(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0034】
本開示は、特定の「樹脂直鎖状」オルガノシロキサンブロックコポリマー、並びに「樹脂直鎖状」オルガノシロキサンブロックコポリマーを含む硬化性及び固体組成物を調製するための方法を提供する。「樹脂−直鎖状」オルガノシロキサンブロックコポリマーは、特定の、比較的少量(モル%単位で)の不飽和基を含有することから、「二重硬化」機構も想到されるが、少なくともヒドロシリル化によって硬化することができる。二重硬化機構を有する樹脂直鎖状オルガノシロキサンブロックコポリマーを包含する実施形態において、ヒドロシリル化は、1つの硬化機構となり得る。しかし、特定量(モル%)の不飽和基を有することに加え、樹脂直鎖状オルガノシロキサンブロックコポリマーは、例えば、縮合硬化機構、ディールスアルダー硬化、アジド−アルキン付加環化硬化、ラジカル硬化、UV又はラジカルアクリレート硬化、UVエポキシ硬化、マイケル付加、及び「クリックケミストリー」に分類される全ての反応等の少なくとも1つの第2の硬化機構をもたらすことができる、他の反応性官能基(例えば、シラノール、エポキシド基、シアン酸エステル基、アジドアルキン基等)も含むことができる。
【0035】
比較的少量の不飽和基を有するヒドロシリル化硬化性樹脂−直鎖状オルガノシロキサンブロックコポリマーは、その縮合硬化性の相対物と比較して、有意に速い硬化速度を有することが、驚くべきことに、かつ予想外に、見出された。より速い硬化速度は、発光ダイオード(LED)のような電子デバイスを、高スループットで封入及び硬化し、それによってプロセスの総コストを低下し、固体光源の広範な利用を助ける手段となってきた。LEDチップデバイスはまた、一般的にチップ及びダイオードのような背の高い構造体(tall structures)を含有し、これは例えば、積層プロセスによって封入することが特に困難である。調整可能な高速硬化系は、こうした状況で成功するために必要なレベルの制御を提供することができる。速い硬化速度を有することに加え、ヒドロシリル化硬化性オルガノシロキサンブロックコポリマーは、とりわけ、比較的高い樹脂ガラス転移温度(T
g)から生じる低粘着及び高い貯蔵安定性を示す。本明細書に記載の「樹脂直鎖状」オルガノシロキサンブロックコポリマー、並びに「樹脂直鎖状」オルガノシロキサンブロックコポリマーを含む硬化性固体組成物に関連するその他の利点としては、限定するものではないが、良好な散逸又は応力緩和挙動(これはLEDデバイスの応力散逸を助ける)、硬化速度に悪影響を及ぼすことなく蛍光体粒子を収容する能力が挙げられる。
オルガノシロキサンブロックコポリマー
【0036】
いくつかの実施形態において、「樹脂直鎖状」オルガノシロキサンブロックコポリマーは、
40〜90モルパーセントの式[R
12SiO
2/2]のジシロキシ単位、
10〜60モルパーセントの式[R
2SiO
3/2]のトリシロキシ単位、
0.5〜35モルパーセントのシラノール基[≡SiOH]を含み、
式中、
各R
1は、それぞれ独立して、C
1〜C
30ヒドロカルビル又は少なくとも1つの脂肪族不飽和結合を含むC
1〜C
30ヒドロカルビル基であり、
各R
2は、それぞれ独立して、C
1〜C
30ヒドロカルビル又は少なくとも1つの脂肪族不飽和結合を含むC
1〜C
30ヒドロカルビル基である、オルガノシロキサンブロックコポリマーであって、
ここで、
上記ジシロキシ単位[R
12SiO
2/2](D)は、直鎖状ブロック1つ当たり平均で10〜400個のジシロキシ単位[R
12SiO
2/2]を有する直鎖状ブロックの中に配置され、
上記トリシロキシ単位[R
2SiO
3/2](T)は、少なくとも500g/モルの分子量を有する非直鎖状ブロックの中に配置され、
この非直鎖状ブロックの少なくとも30%は、互いに架橋しており、
各直鎖状ブロックは、−Si−O−Si−結合を介して少なくとも1つの非直鎖状ブロックに連結されており、
上記オルガノシロキサンブロックコポリマーは、少なくとも20,000g/モルの重量平均分子量を有し、かつ、
上記オルガノシロキサンブロックコポリマーは、約0.5〜約5モル%の少なくとも1つの脂肪族不飽和結合を含むC
1〜C
30ヒドロカルビル基を含む、オルガノシロキサンブロックコポリマーである。
【0037】
本明細書で使用されるとき、「オルガノシロキサンブロックコポリマー」又は「樹脂−直鎖状オルガノシロキサンブロックコポリマー」とは、「直鎖状」Dシロキシ単位を「樹脂」Tシロキシ単位と組み合わせて含有するオルガノポリシロキサンを指す。いくつかの実施形態において、オルガノシロキサンコポリマーは、「ランダム」コポリマーとは対照的に、「ブロック」コポリマーである。本開示の実施形態の「樹脂−直鎖状オルガノシロキサンブロックコポリマー」は、それ自体はD及びTシロキシ単位を含有するオルガノポリシロキサンを指し、ここでD単位(すなわち、[R
12SiO
2/2]単位)は主に互いに結合して、いくつかの実施形態において、平均で10〜400D単位(例えば、平均で約10〜約350D単位、約10〜約300D単位、約10〜約200D単位、約10〜約100D単位、約50〜約400D単位、約100〜約400D単位、約150〜約400D単位、約200〜約400D単位、約300〜約400D単位、約50〜約300D単位、約100〜約300D単位、約150〜約300D単位、約200〜約300D単位、約100〜約150D単位、約115〜約125D単位、約90〜約170D単位又は約110〜約140D単位)を有する高分子鎖を形成し、これは本明細書において「直鎖状ブロック」と称される。
【0038】
T単位(すなわち、[R
2SiO
3/2])は、いつくつかの実施形態において、主に互いに結合して、分枝状高分子鎖を形成し、これは「非直鎖状ブロック」と称される。いくつかの実施形態では、かなりの数のこれらの非直鎖状ブロックは、更に凝集して、「ナノドメイン」を形成し、この時、固体形態のブロックコポリマーが提供される。いくつかの実施形態では、これらのナノドメインは、D単位を有する直鎖状ブロックから形成される相から分離した相を形成し、その結果、樹脂リッチ相を形成する。いくつかの実施形態において、ジシロキシ単位[R
12SiO
2/2]は、直鎖状ブロック1つ当たり平均で10〜400個のジシロキシ単位[R
12SiO
2/2](例えば、平均で約10〜約350D単位、約10〜約300D単位、約10〜約200D単位、約10〜約100D単位、約50〜約400D単位、約100〜約400D単位、約150〜約400D単位、約200〜約400D単位、約300〜約400D単位、約50〜約300D単位、約100〜約300D単位、約150〜約300D単位、約200〜約300D単位、約100〜約150D単位、約115〜約125D単位、約90〜約170D単位又は約110〜約140D単位)を有する直鎖状ブロックの中に配列され、トリシロキシ単位[R
2SiO
3/2]は、少なくとも500g/モルの分子量を有する非直鎖状ブロックの中に配列され、この非直鎖状ブロックの少なくとも30%は互いに架橋している。
【0039】
いくつかの実施形態において、非直鎖状ブロックは、少なくとも500g/モル、例えば、少なくとも1000g/モル、少なくとも2000g/モル、少なくとも3000g/モル、少なくとも4000g/モル、少なくとも5000g/モル、少なくとも6000g/モル、少なくとも7000g/モル又は少なくとも8000g/モルの数平均分子量を有する、又は、約500g/モル〜8000g/モル、約500g/モル〜7000g/モル、約500g/モル〜6000g/モル、約500g/モル〜5000g/モル、約500g/モル〜約4000g/モル、約500g/モル〜約3000g/モル、約500g/モル〜約2000g/モル、約500g/モル〜約1000g/モル、約1000g/モル〜2000g/モル、約1000g/モル〜約1500g/モル、約1000g/モル〜約1200g/モル、約1000g/モル〜3000g/モル、約1000g/モル〜約2500g/モル、約1000g/モル〜約4000g/モル、約1000g/モル〜5000g/モル、約1000g/モル〜6000g/モル、約1000g/モル〜7000g/モル、約1000g/モル〜8000g/モル、約2000g/モル〜約3000g/モル、約2000g/モル〜約4000g/モル、約2000g/モル〜5000g/モル、約2000g/モル〜6000g/モル、約2000g/モル〜7000g/モル又は約2000g/モル〜8000g/モルの分子量を有する。
【0040】
いくつかの実施形態において、非直鎖状ブロックの少なくとも30%は、互いに架橋しており、例えば、非直鎖状ブロックの少なくとも40%は互いに架橋しており、非直鎖状ブロックの少なくとも50%は互いに架橋しており、非直鎖状ブロックの少なくとも60%は互いに架橋しており、非直鎖状ブロックの少なくとも70%は互いに架橋しており、又は、非直鎖状ブロックの少なくとも80%は互いに架橋しており、ここで、架橋した非直鎖状ブロックのパーセントを示すために本明細書で与えられる百分率は、全て重量パーセントである。他の実施形態において、非直鎖状ブロックの約30%〜約80%は互いに架橋しており、非直鎖状ブロックの約30%〜約70%は互いに架橋しており、非直鎖状ブロックの約30%〜約60%は互いに架橋しており、非直鎖状ブロックの約30%〜約50%は互いに架橋しており、非直鎖状ブロックの約30%〜約40%は互いに架橋しており、非直鎖状ブロックの約40%〜約80%は互いに架橋しており、非直鎖状ブロックの約40%〜約70%は互いに架橋しており、非直鎖状ブロックの約40%〜約60%は互いに架橋しており、非直鎖状ブロックの約40%〜約50%は互いに架橋しており、非直鎖状ブロックの約50%〜約80%は互いに架橋しており、非直鎖状ブロックの約50%〜約70%は互いに架橋しており、非直鎖状ブロックの約55%〜約70%は互いに架橋しており、非直鎖状ブロックの約50%〜約60%は互いに架橋しており、非直鎖状ブロックの約60%〜約80%は互いに架橋しており、又は、非直鎖状ブロックの約60%〜約70%は互いに架橋している。
【0041】
非直鎖状ブロックの架橋は、種々の化学的機構及び/又は部分を介して達成されてもよい。例えば、ブロックポリマー内の非直鎖状ブロックの架橋は、コポリマーの非直鎖状ブロック内に存在する残留シラノール基の縮合から生じてもよい。
【0042】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の実施形態のオルガノシロキサンブロックコポリマーは、40〜90モルパーセントの式[R
12SiO
2/2]のジシロキシ単位、例えば、50〜90モルパーセントの式[R
12SiO
2/2]のジシロキシ単位、60〜90モルパーセントの式[R
12SiO
2/2]のジシロキシ単位、65〜90モルパーセントの式[R
12SiO
2/2]のジシロキシ単位、70〜90モルパーセントの式[R
12SiO
2/2]のジシロキシ単位、又は80〜90モルパーセントの式[R
12SiO
2/2]のジシロキシ単位、40〜80モルパーセントの式[R
12SiO
2/2]のジシロキシ単位、40〜70モルパーセントの式[R
12SiO
2/2]のジシロキシ単位、40〜60モルパーセントの式[R
12SiO
2/2]のジシロキシ単位、40〜50モルパーセントの式[R
12SiO
2/2]のジシロキシ単位、50〜80モルパーセントの式[R
12SiO
2/2]のジシロキシ単位、50〜70モルパーセントの式[R
12SiO
2/2]のジシロキシ単位、50〜60モルパーセントの式[R
12SiO
2/2]のジシロキシ単位、60〜80モルパーセントの式[R
12SiO
2/2]のジシロキシ単位、60〜70モルパーセントの式[R
12SiO
2/2]のジシロキシ単位、又は70〜80モルパーセントの式[R
12SiO
2/2]のジシロキシ単位を含む。
【0043】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の実施形態のオルガノシロキサンブロックコポリマーは、10〜60モルパーセントの式[R
2SiO
3/2]のトリシロキシ単位、例えば、10〜20モルパーセントの式[R
2SiO
3/2]のトリシロキシ単位、10〜30モルパーセントの式[R
2SiO
3/2]のトリシロキシ単位、10〜35モルパーセントの式[R
2SiO
3/2]のトリシロキシ単位、10〜40モルパーセントの式[R
2SiO
3/2]のトリシロキシ単位、10〜50モルパーセントの式[R
2SiO
3/2]のトリシロキシ単位、20〜30モルパーセントの式[R
2SiO
3/2]のトリシロキシ単位、20〜35モルパーセントの式[R
2SiO
3/2]のトリシロキシ単位、20〜40モルパーセントの式[R
2SiO
3/2]のトリシロキシ単位、20〜50モルパーセントの式[R
2SiO
3/2]のトリシロキシ単位、20〜60モルパーセントの式[R
2SiO
3/2]のトリシロキシ単位、30〜40モルパーセントの式[R
2SiO
3/2]のトリシロキシ単位、30〜50モルパーセントの式[R
2SiO
3/2]のトリシロキシ単位、30〜60モルパーセントの式[R
2SiO
3/2]のトリシロキシ単位、40〜50モルパーセントの式[R
2SiO
3/2]のトリシロキシ単位、又は40〜60モルパーセントの式[R
2SiO
3/2]のトリシロキシ単位を含む。
【0044】
本明細書に記載の実施形態のオルガノシロキサンブロックコポリマーは、追加のシロキシ単位、例えば、Mシロキシ単位、Qシロキシ単位、その他の特異なD又はTシロキシ単位(例えば、R
1又はR
2以外の有機基を有するもの)を含有してもよいが、但し、そのオルガノシロキサンブロックコポリマーが、本明細書に記載のモル分率のジシロキシ及びトリシロキシ単位を含有し、約0.5〜約5モル%(例えば、約0.5〜約1モル%、約0.5〜約4.5モル%、約1〜約4モル%、約2〜約3モル%、約2〜約4モル%、約1〜約5モル%又は約2〜約5モル%)の、少なくとも1つの脂肪族不飽和結合を含むC
