(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
パルプシート等の複合構造体製造装置の具体的使途は、衣料部材、医療用部材、土木・建築用部材、自動車内装用・部品用部材、衛生用部材、インテリア用部材、寝装用部材、農業用部材、皮革用部材、産業資材用部材、生活資材用部材等である。
例えば、従来のペットの排泄物処理材として新聞紙やタオル等が用いられてきた。しかし、パルプシートは尿の吸収性が劣るから、吸収・保持性を向上させるために高吸水性高分子化合物を用いたペット用シーツが急速に普及してきた。
しかしながら、パルプシートは排泄物から生じる臭気に対する脱臭・消臭性について十分な効果が得られていなかった。特に、不織布において、水分で嵩高加工を行うと排泄物から生じる臭気に対する脱臭・消臭性が抑えられる。しかし、嵩高加工を行うとパルプシートはその接合力が脆くなり、実用的な強度が低下することに問題があった。
【0003】
特許文献1では、尿を含む水分を透過させる透過性シート、クレープ状の吸液透過性シート、吸収性コアの下面に設けられ尿を含む水分を吸収する吸収性コア、吸収性コアの下面に設けられたクレープ状の吸液透過性シート、尿を含む水分を透過させない不透過性シートと順次積層され、吸収性コア及びその両側にある吸液透過性シート及び吸液透過性シートを透過性シートと不透過性シートとの間で包み込んで収容する複合構造体を開示している。
【0004】
特許文献1のように、ペット用シートの交換のタイミングが長くなり、ペット用シートに限らず、介護シーツ、紙おむつ、防水シーツ等は、尿や排泄物が重くなり、パルプシートが作業中に破け、機械的強度不足を生じさせ、簡単に処理することができなくなる。また、枕カバー、防護服生地等になると汗や体臭が染み込み不潔感が感じられるようになり、できるだけ不潔感のない箇所によって作業を進行させようとするから、パルプシートが破壊され、機械的強度不足になる可能性がある。逆に、機械的強度を増加させるとなると、嵩が低くなり、密度が高くなり、機械的強度が高くなるが、不織布自体の汗や体臭の染み込みが低下する。
【0005】
また、特許文献2は、互いに接着された少なくとも2つの不織布ポリマー層を含み、1つの不織布ポリマーが不織布の約40質量%以下の量で無機粒子状充填剤を含む複合構造体が構成されたものである。
ポリマー不織布、例えば、ポリプロピレン(PP)不織布は、多くの用途において使用され、衛生及び医療市場においては、大きな割合でスパンメルト不織布が使用されており、スパンボンド不織布とメルトブロー不織布とが複合不織布構造体とされている。通常、内層にメルトブロー不織布を、また、外層にスパンボンド不織布が使用される。内層のメルトブローはバリア層となるが、良好なバリアとなる微細繊維(直径約2μm以下)は、また、非常に弱い繊維及び布帛をもたらす。スパンボンド層(約15μmの繊維直径)を組み込んで、複合布帛に、意図される用途における機能と共に、加工ラインにおいて加工するための十分な強度を与えている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
なお、以下、スパンボンド不織布とメルトブロー不織布とを重ね合わせて構成した複合構造体製造装置について簡単に説明する。
一般的な特許文献2の複合構造体製造装置において、スパンボンド不織布は、多くの場合、盛り上がり形状によって熱接着されるが、熱と圧力との組合せによってポリプロピレンは部分的に溶融し、変形して、溶融接着を行う。温度、圧力、速度及びエンボス形状の組合せである不織布の接着が弱すぎる場合には、個々の繊維は接着点から引き離されるか、または接着部位が崩壊し、破断時の伸長が比較的大きくなる。
不織布の接着が強すぎる場合、接着点における過剰な溶融が繊維の弱点を生じさせ、繊維が接着点で破断し、破断時の伸長は非常に小さくなる。最適な接着条件に合致する場合、繊維破断の大部分が接着点間で生じる。これにより最も高い引張強度を有する布帛が得られ、伸長は2つの極値の中間になる。
【0008】
メルトブロー不織布は、高温において超極細繊維化し、スパンボンド不織布と同じ強度及び結晶化度を有していないため、メルトブロー不織布がスパンボンド不織布よりも低い温度で溶融または変形する。したがって、バリア性能が維持されるようにスパンボンド不織布、メルトブロー不織布、スパンボンド不織布を重ね合わせて接着するために使用される接着条件により、スパンボンド不織布の接着が弱くなりすぎる傾向が生じる。
殊に、衣料部材、医療用部材、自動車内装用・部品用部材、土木・建築用部材等々の用途が決まらないと、機械的強度がある良好な嵩高の機能性不織布が得られなかった。
【0009】
そこで、発明者らは、基本に返って、現行の不織布の問題点を追究した。
まず、パルプシートは濡れると強度が弱くなり破れやすくなる。また、嵩高に必要不可欠なパルプシートから紙粉体が剥がれ落ちる。そして、パルプシートが濡れたときでも、パルプシートのみが硬く、他の不織布と違和感が存在する。パルプの部分が湿潤時に基材から剥がれてしまうという問題点を確認し、良好な機能性不織布を得るには、これらを解消する必要があることを見出した。
