【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るシングルチップ型差動自由層プッシュプル磁界センサブリッジは、
X−Y平面上の基板と、
スタガード状に配列される、X軸およびY軸に平行な側面を有する複数の軟磁性フラックスコンセントレータを有するスタガード型軟磁性フラックスコンセントレータアレイと、前記軟磁性フラックスコンセントレータの4つの隅を左上の位置から時計回りに順番にA、B、CおよびDと称する、
前記軟磁性フラックスコンセントレータの複数の間隙それぞれに配置される複数の磁気抵抗センシングユニットを有する、前記基板上の磁気抵抗センシングユニットアレイとを具備し、
前記磁気抵抗センシングユニットのうち、前記軟磁性フラックスコンセントレータの隅Aおよび隅Cに近傍の磁気抵抗センシングユニットは、プッシュ型磁気抵抗センシングユニットであり、
前記磁気抵抗センシングユニットのうち、前記軟磁性フラックスコンセントレータの隅Bおよび隅Dに近傍の磁気抵抗センシングユニットは、プル型磁気抵抗センシングユニットであり、
前記全てのプッシュ型磁気抵抗センシングユニットは、1以上のプッシュアームに電気的に相互接続され、
前記全てのプル型磁気抵抗センシングユニットは、1以上のプルアームに電気的に相互接続され、
前記全てのプッシュアームと前記全てのプルアームは電気的に相互接続され、プッシュプルセンサブリッジを構成する。
【0008】
好ましくは、前記磁気抵抗センシングユニットは、GMRスピンバルブまたはTMRセンシングユニットであり、
外部磁界が存在しない場合、前記全ての磁気抵抗センシングユニットのピンニング層の磁化方向はY軸方向に平行であり、前記全ての磁気抵抗センシングユニットの自由層の磁化方向はX軸方向に平行である。
【0009】
好ましくは、前記スタガード型軟磁性フラックスコンセントレータアレイは、第1の軟磁性フラックスコンセントレータと第2の軟磁性フラックスコンセントレータとを有し、
前記第1の軟磁性フラックスコンセントレータおよび前記第2の軟磁性フラックスコンセントレータは、Y軸方向に平行な列とX軸方向に平行な行とに配列され、
前記軟磁性フラックスコンセントレータのY軸方向の長さをLy、X軸方向の長さをLxと表記し、前記第1、第2の軟磁性フラックスコンセントレータの前記Y軸方向に関する間隙はygapと表記し、前記第2の軟磁性フラックスコンセントレータの列が前記第1の軟磁性フラックスコンセントレータの列に対して前記Y軸方向に沿って(Ly+ygap)/2の距離だけずれている。
【0010】
好ましくは、前記磁気抵抗センシングユニットアレイの行方向は前記X軸方向に平行であり、前記磁気抵抗センシングユニットアレイの列方向は前記Y軸方向に平行であり、前記磁気抵抗センシングユニットアレイの列は前記第1の軟磁性フラックスコンセントレータの列と前記第2の軟磁性フラックスコンセントレータの列の間隙の中心に配置され、
前記プッシュ型磁気抵抗センシングユニットは前記第1、第2の軟磁性フラックスコンセントレータの隅の位置A、Cに対応し、前記第2の軟磁性フラックスコンセントレータは前記第1の軟磁性フラックスコンセントレータに対して正のY軸方向にずれており、前記プル型磁気抵抗センシングユニットは前記第1、第2の軟磁性フラックスコンセントレータの隅の位置B、Dに同時に対応し、前記第2の軟磁性フラックスコンセントレータは、前記第1の軟磁性フラックスコンセントレータに対して負のY軸方向にずれている。
【0011】
好ましくは、前記磁気センシングユニットアレイの各列および各行はそれぞれ前記プッシュ型磁気抵抗センシングユニットと前記プル型磁気抵抗センシングユニットの交互配列により形成される。
【0012】
好ましくは、前記磁気抵抗センシングユニットアレイの各列は、前記プッシュ型磁気抵抗センシングユニットと前記プル型磁気抵抗センシングユニットとの交互配列を有し、
前記磁気抵抗センシングユニットアレイは、前記プッシュ型磁気抵抗センシングユニットの行と前記プル型磁気抵抗センシングユニットの行との交互配列を有し、
前記プッシュ型磁気抵抗センシングユニットの行は、前記プッシュ型磁気抵抗センシングユニットにより形成され、
前記プル型磁気抵抗センシングユニットの行は、前記プル型磁気抵抗センシングユニットにより形成される。
【0013】
好ましくは、前記磁気抵抗センシングユニットアレイの各行は、前記プッシュ型磁気抵抗センシングユニットと前記プル型磁気抵抗センシングユニットとの交互配列を有し、
