特許第6649327号(P6649327)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6649327
(24)【登録日】2020年1月20日
(45)【発行日】2020年2月19日
(54)【発明の名称】給送装置、及び画像形成システム
(51)【国際特許分類】
   B65H 3/00 20060101AFI20200210BHJP
   G03G 21/16 20060101ALI20200210BHJP
【FI】
   B65H3/00 310C
   G03G21/16 104
【請求項の数】15
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-166059(P2017-166059)
(22)【出願日】2017年8月30日
(65)【公開番号】特開2019-43699(P2019-43699A)
(43)【公開日】2019年3月22日
【審査請求日】2019年1月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000208743
【氏名又は名称】キヤノンファインテックニスカ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【弁理士】
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 秀二
(74)【代理人】
【識別番号】100130409
【弁理士】
【氏名又は名称】下山 治
(74)【代理人】
【識別番号】100134175
【弁理士】
【氏名又は名称】永川 行光
(72)【発明者】
【氏名】小澤 政利
【審査官】 大山 広人
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−065197(JP,A)
【文献】 特開2005−298092(JP,A)
【文献】 特開2014−149380(JP,A)
【文献】 特開平05−045944(JP,A)
【文献】 特開2004−198475(JP,A)
【文献】 特開2007−304500(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 1/00− 3/68
G03G 21/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置と連結し、該画像形成装置へとシートを給送することが可能な給送装置であって、
前記画像形成装置と前記給送装置との連結状態を維持させるためのロック手段と、
把持及び操作されることにより前記ロック手段のロックを解除する解除動作を行なう操作部と、
前記操作部と異なる位置に設けられた手掛け部と、
を備え、
前記操作部と前記手掛け部は、前記給送装置を前記画像形成装置から離間させる第1の水平方向において所定の間隔にて配置され、
前記手掛け部は、前記第1の水平方向に直交する第2の水平方向において、前記操作部を前記第1の水平方向に投影した領域と少なくとも一部が重なり合う位置に配置されることを特徴とする給送装置。
【請求項2】
前記操作部と前記手掛け部は、前記第2の水平方向における前記給送装置の中央よりも、前記給送装置を離間させる際に前記操作部と前記手掛け部を操作する操作者が位置する側に配置されることを特徴とする請求項1に記載の給送装置。
【請求項3】
前記操作部と前記手掛け部のうちの一方は、前記第1の水平方向における前記給送装置の中央よりも画像形成装置の側の位置に配置され、もう一方は前記給送装置の中央よりも画像形成装置から離れた位置に配置されることを特徴とする請求項1または2に記載の給送装置。
【請求項4】
前記手掛け部は、前記第1の水平方向において、前記操作部より前記画像形成装置から離れた位置に配置されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の給送装置。
【請求項5】
前記手掛け部は、凹形状を含んで形成されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の給送装置。
【請求項6】
前記手掛け部は、前記第1の水平方向において前記画像形成装置から離れる側に向けて上りの傾斜を有する面を含んで構成されることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の給送装置。
