(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
近年、剥離自在に重ね合わせ接着された接着シートは、帳票、封書、はがき、パンフレット、冊子等に広く用いられるようになってきており、なかには2面以上の重ね面で剥離させるものも一般的になってきている。特に、2面以上の重ね合わせ接着シートにおいては、複数の積層片のそれぞれの剥離に際して一の積層片の剥離強度(接着強度)と他の積層片の剥離強度(接着強度)とが略等しいことが好ましい。
【0003】
従来、後に剥離開封して情報等を認識させる重ね合わせ接着シートは種々知られており、例えば特許文献1に記載されている圧着はがきに適用されるものとして広く知られている。
【0004】
ここで、
図6に、従来の圧着はがきの説明図を示す。
図6(A)において、圧着はがきを構成する第1片102、第2片103、第3片104が折り線105で連設され、当該第1片102及び第2片103の一方面に剥離可能な接着剤により第1接着層111Aが形成され、当該第2片103及び第3片104の他方面に上記同じ剥離可能な接着剤により第2接着層111Bが形成される。
【0005】
そして、
図6(B)に示すように、第2片103に第1片102を折り重ね、また、第2片103に第3片104を折り重ねて圧着させることで
図6(C)に示すような圧着はがき101が作製されるものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、
図6(A)に示す第1接着層111Aと第2接着層111Bの形成は、一の形成ユニットで行われるものでなく、同一機構であっても異なる形成ユニットで行われ、一の形成ユニットで第1片102及び第2片103の一方面に剥離可能な接着剤が塗布、乾燥されて第1接着層111Aが形成された後に、他の形成ユニットで第2片103及び第3片104の他方面に同じ接着剤が塗布、乾燥されて第2接着層111Bが形成されるものである。
【0008】
すなわち、第1接着層111Aが所定の形成ユニットで形成された後に、第2接着層111Bを他の形成ユニットで形成させる場合には、接着剤の塗布厚をたとえ同一に設定しても異なるユニット間では実質的に異なってくるものであり、また、後工程での乾燥処理が他面の当該第1接着層111Aに影響を及ぼすために、
図6(C)に示すように、第1片102及び第2片103間の第1接着層111A同士の接着層112の接着力(剥離力)と、第2片103及び第3片104間の第2接着層111B同士の接着層113の接着力(剥離力)とは、同じ接着剤が用いられ、塗布厚を同一に設定されていても同じにはならず、一方で圧着は一時に行うことから各接着層間での圧力コントロールができずに接着力差がなくなるような品質管理を行うことが困難であるという問題がある。
【0009】
そこで、本発明は上記課題に鑑みなされたもので、複数の積層片間の接着力差を生じさせることを抑制して品質管理を容易とさせる重ね合わせ接着シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、請求項1の発明では、積層上片の下面である第1面
の略全面に剥離可能な
非再接着性の第1接着層が厚み(a)で形成され、積層中片の上面である第2面
の略全面に剥離可能な
非再接着性の第2接着層が厚み(b)で形成され、当該積層中片の下面である第3面
の略全面に剥離可能な
非再接着性の第3接着層が厚み(c)で形成され、積層下片の上面である第4面
の略全面に剥離可能な
非再接着性の第4接着層が厚み(d)で形成され、当該積層上片の第1面と当該積層中片の第2面とを重ね合わせ面とさせると共に、当該積層中片の第3面と当該積層下片の第4面とを重ね合わせ面とさせて剥離可能に接着される重ね合わせ接着シートであって、
前記各厚みの関係が、
a:b≠1:1 (1)
c:d≠1:1 (2)
a+b≒c+d (3)
である構成とする。
【0011】
請求項2の発明では、前記積層中片が複数の積層片が
非再接着性で剥離可能に重ね合わさ