特に、スパンレース不織布にパルプ紙を貼り合わせているが、貼り合わせるパルプ紙とスパンレース不織布とは伸縮性能が大きく異なるため、パルプ繊維が不織布内に捉えられていても乾燥時に紙粉が発生したり、湿潤時の剥がれに繋がったりしていた。これは、伸びの少ないサーマルボンド不織布側またはパルプ紙側の何れを基材にしても解消できなかった。
パルプ紙及び伸縮性能の使いスパンボンド不織布を基材にした場合、乾燥時の紙粉の発生が減少したが、湿潤時にはパルプ繊維の貫入が十分でなく剥がれが見られた。
また、パルプ紙に近い伸縮性のスパンボンドは湿潤時にも硬いままであるので、エンボス等で風合いを上げても、使用感が悪く、柔らかい対象物や人体に使用するには難があった。
【0010】
そこで、本発明はかかる従来の問題点を解消すべく、乾燥時または湿潤時においても繊維やパルプ繊維の脱落がなく、加工性がよく、重ね合わせても柔らかくて腰が強く、縦伸びや横縮みをすることなく、嵩高加工及び機械的強度を任意に設定できる複合構造体製造装置の提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1の発明にかかる複合構造体製造装置は、1層以上積層してなるスパンボンド不織布の繊維を熱融着によって融合するエンボス加工と、前記エンボス加工したスパンボンド不織布に重ね合わせるパルプ紙からなるパルプシートと前記スパンボンド不織布とを水流交絡によって一体化するスパンレース処理部と、前記パルプシートと前記スパンボンド不織布とを前記水流交絡した水分を乾燥する乾燥部を具備するものである。
【0012】
ここで、上記パルプシートは、巻回したパルプ紙からなるものであれば良い。
また、上記1層以上積層してなるスパンボンド不織布は、長繊維不織布であればよく、特に、スパンボンド不織布が好ましい。
そして、上記スパンボンド不織布を水流交絡によって一体化するスパンレース処理部は、前記スパンボンド不織布に前記パルプシートを重ね合わせ、前記パルプシートを水流交絡によって接合すればよい。
更に、上記乾燥部は、前記パルプシートと前記1層以上積層してなるスパンボンド不織布とを前記水流交絡し、その水分を乾燥するものであり、ヒータまたは熱ロールでも、乾燥高温空気であっても良い。
【0013】
請求項
1の発明にかかる複合構造体製造装置は、前記スパンレース処理部により前記エンボス加工したスパンボンド不織布に前記パルプシートを重ね合わせ、前記パルプシートを上面とし、前記パルプシートの上面からジェット水流を付与して水流交絡させたものである。
ここで、前記スパンボンド不織布と前記パルプシートは、前記スパンボンド不織布に前記パルプシートを重ね合わせ、前記パルプシートの上面から前記スパンボンド不織布側にジェット水流を付与して水流交絡させるものである。
【発明の効果】
【0014】
請求項1の発明の複合構造体製造装置は、1層以上積層してなる不織布、即ち、スパンボンド不織布の繊維を熱融着によって融合するエンボス加工を行い、次いで、前記スパンボンド不織布に巻回したパルプ紙からなるパルプシートを重ね合わせ、スパンレース処理部で前記パルプシートと前記スパンボンド不織布とを水流交絡によって一体化し、前記パルプシートと前記スパンボンド不織布とを乾燥部で前記水流交絡した水分を除去するものである。
本発明のように、一層以上のスパンボンド不織布に一層のパルプシートを重ね合わせるとき、通常は接着剤で行っているが、本発明のように、前記パルプシートと前記スパンボンド不織布とを水流交絡によって一体化すると、接着剤による接合よりも乾燥時または湿潤時においても加工性がよくなり、また、使用時に柔らかくて短繊維やパルプ繊維の脱落がなく、重ね合わせても腰が強くて自然の縦伸び(Y軸方向)や横縮み(X軸方向)をすることなく、嵩高加工及び機械的強度を任意に設定できる複合構造体を製造できる。
【0015】
請求項
1の発明の複合構造体製造装置は、スパンレース処理部により、前記エンボス加工した前記スパンボンド不織布に前記パルプシートを重ね合わせ、前記パルプシートを上面とし、前記パルプシートの上面からジェット水流を付与して水流交絡させるものであるから、請求項1に記載の効果に加えて、前記パルプシートから前記スパンボンド不織布にジェット噴流を導くものであるから、前記パルプシート側からパルプ繊維を前記スパンボンド不織布側に巻き込んで固定できるから、前記スパンレース処理部により安定した強さが維持できる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。なお、実施の形態において、図示の同一記号及び同一符号は、同一または相当する機能部分であるから、ここではその重複する説明を省略する。
【0018】
[実施の形態1]
本実施の形態1の複合構造体製造装置は、主として、不織布製造機としての第1スパンボンド不織布製造機10、第2スパンボンド不織布製造機20、第3スパンボンド不織布製造機30で、1層以上、即ち、複数積層してなるスパンボンド不織布10,20,30を構成している。
