特許第6649384号(P6649384)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6649384
(24)【登録日】2020年1月20日
(45)【発行日】2020年2月19日
(54)【発明の名称】熱間成形された構造部材のための道具
(51)【国際特許分類】
   B21D 37/16 20060101AFI20200210BHJP
   B21D 24/00 20060101ALI20200210BHJP
【FI】
   B21D37/16
   B21D24/00 M
【請求項の数】14
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-533028(P2017-533028)
(86)(22)【出願日】2015年12月17日
(65)【公表番号】特表2018-501113(P2018-501113A)
(43)【公表日】2018年1月18日
(86)【国際出願番号】EP2015080368
(87)【国際公開番号】WO2016097224
(87)【国際公開日】20160623
【審査請求日】2018年12月3日
(31)【優先権主張番号】14382534.7
(32)【優先日】2014年12月18日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】517098527
【氏名又は名称】オートテック・エンジニアリング・ソシエダッド・リミターダ
【氏名又は名称原語表記】Autotech Engineering, S.L.
(74)【代理人】
【識別番号】100100158
【弁理士】
【氏名又は名称】鮫島 睦
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100131808
【弁理士】
【氏名又は名称】柳橋 泰雄
(72)【発明者】
【氏名】マヌエル・ロペス・ラヘ
【審査官】 山下 浩平
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2011/0030442(US,A1)
【文献】 特開2013−013907(JP,A)
【文献】 特開2007−075835(JP,A)
【文献】 特開2007−190563(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0205863(US,A1)
【文献】 国際公開第2014/123855(WO,A1)
【文献】 特表2014−503360(JP,A)
【文献】 特開2006−116605(JP,A)
【文献】 米国特許第07302821(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21D 37/00 − 37/20
B21D 24/00
H05B 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
局所的に異なる微細構造及び機械的特性を有する熱間成形された構造部材を製造する道具であって、
上部及び下部の対になる金型、を備え、それぞれの金型は、使用において、被形成構造部材に面する1以上の機能表面を備える2以上の金型のブロックによって形成され、
前記金型のブロックを備える上部及び下部の金型は、局所的に異なる微細構造と機械的特性を有する、被形成構造部材の領域に対応する、異なる温度で操作するように構成され、前記金型のブロックは、高い温度で操作するように構成される1以上の温かい金型のブロックと、低い温度で操作するように構成される1以上の冷たい金型のブロックを含み、少なくとも、前記温かい金型のブロックの1つは、前記金型のブロックの温度を制御するために、前記金型のブロックを通る、DC電流を提供するように構成される電流源と電気的に接続される、電気的に導電性の金型のブロックであり、
電流源と電気的に接続される、前記金型のブロックの支持するブロックの内部面は、前記機能表面へ、前記金型のブロックを通るDC電流を案内するように構成されている凹所によってお互いから間隙を介するように配置されている、道具。
【請求項2】
DC電流は、電流源に電気的に接続された前記金型のブロックで測定された温度に基づいて、調整される、請求項1に記載の道具。
【請求項3】
前記温度が、1以上の熱電対を使って測定される、請求項2に記載の道具。
【請求項4】
前記電流源は、一続きのDC電流のパルスを提供する請求項1に記載の道具。
【請求項5】
さらに、1以上の電気ヒータを備える1以上の温かい金型のブロックを備える、請求項1乃至のいずれかに記載の道具。
【請求項6】
前記ヒータは、独立に稼働することができる、請求項に記載の道具。
【請求項7】
さらに、熱い液体を導く経路を有する1以上の温かい金型のブロックを備える、請求項1乃至のいずれかに記載の道具。