前記磁気抵抗センシングユニットアレイの列は、前記プッシュ型磁気抵抗センシングユニットの列と前記プル型磁気抵抗センシングユニットの列との交互配列を有し、
前記プッシュ型磁気抵抗センシングユニットの列は、前記プッシュ型磁気抵抗センシングユニットにより形成され、
前記プル型磁気抵抗センシングユニットの列は、前記プル型磁気抵抗センシングユニットにより形成される。
【0014】
好ましくは、プッシュプル磁界センサブリッジのバイアス電圧、接地および信号出力端は、前記基板の上部のボンディングパッドに電気的に相互接続され、又はTSVにより前記基板の底部のボンディングパッドに接続される。
【0015】
好ましくは、外部磁界が存在しない場合、前記磁気抵抗センシングユニットは、永久磁石バイアス、二重交換相互作用および形状異方性のうちの少なくとも1つにより、前記磁気抵抗センシングユニットの磁気自由層の磁化方向を、前記磁気抵抗センシングユニットの磁気ピンニング層の磁化方向に対して垂直にさせる。
【0016】
好ましくは、前記プッシュアーム上の磁気抵抗センシングユニットの数と、前記プルアーム上の磁気抵抗センシングユニットの数は同一である。
【0017】
好ましくは、前記プッシュアーム上の磁気抵抗センシングユニットおよび前記プルアーム上の磁気抵抗センシングユニットの自由層の、それぞれのピンニング層の磁化方向に対する回転角度は、振幅が同じであり、方向が反対である。
【0018】
好ましくは、前記プッシュプル磁界センサブリッジは、ハーフブリッジ、フルブリッジまたは擬似ブリッジである。
【0019】
好ましくは、前記基板は、ガラスまたはシリコンウエハからなり、前記基板は、ASICチップを有し、又は前記基板は別のASICチップに接続される。
【0020】
好ましくは、前記軟磁性フラックスコンセントレータは、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)およびコバルト(Co)の元素のうちの1以上を有する合金軟磁性材料である。
【0021】
好ましくは、テストコイルをさらに備え、前記テストコイルは、前記磁気抵抗センシングユニットの直上または直下にそれぞれ配置され、前記テストコイルの電流の方向は前記Y軸方向に平行であり、検査中は前記プッシュ型磁気抵抗センシングユニットおよび前記プル型磁気抵抗センシングユニットにそれぞれ対応する前記テストコイルを流れる電流は、方向が反対であり、絶対値は同じである。
【0022】
好ましくは、リセットコイルをさらに備え、前記リセットコイルは、前記磁気抵抗センサの直上または直下に配置され、前記リセットコイルの電流の方向は前記X軸方向に平行であり、前記プッシュ型磁気抵抗センシングユニットおよび前記プル型磁気抵抗センシングユニットにそれぞれ対応する前記リセットコイルを流れる電流は絶対値が同じであり、方向も同じである。
【0023】
本発明に係るシングルチップ型差動自由層プッシュプル磁界センサブリッジの製造方法において、前記方法は、
1) ウエハ表面に磁気抵抗センシングユニットの薄膜材料の積層を堆積し、前記薄膜材料のピンニング層の磁化方向を設定するステップと、
2) 底部電極を確立し、第1の関連過程の利用により前記磁気抵抗センシングユニットの薄膜材料に前記磁気抵抗センシングユニットをパターニングするステップと、
3) 前記磁気抵抗センシングユニットの上方に第2の絶縁層を堆積し、第2の関連過程を利用することにより、前記磁気抵抗センシングユニットを電気的に相互接続するためのスルーホールを構成するステップと、
4) 前記スルーホールの上方に上部メタル層を堆積し、前記第1の関連過程により上部電極を形成し、前記磁気抵抗センシングユニット間をワイヤ配線するステップと、
5) 前記上部メタル層の上方に第3の絶縁層を堆積するステップと、
6) 前記第3の絶縁層の上方に軟磁性フラックスコンセントレータをパターニングするステップと、
7) 前記軟磁性フラックスコンセントレータの上方に保護層を堆積し、前記底部電極および前記上部電極に対応する位置の上方の保護層をエッチングし、前記スルーホールを形成し、前記基板の上部に外部接続用のボンディングパッドを形成するステップとを有する。
【0024】
好ましくは、前記ステップ1)の前に、前記ウエハの表面にリセットコイルコンダクタをパターニングし、前記リセットコイルコンダクタの表面に第1の絶縁層を堆積するステップをさらに有し、
