特許第6649315号(P6649315)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6649315
(24)【登録日】2020年1月20日
(45)【発行日】2020年2月19日
(54)【発明の名称】X線撮影装置のための絞り装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/14 20060101AFI20200210BHJP
   A61B 6/06 20060101ALI20200210BHJP
【FI】
   A61B6/14 301
   A61B6/06 300
【請求項の数】13
【外国語出願】
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2017-67533(P2017-67533)
(22)【出願日】2017年3月30日
(65)【公開番号】特開2017-176835(P2017-176835A)
(43)【公開日】2017年10月5日
【審査請求日】2019年10月2日
(31)【優先権主張番号】102016000032291
(32)【優先日】2016年3月30日
(33)【優先権主張国】IT
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517112753
【氏名又は名称】チェフラ ソシエタ コーポレイティヴァ
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ダリオ リギーニ
(72)【発明者】
【氏名】フランチェスコ シアーラ
(72)【発明者】
【氏名】セルジオ サルシーニ
【審査官】 松岡 智也
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2002/097827(WO,A1)
【文献】 欧州特許出願公開第02642491(EP,A1)
【文献】 特開2013−102992(JP,A)
【文献】 特開2001−161681(JP,A)
【文献】 特開2013−135842(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/113715(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00−6/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
X線ビームを絞るための方法であって、第1ブレード絞り装置(1,1’,1’’,11)の2つのブレード(3,3’,3’’,13;4,4’,4’’,14)が、所望の形を有するX線ビームを生成するように1つの共通アクチュエータ(9,9’,9’’,19)のみを介して移動され、前記少なくとも2つのブレードが、互いの距離を変えて一方が他方に対して移動可能であり、それによって前記X線ビームが通過する開口部の幅が変化し、また前記開口部は、前記2つのブレードのそれぞれ1つによって2つの対向する側で境界が定められている、X線ビームを絞るための方法において、
前記2つのブレード(3,3’,3’’,13;4,4’,4’’,14)を、前記アクチュエータ(9,9’,9’’,19)によって、所定の長さの経路に沿って、同一の第1方向に、又は前記第1方向と反対の同一の第2方向に共に変位させるステップと、
前記2つのブレードのうちの第2ブレードを、前記2つのブレードのうちの第1ブレードと相対的に所定の経路で変位させ、したがって前記2つのブレードの前記距離を変化すなわち増加又は減少させることを可能とするステップと、
前記第1ブレード(3,3’,3’’,13)が、剛体連結部(35,32)によって前記アクチュエータと連結され、それによって前記アクチュエータとの同一の相対位置を維持することと、
前記第2ブレード(4,4’,4’’,14)が、前記第2ブレード(4,4’,4’’,14)と剛体連結部(33,35)との間に介装された摩擦デバイスによって前記アクチュエータ(9,9’,9’’,19)と連結され、前記摩擦デバイスが、前記第2ブレードを、前記剛体連結部(33,35)と相対的に前記アクチュエータへと変位させることと、
ストップ手段(5,5’,6,6’)が、前記2つの反対方向に対してそれぞれ、前記第2ブレード(4,4’,4’’,14)の一方の先端と協働するように設けられ、それにより前記第2ブレードが前記2つの反対方向の何れかにおいて前記第1ブレードの前記経路の一定長さに亘って前記第1ブレードと共に共通して変位するのを防ぐことと
を特徴とする、X線ビームを絞るための方法。
【請求項2】
前記第1及び第2ブレード(3,3’,3’’,13;4,4’,4’’,14)の組が、撮像する物体の反対方向に設けられたソース及びセンサ(S)を有するX線ユニットの回転軸線に垂直な方向に沿って変位され、
前記第2ブレード(4,4’,4’’,14)と協働する前記ストップ手段(5,5’,6,6’)が、所定の距離互いに離間して設けられ、且つ前記第2ブレード(4,4’,4’’,14)の前記所定の長さの経路を規定しており、前記第2ブレード(4,4’,4’’,14)と前記第1ブレード(3,3’,3’’,13)とは、前記第1及び第2ブレードの対向端の相対距離を維持したまま、且つ前記X線を通過させるための前記開口部を前記X線ビームの伝播軸線に関して相対的に並進移動させつつ、前記所定の長さの経路に沿って共に移動し、また一方で、任意で、前記第1及び第2ブレードの前記共通の変位は、前記変位を、スキャンする物体の反対側に位置する前記ソース及び前記センサ(s)を有する前記X線ユニットの回転並進移動と同期させることによって行われる、請求項1に記載のX線ビームを絞るための方法。