【請求項8】
冷たい金型のブロックは、冷たい液体を導く経路を備える、請求項1乃至のいずれかに記載の道具。
【請求項9】
前記道具は、さらに、前記機能表面と反対の前記金型のブロックの側面に配置される1以上の支持体を備え、前記支持体は、電気的に分離されている、請求項1乃至のいずれかに記載の道具。
【請求項10】
前記支持体は、部分的に、電気的な絶縁材料で、覆われている、請求項に記載の道具。
【請求項11】
絶縁材料は、セラミック材料である請求項または10に記載の道具。
【請求項12】
DC電流は、1000から10000HzのAC電流を整流することによって得られる、請求項1乃至11のいずれかに記載の道具。
【請求項13】
前記機能表面と反対の支持体の表面は、前記電流源に接続されていない、高い温度で操作されるように構成される前記金型のブロックと対応して提供される、冷却システムを有する冷却プレートによって支持される、請求項1乃至12のいずれかに記載の道具。
【請求項14】
熱間成形された構造部材の製造方法であって、
請求項1乃至13のいずれかによる道具を提供し、
ブランクを提供し、
上部及び下部の対になる金型の間に前記ブランクを押しつけ、
DC電流を提供するように構成される電流源へ、電気的に導電性の金型のブロックのコネクタに接続し、
DC電流を与えることによって、局所的に異なる微細構造と機械的特性を有する、被形成ブランクの領域に対応する異なる温度で、少なくとも2つの金型のブロックを操作する、ことを備える方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2014年12月18日に出願された欧州特許出願EP14382534.7の利益を主張する。
【0002】
本開示は、局所的に異なる微細構造と機械的特性を有する、熱間成形された構造部材を製造するための道具及びその方法に関連する。
【背景技術】
【0003】
自動車の産業において、重さを減らすという要求により、軽い材料の、及び製造工程と道具に関連する開発と実行がなされている。占有者の安全への関心の増加も、エネルギ吸収を改良する一方で、衝突の間、車の完全性を改良する材料の選択をもたらす。
【0004】
熱間成形金型焼入れ(Hot Forming Die Quenching)(HFDQ)として知られたプロセスは、最大1,500MPaまたはそれ以上の引張強度で、超高強度鋼(Ultra High Strength Steel)(UHSS)で、スタンプされた部品を作り出すためのボロン鋼シートを使う。強度の増加は、使われるためのことになる材料のゲージを薄くでき、従来の冷たくスタンプされた軟鋼の部品を超えて、軽量化する結果をもたらす。
【0005】
HFDQプロセスで使って製造されてもよい、典型的な車の部品は、ドアのはりと、バンパのはりと、横/側材、A/Bピラー補強材、及びウエストレール補強材を含む。
【0006】
ボロン鋼の熱間成形は、優れた強度と成形性により、自動車の産業において、人気になっている。軟鋼から伝統的に冷たく形成された多くの構造部材は、それゆえ強度においてかなりの増加を提供する熱間成形の等価物に置き換えられている。これにより、同じ強度を維持する一方、材料の薄さ(及び、それゆえ、重さ)を減らすことができる。しかしながら、熱間成形された部品は、作られたままの条件では、とても低い水準の延性とエネルギ吸収を提供する。
【0007】
はりのような部品の特定の区域で、延性とエネルギ吸収を改良するために、同じ部品の中により軟らかい領域を導入することが知られている。これにより、必要とされる全体の高い強度を維持する一方で、局所的に延性を改良する。それらが、非常に高い強度(とても固い)と延性を増加した(より軟らかい)領域を備えるように、いくつかの構造部材の微細構造と機械強度を局所的に仕立てることによって、それら全体のエネルギ吸収を改良し、衝突の状況の間、それらの構造の完全性を維持し、それらの全体の重さを減らすことを可能とするかもしれない。そのような、軟らかい領域は、有利に、衝突の下で、部品の崩壊の場合に、運動の行動も変えるかもしれない。
【0008】
車の構造部材において、延性が増加された領域(軟らかい領域(softzones)または軟らかい領域(soft zones))を作り出す知られた方法は、相補的な上部と下部の金型ユニットの組を備える道具の供給を含み、それぞれのユニットは分離した金型要素(鋼のブロック)を有する。金型要素は、焼き入れ工程の間、形成されている部分の異なる領域において、異なる冷却割合を有するために、異なる温度で機能するように設計され、それゆえ、例えば軟らかい領域といった、最終製品における、異なる材料特性という結果をもたらすかもしれない。例えば、1つの金型要素は、高い冷却割合で、急速に部品の温度を減らすことによって、製造されている部品に対応する領域を焼き入れするために、冷やされているかもしれない。別の隣の金型要素は、より低い冷却割合で、冷却するように製造され、そして、それゆえ金型から離れたときに、部品の残りより高い温度を残す、部品の対応する部分を保証するために、加熱されてもよい。