れて接着されたものとして全体で一の積層中片としたときの前記第2面に形成された第2接着層及び前記第3面に形成された第3接着層の他に、当該各積層片間の重ね合わせ面のそれぞれに対向する剥離可能な
厚み(c1)の第1中間接着層及び
厚み(c2)の第2中間接着層
のそれぞれが略全面に形成されて接着され、当該第1中間接着層及び第2中間接着層の厚みの関係が
、
c1:c2≠1:1
a+b≒c1+c2
である構成とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明によれば、積層上片、積層中片及び積層下片が剥離可能に重ね合わせ接着されるものであり、積層上片の下面である第1面
の略全面に
剥離可能な非再接着性の第1接着層を厚み(a)で形成させ、積層中片の上面である第2面
の略全面に
剥離可能な非再接着性の第2接着層を厚み(b)で形成させ、当該積層中片の下面である第3面
の略全面に
剥離可能な非再接着性の第3接着層を厚み(c)で形成させ、積層下片の上面である第4面
の略全面に
剥離可能な非再接着性の第4接着層を厚み(d)で形成させ、各厚みの関係をa:b≠1:1(1)、c:d≠1:1(2)、a+b≒c+d(3)とさせる構成とすることにより、積層片間の接着力差を生じさせることを抑制することができ、品質管理を容易とさせることができるものである。
【0013】
請求項2の発明によれば、積層中片が複数の積層片が
非再接着性で剥離可能に重ね合わさ
れて接着されたものとして全体で一の積層中片としたときの第2面に形成された第2接着層及び第3面に形成された第3接着層の他に、各積層片間の重ね合わせ面のそれぞれに対向する剥離可能な
厚み(c1)の第1中間接着層及び
厚み(c2)の第2中間接着層
のそれぞれが略全面に形成されて接着され、当該第1中間接着層及び第2中間接着層の厚みの関係
を、c1:c2≠1:1、a+b≒c1+c2とさせる構成とすることにより、より多片の重ね合わせ接着シートに対しても積層片間の接着力差を生じさせることを抑制することができ、品質管理を容易とさせることができるものである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を図により説明する。なお、この実施形態における各断面図は、理解を容易にするために寸法(特に厚み)を無視している。
【0016】
図1に、本発明に係る重ね合わせ接着シートの一実施形態の断面構成図を示す。
図1(A)は、紙類等のシート片の、積層上片12、一の積層中片13及び積層下片14により重ね合わせ接着シート11を構成したもので、積層上片12の下面である第1面に第1接着層21Aが形成され、積層中片の上面である第2面に第2接着層22Aが形成され、当該積層中片の下面である第3面に第3接着層21Bが形成され、積層下片の上面である第4面に第4接着層22Bが形成される。
【0017】
上記第1接着層21A、第2接着層22A、第3接着層21B及び第4接着層22Bは、それぞれ同様の剥離可能な接着剤で形成されるもので、接着剤としては、水性エマルジョン系の接着剤や接着性のあるニス(例えば紫外線硬化型のニス)などが使用され、従前の圧着はがき等に使用されるものと同様のものである。なお、接着剤として水性エマルジョン系の接着剤による接着層と接着性のあるニスによる接着層とは混在されない。この場合、第1接着層21A、第2接着層22A、第3接着層21B及び第4接着層22Bで使用される剥離可能な接着剤は、その成分、重量比も同一のものとすることで見掛け上はその接着力(剥離する際には剥離力となる)は同一となるはずであるが、異なる塗布するユニット(接着剤塗布ユニット)で接着剤を塗布、乾燥すれば結果的には異なるものとなる。
【0018】
