるステープル数が第2のステープル位置におけるステープル針の残数以上であり、第1のステープル位置におけるステープル針の残数未満である場合、第1の排紙トレイでステープルされる向きに画像データの向きを決定する。
【0026】
そのため、用紙の適切な位置にステープルを行いながら、切り替えの際に、画像データの回転処理が不要になり、印刷速度の低下を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1図1は、本発明に係る画像データ生成装置の第1実施形態の画像データ生成部を有する印刷装置の構成と端末装置との接続の一例を示すブロック図である。
図2図2は、本発明に係る画像データ生成装置の第1実施形態の画像データ生成部の動作を示すフローチャートである。
図3図3は、本発明に係る画像データ生成装置の第1実施形態の画像データ生成部によりラスター画像処理されて生成された画像データの向きを示す図である。
図4図4は、本発明に係る画像データ生成装置の第2実施形態の画像データ生成部の動作を示すフローチャートである。
図5図5は、本発明に係る画像データ生成装置の第2実施形態の画像データ生成部によりラスター画像処理されて生成された画像データの向きを示す図である。
図6図6は、本発明に係る画像データ生成装置の第2実施形態の画像データ生成部によりラスター画像処理されて生成された画像データの向きの他の例を示す図である。
図7図7は、本発明に係る画像データ生成装置の第3実施形態の画像データ生成部の動作を示すフローチャートである。
図8図8は、本発明に係る画像データ生成装置の第3実施形態の画像データ生成部によりラスター画像処理されて生成された画像データの向きを示す図である。
図9図9は、本発明に係る画像データ生成装置の第4実施形態の画像データ生成部を有する印刷装置の構成と端末装置との接続の一例を示すブロック図である。
図10図10は、本発明に係る画像データ生成装置の第4実施形態の画像データ生成部の動作を説明した説明図である。
図11図11は、本発明に係る画像データ生成装置の第4実施形態の画像データ生成部の動作を示すフローチャートである。
図12図12は、本発明に係る画像データ生成装置の第5実施形態の画像データ生成部の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
次に、本発明に係る画像データ生成装置の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0029】
なお、ラスター画像処理(Raster Image Processing)を、以下では、ラスター画像処理として記載する。下記の複数の実施形態では、本発明に係る画像データ生成装置を画像データ生成部として印刷装置に設けて説明するが、本発明では、これに限らず端末装置やラスター画像処理専用装置に設けるようにしても良い。また、下記に説明する複数の実施形態は、あくまで本発明の一例であり、本発明係る画像データ生成装置は、下記に説明する複数の実施形態に限定されるものではない。
【0030】
[第1実施形態]
<画像データ生成部11を有する印刷装置1の構成>
図1は、本発明に係る画像データ生成装置の第1実施形態の画像データ生成部11を有する印刷装置1の構成と端末装置3との接続の一例を示すブロック図である。
【0031】
図1に示すように、本発明に係る画像データ生成装置の第1実施形態の画像データ生成部11を有する印刷装置1は、社内ネットワーク等のネットワーク2を介して各ユーザの端末装置3,3,・・・と接続されている。
【0032】
印刷装置1は、画像データ生成部11と、メモリ12と、HDD(ハードディスクドライブ)13と、印刷処理部14と、給紙部15と、排紙部16と、ネットワークI/F部17等を備える。
【0033】
画像データ生成部11は、CPU(図示せず。)等から構成されており、HDD13に記憶されたプリンタドライバ等のプログラムを実行することにより、本発明に係るトレイ情報取得部11a、ページ数算出部11b(消耗品使用数算出部)およびラスター画像処理部11cとして機能して、端末装置3等から送信されてきた印刷ジョブに基づいて印刷用の画像データを生成する。
【0034】
メモリ12は、画像データ生成部11が処理する各種情報や印刷ジョブ等の各種データを一時的に保存する。
【0035】
HDD13は、画像データ生成部11が本発明に係るトレイ情報取得部11a、ページ数算出部11bおよびラスター画像処理部11cとして機能するためのプリンタドライバや各種アプリケーションプログラム等のプログラムが格納されている。
【0036】
印刷処理部14は、端末装置3が送信してきた画像データや、画像データ生成部11が生成した画像データに基づいて、インクジェット方式や孔版印刷、レーザー印刷方式により消耗品である用紙に対して印刷を行う。
【0037】
給紙部15は、A4やA3等の各種サイズが積載された複数(ここでは、例えば、m(2以上の自然数とする。)個とする。)の給紙トレイ15a1〜15amと、各給紙トレイ15a1〜15amにおける用紙の向きや用紙残量を検出する給紙トレイセンサ15b1〜15bm等を有しており、各給紙トレイ15a1〜15amから各サイズの用紙を“横向き(長辺給紙)”または“縦向き(短辺給紙)”で印刷処理部14へ供給する。
【0038】
排紙部16は、印刷処理部14によって印刷された用紙を排紙する。
【0039】
ネットワークI/F部17は、ネットワーク2を介して各端末装置3,3,・・・に接続する。
【0040】
端末装置3は、各種情報処理を行うPC等で、ネットワーク2を介して印刷装置1へ印刷ジョブを送信する。