【0009】
金型要素を加熱するために、金型要素の内側に配置されたヒータ及び/または例えばオイルといった、熱い液体の経路が使われるかもしれない。
【0010】
加熱のこの性質に関連する1つの問題は、ヒータ及び/または熱い液体の経路を割り当てるために金型要素を機械加工する必要があることかもしれない。金型要素を機械加工することは、特に、金型要素の幾何学的形状が複雑であるならば、費用が高く、時々、処理することが難しいことかもしれない。信頼性も重要な要因である。熱い液体の経路において、熱い液体の漏れが起きるかもしれず、また、修理は時間を取る可能性がある。ヒータにおいて、正常に動作していないヒータは、検知し、修理することは難しいかもしれない。
【0011】
さらに、金型の温度は、好ましくは、正確な軟らかい領域を作り出すために、可能な限り、均質にするべきである。上述の解決方法において、加熱の焦点は、点で、または線に沿ってであるかもしれず、また、それゆえ、金型要素の表面は、均一に加熱されない。これにより、構造部材の同じ部分に異なる材料特性がもたらされる。
【0012】
加えて、熱い液体の経路の解決方法において、熱い液体の漏れが起こるかもしれない。これにより、特にもし操作者が漏れの近くに立っているかもしれないならば、操作者の危険を増加の原因となる可能性がある。さらに、修理に時間を取られる可能性があり、また、いくつかの場合において、機械加工された経路を備える新しい金型要素が必要とされるかもしれない。
【0013】
独国公開公報102005032113は、少なくとも2つの部分の金型における部品を熱的に変形させ、部分的に焼き入れるための器具と、その部品が、その焼き入れ温度または、それより上の温度で、押圧によって、金型の輪郭へ押しつけられること、それぞれの金型部分は、熱的な絶縁体で分離された部分にさらに分割されることを開示している。部分は、押圧の間、部品を異なる温度へ調整するために、異なる、制御された温度へ調整される。
【0014】
米国公開公報2014260493は、熱スタンピングの金型器具に関連する。この器具は、ボルスタに装備された底部と、スライダに装備された上部とを含み、底部と上部は、それぞれそれに形成された複数の冷却液チャンバを含む冷却する金型、冷却する金型と一緒の形成された表面を形成するための冷却する金型の側面に取り付けられ、加熱する金型の側面に取り付けられた加熱するカートリッジを設けられた加熱する金型を含む。
【0015】
独国公開公報102004026762は、大きな押圧変化の領域のための、不可欠な電気加熱要素を備える、加熱された部分を含む、金属シートのための押圧道具を開示する。加熱された部分は、熱的に、道具に組み込まれるセラミック層によって道具システムの残りから分離されている。加熱された道具の部分は、熱を伝導するセラミックから作られることができる。
【0016】
仏国公開公報2927828は、ブランクから鋼の部分を形成し、冷却する熱成形金型を開示し、道具は、少なくとも1つの抜き型と、少なくとも1つの金型を備え、抜き型と金型は、それぞれ、スタンピングの道具の熱い領域(11)に対応する第1の部分(21、31)と、冷たい領域におけるスタンピングの道具の冷たい領域(12)に対応する少なくとも1つの第2の部分(22、32)を備え、抜き型の第2の部分と金型の第2の部分は、道具が閉じたときに、ブランクと接触するようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】独国公開公報102005032113
【特許文献2】米国公開公報2014260493
【特許文献3】独国公開公報102004026762
【特許文献4】仏国公開公報2927828
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
高い強度の領域と、延性が増加された領域(軟らかい領域)を備える熱間成形された車の構造部材を製造するための、改良された道具を提供することを、本開示の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
第1の態様において、局所的に異なる微細構造と機械的特性を有する熱間成形された構造部材を製造する道具が提供される。道具は、上部及び下部の対になる金型、を備え、また、それぞれの金型は、使用において、被形成構造部材に面する1以上の機能表面を備える2以上の金型のブロックによって形成される。上部及び下部の金型は、局所的に異なる微細構造と機械的特性を有する、被形成構造部材の領域に対応する、異なる温度で操作するように構成された、少なくとも2つの金型のブロックを備える。金型のブロックは、高い温度で操作するように構成される1以上の温かい金型のブロックと、低い温度で操作するように構成される1以上の冷たい金型のブロックを含む。少なくとも、温かい金型のブロックの1つは、金型のブロックの温度を制御するために、金型のブロックを通る、DC電流を提供するように構成される電流源と電気的に接続される、電気的に導電性の金型のブロックである。