また、水流交絡法を使用したスパンレース処理部40、乾燥部50、不織布繊維製品は型押しとともに加熱し、エンボス加工を行う形状、模様の凸部65を形成したエンボス凸部ローラ61及び特定曲率面からなるエンボス平滑ローラ62から全体のエンボスローラ60を構成している。
【0019】
なお、エンボス凸部ローラ61とエンボス平滑ローラ62は、エンボス凸部ローラ61とエンボス平滑ローラ62を1/2の高さの凸部65とすることができる。但し、対の回転のタイミングを同一とする必要がある。また、エンボス凸部ローラ61とエンボス平滑ローラ62を逆の構成としてもよい。前記エンボス平滑ローラ62とは、所定の直径で形成された同一径のものであればよい。
そして、巻回されたパルプロール80から引き出したパルプシート85を案内ローラ81及び押圧ローラ82を介して、パルプシート85が送給され、全体の概略が構成されている。
この第1スパンボンド不織布製造機10、第2スパンボンド不織布製造機20、第3スパンボンド不織布製造機30の各スパンボンド不織布製造機は、繊維を作る紡糸から、直接、そのまま不織布を製造する装置である。
【0020】
なお、第1スパンボンド不織布製造機10、第2スパンボンド不織布製造機20、第3スパンボンド不織布製造機30は、基材となる原材料にコポリマーのポリプロピレン(PP)を使用し、柔らかい長繊維スパンボンド不織布10A,20A,30Aを形成するもので、その坪量は8〜12グラムの薄いものに仕上げるのが望ましい。また、各第1スパンボンド不織布製造機10、第2スパンボンド不織布製造機20、第3スパンボンド不織布製造機30は、各坪量を均一とし、各スパンボンド不織布10A,20A,30Aの柔らかさを決定している。
【0021】
第1スパンボンド不織布製造機10、第2スパンボンド不織布製造機20、第3スパンボンド不織布製造機30で、スパンボンド不織布10A,20A,30Aを積層し、スパンボンド不織布10A,20A,30Aをエンボス加工により全層融合接着させる。
スパンボンド不織布10A,20A,30Aを3層重ね合わせてエンボス形成用に形成した周面を部分的に凸部65に形成した加熱用のエンボス凸部ローラ61と均一周面を形成したエンボス平滑ローラ62の間により、熱融着で全層融合すべく型押しするとき、スパンボンド不織布10A,20A,30Aの移送方向Yに対して直交するX軸成分、当該X軸成分に対して直交するY軸成分は、各種ローラの回転によって定まる。
熱ローラによって型押しするエンボス凸部ローラ61は、周囲が所定の曲率のエンボス凸部ローラ62がX軸成分方向の熱融着部分の幅Xa、Y軸成分方向の熱融着部分の幅Yaによって、部分的に加熱される凸部65が形成されている。
【0022】
また、Y軸成分方向の熱融着部分の長さYaと、Y軸成分方向の熱融着しない部分の長さYbとは、Y軸成分方向の一直線上の位置にある。
しかも、熱融着部分の長さYaのY軸成分方向の1/2位置の両側は熱融着しない部分の長さYbとなり、かつ、熱融着しない部分の長さYbのY軸成分方向の1/2位置の両側は熱融着部分の長さYaに設定している。
熱融着部分の長さYaのY軸成分方向の1/2位置の両側は熱融着しない部分の長さYbとなり、熱融着しない部分の長さYbのY軸成分方向の1/2位置の両側は熱融着する部分の長さYbの1/2位置にある。本発明を実施する場合には、熱融着部分の長さYaのY軸成分方向の1/2位置の両側は熱融着しない部分の長さYbとなり、熱融着しない部分の長さYbのY軸成分方向の1/2位置の両側は熱融着する部分の長さYbの何れかにあればよい。
【0023】
即ち、融着しない部分の幅Xbは、Y軸成分方向のY軸成分方向に連続形成されている。また、Y軸成分方向の熱融着しない部分の長さYbは、X軸成分方向の熱融着しない部分の幅Xaとの面積Xa・Ybが型押しをしない面積である。面積Xa・Ybが型押しするエンボスローラ60の凸部65となっている。
ここで、Xb/Xaの比率は、嵩高加工、機械的強度の指標として使用できる。また、特に、Xb/Xaの比率の融合しない部分の幅Xbは、摺動する際の摺動抵抗の指標にもなる。
【0024】
したがって、X軸成分方向の熱融着部分の幅Xaと熱融着しない部分の幅XbをX軸成分方向に張力を加えると、熱融着しない部分の幅Xb及び熱融着しない部分の長さYbに外力が加わり、最も引っ張り力が弱くなるが、他の斜め角度またはY軸成分方向に加えられた外力は、エンボス加工する凸部65の幅Xaとの面積Xa・Ybで分散されて外力に耐える構造となっている。
よって、X軸成分方向の熱融着部分の幅Xa、Y軸成分方向の熱融着部分の幅Yaによって、部分的に加熱され熱融着され、エンボス加工される。
【0025】
ところで、
図4及び
図5については、エンボスローラ60の周囲に、幅Xaで、長さYaの熱融着部分を繰返し形成しているが、X軸成分方向に外力を加えると、直接、外力が熱融着しない部分の幅Xbに加えられることになる。