1〜C
30ヒドロカルビル基を含むことを条件とする。
【0045】
いくつかの実施形態では、樹脂−直鎖状オルガノシロキサンブロックコポリマーはシラノール基(≡SiOH)も含有する。オルガノシロキサンブロックコポリマーに存在するシラノール基の量は、0.5〜35モルパーセントのシラノール基[≡SiOH]、あるいは2〜32モルパーセントのシラノール基[≡SiOH]、あるいは8〜22モルパーセントのシラノール基[≡SiOH]、あるいは10〜20モルパーセントのシラノール基[≡SiOH]、あるいは15〜20モルパーセントのシラノール基[≡SiOH]、あるいは12〜22モルパーセントのシラノール基[≡SiOH]、あるいは15〜25モルパーセントのシラノール基[≡SiOH]、あるいは15〜35モルパーセントのシラノール基[≡SiOH]あるいは1〜35モルパーセントのシラノール基で変動してもよい。シラノール基は、オルガノシロキサンブロックコポリマー内の任意のシロキシ単位に存在してもよい。本明細書に記載の量は、オルガノシロキサンブロックコポリマー内に見出されるシラノール基の合計量を表す。いくつかの実施形態において、シラノール基の大部分(例えば、75%超、80%超、90%超、約75%〜約90%、約80%〜約90%、又は約75%〜約85%)は、トリシロキシ単位、すなわち、ブロックコポリマーの樹脂成分上に存在するであろう。いかなる理論にも束縛されるものではないが、オルガノシロキサンブロックコポリマーの樹脂成分に存在するシラノール基により、ブロックコポリマーを高温で更に反応又は硬化させることができる。
【0046】
各R
1はそれぞれ、本明細書に記載されるとき、独立して、C
1〜C
30ヒドロカルビル(例えば、C
1〜C
20ヒドロカルビル、C
1〜C
10ヒドロカルビル又はC
1〜C
6ヒドロカルビル)であってもよく、このヒドロカルビル基は脂肪族不飽和を含まず、独立してアルキル、アリール又はアルキルアリール基であってもよい。各R
1は、それぞれ独立して、C
1〜C
30アルキル基でもよく、あるいは、各R
1は、それぞれ、C
1〜C
18アルキル基でもよい。あるいは、各R
1は、それぞれ、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、又はヘキシル等のC
1〜C
6アルキル基であってもよい。あるいは、各R
1は、それぞれ、メチルであってもよい。各R
1は、それぞれ、フェニル基、ナフチル基、又はアンスリル基等のアリール基であってもよい。あるいは、各R
1は、それぞれ、上記のアルキル又はアリール基の任意の組み合わせであってもよく、その結果、いくつかの実施形態では、各ジシロキシ単位は2個のアルキル基(例えば、2個のメチル基)、2個のアリール基(例えば、2個のフェニル基)、又は1個のアルキル基(例えば、メチル)と1個のアリール基(例えば、フェニル)を有してもよい。あるいは、オルガノシロキサンブロックコポリマーが約0.5〜約5モル%(例えば、約0.5〜約1モル%、約0.5〜約4.5モル%、約1〜約4モル%、約2〜約3モル%、約2〜約4モル%、約1〜約5モル%又は約2〜約5モル%)の、少なくとも1つの脂肪族不飽和結合を含むC
1〜C
30ヒドロカルビル基を含む限り、各R
1は、それぞれ、フェニル又はメチルであってもよい。
【0047】
いくつかの実施形態において、各R
1は、それぞれ、本明細書に記載されるとき、独立して、C
1〜C
30ヒドロカルビルであり、このヒドロカルビル基は少なくとも1つの脂肪族不飽和結合を含む。脂肪族不飽和結合の例としては、アルケニル又はアルキニル結合が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、脂肪族不飽和結合は、末端二重結合である。C
2〜C
30(例えば、C
2〜C
20、C
2〜C
12、C
2〜C
8、又はC
2〜C
4)ヒドロカルビル基の例としては、限定するものではないが、H
2C=CH−、H
2C=CHCH
2−、H
2C=C(CH
3)CH
2−、H
2C=CHC(CH
3)
2−、H
2C=CHCH
2CH
2−、H
2C=CHCH
2CH
2CH
2−、H
2C=CHCH
2CH
2CH
2CH
2−等が挙げられる。C
2〜C
30ヒドロカルビル基のその他の例としては、限定するものではないが、HC≡C−、HC≡CCH
2−、HC≡CCH(CH
3)−、HC≡CC(CH
3)
2−、及びHC≡CC(CH
3)
2CH
2−が挙げられる。あるいは、R
1はビニル基、H
2C=CH−である。
【0048】
各R
2は、それぞれ、本明細書に記載されるとき、独立してC
1〜C
30ヒドロカルビル(例えば、C
1〜C
20ヒドロカルビル、C
1〜C
10ヒドロカルビル又はC
1〜C
6ヒドロカルビル)であってもよく、このヒドロカルビル基は脂肪族不飽和を含まず、独立してアルキル、アリール又はアルキルアリール基であってもよい。各R
2は、それぞれ、独立してC
1〜C
30アルキル基でもよく、あるいは、各R
2は、それぞれ、C
1〜C
18アルキル基でもよい。あるいは、各R
2は、それぞれ、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、又はヘキシル等のC
1〜C
6アルキル基であってもよい。あるいは、各R
2は、それぞれ、メチルであってもよい。各R
2は、それぞれ、フェニル基、ナフチル基、又はアンスリル基等のアリール基であってもよい。あるいは、各R
2は、それぞれ、上記のアルキル又はアリール基の任意の組み合わせであってもよく、例えば、いくつかの実施形態では、各ジシロキシ単位は2個のアルキル基(例えば、2個のメチル基)、2個のアリール基(例えば、2個のフェニル基)、又は1個のアルキル基(例えば、メチル)と1個のアリール基(例えば、フェニル)を有してもよい。あるいは、オルガノシロキサンブロックコポリマーが約0.5〜約5モル%(例えば、約0.5〜約1モル%、約0.5〜約4.5モル%、約1〜約4モル%、約2〜約3モル%、約2〜約4モル%、約1〜約5モル%又は約2〜約5モル%)の、少なくとも1つの脂肪族不飽和結合を含むC
1〜C
30ヒドロカルビル基を含む限り、各R
2は、それぞれ、フェニル又はメチルであってもよい。
【0049】
いくつかの実施形態において、各R
2は、それぞれ、本明細書に記載されるとき、独立して、C
1〜C
30ヒドロカルビルであり、このヒドロカルビル基は少なくとも1つの脂肪族不飽和結合を含み、用語は本明細書に定義される通りである。
【0050】
本明細書全体を通して使用されるとき、「ヒドロカルビル」は、置換ヒドロカルビル基も含む。「置換」は、本明細書全体を通して使用されるとき、その基の水素原子の1つ以上を当業者に既知の置換基で置換して、本明細書に記載されるような安定した化合物を生じさせることを広く指す。好適な置換基の例としては、限定するものではないが、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、アルカリール、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、カルボキシ(すなわち、CO
2H)、カルボキシアルキル、カルボキシアリール、シアノ、シアン酸エステル、(すなわち、−OCN基)、シリル、シロキシ、ホスフィン、ハロゲン、硫黄含有基、ニトロ、エポキシ(2個の隣接する炭素原子が、それが結合する酸素原子と共に、エポキシド基を形成する)等が挙げられる。置換ヒドロカルビルは、ハロゲン置換ヒドロカルビルも含み、ここでハロゲンは、フッ素、塩素、臭素、又はこれらの組み合わせであってもよい。
【0051】
本明細書に記載する実施形態のオルガノシロキサンブロックコポリマーは、少なくとも20,000g/モルの重量平均分子量(M
w)、あるいは少なくとも40,000g/モルの重量平均分子量、あるいは少なくとも50,000g/モルの重量平均分子量、あるいは少なくとも60,000g/モルの重量平均分子量、あるいは少なくとも80,000g/モルの重量平均分子量、あるいは少なくとも100,000g/モルの重量平均分子量を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるオルガノシロキサンブロックコポリマーは、約20,000g/モル〜約250,000g/モル、約40,000g/モル〜約250,000g/モル、約50,000g/モル〜約250,000g/モル又は約100,000g/モル〜約250,000g/モルの重量平均分子量(M
w)、あるいは約45,000g/モル〜約100,000g/モルの重量平均分子量、あるいは約50,000gモル〜約100,000g/モルの重量平均分子量、あるいは約50,000g/モル〜約80,000g/モルの重量平均分子量、あるいは約50,000g/モル〜約70,000g/モルの重量平均分子量、あるいは約50,000g/モル〜約60,000g/モルの重量平均分子量を有する。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の実施形態のオルガノシロキサンブロックコポリマーは、約15,000〜約50,000g/モル、約15,000〜約30,000g/モル、約20,000〜約30,000g/モル、又は約20,000〜約25,000g/モルの数平均分子量(M
n)を有する。平均分子量は、実施例に記載されるもののような、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)技術を用いて容易に決定することができる。
オルガノシロキサンブロックコポリマーを生成する方法
【0052】
いくつかの実施形態において、本発明の実施形態の樹脂−直鎖状オルガノシロキサンブロックコポリマーは、
A)樹脂直鎖状オルガノシロキサンブロックコポリマーであって、
40〜90モルパーセントの式[R
12SiO
2/2]のジシロキシ単位、
10〜60モルパーセントの式[R
2SiO
3/2]のトリシロキシ単位、
0.5〜35モルパーセントのシラノール基[≡SiOH]を含み、
式中、
各R
1は、それぞれ独立して、脂肪族不飽和を含まないC
1〜C
30ヒドロカルビルであり、
各R
2は、それぞれ独立して、脂肪族不飽和を含まないC
1〜C
30ヒドロカルビルであり、
ここで、
上記ジシロキシ単位[R
12SiO
2/2]は、直鎖状ブロック1つ当たり平均で10〜400個のジシロキシ単位[R
12SiO
2/2]を有する直鎖状ブロックの中に配置され、
上記トリシロキシ単位[R
2SiO
3/2]は、少なくとも500g/モルの分子量を有する非直鎖状ブロックの中に配置され、この非直鎖状ブロックの少なくとも30%は互いに架橋しており、
各直鎖状ブロックは、−Si−O−Si−結合を介して少なくとも1つの非直鎖状ブロックに連結されており、かつ、
上記オルガノシロキサンブロックコポリマーは、少なくとも20,000g/モルの重量平均分子量を有する、樹脂−直鎖状オルガノシロキサンブロックコポリマーを、
B)式R
1R
22SiXの化合物であって、
式中、各R
1は、それぞれ独立して、脂肪族不飽和を含まないC
1〜C
30ヒドロカルビル又は少なくとも1つの脂肪族不飽和結合を含むC
1〜C
30ヒドロカルビル基であり、
各R
2は、それぞれ独立して、脂肪族不飽和を含まないC
1〜C
30ヒドロカルビル又は少なくとも1つの脂肪族不飽和結合を含むC
1〜C
30ヒドロカルビル基であり、
Xは、−OR
4、F、Cl、Br、I、−OC(O)R
4、−N(R
4)
2、又は−ON=CR
42から選択される加水分解性基であって、式中、R
4は、水素又は場合により置換されていてもよいC
1〜C
6アルキル基である化合物と
接触させる(例えば、反応させる)ことによって調製されてもよい。
【0053】
他の実施形態において、本発明の実施形態の樹脂−直鎖状オルガノシロキサンブロックコポリマーは、
A)式:
R
13−p(E)
pSiO(R
12SiO
2/2)
nSi(E)
pR
13−pを有する直鎖状オルガノシロキサンあって、
式中、各R
1は、それぞれ独立して、脂肪族不飽和を含まないC
1〜C
30ヒドロカルビルであり、
nは10〜400であり、
Eは、−OR
4、F、Cl、Br、I、−OC(O)R
4、−N(R
4)
2、又は−ON=CR
42から選択される加水分解性基であって、式中、R
4は、水素又はC
1〜C
6アルキル基であり、
各pは、独立して1、2又は3である、直鎖状オルガノシロキサンと、
B)単位式:
[R
12R
2SiO
1/2]
a[R
1R
2SiO
2/2]
b[R
1SiO
3/2]
c[R
2SiO
3/2]
d[SiO
4/2]
eを含むオルガノシロキサン樹脂であって、
式中、各R
1は、それぞれ独立して、脂肪族不飽和を含まないC
1〜C
30ヒドロカルビル又は少なくとも1つの脂肪族不飽和結合を含むC
1〜C
30ヒドロカルビル基であり、
各R
2は、それぞれ独立して、脂肪族不飽和を含まないC
1〜C
30ヒドロカルビル又は少なくとも1つの脂肪族不飽和結合を含むC
1〜C
30ヒドロカルビル基であり、
上記オルガノシロキサン樹脂は0〜35モル%のシラノール基[≡SiOH]を含み、かつ
下付き文字a、b、c、d、及びeは、前記オルガノシロキサン樹脂中に存在する各シロキシ単位のモル分率を表し、その範囲は、
aは、約0〜約0.6であり、
bは、約0〜約1であり、
cは、約0〜約1であり、
dは、約0〜約1であり、
eは、約0〜約0.6であり、
但し、b+c+d+e>0及びa+b+c+d+e≦1である、オルガノシロキサン樹脂と
を反応させる工程を含む方法によって調製されてもよい。
【0054】
更に他の実施形態において、本発明の実施形態の樹脂−直鎖状オルガノシロキサンブロックコポリマーは、
A)式:
R
13−p(E)
pSiO(R
12SiO
2/2)
nSi(E)
pR
13−pを有する直鎖状オルガノシロキサンあって、
式中、各R
1は、それぞれ独立して、脂肪族不飽和を含まないC
1〜C
30ヒドロカルビルであり、
nは10〜400であり、
Eは、−OR
4、F、Cl、Br、I、−OC(O)R
4、−N(R
4)