【請求項7】
前記手掛け部は、前記第1の水平方向の画像形成装置の側において、水平面に対して垂直もしくはほぼ垂直となる面を含んで構成されることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の給送装置。
【請求項8】
前記操作部は、前記第1の水平方向において、前記手掛け部より前記画像形成装置から離れた位置に配置されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の給送装置。
【請求項9】
前記操作部と前記手掛け部は、前記給送装置の上面部に形成されることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の給送装置。
【請求項10】
前記手掛け部は、前記給送装置の外形部と一体化して形成されることを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載の給送装置。
【請求項11】
前記手掛け部は、前記給送装置の上面部において凸形状を含んで形成されることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一項に記載の給送装置。
【請求項12】
前記第1の水平方向において、前記手掛け部を複数備えることを特徴とする請求項1乃至11のいずれか一項に記載の給送装置。
【請求項13】
前記手掛け部は、前記第1の水平方向において移動可能に構成されることを特徴とする請求項1乃至12のいずれか一項に記載の給送装置。
【請求項14】
請求項1乃至13のいずれか一項に記載の給送装置と、前記画像形成装置とを含んで構成される画像形成システム。
【請求項15】
前記画像形成装置は、前記画像形成システムから外部へ向けて突出して設けられた突出部を備え、
前記操作部と前記手掛け部は、前記給送装置を前記画像形成装置から離間させる際の操作者の操作が、前記突出部により阻害されない位置に配置されることを特徴とする請求項14に記載の画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給送装置、及び画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機やプリンタ等の画像形成システムでは、画像形成装置にシートを供給する給送装置などのシート搬送装置が用いられている。
【0003】
給送装置は、画像形成装置と並べて配置され、画像形成装置の側部に形成された搬入口と連結された給送装置の搬出口からシートが画像形成装置内に供給されるようになっている。このような装置の移動に関し、例えば特許文献1では、移動時にのみ取り付けて使用するハンドル部材を装置に設け、装置を移動させる際に使用者の操作性を良好にする技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−50845号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の方法では、使用者が大型の装置を移動させる際、操作性を向上させるためには、装置の移動前にハンドル部材の取付けを行わなければならない。そのため、移動前の事前準備に時間がかかり、かつ、ハンドル部材の追加によるコストアップが発生してしまうという課題があった。
【0006】
よって、本発明の目的は、複数の装置間の離間操作において、追加部品なしの構成で操作性を向上させることを実現する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本願発明は以下の構成を有する。すなわち、画像形成装置と連結し、該画像形成装置へとシートを給送することが可能な給送装置であって、前記画像形成装置と前記給送装置との連結状態を維持させるためのロック手段と、把持及び操作されることにより前記ロック手段のロックを解除する解除動作を行なう操作部と、前記操作部と異なる位置に設けられた手掛け部と、を備え、前記操作部と前記手掛け部は、前記給送装置を前記画像形成装置から離間させる第1の水平方向において所定の間隔にて配置され、前記手掛け部は、前記第1の水平方向に直交する第2の水平方向において、前記操作部を前記第1の水平方向に投影した領域と少なくとも一部が重なり合う位置に配置される。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、複数の装置間の離間操作において、追加部品なしの構成で操作性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】画像形成装置及び給送装置の概略構成図。