したがって、乾燥時であっても、湿潤時であっても、Y軸成分方向の熱融着しない部分の幅Ybの両先端が隣接の熱融着部分の長さYaよりも短い両端内にあり、熱融着部分の長さYaの両端に外力が加わらないので、製品使用時にも柔らかくて、重ね合わせても縦伸びや横縮みをしない腰が強い嵩高加工ができる。また、Y軸成分方向の熱融着しない部分の幅Ybの両先端が隣接の熱融着部分の長さYaの両端内にあるから、柔らかくても繊維や一部のパルプの脱落がなく、かつ、重ね合わせても縦(Y軸成分方向)伸びが生じない。また、横(X軸成分方向)縮みをしない腰が強い嵩高加工となる。
【0026】
後述するスパンレース処理部(ウォータージェット)でスパンボンド不織布を水流交絡する。詳細は後述するが、水分を乾燥させた後、これにより、パルプ紛等の脱落を防ぎ、縦伸びを抑え、加工性能を良くする。また、特殊なエンボスパターンで従来のスパンレース不織布10A,20A,30Aのメッシュパターンに類似した模様に仕上げることができる。ただし、接着後の現物のエンボスパターンの接着部分は透明になっているが、これは穴が開いているわけではなく、基材のポリプロピレン(PP)繊維の部分が熱で熔融し、透明に見えているだけであるので、横伸びも抑えることができる。拭き取った汚れ等も表面から裏面に通過しないため、手等に汚れが付着することがない。
【0027】
また、従来の不織布製造機は、ペレットの溶融樹脂から短繊維への加工、次いで短繊維糸から不織布への加工と、2段階の工程が一般的であった。しかし、本実施の形態ではスパンボンド製造機では紡糸から不織布の形成まで一貫して加工し、生産が高速化している。また、長繊維を用いているから強度が高く、寸法安定性に優れ、各種用途に展開利用されている。即ち、スパンボンド不織布10A,20A,30Aは、原料として乾式不織布のような綿状の繊維ではなく、3〜5ミリ程度の米粒状の合成樹脂ペレットで、これを溶融し、繊維化及びウェブ化して不織布を製造している。原料の選択や製造工程での工夫でポリプロピレン(PP)とポリエチレン(PE)の複合タイプや、ポリ乳酸(PLA)ベースの生分解タイプ等があり、用途によって選択される。
【0028】
本実施の形態1の複合構造体製造装置としての第1スパンボンド不織布製造機10は、原材料のペレットを供給するホッパー11と、ホッパー11に供給した原材料を熔融して熔融ペレットを押し出する押出機12と、押出機12から押し出された熔融樹脂をノズル13から連続長繊維として噴出し、冷却し、高速移動させるエジェクター14を解して連続長繊維としてウェブを捕集し、ネットコンベア15に吸引され、ネットコンベア15の上面に噴射される。
ネットコンベア15は、内部に空気を吸い込む吸引部16が配設され、外部に配設されたエアーポンプによって下方に吸引されている。したがって、ネットコンベア15の上面にスパンボンド不織布10Aが積層される。
【0029】
同様に、第2スパンボンド不織布製造機20は、原材料のペレットを供給するホッパー21と、ホッパー21に供給した原材料のペレットを熔融して押し出す押出機22と、押出機22から押し出された熔融樹脂をノズル23から噴射し、エジェクター24を解して連続長繊維として捕集し、ネットコンベア25に噴射する。
ネットコンベア25は、内部に吸引部26が配設され、外部に配設されたエアーポンプによって下方に吸引されている。したがって、ネットコンベア25の上面にスパンボンド不織布20Aが積層される。なお、送りローラ27はスパンボンド不織布20Aのガイドである。また、搬送コンベア28はスパンボンド不織布10A,20A,30Aを送るものである。
【0030】
同様に、第3スパンボンド不織布製造機30は、原材料のペレットを供給するホッパー31と、ホッパー31に供給した原材料のペレットを熔融して押し出す押出機32と、押出機32から押し出された熔融樹脂をノズル33から噴射し、エジェクター34を解して連続長繊維として捕集し、ネットコンベア35に噴射する。
ネットコンベア35は、内部に吸引部36が配設され、外部に配設されたエアーポンプによって下方に吸引されている。したがって、ネットコンベア35の上面にスパンボンド不織布30Aが積層される。また、搬送コンベア28はスパンボンド不織布10A,20A,30Aを送るものである。
【0031】
ネットコンベア15は、内部に吸引部16が配設され、外部に配設された図示しないエアーポンプによってネットコンベア15の上面から下面方向に吸引されている。したがって、ネットコンベア15の上面には紡糸され、冷却、延伸、開戦、捕集されたスパンボンド不織布10Aが形成される。
同様に、ネットコンベア25は、内部に吸引部26が配設され、外部に配設された図示しないエアーポンプによって吸引されている。したがって、ネットコンベア25の上面には紡糸され、冷却、延伸、開戦、捕集されたスパンボンド不織布20Aが形成する。
ネットコンベア35は、内部に吸引部36が配設され、外部に配設された図示しないエアーポンプによって吸引されている。したがって、ネットコンベア35の上面には紡糸され、冷却、延伸、開戦、捕集されたスパンボンド不織布30Aが形成される。
【0032】