2、又は−ON=CR
42から選択される加水分解性基であって、式中、R
4は、水素又はC
1〜C
6アルキル基であり、
各pは、独立して1、2又は3である、直鎖状オルガノシロキサンと、
B)単位式:
[R
12R
2SiO
1/2]
a[R
1R
2SiO
2/2]
b[R
1SiO
3/2]
c[R
2SiO
3/2]
d[SiO
4/2]
eを含むオルガノシロキサン樹脂であって、
式中、各R
1は、それぞれ独立して、脂肪族不飽和を含まないC
1〜C
30ヒドロカルビルであり、
各R
2は、それぞれ独立して、脂肪族不飽和を含まないC
1〜C
30ヒドロカルビルであり、
上記オルガノシロキサン樹脂は0〜35モル%のシラノール基[≡SiOH]を含み、かつ、
下付き文字a、b、c、d、及びeは、前記オルガノシロキサン樹脂中に存在する各シロキシ単位のモル分率を表し、その範囲は、
aは、約0〜約0.6であり、
bは、約0〜約0.6であり、
cは、約0〜約1であり、
dは、約0〜約1であり、
eは、約0〜約0.6であり、
但し、b+c+d+e>0及びa+b+c+d+e≦1である、オルガノシロキサン樹脂と、
C)式R
1qSiX
4−qの化合物であって、
式中、各R
1は、それぞれ独立して、脂肪族不飽和を含まないC
1〜C
30ヒドロカルビル又は少なくとも1つの脂肪族不飽和結合を含むC
1〜C
30ヒドロカルビル基であり、
qは0、1、又は2であり、
各Xは、独立して−OR
4、F、Cl、Br、I、−OC(O)R
4、−N(R
4)
2、又は−ON=CR
42から選択される加水分解性基であって、式中、R
4は、水素又は場合により置換されていてもよいC
1〜C
6アルキル基である化合物と
を接触させる工程を含む方法によって調製されてもよく、
上記「接触」は任意の好適な順序で実施されてもよい。例えば、A)とB)とを最初に接触させ、続いてC)と接触させてもよい。あるいは、A)とC)とを最初に接触させ、続いてB)と接触させてもよく、B)とC)とを最初に接触させ、続いてA)と接触させてもよく、又は、A)、B)、及びC)を実質的に同時に互いに接触させてもよい。いくつかの実施形態では、A)とB)とを接触させた生成物をC)と接触させる。
【0055】
本明細書に記載のオルガノシロキサンブロックコポリマーの生成方法は、いくつかの実施形態において、
40〜90モルパーセントの式[R
12SiO
2/2]のジシロキシ単位、
10〜60モルパーセントの式[R
2SiO
3/2]のトリシロキシ単位、
0.5〜35モルパーセントのシラノール基[≡SiOH]を含む、オルガノシロキサンブロックコポリマーである反応生成物を生じ、
式中、
各R
1は、それぞれ独立して、C
1〜C
30ヒドロカルビル又は少なくとも1つの脂肪族不飽和結合を含むC
1〜C
30ヒドロカルビル基であり、
各R
2は、それぞれ独立して、C
1〜C
30ヒドロカルビル又は少なくとも1つの脂肪族不飽和結合を含むC
1〜C
30ヒドロカルビル基であり、
ここで、
上記ジシロキシ単位[R
12SiO
2/2]は、直鎖状ブロック1つ当たり平均で10〜400個のジシロキシ単位[R
12SiO
2/2]を有する直鎖状ブロックの中に配置され、
上記トリシロキシ単位[R
2SiO
3/2]は、少なくとも500g/モルの分子量を有する非直鎖状ブロックの中に配置され、
非直鎖状ブロックの少なくとも30%は、互いに架橋しており、
各直鎖状ブロックは、−Si−O−Si−結合を介して少なくとも1つの非直鎖状ブロックに連結されており、
上記オルガノシロキサンブロックコポリマーは、少なくとも20,000g/モルの重量平均分子量を有し、かつ
上記オルガノシロキサンブロックコポリマーは、約0.5〜約5モル%の少なくとも1つの脂肪族不飽和結合を含むC
1〜C
30ヒドロカルビル基を含む。
【0056】
いくつかの実施形態において、かかるオルガノシロキサンブロックコポリマー反応生成物を、式R
5qSiX
4−qの化合物と接触させてもよく、式中、各R
5は、独立してC
1〜C
8ヒドロカルビル(例えば、C
1〜C
8アルキル基、あるいはフェニル基、あるいはR
5はメチル、エチル、又はメチルとエチルの組み合わせである)又はC
1〜C
8ハロゲン置換ヒドロカルビルであり、各Xは、独立して−OR
4、F、Cl、Br、I、−OC(O)R
4、−N(R
4)
2、又は−ON=CR
42から選択される加水分解性基であって、式中、R
4は、水素又は場合により置換されていてもよいC
1〜C
6アルキル基である。
【0057】
一実施形態において、式R
5qSiX
4−qを有する化合物は、メチルトリアセトキシシラン、エチルトリアセトキシシラン、又はこの2つの組み合わせ等のアルキルトリアセトキシシランである。市販の代表的なアルキルトリアセトキシシランとしては、ETS−900(Dow Corning Corp.(Midland,MI))、メチル−トリス(メチルエチルケトキシム)シラン(MTO)、メチルトリアセトキシシラン、エチルトリアセトキシシラン、テトラアセトキシシラン、テトラオキシムシラン、ジメチルジアセトキシシラン、ジメチルジオキシムシラン、及びメチルトリス(メチルメチルケトキシム)シランが挙げられる。いくつかの実施形態において、オルガノシロキサンブロックコポリマー反応生成物を式R
5qSiX
4−qの化合物と接触させて、例えば、ヒドロシリル化硬化の後に湿気硬化機構によって硬化する基をオルガノシロキサンブロックコポリマーに導入してもよい。
直鎖状オルガノシロキサン
【0058】
式R
13−p(E)
pSiO(R
12SiO
2/2)
nSi(E)
pR
13−p(式中、各R
1は、それぞれ独立して、脂肪族不飽和を含まないC
1〜C
30ヒドロカルビルであり、nは10〜400であり、Eは、−OR
4、F、Cl、Br、I、−OC(O)R
4、−N(R
4)
2、又は−ON=CR
42から選択される加水分解性基であって、式中、R
4は、水素又はC
1〜C
6アルキル基である)を有する直鎖状オルガノシロキサン。
【0059】
下付き文字「n」は、直鎖状オルガノシロキサンの重合度(dp)とみなしてもよく、10〜400(例えば、平均で約10〜約350D単位、約10〜約300D単位、約10〜約200D単位、約10〜約100D単位、約50〜約400D単位、約100〜約400D単位、約150〜約400D単位、約200〜約400D単位、約300〜約400D単位、約50〜約300D単位、約100〜約300D単位、約150〜約300D単位、約200〜約300D単位、約100〜約150D単位、約115〜約125D単位、約90〜約170D単位又は約110〜約140D単位)で変動してもよい。
【0060】
式R
13−p(E)
pSiO(R
12SiO
2/2)
nSi(E)
pR
13−pを有するオルガノシロキサンは直鎖状として記載されるが、当業者は、直鎖状オルガノシロキサンが少量の別のシロキシ単位、例えばT(R
1SiO
3/2)シロキシ単位を含んでもよいことを理解する。同様に、オルガノシロキサンは、D(R
12SiO
2/2)シロキシ単位の大部分を有することにより「主に」直鎖状であるとみなされてもよい。更に、直鎖状オルガノシロキサンは、複数の直鎖状オルガノシロキサンの組み合わせであってもよい。なお更には、直鎖状オルガノシロキサンは、シラノール基を含んでもよい。いくつかの実施形態において、直鎖状オルガノシロキサンは、約0.5〜約5モル%のシラノール基、例えば、約1モル%〜約3モル%、約1モル%〜約2モル%又は約1モル%〜約1.5モル%のシラノール基を含む。
オルガノシロキサン樹脂
【0061】
単位式[R
12R
2SiO
1/2]
a[R
1R
2SiO
2/2]
b[R
1SiO
3/2]
c[R
2SiO
3/2]
d[SiO
4/2]
eを含むオルガノシロキサン樹脂及びそれを調製する方法(式中、各R
1は、それぞれ独立して、脂肪族不飽和を含まないC
1〜C
30ヒドロカルビルであり、各R
2は、それぞれ独立して、脂肪族不飽和を含まないC
1〜C
30ヒドロカルビルである)は当該技術分野において既知である。例えば参照によりその全体を本明細書に援用する国際公開第2012/040302号及び国際公開第2012/040305号参照。いくつかの実施形態では、上記のオルガノシロキサン樹脂は、ケイ素原子上にハロゲン又はアルコキシ基等の加水分解性基を3個有するオルガノシランを有機溶媒中で加水分解することによって調製される。シルセスキオキサン樹脂の調製に関する代表的な実施例は、米国特許第5,075,103号に見出すことができる。更に、多くのオルガノシロキサン樹脂が市販されており、固体(フレーク又は粉末)又は有機溶媒に溶解したもののいずれかとして販売されている。好適で、非限定的な市販のオルガノシロキサン樹脂としては、Dow Corning(登録商標)217フレーク樹脂、233フレーク、220フレーク、249フレーク、255フレーク、Z−6018フレーク(Dow Corning Corporation(Midland MI))が挙げられる。
【0062】
単位式[R
12R
2SiO
1/2]
a[R
1R
2SiO
2/2]
b[R
1SiO
3/2]
c[R
2SiO
3/2]
d[SiO
4/2]
eを含むオルガノシロキサン樹脂及びそれを調製する方法(式中、各R
1は、それぞれ独立して、脂肪族不飽和を含まないC
1〜C
30ヒドロカルビル又は少なくとも1つの脂肪族不飽和結合を含むC
1〜C
30ヒドロカルビル基であり、各R
2は、それぞれ独立して、脂肪族不飽和を含まないC
1〜C
30ヒドロカルビル又は少なくとも1つの脂肪族不飽和結合を含むC
1〜C
30ヒドロカルビル基である)は、同様の方法で製造されてもよい。
式R
1R
22SiXの化合物
【0063】
いくつかの実施形態において、少なくとも1つの脂肪族不飽和結合を含むC
1〜C
30ヒドロカルビル基は、
40〜90モルパーセントの式[R
12SiO
2/2]のジシロキシ単位、
10〜60モルパーセントの式[R
2SiO
3/2]のトリシロキシ単位、
0.5〜35モルパーセントのシラノール基[≡SiOH]を含む、樹脂直鎖状オルガノシロキサンブロックコポリマー
(式中、
各R
1は、それぞれ独立して、脂肪族不飽和を含まないC
1〜C
30ヒドロカルビルであり、
各R
2は、それぞれ独立して、脂肪族不飽和を含まないC
1〜C
30ヒドロカルビルであり、
ここで、
上記ジシロキシ単位[R
12SiO
2/2]は、直鎖状ブロック1つ当たり平均で10〜400個のジシロキシ単位[R
12SiO
2/2]を有する直鎖状ブロックの中に配置され、
上記トリシロキシ単位[R
2SiO
3/2]は、少なくとも500g/モルの分子量を有する非直鎖状ブロックの中に配置され、この非直鎖状ブロックの少なくとも30%は互いに架橋しており、
各直鎖状ブロックは、−Si−O−Si−結合を介して少なくとも1つの非直鎖状ブロックに連結されており、かつ、
上記オルガノシロキサンブロックコポリマーは、少なくとも20,000g/モルの重量平均分子量を有する)又は
単位式[R
12R
2SiO
1/2]
a[R
1R
2SiO
2/2]
b[R
1SiO
3/2]
c[R
2SiO
3/2]
d[SiO
4/2]
eを含むオルガノシロキサン樹脂を、
式R
1R
22SiXの化合物(式中、各R
1は、それぞれ独立して、C
1〜C
30ヒドロカルビル又は少なくとも1つの脂肪族不飽和結合を含むC
1〜C
30ヒドロカルビル基であり、各R
2は、それぞれ独立して、C
1〜C
30ヒドロカルビル又は少なくとも1つの脂肪族不飽和結合を含むC
1〜C
30ヒドロカルビル基であり、Xは−OR
4、F、Cl、Br、I、−OC(O)R
4、−N(R
4)
2、又は−ON=CR
42から選択される加水分解性基であって、式中、R
4は水素又は場合により置換されていてもよいC
1〜C
6アルキル基である)
と接触させる(例えば、反応させる)ことによって、本発明の実施形態のオルガノシロキサンブロックコポリマーに導入される。
【0064】
一実施形態において、式R
1R
22SiXの化合物は、式(ビニル)R
22SiX、(ビニル)R
22SiCl、(ビニル)(CH
3)
2SiX、(ビニル)(CH
3)
2SiCl、(ビニル)(フェニル)
2SiX、(ビニル)(フェニル)
2SiCl、(ビニル−フェニル)R
22SiX又は(ビニル−フェニル)R
22SiClの化合物であってもよい。
【0065】
使用される場合、式R
1R
22SiXを有するオルガノシランの量は様々であってもよいが、いくつかの実施形態においては、約0.5〜約20モル%(例えば、約0.5〜約1モル%、約0.5〜約4.5モル%、約1〜約4モル%、約2〜約3モル%、約2〜約4モル%、約1〜約5モル%、約2〜約5モル%、約2〜約10モル%、約5〜約10モル%、約5〜約15モル%、約10〜約20モル%又は約5〜約20モル%)の、少なくとも1つの脂肪族不飽和結合を含むC
1〜C
30ヒドロカルビル基を含むオルガノシロキサンブロックコポリマーを最終的にもたらすのに十分な量である。
硬化性樹脂−直鎖状オルガノシロキサンブロックコポリマー組成物
【0066】
本開示は、とりわけ、約0.5〜約5モル%の少なくとも1つの脂肪族不飽和結合を含むC
1〜C
30ヒドロカルビル基を含む樹脂直鎖状オルガノシロキサンブロックコポリマー及び好適な溶媒(例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、又はこれらの組み合わせ等の芳香族溶媒)を含む硬化性組成物も提供する。上記の硬化性組成物は、単位式:
[R
12R
2SiO
1/2]
a[R
1R
2SiO
2/2]
b[R
1SiO
3/2]
c[R
2SiO
3/2]
d[SiO
4/2]
eを有し、
0〜35モル%のシラノール基[≡SiOH]を含む化合物の存在下でのヒドロシリル化反応により硬化されてもよく、
式中、
各R
1は、それぞれ独立して、H又は脂肪族不飽和を含まないC
1〜C
30ヒドロカルビルであり、
各R
2は、それぞれ独立して、H又は脂肪族不飽和を含まないC
1〜C
30ヒドロカルビルであり、
下付き文字a、b、c、d、及びeは存在する各シロキシ単位のモル分率を表し、その範囲は、
