(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、本発明の各実施形態について図面を参照しつつ説明する。
なお、図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
また、本願明細書と各図において、既に説明したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
各実施形態の説明には、XYZ直交座標系を用いる。n
−形半導体領域1からp形ベース領域2に向かう方向をZ方向とし、Z方向に対して垂直であり相互に直交する2方向をX方向(第1方向)およびY方向とする。
以下の説明において、n
+、n
−及びpの表記は、各導電形における不純物濃度の相対的な高低を表す。すなわち、「+」が付されている表記は、「+」および「−」のいずれも付されていない表記よりも不純物濃度が相対的に高く、「−」が付されている表記は、いずれも付されていない表記よりも不純物濃度が相対的に低いことを示す。
以下で説明する各実施形態について、各半導体領域のp形とn形を反転させて各実施形態を実施してもよい。
【0008】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る半導体装置100の一部を表す斜視断面図である。
図2は、
図1のゲート電極10近傍を表す拡大断面図である。
【0009】
半導体装置100は、MOSFETである。
図1に表すように、半導体装置100は、n
−形(第1導電形)半導体領域1(第1半導体領域)、p形(第2導電形)ベース領域2(第2半導体領域)、n
+形ソース領域3(第3半導体領域)、n
+形ドレイン領域4、ゲート電極10、フィールドプレート電極(以下、FP電極という)20(第1電極)、絶縁部31(第1絶縁部)、絶縁部32(第2絶縁部)、絶縁部33、ゲート絶縁部35、ドレイン電極40、およびソース電極41(第2電極)を有する。
【0010】
ドレイン電極40は、半導体装置100の下面に設けられている。
n
+形ドレイン領域4は、ドレイン電極40の上に設けられ、ドレイン電極40と電気的に接続されている。
n
−形半導体領域1は、n
+形ドレイン領域4の上に設けられている。
p形ベース領域2は、n
−形半導体領域1の上に設けられている。
n
+形ソース領域3は、p形ベース領域2の上に設けられている。
【0011】
FP電極20は、n
−形半導体領域1中に絶縁部31を介して設けられている。
絶縁部32は、FP電極20の上に設けられている。
ゲート電極10は、絶縁部32の上に設けられ、X方向においてゲート絶縁部35を介してp形ベース領域2と対面している。
絶縁部33は、n
+形ソース領域3の一部およびゲート電極10を上方から覆っている。
【0012】
p形ベース領域2、n
+形ソース領域3、FP電極20、およびゲート電極10は、X方向において複数設けられ、それぞれがY方向に延びている。
なお、
図1に表す例に限らず、n
+形ソース領域3、FP電極20、およびゲート電極10の形状や配置は、適宜変更可能である。例えば、FP電極20およびおよびゲート電極10は、X方向およびY方向において複数設けられていてもよい。
【0013】
ソース電極41は、p形ベース領域2およびn
+形ソース領域3の上に設けられ、p形ベース領域2、n
+形ソース領域3、およびFP電極20と電気的に接続されている。また、ゲート電極10とソース電極41は、絶縁部33によって電気的に分離されている。
【0014】
以下は、各構成要素の材料の一例である。
n
−形半導体領域1、p形ベース領域2、n
+形ソース領域3、およびn
+形ドレイン領域4は、半導体材料として、シリコン(Si)または炭化シリコン(SiC)を含む。半導体材料としてシリコンが用いられる場合、n形不純物として、ヒ素(As)、リン(P)、またはアンチモン(Sb)を用いることができる。p形不純物として、ボロン(B)を用いることができる。
ゲート電極10およびFP電極20は、ポリシリコンなどの導電材料を含む。
絶縁部31〜33およびゲート絶縁部35は、絶縁材料として酸化シリコン(SiO
2)を含む。これらの絶縁部に含まれるより具体的な材料については、後述する。
ドレイン電極40およびソース電極41は、アルミニウム(Al)などの金属を含む。
【0015】