ホッパー11,21,31、押出機12,22,32で押し出し、ノズル13,23,33から連続噴出させた長繊維の繊維ウェブを積層し、スパンレース処理部40において、堆積されたパルプシート85、スパンボンド不織布10A,20A,30Aをウォータージェットのジェット噴流を上から下に噴射させながら、繊維同士を絡み合わせ、ウォータージェットのスパンレース処理部40のジェット噴流は、パルプ原料を混合して噴射し、繊維同士の絡み合わせを強くしている。
【0033】
スパンレース処理部40では、ナイロン、レーヨン、ポリエステル、ポリプロピレン等の繊維の何れか1つ以上の短繊維と水と混練させたパルプ原料を、パルプシート85、スパンボンド不織布10A,20A,30Aとを水流で交絡する。スパンレース処理部40を通過したパルプシート85とスパンボンド不織布10A,20A,30Aは水に濡れている。そこで、乾燥部50の乾燥高温空気、ヒータ等でスパンレース処理部40で濡れたスパンボンド不織布10A,20A,30Aを乾燥させる。
【0034】
また、熱溶着するエンボス加工される融着部を、
図6に示す「H」字形等のように、互いに干渉し会うX軸成分方向、Y軸成分方向に線対称の形状であれば、熱融着部分を、乾燥時または湿潤時に無関係に、熱融着の加工性がよく、スパンボンド不織布10A,20A,30Aと3層で形成でき、製品使用時にも柔らかくて繊維や製品の脱落がなく、縦伸びや横縮みをしない腰が強いもので嵩高加工及び機械的強度を任意に形成できる複合構造体製造装置とすることができる。
【0035】
エンボス加工の凸部65により熱融着される融着部の幅Xcは、
図6に示す単位図形が「H」字形等のように、X軸成分方向とY軸成分方向に各々伸縮、膨張できない構成とすると、スパンボンド不織布10A,20A,30Aが平面的方向に変化する量が少なく、その平面に対して垂直方向の厚み方向の嵩は高くすることができる。
図6に示す単位図形が「H」は全平面的方向に変化する量が少なくなる。しかし、
図4及び
図5に示す単位図形「I」は、平面的方向に変化する量が少なくなるが、X軸成分方向のみは横伸びが発生する可能性が高くなる。
そこで、熱融着長さYa、熱融着しない部分の幅Yb、熱融着長さXa、熱融着しない部分の幅Xbの寸法を変更することにより、融着部の幅XcのX軸成分方向に外力を加えた時の伸びを任意に設定できる。
即ち、凸部65の熱融着部分の長さYaのY軸成分方向の1/2位置の両側は、X軸成分方向に平行な熱融着部分の幅Xcによって融着部の幅が接続されている。
【0036】
パルプシート85に重ね合わされたスパンボンド不織布10A,20A,30Aは、エンボス加工を経て、ウォータージェットを利用したスパンレース処理部40でパルプシート85に重ね合わされたスパンボンド不織布10A,20A,30Aの上面からウォータージェットを利用し、水流によって一体に交絡する。スパンレース処理部40での交絡は、スパンレース処理部40でウォータージェットを利用し、スパンボンド不織布10A,20A,30Aのウェブ上に密着させ、乾燥部50で乾燥する前の乾燥前複合構造体40Aを巻き取っている。
なお、巻取りロッド70は、パルプシート85、スパンボンド不織布10A,20A,30Aとで水流交絡した後、乾燥部50で乾燥させた搬送コンベア51で搬送する複合構造体50Aを巻き取ったものであります。
【0037】
パルプシート85とスパンボンド不織布10A,20A,30Aを積層し、エンボス加工した後に、エンボス形成用に形成した周面を形成したエンボス凸部ローラ61と、均一周面を形成したエンボス平滑ローラ62の間の圧力を加え、熱融着で全層融合すべく型押しするとき、パルプシート85とスパンボンド不織布10A,20A,30Aの移送方向Yに対して直交するX軸成分、スパンレース処理部40で熱融着の長さYa、X軸成分に対して直交するY軸成分は、各種ローラの回転によって定まる。
エンボス形成用のエンボス凸部ローラ61と均一周面を形成したエンボス平滑ローラ62からエンボスローラ60が構成されている。エンボスローラ60は、
図4乃至
図6に示すものと同様である。
[実施の形態2]
【0038】
上記実施の形態1では、パルプシート85の上面にスパンボンド不織布10A,20A,30Aを積層し、上からウォータージェットでナイロン、レーヨン、ポリエステル、ポリプロピレン等の繊維の何れか1つ以上の短繊維と水と混練させたパルプ原料を噴出させるものであるから、本来流れ出る短繊維がスパンボンド不織布10A,20A,30Aの上面で停止する可能性がある。
即ち、上記実施の形態1の複合構造体製造装置は、スパンレース処理部40により、スパンボンド不織布10A,20A,30Aにパルプシート85を重ね合わせ、パルプシート85を上面とし、そのパルプシート85の上面からジェット水流を付与して水流交絡させるものである。即ち、パルプシート85からスパンボンド不織布10A,20A,30Aにジェット噴流を導くものであるから、パルプシート85側からパルプ繊維をスパンボンド不織布10A,20A,30A側に巻き込んで固定でき、前記スパンレース処理部40により安定した強さが維持できる。
【0039】