【請求項3】
更なる第2ブレード絞り装置が設けられ、前記2つのブレード絞り装置(1’,1’’)は互いに垂直であり、且つ重なっており、それにより、前記2つのブレード絞り装置のうちの第1ブレード絞り装置(1’)を通した水平コリメーションと、前記2つのブレード絞り装置のうちの第2ブレード絞り装置(1’’)を通した鉛直コリメーションとの両方が得られる、請求項1又は2に記載のX線ビームを絞るための方法。
【請求項4】
前記ブレード絞り装置(1,1’〜1’’)は平面コリメータであり、前記水平コリメーションのための前記ブレード(3,4;13,14)に加え、前記鉛直コリメーションのためのパンチプレート(2;12)が設けられ、前記パンチプレート(2,12)は、異なる形と寸法とを有する複数の窓部(21〜26)を備え、前記パンチプレートは、摩擦デバイスによって前記アクチュエータ(9,9’,9’’,19)と連結され、また前記パンチプレートは、並進移動の2つの反対方向のうちの一方を向いた、両側の各々と協働する少なくともストローク端(7,7’;8,8’)によって並進移動を制限されている、請求項1又は2に記載のX線ビームを絞るための方法。
【請求項5】
前記ブレード(3,4;13,14)の、及び設けられている場合には前記パンチプレート(2;12)のそれぞれの配置が固定されると、全ての前記絞り装置(1,11)が、患者の歯列弓の制限された部分を照射するようにX線ソース及びセンサ(S)と同期して回転し、検査中の前記患者は、歯列弓全部が取得されるとき(Z)に位置付けられるのと同様に、前記口外法装置に関して対称的に位置を定められる、請求項1から4までの何れか一項に記載のX線ビームを絞るための方法。
【請求項6】
2つのブレード(3’,4’)を備えた前記第1ブレード絞り装置(1’)が、2つのブレードの移動を通して水平コリメーションをもたらし、異なる形と寸法とを有する複数の窓部を備えたパンチプレートが鉛直コリメーションをもたらし、前記複数の窓部は、前記2つのブレードによって画定された窓部と重なっており、前記ブレード及び前記パンチプレートは巻かれて同心円筒を形成し、前記パンチプレートが外側円筒であり、前記ブレードが内側円筒上をスライドし、
前記方法が、歯列弓全体よりも狭い対象領域(z)を取得するステップを含み、この取得の最中、前記絞り装置(1,11)は、所定の相互位置で前記ブレード(3,4;13,14)及び前記パンチプレート(2;12)をブロックし、その後全ての前記円筒形絞り装置(1;11)が、同一の狭い対象領域に常に照射をするように、X線ソース及びセンサ(S)と同期して、それ自体の回転軸線を中心に回転し、また検査中の前記患者は、歯列弓全体が取得されるとき(Z)に位置付けられるのと同様に、前記口外法装置に関して対称的に位置を定められる、請求項1に記載のX線ビームを絞るための方法。
【請求項7】
請求項1から3までの何れか一項に記載のX線ビームを絞るための方法によりX線ソースから放射されるX線ビームを絞るための装置(1,1’,1’’,11)であって、2つのブレード(3,3’,3’’,13;4,4’,4’’,14)を備えた第1ブレード絞り装置(1,1’,1’’,11)を少なくとも有し、前記2つのブレードは、互いの距離を変えて一方が他方に対して移動可能であり、それによって前記X線ビームが通過する開口部の幅が変化し、また前記開口部は、前記2つのブレードのそれぞれ1つによって2つの対向する側で境界が定められている、X線ビームを絞るための装置において、
全ての前記ブレード(3,3’,3’’,13;4,4’,4’’,14)を同じ第1及び第2の方向に移動させるようになされた唯一の共通アクチュエータ(9,9’,9’’,19)が設けられ、前記第2方向は前記第1方向と反対向きであり、前記第1ブレード(3,3’,3’’,13)は、前記アクチュエータ(9,9’,9’’,19)との相対位置を維持するように前記共通アクチュエータ(9,9’,9’’,19)に固く連結され、
前記第2ブレード(4,4’,4’’,14)が、前記第2ブレード(4,4’,4’’,14)と前記共通アクチュエータへの剛体連結部(33,35)との間に介装された摩擦デバイスによって前記アクチュエータ(9,9’,9’’,19)に連結され、前記摩擦デバイスは、前記第2ブレードが前記アクチュエータへの前記剛体連結部(33,35)に対して相対的に変位されることを可能にし、前記第1ブレードと共通した前記第2ブレードの移動が、2つの反対向きの並進移動方向のうちの一方をそれぞれ向いた前記第2ブレードの両側において、前記第2ブレード(4,4’,4’’,14)の前記両側のうちの1つとそれぞれ協働する少なくともストップ手段(5,5’;6,6’;94)によって制限されている
ことを特徴とする、X線ビームを絞るための装置(1,1’,1’’,11)。
【請求項8】