図2】画像形成装置から給送装置を引き離した状態を示す概略図。
図3】給送装置の給送搬送部の詳細図。
図4】離間ロック解除操作部の詳細図。
図5】離間ロック解除状態の詳細図。
図6】画像形成装置および給送装置の上面から見た概略構成図。
図7】給送装置上面の操作部概略図。
図8】給送装置上面の操作部概略図。
図9】操作部断面図。
図10】画像形成装置から給送装置を引き離した接続部の詳細図。
図11】第2の実施形態に係る画像形成システムの構成例を示す図。
図12】第2の実施形態に係る画像形成システムの構成例を示す図。
図13】第2の実施形態に係る画像形成システムの離間操作時を説明するための図。
図14】第2の実施形態に係る画像形成システムの離間操作時を説明するための図。
図15】第2の実施形態に係る画像形成システムとの比較例を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。本明細書中の以下の説明において、「シートの幅方向」とは、給送装置5から画像形成装置2へのシートの搬送方向に対して交差する方向(本実施形態においては、シートの搬送方向に対して垂直な方向として説明する。)を意味するものとする。
【0011】
<第1の実施形態>
最初に、図1及び図2を参照して、画像形成システム1の全体構成の例を説明する。画像形成システム1は、画像形成装置2と、原稿読取装置3と、原稿給送装置4と、給送装置5と、シート集積装置6とを備えている。画像形成装置2は、100枚程度のシートを収納可能な給送カセット7(図1に示す構成例では、二つの給送カセット7a,7b)を備える。画像形成装置2は、原稿読取装置3によって原稿画像から読み取られた画像データに基づいて、給送カセット7a,7b及び給送装置5の何れか一つから供給されたシート上に画像形成を行い、画像形成されたシートをシート集積装置6に集積、収納する。原稿読取装置3には、原稿給送装置4によって原稿シートを給送することもできる。ここで、画像形成システム1において扱われるシートには、普通紙の他、OHPシート、トレーシングペーパ、コート紙などを含むものとする。また、シートのサイズについても特に限定するものではなく、複数種類のサイズに対応していてよい。
【0012】
画像形成装置2は、例えば、複写機、プリンタ、ファクシミリ等であり、移動できないように床面上に設置されていることが好ましい。画像形成装置2は、シートに画像を形成することができればよく、様々な画像形成機構を採用することができる。例えば、本実施形態では、画像形成機構として、静電式画像形成機構が採用されている例を示す。しかしながら、画像形成装置2の画像形成機構は、静電式画像形成機構に限定されるものではなく、インクジェット式画像形成機構、オフセット式画像形成機構などを採用することも可能である。
【0013】
画像形成装置2は、帯電器12と、投光器(レーザヘッドなど)8と、感光ドラム9と、現像器10と、転写チャージャ11と、定着ローラ13aとを備えている。帯電器12で帯電された感光ドラム9の表面に投光器8で静電潜像(静止画像)が形成され、現像器10によって静電潜像にトナーが付着させられる。更に、感光ドラム9上に付着されたトナーが給送カセット7a,7b又は給送装置5から供給されたシートに転写チャージャ11によって転写される。トナーが転写されたシートは、下流側に配置される定着ローラ13aに送られて、シート上のトナーを加熱定着させられた後、排紙ローラ対13bによってシート集積装置6へ排出される。
【0014】
給送カセット7a,7bには、収納されているシートの最上面に接触してシートを送り出す送出ローラ14と、送り出されたシートを一枚ずつに分離して給送する分離ローラ対15とが設けられている。シートは、給送カセット7a,7bから送出ローラ14によって送り出されて分離ローラ対15によって一枚ずつに分離される。更に、分離されたシートは、駆動ローラ16aと従動ローラ16bとによって構成される搬送ローラ対16によって、給送装置5に面する側部に沿って延びるカセット搬送路17を通って搬送される。そして、シートは、給送装置5の搬出口18に連通する搬入路19に合流した後、搬送路20に沿って転写チャージャ11へと送られる。