しかし、本実施の形態は上側のパルプシート85から下側のパルプ繊維をスパンボンド不織布10A,20A,30A側に、ジェット水流を付与するものであるから、水流速度のゼロ位置が発生しない。しかし、本実施の形態では、パルプシート85からスパンボンド不織布10A,20A,30A側に、ジェット水流を下から上に付与することもできる。この場合には、水流速度のゼロ位置が発生し、不要な繊維片まで保持する可能性がある。
そこで、実施の形態2では、パルプシート85の下面から積層されたスパンボンド不織布10A,20Aに水流を交絡し、ウォータージェットでパルプ原料を噴出させスパンボンド不織布10A,20Aに水流交絡させるものである。
【0040】
図2に示す本実施の形態2の複合構造体製造装置は、
図1に示す実施の形態1の第1スパンボンド不織布製造機10と、第2スパンボンド不織布製造機20と、外部で形成したパルプロール80からなるものである。パルプロール80から引き出したパイプシート85は、積層されたスパンボンド不織布10A,20Aの上面に配設される。
したがって、本実施の形態では、スパンレース処理部40により、パルプシート85にスパンボンド不織布10A,20Aを重ね合わせ、パルプシート85を下面とし、パルプシート85の下面からジェット水流を付与して水流交絡させるものであるから、パルプシート85からスパンボンド不織布10A,20Aにジェット噴流を導くものであるから、パルプシート85側からパルプ繊維をスパンボンド不織布10A,20A側に巻き込んで固定でき、スパンレース処理部40により安定した強さが維持できる。
【0041】
本実施の形態2の複合構造体製造装置は、原材料のペレットを供給するホッパー11,21と、ホッパー11,21に供給した原材料を熔融して熔融ペレットを押し出する押出機12,22と、押出機12,22から押し出された熔融樹脂をノズル13,23から連続長繊維としてコンプレッサの高温高圧の熱風を噴出しながら、連続長繊維としてウェブを捕集し、ネットコンベア15,25に吸引され、ネットコンベア15,25の上面に噴射される。
ネットコンベア15,25は、内部に空気を吸い込む吸引部16,26が配設され、外部に配設されたコンプレッサ17,27によって下方に吸引されている。したがって、ネットコンベア15,25の上面にスパンボンド不織布10A,20A及びパルプシート85が形成される。
【0042】
パルプシート85及びスパンボンド不織布10A,20Aによって製造される不織布は、ポリマーの色や、親水性や撥水性を出した不織布を作ることができる。極細繊維で構成できるからきめ細かい構成となり、特に、平均繊維径をコントロールすることにより、各種特性を調整できる。また、スパンボンド不織布10A,20Aとの位置及びそれらの厚みから各種シートを積層し、それぞれの性能を発揮する複合シートを作ることができる。具体的には、各種フィルタ、産業用マスク、ワイピングクロス等の商品に使用されている。
【0043】
本実施の形態2の複合構造体製造装置としてのパルプシート85及びスパンボンド不織布10A,20Aは、スパンボンド不織布10A,20Aを重ね合わせることで、3層としてエンボス形成用に形成した周面のエンボスローラ60と、均一周面を形成したエンボス凸部ローラ61の間によって、熱融着で融合すべく型押する。このとき、スパンボンド不織布10A,20Aの移送方向Yに対して直交するX軸成分、当該X軸成分に対して直交するY軸成分は、各種ローラの回転によって定まる。
型押しするエンボス凸部ローラ61と周囲が所定の曲率のエンボス平滑ローラ62は、X軸成分方向の熱融着部分の幅Xa、Y軸成分方向の熱融着部分の幅Yaによって、部分的に加熱される凸部65が形成されている。
【0044】
実施の形態1と同様に、X軸成分方向の熱融着部分の幅Xaと熱融着しない部分の幅XbをX軸成分方向に張力を加えると、熱融着しない部分の幅Xb及び熱融着しない部分の長さYbに外力が加わり、X軸成分方向に最も引っ張り力が弱くなるが、他の斜め角度またはY軸成分方向に加えられた凸部65の外力は、エンボス加工する部分の幅Xaとの面積Xa・Ybで分散されて外力に耐える構造となっている。
よって、X軸成分方向の熱融着部分の幅Xa、Y軸成分方向の熱融着部分の幅Yaによって、部分的にエンボス加工されることにより熱融着される融着部が形成されている。
【0045】
したがって、
図4及び
図5に示すように、エンボスローラ60の周囲に、幅Xaで、長さYaの熱融着部分の凸部65を形成しているが、X軸成分方向に外力を加えると、直接、外力が熱融着しない部分の幅Xbに加えられることになる。
そこで、エンボス加工により熱融着される融着部を、
図6に示す「H」字形等のように、互いに干渉し会うX軸成分方向、Y軸成分方向に線対称の形状であれば、熱融着部分を、乾燥時または湿潤時に無関係に、熱融着の加工性がよく、パルプシート85とスパンボンド不織布10A,20Aとの3層で形成でき、製品使用時にも柔らかくて繊維や製品の脱落がなく、縦伸びや横縮みをしない腰が強いもので嵩高加工及び機械的強度を任意に形成できる複合構造体製造装置とすることができる。