すなわち、上記積層上片12及び積層中片13の下面への上記第1接着層21A及び第3接着層21Bと、上記積層中片13及び積層下片14の上面への上記第2接着層22A及び第4接着層22Bとは、異なる面に対するものとして異なる接着剤塗布ユニットで塗布され、また、異なる乾燥ユニットで乾燥されることにより形成される。これにより、異なる接着剤塗布ユニットにおいて、同一成分の接着剤を用い、同一の塗布厚に設定しても、機械的誤差や稼働環境(例えば、第1接着層21A等の形成後に、時間が経過した後に第2接着層22A等の形成を行う場合など)の相違により、塗布厚にバラツキを生じ、また、積層中片13は、第2接着層22Aの形成の際の乾燥処理は、すでに形成されている第3接着層21Bに対しても加えられることとなり、総じて第1接着層21A及び第3接着層21Bの接着力(剥離力)と第2接着層22A及び第4接着層22Bの接着力(剥離力)とは等しくならない結果となる。
【0019】
そこで、積層上片12の第1接着層21Aと積層中片13の第2接着層22Aを重ね合わせ面とし、積層中片13の第3接着層21Bと積層下片14の第4接着層22Bを重ね合わせ面として圧着させた重ね合わせ接着シート11の構成とさせるものである。これにより、積層上片12と積層中片13との間の第1重ね接着層31(第1接着層21A、第2接着層22A)の接着剤の合計塗布量と、積層中片13と積層下片14との間の第2重ね接着層32(第3接着層21A、第4接着層22B)の接着剤の合計塗布量が略同じとなり、これらの接着力(剥離力)とを略同じとさせることができるものである。
【0020】
ここで、接着力(剥離力)を左右する要因の一である第1接着層21A、第2接着層22A、第3接着層21B及び第4接着層22Bの塗布厚に関し、
図1(A)に示すように、積層上片12下面の第1接着層21Aの塗布厚a、積層中片13上面の第2接着層22Aの塗布厚b、積層中片13下面の第3接着層21Bの塗布厚c及び積層下片14上面の第4接着層22Bの塗布厚dとする。
【0021】
この場合、第1接着層21A及び第3接着層21Bを接着剤塗布ユニットで一括して形成し、第2接着層22A及び第4接着層22Bを異なる接着剤塗布ユニットで一括して形成すると、上記のことから厚み比率が、
a:b≠1:1 (1)
c:d≠1:1 (2)
であり、場合によってはa=1(c=1)に対してb(d)≧1.2若しくはb(d)≦0.8となることもある。したがって、第1接着層21Aと第2接着層22Aとを重ね合わせ面とすると共に、第3接着層21Bと第4接着層22Bとを重ね合わせ面とすることにより、a=c、b=dであることから、
a+b≒c+d (3)
とさせるものである。これを、乾燥状態を加味した接着力(剥離力)a:b≠1:1、c:d≠1:1に置き換えても同様のことがいえるものである。
【0022】
ところで、上記形態においては、第1接着層21A、第2接着層22A、第3接着層21B及び第4接着層22Bを形成するそれぞれ剥離可能な接着剤を同一成分とし、同一塗布厚に設定するものとして説明したが、意図的に第1接着層21A及び第3接着層21Bの塗布厚と第2接着層22A及び第4接着層22Bの塗布厚を異ならせ、若しくは第1接着層21A及び第3接着層21Bと第2接着層22A及び第4接着層22Bとを形成する接着剤の種類を異ならせて接着力を異ならせることとしても、第1接着層21A及び第3接着層21B(第2接着層22A及び第4接着層22B)に対して第2接着層22A及び第4接着層22B(第1接着層21A及び第3接着層21B)を重ね合わせ面とさせることにより、結果的に第1重ね接着層31と第2重ね接着層32との接着力(剥離力)を略同じとさせることができるものである。
【0023】
上記接着剤の塗布厚を異ならせることは、ある接着力を発現させるときに、一方の厚みを薄くすることでカールし難くさせることができるというさらなる効果をも有する。また、用いる接着剤の種類を異ならせることは、接着力の強弱をつけやすくさせるというさらなる効果をも有することとなるものである。
【0024】
なお、第1接着層21A、第2接着層22A、第3接着層21B及び第4接着層22Bを形成させる接着剤の塗布パターンは、互いにいわゆるベタ塗でもよいが、塗布パターンのうち、重ね合わせ面の一方をベタ塗として他方を網点状またはストライプ状とすることが好ましい。
【0025】