aは、約0〜約0.6であり、
bは、約0〜約0.6であり、
cは、約0〜約1であり、
dは、約0〜約1であり、
eは、約0〜約0.6であり、
但し、
b+c+d+e>0及びa+b+c+d+e≦1であり、
少なくとも約1モル%(例えば、少なくとも約5モル%、少なくとも約10モル%、少なくとも約15モル%又は少なくとも約20モル%、又は約1〜約20モル%、約1〜約10モル%又は約1〜約5モル%)のR
1及び/又はR
2はHである。
【0067】
本開示は、とりわけ、約0.5〜約5モル%の少なくとも1つの脂肪族不飽和結合を含むC
1〜C
30ヒドロカルビル基を含む樹脂直鎖状オルガノシロキサンブロックコポリマー及び好適な溶媒(例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、又はこれらの組み合わせ等の芳香族溶媒)を含む硬化性組成物も提供する。硬化性組成物は、単位式:
[R
12R
2SiO
1/2]
a[R
1R
2SiO
2/2]
b[R
1SiO
3/2]
c[R
2SiO
3/2]
d[SiO
4/2]
eを有し、
0〜35モル%のシラノール基[≡SiOH]を含む化合物の存在下でのヒドロシリル化反応により硬化されてもよく、
式中、
各R
1は、それぞれ独立して、H、式−[R
6R
7Si]
k[R
6R
7SiH](式中、R
6、R
7は、独立してH又は脂肪族不飽和を含まないC
1〜C
30ヒドロカルビルであり、kは0〜10の整数である)のシラン基又は脂肪族不飽和を含まないC
1〜C
30ヒドロカルビルであり、
各R
2は、それぞれ独立して、H、式−[R
6R
7Si]
k[R
6R
7SiH](式中、R
6、R
7は、独立してH又は脂肪族不飽和を含まないC
1〜C
30ヒドロカルビルであり、kは0〜10の整数である)のシラン基又は脂肪族不飽和を含まないC
1〜C
30ヒドロカルビルであり、
下付き文字a、b、c、d、及びeは存在する各シロキシ単位のモル分率を表し、その範囲は、
aは、約0〜約0.6であり、
bは、約0〜約0.6であり、
cは、約0〜約1であり、
dは、約0〜約1であり、
eは、約0〜約0.6であり、
但し、
b+c+d+e>0及びa+b+c+d+e≦1であり、
少なくとも約1モル%(例えば、少なくとも約5モル%、少なくとも約10モル%、少なくとも約15モル%又は少なくとも約20モル%、又は約1〜約20モル%、約1〜約10モル%又は約1〜約5モル%)のR
1及び/又はR
2は、H又は式−[R
6R
7Si]
k[R
6R
7SiH]のシラン基である。
【0068】
一実施形態において、単位式[R
12R
2SiO
1/2]
a[R
1R
2SiO
2/2]
b[R
1SiO
3/2]
c[R
2SiO
3/2]
d[SiO
4/2]
eを有する化合物は、式R
1qR
3(3−q)SiO(R
12SiO
2/2)
mSiR
3(3−q)R
1qの化合物であり、式中、各R
1は、それぞれ独立して、脂肪族不飽和を含まないC
1〜C
30ヒドロカルビルであり、mは0〜50(例えば、約10〜約50D単位、約20〜約50D単位、約5〜約40D単位、又は約10〜約40D単位)、あるいは0〜10、あるいは0〜5であり、あるいはmは0であり、qは0、1、又は2であり、あるいはqは2であり、各R
3は、それぞれ独立してH又はR
1であり、但し、式R
1qR
3(3−q)SiO(R
12SiO
2/2)
mSiR
3(3−q)R
1qの化合物の各末端において少なくとも1つのR
3はHである。
【0069】
いくつかの実施形態において、単位式[R
12R
2SiO
1/2]
a[R
1R
2SiO
2/2]
b[R
1SiO
3/2]
c[R
2SiO
3/2]
d[SiO
4/2]
eを有する化合物又は式R
1qR
3(3−q)SiO(R
12SiO
2/2)
mSiR
3(3−q)R
1qの化合物は、式H(CH
3)
2SiO[(CH
3)
2SiO
2/2)]
nSi(CH
3)
2Hを有し、ここでnは10〜400(例えば、平均で約10〜約350D単位、約10〜約300D単位、約10〜約200D単位、約10〜約100D単位、約50〜約400D単位、約100〜約400D単位、約150〜約400D単位、約200〜約400D単位、約300〜約400D単位、約50〜約300D単位、約100〜約300D単位、約150〜約300D単位、約200〜約300D単位、約100〜約150D単位、約115〜約125D単位、約90〜約170D単位又は約110〜約140D単位で変動してもよい。
【0070】
更なる実施形態において、単位式[R
12R
2SiO
1/2]
a[R
1R
2SiO
2/2]
b[R
1SiO
3/2]
c[R
2SiO
3/2]
d[SiO
4/2]
eを有する化合物又は式R
1qR
3(3−q)SiO(R
12SiO
2/2)
mSiR
3(3−q)R
1qの化合物は、式H(CH
3)
2SiOSi(CH
3)
2H、H(CH
3)(Ph)SiOSi(CH
3)
2H、H(Ph)
2SiOSi(CH
3)
2H、H(CH
3)(Ph)SiOSi(CH
3)(Ph)H、H(Ph)
2SiOSi(Ph)
2H、H(CH
3)
2SiOSi(CH
3)
2OSi(CH
3)
2H、H(CH
3)
2SiOSi(Ph)(CH
3)OSi(CH
3)
2H、H(CH
3)
2SiOSi(Ph)
2OSi(CH
3)
2H、H(CH
3)(Ph)SiOSi(Ph)(CH
3)OSi(Ph)(CH
3)H、H(CH
3)(Ph)SiOSi(Ph)
2OSi(Ph)(CH
3)H又はH(CH
3)
2SiOSi(Ph)
2OSi(Ph)
2OSi(CH
3)
2Hを有する。
【0071】
他の実施形態において、硬化性組成物は、単位式:
[R
1R
2R
8SiO
1/2]
f[R
1R
9SiO
2/2]
g[R
1SiO
3/2]
hを有する化合物の存在下でヒドロシリル化反応により硬化されてもよく、
【0072】
式中、R
1及びR
2は、独立して、脂肪族不飽和を含まないC
1〜C
30ヒドロカルビルであり、R
8及びR
9は、独立してH、脂肪族不飽和を含まないC
1〜C
30ヒドロカルビル又は式−[R
10R
11Si]
p[R
10R
11SiH](式中、R
10、R
11は、独立してH又は脂肪族不飽和を含まないC
1〜C
30ヒドロカルビルであり、pは0〜10の整数である)のシラン基であり、fは0〜100(例えば、2〜100、40〜50、40〜60、50〜70、40〜80、40〜70、1〜80、1〜10、0〜10、1〜6又は10〜70)の整数であり、gは0〜50(例えば、1〜50、1〜30、1〜8、1〜6又は1〜4)の整数であり、hは0〜60(例えば、30〜50、0〜15、0〜40、10〜40、20〜40、0〜10、0〜5又は1〜5)の整数であり、単位式[R
1R
2R
8SiO
1/2]
f[R
1R
9SiO
2/2]
g[R
1SiO
3/2]
hを有する化合物中のSiH基の数は1分子当たり≧2(例えば、1分子当たり≧4、≧6、≧8、≧10、又は2〜10)である。
【0073】
単位式[R
1R
2R
8SiO
1/2]
f[R
1R
9SiO
2/2]
g[R
1SiO
3/2]
h(式中、gは0である)を有する化合物の非限定例としては、
[R
1R
2R
8SiO
1/2]
f[R
1SiO
3/2]
hが挙げられ、
式中、R
1及びR
2は、独立して、脂肪族不飽和を含まないC
1〜C
30ヒドロカルビルであり、R
8は、独立してH、脂肪族不飽和を含まないC
1〜C
30ヒドロカルビル又は式−[R
10R
11Si]
p[R
10R
11SiH](式中、R
10、R
11は、独立してH又は脂肪族不飽和を含まないC
1〜C
30ヒドロカルビルであり、pは0〜10の整数である)のシラン基であり、fは2〜100(例えば、40〜50、40〜60、50〜70、40〜80、40〜70、2〜80、2〜10、2〜6又は10〜70)の整数であり、hは0〜60(例えば、30〜50、0〜15、0〜40、10〜40、20〜40、0〜10、0〜5又は1〜5)の整数であり、単位式[R
1R
2R
8SiO
1/2]
f[R
1SiO
3/2]
hを有する化合物中のSiH基の数は1分子当たり≧2(例えば、1分子当たり≧4、≧6、≧8、≧10、又は2〜10)である。
【0074】
単位式[R
1R
2R
8SiO
1/2]
f[R
1R
9SiO
2/2]
g[R
1SiO
3/2]
h(式中、gは0である)を有する化合物のその他の非限定例としては、
[R
1R
2R
8SiO
1/2]
f[R
1SiO
3/2]
hが挙げられ、
式中、R
1及びR
2は、独立してC
1〜C
10アルキル(例えば、C
1〜C
8アルキル、C
1〜C
5アルキル又はC
1〜C
3アルキル)又はC
6〜C
14アリール(例えば、C
6〜C
10アリール)であり、R
8は、独立してH又はC
1〜C
10アルキル(例えば、C
1〜C
8アルキル、C
1〜C
5アルキル又はC
1〜C
3アルキル)又はC
6〜C
14アリール(例えば、C
6〜C
10アリール)であり、fは2〜100(例えば、40〜50、40〜60、50〜70、40〜80、40〜70、2〜80、2〜10、2〜6又は10〜70)の整数であり、hは0〜60(例えば、30〜50、0〜15、0〜40、10〜40、20〜40、0〜10、0〜5又は1〜5)の整数であり、少なくとも2個のR
8はHであり、その結果単位式[R
1R
2R
8SiO
1/2]
f[R
1SiO
3/2]
hを有する化合物中のSiH基の数は、1分子当たり≧2(例えば、1分子当たり≧4、≧6、≧8、≧10、又は2〜10)である。
【0075】
単位式[R
1R
2R
8SiO
1/2]
f[R
1R
9SiO
2/2]
g[R
1SiO
3/2]
h(式中、gは0である)を有する化合物の更なる他の非限定例としては、
[R
1R
2R
8SiO
1/2]
f[R
1SiO
3/2]
hが挙げられ、
式中、R
1及びR
2は、独立してC
1〜C
3アルキル又はC
6〜C
10アリールであり、R
8は、独立してH、C
1〜C
3アルキル又はC
6〜C
10アリールであり、fは2〜100(例えば、40〜50、40〜60、50〜70、40〜80、40〜70、2〜80、2〜10、2〜6又は10〜70)の整数であり、hは0〜60(例えば、30〜50、0〜15、0〜40、10〜40、20〜40、0〜10、0〜5又は1〜5)の整数であり、少なくとも2個のR
8はHであり、その結果、単位式[R
1R
2R
8SiO
1/2]
f[R
1SiO
3/2]
hを有する化合物中のSiH基の数は、1分子当たり≧2(例えば、≧4、≧6、≧8、≧10、又は2〜10)である。
【0076】
単位式[R
1R
2R
8SiO
1/2]
f[R
1R
9SiO
2/2]
g[R
1SiO
3/2]
h(式中、gは0である)を有する化合物の更なる他の非限定例としては、
[R
1R
2R
8SiO
1/2]
f[R
1SiO
3/2]
hが挙げられ、
式中、R
1はメチル又はフェニルであり、R
2はメチル又はフェニルであり、R
8はHであり、fは2〜100(例えば、40〜50、40〜60、50〜70、40〜80、40〜70、2〜80、2〜10、2〜6又は10〜70)の整数であり、hは0〜60(例えば、30〜50、0〜15,0〜40、10〜40、20〜40、0〜10、0〜5又は1〜5)の整数であり、その結果、架橋剤分子中のSiH基の数は、架橋剤1分子当たり≧2(例えば、架橋剤1分子当たり≧4、≧6、≧8、≧10、又は2〜10)である。あるいは、いくつかの実施形態において、R
1はメチル又はフェニルであり、R
2はメチル又はフェニルであり、R
8はHであり、eは40〜80(例えば、40〜50、40〜60又は50〜70)の整数であり、gは30〜60の整数であり、その結果、単位式[R
1R
2R
8SiO
1/2]
f[R
1SiO
3/2]
hを有する化合物中のSiH基の数は1分子当たり≧2(例えば、1分子当たり≧4、≧6、≧8、≧10、又は2〜10)である。
【0077】
単位式[R
1R
2R
8SiO
1/2]
f[R
1R
9SiO
2/2]
g[R
1SiO
3/2]
h(式中、hは0である)を有する化合物の非限定例としては、
[R
1R
2R
8SiO
1/2]
f[R
1R
9SiO
2/2]
gが挙げられ、
式中、R
1及びR
2は、独立して、脂肪族不飽和を含まないC
1〜C
30ヒドロカルビルであり、R
8及びR
9は、独立してH、脂肪族不飽和を含まないC
1〜C
30ヒドロカルビル又は式−[R
10R
11Si]
p[R
10R
11SiH](式中、R
10、R
11は、独立してH又は脂肪族不飽和を含まないC
1〜C
30ヒドロカルビルであり、pは0〜10の整数である)のシラン基であり、fは0〜10の整数(例えば、0〜9、1〜9、2〜8、2〜6又は2〜4)であり、gは0〜10の整数(例えば、0〜9、0〜7、0〜5、1〜8、1〜6又は1〜4)であり、単位式[R
1R
2R
8SiO
1/2]
f[R
1R
9SiO
2/2]
gを有する化合物中のSiH基の数は1分子当たり≧2(例えば、1分子当たり≧4、≧6、≧8、≧10、又は2〜10)である。
【0078】
単位式[R
1R
2R
8SiO
1/2]
f[R
1R
9SiO
2/2]
g[R
1SiO
3/2]
h(式中、hは0である)を有する化合物のその他の非限定例としては、
[R
1R
2R
8SiO
1/2]
f[R
1R
9SiO
2/2]
gが挙げられ、
式中、R
1、R
2、及びR
9は、独立してC
1〜C
10アルキル(例えば、C
1〜C
8アルキル、C
1〜C
5アルキル又はC
1〜C
3アルキル)又はC
6〜C
14アリール(例えば、C
6〜C
10アリール)であり、R
8は、独立してH又はC
1〜C
10アルキル(例えば、C
1〜C
8アルキル、C
1〜C
5アルキル又はC
1〜C
3アルキル)又はC
6〜C
14アリール(例えば、C
6〜C