【0046】
上記実施の形態2の複合構造体製造装置は、押出機12,22で押し出し、ノズル13,23から連続噴出させて長繊維の繊維ウェブを形成し、レーヨン、ポリエステル、パルプ繊維の短繊維として水と混練させたパルプ原料を高圧水流によって2層に重ね合わせてなるスパンボンド不織布10A,20Aと、前記スパンボンド不織布10A,20Aを2層重ね合わせて熱融着で融合するとき、スパンボンド不織布10A,20Aの移送方向に対して直交するX軸成分、当該X軸成分に対して直交するY軸成分は、X軸成分方向の熱融着部分の幅Xa、融合しない部分の幅Xbとするとき、Xa<Xbの範囲としたものである。
【0047】
また、Y軸成分方向の熱融着部分の長さYaと、Y軸成分方向の熱融着しない部分の長さYbとは、Y軸成分方向の一直線上の配置であり、熱融着部分の長さYaのY軸成分方向の1/2位置の両側は熱融着しない部分の長さYbとなり、かつ、熱融着しない部分の長さYbのY軸成分方向の1/2位置の両側は熱融着部分の長さYaに設定したエンボスローラ60によるエンボス加工を行ったものである。
【0048】
[実施の形態3]
本実施の形態2は、2層以上、重ね合わせて融着するスパンボンド不織布10A,20Aとパルプシート85は、本発明を実施する場合には、スパンボンド不織布10A,20Aを1層以上重ね合わせてもよいし、スパンボンド不織布10A,20Aの前にパルプシート85を積層してもよいし、スパンボンド不織布10A,20Aの後にパルプシート85を積層してもよい。
例えば、
図3の実施の形態3に示すように、不織布を、1層以上融着するスパンボンド不織布10Aを有しておれば、他の不織布、合成樹脂層を有していてもよい。結果、2層以上重ね合わせて融着するスパンボンド不織布10Aは、単数以上の層を形成するものであればよく、パルプシート85は1以上不織布を形成するものであればよい。
【0049】
したがって、スパンボンド不織布10Aの移送方向に対して直交するX軸成分、当該X軸成分に対して直交するY軸成分は、X軸成分方向の熱融着部分の幅Xa、融合しない部分の幅Xbとするとき、Xa<Xbの範囲としたものである。
また、Y軸成分方向の熱融着部分の長さYaと、Y軸成分方向の熱融着しない部分の長さYbとは、熱融着部分の幅Xaと熱融着部分の長さYaの面を熱融着面とし、隣接するY軸成分方向の一直線上の配置において、熱融着部分の長さYaのY軸成分方向の1/2位置の両側は熱融着しない部分の長さYb、かつ、熱融着しない部分の長さYbのY軸成分方向の1/2位置の両側は熱融着部分の長さYaに設定してエンボス凸部ローラ61とエンボス平滑ローラ62とからなるエンボスローラ60によるエンボス加工としたものである。
【0050】
このように、本実施の形態1乃至3の複合構造体製造装置は、基材となる不織布の長繊維のスパンボンド不織布10Aの原材料にコポリマーとしてポリプロピレン(PP)を使用し、柔らかいスパンボンド不織布を製造する。その時の坪量を8〜12グラムの薄いものに仕上げ、柔らかさを保持する。パルプシートにスパンボンド不織布10Aを重ねながら、ウォータージェットによるスパンレース処理部により、水流によってスパンボンド不織布とパルプシートを絡めていく。
【0051】
その後、水分を乾燥させた後、スパンボンド不織布を
図6に示す特殊なエンボス加工により融着させる。これにより、パルプの脱落を防ぎ加工適性が良い状態になり縦伸びを抑える。また、特殊なエンボスパターンで従来のスパンレース不織布のメッシュパターンに類似した模様に仕上げることができる。ただし、エンボスパターンに見える部分は穴が開いているわけではなく、基材のポリプロピレン(PP)繊維の部分が熱で接着し透明に見えているだけであるので、横伸びも抑えることができる。拭き取った汚れなども裏面に通過しないため、手などに汚れが付着しない。
【0052】
[実施の形態のまとめ]
本実施の形態1乃至3の複合構造体製造装置によれば、スパンボンド基材に縦伸びを押さえつつ、横方向の伸縮性を持たせる加工をした基材として使用すると、濡れると強度が弱いので破れ易くなり、また、濡れた時でも硬くなる。そして、紙粉がスパンボンド不織布から出てきたり、パルプの部分が湿潤時に基材からはがれてしまうという問題を解決することができる。サーマルボンド不織布でも同様な加工を施すことで良好な結果が得られた。
【0053】
以上のように、本実施の形態にかかる複合構造体製造装置は、押出機12,22,32で押し出し、ノズル13,23,33から連続噴出させて長繊維の繊維ウェブを形成し、スパンボンド不織布10A,20A,30Aの移送方向に対して直交するX軸成分、当該X軸成分に対して直交するY軸成分は、X軸成分方向の熱融着部分の幅Xa、融合しない部分の幅Xbとするとき、Xa<Xbの範囲とし、また、Y軸成分方向の熱融着部分の長さYaと、Y軸成分方向の熱融着しない部分の長さYbとは、Y軸成分方向の一直線上の配置であり、熱融着部分の長さYaのY軸成分方向の1/2位置の両側は熱融着しない部分の長さYbとなり、かつ、熱融着しない部分の長さYbのY軸成分方向の1/2位置の両側は熱融着部分の長さYaに設定したエンボス加工する。次いで、レーヨン、ポリエステル、パルプ繊維の短繊維として水と混練させたパルプ原料を高圧水流によって2層以上重ね合わせてなるスパンボンド不織布の製造工程と、パルプシート85及びスパンボンド不織布10A,20A,30Aの製造工程で1層以上を重ね合わせて熱融着で融合するとき、前記パルプシート85及び