図2に表すように、ゲート電極10は、下面11と、側面12(第1側面)と、側面12とは反対側の側面13と、を有する。側面12および13は、それぞれゲート絶縁部35を介してp形ベース領域2と対面している。下面11には、上方に向けて窪んだ凹部R1およびR2が設けられている。凹部R1とR2は、X方向において離間している。また、凹部R1は、X方向において側面12と凹部R2との間に位置し、凹部R2は、X方向において側面13と凹部R1との間に位置している。
【0016】
凹部R1とR2との間のX方向における距離D1は、側面12と凹部R1との間のX方向における距離D2より長く、側面13と凹部R2との間のX方向における距離D3より長い。なお、距離D1〜D3は、例えば、各凹部の最も窪んだ位置(Z方向における位置が最も高い点)を基準にして求めることができる。
【0017】
絶縁部32は、第1絶縁部分32aおよび第2絶縁部分32bを有する。第1絶縁部分32aは、Z方向(上下方向)において、FP電極20と第2絶縁部分32bとの間に位置している。第2絶縁部分32bは、Z方向において、第1絶縁部分32aとゲート電極10との間に位置している。
【0018】
第2絶縁部分32bは、絶縁部31、第1絶縁部分32a、およびゲート絶縁部35よりも多くのボロンを含む。また、第2絶縁部分32bの誘電率は、絶縁部31、第1絶縁部分32a、およびゲート絶縁部35の誘電率よりも高い。一方、絶縁部31、第1絶縁部分32a、およびゲート絶縁部35は、第2絶縁部分32bよりも緻密に形成されている。
【0019】
また、第2絶縁部分32bは、上方に向けて突出した突出部P1およびP2を有する。突出部P1とP2は、X方向において離間している。突出部P1は、凹部R1の内側に設けられ、突出部P2は、凹部R2の内側に設けられている。
【0020】
第2絶縁部分32bのX方向における長さは、距離D1よりも長い。また、突出部P1とP2との間の第2絶縁部分32bのZ方向における厚みは、第1絶縁部分32aのZ方向における厚みよりも厚い。
【0021】
FP電極20は、第1電極部分20aおよび第2電極部分20bを有する。第2電極部分20bは、第1電極部分20aの上に設けられている。第2電極部分20bのX方向における長さは、第1電極部分20aのX方向における長さよりも長い。また、第1電極部分20aのX方向における長さは、例えば、距離D1よりも短い。
【0022】
FP電極20は、上面21と、側面22(第2側面)と、側面22とは反対側の側面23(第3側面)と、を有する。
図1および
図2に表す例において、側面22および23は、第2電極部分20bの側面である。凹部R1および突出部P1は、上面21と側面22との間の角C1とZ方向において並んでいる。凹部R2および突出部P2は、上面21と側面23との間の角C2とZ方向において並んでいる。
【0023】
次に、半導体装置100の動作について説明する。
ソース電極41に対してドレイン電極40に正電圧が印加された状態で、ゲート電極10に閾値以上の電圧が印加されると、ゲート絶縁部35近傍のp形ベース領域2にチャネル(反転層)が形成され、半導体装置100がオン状態となる。電子は、このチャネルを通ってソース電極41からドレイン電極40へ流れる。その後、ゲート電極10に印加される電圧が閾値よりも低くなると、p形ベース領域2におけるチャネルが消滅し、半導体装置100がオフ状態になる。
【0024】
半導体装置100がオフ状態であり、かつソース電極41に対してドレイン電極40に正電位が印加されているとき、絶縁部31とn
−形半導体領域1との界面からn
−形半導体領域1に向けて空乏層が広がる。n
−形半導体領域1に向けて広がるこの空乏層により、半導体装置100の耐圧を高めることができる。あるいは、半導体装置100の耐圧が向上した分、n
−形半導体領域1におけるn形不純物濃度を高め、半導体装置100のオン抵抗を低減することができる。
【0025】
次に、
図3〜
図7を参照して、第1実施形態に係る半導体装置100の製造方法の一例について説明する。
図3〜
図7は、第1実施形態に係る半導体装置100の製造工程を表す工程断面図である。
なお、
図4〜
図6では、トレンチT1の上部(FP電極20の上方)が拡大して表されている。
【0026】
まず、n
−形半導体層1aとn
+形半導体層4aとを有する半導体基板Sを用意する。n
−形半導体層1aおよびn
+形半導体層4aは、半導体材料としてシリコンを含んでいる。次に、n
−形半導体層1aの上面に、p形不純物およびn形不純物をイオン注入し、p形ベース領域2およびn
+形ソース領域3を形成する。続いて、