2つのブレード(3’,4’)を備える少なくとも前記第1ブレード絞り装置(1’)が水平コリメーションをもたらし、2つのブレード(3’’,4’’)を備える更なる第2ブレード絞り装置(1’’)が鉛直コリメーションをもたらし、前記2つの第1及び第2ブレード絞り装置(1’,1’’)が垂直にセットされ、且つ互いに重なっている、請求項5に記載の方法を実行するのに適した請求項7に記載の装置(1’,1’’)。
【請求項9】
2つのブレード(3,4;13,14)を備える前記第1ブレード絞り装置(1,11)が、前記2つのブレード(3,4;13,14)の移動を通して水平コリメーションをもたらし、前記装置が、鉛直コリメーションを得るためのパンチプレート(2,12)を更に有し、前記パンチプレートは、異なる形と寸法とを有する複数の窓部(21〜26)を備え、前記複数の窓部は、前記2つのブレード(3,4;13,14)によって前記画定された窓部と重なっている、請求項5に記載の方法を実行するのに適した請求項7に記載の装置(1’,11)。
【請求項10】
前記ブレード(13,14)及び前記パンチプレート(12)は巻かれて同心円筒を形成し、前記パンチプレート(12)が外側円筒であり、前記ブレード(13,14)が内側円筒上をスライドするように配置される、請求項9に記載のX線ソースから放射されるX線ビームを絞るための装置(1)。
【請求項11】
X線ユニットが、ソース及びセンサ(S)を有し、且つ回転並進移動の共通軸線の並進移動変位を実行するようになされており、前記ストップ手段が、前記第1ブレード(3,3’,3’’,13)の経路の前記2つの対向端に位置するストップ(5,5’;6,6’)であり、前記ストップ(5,5’;6,6’)は、前記第1ブレード(3,3’,3’’,13)の変位の経路よりも短い前記第2ブレード(4,4’,4’’,14)の変位の経路であって、前記第1ブレードの変位の経路全体の一部に相当する前記第2ブレード(4,4’,4’’,14)の変位の経路を規定する距離を有し、前記第1ブレード及び前記第2ブレードは、前記経路の一部に沿った変位の間、変位方向の互いの相対位置を変えることなく共に変位するようになされており、また前記変位方向は、回転並進移動の共通軸線と垂直である、請求項7から10までの何れか一項に記載の装置を有するシステム。
【請求項12】
前記X線ユニットの前記回転並進移動が、前記第2ブレードの前記ストップ(5,5’;6,6’)間の前記経路の一部に沿った前記第1及び第2ブレードの変位と同期している、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
口外法X線撮影装置に関連して使用される、請求項1から6までの何れか一項に記載のX線ビームを絞るための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、X線撮影(radiography)の技術分野に関し、詳細には、レントゲン写真の取得中に放射チューブによって放射されるX線束の形を画定するのに使用されるX線ビーム絞り装置に関する。
【背景技術】
【0002】
歯科分野では、異なる種類のX線画像取得法が知られている。下記に異なる種類の取得法に関する簡単な説明を行い、それらを以下で参照する。
【0003】
パノラマレントゲン撮影(オルソパントモグラフィーとしても知られ、PANと略される)は、患者の顎を近似する、湾曲した平面のX線画像を生成するが、所定曲面の周囲の狭い層の外側にある解剖学的構造がぼやける。これは平面X線撮影であり、以下、二次元として言及されるものである。
【0004】
コーンビーム断層撮影法(CBCT又は3Dとしても知られる)は、異なる投影角から一連の二次元X線画像を取得して、それらを取得後に処理を行って三次元体積を再構築するものである。
【0005】
遠隔X線撮影(CEPHと略される)は、最小限の拡大及び幾何的歪みで、異なる投影角から頭蓋骨又は他の解剖領域X線画像を生成する投影レントゲン写真技術である。通常、側−側、及び前−後という2つの透視図が描かれる。
【0006】
異なる種類のX線画像(PAN又は2D、CBCT又は3D、CEPH)を取得している最中、放射チューブは通常、X線ソースの近くでシールドセットによって絞られたX線束を放射する。放射されたX線束は、通常円錐状又は角錐状である。次いで、X線束は、より精度良く所望の形及び寸法を付与することを可能にする窓部を通過することによって、放射点の下流で画定される。通常、絞り装置を通過すると、束の断面は正方形、又は矩形となる。
【0007】
異なる種類のX線写真の取得においては、その特定の取得に最適な形と寸法とをX線束に付与することを目的として、X線ソースと検出器との間に挿入される、異なる形及び寸法を有する窓部が必要である。
【0008】
X線ビーム絞り装置の使用、特に適切なアクチュエータを介して異なる方法で移動させることのできる、1つ以上のブレードを利用するビーム絞り装置の使用が、当該技術分野においてよく知られている。これらの絞り装置はまた、コリメータとも呼ばれている。
【0009】
典型的には、ビーム絞り装置は2つのブレードと、それらを移動させる1つ又は2つのアクチュエータとを備える。このように、一定の高さ(ブレード高さ)と可変幅(2つのブレードの内端の間の距離)とを有する窓部を得ることができる。上記の原理に従って組み立てられた装置を記載した既知の技術文書には、例えばPlanmeca OY社の特許文献1及び特許文献2、並びに同出願人CEFLAの特許文献3が挙げられる。
【0010】