【0041】
<第1実施形態の画像データ生成部11の動作>
次に、以上のように構成された本発明に係る画像データ生成装置の第1実施形態の画像データ生成部11の動作を、図面を参照して説明する。
【0042】
図2は、本発明に係る画像データ生成装置の第1実施形態の画像データ生成部11の動作を示すフローチャートである。
【0043】
まず、この印刷装置1では、例えば、ネットワーク2を介してある端末装置3から印刷ジョブを受信すると動作を開始して、まず、画像データ生成部11のトレイ情報取得部11aが給紙部15の各給紙トレイセンサ15b1〜15bmから各給紙トレイ15a1〜15amの給紙トレイ情報(トレイ情報)を取得する(ステップS101)。
【0044】
給紙トレイ情報は、用紙のサイズや、向き(状態)および用紙残量等の情報を含み、各給紙トレイ15a1〜15amに設けられた各給紙トレイセンサ15b1〜15bmから取得する。ただし、給紙トレイ情報はメモリ12等に記憶しておいて、メモリ12等から取得するようにしても良い。また、状態には、用紙のサイズや用紙の向きが含まれている。用紙の向きは、用紙のサイズの縦・横の情報から認識できるので、用紙の向きの情報は省略しても良い。
【0045】
次に、画像データ生成部11のラスター画像処理部11cが各給紙トレイ15a1〜15am情報の内から印刷ジョブで指定された給紙トレイである第1給紙トレイを選択し(ステップS103)、続いて画像データ生成部11のページ数算出部11bが端末装置3から受信した印刷ジョブから画像データの物理ページ数を算出する(ステップS105)。ここで、物理ページ数とは、画像データを印刷した際の用紙のページ数(枚数)のことである。
【0046】
次に、画像データ生成部11のラスター画像処理部11cは、画像データの物理ページ数が第1給紙トレイの用紙残量より大きいか否かを判定し(ステップS107)、画像データの物理ページ数が第1給紙トレイの用紙残量以下であると判定した場合(ステップS107;NO)、ラスター画像処理部11cはその印刷ジョブの全ページを第1給紙トレイの用紙の向きに合わせてラスター画像処理を行って、画像データを生成する(ステップS109)。
【0047】
これに対し、画像データの物理ページ数が第1給紙トレイの用紙残量より大きいと判定した場合(ステップS107;YES)、ラスター画像処理部11cは、給紙トレイ情報に基づいて第2給紙トレイを検索する(ステップS111)。第2給紙トレイとは、各給紙トレイ15a1〜15amの内で、第1給紙トレイと用紙サイズが同じ給紙トレイのことである。
【0048】
そして、第2給紙トレイが無いと判定した場合(ステップS113;NO)、第1給紙トレイと用紙サイズが同じ給紙トレイが無いということなので、ラスター画像処理部11cは、ステップS107で画像データの物理ページ数が第1給紙トレイの用紙残量以下と判定した場合(NO)と同様に、その印刷ジョブの全ページを第1給紙トレイの用紙の向きに合わせてラスター画像処理を行って画像データを生成する(ステップS109)。
【0049】
これに対し、第2給紙トレイがあると判定した場合(ステップS113;YES)、ラスター画像処理部11cは、続いて第2給紙トレイが第1給紙トレイと用紙の向きが異なるか否かを判定する(ステップS115)。
【0050】
ここで、第2給紙トレイが第1給紙トレイと用紙の向きが同じである場合(ステップS115;NO)、第2給紙トレイには第1給紙トレイと用紙サイズが同じで、かつ、向きも同じ用紙が積載されているということになる。そのため、ラスター画像処理部11cは、ステップS107で画像データの物理ページ数が第1給紙トレイの用紙残量以下と判定した場合(NO)等と同様に、その印刷ジョブの全ページを第1給紙トレイの用紙の向きに合わせてラスター画像処理を行って、画像データを生成する(ステップS109)。
【0051】
一方、第2給紙トレイが第1給紙トレイと用紙の向きが異なる場合(ステップS115;YES)、ラスター画像処理部11cは、さらに印刷ジョブの全ページをラスター画像処理するまでの間(ステップS123;NO)、ラスター画像処理した画像データの物理ページ番号が第1給紙トレイの用紙残量以下であるか否かを判定する(ステップS117)。画像データの物理ページ番号とは、ラスター画像処理により生成された画像データの物理ページ数毎に1ページ(1枚)目から付加される番号である。
【0052】
ここで、ラスター画像処理により生成された画像データの物理ページ番号が第1給紙トレイの用紙残量以下である場合(ステップS117;YES)、その物理ページ番号の画像データのページはユーザが印刷ジョブにて指定した第1給紙トレイの用紙で印刷可能であるということなので、ラスター画像処理部11cは、その物理ページ番号の原稿の向きを第1給紙トレイの用紙の向きに合わせてラスター画像処理を行って画像データを生成する(ステップS119)。
【0053】
一方、ラスター画像処理により生成された画像データの物理ページ番号が第1給紙トレイの用紙残量よりも大きくなった場合(ステップS117;NO)、その物理ページ番号以降は第1給紙トレイの用紙残量を超えており、第1給紙トレイの用紙では印刷できないことを示している。そのため、この場合、ラスター画像処理部11cは、その物理ページ番号以降の原稿の向きを第2給紙トレイの用紙の向きに合わせてラスター画像処理を行う(ステップS121)。
【0054】
そして、印刷ジョブの全ページのラスター画像処理が完了した場合(ステップS123;YES)、ラスター画像処理部11cは、以上の処理を終了する。
【0055】