図3(a)に表すように、p形ベース領域2およびn
+形ソース領域3を貫通するトレンチT1をn
−形半導体層1aに形成する。
【0027】
次に、トレンチT1の内壁に沿って絶縁層IL1を形成する。続いて、絶縁層IL1の上に導電層を形成する。この導電層をエッチバックすることで、
図3(b)に表すように、トレンチT1内にFP電極20を形成する。
図3(b)に表す例では、トレンチT1の上部と下部で厚みの異なる絶縁層IL1が形成されている。このような絶縁層IL1は、例えば、トレンチT1の内壁に沿って略均一な厚みの絶縁層を形成した後に、トレンチT1上部に形成された部分を除去し、再度トレンチT1の内壁に沿って絶縁層を形成することで得られる。この場合、絶縁層IL1は、トレンチT1の下部において複数の絶縁層が積層された構造を有する。
続いて、トレンチT1の上部と下部で厚みの異なる絶縁層IL1の上に導電層を形成し、エッチバックすることで、上下で幅の異なるFP電極20が形成される。なお、FP電極20は、略均一な厚みの絶縁層IL1の上に形成されてもよい。この場合、FP電極20の上部と下部の幅は、おおよそ等しく形成される。
【0028】
次に、熱酸化を行うことで、
図4(a)に表すように、FP電極20の上面に絶縁層IL2を形成する。絶縁層IL2は、トレンチT1上部に形成された絶縁層IL1よりも薄く形成される。
【0029】
次に、CVD(Chemical Vapor Deposition)法により、絶縁層IL1およびIL2の表面に沿って、絶縁層IL3を形成する。このとき、絶縁層IL3は、
図4(b)に表すように、トレンチT1が完全に埋め込まれないように形成される。このため、トレンチT1が形成された位置において、絶縁層IL3の上面には凹部R3が形成される。
【0030】
続いて、絶縁部IL3の上に絶縁層IL4を形成し、絶縁層IL4を加熱してリフローさせる。これにより、
図4(c)に表すように、絶縁層IL3上面の凹部R3が絶縁層IL4によって埋め込まれるとともに、絶縁層IL4の上面が平坦化される。
【0031】
図5および
図6に示される以降の工程においては、絶縁層IL1の一部、IL3の一部、およびIL4を、等方性エッチングにより除去される。等方性エッチングとしては、例えば、フッ酸を用いたウェットエッチングが挙げられる。
【0032】
なお、絶縁層IL1、IL3、およびIL4の材料は、絶縁層IL1のエッチングレートおよび絶縁層IL4のエッチングレートは、絶縁層IL3のエッチングレートよりも高くなるように、選択される。
【0033】
以下は、このようなエッチングレートの関係を実現するための材料の一例である。
絶縁層IL1は、n
−形半導体層1aの熱酸化によって形成されるため、緻密に形成された酸化シリコンから構成される。
絶縁層IL3では、絶縁材料である酸化シリコンにボロンが添加されている。このため、絶縁層IL3は、絶縁層IL1およびIL2よりも、ボロンを多く含む。
絶縁層IL4では、絶縁材料である酸化シリコンにボロンおよびリンが添加されている。また、絶縁層IL4に添加されたボロンの濃度は、絶縁層IL3に添加されたボロンの濃度よりも高い。すなわち、絶縁層IL4は、絶縁層IL1、IL2、およびIL3よりもボロンおよびリンを多く含む。
【0034】
各絶縁層をエッチングする際の様子を、
図5(a)〜
図6(b)を参照しつつ具体的に説明する。
ウェットエッチングが開始されると、まず、一番上に形成された絶縁層IL4の表面が後退していき、
図5(a)に表すように、絶縁層IL3の上面が露出する。そのまま、ウェットエッチングによって絶縁層IL3およびIL4の上面が後退していくと、
図5(b)に表すように、絶縁層IL1の上面が露出する。
【0035】
上述したように、絶縁層IL4のエッチングレートは、絶縁層IL3のエッチングレートよりも高い。このため、絶縁層IL4の上面が後退する速度は、絶縁層IL3の上面が後退する速度よりも早い。絶縁層IL4の上面が絶縁層IL3の上面よりも早く後退し、絶縁層IL4に覆われていた絶縁層IL3の側面が露出すると、
図5(b)に表すように、この露出した側面からエッチングが横方向に進行していく。
【0036】
そのままウェットエッチングが継続されると、絶縁層IL1、IL3、およびIL4の上面が後退していく。このとき、絶縁層IL1のエッチングレートは、絶縁層IL3のエッチングレートよりも高いため、
図5(c)に表すように、絶縁層IL4の上面が絶縁層IL3の上面よりも早く後退していく。