特許文献1には、アクチュエータが唯1つのブレードの位置を直接制御できるように、アクチュエータが1つのブレードを直接制御し、他のブレードは間接的な接続によって移動される絞り装置が記載されている。特に、ブレードの移動方向を反転させた場合、アクチュエータは最大でも、1つのブレードしか制御しない(他は反転移動の瞬間にあった位置に固定されたままである)。
【0011】
互いに接近又は離間する2つのブレードを有する代わりに、接近又は退避する1つのブレードと、鉛直コリメーションのためのパンチプレートとが存在する場合にも、特許文献2は特許文献1と同様に機能する。
【0012】
特許文献3では、移動方向を反転させた場合にも、アクチュエータが2つのブレードを同時に移動させることができるが、それら2つのブレードは、フィールド幅の調整とともに、常に他方に対して反対方向に移動する。
【0013】
特許文献1と特許文献3とに記載されている既知の技術の特徴は、上で引用したコリメータが、少なくとも2つのブレードと1つのアクチュエータとから形成されるという事実にある。正方形の窓部が望まれる場合(例えば四辺の境界が定められる場合)、例えば特許文献1の図1に示されるような、垂直に設置された2つのコリメータが必要となる。これにより、2つのアクチュエータが必要となる点で、既知の技術のコリメータが非常に高価になる。
【0014】
一方、扇状ビームを要する2D PAN画像と、角錐型ビームを要する3D CBCT画像とを取得することができる、所謂ハイブリッド口外法装置が普及し始めてきている。これには、スプリット形(長く細い長方形)や異なる寸法の正方形を有している必要がある。
【0015】
通常口外法X線撮影装置では、完全な歯列弓を取得することができる。しかし、歯科医が、歯列弓全体よりも寸法が小さい、明確に定義された対象となる領域(例えば臼歯領域)を取得する必要がある場合は多い。つまり、装置の回転軸線上に中心が位置していないサブボリュームを取得する必要がある。小さな寸法を有する領域を取得することで、患者のX線被曝量を下げることができる。この場合、通常その患者は、対象領域が、X線撮影装置の回転軸線に対して中心位置に位置するように、X線撮影装置内で非対称な位置に移動させられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】欧州登録特許第1390956号明細書
【特許文献2】欧州特許出願第2139398号明細書
【特許文献3】欧州特許出願第2642491号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明の目的は、所望の幅と形とを有する窓部を生成することが可能なビーム絞りユニットを提供することである。本発明の目的は更に、短い時間で設定が可能なビーム絞りユニットを提供することであり、電気的に移動する要素の数を減少させることによって、ビーム絞りユニットは、信頼性がより高く、制御がより簡単になり、そして製造費が安くなる。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の目的は、本発明に係るビーム絞り装置によって達せられ、それには以下の異なる実施例が存在する。
第1実施例: 垂直にセットされて重なった2つのビーム絞りユニットであって、各々が、鉛直及び水平コリメーションの両方を得るために2つのブレードを有するユニット。
第2実施例: 鉛直コリメーションのための1つのパンチプレートと、水平コリメーションのための互いに接近及び退避することのできる2つのブレードとの3つの要素が存在し、全体として唯1つのアクチュエータが存在する、1つのみの平面絞りユニット。
第3実施例: 鉛直コリメーションのための1つのパンチプレートと、水平コリメーションのための互いに接近及び退避することのできる2つのブレードとの3つの要素が存在し、全体として唯1つのアクチュエータが存在する、1つのみの円筒形絞りユニット。
【0019】
円筒形の実施例は設計が困難ではあるが、小型である。
【0020】
本発明に係るビーム絞りユニットは、アクチュエータが全てのブレードを、いかなる場合でも少なくとも2つのブレードを、直接両方向に制御するという点で、上で引用した既知の技術と異なり、その結果、絞りユニット自体が取得の最中に移動した場合でも、出ていくX線束の寸法が略安定であり続ける。
【0021】
本発明に係るコリメータは、幾つかの利点を有する。
【0022】
第1の利点は、1つのアクチュエータのみを使用するという点で、安く製造できるコリメータを得ることにある。
【0023】
第2の利点は、2D及び3D画像を取得可能なハイブリッド装置に実装できるコリメータを得る点にある。
【0024】
第3の利点は、患者の装置内における位置取りを修正する必要なしに、患者のX線被曝量を最小限に抑えつつ、装置の回転軸線と同軸ではない狭い対象領域を取得することを可能にするコリメータを有する点にある。
【0025】
本発明の更なる利点と特徴を以下の説明において開示し、本発明の例示的な実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】平面コリメータの正面図である。
図2】平面コリメータの上面図である。
図3】パンチプレートの詳細である。
図4】円筒コリメータの軸測図である。
図5】円筒コリメータの横断面図である。
図6】円筒コリメータの縦断面図である。