すなわち、第1重ね接着層31及び第2重ね接着層32において剥離させる場合には第1接着層21Aと第2接着層22Bとが分離し、また第3接着層21Bと第4接着層22Bとが分離するように剥離されるもので、ベタ塗のパターン同士の場合には剥離後の積層片にカールが発生し易いことから、カールを回避するために一方(特に剥離させる対象の積層片)の面をベタ塗のパターンとせずに接着力を弱くさせるためである。一方、塗布パターンをストライプ同士や網点状同士とすると、所望の接着力を得るための重ね合わせ位置の調整が困難となるために、重ね合わせ面の一方がベタ塗のパターンであれば、調整しやすいというメリットもある。
【0026】
図1(B)は、重ね合わせ接着シート11を、積層上片12、2つの積層中片13(第1積層中片13A、第2積層中片13B)及び積層下片14により構成したものとして示しており、他の構成要素は
図1(A)と同様である。なお、積層中片を3つ以上で構成させることとしても同様である。
【0027】
すなわち、積層中片13が2の積層片(第1積層中片13A及び第2積層中片13B)が剥離可能に重ね合わさせ接着されたものとして全体で一の積層中片13としたときの上記第2面に形成された第2接着層22A及び第3面に形成された第3接着層21Bの他に、各積層片間の重ね合わせ面のそれぞれに上記同様の剥離可能な接着剤により、対向する第1中間接着層21C及び第2中間接着層22Cが形成される。
【0028】
具体的には、
図1(B)に示すように、第1積層中片13Aの下面には第1中間接着層21Cが厚さ(c1)で形成され、第2積層中片13Bの上面には第2中間接着層22Cが厚さ(c2)で形成される。なお、第1積層中片13Aの上面には第2接着層22Aが形成され、第2積層中片13Bの下面には第3接着層21Bが形成されることは上記と同様である。
【0029】
この場合、第1接着層21A、第3接着層21B及び第1中間接着層21Cを接着剤塗布ユニットで一括して形成し、第2接着層22A、第4接着層22B及び第2中間接着層22Cを異なる接着剤塗布ユニットで一括して形成すると、上記のことから厚み比率が、
a:b≠1:1 (4)
c1:c2≠1:1 (5)
c:d≠1:1 (6)
となる。
【0030】
そこで、第1接着層21Aと第2接着層22Aとを重ね合わせ面とし、第1中間接着層21Cと第2中間接着層22Cを重ね合わせ面とし、第3接着層21Bと第4接着層22Bとを重ね合わせ面とすることにより、a=c=c1、b=d=c2であることから、
c1+c2≒a+b≒c+d (7)
となり、当該c1+c2を上記(3)式とニアイコールとさせるものである。
【0031】
このように、積層上片12、第1積層中片13A、第2積層中片13B及び積層下片14を重ね合わせ圧着させた重ね合わせ接着シート11とさせることにより、積層上片12と第1積層中片13Aと間の第1重ね接着層31の接着力(剥離力)と、第1積層中片13Aと第2積層中片13Bとの間の第2重ね接着層32の接着力(剥離力)と、第2積層中片13Bと積層下片14との間の第3重ね接着層33の接着力(剥離力)とを略同じとさせることができるものである。
【0032】
そこで、
図2に、
図1(A)の重ね合わせ接着シートの製造工程の説明図を示す。ここで、製造装置について、図示しないが、概略的に第1接着剤塗布部、第1乾燥部、第2接着塗布部、第2乾燥部、断裁部、位置合わせ部及び圧着部を少なくとも備える。ここでは、上記のように、第1接着塗布部及び第2接着剤塗布部で塗布する剥離可能な接着剤の成分は同一であり、塗布厚も同一に設定されるものとして説明する。
【0033】
まず、
図2(A)に示すような積層上片12、積層中片13及び積層下片14が片断裁ライン15(特に形成させなくともよく、また、ミシン線を形成してもよい)により連設されたシート基体に対し、
図2(B)に示すように、積層上片12及び積層中片13の下面(一方面)に対し、第1接着剤塗布部により上記剥離可能な接着剤を塗布し、第1乾燥部により乾燥させることで積層上片12の下面に第1接着層21Aを形成すると共に、積層中片13の下面に第3接着層21Bを形成する。
【0034】
続いて、