前記ステップ1)は、前記第1の絶縁層の表面に前記磁気抵抗センシングユニットの薄膜材料の積層を堆積し、前記磁気抵抗センシングユニットの薄膜材料のピンニング層の磁化方向を設定するステップである。
【0025】
好ましくは、前記ステップ5)の前に、前記第3の絶縁層の上方にテストコイルコンダクタをパターニングするステップをさらに有し、
前記ステップ7)は、前記軟磁性フラックスコンセントレータの上方に前記保護層を堆積し、その後、前記底部電極および前記上部電極とともにリセットコイル電極およびテストコイル電極に対応する位置の上の前記保護層をエッチングし、前記スルーホールを形成し、前記外部接続用のボンディングパッドを構成するステップである。
【0026】
本発明に係るシングルチップ型差動自由層プッシュプル磁界センサブリッジの製造方法において、前記方法は、
1) DRIE過程により基板にディープTSVホールを形成するステップと、
2) 前記ディープホールにTSV Cuピラーを電気めっきするステップと、
3) 前記基板の表面より高い、前記電気めっきされたTSV Cuピラーを平坦化するステップと、
4) 電極の位置がエッチングされた窓の前記TSV Cuピラーに接続されるように、前記基板に磁気抵抗薄膜材料の積層を堆積し、前記磁気抵抗薄膜材料のピンニング層の磁化方向を設定するステップと、
5) 底部電極を確立し、第1の関連過程の利用により前記磁気抵抗薄膜材料に磁気抵抗センシングユニットのパターンを確立するステップと、
6) 前記磁気抵抗センシングユニットの上方に第2の絶縁層を堆積し、第2の関連過程により前記磁気抵抗センシングユニットを電気的に相互接続するためのスルーホールを形成するステップと、
7) 前記スルーホールの上方に上部メタル層を堆積し、前記第1の関連過程により上部電極を形成し、前記磁気抵抗センシングユニット間を配線するステップと、
8) 前記上部メタル層の上方に第3の絶縁層を堆積するステップと、
9) 前記第3の絶縁層の上方に軟磁性フラックスコンセントレータを形成するステップと、
10) 前記軟磁性フラックスコンセントレータの上方に保護層を堆積するステップと、
11) 前記基板の背部を薄くし、前記TSV Cuピラーを露出させるステップと、
12) 前記基板の底部にTSVボンディングパッドを形成し、前記TSV Cuピラーに前記TSVボンディングパッドを接続するステップとを有する。
【0027】
好ましくは、前記ステップ3)と前記ステップ4)の間に、前記基板に前記リセットコイルコンダクタをパターニングして前記リセットコイルコンダクタの電極の出力端と入力端とを前記TSV Cuピラーに接続し、前記リセットコイルコンダクタの表面に第1の絶縁層を堆積するステップをさらに有し、
前記ステップ4)は、
前記第1の絶縁層の窓をエッチングし、前記エッチングされた窓の前記TSV Cuピラーに電極の位置が接続されるように前記第1の絶縁層の表面における基板に前記磁気抵抗薄膜材料の積層を堆積し、前記磁気抵抗薄膜材料のピンニング層の磁化方向を設定するステップである。
【0028】
好ましくは、前記ステップ8)は、前記上部メタル層の上に前記第3の絶縁層を堆積し、前記第3の絶縁層の窓を開け、前記テストコイルコンダクタの入力電極および出力電極が前記TSV Cuピラーに接続されるように前記第3の絶縁層の上にテストコイルコンダクタを形成し、パターニングするステップである。
【0029】
好ましくは、前記絶縁層は、酸化アルミニウム、窒化ケイ素、酸化ケイ素、ポリイミドまたはフォトレジストである。
【0030】
好ましくは、前記保護層は、ダイアモンドライクカーボン、窒化ケイ素、酸化アルミニウムまたは金からなる。
【0031】
好ましくは、前記磁気抵抗薄膜材料のピンニング層の磁化方向は、磁界において高温焼鈍により設定される。
【0032】
好ましくは、前記第1の関連過程は、フォトエッチング、イオンエッチング、反応性イオンエッチング、ウェットエッチング、ストリッピングまたはハードマスキングを有する。
【0033】
好ましくは、前記第2の関連過程は、フォトエッチング、イオンエッチング、反応性イオンエッチングまたはウェットエッチングを有する。
【0034】
好ましくは、前記スルーホールは、自己整合されたコンタクトホールであり、前記自己整合されたコンタクトホールは、前記磁気抵抗薄膜材料のストリッピングにより形成され、イオンエッチング過程を利用することにより、または、ハードマスキングおよび化学的機械研磨過程を利用することにより、形成される。