図7O】コリメーションシーケンス:正面図における平面コリメータの初期位置である。
図7A】コリメーションシーケンス:正面図における平面コリメータの第1の位置である。
図7B】コリメーションシーケンス:正面図における平面コリメータの第2の位置である。
図7C】コリメーションシーケンス:正面図における平面コリメータの第3の位置である。
図7D】コリメーションシーケンス:正面図における平面コリメータの最終位置である。
図8】垂直にセットされて重なった2つの平面コリメータの正面図である。
図9】円筒コリメータの底部の細部を拡大した軸測図である。
図10】サブボリューム(サブボリュームの中心は、装置の回転軸線上に位置していない)の取得の上面図である。
図11】本発明に係るコリメータの設定シーケンスの例のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
ブレード及びパンチプレートが、X線を停止させることのできる材料、例えば鉛でできているかについて言及する必要は殆どない。
【0028】
ビーム絞り装置1又は11又は1’〜1’’は、(不図示の)X線ソースの直下流に配置しなければならない。略円錐形のX線束は、装置1又は11又は1’−1’’を通り、その形が修正される。
【0029】
絞り装置の両実施例は、同一の機械原理に基づいている。しかし、平面形状の装置の機能を理解することは、より簡単である。従って、平面形状を最初に説明する。円筒コリメータは、異なる平面図形を円筒状に巻いたものとして考えることができる。
【0030】
平面形状のビーム絞り装置、又はコリメータ1は、互いに接近又は退避してX線束の幅を変化させることのできる2つのブレード3及び4を備える(水平コリメーション)。ブレード3及び4のスライドは、固有のアクチュエータ9によって行われる。
【0031】
ブレード3及び4の前方又は後方には、高さと幅の両寸法が異なる複数の窓部21〜26を備えるパンチプレート2が存在する。所望の窓部をX線束の前に移動させるために、固有のアクチュエータ9により、パンチプレート2も動かされる。これにより、X線束の高さを設定することが可能となる(鉛直コリメーション)。
【0032】
図2は、平面コリメータ(planar collimator)1の可能な構成を示しており、ブレード3及びブレード4がX線経路を基準にして前方又は後方の、パンチプレート2の同一側に配置されている。しかし、ブレード3及び4が、パンチプレート2の反対側にあることも可能である。摩擦デバイスの作用が、点線で表されている(下記参照)。
【0033】
コリメーションされたX線束の最終形状は、パンチプレート2並びにブレード3及び4のそれぞれの配置によって決まる。
【0034】
例えば、図1が示す構成において、X線束はコリメーションされて3D画像を取得し、ブレード3及び4によって絞られることなく窓部全開(Full)21を略通過する。他方、ブレード3及び4が近接して窓部21に重なると、扇状ビームが得られる。PAN取得のための扇状ビームを得るさらなる方法は、V字窓部31が、X線束の(不図示の)中心点に対応するようにブレード3を摺動させることである。図1において、PAN取得のための窓部は、V字形状を有するものとして表されるが、矩形を有する窓部を用いてPAN画像を取得することも可能である点は、注目に値する。
【0035】
図4は、円筒形の実施例における、絞り装置11の軸測図を示す。本実施例においても、1つのアクチュエータ19のみが存在している。
【0036】
円筒形装置11の動作原理は、図示の平面装置1と同一である。
【0037】
図5は、円筒形装置11の横断面を示す。外側円筒12はパンチプレート2を円筒に巻いたものであり、図3ですでに見た窓部21〜26に相当する窓部を持つ。平面コリメータ1のように、それらの窓部がX線束の鉛直コリメーションを設定する。円筒12内では、2つの円筒ブレード13及び14がスライドする。それらはアクチュエータ19の作用により、互いに接近又は退避することができ、それによって窓部を水平方向に画定する(水平コリメーション)。外側円筒12もアクチュエータ19によって回転し、その瞬間に望まれる窓部をX線束の前に持ってくる。
【0038】
ブレード13及び14をスライドさせることで、X線束の幅を、幅広束41から中間幅42へ、より一層絞られた幅43へ変化させることができることは極めて直感的である。
【0039】
パンチプレート12並びにブレード13及び14の厚さが強調されているが、これは放射線不透過なことで有名であり、従ってX線経路を遮断する鉛が存在することを示している。
【0040】
PAN取得のための非常に精度の高いコリメーションを実現するために、好ましい実施例の1つでは、外側円筒12に、単独で使用され、ブレード13及び14を用いた更なるコリメーションを行う必要がない、非常に薄い窓部が存在する。図6は円筒コリメータ11の縦断面であり、如何にして装置11が、(不図示の)X線ソースから出て来るX線束(点線)を鉛直方向に絞るかを示す。断面においては、パンチプレート12のみ目視が可能であり、一方ブレード13及び14は断面上にはないため、不可視である。
【0041】
異なる構成を得る方法は、平面コリメータ1及び円筒コリメータ11の両方について同様である。繰り返すが、より直感的であるという点から、平面装置1を最初に説明する。
【0042】