【0020】
この態様によって、電気的に導電性の金型のブロックは、電気的に電流源と接続され、それゆえ、電流の流れは、金型のブロックを通って作り出されてもよい。この配置によって、電気的に導電性の金型のブロックは、電流の流れに対するその内部抵抗によって、加熱されてもよい。さらに、温度は、使用において、構造部材に面する、機能表面において均一であっても良く、それゆえ、温度の分布は、改良されるかもしれない。
【0021】
第2の態様において、熱間成形された構造部材の製造方法が提供される。方法は、第1の態様による道具を提供することを備える。方法はさらに、ブランクを提供することを含む。ブランクが、上部及び下部の対になる金型の間に押しつけられる。1つの金型のブロックのコネクタは、DC電流を提供するように構成される電流源に接続されてもよい。それから、少なくとも2つの金型ブロックは、DC電流を与えることによって、局所的に異なる微細構造と機械的特性を有する、形成されるための、ブランクの領域に対応する異なる温度で、操作されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】実施例による、熱間成形された構造部材を製造する道具の一部を示す。
図2】別の実施例による、熱間成形された構造部材を製造する道具の一部を示す。
図3】軟らかい領域を備える部品の実施例を示す。
図4】軟らかい領域を備える部品の別の実施例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本開示の限定されない実施例は、添付された図面を参照して次に記載されるであろう。
【0024】
図1は、実施例による、熱間成形された構造部材を製造する道具の一部を示す。道具は、上部及び下部の対になる金型、を備える。それぞれの金型は、局所的に異なる微細構造と機械的特性を有する、被形成構造部材の領域に対応する、異なる温度で操作するように構成された、2以上の金型のブロックよって形成される。図1において、上部の金型の1つの金型のブロック10のみが示される。下部の金型は、相補的な形状を備える金型を有するであろう。
【0025】
加熱されたブランクは、下部の金型の最上部に設置されてもよい。上部の金型が下方へ動かされるとき、加熱されたブランクは、形成され、(この特定の場合において)実質的にU字形に対応する形状を得られるであろう。ブランクは、例えばUsiborのような、コーティングされまたはコーティングされないボロン鋼で作られるであろう。変形の間、ブランクの一部は、例えば、金型のブロックのいくつかにおいて提供される経路を通る冷たい水を通すことによって、焼き入れされてもよい。ブランクはそれゆえ、焼き入れされ、あらかじめ決まった微細構造を得られる。
【0026】
金型のブロック10は、金型のブロック10の温度を制御するために、DC電流を提供するように構成された電流源(図示せず)に電気的に接続される電気的に導電性の金型のブロックであってもよい。金型のブロック10は、例えば、コネクタ31及び32において取り付けられた銅の棒を使って、2つの反対の側面のコネクタ31及び32を備えてもよい。電流源(図示せず)は、反対の側面のコネクタ31及び32に接続されてもよい。この方法で、金型ブロック10を通る電流の流れが作り出されてもよい。この電流は、ブロックを加熱し、また、ブランクは、それゆえこれらの部分に沿って、焼き入れされない。これらの部分は、それゆえ異なる微細構造と異なる機械的特性を得ることができる。
【0027】
DC電流は、電流源に電気的に接続された金型のブロック10で測定された温度に基づいて調整され、それゆえ、金型のブロック10の均一な加熱が得られる。温度は、1以上の熱電対を用いて測定されるかもしれない。さらに、電流源は、パルスモードで操作されてもよい。電流源は、継続時間の1または数μ秒のDC電流パルスを供給するように構成されてもよい。電流源は、例えばセンサから要求信号に答えて、時間制御された方法で、パルスを供給することもできてもよい。いくつかの実施例において、DC電流は、1000から10000HzのAC電流を整流することによって、得られてもよい。
【0028】
金型のブロック10は、使用において、被形成ブランクと、1以上の支持ブロックに接触されてもよい、1以上の機能表面を備えてもよい。この特定の実施例において、金型のブロック10は、上述のように、使用において、被形成ブランク(図示せず)と、8つの支持体20、21、22、23、24、25、26及び27と接触してもよい機能表面34を備える。示された実施例において、支持体は、金型ブロックと一体に形成されていることが示されている。支持体は、しかしながら、分離した部品であってもよい。