図3は、本発明に係る画像データ生成装置の第1実施形態の画像データ生成部11によるラスター画像処理後の画像データの向きを示す説明図である。
【0056】
図3では、例えば、印刷ジョブが例えば100ページの原稿、すなわち物理ページ番号が1〜100ページの原稿の印刷を指示しており、第1給紙トレイでは、例えば、用紙のサイズが“A4”で、用紙の向きは“横向き(長辺給紙)”、用紙残量が“30枚”の場合である。また、第2給紙トレイは、例えば、用紙のサイズが“A4”で、用紙の向きは”縦向き(短辺給紙)”、用紙残量が“500枚”の場合を示している。
【0057】
そのため、このような条件の場合、ラスター画像処理部11cは、物理ページ番号が1〜30ページまでの原稿は、印刷ジョブでユーザにより指定された第1給紙トレイの用紙の向きである“横向き(長辺給紙)”でラスター画像処理して、図3に示すように“横向き(長辺給紙)”の画像データD1を生成する。
【0058】
一方、印刷ジョブの残りの物理ページ番号が30〜100ページの原稿は、第2給紙トレイの用紙の向きである“縦向き(短辺給紙)”でラスター画像処理して、図3に示すように“縦向き(短辺給紙)”の画像データD2を生成することになる。
【0059】
従って、本発明に係る画像データ生成装置の第1実施形態の画像データ生成部11によれば、印刷ページ数が第1給紙トレイの用紙残数より大きい場合、ラスター画像処理部11cは、第1給紙トレイの用紙の向きでラスター画像処理して画像データを生成後、第1給紙トレイに積載された用紙のサイズと同じ用紙が積載された第2給紙トレイの用紙の向きでラスター画像処理して画像データを生成する。
【0060】
そのため、印刷ページ数が印刷ジョブにより指定した第1給紙トレイの用紙残数より大きく、第1給紙トレイから用紙の向きの異なる第2給紙トレイに切り替えて印刷する場合でも、切り替えの際に、画像データの回転処理が不要になり、印刷速度の低下を防止することができる。
【0061】
すなわち、本発明に係る画像データ生成装置の第1実施形態の画像データ生成部11によれば、印刷装置の複数の給紙トレイの給紙トレイ情報と印刷ページ数とに基づき画像データの向きを決定し、この決定した向きでラスター画像処理を実行することにより画像データを生成する。そのため、印刷装置における印刷中に用紙の向きが異なる給紙トレイに切り替えて印刷を続行する場合でも、切替の際に、生成した画像データの回転処理が不要であるため、印刷速度の低下を防止することができる。
【0062】
[第2実施形態]
次に、本発明に係る画像データ生成装置の第2実施形態の画像データ生成部11について説明する。なお、第2実施形態の画像データ生成部11では、図1に示す第1実施形態の画像データ生成部11と構成が同じで、動作のみが異なるため、図1に示す第1実施形態の画像データ生成部11の符号を参照して動作を説明する。
【0063】
図4は、本発明に係る画像データ生成装置の第2実施形態の画像データ生成部11の動作を示すフローチャートである。なお、図2に示す第1実施形態の画像データ生成部11の動作と同じ処理には、同じステップ番号を付してその説明は省略する。
【0064】
図4に示すように、ステップS101の給紙トレイ情報の取得処理からステップS115の第2給紙トレイが第1給紙トレイと用紙の向きが異なるか否かの判定処理までは、図2に示す第1実施形態の画像データ生成部11の動作と同じである。
【0065】
そして、この第2実施形態の画像データ生成部11では、第2給紙トレイが第1給紙トレイと用紙の向きが異なる場合(ステップS115;YES)、第2実施形態のラスター画像処理部11cは、印刷ジョブの全ページをラスター画像処理するまでの間(ステップS123;NO)、ラスター画像処理した画像データの物理ページ番号が(第1給紙トレイの用紙残量−n)以下であるか否かを判定する(ステップS201)。
【0066】
画像データの物理ページ番号と(第1給紙トレイの用紙残量−n)とを比較する理由は、給紙トレイセンサ15b1〜15bmの用紙残数の検出精度には限界があり、第1給紙トレイの用紙残数を正確に検出できない場合や、また用紙のジャム等も考慮して、ステップS101の処理で給紙部15から取得した給紙トレイ情報の用紙残数に対し所定枚数である−n枚の誤差を考慮するためである。なお、nは自然数であり、例えば、1や、5、10等、ユーザ等が任意の値を設定できる。
【0067】
ここで、画像データの物理ページ番号が(第1給紙トレイの用紙残量−n)以下である場合(ステップS201;YES)、ラスター画像処理部11cは、その物理ページ番号の原稿の向きを第1給紙トレイの用紙の向きに合わせてラスター画像処理を行う(ステップS119)。
【0068】
一方、画像データの物理ページ番号が(第1給紙トレイの用紙残量−n)より大きい場合(ステップS201;NO)、ラスター画像処理部11cは、続いて画像データの物理ページ番号が(第1給紙トレイの用紙残量+p)以下であるか否かを判定する(ステップS203)。
【0069】
画像データの物理ページ番号と(第1給紙トレイの用紙残量+p)とを比較する理由は、ステップS201で物理ページ番号と(第1給紙トレイの用紙残量−n)とを比較する理由と同じであり、ステップS101の処理で給紙部15から取得した給紙トレイ情報の用紙残数に対し所定枚数である+p枚の誤差を考慮するためである。なお、pも自然数であり、例えば、1や、5、10等の値で、ユーザ等が任意に設定でき、nと同じ値でも良い。
【0070】