【0054】
また、本発明の複合構造体製造装置は、スパンボンド不織布10A,20A,30Aを熱融着で融合するとき、スパンボンド不織布10A,20A,30Aの移送方向に対して直交するX軸成分、当該X軸成分に対して直交するY軸成分は、X軸成分方向の熱融着部分の幅Xa、融合しない部分の幅Xbとするとき、Xa<Xbの範囲とする。
また、Y軸成分方向の熱融着部分の長さYaと、Y軸成分方向の熱融着しない部分の長さYbとは、Y軸成分方向の一直線上の配置であり、熱融着部分の長さYaのY軸成分方向の1/2位置の両側は熱融着しない部分の長さYb、かつ、熱融着しない部分の長さYbのY軸成分方向の1/2位置の両側は熱融着部分の長さYaに設定し、熱融着部分の幅Xaと熱融着部分の長さYaの面を熱融着したエンボスローラ60を構成するエンボス凸部ローラ61とエンボス平滑ローラ62によるエンボス加工を行うものである。
【0055】
したがって、1層以上重ね合わせてなるパルプシート85とスパンボンド不織布10A,20A,30Aは、任意の嵩高の厚みを柔らかい対象物や人体側とすることができる。パルプシート85とスパンボンド不織布10A,20A,30Aを重ね合わせて熱融着で融合するとき、まず、前記スパンボンド不織布10A,20A,30Aの移送方向に対して直交するX軸成分、当該X軸成分に対して直交するY軸成分は、X軸成分方向の熱融着部分の幅Xa、融合しない部分の幅Xbとするとき、Xa<Xbの範囲とし、熱融着部分の幅Xaを融合しない部分の幅Xbよりも狭くしている。
【0056】
そして、Y軸成分方向の熱融着部分の長さYaと、Y軸成分方向の熱融着しない部分の長さYbは、Y軸成分方向の一直線上に熱融着部分の長さYa及び熱融着しない部分の長さYbが配置され、熱融着部分の長さYaのY軸成分方向の1/2位置の両側は熱融着しない部分の長さYb、かつ、熱融着しない部分の長さYbのY軸成分方向の1/2位置の両側は熱融着部分の長さYaに設定し、熱融着部分の幅Xaと熱融着部分の長さYaの面を熱融着したエンボス加工を行うものであるから、X軸成分方向及びY軸成分方向は勿論、斜めの外力に対しても、縦伸びや横縮みをしない腰が強いものとなる。特に、熱融着部分の幅Xaと熱融着部分の長さYaの面を熱融着したエンボス凸部ローラとエンボス平滑ローラによるエンボス加工を行うものであるから、縦伸びや横縮みが内部歪となって対抗するから、全体的に縦伸びや横縮みに対する抵抗力が強く形状変化に至らない。
【0057】
更に、Y軸成分方向の熱融着部分の長さYaと、Y軸成分方向の熱融着しない部分の長さYbは、加工が可能であり、製品使用時(湿潤時)に柔らかくて繊維や製品の脱落がなく、縦伸びや横縮みをしない腰が強いもので嵩高加工及び機械的強度を任意に形成できる。
加えて、乾燥時または湿潤時においても加工性がよく、使用時に柔らかくて繊維やパルプ紙の脱落がなく、重ね合わせても腰が強くて縦伸びや横縮みをすることなく、嵩高加工及び機械的強度を任意に設定できる複合構造体の製造方法を提供できる。
【0058】
上記実施の形態では、パルプシート85及びエンボス加工したスパンボンド不織布10A,20A,30Aを重ね合わせてなるものであるが、本発明を実施する場合には、
図3に示す実施の形態3の第1スパンボンド不織布製造機10を1層以上にするか否かは用途によって決定されるものの、そのおり、パルプシート85の数は直接問題とするものではない。
また、上記実施の形態では、スパンボンド不織布製造機10,20,30とパルプシート85は、その後、ウォータージェットを利用したスパンレース処理部40の前でエンボス凸部ローラ61とエンボス平滑ローラ62によるエンボス加工を行っているが、本発明を実施する場合には、スパンレース処理部40の前にエンボスエンボス加工を行った方が好適である。
【0059】
上記実施の形態の複合構造体製造装置は、エンボス加工したスパンボンド不織布に、スパンレース処理部で更にパルプシートを重ね合わせ、ジェット水流を付与し、水流交絡させるものである。
したがって、スパンボンド不織布に対するエンボス加工し、更に、スパンレース処理部でジェット水流を付与し、水流交絡させるものである。
【0060】
上記実施の形態の複合構造体製造装置は、エンボス加工したスパンボンド不織布に前記スパンレース処理部でジェット水流を付与して水流交絡させるものであるから、エンボス加工することによって一次固定を行い、スパンレース処理部によりジェット水流を付与して水流交絡させた後、水流交絡した水分を乾燥により、二次固定により、更に強靭に一体化するものであるから、したがって、スパンボンド不織布にパルプシートを重ね合わせた時、一体感のある固定を堅固にすることができる。