【0029】
電流は、側面のコネクタ31から、金型のブロック10のU字形の部分33(及びそれゆえ、機能表面34において、またはその近くに)に渡って、反対の側面のコネクタ32へ流れることができる。これを保証するため、金型のブロックは、一番短い電流の通路が、機能表面の近くに流れるような方法で、構成されていなければならない。さらに、機能表面34と反対の支持体20、21、22、23、24、25、26及び27の面は、残りの金型/道具へのいかなる電流の漏れを避けるために、例えばセラミック材料といった、絶縁材料を使って、分離されてもよい。支持体20、21、22、23、24、25、26及び27の面は、いくつかの他の選択肢が、例えば、外層または他の絶縁材料の外部素子といったものが可能であるかもしれないが、絶縁材料で覆われていてもよい。
【0030】
この実施例において、金型のブロック10は、2つの内部面30、35を備えてもよい。2つの内部面30及び35は、凹所によってお互いから間隙を介するように配置されていてもよい。通気口は、必要とされるとき、いくつかの冷却を提供するために、温かい金型のブロックの内部面に沿って、冷却空気を通すために配置されてもよい。
【0031】
さらに、上部の金型も、電流源へ接続されていない、熱い金型のブロック(図示せず)を備えてもよい。例えば、さらなる金型のブロック(図示せず)が、提供されてもよい。さらに金型のブロックは、高い温度(「熱いブロック」)を達成するように構成されるために、加熱源を備えてもよい。さらに、上部と下部の金型は、1つまたはいくつかの冷却ブロックを含んでいてもよい。これらの冷却ブロックは、ブロックに提供された経路を通る冷却水によって、冷却されてもよい。
【0032】
本明細書と請求項を通して、高い温度は、一般に、350−600℃の範囲の中に含まれる温度として理解されてもよく、低い温度は、250℃より低くから室温の範囲の温度として理解されてもよい。
【0033】
電流源に接続されていない、熱いブロックの、高い温度に達するように構成された、金型ブロックは、1以上のヒータと、「熱いブロック」の温度を制御するための温度センサを備えてもよい。センサは、熱電対でもよい。それぞれの熱電対は、あらかじめ決められた温度で操作する道具の領域を画定してもよい。さらに、それぞれの熱電対は、その領域の温度を設定するために、ヒータまたはヒータの群と関連してもよい。領域(ブロック)あたりの総電力量は、ヒータを一緒にまとめる能力に限られるかもしれない。
【0034】
熱電対は、操作パネルと関連してもよい。それぞれのヒータまたはヒータの群は、それゆえ、同じブロックの中でさえ、他のヒータまたはヒータの群から独立に稼働させられるかもしれない。それゆえ、適当なソフトウェアを使って、使用者は、同じブロックのそれぞれの領域のキーパラメータ(電力、温度、温度限界の設定、水の流れのオン/オフ)を設定することができるであろう。
【0035】
高い温度で操作するための金型に適用するための他の代わりのものは、例えば埋め込まれたカートリッジのヒータといった、異なる温度で加熱するための適当な液体で満たされた複数の経路、も提供してもよい。
【0036】
さらに、この図の電気的に導電性の金型のブロック10は、金型のブロック10に対応するように配置された冷却システムを備える、機能表面34と反対の支持体20、21、22、23、24、25、26及び27の表面に設置された冷却プレートを設けられてもよい。さらなる例において、冷却プレートは、例えば「熱いブロック」及び/または「冷たいブロック」といった、いくつかの他のブロックの機能表面の反対の表面にも設置されてもよい。冷却システムは、金型を支持するブロックの加熱を避けるまたは少なくとも減らすための、冷却水、その他のいかなる冷却液体を循環するための、冷却経路を備えてもよい。
【0037】
電気的に導電性の金型のブロック10は、好ましくは、隣接する金型のブロックから電気的に分離されるかもしれない。例えば、間隙が、隣接する金型のブロックの間で配置されてもよい。この間隙は、それらが加熱されたとき、ブロックの膨張を許すかもしれない。いくつかの実施例において、間隙は、部分的に、絶縁材料で満たされ、しかしながら、すなわち、空気で満たされるような、「空」でもあってもよい。
【0038】
図2は、別の実施例による、熱間成形された構造部材を製造する道具の一部を示す。図2の実施例は、支持体の数で、図1のそれと異なる。
【0039】