そして、画像データの物理ページ番号が(第1給紙トレイの用紙残量+p)以下である場合(ステップS203;YES)、ラスター画像処理部11cは、その物理ページ番号の原稿の向きを第1給紙トレイおよび第2給紙トレイの用紙双方の向きに合わせてラスター画像処理を行って画像データを生成する(ステップS205)。
【0071】
これにより、ステップS101の処理で給紙部15から取得した給紙トレイ情報の用紙残数より−n枚から+p枚の間は、第1給紙トレイおよび第2給紙トレイの用紙双方の向き、すなわち“横向き(長辺給紙)”および“縦向き(短辺給紙)”の双方で原稿をラスター画像処理して双方の向きの画像データを形成する。
【0072】
一方、画像データの物理ページ番号が(第1給紙トレイの用紙残量+p)より大きくなった場合(ステップS203;NO)、ラスター画像処理部11cは、その物理ページ番号の原稿の向きを第2給紙トレイの用紙の向きに合わせてラスター画像処理を行って画像データを生成する(ステップS121)。
【0073】
図5は、本発明に係る画像データ生成装置の第2実施形態の画像データ生成部11によるラスター画像処理後の画像データの向きを示す説明図である。
【0074】
図5においても、図3の場合と同様に、印刷ジョブが例えば100ページの原稿であって、第1給紙トレイでは、例えば用紙のサイズが“A4”で、用紙の向きは“横向き(長辺給紙)”、残量が“30枚”の場合、第2給紙トレイでは、用紙のサイズが“A4”で、用紙の向きは“縦向き(短辺給紙)”、残量が“500枚”の場合を示している。
【0075】
また、ここでは、予め例えば、n=p=1が設定されているものとする。
【0076】
そのため、第2実施形態のラスター画像処理部11cは、ステップS101の処理で給紙部15から取得した給紙トレイ情報の用紙残数である30枚の±1枚の範囲、すなわち図5に示すように29〜31ページの間は、ステップS305の処理により第1給紙トレイおよび第2給紙トレイの用紙の向き、すなわち“横向き(長辺給紙)”および“縦向き(短辺給紙)”の双方で印刷ジョブをラスター画像処理して双方の向きの画像データD1および画像データD2を形成する。
【0077】
なお、1〜28ページの原稿は、第1給紙トレイの用紙の向きである“横向き(長辺給紙)”でラスター画像処理して、図5に示すように“横向き(長辺給紙)”の画像データD1のみを生成する一方、32〜100ページの原稿は、第2給紙トレイの用紙の向きである“縦向き(短辺給紙)”でラスター画像処理して、“縦向き(短辺給紙)”の画像データD2のみを生成することになる。
【0078】
従って、本発明に係る画像データ生成装置の第2実施形態の画像データ生成部11によれば、第2給紙トレイが有り、かつ、第1給紙トレイの用紙の向きと異なる場合、第1給紙トレイから検出した給紙トレイ情報が示す用紙残量の前後所定枚数(ここでは、n+p枚となる。)だけ第1給紙トレイおよび第2給紙トレイの用紙の向きに合わせてラスター画像処理を行って双方の向きの画像データD1および画像データD2を生成する。
【0079】
その結果、第1給紙トレイの用紙残数を正確に検出できない場合や、また用紙のジャム等が発生して、第1給紙トレイから検出した給紙トレイ情報が示す用紙残量の前後で第1給紙トレイから第2給紙トレイに切替った場合でも、印刷速度の低下を防止することができる。
【0080】
すなわち、本発明に係る画像データ生成装置の第2実施形態の画像データ生成部11によれば、n=p=0の場合を例にとって説明すると、印刷ページ数が第1給紙トレイの用紙残数より大きい場合には、第1給紙トレイと用紙サイズが同じであって、第1給紙トレイとは用紙の向きが異なる第2給紙トレイがあるか否か検索し、当該第2給紙トレイがある場合は、印刷ジョブの全ページをラスター画像処理するまでの間、(1)ラスター画像処理により生成される画像データの物理ページ番号が第1給紙トレイの用紙残量以下である場合は、その物理ページ番号の原稿の向きを第1給紙トレイの用紙の向きに合わせてラスター画像処理を実行し、(2)画像データの物理ページ番号が第1給紙トレイの用紙残量よりも大きくなった場合は、第2給紙トレイの用紙の向きに合わせてラスター画像処理を実行する。そのため、ラスター画像処理後に、印刷ページ数が印刷ジョブにより指定した第1給紙トレイの用紙残数より大きく、第1給紙トレイから用紙の向きの異なる第2給紙トレイに切り替えて印刷する場合でも、切り替えの際に、画像データの回転処理が不要になり、印刷速度の低下を防止することができる。
【0081】
また、本発明に係る画像データ生成装置の第2実施形態の画像データ生成部11によれば、nとpとが0でない場合を例にとって説明すると、(1)ラスター画像処理により生成される画像データの物理ページ番号が第1給紙トレイの用紙残量から所定枚数減算した値以下である場合は、その物理ページ番号の原稿の向きを第1給紙トレイの用紙の向きに合わせてラスター画像処理を実行し、(2)物理ページ番号が第1給紙トレイの用紙残量から所定枚数減算した値から第1給紙トレイの用紙残量に対し所定枚数加算した値までの場合は、物理ページ番号の原稿の向きを第1給紙トレイおよび第2給紙トレイの用紙の向きに合わせてラスター画像処理を実行し、(3)画像データの物理ページ番号が第1給紙トレイの用紙残量に対し所定枚数加算した値よりも大きくなった場合は、第2給紙トレイの用紙の向きに合わせてラスター画像処理を実行する。
【0082】
そのため、第1給紙トレイの給紙トレイ情報に含まれる給紙枚数に誤差があった場合でも、第1給紙トレイの用紙残量の前後の所定枚数は縦向きおよび横向き両方の画像データがあるので、用紙の向きが異なる給紙トレイに切り替えて印刷を続行する場合でも、印刷速度の低下を防止することができる。