図7に示すように、平面装置の場合、(可変)水平コリメーションのためのブレード3,4と、パンチプレート2(鉛直コリメーション;固定窓部)とが、スクリュー10によって引っ張られる固有の搬送台35に支持されており、スクリュー10はアクチュエータ9によって駆動される。
【0043】
搬送台35は、2つの先端部32,33を有するフォークを支持し、フォークはブレード3,4の必要とされる最大水平幅と等しい開口部を有する。
【0044】
以下の説明では、水平コリメーションのためのブレード3,4のうちの1つが、その先端部と一体となっており、他方のブレード(4又は3)は、摩擦デバイスを介して先端部に接続されている。パンチプレート2も、摩擦デバイスを介して先端部と接続されている。パンチプレート2が固定される一方、水平コリメーションのための2つのブレード3,4が摩擦デバイスを介して他方の先端部に接続されるという代わりの構成も可能である。
【0045】
ブレードの制限が右又は左にあるという事実が一切の影響を及ぼさないことは明らかである。本例では、制限は左側に描かれているが、左右反転した構成も可能である。簡単にするために、以下ではブレード3がフォークの先端部32と一体になっており、ブレード4及びパンチプレート2が各々の(不図示の)対応する摩擦デバイスによって他方のフォークの先端部に固定されているものとする。
【0046】
実施例では、固定ブレードは、パノラマ取得中、コリメーションのために使用される窓部31も有することができる。
【0047】
パンチプレート2は、図7の左に置かれたストローク端8,8’と、右に置かれたストローク端7,7’との二組のストローク端を有する。
【0048】
ブレード3は、搬送台35の(不図示の)ストローク端のみを有する。
【0049】
ブレード4は、図7の左に置かれたストローク端5,5’と、右に置かれた6,6’とを有する。
【0050】
最後の画像取得に応じて、コリメータ1又は11又は1’〜1’’は、次の取得に対して新たな設定が必要なとき、所定位置に配される。その位置から、コリメータ1又は11又は1’〜1’’は初期位置0に運ばれ、そこから次の取得のための設定が開始される。
【0051】
コリメータ1の機能を説明するために、順に考えるべき幾つかの図を使用する。簡単にするために、例えば、コリメータ1の初期位置0は、図7Oに示される状態である。
【0052】
ここでアクチュエータ9は、図7Aが示すように、搬送台35を、ブレード4がストローク端6,6’に当たって停止する点まで右に向けて移動させる。
【0053】
ブレード3及びパンチプレート2は、搬送台35と一体となって移動し続ける。移動は、パンチプレート2もストローク端7,7’に当たって停止するまで継続する。ブレード3は、図7Bに示すように、パンチプレート2に対して、所望の取得のために必要な位置に達するまで、搬送台35と一体となって移動し続ける。ブレード3は、ブレード4に完全に重なっており、従って図7Bにおいてはブレード4が不可視である点は、注目に値する。ブレード3とパンチプレート2との相対位置は、コリメータ1の設定終了まで固定されたままである。
【0054】
ここで搬送台35は、ブレード4がストローク端5,5’に当たって停止するまで左に向かって移動する。ブレード3及びパンチプレート2は、図7Cに示すように、ブレード4に対して、ブレード3が所望の開口部に達するまで、左に向かって移動する。ブレード3及び4並びにパンチプレート2との間の相対位置は、設定終了まで固定される。
【0055】
ここで図7Dに示すように、パンチプレート2及びブレード3,4の一体アセンブリは、右に引かれ、X線束の中央のX線70が、形成された窓部の対角線の交点に位置するように、X線ソースの前に高い精度で置かれる。
【0056】
(不図示の)フィルタを、CBCT取得のためだけに挿入する目的で、固定ブレードと一体にすることもできる。
【0057】
平面コリメータを得る代替えの実施例は、図8に示すように、パンチプレート2を除去して、垂直にセットされたビーム絞りユニット1’及び1’’を重ねることからなる。図を複雑にしすぎないために、ストローク端及び搬送台のどちらにも番号を付けなかった。このように、ブレード3’及び4’とブレード3’’及び4’’との間の開口部により、鉛直方向及び水平方向両方のコリメーションを行うことが可能となる。しかし、この場合2つのアクチュエータ9’及び9’’が必要になり、これが欠点となる。他方、このように鉛直コリメーションには一切の制限が設定されておらず、ブレード3’’及び4’’が許す制限内で所望の幅にすることができる。
【0058】
既に示唆したように、円筒形の実施例11におけるコリメータの機能は、平面形状1におけるコリメータの機能と非常に似ている。ここでも、図9に示すように、円筒13及び14の回転をそれぞれ制限する2つのストローク端93及び94が存在している。そのストローク端は、ピン形状である。他方、パンチプレート2に対応する円筒12は、360°以上回転自由であり、ストローク端を持たない(上から見て時計回りと反時計回りの両方向に、無際限に回転できる)。
【0059】