10アリール)であり、fは2〜10(例えば、2〜8、2〜6又は2〜4)の整数であり、gは0〜10(例えば、1〜8、1〜6又は1〜4)の整数であり、少なくとも2個のR
8はHであり、その結果、単位式[R
1R
2R
8SiO
1/2]
f[R
1R
9SiO
2/2]
gを有する化合物中のSiH基の数は1分子当たり≧2(例えば、1分子当たり≧4、≧6、≧8、≧10、又は2〜10)である。
【0079】
単位式[R
1R
2R
8SiO
1/2]
f[R
1R
9SiO
2/2]
g[R
1SiO
3/2]
h(式中、hは0である)を有する化合物の更なる他の非限定例としては、
[R
1R
2R
8SiO
1/2]
f[R
1R
9SiO
2/2]
gが挙げられ、
式中、R
1、R
2、及びR
9は、独立してC
1〜C
3アルキル又はC
6〜C
10アリールであり、R
8は、独立してH、C
1〜C
3アルキル又はC
6〜C
10アリールであり、fは2〜10(例えば、2〜8、2〜6又は2〜4)の整数であり、gは0〜10(例えば、0〜9、0〜7、0〜5、1〜8、1〜6又は1〜4)の整数であり、少なくとも2個のR
8はHであり、その結果、単位式[R
1R
2R
8SiO
1/2]
f[R
1R
9SiO
2/2]
gを有する化合物中のSiH基の数は、1分子当たり≧2(例えば、1分子当たり≧4、≧6、≧8、≧10、又は2〜10)である。
【0080】
単位式[R
1R
2R
8SiO
1/2]
f[R
1R
9SiO
2/2]
g[R
1SiO
3/2]
h(式中、hは0である)を有する化合物の更なる他の非限定例としては、
[R
1R
2R
8SiO
1/2]
f[R
1R
9SiO
2/2]
gが挙げられ、
式中、R
1はメチル又はフェニルであり、R
2はメチル又はフェニルであり、R
9、R
2はメチル又はフェニルであり、R
8はHであり、fは2〜10(例えば、2〜8、2〜6又は2〜4)の整数であり、gは1〜10(例えば、1〜8、1〜6又は1〜4)の整数である。あるいは、いくつかの実施形態において、R
1はメチル又はフェニルであり、R
2はメチル又はフェニルであり、R
9、R
2はメチル又はフェニルであり、R
8はHであり、fは2〜10(例えば、2〜8、2〜6又は2〜4)の整数であり、gは0〜10(例えば、0〜9、0〜7、0〜5、1〜8、1〜6又は1〜4)の整数である。
【0081】
いくつかの実施形態において、式[R
1R
2R
8SiO
1/2]
f[R
1R
9SiO
2/2]
g及び[R
1R
2R
8SiO
1/2]
f[R
1SiO
3/2]
h(例えば、それぞれM
H2D
Ph2及びM
H60T
Ph40)の組み合わせが、本発明の硬化性組成物の様々な実施形態に使用される。式[R
1R
2R
8SiO
1/2]
e[R
1R
9SiO
2/2]
f及び[R
1R
2R
8SiO
1/2]
e[R
1SiO
3/2]
gの2つの異なる化合物の組み合わせを使用する場合、化合物を任意の好適な量及び任意の好適な比で使用することができる。いくつかの例において、式[R
1R
2R
8SiO
1/2]
e[R
1R
9SiO
2/2]
f及び[R
1R
2R
8SiO
1/2]
e[R
1SiO
3/2]
gの2つの異なる化合物の好適なw/w比は、約8:1〜約1:8(例えば、約6:1〜約1:1、約5:1〜約1:1、約5:1〜約2:1、又は約5:1〜約3:1w/w)である。
【0082】
ヒドロシリル化反応は、ヒドロシリル化反応を実施するための当該技術分野において既知の任意の好適な条件下で行ってもよい。
【0083】
硬化性組成物は、ヒドロシリル化触媒を含有してもよい。ヒドロシリル化触媒は、白金、ロジウム、イリジウム、パラジウム、ルテニウム又は鉄から選択される第VIII族金属系触媒等の、任意の好適なヒドロシリル化触媒であってよい。ヒドロシリル化反応を触媒するのに有用な第VIII族金属含有触媒は、ケイ素結合水素原子と不飽和炭化水素基を含むケイ素結合部分との反応を触媒することが知られている任意の触媒であってよい。いくつかの実施形態では、ヒドロシリル化をもたらすための触媒として使用する第VIII族金属は、白金金属、白金化合物及び白金錯体等の白金系触媒である。
【0084】
好適な白金触媒としては、その両方の全体が本明細書に完全に記載されているかのように参照により援用される、米国特許第2,823,218号(例えば、「Speier触媒」)及び米国特許第3,923,705号に記載される触媒が挙げられるが、これらに限定されない。他の好適な白金触媒としては、米国特許第3,715,334号及び第3,814,730号に記載される「Karstedt触媒」と称される白金触媒が挙げられるが、これに限定されない。Karstedt触媒は、場合によっては、トルエン等の溶媒中に約1重量パーセントの白金を含有する白金ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体である。あるいは、白金触媒としては、その全体が本明細書に完全に記載されているかのように参照により援用される、米国特許第3,419,593号に記載の触媒を含む、塩化白金酸と末端脂肪族不飽和を含有する有機ケイ素化合物との反応生成物が挙げられるが、これに限定されない。あるいは、ヒドロシリル化触媒としては、米国特許第5,175,325号に記載される塩化白金及びジビニルテトラメチルジシロキサンの中和された錯体が挙げられるが、これに限定されない。更なる好適なヒドロシリル化触媒は、例えば、米国特許第3,159,601号、同第3,220,972号、同第3,296,291号、同第3,516,946号、同第3,989,668号、同第4,784,879号、同第5,036,117号、及び同第5,175,325号及び欧州特許第0 347 895(B1)号に記載されている。
【0085】
ヒドロシリル化触媒は、全反応組成物の100万部当たり0.001重量部(ppm)という少量の白金族金属元素に相当する量で添加されてもよい。いくつかの実施形態では、反応組成物の固体に対するヒドロシリル化触媒の濃度は、少なくとも1ppm相当の白金族金属元素を提供することが可能な濃度である。1〜500、あるいは50〜500、あるいは50〜200ppmに相当する白金族金属元素をもたらす触媒濃度が使用されてもよい。
【0086】
本開示は、とりわけ、約0.5〜約5モル%の少なくとも1つの脂肪族不飽和結合を含むC
1〜C
30ヒドロカルビル基を含む樹脂直鎖状オルガノシロキサンブロックコポリマーを含む硬化性組成物も提供し、上記硬化性組成物は、Pa/分単位での硬化速度(貯蔵弾性率G’の増大を温度の関数として測定したレオロジーから決定した、時間に対するG’の傾き)が、5℃/分の加熱速度において、少なくとも約1Pa/分、少なくとも約2Pa/分、少なくとも約4Pa/分、少なくとも約10Pa/分又は少なくとも約20Pa/分、例えば、5℃/分の加熱速度において、約1Pa/分〜約10Pa/分、約1Pa/分〜約20Pa/分、約1Pa/分〜約6Pa/分、約2Pa/分〜約6Pa/分、約1Pa/分〜約100Pa/分、約5Pa/分〜約50Pa/分、約10Pa/分〜約100Pa/分、約20Pa/分〜約80Pa/分、約20Pa/分〜約60Pa/分、約50Pa/分〜約100Pa/分、又は約30Pa/分〜約90Pa/分である。
固体樹脂−直鎖状オルガノシロキサンブロックコポリマー組成物
【0087】
本発明の実施形態の樹脂−直鎖状オルガノシロキサンブロックコポリマーを含有する固体組成物は、本明細書に記載されるような硬化性オルガノシロキサンブロックコポリマー組成物から一部又は実質的に全ての溶媒を除去することによって調製されてもよい。溶媒は、任意の既知の処理技術によって除去されてもよい。一実施形態では、オルガノシロキサンブロックコポリマーを含有する硬化性組成物のフィルムが形成され、そのフィルムから溶媒を蒸発させる。フィルムを高温及び/又は減圧にかけることは、溶媒除去、及びその後の固体硬化性組成物の形成を促進する場合がある。あるいは、硬化性組成物を押出成形機に通して、溶媒を除去し、リボン又はペレットの形態の固体組成物を得てもよい。剥離フィルムに対するコーティング作業もまた、スロットダイコーティング、ナイフオーバーロール、ロッド、又はグラビアコーティングの場合と同様に使用できる。また、ロールツーロールコーティング作業も、固体フィルムの調製に使用できる。コーティング作業では、コンベアオーブン又はその他の溶液の加熱及び真空排気手段を使用して、溶媒を除去し、最終的な固体フィルムを得ることができる。
【0088】
いかなる理論にも束縛されるものではないが、ブロックコポリマーの固体組成物が形成されるとき、本明細書に記載するようなオルガノシロキサンブロックコポリマー中のジシロキシ単位及びトリシロキシ単位が構造的な規則性をもつことで、特定の独自の物理的特性の特徴を有するコポリマーをもたらす可能性がある。例えば、コポリマー内でジシロキシ単位及びトリシロキシ単位が構造的な規則性をもつと、可視光(例えば、350nmを超える波長)の高い光透過率を可能にする固体コーティングをもたらし得る。また、構造的な規則性をもつことで、オルガノシロキサンブロックコポリマーが、加熱時に流動及び硬化するが、室温では安定を保持することを可能にし得る。これらはまた、積層技術を使用して加工され得る。これらの特性は、様々な電子物品の耐候性及び耐久性を改善させ、一方で、エネルギー効率のよい、低コストかつ容易な手順を提供するためのコーティングを生成するのに有用である。コポリマー内のジシロキシ及びトリシロキシ単位が構造的な規則性をもつことで、とりわけ、ガラス転移温度T
g(コポリマーが高いT
g相を有する)、粘着性(コポリマーが低粘着性を有する)、コポリマーの強度(とりわけ、引張強度で証明されるようなもの)、及び貯蔵安定性に影響する。
【0089】
いくつかの実施形態では、上記のオルガノシロキサンブロックコポリマーは、例えば、ブロックコポリマーの有機溶媒(例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン又はこれらの組み合わせ)溶液のフィルムを流延して溶媒を蒸発させることにより、固体形態で分離される。これらの条件において、上記オルガノシロキサンブロックコポリマーは、約50重量%〜約80重量%の固形分、例えば、約60重量%〜約80重量%、約70重量%〜約80重量%又は約75重量%〜約80重量%の固形分を含有する有機溶媒の溶液として供給することができる。いくつかの実施形態では、溶媒はトルエンである。いくつかの実施形態において、このような溶液は、25℃で約1500mm
2/s〜約10000mm
2/s(約1500cSt〜約10000cSt)、例えば、25℃で約1500mm
2/s〜約3000mm
2/s、約2000mm
2/s〜約4000mm
2/s、約2000mm
2/s〜約3000mm
2/s、約2000mm
2/s〜約8000mm
2/s、約5000mm
2/s〜約10000mm
2/s又は約8000mm
2/s〜約10000mm
2/s(約1500cSt〜約3000cSt、約2000cSt〜約4000cSt、約2000cSt〜約3000cSt、約2000cSt〜約8000cSt、約5000cSt〜約10000cSt又は約8000cSt〜約10000cSt)の粘度を有してもよい。
【0090】
いくつかの実施形態において、本発明の実施形態の樹脂−直鎖状オルガノシロキサンブロックコポリマーを含有する硬化性組成物の硬化生成物は、225℃で50時間のエージング後に、225℃で50時間のエージング前のヤング率と実質的に差異のないヤング率を有する。いくつかの実施形態において、225℃で50時間のエージング後のヤング率の、エージング前のヤング率に対する比は、3以下(例えば、エージング後に約2.5以下、約2.0以下、又は約1.5以下;又は約1〜約2.5、約1.25〜約2、約1.5〜約1.8又は約1.4〜約2.25、この比が1である場合、エージングの前後のヤング率は同じであると理解される)である。
【0091】
いくつかの実施形態において、本発明の実施形態の樹脂−直鎖状オルガノシロキサンブロックコポリマーを含有する硬化性組成物の硬化生成物は、225℃で30時間のエージング後に、225℃で30時間のエージング前のヤング率と実質的に差異のないヤング率を有する。いくつかの実施形態において、225℃で30時間のエージング後のヤング率は、エージング前のヤング率に対して1.5以下(例えば、エージング後に約1.4以下、約1.3以下、又は約1.2以下;又はエージング後に約0〜約1.5、約0.5〜約1.5、約1.0〜約1.5又は約1.0〜約1.5、この比が1である場合、エージングの前後のヤング率は同じであると理解される)である。
【0092】
いくつかの実施形態において、本発明の実施形態の樹脂−直鎖状オルガノシロキサンブロックコポリマーを含有する硬化性組成物の硬化生成物は、225℃で30又は50時間のエージングの前のヤング率が、エージング前に約70MPa〜約200MPa(例えば、約70MPa〜100MPa、約100MPa〜約150MPa、約120MPa〜約180MPa、約150MPa〜約180MPa又は約130MPa〜約180MPa)である。
【0093】
いくつかの実施形態において、225℃で30時間のエージングの後のヤング率は実質的に変化しない。225℃で30時間のエージング後にヤング率が変化する場合、エージング後のヤング率は、225℃で30時間のエージング後に約100MPa〜約250MPa(例えば、約100MPa〜約150MPa、約150MPa〜約180MPa、約130MPa〜180MPa、約100MPa〜約140MPa又は約140MPa〜約180MPa)である。
【0094】
いくつかの実施形態において、225℃で50時間のエージングの後のヤング率は実質的に変化しない。225℃で50時間のエージング後にヤング率が変化する場合、エージング後のヤング率は、225℃で50時間のエージング後に約130MPa〜約250MPa(例えば、約130MPa〜約200MPa、約150MPa〜約250MPa、約180MPa〜240MPa、約150MPa〜約240MPa又は約180MPa〜約250MPa)である。
【0095】