【0083】
なお、上記第2実施形態の説明では、第1給紙トレイの用紙残量の前後所定枚数(ここでは、n+p枚となる。)だけ第1給紙トレイおよび第2給紙トレイの用紙の向きに合わせてラスター画像処理を行うように説明したが、これに限らず、図6に示すように印刷ジョブの各原稿について横向きおよび縦向きの双方でラスター画像処理を行って、双方の向きの画像データ両方を生成するようにしても良い。
【0084】
図6は、本発明に係る画像データ生成装置の第2実施形態の画像データ生成部11によりラスター画像処理されて生成された画像データの向きの他の例を示す図である。
【0085】
図6においても、図3図5の場合と同様に、印刷ジョブが例えば100ページの原稿である場合に、その100ページの原稿全てについて“横向き(長辺給紙)”の画像データD1と、“縦向き(短辺給紙)”の画像データD2の双方を生成することになる。なお、“横向き(長辺給紙)”の画像データD1と、“縦向き(短辺給紙)”の画像データD2の両方を生成するタイミングは、例えば、ラスター画像処理部11cのCPUの使用率が低いとき、例えば20%以下等の空き時間に生成する。このようにすると、印刷装置1では、印刷処理部14にて画像データの印刷を実行する際、第1給紙トレイまたは第2給紙トレイの1のいずれから用紙が供給されても、いずれか一方の向きの画像データを選択して印刷を実行できるので、印刷速度の低下を確実に防止できる。
【0086】
[第3実施形態]
次に、本発明に係る画像データ生成装置の第3実施形態の画像データ生成部11について説明する。なお、第3実施形態の画像データ生成部11では、図1に示す第1実施形態の画像データ生成部11と構成が同じで、動作のみが異なるため、図1に示す第1実施形態の画像データ生成部11の符号を参照して動作を説明する。
【0087】
図7は、本発明に係る画像データ生成装置の第3実施形態の画像データ生成部11の動作を示すフローチャートである。なお、図2に示す第1実施形態の画像データ生成部11の動作と同じ処理には、同じステップ番号を付してその説明は省略する。
【0088】
図7に示すように、ステップS101の給紙トレイ情報の取得処理からステップS113の第2給紙トレイの検索処理までは、図2に示す第1実施形態の画像データ生成部11の動作と同じである。ただし、第3実施形態のステップS111では、第1給紙トレイの用紙サイズと同じ用紙サイズである第2給紙トレイが複数ある場合、用紙残量が最も多い第2給紙トレイを検索する。
【0089】
そして、ステップS113の判定処理で、第1給紙トレイの用紙サイズと同じサイズの用紙が異なる向きで置かれている第2給紙トレイが有ると判定した場合(YES)、ラスター画像処理部11cは、続いて第1給紙トレイから印刷可能な画像データの物理ページ数が第2給紙トレイから印刷可能な物理ページ数よりも小さいか否かを判定する(ステップS301)。
【0090】
ここで、第2給紙トレイから印刷可能な物理ページ数が第1給紙トレイから印刷可能な物理ページ数よりも大きい場合(ステップS301;YES)、第1給紙トレイで印刷するよりも第2給紙トレイで印刷を実行した方が用紙切れの可能性が低い。
【0091】
そのため、この場合、ラスター画像処理部11cは、全ページを用紙切れの可能性が低い第2給紙トレイの用紙の向きに合わせてラスター画像処理を行う(ステップS121)。
【0092】
これに対し、第2給紙トレイから印刷可能な物理ページ数が第1給紙トレイから印刷可能な物理ページ数以下の場合(ステップS301;NO)、第2給紙トレイで印刷するよりも第1給紙トレイで印刷を実行した方が用紙切れの可能性が低い。
【0093】
そのため、この場合、ラスター画像処理部11cは、全ページを第1給紙トレイの用紙の向きに合わせてラスター画像処理を行う(ステップS119)。
【0094】
なお、ステップS107の判定処理で、画像データの物理ページ数が第1給紙トレイの残量以下の場合(NO)、およびステップS113の判定処理で第2給紙トレイが無いと判定した場合(NO)、ラスター画像処理部11cは、ステップS301の判定処理でNOと判定した場合と同様に、全ページを第1給紙トレイの用紙の向きに合わせてラスター画像処理を行う(ステップS119)。
【0095】
図8は、本発明に係る画像データ生成装置の第3実施形態の画像データ生成部11によるラスター画像処理後の画像データの向きを示す説明図である。
【0096】
図8でも、図3図5の場合と同様に、印刷ジョブが例えば100ページの原稿であって、第1給紙トレイでは、例えば用紙のサイズが“A4”で、用紙の向きは“横向き(長辺給紙)”、用紙残量が“30枚”の場合、第2給紙トレイでは、用紙のサイズが“A4”で、用紙の向きは“縦向き(短辺給紙)”、用紙残量が“500枚”の場合を示している。
【0097】
そのため、このような条件の場合、第3実施形態の画像データ生成部11では、画像データの物理ページ数の“100ページ”が第1給紙トレイの用紙残量の“30枚”よりも大きいので、ステップS107でYESと判定し、続くステップS111により第2給紙トレイを検索して、第2給紙トレイが有り、第2給紙トレイの方が第1給紙トレイよりも用紙残量が多く物理ページ数が大きいので、ステップS301によりYESと判定され、図5に示すように、第2給紙トレイの“縦向き(短辺給紙)”で100ページの原稿がラスター画像処理されて“縦向き(短辺給紙)”の画像データD2が生成される。
【0098】