ブレード4に対応する円筒14と、パンチプレート2に対応する円筒12との間には、摩擦デバイスが存在する。同様に、ブレード3に対応する円筒13と、ブレード4に対応する円筒14との間には、摩擦デバイスが存在する。(不図示の)摩擦デバイスが存在するため、3つの円筒12,13,14、は、そのうちの1つ(13、又は14、又は13及び14)がそれぞれのストローク端(93,94)に当たるまで、同時に移動する。その結果、時計回り及び反時計回りの高精度の回転を所定の角度で続けて行うことで、3つの円筒12,13,14を所望の角度座標に位置付けることができる。これにより、X線束を、(円筒形パンチプレート12の窓部によって)鉛直方向及び(2つの円筒13及び14をそれぞれ開閉することによって)水平方向にコリメーションすることが可能となる。
【0060】
上で説明したように、アクチュエータが作用する第1ブレードの、第2ブレードへの機械的接続は、摩擦デバイスを介して行われる。
【0061】
円筒コリメータでは、摩擦デバイスの接続が、明確に定まった軸線方向スラストを与えることのできる円形のウェーブスプリング(しかしスパイラルスプリングを使用することもできる)を用いて実現される。この軸線方向スラストは、第1ブレード/アクチュエータに接続された摺動材料(我々のケースではプラスチック材料)で作られ、第1ブレードに接続された別の適切な材料(我々のケースではアルミニウム)と連結されたディスクに作用する。これによって、所定の制限トルクまで運動が伝達されるようになっている。制限トルクを超えると、2つの面が離れ、摩擦デバイスが摺動する。摺動材料は、摺動フェーズ中の摩耗を制限する。これは、第2の要素が機械ストローク端に達したときに起こる。
【0062】
平面コリメータでは、同一の装置が、接した2つの平面要素を介して実現される。2つの材料のうちの少なくとも一方が摺動していなければならない。2つの要素は、ある横方向スラストを加えつつ互いに重なった状態で一体に保たれる。この場合、このスラストは、横方向の2つの加圧バネによって得られる。縦方向スラストを2つの要素間に加えることで、それらは最大分離スラストを超えるまで一体であり続ける。このスラストを超えると、2つの要素間の縦方向の摺動が生じる。これは、アクチュエータが第1要素に作用し、第2要素が機械ストローク端に達したときに起こる。
【0063】
本発明に係るコリメータの利点の1つは、歯列弓の縮小領域に照射して、歯列弓全体に対してより制限された領域を取得することができ、患者のX線被曝を下げることにある。例えば、歯科医が手を加える必要のある点が、右上の臼歯の領域であるとする。
【0064】
この場合、常に同一の患者位置決め装置を用いて、常に同じようにして患者を装置の回転軸線に対して対称になるように装置内に位置付けることで、患者は口外法X線撮影装置内に位置決めされる。図10に示すように、本発明に係るコリメータによって、対象の臼歯周辺の狭い領域にのみ照射を行うことができる。
【0065】
歯列弓全体の取得においては、コリメータ11によってコリメーションされたX線束により、全体体積Zの取得が可能となる。
【0066】
別の種類の取得においては、コリメータ1又は11を通じてコリメーションされたX線束により、図10に見られるように弓全体よりも小さく、患者の矢状面に対して非対称に位置する体積zを取得することができる。このことは、それぞれのブレード2,3,4、又は円筒12,13,14を一旦配置すると、X線ソース及びセンサSが回転している間に常に体積zだけを照射するために、ブレード2,3,4、円筒12,13,14の一体アセンブリが回動する間、配置が一体に保たれることによって、可能である。縮小対象領域を取得する処理は、図10に示されている。
【0067】
3つのブレード2,3,4又は円筒12,13,14の一体回転の動きは、患者(z、Z)の周囲のX線ソース及びセンサXの回転動作と同期しなければならないということを言及する必要は殆どない。
【0068】
図11は、本発明に係るコリメータの設定シーケンスの例を示すフローチャートである。
【0069】
ステップ111にて、コリメータの制御システムをもつマンマシンインターフェースを用いて、所望のX線束の設定データを入力する。データは、人間のオペレータが知ることができ、又は取得に基づく典型的な値を示すテーブルによって導出することができ、或いは取得すべき画像を入力した結果、又は取得すべき解剖学的構造領域、つまり1つ又は2つの歯列弓の、1つ以上の領域をスキャンする等の結果、制御システムによって自動的に決定することができる。
【0070】
制御システムは、予め設定された動作を行うことのできるプロセッサ及び/又は電気回路を備えていればいかなるユニットでもよく、ステップ211に示すように、ステップ111にて入力したデータに基づき、X線束の鉛直幅及び水平幅並びに形を算出する。
【0071】
これらの値に基づき、ステップ311にて、ブレード3,4と、もし存在すればパンチプレート2とを移動させるアクチュエータの第1命令信号が、アクチュエータに送られ、アクチュエータは、ブレード4のストローク端の2つの対向位置の何れか1つに向けて搬送台35を移動する。ステップ411にてこの条件に達したと確認されれば、ステップ511に移ることが可能である。もし達していなければ、ブレード4の移動が継続される。
【0072】
ブレード4がストローク端位置に達すると、ブレード3とパンチプレート2とをブレード4と同じ方向に移動する命令が生成される。この場合、モータの作動命令は、ブレード4がそのストローク端位置に達しても有効なままである。
【0073】
この位置では、モータのブレード3とパンチプレート2とに対するスラストが、ブレード3とパンチプレート2とをブレード4に動的に接続する摩擦スラストを超え、ステップ511にてパンチプレート2がストローク端に達するまで移動を続けることができる。