【0015】
原稿読取装置3の上部には、透明なガラスで形成された第1のプラテン30と第2のプラテン31とが水平方向に並設されている。第1のプラテン30は、手置きでセットされる原稿の読み取りに用いられ、対応可能な最大サイズの原稿が載置できるようなサイズに形成されている。また、第2のプラテン31は、原稿給送装置4から給送され所定速度で移動する原稿の読み取りに用いられる。
【0016】
原稿読取装置3の内部には、第1の読取キャリッジ32及び第2の読取キャリッジ33と、集光レンズ34及び光電変換素子35を有する光電変換手段が設けられている。第1の読取キャリッジ32及び第2の読取キャリッジ33は、キャリッジモータ(不図示)によって駆動されて、第1のプラテン30の下方において副走査方向に往復移動する。第1の読取キャリッジ32には、光を原稿へ向けて照射するランプと、原稿から反射された光を反射するミラーとが設けられている。また、第2の読取キャリッジ33には、第1の読取キャリッジ32のミラーからの光を集光レンズ34及び光電変換素子35に案内する二つのミラーが設けられている。第1のプラテン30上の原稿の読み取りを行う際には、第1の読取キャリッジ32及び第2の読取キャリッジ33を移動させながら、第1の読取キャリッジ32から第1のプラテン30上に載置された原稿の画像へ光を照射させる。そして、原稿からの反射光を第1の読取キャリッジ32及び第2の読取キャリッジ33を介して光電変換素子35に案内する。そして、光電変換素子35は、受け付けた光を電気信号に変換することによって、原稿から画像データを生成させる。このようにして生成された画像データは画像形成装置2の投光器8に画像信号として送信される。
【0017】
原稿給送装置4は、給送トレイ36と、シート搬送機構37と、排出トレイ38とを備え、給送トレイ36上に載置された原稿をシート搬送機構37によって一枚ずつ搬送して、第2のプラテン31上を通過させ、排出トレイ38に排出する。なお、原稿給送装置4から給送されて第2のプラテン31上を通過する原稿を読み取るときには、第1の読取キャリッジ32及び第2の読取キャリッジ33を第2のプラテン31の下方で予め停止させておく。そして、原稿読取装置3は、第2のプラテン31上を通過する原稿から画像データを生成させる。
【0018】
給送装置5は、筐体(給送装置本体)50と、収納庫51と、分離給送機構52とを備える。収納庫51は、筐体50内に引き出し機構(不図示)によって引き出し可能に支持された、シートを載置する載置部として機能する。分離給送機構52は、収納庫51内のシートを一枚ずつに分離して画像形成装置2へ向けて供給する。収納庫51内には、上下方向に昇降可能な、昇降部としての積載トレイ53が設けられている。積載トレイ53は、板状のプレートであり、積載トレイ53上にシートを積載できるようになっている。また、収納庫51の上部には、積載トレイ53上に積載されたシートの最上面の位置を検出するシート上面検知センサ(不図示)が設けられており、昇降機構54によって、シートの量に応じて積載トレイ53を移動させるようになっている。
【0019】
図3は、給送装置5における分離給送機構52の詳細構成を示す。分離給送機構52は、積載トレイ53上に積載されたシートの最上面に接触してシートを送り出す送出ローラ55と、シートを一枚ずつに分離して給送する分離手段と、分離手段によって一枚に分離されたシートを画像形成装置2へ搬送する搬送ローラ対58とを含む。分離手段は、給送ローラ56と、給送ローラ56に圧接して2枚目以降のシートの供給を阻止する分離ローラ57とによって構成される。
【0020】
給送ローラ56は、図示されていない複数のギアやタイミングベルトを介して、給送モータ(不図示)によって駆動されるようになっており、給送モータ(不図示)の駆動により回転してシートを供給する。送出ローラ55は、図3に示すように、給送ローラ56のシャフト周りに回動自在に支持されたブラケット59に回転可能に支持されている。給送モータ(不図示)による給送ローラ56のシャフトの回転が複数のギアを介して送出ローラ55に伝達されて、回転駆動される。
【0021】