従って、本発明に係る画像データ生成装置の第3実施形態の画像データ生成部11によれば、画像データの物理ページ数が第1給紙トレイの残量を超えている場合、第2給紙トレイを検索して、第1給紙トレイまたは第1給紙トレイと同じ用紙サイズの用紙が最も多く積載された第2給紙トレイの用紙向きに合わせてラスター画像処理により画像データを生成する。そのため、画像データ生成部11における印刷中に用紙の向きが異なる給紙トレイに切り替えて印刷する場合が少なくなり、印刷速度の低下を防止することができる。
【0099】
[第4実施形態]
次に、本発明に係る画像データ生成装置の第4実施形態の画像データ生成部11について説明する。
【0100】
<画像データ生成部11を有する印刷装置1の構成>
図9は、本発明に係る画像データ生成装置の第4実施形態の画像データ生成部11を有する印刷装置1の構成と端末装置3との接続の一例を示すブロック図である。
【0101】
図9に示すように、本発明に係る画像データ生成装置の第4実施形態の画像データ生成部11を有する印刷装置1は、社内ネットワーク等のネットワーク2を介して各ユーザの端末装置3,3,・・・と接続されている。
【0102】
印刷装置1は、画像データ生成部11と、メモリ12と、HDD(ハードディスクドライブ)13と、印刷処理部14と、給紙部15と、第1排紙部16と、ネットワークI/F部17と、第2排紙部18とを備える。
【0103】
画像データ生成部11は、CPU(図示せず。)等から構成されており、HDD13に記憶されたプリンタドライバ等のプログラムを実行することにより、本発明に係るトレイ情報取得部11a、ステープル数算出部11d(消耗品使用数算出部)およびラスター画像処理部11cとして機能して、端末装置3等から送信されてきた印刷ジョブに基づいて印刷用の画像データを生成する。
【0104】
なお、メモリ12、HDD13、印刷処理部14、給紙部15、ネットワークI/F部17については、図1に示す第1実施形態の画像データ生成部11が備えるそれぞれ同一符号が付された構成と同じであるので、説明を省略する。
【0105】
第1排紙部16は、印刷されて排紙された用紙を載置する排紙トレイ16aと、排紙トレイ16aに配置されたステープラ16bと、ステープラ16bのステープル針の残数を検出するステープル針センサ16cとを有しており、排紙トレイ16aに排紙された複数枚の用紙を1セットして、ステープラ16bにより消耗品であるステープル針を用いてステープルを行う。
【0106】
第2排紙部18も第1排紙部16と同様に、印刷されて排紙された用紙を載置する排紙トレイ18aと、排紙トレイ18aに配置されたステープラ18bと、ステープラ18bのステープル針の残数を検出するステープル針センサ18cとを有しており、排紙トレイ18aに排紙された複数枚の用紙を1セットして、ステープラ18bにより消耗品であるステープル針を用いてステープルを行う。
【0107】
端末装置3は、各種情報処理を行うPC等で、ネットワーク2を介して印刷装置1へ印刷ジョブを送信する。
【0108】
<第4実施形態の画像データ生成部11の動作>
次に、以上のように構成された本発明に係る画像データ生成装置の第4実施形態の画像データ生成部11の動作を、図面を参照して説明する。
【0109】
図10は、本発明に係る画像データ生成装置の第4実施形態の画像データ生成部11の動作を模式的に説明した説明図である。(a)は、排紙トレイ16aに排紙してステープラ16bでステープルする場合における印刷装置1内の搬送経路を搬送される用紙を示しており、(b)は、排紙トレイ18aに排紙してステープラ18bでステープルする場合における印刷装置1内の搬送経路を搬送される用紙を示している。なお、ここでは、印刷ジョブに基づいて、1枚目の表面に「A」の文字を印刷し、2枚目の表面に「B」の文字を印刷し、計2枚の用紙の左上部をステープル止めする例を挙げて説明する。
【0110】
図10(a)に示すように、印刷装置1は、給紙部15と、印刷処理部14と、第1排紙部16と、第2排紙部18と、反転部19とを備えている。
【0111】
給紙部15は、用紙が積載される給紙トレイを備え、給紙トレイから用紙を給紙搬送路SR上へ搬送させた後、循環搬送路CR上へ搬送する。ここで、給紙された用紙の搬送経路と、表面印刷後に装置内を循環搬送され反転部19にて反転された用紙が循環して搬送されてくる経路とが合流する合流地点が存在する。この合流地点を基準に、給紙トレイ側の経路を給紙搬送路SRと称し、印刷装置1内を用紙が循環される経路を循環搬送路CRと称している。
【0112】
印刷処理部14は、ライン型のインクジェットヘッドを有し、インクジェットヘッド直下の循環搬送路CRを搬送される用紙に対してインクを吐出することにより、ライン単位で用紙に印刷を行う。印刷処理部14により印刷された用紙は、循環搬送路CR上に配置された搬送ローラ等によって筐体内を循環搬送路CR上で搬送され、第1排紙部16または第2排紙部18へ排紙される。
【0113】
反転部19は、循環搬送路CR搬送された用紙の表裏を反転し、循環搬送路CR上を再循環させる。
【0114】
第1排紙部16は、印刷装置1の筐体から突出したトレイ形状をした排紙トレイ16aと、排紙トレイ16a上における用紙搬送方向の上流側であって、紙面奥側の位置に設けられ、排紙トレイ16a上に搬送された複数の用紙を1セットとしてステープルするステープラ16bとを有している。また、上述したように、ステープル針センサ16cは、ステープラ16bのステープル針の残数を検出する。
【0115】
第2排紙部18は、印刷装置1の筐体から突出したトレイ形状をした排紙トレイ18aと、排紙トレイ18a上における用紙搬送方向の上流側であって、紙面手前側の位置に設けられ、排紙トレイ18a上に搬送された複数の用紙を1セットとしてステープルするステープラ18bとを有している。また、上述したように、ステープル針センサ18cは、ステープラ18bのステープル針の残数を検出する。