いくつかの実施形態において、本発明の実施形態の樹脂−直鎖状オルガノシロキサンブロックコポリマーを含有する硬化性組成物の硬化生成物は、縮合触媒の不在下で硬化されてもよい。その他の実施形態において、本発明の実施形態の樹脂−直鎖状オルガノシロキサンブロックコポリマーを含有する硬化性組成物の硬化生成物は、蛍光体又は充填剤の存在下で硬化し、硬化される。好適な蛍光体及び充填剤の代表例は、PCT出願第PCT/US2013/031253号に見出される。
【0096】
固体の乾燥又は生成時に、ブロックコポリマーの非直鎖状ブロックは、更に一緒に凝集して、「ナノドメイン」を形成する。本明細書で使用するとき、「主に凝集される」は、オルガノシロキサンブロックコポリマーの非直鎖状ブロックの大部分(例えば50%超、60%超、75%超、80%超、90%超、約75%〜約90%、約80%〜約90%、又は約75%〜約85%)は、固体組成物の特定領域(本発明で「ナノドメイン」と記述される)に見出されることを意味する。本明細書で使用するとき、「ナノドメイン」は、固体ブロックコポリマー組成物内で相分離し、サイズが1〜100ナノメートルである少なくとも1つの寸法を有する、固体ブロックコポリマー組成物内の相領域を指す。ナノドメインの形状は様々であってよいが、但し、ナノドメインの少なくとも1つの寸法のサイズは1〜100ナノメートルである。したがって、ナノドメインは、規則的又は不規則的な形状であり得る。ナノドメインは、球状、管状、及び、場合によっては層状であってもよい。
【0097】
更なる実施形態では、本明細書に記載の固体オルガノシロキサンブロックコポリマーは、第1相及び不相溶性の第2相を含み、第1相は主に、本明細書の定義によるジシロキシ単位[R
12SiO
2/2]を含有し、第2相は主に、本願の定義によるトリシロキシ単位[R
2SiO
3/2]を含有し、非直鎖状ブロックは、十分に凝集されて、第1相と不相溶性であるナノドメインとなる。
【0098】
いくつかの実施形態において、本発明の実施形態の樹脂−直鎖状オルガノシロキサンブロックコポリマーは、オルガノシロキサン樹脂(例えば、ブロックコポリマーの一部ではない遊離樹脂)を更に含有してもよい。この例において、オルガノシロキサン樹脂も、ナノドメイン内で主に凝集する。いくつかの実施形態において、遊離樹脂は、約5〜約30重量%、好ましくは約10〜約30重量%の量で存在する。
【0099】
本開示の固体ブロックコポリマー内のジシロキシ及びトリシロキシ単位の構造的な規則性、並びに、ナノドメインの特徴は、透過型電子顕微鏡(TEM)法、原子間力顕微鏡法(AFM)、中性子線小角散乱法、X線小角散乱法及び走査型電子顕微鏡法等の特定の分析技術を使用して明示的に測定され得る。
【0100】
あるいは、ブロックコポリマー内のジシロキシ及びトリシロキシ単位の構造的な規則性、並びにナノドメインの形成は、本発明のオルガノシロキサンブロックコポリマーから生じるコーティングの特定の物理的特性を特徴付けることによって示され得る。例えば、本発明のオルガノシロキサンコポリマーは、95%を超える可視光透過率を有するコーティングをもたらす場合がある。当業者は、このような光学的透明性が可能であるのは、(2つの相の屈折率が一致する以外に)可視光がこのような媒質を通過することができ、かつ150ナノメートルを超える粒径を有する粒子(又は本明細書で使用されるようなドメイン)によって回折されない場合にのみである、ことを理解している。粒径又はドメインが更に小さくなるにつれて、光学的透明度は更に改善され得る。したがって、本発明のオルガノシロキサンコポリマーから誘導されるコーティング又は封入材は、少なくとも95%の可視光透過率、例えば、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の可視光透過率を、コーティング又は封入材又はフィルム厚0.5mm以上のフィルムにおいて、有してもよい。本明細書で使用するとき、「可視光」という用語には、350nmを超える波長の光が包含される。
【0101】
本発明の実施形態のいくつかは、本明細書に記載の組成物を含む光学アセンブリ及び物品、例えば、国際公開第2013/101674号(2012年12月2日出願);国際公開第2013/109607号(2013年1月16日出願);国際公開第2013/119796号(2013年2月7日出願)に記載のものに関し、これらの全てを本明細書に完全に記載されているかのように、参照により援用する。したがって、本発明のいくつかの実施形態は、本明細書に記載のオルガノシロキサンブロックコポリマーを含む、LED封入材に関する。
【0102】
本明細書で使用するとき、用語「約」は、値又は範囲の変動の程度、例えば、記載される値又は記載される範囲の限度の10%以内、5%以内又は1%以内を許容することができる。
【0103】
範囲の形式で表される値は、範囲の限度として明示的に記載される数値だけではなく、各数値及び部分範囲が明示的に記載されているかのように、その範囲内に包含される全ての個々の数値又は部分範囲も含むと柔軟に解釈すべきである。例えば、「約0.1%〜約5%」又は「約0.1%〜5%」の範囲は、約0.1%〜約5%を含むだけでなく、示される範囲内の個々の値(例えば、1%、2%、3%、及び4%)及び部分的範囲(例えば、0.1%〜0.5%、1.1%〜2.2%、3.3%〜4.4%)も含むものと解釈されるべきである。
【0104】
本明細書に記載及び特許請求される本発明の実施形態は、これらの実施形態が本開示のいくつかの態様の例示として意図されているため、本明細書で開示された特定の実施形態によって範囲が限定されるべきではない。いかなる等価な実施形態も、本開示の範囲内にあることが意図される。事実、当業者には、本明細書に表示及び説明する実施形態に加えて、実施形態の様々な変更が前述の説明から明らかになるであろう。かかる変更はまた、添付の特許請求の範囲内にあることを意図するものである。
【0105】
要約書は、読者が技術的開示の性質を迅速に確認できるように提供されているものである。要約書は、特許請求の範囲の範囲又は目的を解釈又は限定するために使用されないという理解の下で提出されている。
【実施例】
【0106】
以下の実施例は、本発明の特定の実施形態を示すために含まれる。しかしながら、当業者は、本開示を考慮すれば、開示される具体的な実施形態において多くの変更を行うことができ、それでもなお本発明の趣旨及び範囲から逸脱せずに同様の又は類似の結果をもたらすことができることを理解すべきである。全ての百分率は、重量%である。全ての測定は、特に記載のない限り、23℃で行った。
実施例1:樹脂−直鎖状(RL)ブロックコポリマーの代表的な調製
【0107】
12Lの3つ口丸底フラスコに、フェニル−T樹脂(1800g、13.18モルSi、Dow Corning 217フレーク)及びトルエン(1482g)を窒素下で入れた。このフラスコに、温度計、Teflon撹拌パドル、及び水冷凝縮器に取り付けたDean Stark装置を装着した(Dean Starkには予めトルエンを充満した)。反応混合物を30分間還流加熱し、8.18gの水を除去した。反応溶液を108℃に冷却した後、MTA/ETA(メチルトリアセトキシシラン/エチルトリアセトキシシラン)で封止したシラノール末端PhMeシロキサン(50/50重量%のMTA/ETA(メチルトリアセトキシシラン/エチルトリアセトキシシラン)(46.96g、0.207モルSi)をシロキサン(2200g、16.13モルSi、DP=127;ここで「DP」はNMRで決定した重合度を表す)に添加し、グローブボックス内で室温下、1時間撹拌することによって合成した)を素早く添加した。反応混合物を窒素下で2時間還流加熱し、14.66gの水を除去した。反応溶液を再度108℃に冷却し、50/50重量%のMTA/ETA(メチルトリアセトキシシラン/エチルトリアセトキシシラン)(314.49g、1.348モル)を加えた後、1時間還流して0.56gの水を除去し、次いで反応混合物を90℃に冷却して、脱イオン(DI)水(430g)を添加し、次いで還流して共沸蒸留により水を除去した。上記の水添加−除去プロセスを2回繰り返し、合計で1045.9gの水相を除去した。最後に、蒸留及び118℃でいくらかの揮発物(1331.4g)を除去することによって、溶液の固形分を約70重量%まで増大した。合成されたRL溶液は無色透明であり、後で使用するために室温で保管された。
実施例2:3.5モル%のViを有するM
Vi樹脂−直鎖状ブロックコポリマーの調製
【0108】
1Lの乾燥した3つ口丸底フラスコに、実施例1に従って調製した樹脂−直鎖状ブロックコポリマー(100g、0.77モルSi、0.138モルのシラノール)のトルエン(150g)溶液及びトリエチルアミン(TEA、5.76mL、0.0414モル)を窒素下で添加し、続いて10分間撹拌した。ビニルジメチルクロロシラン(5.7mL、0.0414モル)を、フラスコに注射器で10分以内にゆっくりと添加した。クロロシランの添加後1分以内に、白色の塩沈殿物が形成した。反応混合物を窒素下、室温にて3時間撹拌し、続いて1mLのDI水を添加して、未反応のクロロシランをクエンチした。最後に5gの無水Na
2SO
4をフラスコに添加し、続いて空気下で一晩撹拌して、溶液を完全に乾燥した。2日目に、1.2μmの濾紙を用いて138kPa(20psi)で反応溶液を濾過して、白色の塩沈殿物を除去した。溶媒及び少量のTEA及びクエンチしたビニル前駆体を、Rotavaporを使用して、80℃及び667kPa(5mmHg)の真空にて完全に除去した。M
ViRL製品は、3.5モル%のViを含有する柔らかく無色のガム様材料で、トルエンに再溶解できる。
実施例3:2モル%のViを有するM
Vi改質樹脂−直鎖状ブロックポリマーの調製
【0109】
(i)M
Vi0.045T
Ph0.955樹脂の調製:3Lの3つ口丸底フラスコに、DI水(1011.9g)を加え、続いて氷水浴で4℃に冷却した。このフラスコに、温度計、Teflon撹拌パドル、及び水冷凝縮器を装着した。フェニルトリクロロシラン(500.5g、2.366モル)、ビニルジメチルクロロシラン(15.03g、0.125モル)及びトルエン(494.4g)の予備混合溶液を、上記の冷却した水に2分以内に加え、続いて氷水浴から外して5分間撹拌した(反応中の溶液の最高温度は、74℃以下であった)。反応混合物を、底部ドレイン付きの2L丸底フラスコに移し、続いて水相を除去した。残留物質にDI水(82.4g)を添加し、続いて80℃で10分間加熱し、続いて冷却し、水相を除去した。残留物質に2−プロパノール(20.6g)及びDI水(61.8g)の混合物を添加し、続いて80℃で10分間加熱して水相を除去し、この工程を、最終的な洗浄水相のpHが4.0になるまで、数回繰り返した。次いで、反応混合物を還流加熱して、残留水を共沸蒸留により除去した。合成したM
Vi0.045T
Ph0.955樹脂を、rotavaporを使用して、120℃で乾燥した。M
Vi0.045T
Ph0.955生成物は、室温で「パリパリした」固体であり、収率は314gで、4.5モル%のViを含有した。
【0110】
(ii)M
ViRLs(2モル% Vi)の調製:500mL 4つ口丸底フラスコに、M
Vi0.045T
Ph0.955樹脂(72g、0.541モルSi)及びトルエン(59.3g)を窒素下で入れた。このフラスコに、温度計、Teflon撹拌パドル、及び水冷凝縮器に取り付けたDean Stark装置を装着した(Dean Starkには予めトルエンを充満した)。反応混合物を30分間還流加熱し、0.01gの水を除去した。反応溶液を108℃に冷却した後、MTA/ETA(メチルトリアセトキシシラン/エチルトリアセトキシシラン)で封止したシラノール末端PhMeシロキサン(MTA/ETA(50/50、1.85g、0.00813モルSi)をシロキサン(88g、0.645モルSi、DP=129)に添加し、それを室温下、グローブボックス内で1時間撹拌することによって合成した)を素早く添加した。反応混合物を窒素下で2時間還流加熱し、0.65gの水を除去した。反応溶液を再度108℃に冷却し、MTA/ETA(50/50、4.92g、0.0216モルSi)を加えた後、1時間還流して0.25gの水を除去し、次いで反応混合物を90℃に冷却して、DI水(8.05g)を添加し、次いで還流して共沸蒸留により水を除去した。この水の添加−除去を3回繰り返した。最後に、蒸留及び118℃でいくらかの揮発物(39.2g)を除去することによって、溶液の固形分を約70重量%まで増大した。合成されたM
ViRLs溶液は無色透明であり、2モル%のViを含有した。
実施例4:3.7モル%のViを有するM
Vi改質樹脂−直鎖状ブロックポリマーの調製
【0111】
(i)M
Vi0.078T
Ph0.922樹脂の調製:3Lの3つ口丸底フラスコに、DI水(1011.9g)を加え、続いて氷水浴で4℃に冷却した。このフラスコに、温度計、Teflon撹拌パドル、及び水冷凝縮器を取り付けた。フェニルトリクロロシラン(500.5g、2.366モル)、ビニルジメチルクロロシラン(26.55g、0.22モル)及びトルエン(508.5g)の予備混合溶液を、上記の冷却した水に2分以内に加え、続いて氷水浴から外して5分間撹拌した(反応中の溶液の最高温度は、71℃以下であった)。反応混合物を、底部ドレイン付きの2L丸底フラスコに移し、続いて水相を除去した。残留物質にDI水(84.8g)を添加し、続いて80℃で10分間加熱し、続いて冷却し、水相を除去した。残留物質に2−プロパノール(21.2g)及びDI水(63.6g)の混合物を添加し、続いて80℃で10分間加熱して水相を除去し、この工程を、最終的な洗浄水相のpHが4.0になるまで、数回繰り返した。次いで、反応混合物を還流加熱して、残留水を共沸蒸留により除去した。合成されたM
ViPh樹脂を、rotavaporを使用して、120℃で乾燥した。生成物は、室温でパリパリした固体であり、収率は332gで、7.8モル%のViを含有した。
【0112】
(ii)M
ViRL(3.7モル% Vi)の調製:500mL 4つ口丸底フラスコに、M
Vi0.078T