分離ローラ57は、その回転軸にトルクリミッタ(不図示)が取り付けられている。これにより、給送ローラ56と分離ローラ57との圧接部でシートが二枚以上重なってニップされた際に分離ローラ57が停止して上から二枚目以降のシートの供給を阻止するようになっている。すなわち、複数のシートが重なって給送ローラ56と分離ローラ57とのニップ部に進入すると、給送ローラ56の駆動力が最上位のシートに伝達される。その一方、分離ローラ57の回転が停止され、最上位のシートと上から二枚目以降のシートとの間で滑りが生じて、最上位のシートと上から二枚目以降のシートとが分離される。もちろん、分離ローラ57に代えて分離パッドなど他の部材を用いてもよい。
【0022】
搬送ローラ対58は、搬送モータ(不図示)によって駆動される駆動ローラ58aと、駆動ローラ58aに従動して回転する従動ローラ58bによって構成されている。搬送モータ(不図示)によって駆動ローラ58aが回転し、シートが給送装置5の搬出口18から排出され、このシートが画像形成装置2に供給される。
【0023】
分離給送機構52は、シートを案内する搬出路を形成するために、対向して設けられる上ガイド60及び下ガイド61をさらに含んでいる。
【0024】
給送装置5に面する画像形成装置2の側部には、開閉回動軸21周りに画像形成装置2の内部を開放する開放位置と画像形成装置2の内部を覆う閉鎖位置との間で回動可能な開閉カバー22が設けられている。従動ローラ16bを含むカセット搬送路17の一部は、開閉カバー22と一体的に移動するように形成されている。
【0025】
このように構成された給送装置5は、動かないように床面上に設置された画像形成装置2に対して引き離し可能に設けられている。画像形成装置2から給送装置5を引き離して、画像形成装置2の開閉カバー22を開いてカセット搬送路17を開放したり、給送装置5の下ガイド61を上ガイド60から離れさせる方向に回動させて搬出口18を開放したりできるよう構成されている。この構成により、紙詰まりなどへの対処を容易にさせている。
【0026】
画像形成装置2から給送装置5が引き離されると、ガイドブロック63、下ガイド61、搬送ローラ対58の従動ローラ58b及び誘導コロ64からなる組立体が自重でブロック回動軸62周りに下方に回動する。これにより、下ガイド61及び従動ローラ58bが上ガイド60及び駆動ローラ58aから離れて搬出口18が大きく開放される。したがって、分離給送機構52の搬送路内に詰まったシートの除去が容易となる。
【0027】
このようにして画像形成装置2から給送装置5が引き離された状態にされると、図10に示すように、画像形成装置2の側部に設けられた開閉カバー22を開放位置へ回動させてカセット搬送路17を開放することができる。このように開閉カバー22を開いてカセット搬送路17を開放することにより、カセット搬送路17内に詰まったシートの除去が容易となる。
【0028】
本実施形態では、給送装置5が案内レール65上に設置されており、給送装置5が案内レール65に沿って案内されながら画像形成装置2に対して離間及び接近させることができるようになっている。図1が画像形成装置2と給送装置5が連結された状態に対し、図2は、画像形成装置2と給送装置5とが離間した状態を示している。
【0029】
本実施形態に係る画像形成システム1は、図4および図5に示す連結保持機構(ロック手段)67を備える。連結保持機構67は画像形成装置2と給送装置5の連結状態を維持する。また、連結保持機構67を操作することにより、画像形成装置2から給送装置5を離間方向に引き離すことが可能である。
【0030】
連結保持機構67は、給送装置5のシート給送方向と直交するシート幅方向の一端部(詳細には操作者側の端部)の上部に設けられる。
【0031】
図4および図5を参照すると、連結保持機構67は、操作部材74と、ロック爪76と、付勢部材77とによって構成されている。操作部材74は、給送装置5の上部に形成された案内部73に沿って摺動可能である。ロック爪76は、ロックピン75に係合する係合位置とロックピン75との係合を解除される解除位置との間で回動可能に回転軸76bによって支持されている。付勢部材77は、係合位置へ向かう方向に回動させるようにロック爪76を付勢する。ロックピン75は、給送装置5に面する画像形成装置2の側部から突出して設けられており、画像形成装置2と給送装置5とを連結させた際に、給送装置5内に挿入された形態でロック爪76と係合する。
【0032】
操作部材74は、給送装置5の上部カバー78に形成された開口部から露出する操作部74aと、先端部に形成された係合部74bを含んでいる。そして、操作者が手動で操作部74aを操作(把持)することで案内部73に沿って操作部材74を摺動させることができるようになっている。