【0037】
絶縁層IL1に覆われていた絶縁層IL3の側面が露出すると、
図6(a)に表すように、この露出した側面からもエッチングが等方的に進行していく。すなわち、絶縁層IL3は、上面が後退していくとともに、絶縁層IL1およびIL4に接していた両側面からもエッチングが横方向に進行していく。この結果、絶縁層IL4が除去されたときには、
図6(b)に表すように、絶縁層IL3の上面に突出部P1およびP2が形成されている。
【0038】
図6(b)に表す構造において、FP電極20上の絶縁層IL2が第1絶縁部分32aに対応し、突出部P1およびP2を有する絶縁層IL3が第2絶縁部分32bに対応する。
【0039】
次に、半導体基板Sを熱酸化することで、露出したn
−形半導体層1a、p形ベース領域2、およびn
+形ソース領域3の表面に、絶縁層IL5を形成する。絶縁層IL5は、絶縁層IL1やIL3よりも薄く形成される。続いて、
図7(a)に表すように、絶縁層IL1およびIL2の上であって、X方向において隣接する絶縁層IL5同士の間にゲート電極10を形成する。
【0040】
突出部P1およびP2の上に、直接ゲート電極10を形成することで、突出部P1およびP2によってゲート電極10の一部が窪み、凹部R1およびR2が形成される。
【0041】
次に、ゲート電極10および絶縁層IL5を覆う絶縁層IL6を形成する。続いて、n
+形ソース領域3、絶縁層IL5およびIL6を貫通し、p形ベース領域2に達するトレンチを形成する。続いて、絶縁層IL6を覆い、このトレンチを埋め込む金属層を形成し、金属層をエッチバックすることで、
図7(b)に表すように、ソース電極41を形成する。
【0042】
その後、n
+形半導体層4aが所定の厚みになるまで、n
+形半導体層4aの裏面を研削する。続いて、n
+形半導体層4aの裏面にドレイン電極40を形成することで、
図1および
図2に表す半導体装置100が作製される。
【0043】
ここで、第1実施形態による効果について、
図8および
図9を参照しつつ説明する。
図8(a)は、半導体装置を用いた回路の一例であり、
図8(b)は、半導体装置の等価回路を表している。
図9(a)は、第1実施形態に係る半導体装置100の一部を表す断面図であり、
図9(b)は、参考例に係る半導体装置100Rの一部を表す断面図である。
【0044】
図8(a)に表す回路では、2つのMOSFET90および91が用いられ、DC−DCコンバータの主要スイッチング回路が構成されている。
図8(a)に表す回路において、MOSFET91がオフ状態のときに、MOSFET90がオン状態となると、MOSFET91のドレイン電極側の電圧がV
INまで上昇する。
【0045】
図8(b)に表すように、MOSFETでは、ドレイン電極とゲート電極との間のゲート・ドレイン間容量C
GD、ゲート電極とソース電極との間のゲート・ソース間容量C
GS、およびゲート抵抗R
Gが存在する。ドレイン電極側に電圧V
INが入力されると、ゲート電圧V
Gは、以下の式で表される値まで上昇する。
V
G={C
GD/(C
GS+C
GD)}×V
IN ・・・(1)
【0046】
このとき、ゲート電圧V
Gが閾値以上となると、MOSFET91が意図せずオン状態となり、MOSFET90および91に電流が流れ、損失が生じる。また、このようなMOSFETのセルフターンオンを防ぐためには、式(1)からわかるように、ゲート・ソース間容量C
GSを大きくする、またはゲート・ドレイン間容量C
GDを小さくする、あるいはその両方を実現することが望ましい。
【0047】
図9(a)は、第1実施形態に係る半導体装置100の一部を表す断面図であり、
図9(b)は、参考例に係る半導体装置100Rの一部を表す断面図である。
【0048】
半導体装置100および100Rでは、ともにゲート電極10の下面11に凹部R1およびR2が形成されている。半導体装置100では、
図9(a)に表すように、距離D1が、距離D2およびD3よりも長い。これに対して、半導体装置100Rでは、
図9(b)に表すように、距離D1が、距離D2およびD3よりも短い。
【0049】
距離D1〜D3が、
図9(a)に表す関係の場合、
図9(b)に表す関係の場合に比べて、凹部R1とR2との間に位置する下面11の領域11aの面積が大きくなる。領域11aは、FP電極20の上面21と対向しているため、距離D1〜D3が、
図9(a)に表す関係の場合、
図9(b)に表す関係の場合に比べて、ゲート電極10とFP電極20との間のゲート・ソース間容量を増加させることができる。