【0116】
図10(a)では、印刷ジョブに基づいて、まず給紙部15から用紙が給紙搬送路SR上へ搬送され、循環搬送路CR上を搬送され、印刷処理部14により印刷される。ここでは、用紙の枚数は2枚であり、1枚目の表面に「A」の文字が印刷され、2枚目の表面に「B」の文字が印刷される。
【0117】
そして、印刷された用紙は、さらに循環搬送路CR上を搬送され、第1排紙部16に排紙される。このとき、図10(a)に示すように、印刷された面が下向きとなった状態で排紙トレイ16aに排紙され、ステープラ16bは、排紙された用紙を用紙搬送方向の上流側であり、かつ用紙の上部の位置(天位置)でステープルする。これにより、用紙の左上部にステープル止めすることができる。
【0118】
図10(b)では、印刷ジョブに基づいて、まず給紙部15から用紙が給紙搬送路SR上へ搬送され、循環搬送路CR上を搬送され、印刷処理部14により印刷される。ここでは、用紙の枚数は2枚であり、1枚目の表面に「A」の文字が印刷され、2枚目の表面に「B」の文字が印刷される。
【0119】
そして、印刷された用紙は、さらに循環搬送路CR上を搬送され、反転部19により表裏が反転され、第2排紙部18に排紙される。このとき、印刷処理部14により印刷される画像の向きを回転することなく図10(a)に示す画像の向きと同じ向きで印刷すると、第2排紙部18に排紙された用紙は右下部にステープル止めされることになる。
【0120】
そこで、第2排紙部18に排紙された用紙の左上部にステープル止めするためには、図10(b)に示すように、印刷する「A」および「B」の画像を180°回転させておく必要がある。
【0121】
これにより、180°回転された画像が印刷された用紙は、さらに循環搬送路CR上を搬送され、反転部19により表裏が反転される。そして、循環搬送路CR上を搬送されて第2排紙部18に排紙される。このとき、図10(b)に示すように、印刷された面が下向きとなった状態で排紙トレイ18aに排紙され、ステープラ18bは、排紙された用紙を用紙搬送方向の上流側であり、かつ用紙の上部の位置(天位置)でステープルする。これにより、用紙の左上部にステープル止めすることができる。
【0122】
図11は、本発明に係る画像データ生成装置の第4実施形態の画像データ生成部11の動作を示すフローチャートである。
【0123】
まず、この印刷装置1では、例えば、ネットワーク2を介してある端末装置3から印刷ジョブを受信すると動作を開始して、まず、画像データ生成部11のトレイ情報取得部11aが、第1排紙部16および第2排紙部18から排紙トレイ情報(トレイ情報)を取得する(ステップS401)。
【0124】
排紙トレイ情報は、ステープル位置(状態)やステープル針の残量等の情報を含み、第1排紙部16のステープル針センサ16cから排紙トレイ16aの排紙トレイ情報(トレイ情報)を取得すると共に、第2排紙部18のステープル針センサ18cから排紙トレイ18aの排紙トレイ情報(トレイ情報)を取得する。ただし、排紙トレイ情報はメモリ12等に記憶しておいて、メモリ12等から取得するようにしても良い。状態には、ステープル位置が含まれている。ステープル位置は、排紙トレイ16a上における用紙搬送方向の上流側で常に固定されていれば、ステープル位置の情報は省略しても良い。
【0125】
次に、画像データ生成部11のラスター画像処理部11cが排紙トレイ16a,18aの内から印刷ジョブで指定された排紙トレイである第1排紙トレイを選択し(ステップS403)、続いて画像データ生成部11のステープル数算出部11dが端末装置3から受信した印刷ジョブからステープル数を算出する(ステップS405)。ここで、ステープル数とは、ステープラにより用いられるステープル針の数のことである。
【0126】
次に、画像データ生成部11のラスター画像処理部11cは、ステープル数が第1排紙トレイのステープル針の残量より大きいか否かを判定し(ステップS407)、ステープル数が第1排紙トレイのステープル針の残量以下であると判定した場合(ステップS407;NO)、ラスター画像処理部11cはその印刷ジョブの全ページを第1排紙トレイでステープルできる向きに合わせてラスター画像処理を行って、画像データを生成する(ステップS409)。具体的には、第1排紙トレイが排紙トレイ16aである場合には、ラスター画像処理部11cは図10(a)に示したように、画像の向きを回転することなく印刷するように画像データを生成する一方、第1排紙トレイが排紙トレイ18aである場合には、ラスター画像処理部11cは図10(b)に示したように、画像の向きを180°回転させて印刷するように画像データを生成する。
【0127】
これに対し、ステープル数が第1排紙トレイのステープル針の残量より大きいと判定した場合(ステップS407;YES)、ラスター画像処理部11cは、さらに印刷ジョブの全ページをラスター画像処理するまでの間(ステップS423;NO)、第1排紙トレイのステープル針の残量に基づいて、ラスター画像処理した画像データの物理ページ番号のページが第1排紙トレイのステープラでステープル可能なページか否かを判定する(ステップS417)。
【0128】