【0033】
ロックピン75とロック爪76の解除動作について説明する。係合部74bは、ロック爪76に形成された作動レバー部76aに係合している。操作部材74を摺動させると、図5に示されているように、係合部74bによって作動レバー部76aが回転軸76cを中心に図中時計回りに押されて、ロック爪76が付勢部材77に抗して解除位置へ向かって回動させられる。これにより、ロックピン75とロック爪76との係合が解除される。なお、回転軸76cは、シートの搬送方向と鉛直方向とに広がる所定の面に交差する方向に延びている。
【0034】
次に、ロックピン75とロック爪76の連結動作について説明する。給送装置5を画像形成装置2に連結する方向に移動させることによってロック爪76の先端部76bがロックピン75に当接して、付勢部材77の力に抗してロック爪76が図中時計回り方向に回動する。これにより、ロック爪76の先端部76bがロックピン75を乗り越え、ロック爪76の凹部がロックピン75に嵌合してロック爪76とロックピン75とが係合する。
【0035】
なお、ロックピン75、ロック爪76、付勢部材77の組は、給送装置5のシート幅方向の両端部に設けられていることが好ましい。この場合、回転軸76cをシート幅方向に延設し、フロント側とリヤ側の両端部のロック爪76を回転軸76cによって連結することで、フロント側の操作部材74の操作により、シート幅方向の両側のロックピン75とロック爪76との係合が解除されるようになる。
【0036】
このような連結保持機構67を設けることにより、画像形成装置2から給送装置5を引き離す方向の力に抗して、画像形成装置2と給送装置5とを連結した状態に保つことができる。
【0037】
次に、本実施形態に係る画像形成システム1における画像形成装置2と給送装置5との引き離し操作について説明する。
【0038】
画像形成システム1の画像形成装置2と給送装置5とが連結されている状態(図1)では、給送装置5に設けられた連結保持機構67のロック爪76が係合位置で画像形成装置2の側部から突出して給送装置5内に挿入されているロックピン75に係合している。そのため、押圧装置66の押圧部材70による画像形成装置2と給送装置5とを引き離そうとする力に抗して画像形成装置2と給送装置5とが連結状態を維持する(図4)。
【0039】
画像形成装置2と給送装置5とが連結された状態のときに、給送装置5の上部カバー78に形成された開口部から露出する操作部材74の操作部74aにより、案内部73に沿って操作部材74を摺動させる。このとき、操作部材74の係合部74bとロック爪76の作動レバー部76aとの係合により、ロック爪76が解除位置へ向かって回動して、ロックピン75とロック爪76との係合が解除される。これにより、画像形成装置2に対する給送装置5の連結が解除され、給送装置5は画像形成装置2に対して離間方向に移動できるようになる。
【0040】
上述したように連結保持機構67による画像形成装置2と給送装置5との連結保持を解除すると、移動可能となった給送装置5が、案内レール65に沿って、固定された画像形成装置2から引き離される方向に移動させることができるようになる。
【0041】
しかし、使用者が操作部材74のみを操作した場合、給送装置5を画像形成装置2に対して離間方向に引き離し移動させるには、その重量や装置サイズの観点から使用者の操作性を損なうこととなり、ユーザビリティの観点から好ましくない。
【0042】
そこで、本実施形態に関する構成について、図6図8を用いて説明する。図6図8は、本実施形態に係る画像形成システム1を上部から見た場合の概略図である。本実施形態では、第1の把手部である操作部材74に加え、第2の把手部として、給送装置5の上部カバー78に、手掛け部80を設ける。そして、給送装置5を画像形成装置2から離間させる際に、操作部材74に加え手掛け部80を操作することで使用者の操作性を損なわず操作できるように構成する。
【0043】