図2(C)に示すように、積層中片13及び積層下片14の上面(他方面)に第2接着剤塗布部により上記剥離可能な接着剤を塗布し、第2乾燥部により乾燥させることで積層中片13の上面に第2接着層22Aを形成すると共に、積層下片14の上面に第4接着層22Bを形成する。そこで、
図2(D)に示すように、断裁部により片断裁ライン15で断裁して単片の積層上片12、積層中片13及び積層下片14とする。
【0035】
続いて、
図2(E)に示すように、位置合わせ部において積層上片12の第1接着層21Aと積層中片13の第2接着層22Aとを重ね合わせ面として位置合わせすると共に、積層中片13の第3接着層21Bと積層下片14の第4接着層22Bとを重ね合わせ面として位置合わせする。そして、圧着部51A,51Bにおいて圧着することで重ね合わせ接着シート11とさせるものである。
【0036】
このように、第1接着層21A及び第3接着層21Bと第2接着層22A及び第4接着層22Bとの接着力(剥離力)が異なっても第1接着層21Aに対して第2接着層22Aを重ね合わせ面とし、第3接着層21Bに対して第4接着層22Bを重ね合わせ面とさせることにより、接着力の差が吸収されることとなり、複数の積層片間の接着力差を生じさせることを抑制することができ、ひいては品質管理を容易とさせることができるものである。
【0037】
次に、
図3に本発明に係る重ね合わせ接着シートを往復はがきに適用した場合の説明図を示すと共に、
図4及び
図5に
図3の往復はがきの製造工程の説明図を示す。
図3〜
図5は、重ね合わせ接着シートを往復はがきに適用した場合を示したものとして、当該往信はがき冊子型に剥離可能に各積層片を重ね合わせたものである。なお、接着層に関しては
図1等で説明したものと同様である。
【0038】
図3(A)、(B)において、往復はがき41は、往信はがき42と返信はがき43とにより構成され、往信はがき42が本発明に係る重ね合わせ接着シート11に相当する。往信はがき42は、積層上片12、積層中片13及び積層下片14により構成され、積層中片13に返信はがき43が切取ライン43Aにより連設される。当該積層中片13及び返信はがき43ははがき大のもので、その幅方向において積層中片13より積層上片12及び積層下片14を小とし、当該積層中片13の差分領域の上面に「郵便往復はがき」の文字が視認できるように形成される。なお、返信ハガキ43は、他の積層片(積層上片12又は積層下片14)と連設させることとしてもよい。
【0039】
積層上片12の一方面である下面には所定の情報が形成されると共に、第1接着層21Aが形成され、また、上面には往信はがきとしての宛名情報等が形成される。なお、返信はがき43の下面には返信用としての宛名情報等が形成され、上面には所定の情報が形成される。また、積層下片14の他方面である上面には第4接着層22Bが形成されると共に、返信はがき43側の端部に強接着系の接着剤(例えばホットメルト)による接着綴じ層45が形成される。なお、積層下片14の下面には積層中片13の情報が透かし見できないように目隠し模様が施される。
【0040】
さらに、積層中片13の他方面(上面)には所定の情報が形成されると共に、積層上片12の第1接着層21Aに対応する位置に第2接着層22Aが形成される。積層中片13の一方面(下面)には所定の情報が形成されると共に、積層下片14の第4接着層22Bに対応する位置に第3接着層21Bが形成され、また、返信はがき43側の端部に強接着系の接着剤(例えばホットメルト)による接着綴じ層45が形成される。そして、積層上片12の第1接着層21Aと積層中片13の第2接着層22Aを重ね合わせ面とし、積層中片13の第3接着層21Bと積層下片14の第4接着層22Bを重ね合わせ面として圧着されることで、接着綴じ層45で固定接着され、第1重ね接着層31及び第2重ね合わせ接着層32で剥離可能となるものである。
【0041】
上記往復はがき41は、
図3(C)に示すように、着便したときに往信はがき42における返信はがき43と反対側の隅より積層上片12を剥離し、また、返信はがき43と反対側の隅より積層下片14を剥離するもので、剥離後には冊子形態となる。そして、返信はがき43を切取ライン43Aより分離し、所定情報を記入した後に投函されるものである。