ここで、ラスター画像処理した画像データの物理ページ番号のページが第1排紙トレイのステープラでステープル可能なページである場合(ステップS417;YES)、第1排紙トレイのステープラにはステープル針が残っており、その物理ページ番号の画像データのページはユーザが印刷ジョブにて指定した第1排紙トレイでステープル可能であるということなので、ラスター画像処理部11cは、その物理ページ番号の原稿の向きを第1排紙トレイでステープルできる向きに合わせてラスター画像処理を行って画像データを生成する(ステップS419)。
【0129】
一方、ラスター画像処理した画像データの物理ページ番号のページが第1排紙トレイのステープラではステープル不可能なページである場合(ステップS417;NO)、第1排紙トレイのステープラにはステープル針が残っておらず、その物理ページ番号の画像データのページはユーザが印刷ジョブにて指定した第1排紙トレイでステープル不可であるということである。そのため、この場合、ラスター画像処理部11cは、その物理ページ番号以降の原稿の向きを第2給紙トレイの用紙の向きに合わせてラスター画像処理を行う(ステップS421)。
【0130】
そして、印刷ジョブの全ページのラスター画像処理が完了した場合(ステップS123;YES)、ラスター画像処理部11cは、以上の処理を終了する。
【0131】
従って、本発明に係る画像データ生成装置の第4実施形態の画像データ生成部11によれば、ステープル数が第1排紙トレイのステープル残数より大きい場合、ラスター画像処理部11cは、第1排紙トレイの用紙の向きでラスター画像処理して画像データを生成後、第2給紙トレイでステープルできる向きでラスター画像処理して画像データを生成する。
【0132】
そのため、ラスター画像処理後に、ステープル数が第1排紙トレイのステープル残数より大きく、第1排紙トレイからステープル位置が異なる第2排紙トレイに切り替えて印刷する場合でも、切り替えの際に、画像データの回転処理が不要になり、印刷速度の低下を防止することができる。
【0133】
[第5実施形態]
次に、本発明に係る画像データ生成装置の第5実施形態の画像データ生成部11について説明する。なお、第5実施形態の画像データ生成部11では、図9に示す第4実施形態の画像データ生成部11と構成が同じで、動作のみが異なるため、図9に示す第4実施形態の画像データ生成部11の符号を参照して動作を説明する。
【0134】
図12は、本発明に係る画像データ生成装置の第5実施形態の画像データ生成部11の動作を示すフローチャートである。なお、図11に示す第4実施形態の画像データ生成部11の動作と同じ処理には、同じステップ番号を付してその説明は省略する。
【0135】
図12に示すように、ステップS401の排紙トレイ情報の取得処理からステップS423の処理までは、図11に示す第4実施形態の画像データ生成部11の動作と同じである。
【0136】
そして、ステップS423の判定処理で、印刷ジョブの全ページをラスター画像処理したと判定した場合(YES)、ラスター画像処理部11cは、メモリ12の中に、次に実行すべき印刷ジョブがあるか否かを判定する(ステップS503)。
【0137】
メモリ12の中に、次に実行すべき印刷ジョブがあると判定された場合(ステップS503;YES)、ステープル数算出部11dは、現在のステープル針の残数から今回実行した印刷ジョブにおいて使用したステープル針の使用数を減算することにより新たなステープル針の残数として算出する(ステップS505)。
【0138】
そして、ステープル数算出部11dは、メモリ12から次に実行すべき印刷ジョブを取得する(ステップS507)。
【0139】
従って、本発明に係る画像データ生成装置の第5実施形態の画像データ生成部11によれば、ステープル針の残数を、ステープル針の使用数を減算することにより算出するので、トレイ情報を取得する処理をバイパスして次処理を実行することができ、より時間短縮を図ることができる。
【0140】
なお、上記実施形態の説明では、本発明に係る画像データ生成部11を印刷装置1内に設けて説明したが、本発明では、これに限らず、PC等の印刷ジョブを生成する端末装置3に設けるようにしても良いし、印刷装置1や端末装置3とは別のラスター画像処理専用装置(図示せず。)内に設けるようにしても良い。
【0141】
本発明は上記実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。
【0142】
また、例えば、記載された機能や処理の各々は、一つ以上の処理回路によって実装されうる。処理回路には、プログラムされたプロセッサや、電気回路などが含まれ、さらには、特定用途向けの集積回路(ASIC)のような装置や、記載された機能を実行するよう配置された回路構成要素なども含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0143】
本発明に係る画像データ生成装置によれば、トレイ情報と消耗品使用数とに基づいて画像データの向きを決定し、この決定した向きでラスター画像処理を実行することにより画像データを生成するため、印刷装置における印刷中に給紙トレイや排紙トレイを切り替えて印刷を続行する場合でも、印刷速度の低下を防止することができる。
【符号の説明】
【0144】
1 印刷装置
11 画像データ生成部(画像データ生成装置)
11a トレイ情報取得部
11b ページ数算出部
11c ラスター画像処理部
11d ステープル数算出部
12 メモリ
13 HDD
14 印刷処理部
15 給紙部
15a1〜15am 給紙トレイ
15b1〜15bm 給紙トレイセンサ
16 排紙部(第1排紙部)
17 ネットワークI/F部
18 第2排紙部
2 ネットワーク
3 端末装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12