本実施形態に係る、手掛け部80の給送装置5における配置構成について説明する。以下の説明において、給送装置5を画像形成装置2から離間させる際に移動する方向を移動先側、給送装置5を画像形成装置2に装着する際に移動する方向を移動元側として説明する。手掛け部80は、給送装置5の上部カバー78(上面部)に一体化して形成される。操作部材74とともに、使用者が操作時に操作する側、少なくとも給送装置5の離間移動可能な方向に対して垂直な方向の、前後中央線81よりも正面側に配置される。更に、手掛け部80は、少なくとも給送装置5の離間移動可能な方向に対して、左右中央線82よりも移動先側に配置されている。このような配置にした場合に、給送装置5のサイズによっては1人の使用者(例えば、一般的な体型の大人)の両腕を伸ばしても届かないような寸法になる場合がある。そのような場合は、1人よりも多い人数で給送装置5を移動させることが考えられ、多人数で給送装置5を移動させる場合でも、上述したような配置とすることで操作性が向上する効果を得ることができる。
【0044】
また、図8に示すように、手掛け部80は、図8中の二点鎖線にて示される操作部配置領域83の少なくとも一部と重複する位置に配置される。操作部配置領域83は、操作者側から見て前後方向は操作部材74の長さと同じであり、また、操作者側から見て左右方向は給送装置5の中央から移動先方向全てが該当する。言い換えれば、手掛け部80は、操作者側から見て前後方向において、操作部材74を左右方向に投影した領域の少なくとも一部に重なる位置、かつ、操作者側から見て前後方向において中央より正面側、かつ、操作者側から見て左右方向において中央より移動先側に配置される。なお、図8の例の場合、操作部材74と手掛け部80とは、上から見た場合には同じ縦横のサイズを有する例を示しているが、これに限定するものではない。また、手掛け部80の位置は、操作部配置領域83の少なくとも一部を含むように配置されればよく、図8中の前後方向もしくは左右方向に移動させてよい。例えば、図8に点線にて示す位置80aや位置80bに手掛け部80を配置してよい。
【0045】
また、操作部材74と手掛け部80との配置の間隔は、例えば、給送装置5のサイズ(高さや幅、奥行き)や、操作者が給送装置5を離間させる際に操作部材74と手掛け部80との両方を同時に操作する際の立ち位置等に基づいて規定されているものとする。
【0046】
図9は、手掛け部80の断面形状の例を示す図である。手掛け部80は、給送装置5の外形部に一体となって同一の材質にて形成されている。手掛け部80の正面方向より見た断面形状は、傾斜部84と立ち面部85を持つ形状となっている。傾斜部84は、下方から上方に向けて、移動元側から移動先側に向けた傾斜を持つ。また、立ち面部85はおおよそ垂直の面である。操作者は、給送装置5を画像形成装置2から離間させる際に、傾斜部84に手を当てて力を加えることができる。傾斜部84の傾斜角度に関しては、操作部材74と手掛け部80の配置間隔や、給送装置5の高さなどを考慮して規定してよい。また、本実施形態において、手掛け部80の深さは、給送装置5内の機構に影響しない範囲で形成されている。例えば、手掛け部80は、上部カバー78の厚みの範囲で形成されていてもよい。
【0047】
以上に示した手掛け部80を設置することにより、操作部材74のみで操作することに比べ、操作部材74及び手掛け部80を操作することで、画像形成装置2から給送装置5を引き離し操作をする際の、使用者の操作性が向上する。
【0048】
また、本発明により、追加部材を要することなく、低コスト、および、省スペースで操作性を向上させることができる。
【0049】
<第2の実施形態>
本願発明の画像形成システムに係る第2の実施形態について説明する。図11図12は、第1の実施形態にて述べた画像形成システム1の構成において、更にUI(ユーザインターフェース)110としての操作パネル(突出部)が設置されている構成を示した図である。
【0050】
UI110は、おおよその配置位置として、一般的な体型のユーザが画像形成システム1の正面に正対した際に、画面上において操作もしくは閲覧がしやすい位置において、外部に向けて突出して設置される。
【0051】
更に、図13図14は、図11図12の構成の画像形成システム1において、給送装置5を画像形成装置2から離間させる際の操作状態を示す図である。ここでは、ユーザは、やや前かがみとなり、給送装置5の略中央に立っているものとして説明する。
【0052】
図13図14に示すように、ユーザが給送装置5を離間させる際に、UI110がユーザの操作を阻害しないように、第1の把手部(操作部材74)の位置が決定される。更に、第1の把手部(操作部材74)の位置とユーザの操作時の位置(体勢)との位置関係を考慮し、第2の把手部(手掛け部80)の位置が決定される。この時の第1の把手部(操作部材74)と第2の把手部(手掛け部80)との関係は、図7図8にて説明した構成を考慮して規定される。