【0050】
FP電極20は、ソース電極41と電気的に接続されているため、ゲート電極10とFP電極20との間の容量を増加させることは、ゲート電極10とソース電極41との間のゲート・ソース間容量C
GSを大きくすることにつながる。
【0051】
また、ゲート電極10は、絶縁層31および32、ゲート絶縁層35を介して、n
−形半導体領域1と対面しており、これによりゲート電極10とn
−形半導体領域1との間にゲート・ドレイン間容量C
GDが形成されている。凹部R1およびR2が形成された部分では、局所的に、ゲート電極10とn
−形半導体領域1との間の距離が長くなるため、これらの部分のゲート・ドレイン間容量C
GDも小さくなる。
凹部R1およびR2によるゲート・ドレイン間容量C
GDの減少量は、凹部R1およびR2がn
−形半導体領域1に近づくほど大きくなる。従って、距離D2およびD3が、距離D1よりも短くなるように、ゲート電極10の側面12および13に近づけて設けられることで、凹部R1およびR2によるゲート・ドレイン間容量C
GDの減少量をより大きくすることができる。
このため、
図9(a)に表す本実施形態に係る半導体装置の構造によれば、
図9(b)に表す構造に比べて、ゲート・ドレイン間容量C
GDを小さくすることができる。
【0052】
図8を用いて説明したように、MOSFETのセルフターンオンを防ぐためには、ゲート・ソース間容量C
GSを大きくする、またはゲート・ドレイン間容量C
GDを小さくする、あるいはその両方を実現することが望ましい。
本実施形態によれば、上述したように、ゲート・ソース間容量C
GSを大きくしつつ、ゲート・ドレイン間容量C
GDを小さくすることができる。このため、本実施形態によれば、参考例に係る半導体装置に比べて、セルフターンオン現象の発生を抑制することが可能となる。
【0053】
また、ゲート電極10に電圧が印加された際、ゲート電極10とFP電極20との間の電位差により、これらの電極の間に電界が生じる。このとき、FP電極20上部の角C1およびC2近傍では電界の集中が生じやすい。電界集中による絶縁破壊を防ぐためには、ゲート電極10とFP電極20との間の距離が長いことが望ましい。
しかし、ゲート電極10とFP電極20との間の絶縁部32の厚みを全体的に厚くしてしまうと、ゲート・ソース間の容量C
GSが低下してしまう。
【0054】
この点について、本実施形態に係る半導体装置100では、角C1と凹部R1、および角C2と凹部R2が、Z方向において並んでいる。すなわち、電界集中が生じやすい角C1およびC2が設けられた場所において、局所的に、ゲート電極10とFP電極20との間の距離が長くなっている。
このため、本実施形態によれば、ゲート・ソース間容量C
GSの低下を抑制しつつ、FP電極20における電界集中を緩和することが可能である。
【0055】
さらに、ゲート電極10とFP電極20との間に設けられた絶縁部32は、第2絶縁部分32bを有する。第2絶縁部分32bは、第1絶縁部分32aよりもボロンを多く含み、第2絶縁部分32bの誘電率は、第1絶縁部分32aや絶縁部31などの誘電率よりも高い。ゲート電極10とFP電極20との間に設けられた絶縁体の誘電率が高いほど、より大きな誘電分極が生じ、ゲート電極10とFP電極20に発生する電荷がより多く相殺される。このため、角C1およびC2の上に、他の絶縁部よりも誘電率の高い第2絶縁部分32bが設けられていることで、角C1およびC2近傍の電界集中を、より一層緩和することが可能である。
【0056】
また、本実施形態に係る製造方法によれば、エッチングレートの異なる3つの絶縁層を用いて絶縁層IL2の上面に突出部P1およびP2を形成し、これらの突出部を利用して凹部R1およびR2を有するゲート電極10を形成している。本実施形態によれば、このような簡易な方法で、凹部R1およびR2を有するゲート電極10を形成することができる。
【0057】
また、本実施形態に係る製造方法によれば、絶縁層IL1およびIL3のそれぞれの膜厚を調整することで、絶縁層IL3の上面に形成される突出部P1およびP2の位置を制御することも可能である。
すなわち、トレンチT1上部における絶縁層IL1を薄く形成するほど、突出部P1およびP2は、トレンチT1の内壁に近い位置に形成される。また、絶縁層IL3を薄く形成するほど、突出部P1およびP2は、トレンチT1の内壁に近い位置に形成される。
【0058】
次に、
図10〜