【0042】
上記のような往復はがき41の製造について
図4及び
図5で示す。その製造装置については、図示しないが、概略的に第1接着剤塗布部、第1乾燥部、第2接着塗布部、第2乾燥部、搬送方向断裁部、第1綴じ接着剤塗布部、第2綴じ接着剤塗布部、位置合わせ部、折り部、幅方向断裁部及び圧着部を少なくとも備える。ここでは、上記のように、第1接着塗布部及び第2接着剤塗布部で塗布する剥離可能な接着剤の成分は同一であり、塗布厚も同一に設定されるものとして説明する。
【0043】
まず、
図4(A)において、積層上片12、積層中片13、返信はがき43、積層下片14が搬送方向断裁ライン46を介して幅方向に連設され、さらにこれらが幅方向断裁ライン47を介して搬送方向に連設され、搬送方向両側にマージナル部44が搬送方向断裁ライン46を介して設けられた連続シート40に対して、これらの表裏に図に示すような対応の情報が印刷される。すなわち、印刷後に剥離可能な接着層を形成させるいわゆる後糊形式であり、印刷前に剥離可能な接着層を形成させる前糊形式における接着層上への印刷(インキ)による接着力の変動に対して、接着力が把握しやすいという利点がある。
【0044】
そこで、
図4(B)に示すように、積層上片12及び積層中片13の下面の所定位置に第1接着剤塗布部により上記剥離可能な接着剤を塗布し、第1乾燥部により乾燥させることで第1接着層21A及び第3接着層21Bを形成する。続いて、
図4(C)に示すように、積層中片13及び積層下片14の上面の所定位置に第2接着剤塗布部により上記剥離可能な接着剤を塗布し、第2乾燥部により乾燥させることで第2接着層22A及び第4接着層22Bを形成する。
【0045】
続いて、
図4(D)に示すように、搬送方向断裁部により搬送方向断裁ライン46で断裁してそれぞれ連続した積層上片12、積層中片13及び積層下片14とされ、
図4(E)に示すように、積層中片13の上面であって、返信はがき43との切取ライン43A側に第2接着層22Aと隣接して第1綴じ接着剤塗布部により強接着剤で接着綴じ層45が形成され、また、別工程で積層下片14の上面であって、積層中片13側に第4接着層22Bと隣接して第2綴じ接着剤塗布部により強接着剤で接着綴じ層45が形成される。
【0046】
続いて、
図5(A)に示すように、それぞれ連続した積層上片12、積層中片13及び積層下片14に対し、位置合わせ部において積層上片12の第1接着層21と積層中片13(返信はがき43)の第2接着層22とを重ね合わせ面として位置合わせする。次に、
図5(B)に示すように、折り部において返信はがき43を積層下片14側に折り曲げ、
図5(C)に示すように、幅方向断裁部により幅方向断裁ライン47で断裁してそれぞれ積層上片12、積層中片13、積層下片14及び折り曲げられた返信はがき43の一単位とされる。そして、
図5(D)に示すように、圧着部51A,51Bにおいて圧着することで
図3(A)に示す返信はがき43が折り曲げられた往復はがき41とさせるものである。
【0047】
なお、返信はがき43の折り工程に関して、幅方向断裁部による断裁の後に行ってもよく、圧着部による圧着後であってもよい。また、返信はがき43の折り方向に関して、積層下片14に宛名を形成させた場合には積層上片12側に折り曲げてもよいものであるが、次工程に搬送する搬送ローラとの位置関係で当該搬送ローラ側に返信はがき43が位置されないように定めればよい。
【0048】
このように、本発明に係る重ね合わせ接着シート11を往復はがき41に適用させても、同様に、第1接着層21A及び第3接着層21Bと第2接着層22A及び第4接着層22Bとの接着力(剥離力)が異なっても第1接着層21Aに対して第2接着層22Aを重ね合わせ面とし、第3接着層21Bに対して第4接着層22Bを重ね合わせ面とさせることにより、接着力の差が吸収されることとなり、複数の積層片間の接着力差を生じさせることを抑制することができ、ひいては品質管理を容易とさせることができるものである。