【0053】
図15は、本実施形態に係る第1の把手部と第2の把手部との構成と比較するための配置例を示す図である。図15に示す配置では、第2の把手部(手掛け部80)が、操作者側から見て前後方向において、中央より後部側、かつ、操作者側から見て左右方向において中央より移動先側に配置されている。この場合、ユーザによる給送装置5を離間させる際の力が、本実施形態に係る配置と比べて、離間方向に適切に伝わらず、操作性を低下させることとなる。更に、画像形成システム1が備える突出部(UI110等)の配置より、本実施形態に係る配置と比べて、給送装置5を離間させる際の操作が阻害され、操作性を低下させてしまう。
【0054】
なお、本実施形態では、画像形成システム1において、ユーザ側(外部)に対して突出して設けられた部材としてUI110を例に挙げて説明した。しかし、これに限定するものではなく、他の部材(ボタンやレバー等)などの配置との関係を考慮して、各把手部の位置を決定するようにしてもよい。
【0055】
本実施形態により、画像形成装置2から給送装置5側へUI等の部材が突出している場合を考慮し、手掛け部80の配置を操作部配置領域83に設置する。これにより、使用者はごく自然な操作姿勢となり画像形成装置2や突出した構成物が使用者の身体に衝突することなく操作性を良好に保つことができる。
【0056】
<その他の実施形態>
以上、図示されている実施形態を参照して、本発明による操作部把手、及び、これを用いる画像形成システム1を説明したが、本発明は図示されている実施形態に限定されるものではない。例えば、上記の実施形態では、画像形成装置2と給送装置5が接続されていて、それをロック解除する際の操作部材74(第1の把手部)は給送装置5の天面、かつ、画像形成装置2側に設置されている。しかし、第1の把手部は給送装置5の移動先方向側に設けられ、第1の把手部と第2の把手部との位置関係が逆になるように構成されていてもよい。
【0057】
また、上記の実施形態では、手掛け部80は、上部カバー78と一体化した同一の材質にて形成されている。しかし、これに限定するものではなく、例えば、操作性を向上させるために、手掛け部80は、別材質からなる構造であってもよい。また、上記の実施形態にて示した手掛け部80は、図6にて示したように上から見た場合に長方形の形状の例を示したが、これに限定するものでは無い。例えば、手の形状に対応させて曲線を含む形状として手掛け部80を形成してもよい。また、上記の実施形態では、図9に示したように、手掛け部80は水平面に対して垂直(もしくはほぼ垂直)の立ち面部85を備えた形状の例を示したが、これに限定するものではない。例えば、操作部材74と手掛け部80との間隔や給送装置5のサイズ等を考慮し、立ち面部85の代わりに傾斜面を含む構成としてもよい。
【0058】
また、上記の実施形態では、第2の把手部(手掛け部80)は凹形状を設けて操作部としているが、凸形状を設けて操作部として給送装置5を離間方向へ操作する把手部としてもよい。さらに、給送装置5の移動先方向の先端近傍に配置し、給送装置5の移動先方向の先端部側面と合わせて握り、ハンドル様の形態をとり更なる操作性の向上をすることも可能である。
【0059】
また、第2の把手部は、操作時に新たな部材の取り付け等を要しない範囲で、その配置位置を操作者が変更(調整)できるように構成されていてもよい。また、上記の実施形態では、給送装置5を離間させる際に用いる把手部は2つの例を示したが、配置間隔が異なる更に多くの把手部を設けた構成であってもよい。例えば、給送装置5は、その内部に積載された用紙の残量に応じて重さが異なってくるため、離間させる際に必要となる力は異なってくる。そこで、力を入れる位置を操作者が変更できることで、より離間させる際の操作性を向上することができる。
【0060】
また、上記の実施形態では、画像形成装置2と給送装置5を備える画像形成システム1に第2の把手部を採用した例を示した。しかし、本発明の第2の把手部は、画像形成システム以外の連結、離間可能な二つ以上の装置やユニットを有するもの、および、離間方向や操作者の位置も多様な方向のものに適用できることは勿論である。
【符号の説明】
【0061】
1…画像形成システム、2…画像形成装置、5…給送装置、74…操作部材、80…手掛け部、83…操作部配置領域、
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