金型のブロック50は、使用において、被形成ブランク(図示せず)と接触して入る機能表面を備えてもよい。この特定の実施例において、金型のブロック50は、上述したように、使用において、被形成ブランク(図示せず)と接触してもよい、機能表面56を備えてもよい。金型のブロックはさらに、2つの一体化して形成された支持体51及び52を備える。さらに、機能表面56と反対の支持体51及び52の面は、いくつか他の選択肢、例えば外層または他の絶縁材料の外部素子といったものが可能であってもよいが、例えば、セラミック材料といった電気的な絶縁材料で少なくとも一部が覆われてもよい。同様に、図1に関連して説明されたように、金型のブロック50は2つの向かい合った側面のコネクタ55及び57を備えてもよい。電流は、側面のコネクタ55から、金属のブロック50のU字形の部分(及びそれゆえ機能表面56である)を渡って、反対の側面のコネクタ57へ、流れてもよい。
【0040】
2つの支持体51及び52は、2つの内部面30及び31を備えてもよい。2つの内部面53及び54は、凹所によってお互いから間隙を介するように配置されていてもよい。この形態は、金型のブロック50(及び機能表面56)のU字形の部分を通って、DC電流を適切に、案内する助けとなり、それゆえ、使用において、例えばブランクといった、構造部材と接触する機能表面56を加熱するかもしれない。同時に、冷却経路は、内部面53と54の間で空間によって作り出される。
【0041】
この方法で、金型のブロック50を通る電流の流れは、作られてもよく、それゆえ、電気的に導電性の金型のブロック50は加熱されるかもしれない。この配列で、電気的に導電性の加熱されたブロック50と接触する領域において、構造部材の異なる微細構造と機械的特性は、修正されるかもしれない。さらに、支持するブロックの特定の形態は、図1の金型のブロックに関して、特定の熱の発生と、熱の分布という結果をもたらすかもしれない。
【0042】
図3は、軟らかい領域を備える部品の実施例を示す。この実施例においては、Bピラー41が概略的に描かれる。Bピラー41は、例えばHFDQプロセスによって形成される。いくつかの実施例において、部品41は、いくつか他の材料が、可能であるかもしれないが、好ましくは超高強度鋼(Ultra High Strength Steel)といった鋼で作られるかもしれない。
【0043】
軟らかい領域44は、例えば、増加した延性を有する異なる微細構造を設けられてもよい。軟らかい領域の選択は、軟らかい領域を選択するためのいくつか他の方法があるかもしれないが、衝突試験またはシミュレーション試験に基づいてもよい。軟らかい領域の区域は、例えばBピラーのような、単純な部分において、最も有利な衝突行動またはより良い吸収を決定するためにシミュレーションによって画定されてもよい。
【0044】
図1−2のいずれかに記載された道具は、提供されても良い。そのような道具で、電気的に導電性の金型のブロックは加熱されてもよく、それゆえ加熱されたブロック(「軟らかい領域」)に接触する区域44におけるBピラー41の異なる微細構造と機械的特性は、変えられてもよい。
【0045】
この方法において、軟らかい領域44は、軟らかい領域の次の部分の強度が維持されるかもしれない一方で、改良された延性を有しても良い。軟らかい領域44の微細構造は、修正され、または軟らかい領域44における伸長は増加されるかもしれない。
【0046】
Bピラーは、2以上の軟らかい領域を備えてもよい。軟らかい領域の1つは、以前に記載された方法におけるように、DC電流を使って、金型のブロックを加熱することによって形成されてもよい。これは、相対的に一定の横断面及び/または相対的に単純な横断面(例えば帽子型またはU字形の断面に相対的に近い)を有する軟らかい領域に適している。
【0047】
さらに複雑な軟らかい領域は、例えばヒータを有する温かい金型のブロックといった、HFDQプロセスの中の異なる技術を使って、形成されてもよい。代わりに、いくつかの軟らかい領域が、好ましくは、例えばレーザを使って、HFDQプロセスの後に作られてもよい。
【0048】
図4は、軟らかい領域を備える部品の別の実施例を示す。この実施例において、サイドレール70は、概略的に描かれている。部品と特に、U字形断面の部品は、例えばHFDQを使って形成されてもよい。領域71は、例えば増加した延性といった、構造を変えるために選択されてもよい。軟らかい領域71の選択と金型のブロックの操作は、図3に関して記載されたものと同じであってもよい。例えば、増加した延性といった微細構造の変化は、それぞれの部分71aと71bにおいて、分離して行われてもよい。両方の部分71aと71bにおける軟らかい領域が製造されたとき、その部分は、例えば、サイドレール70を形成するように、溶接によって、結ばれる。
【0049】
多数の例のみが、ここで開示されたが、他のそれの代替、変更、使用、及び/または等価物が可能である。さらに、すべての記載された実施例の可能な組み合わせも対象にされている。それゆえ本開示の範囲は、特定の実施例に限られるものではなく、続く請求項の公正な読み方によってのみ、決定されるべきである。
図1
図2
図3
図4