図12を参照しつつ、実施形態の変形例について説明する。
図10〜
図12は、実施形態の変形例に係る半導体装置の一部を表す断面図である。
図10〜
図12では、各半導体装置のゲート電極10近傍が拡大して表されている。
【0059】
図10(a)に表す例では、凹部R1とR2との間に位置する下面11の領域11aが、凹部R1と側面12との間および凹部R2と側面13との間の領域11bよりも下方に位置している。
【0060】
ゲート電極10の下面とFP電極20の上面との距離が短くなることで、ゲート・ソース間容量C
GSを大きくすることができる。一方で、FP電極20の角C1およびC2の上方に位置する領域11bは、角C1およびC2における電界集中を抑制するために、FP電極20に近接して設けられるのは望ましくない。
【0061】
この点について、
図10(a)に表す形態によれば、領域11aが領域11bよりも下方に位置することで、角C1およびC2における電界集中を抑制しつつ、ゲート・ソース間の容量をさらに大きくすることができる。
【0062】
図10(b)に表すように、領域11aは、下方に向けて凸に湾曲していてもよい。または、領域11aの一部が平坦であり、他の一部が下方に向けて湾曲していてもよい。同様に、領域11bが、下方に向けて凸に湾曲していてもよい。
【0063】
図11(a)に表す例では、領域11aが領域11bよりも上方に位置している。また、
図11(b)に表す例では、領域11aが、
図11(a)に表す例よりもさらに上方に位置している。
【0064】
なお、
図11(b)に表す構造は、例えば、
図4〜
図6に表す工程において、絶縁層IL1とIL3とのエッチングレートの差が、絶縁層IL4と絶縁層IL3とのエッチングレートとの差よりも大きく、絶縁層IL4の一部を残すように絶縁層IL1、IL3、およびIL4を除去した場合に得られる。
この場合、
図11(b)に表すように、ゲート電極10とFP電極20との間の絶縁部32は、第1絶縁部分32aおよび第2絶縁部分32bに加え、第3絶縁部分32cを有する。第3絶縁部分32cは、Z方向において第2絶縁部分32bとゲート電極10との間に位置している。また、第3絶縁部分32cは、第1絶縁部分32aおよび第2絶縁部分32bよりもボロンおよびリンを多く含んでいる。
【0065】
図12(a)に表す例では、領域11aが下方に向けて凸に湾曲するとともに、FP電極20の上面21も、下方に向けて凸に湾曲している。この場合、ゲート電極10とFP電極20との間の第1絶縁部分32aおよび第2絶縁部分32bも、下方に向けて凸に湾曲している。
図12(b)に表す例では、領域11aおよび上面21が、下方に向けて凸に曲折している。そして、第1絶縁部分32aおよび第2絶縁部分32bも、下方に向けて凸に曲折している。
このように、FP電極20の上面21や絶縁部32の各部分の形状は、適宜変更することが可能である。
【0066】
なお、
図12(a)および(b)に表す例の場合、FP電極20の角C1およびC2における電界集中がより強くなる。しかし、本実施形態によれば、凹部R1およびR2が、それぞれ角C1およびC2の上に位置しているため、これらの角における電界集中を好適に緩和することが可能である。
【0067】
以上で説明した各実施形態における、各半導体領域の間の不純物濃度の相対的な高低については、例えば、SCM(走査型静電容量顕微鏡)を用いて確認することが可能である。なお、各半導体領域におけるキャリア濃度は、各半導体領域において活性化している不純物濃度と等しいものとみなすことができる。従って、各半導体領域の間のキャリア濃度の相対的な高低についても、SCMを用いて確認することができる。
また、各半導体領域における不純物濃度については、例えば、SIMS(二次イオン質量分析法)により測定することが可能である。
【0068】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。実施形態に含まれる、例えば、n
−形半導体領域1、p形ベース領域2、n
+形ソース領域3、n
+形ドレイン領域4、ゲート電極10、フィールドプレート電極20、絶縁部31〜33、ゲート絶縁部35、ドレイン電極40、ソース電極41などの各要素の具体的な構成に関しては、当業者が公知の技術から適宜選択することが可能である。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。また、前述の各実施形態は、相互に組み合わせて実施することができる。