Ph0.922樹脂(72g、0.547モルSi)及びトルエン(59.3g)を窒素下で入れた。このフラスコに、温度計、Teflon撹拌パドル、及び水冷凝縮器に取り付けたDean Stark装置を装着した(Dean Starkには予めトルエンを充満した)。反応混合物を30分間還流加熱し、0.05gの水を除去した。反応溶液を108℃に冷却した後、MTA/ETAで封止したシラノール末端PhMeシロキサン(MTA/ETA(50/50、1.85g、0.00813モルSi)をシロキサン(88g、0.645モルSi、DP=129)に添加し、それを室温下、グローブボックス内で1時間撹拌することによって合成した)を素早く添加した。反応混合物を窒素下で2時間還流加熱し、0.7gの水を除去した。反応溶液を再度108℃に冷却し、MTA/ETA(50/50、4.98g、0.0219モルSi)を加えた後、1時間還流して0.3gの水を除去し、次いで反応混合物を90℃に冷却して、DI水(8.12g)を添加し、次いで還流して共沸蒸留により水を除去した。この水の添加−除去を3回繰り返した。最後に、蒸留及び118℃でいくらかの揮発物(38.4g)を除去することによって、溶液の固形分を約70重量%まで増大した。合成されたM
ViRL溶液は無色透明であり、3.7モル%のViを含有した。
実施例5:3.7モル%のViを有するD
Vi改質樹脂−直鎖状ブロックポリマーの調製
【0113】
(i)D
Vi0.08T
Ph0.92樹脂の調製:3Lの3つ口丸底フラスコに、DI水(1011.9g)を加え、続いて氷水浴で4℃に冷却した。このフラスコに、温度計、Teflon撹拌パドル、及び水冷凝縮器を取り付けた。フェニルトリクロロシラン(500.5g、2.366モル)、ビニルメチルジクロロシラン(31.04g、0.22モル)及びトルエン(506.1g)の予備混合溶液を、上記の冷却した水に2分以内で加え、続いて氷水浴から外して5分間撹拌した(反応中の溶液の最高温度は、75℃以下であった)。反応混合物を、底部ドレイン付きの2L丸底フラスコに移し、続いて水相を除去した。残留物質にDI水(84.8g)を添加し、続いて80℃で10分間加熱し、続いて冷却し、水相を除去した。残留物質に2−プロパノール(21.2g)及びDI水(63.6g)の混合物を添加し、続いて80℃で10分間加熱して水相を除去し、この工程を、最終的な洗浄水相のpHが4.0になるまで、数回繰り返した。次いで、反応混合物を還流加熱して、残留水を共沸蒸留により除去した。合成されたD
ViT
Ph樹脂を、rotavaporを使用して、120℃で乾燥した。生成物は、室温でパリパリした固体であり、収率は335gで、8モル%のViを含有した。
【0114】
(ii)D
ViRL(3.7モル% Vi)の調製:500mLの4つ口丸底フラスコに、D
Vi0.08T
Ph0.92樹脂(72g、0.55モルSi)及びトルエン(59.3g)を窒素下で入れた。このフラスコに、温度計、Teflon撹拌パドル、及び水冷凝縮器に取り付けたDean Stark装置を装着した(Dean Starkには予めトルエンを充満した)。反応混合物を30分間還流加熱し(113℃)、0.03gの水を除去した。反応溶液を108℃に冷却した後、MTA/ETAで封止したシラノール末端PhMeシロキサン(MTA/ETA(50/50、1.85g、0.00813モルSi)をシロキサン(88g、0.645モルSi、DP=129)に添加し、それを室温下、グローブボックス内で1時間撹拌することによって合成した)を素早く添加した。反応混合物を窒素下で2時間還流加熱し、0.7gの水を除去した。反応溶液を再度108℃に冷却し、MTA/ETA(50/50、1.25g、0.0055モルSi)を加えた後、1時間還流して0.27gの水を除去し、次いで反応混合物を90℃に冷却して、DI水(7.37g)を添加し、次いで還流して共沸蒸留により水を除去した。この水の添加−除去を3回繰り返した。最後に、蒸留及び118℃でいくらかの揮発物(38.3g)を除去することによって、溶液の固形分を約70重量%まで増大した。合成されたD
ViRL溶液は無色透明であり、3.7モル%のViを含有した。
実施例6:3.5モル%のViを有するD
Vi改質樹脂−直鎖状ブロックポリマーの調製
【0115】
500mLの4つ口丸底フラスコに、フェニル−T樹脂(72g、0.527モルSi、Dow Corning 217フレーク)及びトルエン(59.3g)を窒素下で入れた。このフラスコに、温度計、Teflon撹拌パドル、及び水冷凝縮器に取り付けたDean Stark装置を装着した(Dean Starkには予めトルエンを充満した)。反応混合物を30分間還流加熱し(113℃)、0.1gの水を除去した。反応溶液を108℃に冷却した後、MTAで封止したシラノール末端PhMeシロキサン(MTA(メチルトリアセトキシシラン、1.79g、0.00813モルSi)をシロキサン(88g、0.645モルSi、DP=129)に添加し、それを室温下、グローブボックス内で1時間撹拌することによって合成した)を素早く添加した。反応混合物を窒素下で2時間還流加熱し、0.95gの水を除去した。反応溶液を再度108℃に冷却し、VMDA(ビニルメチルジアセトキシシラン、8.14g、0.0432モルSi)を加えた後、1時間還流して0.65gの水を除去し、次いで反応混合物を90℃に冷却して、DI水(17.14g)を添加し、次いで還流して共沸蒸留により水を除去した。反応溶液を再度108℃に冷却し、MTA(2.67g、0.0121モルSi)を加えた後、1時間還流し、次いで反応混合物を90℃に冷却して、DI水(17.14g)を添加し、次いで還流して共沸蒸留により水を除去した(この水の添加−除去を2回繰り返した)。最後に、蒸留及び118℃でいくらかの揮発物(36.5g)を除去することによって、溶液の固形分を約70重量%まで増大した。合成されたD
ViRL溶液は無色透明であり、3.5モル%のViを含有した。
実施例7:4.5モル%のViを有するT
Vi改質樹脂−直鎖状ブロックポリマーの調製
【0116】
500mLの4つ口丸底フラスコに、フェニル−T樹脂(72g、0.527モルSi、Dow Corning 217フレーク)及びトルエン(59.3g)を窒素下で入れた。このフラスコに、温度計、Teflon撹拌パドル、及び水冷凝縮器に取り付けたDean Stark装置を装着した(Dean Starkには予めトルエンを充満した)。反応混合物を30分間還流加熱し(113℃)、0.1gの水を除去した。反応溶液を108℃に冷却した後、MTAで封止したシラノール末端PhMeシロキサン(MTA/ETA(50/50、1.85g、0.00813モルSi)をシロキサン(88g、0.645モルSi、DP=129)に添加し、それを室温下、グローブボックス内で1時間撹拌することによって合成した)を素早く添加した。反応混合物を窒素下で2時間還流加熱し、0.94gの水を除去した。反応溶液を再度108℃に冷却し、VTA(ビニルトリアセトキシシラン、12.84g、0.0553モルSi)を加えた後、1時間還流して0.71gの水を除去し、次いで反応混合物を90℃に冷却して、DI水(17.14g)を添加し、次いで還流して共沸蒸留により水を除去した。この水の添加−除去を3回繰り返し、合計で59.1gの水を除去した。最後に、蒸留及び118℃でいくらかの揮発物(38.6g)を除去することによって、溶液の固形分を約70重量%まで増大した。合成されたT
ViRL溶液は無色透明であり、4.5モル%のViを含有した。
実施例8:1モル%のViを有するD
Vi改質樹脂−直鎖状ブロックポリマーの調製
【0117】
500mLの4つ口丸底フラスコに、フェニル−T樹脂(72g、0.535モルSi、Dow Corning 217フレーク)及びトルエン(59.3g)を窒素下で入れた。このフラスコに、温度計、Teflon撹拌パドル、及び水冷凝縮器に取り付けたDean Stark装置を装着した(Dean Starkには予めトルエンを充満した)。反応混合物を30分間還流加熱し(113℃)、0.01gの水を除去した。反応溶液を108℃に冷却した後、MTAで封止したシラノール末端PhMeシロキサン(MTA(メチルトリアセトキシシラン、1.79g、0.00813モルSi)をシロキサン(88g、0.645モルSi、DP=129)に添加し、それを室温下、グローブボックス内で1時間撹拌することによって合成した)を素早く添加した。反応混合物を窒素下で2時間還流加熱し、0.67gの水を除去した。反応溶液を再度108℃に冷却し、VMDA(ビニルメチルジアセトキシシラン、2.33g、0.0124モルSi)を加えた後、1時間還流して0.24gの水を除去し、次いで反応混合物を90℃に冷却して、DI水(14g)を添加し、次いで還流して共沸蒸留により水を除去した。反応溶液を再度108℃に冷却し、MTA(1.77g、0.00804モルSi)を加えた後、1時間還流し、次いで反応混合物を90℃に冷却して、DI水(15.4g)を添加し、次いで還流して共沸蒸留により水を除去した(この水の添加−除去を2回繰り返した)。最後に、蒸留及び118℃でいくらかの揮発物(31.5g)を除去することによって、溶液の固形分を約70重量%まで増大した。合成されたD
ViRL溶液は無色透明であり、1モル%のViを含有した。
実施例9:2モル%のViを有するD
Vi改質樹脂−直鎖状ブロックポリマーの調製
【0118】
500mLの4つ口丸底フラスコに、フェニル−T樹脂(180g、1.318モルSi、Dow Corning 217フレーク)及びトルエン(138.6g)を窒素下で入れた。このフラスコに、温度計、Teflon撹拌パドル、及び水冷凝縮器に取り付けたDean Stark装置を装着した(Dean Starkには予めトルエンを充満した)。反応混合物を30分間還流加熱し、0.54gの水を除去した。反応溶液を108℃に冷却した後、MTA/ETAで封止したシラノール末端PhMeシロキサン(50/50のMTA/ETA(メチルトリアセトキシシラン/エチルトリアセトキシシラン、4.24g、0.0187モルSi)をシロキサン(220g、1.614モルSi、DP=181)に添加し、それを室温下、グローブボックス内で1時間撹拌することによって合成した)を素早く添加した。反応混合物を窒素下で2時間還流加熱し、2.01gの水を除去した。反応溶液を再度108℃に冷却し、VMDA(ビニルメチルジアセトキシシラン、11.91g、0.0633モルSi)を加えた後、1時間還流して1.05gの水を除去し、次いで反応混合物を90℃に冷却して、DI水(47.8g)を添加し、次いで還流して共沸蒸留により水を除去した。反応溶液を再度108℃に冷却し、50/50のMTA/ETA(21.57g、0.0949モルSi)を加えた後、1時間還流し、次いで反応混合物を90℃に冷却して、DI水(47.8g)を添加し、次いで還流して共沸蒸留により水を除去した(この水の添加−除去を2回繰り返した)。同じ水処理を3回実施し、最後に、蒸留及び118℃でいくらかの揮発物(103.6g)を除去することによって、溶液の固形分を約70重量%まで増大した。合成されたD
ViRL溶液は無色透明であり、2モル%のViを含有した。
実施例10:2モル%のVi及び1ppmのPt触媒を有するD
ViRL
【0119】
実施例9のD
ViRLを使用して、1ppmのPt触媒を入れて実施例10を調製した。
実施例11:2モル%のViを有するT
ViRL
【0120】
500mLの4つ口丸底フラスコに、フェニル−T樹脂(180g、1.318モルSi、Dow Corning 217フレーク)及びトルエン(148.2g)を窒素下で入れた。このフラスコに、温度計、Teflon撹拌パドル、及び水冷凝縮器に取り付けたDean Stark装置を装着した(Dean Starkには予めトルエンを充満した)。反応混合物を30分間還流加熱し、1.05gの水を除去した。反応溶液を108℃に冷却した後、MTA/ETAで封止したシラノール末端PhMeシロキサン(50/50のMTA/ETA(メチルトリアセトキシシラン/エチルトリアセトキシシラン、4.43g、0.0195モルSi)をシロキサン(220g、1.614モルSi、DP=181)に添加し、それを室温下、グローブボックス内で1時間撹拌することによって合成した)を素早く添加した。反応混合物を窒素下で2時間還流加熱し、2.05gの水を除去した。反応溶液を再度108℃に冷却し、VTA(ビニルトリアセトキシシラン、14.29g、0.0615モルSi)及び50/50のMTA/ETA(14.48g、0.0637モルSi)を加えた後、1時間還流し、次いで反応混合物を90℃に冷却して、DI水(39.1g)を添加し、次いで還流して共沸蒸留により水を除去した。水処理(39.1gのDI水)を更に2回繰り返した。最後に、蒸留及び118℃でいくらかの揮発物(113g)を除去することによって、溶液の固形分を約70重量%まで増大した。合成されたD
ViRL溶液は無色透明であり、2モル%のViを含有した。
実施例12:ヒドロシリル化硬化配合物
【0121】
実施例2〜11に従って生成した樹脂−直鎖状オルガノシロキサンブロックコポリマーを含有する、ヒドロシリル化硬化配合物は、表2に示す量の樹脂直鎖状オルガノシロキサンブロックコポリマー、式R
1qR
3(3−q)SiO(R
12SiO
2/2)
mSiR
3(3−q)R
1qを有する化合物、及びPt触媒を含有するように調製された。樹脂−直鎖状オルガノシロキサンブロックコポリマーは、トルエン中60重量%の溶液として調製し、次いでこの溶液をTeflonコーティングされたアルミパンに注いで、厚さ0.5〜2mmのフィルムを作製した。アルミパンをフード内に一晩放置して、溶媒のトルエンを除去した後に、透明な、固体の、未硬化フィルムが、アルミパン内に均一に形成された。固体フィルムを含有するパンを、オーブン内で、70℃で数時間、続いて120℃で1時間、最後に160℃で3時間、加熱して、硬化したフィルムを得た。
比較例1:
【0122】