【0074】
その位置に達すると、その後ステップ611にてパンチプレートが停止し、一方ブレード3は更に、所望の束形と同一の値をした所望の鉛直幅を有し、パンチプレート自身の窓部に対応するパンチプレート2の位置に達するまで、パンチプレート2とブレード4とに対して移動することができる。
【0075】
この位置に達し、ステップ811にて確認がなされると、911において、ブレード3,4及びパンチプレート2の全てを、ブレード4が開始位置と反対のストローク端位置に達するまで、ストローク端と反対方向に移動する。先のステップについて説明したことと同様に、ストローク端に達してステップ1011にて確認がなされると、ブレード3が、所望のコリメータの水平幅に対応するブレード4から離間している限り、ブレード3とパンチプレート2とが、1111にて説明したようにブレード4に対して更に移動する。ステップ1211にてこの条件が確認されると、コリメータ窓部が、所望のX線束形に対応する、所望の形と所望の水平及び鉛直幅とに設定される。
【0076】
ステップ1311にて、2つのブレード3,4とパンチプレート2とのアセンブリを移動し、X線束の中心軸線に対してコリメータ窓部の中心を合わせる。2つの中心が一致すると、画像取得を開始することができる。
【0077】
ステップ1411に示すように、パノラマ画像又は断層画像を取得する必要がある場合、X線ソース及び検出器の剛体支持アームが予め設定された回転移動動作を行うことによって、X線ソース及び検出器が患者の周囲を回転する。その後、アームの回転移動動作に対応してブレード3及び4並びにパンチプレート2のアセンブリを回転させつつ、X線衝突を、特定の歯や歯の群といった、取得すべき対象領域に対応する歯列弓の部分領域に制限することが可能である。
【0078】
そのようなビーム開口部の制限を行い、上で説明した装置内で制限された対象領域に照射をするために、平面及び円筒形の実施例のそれぞれのストップ5,5’;6,6’を、第1ブレード3,3’,3’’,13の経路の2つの対向端内に位置付ける。それらストップ5,5’;6,6’は互いに離間して置かれ、第1ブレード3,3’,3’’,13の変位経路よりも短く、その第1ブレードの変位経路全体の一部に対応する第2ブレード4,4’,4’’,14の変位経路を画定する。その経路の一部に沿って変位している間、第1ブレード及び第2ブレードは変位方向の相対位置を変えることなく共に変位する。その変位方向はこの場合、制限すべきターゲットの反対側に位置するソース及びセンサ(S)を備えるX線ユニットの回転移動の共通軸線と垂直な方向である。
【0079】
上記装置の構成に続き、第1及び第2ブレード3,3’,3’’,13;4,4’,4’’,14一式が、撮像すべき物体の反対方向に設けられたソース及びセンサ(S)を備えるX線ユニットの回転軸線に垂直な方向に沿って変位する、X線を絞るための方法を提供する。その第1ブレード3,3’,3’’,13は、X線を通過させるための開口部をそのX線ビームの伝播軸線と相対的に移動させつつ、第1ブレードの変位経路の一部に沿って相対距離を固定したままその第2ブレード4,4’,4’’,14と共に移動する。
【0080】
更なる改良点によれば、その第1及び第2ブレードの共通の変位は、その変位を、スキャンすべき物体の反対側に位置するソース及びセンサ(S)を備えるX線群の回転移動動作と同期させることによって行う。
【0081】
一実施例によれば、本発明は、アームの2つの端部に載置された少なくとも1つのX線ソース及び少なくとも1つのセンサ(s)を備えるX線撮像装置に適用される。アームは、回転軸線の周りを回転し、回転軸線は、自身に垂直な平面内で変位することができる。スキャンすべき物体は、X線ソースとセンサ(s)との間に置かれる。アームの回転と回転軸線の変位とを制御するための制御プログラムを実行するように構成されたプロセッサを備えるユニットが設けられており、この制御ユニットはまた、第2ブレード4と協働するストップ5,6によって画定される経路に沿って変位する間、2つのブレード3,4の共通の変位を、同期した形で制御する。同期ユニットは、一定のターゲット領域に照射するために、ソース及びセンサの軌道を読取り、それに対応して2つのブレードを変位させる。
【0082】
センサによって収集した信号を受信し、画像データをそれらから生成するように構成されたプロセッサを備える更なる処理ユニットが設けられており、その処理ユニットは、その後画像データを、受信した信号に対応する画像を生成及び表示するための画像プロセッサに送信する。
【符号の説明】
【0083】
1,1’〜1’’ 平面ビーム絞り装置
11 円形ビーム絞り装置
2,12 パンチプレート
3,3’,3’’,13 第1ブレード
4,4’,4’’,14 第2ブレード
5,5’ ストローク端
6,6’ ストローク端
7,7’ ストローク端
8,8’ ストローク端
9,19 アクチュエータ
21〜26 窓部
31 V字窓部
32 左先端部
33 右先端部
35 搬送台
70 X線束
93 ストローク端
94 ストローク端
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7O
図7A
図7B
図7C
図7D
図8
図9
図10
図11