12Lの3つ口丸底フラスコに、フェニル−T樹脂(1800g、13.18モルSi、Dow Corning 217フレーク)及びトルエン(1482g)を窒素下で入れた。このフラスコに、温度計、Teflon撹拌パドル、及び水冷凝縮器に取り付けたDean Stark装置を装着した(Dean Starkには予めトルエンを充満した)。反応混合物を30分間還流加熱し、8.18gの水を除去した。反応溶液を108℃に冷却した後、MTA/ETA(メチルトリアセトキシシラン/エチルトリアセトキシシラン)で封止したシラノール末端PhMeシロキサン(50/50重量%のMTA/ETA(メチルトリアセトキシシラン/エチルトリアセトキシシラン)(49.96g、0.207モルSi)をシロキサン(2200g、16.13モルSi、DP=127)に添加し、それを室温下、グローブボックス内で1時間撹拌することによって合成した)を素早く添加した。反応混合物を窒素下で2時間還流加熱し、14.66gの水を除去した。反応溶液を再度108℃に冷却し、50/50重量% MTA/ETA(メチルトリアセトキシシラン/エチルトリアセトキシシラン)(314.49g、1.348モル)を加えた後、1時間還流して0.56gの水を除去し、次いで反応混合物を90℃に冷却して、脱イオン(DI)水(430g)を添加し、次いで還流して共沸蒸留により水を除去した。上記の水添加−除去プロセスを2回繰り返し、合計で1045.9gの水相を除去した。最後に、蒸留及び118℃でいくらかの揮発物(1331.4g)を除去することによって、溶液の固形分を約70重量%まで増大した。合成された樹脂−直鎖状溶液は無色透明であった。上記の樹脂−直鎖状ブロックコポリマーを、50ppmのDBUの存在下で硬化し、DBU硬化樹脂−直鎖状固体組成物を得た。
比較例2:
【0123】
樹脂直鎖状溶液は、比較例1に示した手順と同じ手順を用いて合成した。Al硬化樹脂−直鎖状固体組成物を調製するため、上記の樹脂−直鎖状ブロックコポリマーを、100ppmのAlを含有するAl(acac)
3存在下で硬化した。
比較例3:
【0124】
以下に記載の成分を、真空プラネタリミキサ、Thinky ARV−310使用して、2kPa下、1600rpmで2分間混合して、液体組成物を形成する。
成分1:平均単位分子式:(Me
2ViSiO
1/2)
0.25(PhSiO
3/2)
0.75;5.8g;
成分2:平均単位分子式:Me
2ViSiO(MePhSiO)
25OSiMe
2Vi;1.8g;
成分3:平均単位分子式:HMe
2SiO(Ph
2SiO)SiMe
2H;2.0g;
成分4:平均単位分子式:(HMe
2SiO
1/2)
0.60(PhSiO
3/2)
0.4;0.24g;
成分5:平均単位分子式:
(Me
2ViSiO
1/2)
0.18(PhSiO
3/2)
0.54(EpMeSiO)
0.28、式中、(Ep=グリシドキシプロピル);0.23g;
成分6:平均単位分子式:環状(ViSiMeO
1/2)
n;0.02g;
1−エチニル−1−シクロヘキサノール、240ppm;及び
Pt触媒(1.3−ジビニルテトラメチルシロキサン錯体);2.5ppm。
比較例4:ヒドロシリル化反応による2.7モル%のViを有するM
Vi改質樹脂−直鎖状ブロックポリマーの調製
【0125】
(i)M
Vi0.147T
Ph0.853樹脂の調製:3Lの3つ口丸底フラスコに、DI水(1011.9g)を加え、続いて氷水浴で4℃に冷却した。このフラスコに、温度計、Teflon撹拌パドル、及び水冷凝縮器を取り付けた。フェニルトリクロロシラン(444.26g、2.1モル)、ビニルジメチルクロロシラン(48.26g、0.4モル)及びトルエン(481.5g)の予備混合溶液を、上記の冷却した水に3分間かけて添加し(反応中の溶液の最高温度は71℃以下であった)、その後直ちに氷水浴を外して、80℃で15分間加熱した。反応混合物を、底部ドレイン付きの2L丸底フラスコに移し、水相を除去し、続いて再度80℃で15分間加熱して、分子量増大を促進した。残留物質にDI水(80.25g)を添加し、次いで80℃で10分間加熱し、次いで冷却し、水相を除去した。残留物質に2−プロパノール(20.06g)及びDI水(60.19g)の混合物を添加し、続いて80℃で10分間加熱して水相を除去した(この工程を、最終的な洗浄水相のpHが4.0になるまで、数回繰り返した)。次いで、反応混合物を還流加熱して、残留水を共沸蒸留により除去した。合成されたM
Vi0.147T
Ph0.853樹脂を、ロータリーエバポレータを使用して、120℃で乾燥した。生成物は、室温で「パリパリした」固体であり、収率は332gで、14.7モル%のViを含有した。
【0126】
(ii)SiH末端PhMeシロキサン(DP=129、M
H2D
Ph129)の調製:1Lの乾燥した3つ口丸底フラスコに、シラノール末端PhMeシロキサン(D
Ph129(OH)
2、300.8g、2.207モルSi、0.0265モルのシラノール)、トルエン(450g)及びトリエチルアミン(TEA、4.47mL、0.032モル)を窒素下で入れた後、10分間撹拌した。ジメチルクロロシラン(3.53mL、0.0318モル)を、フラスコに注射器で10分以内にゆっくりと添加した。クロロシランの添加後1分以内に、白色の塩沈殿物が形成した。反応混合物を窒素下、室温にて3時間撹拌し、続いて1mLのDI水を添加して、未反応のクロロシランをクエンチした。最後に10gの無水Na
2SO
4をフラスコに添加し、続いて空気下で一晩撹拌して、溶液を完全に乾燥した。2日目に、1.2μmの濾紙を用いて207kPa(30psi)で反応溶液を濾過して、白色の塩沈殿物を除去した。溶媒及び少量のTEA及びクエンチしたビニル前駆体を、Rotavaporを使用して、80℃及び667kPa(5mmHg)の真空にて完全に除去した。M
H2D
Ph129生成物は、高粘度の無色透明な液体物質である。
【0127】
(iii)M
ViRLs
SysD(2.7モル% Vi)の調製:500mL 4つ口丸底フラスコに、M
Vi0.147T
Ph0.853樹脂(72g、0.56モルSi)、M
H2D
Ph129(88g)及びトルエン(59.3g)を窒素下で入れた。このフラスコに、温度計、Teflon撹拌パドル、及び水冷凝縮器に取り付けたDean Stark装置を装着した(Dean Starkには予めトルエンを充満した)。反応混合物を90℃に加熱し、続いて、Pt触媒(TSA−276、4g、全固体重量を基準にして2.5ppmのPt)を添加した。反応混合物を2.5時間還流加熱し、その間にSiHの消費を観測するために試料のIRをとった。反応は、2時間の還流後に完了し、0.63gの水が除去された。反応溶液を108℃に冷却し、続いて、SiH末端シロキサンM
HD
Ph2M
H(7.46g、0.0224モル)を添加して、2時間還流した。反応は2時間後に完了し、0.31gの水が除去された(IRによるSiHの観測)。最後に、蒸留及び118℃でいくらかの揮発物を除去することによって、溶液の固形分を約60重量%まで増大した。合成された60% M
ViRLs
SysD溶液は無色透明で粘稠であり、2.7モル%のViを含有した。
【0128】
実施例2〜11に従って調製された樹脂−直鎖状オルガノシロキサンのいくつかの物理的及び化学的特性を、下の表1に示す。
【表1】
【0129】
本発明の実施形態の樹脂−直鎖状オルガノシロキサンを含む上記の新規組成物は、いずれも1モル%超のビニル官能性及びシラノールのモル%を有する。これは、例えば、Si−Hヒドロシリル化を用いた、ビニルによる単一硬化だけでなく、例えば、ビニル/Si−H及びSiOH/SiOH縮合による二重硬化も可能にする。
【表2】
* Karstedt触媒、及び2:3の比のPt:ビニル(CH
3)
2SiOSi(CH
3)
2ビニルを含有全試料で[SiH]/[Vi]=1
「N/A」は、データが得られなかったことを示す。
【0130】
表2に示す硬化速度データは、実施例2〜11に従って調製された樹脂−直鎖状オルガノシロキサンブロックコポリマーが、DBU又はAl(acac)
3触媒の存在下での縮合のみでしか硬化できない樹脂−直鎖状オルガノシロキサンブロックコポリマーで観察された硬化速度に匹敵する硬化速度を示す。比較例1及び2のデータを参照のこと。更に、実施例2〜11に従って調製された樹脂−直鎖状オルガノシロキサンブロックコポリマーは全て、比較例2に記載の方法に従って調製された樹脂直鎖状オルガノシロキサンブロックコポリマーよりも速い硬化速度を示す。
【0131】
実施例2〜11に従って調製された樹脂−直鎖状オルガノシロキサンブロックコポリマーは、蛍光体(例えば、全固体に対して50重量%以下で使用されるCe:YAG)を含有する場合に硬化可能であった。更に、実施例2〜11に従って調製された樹脂−直鎖状オルガノシロキサンブロックコポリマーは、室温(すなわち、25℃)及び標準圧力(101kPa(1atm))で少なくとも15週間の貯蔵安定性を有し、G’
minの変化が、15週間で約50%未満(例えば、約25%未満、約20%未満、約15%未満、約10%未満、約5%未満、約3%、約0%、約0%〜約50%、約3%〜約25%、約5%〜約20%又は約15%〜約45%)であった。対照的に、比較例4に従って調製された樹脂−直鎖状オルガノシロキサンブロックコポリマーは、15週間で200%を超えるG’
minの変化を示し、比較例3に従って調製された樹脂−直鎖状オルガノシロキサンブロックコポリマーは、1週間で1300%を超えるG’
minの変化を示した。上記の結果は、本発明の実施形態の樹脂−直鎖状オルガノシロキサンブロックコポリマーは、ヒドロシリル化によって硬化される、当該技術分野において既知の他の物質よりも優れた貯蔵安定性を達成することを実証する。例えば、比較例3を参照。
【0132】
実施例2〜11及び比較例1〜4に従って調製された樹脂−直鎖状オルガノシロキサンブロックコポリマー樹脂−直鎖状オルガノシロキサンブロックコポリマーの色(エージングの前及び後)、ヤング率データ(エージングの前及び後)、及びtanδデータを表3に示す。
【表3】
*表3に示すb
*値は、BYK比色計を使用して、厚さ約1mmの試料から得た。
「N/A」は、データが得られなかったことを示す。
【0133】
表3に示すデータは、本発明の実施形態に従って調製された樹脂−直鎖状オルガノシロキサンブロックコポリマーは、235℃で72時間のエージング後に、エージング前と後とのCIE b
*値の比が10未満(例えば、235℃で72時間のエージング後に約9未満、約8未満、約7未満、約6未満、又約5未満の比、又は235℃で72時間のエージング後に約2〜約10、3〜約9、又は約5〜約10の比)であることを示す。本発明の特定の実施形態に従って調製された樹脂−直鎖状オルガノシロキサンブロックコポリマーは、235℃で72時間のエージング後に、エージング前と後とのCIE b
*値の比が30未満(例えば、エージング後に約25未満、約20未満、又は約15未満;又は235℃で72時間のエージング後に、約14倍〜約30倍、15倍〜約20倍、又は約20倍〜約30倍の色変化)である。対照的に、比較例2及び3に従って調製された樹脂−直鎖状オルガノシロキサンブロックコポリマーは、235℃で72時間のエージングの前及び後のCIE b
*値の比が約50という許容できない値を示す。いくつかの実施形態において、本発明の特定の実施形態に従って調製された樹脂−直鎖状オルガノシロキサンブロックコポリマーは、235℃で72時間のエージング後に、約6以下のCIE b
*値(例えば、約6以下、約5以下、約4以下若しくは約3以下、又は約3〜約6若しくは約4〜約6)を示す。
【0134】
表3に示すデータは、本発明の特定の実施形態に従って調製された樹脂−直鎖状オルガノシロキサンブロックコポリマーが、エージング前に室温で許容可能な高いヤング率を有し、樹脂−直鎖状オルガノシロキサンブロックコポリマーがエージング後に脆くなるといった、ヤング率がエージング後に有意に変化することも示さなかった。
【表4】
*R
ΔG’:225℃で500時間のエージングの前及び後に23℃で測定した弾性率の変化率
【0135】
表4に示すデータは、本発明の特定の実施形態に従って調製された樹脂−直鎖状オルガノシロキサンブロックコポリマーが、225℃で500時間の熱的エージングの後でも、高い熱安定性を示すことを示す。500時間後の弾性率の変化率が低く、D
ViRLのb
*値の変化が小さいことは、熱安定性において、D
ViRLがM
ViRL又はT
ViRLよりも有利であることを示す。
【0136】
本発明の特定の実施形態に従って調製された樹脂−直鎖状オルガノシロキサンブロックコポリマーの1つの重要な利点は、T基がフェニルを含む場合に、ベンゼン脱離の傾向が有意にかつ驚くほど低いことである。いくつかの実施形態において、本発明の特定の実施形態に従って生成された樹脂−直鎖状オルガノシロキサンブロックコポリマーは、180℃で30分後に200ppm未満のベンゼン(例えば、180℃で30分後に150ppm未満、125ppm未満、100ppm未満、75ppm未満、50ppm未満、25ppm未満、20ppm未満、15ppm未満、10ppm未満、若しくは6ppm未満のベンゼン、又は180℃で30分後に約0ppm〜約200ppm、約10ppm〜約100ppm、約25ppm〜約100ppm、約2〜約20ppm、約10ppm〜約20ppm若しくは約10〜約18ppmのベンゼン)を発生する。
【0137】
本発明の特定の実施形態に従って生成された樹脂−直鎖状オルガノシロキサンブロックコポリマーの別の重要な利点は、代表的な縮合触媒で硬化された樹脂−直鎖状オルガノシロキサンブロックコポリマー、例えば、比較例1及び2と比べて、硬化後に蛍光体阻害を受ける傾向が有意にかつ驚くほど低いことである。更に、樹脂−直鎖状オルガノシロキサンブロックコポリマーの硬化速度は、蛍光体の投入量の影響をはるかに受けにくく、例えば、硬化の初期温度は蛍光体の投入量が変動しても変化しない。例えば、硬化の初期温度(温度スキャンにおいて、メルトフローに対応する温度での初期低下後にG’が増大する温度として定義される)の変化は、50℃未満、40℃未満、30℃未満、20℃未満又は15℃未満である。更に、エージング後に0.05を超えるtanδが維持でき、これはヒドロシリル化により硬化することが当該技術分野において知られている物質では実現されない。例えば、比較例4を参照。